(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら上述した通信システムにおいて、たとえば第1装置に通信異常が生じて第2装置へとクロックを送信できない場合、第2装置の変換部はクロックを受信できずに停止する(変換動作を実行できない)。よって、第2装置は第1装置が通信できないことを認識できない。
【0008】
また特許文献1の技術では、外部装置に通信エラーが生じたと認識した場合に、Highレベルのステータス信号を送信するものの、外部装置自体に通信異常が生じてステータス信号が送信できない場合には、装置本体は通信エラーを認識できない。
【0009】
そこで、本発明は、第1装置から第2装置へのクロックが停止したときにその異常を第2装置が認識できる処理装置間通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にかかる処理装置間通信システムの第1の態様は、第1装置と、第2装置と、前記第1装置と前記第2装置とを接続する伝送路とを備える処理装置間通信システムであって、前記第1装置は、所定の送信クロックと同期する送信データをM(Mは2以上の自然数)ビットパラレル又は1ビットシリアルで前記伝送路を介して前記第2装置へと送信するとともに、前記伝送路を介して前記送信クロックを前記第2装置へと送信し、前記第2装置は、所定のバスクロックと同期するデータがn(nは2以上の自然数)ビットパラレルで伝達される信号線群と、前記信号線群との間でデータを送受信する処理部と、前記伝送路から前記送信クロックと前記送信データとを受け取り、前記送信クロックが停止したか否を判定し、否定的な判定がなされたときに、受信クロック及び受信データとして前記送信クロック及び前記送信データを送信し、肯定的な判定をしたときに、前記受信クロックとして所定の代替クロックを、前記受信データとして前記代替クロックと同期する異常情報を、それぞれ送信する受信データ中継部と、前記受信データ中継部から前記受信データをMビットパラレル又は1ビットシリアルで受け取るとともに、前記受信データ中継部から前記受信クロックを受け取り、前記所定のバスクロックと前記受信クロックとを用いて前記受信データをnビットパラレルの受信データに変換し、前記信号線群を介して変換後の前記受信データを前記処理部へと送信する変換部と
、前記バスクロックと生成用クロックとを生成するクロック生成部とを備え
、前記受信データ中継部は、前記送信クロックと等しく又は前記送信クロックに基づいて生成されて活性/不活性を繰り返し採る判定クロックを、前記判定クロックの周波数の2倍よりも高いサンプリング周波数でサンプリングし、当該サンプリング値が連続して同じ値を採る回数が、前記サンプリング周波数を前記判定クロックの周波数の2倍で除算した値以上の整数たる回数基準値より大きいときに、前記送信クロックが停止したと判定し、前記変換部は、前記生成用クロックを用いて第2送信クロックを生成し、前記バスクロックと同期する第2送信データを前記信号線群からnビットパラレルで受け取り、前記バスクロックと前記第2送信クロックとを用いて、前記第2送信データをMビットパラレルまたは1ビットシリアルの第3送信データに変換して、前記第3送信データと前記第2送信クロックとを前記伝送路を介して前記第1装置へと送信し、前記サンプリング周波数は前記生成用クロックまたは前記バスクロックに基づいて規定され、前記サンプリング周波数は前記生成用クロックの周波数と等しく、前記送信クロックの周波数は最大値ftmaxと最小値ftminとの間の値を採り、前記生成用クロックの周波数は最大値fpmaxと最小値fpminとの間の値を採り、前記判定クロックは前記送信クロックを所定の分周比DIVで分周して生成され、前記分周比DIVは、DIV>2ftmax/fpminを満たし、前記回数基準値DETCTはDETCT>fpmax・DIV/(2×ftmin)を満たす。
【0014】
本発明にかかる処理装置間通信システムの第
2の態様は、第
1の態様にかかる処理装置間通信システムであって、前記代替クロックは前記バスクロックである又は前記バスクロックに基づいて生成される。
【0015】
本発明にかかる処理装置間通信システムの第
3の態様は、第
1または第
2の態様にかかる処理装置間通信システムであって、前記代替クロックは前記生成用クロックである又は前記生成用クロックに基づいて生成される。
【0016】
本発明にかかる処理装置間通信システムの第
4の態様は、第1から第
3の何れか一つの態様にかかる処理装置間通信システムであって、前記第1装置は、自身が通信可能か否かを示す通信可否情報を前記送信情報として前記第2装置に送信し、前記異常情報は前記通信可否情報において通信不可を示す情報と等しい。
【発明の効果】
【0017】
本発明にかかる処理装置間通信システムの第1及び第
3の態様によれば、第1装置からの送信クロックが停止したときにも、変換部は受信クロックとして代替クロックを受信し、受信クロック(代替クロック)によって規定される受信データとして異常情報を受信する。このとき、変換部は代替クロックによって規定される異常情報を、バスクロックによって規定される受信データに変換して処理部へと送信する。
【0018】
したがって第1装置からの送信クロックが停止したときに、変換部は当該異常情報を処理部へと処理部へと送信することができる。
【0019】
しかも変換部の機能を用いて異常情報を処理部へと送信しているので、別途に信号線群と受信データ中継部とを接続する場合に比べて信号線群の信号線の本数を増やす必要がない。
【0020】
しかも、サンプリング値が連続して同じ値を採る回数に基づいて送信クロックの停止を判断することができる。
【0021】
しかも、サンプリング周波数は生成用クロック又はバスクロックによって規定される。よって、サンプリング周波数を規定するクロックを一から生成する場合に比して、回路規模または製造コストを低減できる。
【0022】
しかも、送信クロックの周波数及び生成用クロックの周波数の各々が最大値と最小値との間で変動したとしても、適切に送信クロックの停止を判定できる。
【0023】
本発明にかかる処理装置間通信システムの第
2の態様によれば、一から代替クロックを生成する場合に比べて回路規模および製造コストを抑制できる。
【0024】
本発明にかかる処理装置間通信システムの第
4の態様によれば、処理部が認識すべき情報の種類を増やすことなく、第1装置が通信できないことを了知できる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1に示すように、第1装置10と第2装置20とは伝送路30を介して相互に接続されて、互いに通信する。例えば第1装置10は自身が通信可能であるかどうかを、伝送路30を介して第2装置20へと送信し、また第2装置20は自身が通信可能であるかどうかを、伝送路30を介して第1装置10へと送信する。
【0027】
また
図1の例示では、第1装置10は例えば撮像装置(例えばイメージセンサ)40と接続され、伝送路30とは別の画像用伝送路31も介して第2装置20と接続されている。第1装置10は例えば撮像装置40によって撮像される撮像データ(原画像データ)を受け取り、この撮像データに適宜に処理を施した上で、画像用伝送路31を介して第2装置20へと送信する。
【0028】
第2装置20は受け取ったデータに適宜に公知の画像処理を施し、これを不図示の装置へと送信する。
【0029】
このような画像処理装置において、第1装置10は例えば撮像装置40と第2装置20との間の通信を仲介する仲介装置と把握することができる。例えば第1装置10は撮像装置40と第2装置20との間の接続条件の不一致(例えば信号線の数の不一致および/または動作速度の不一致など)を整合させるための仲介装置である。この場合、第1装置10は撮像装置40からの撮像データを第2装置20に入力可能なデータに変換し、これを第2装置20へと送信する。
【0030】
図1の例示では、第1装置10は回路11と信号線群(以下、CPUバスと呼ぶ)13と処理部14と記憶部15と変換部16とクロック生成部18とを備えている。処理部14は例えば中央演算装置(CPU)である。処理部14はクロック生成部18から所定のバスクロックBC1を受け取る。処理部14はCPUバス13に接続されており、バスクロックBC1でCPUバス13と信号の送受信を行う。処理部14は例えば第1装置10の全体を制御する。
【0031】
記憶部15は例えばメモリ(例えばSRAM(Static-Random-Access-Memory))であってCPUバス13に接続される。記憶部15には例えば処理部14によって実行されるプログラムが格納され、また例えばプログラムを実行するための作業領域を提供する。
【0032】
回路11は撮像装置40から撮像データを受け取る。回路11はCPUバス13に接続されており、例えば処理部14によって制御される。回路11は撮像データに対して処理を施して、例えば第2装置20に適したデータに変換する。この処理の内容は本発明の本質とは異なるので詳細な説明は省略する。
【0033】
変換部16は、CPUバス13と伝送路30とに接続される。変換部16はCPUバス13からのデータを伝送路30へと送信し、伝送路30からのデータをCPUバス13へと送信する。その際、変換部16はCPUバス13のN(Nは2以上の複数)本の信号線を介してパラレルでデータを送受信する。また変換部16は伝送路30のM(Mは自然数であって例えばNよりも小さい)本の信号線を介してパラレルでデータを送受信する。ただし、Mが1である場合には、変換部16は伝送路30とシリアルでデータを送受信することとなる。
【0034】
言い換えれば、変換部16は、CPUバス13側のNビットパラレルのデータと、伝送路30側のMビットパラレル(Mが1の場合は1ビットシリアル、以下同様)のデータとの間の変換を実行する。以下、詳細に説明する。
【0035】
変換部16はクロック生成部18からバスクロックBC1を受け取る(
図2も参照)。なお
図2では、図面の簡素化のために、第1装置10の回路11、処理部14、記憶部15及びクロック生成部18と、第2装置20の一部(後述)との図示を省略している。
【0036】
変換部16は処理部14から第2装置20へと送信すべき送信データを、CPUバス13のN本の信号線を介してNビットパラレルで受け取る。この段階では送信データはバスクロックBC1と同期する。
【0037】
また変換部16は例えばクロック生成部18から生成用クロックPC1を受け取る。変換部16は生成用クロックPC1に基づいて送信クロックTC1を生成する。送信クロックTC1は変換部16が伝送路30へと送信データを送信する際に用いられるクロックである。
【0038】
変換部16は、バスクロックBC1と送信クロックTC1とを用いて、Nビットパラレルの送信データをMビットパラレルの送信データTD1に変換する。この送信データTD1は送信クロックTC1と同期する。このような変換自体は公知技術であるので詳細な説明は省略する。そして変換部16は伝送路30のM本の信号線へと送信データTD1を送信するとともに、伝送路30の他の1本の信号線へと送信クロックTC1を送信する。なお
図2には、送信データTD1が1ビットシリアルで送信される場合の伝送路30が示されている。
【0039】
また変換部16は第2装置20から送信される受信クロックRC1および受信データRD1を、伝送路30を介して受信する。より詳細には、変換部16は伝送路30の1本の信号線を介して受信クロックRC1を受信するとともに、伝送路30のM本の信号線を介してMビットパラレルで受信データRD1を受信する。この段階では受信データRD1は受信クロックRC1と同期する。変換部16は、バスクロックBC1と受信クロックRC1とを用いて、Mビットパラレルの受信データRD1をNビットパラレルの受信データに変換する。変換後の受信データはバスクロックBC1と同期する。そして、変換部16はCPUバス13のN本の信号線を経由してNビットパラレルの当該受信データを処理部14へと送信する。
【0040】
第2装置20は例えば回路21と信号線群(CPUバス)23と処理部24と記憶部25と変換部26と受信データ中継部27とクロック生成部28とを備えている。処理部24は例えば中央演算装置(CPU)である。処理部24はクロック生成部28からバスクロックBC2を受け取る。処理部24はCPUバス23に接続されており、バスクロックBC2でCPUバス23と信号の送受信を行う。処理部24は例えば第2装置20の全体を制御する。
【0041】
記憶部25は例えばメモリ(例えばSRAM(Static-Random-Access-Memory))であってCPUバス23に接続される。記憶部25には例えば処理部24によって実行されるプログラムが格納され、またプログラムを実行するための作業領域を提供する。
【0042】
回路21は第1装置10から画像用伝送路31を介して画像データを受け取る。回路21は例えばCPUバス23に接続されており、例えば処理部24によって制御される。回路21は画像データに対して適宜に画像処理を施して、不図示の装置へと送信する。この画像処理の内容は本発明の本質とは異なるので詳細な説明は省略する。
【0043】
変換部26はCPUバス23と伝送路30とに接続される。変換部26は、変換部16と同様の機能を有し、CPUバス23からのデータを伝送路30へと送信し、伝送路30からのデータをCPUバス23へと送信する。その際、変換部26はCPUバス23のn(nは2以上の複数)本の信号線とパラレルでデータを送受信し、伝送路30のM(nよりも小さい自然数)本の信号線とパラレルでデータを送受信する。なおMが1である場合には、変換部26は伝送路30とシリアルでデータを送受信する。
【0044】
言い換えれば、変換部26は、CPUバス23側のnビットパラレルのデータと、伝送路30側のMビットパラレル(Mが1の場合は1ビットシリアル、以下同様)のデータとの間の変換を実行する。以下、詳細に説明する。
【0045】
変換部26はクロック生成部28からバスクロックBC2を受け取る(
図2も参照)。なお
図2では、図面の簡素化のために、第2装置20の回路21、処理部24、記憶部25及びクロック生成部28の図示を省略している。
【0046】
変換部26は処理部24から第1装置10へと送信すべき送信データを、CPUバス23のn本の信号線を介してnビットパラレルで受け取る。この段階では送信データはバスクロックBC2と同期する。
【0047】
また変換部26は例えばクロック生成部28から生成用クロックPC2を受け取る。変換部26は生成用クロックPC2に基づいて送信クロックTC2を生成する。送信クロックTC2は変換部26が伝送路30へと送信データを送信する際に用いられるクロックである。
【0048】
変換部26は、バスクロックBC2と送信クロックTC2とを用いて、nビットパラレルの送信データをMビットパラレルの送信データTD2に変換する。この送信データTD2は送信クロックTC2と同期する。そして変換部26は伝送路30のM本の信号線へと送信データTD2を送信するとともに、伝送路30の他の1本の信号線へと送信クロックTC2を送信する。
【0049】
なお、上述の送信クロックTC2および送信データTD2は受信クロックRC1および受信データRD1として変換部26によって受信される。
【0050】
また変換部26は、第1装置10から送信される送信クロックTC1および送信データTD1を、伝送路30と受信データ中継部27とを介して受信する。
【0051】
受信データ中継部27は伝送路30を介して送信クロックTC1と送信データTD1とを受け取る。そして受信データ中継部27は送信クロックTC1が停止しているか否かを判定する。否定的な判定がなされれば、受信データ中継部27は送信クロックTC1を受信クロックRC2として変換部26へと送信するとともに、送信データTD1を受信データRD2として変換部26へと送信する。したがって、送信クロックTC1が正常に動作しているときには、変換部26は、第1装置10から送信される送信クロックTC1および送信データTD1を、それぞれ受信クロックRC2および受信データRD2として受信することができる。
【0052】
一方で肯定的な判定がなされれば、受信データ中継部27は受信クロックRC2として所定の代替クロック(例えばバスクロックBC2)を変換部26へと送信するとともに、受信データRD2として、代替クロックと同期する異常情報を変換部26へと送信する。したがって、送信クロックTC1が停止しているときには、変換部26は代替クロックと異常情報とを、それぞれ受信クロックRC2および受信データRD2として受信する。
【0053】
変換部26は1本の信号線を介して受信クロックRC2を受信するとともに、M本の信号線を介してMビットパラレルで受信データRD2を受信する。受信データRD2は受信クロックRC2と同期する。変換部26は、バスクロックBC2と受信クロックRC2とを用いて、Mビットパラレルの受信データRD2をnビットパラレルの受信データに変換する。変換後の受信データはバスクロックBC2と同期する。そして、変換部26はCPUバス23のn本の信号線を経由してnビットパラレルの当該受信データを処理部24へと送信する。
【0054】
このようなシステムによれば、送信クロックTC1が停止していないときには、処理部24は変換部26とCPUバス23とを経由して送信データTD1を受信データRD2として適切に受け取ることができる。なおこのようなデータの一例として、第1装置10が通信可能か否かを示す例えば8ビットの通信可否情報が挙げられる。
【0055】
一方で、送信クロックTC1が停止しているときには、変換部26には受信クロックRC2として代替クロックが入力され、受信データRD2として異常情報が入力される。したがって送信クロックTC1が停止しているにも関わらず、変換部26は動作を継続することができ、異常情報を適切に処理部24へと送信できる。よって、処理部24は第1装置10が通信できない状態であると認識することができる。
【0056】
しかも本システムによれば、受信データ中継部27が送信クロックTC1の停止を検出したときには、変換部26の機能を利用して、異常情報を処理部24に通知している。よって、別途にCPUバス23と受信データ中継部27を接続する場合に比べて、CPUバス23の信号線数を増大させる必要がなく、回路規模を抑制することができる。
【0057】
なお、第1装置10と第2装置20とはそれぞれ送信クロックTC1,TC2を絶えず送信してもよく、或いは所定の間隔毎に送信してもよい。受信データ中継部27はこの所定の間隔を考慮した期間を超えて送信クロックが活性或いは非活性を維持しているときに送信クロックが停止したと判定すればよい。
【0058】
また上述のように、代替クロックとしては例えばバスクロックBC2を採用することができる。よって
図2の例示では、受信データ中継部27がクロック生成部28からバスクロックBC2を入力し、代替クロックとしてバスクロックBC2を出力する。ただし必ずしもこれに限らない。例えばバスクロックBC2とは別に生成されるクロック(例えば生成用クロックPC2)を代替クロックとして採用してもよい。バスクロックBC2または生成用クロックPC2を採用すれば、代替クロックを生成する必要がないので、回路規模および製造コストが抑制できる。或いは代替クロックは、バスクロックBC2または生成用クロックPC2に基づいて生成されてもよい。
【0059】
また異常情報として、送信データTD1の通信可否情報であって通信が不可であることを示す場合の情報を採用してもよい。これによって、処理部24が認識すべき情報の種類を増やすことなく、第1装置10が通信できないことを了知できる。
【0060】
また第1装置10および第2装置20は
図1に示す態様に限らない。要するに、第1装置10は送信クロックTC1と、送信クロックTC1と同期する送信データTD1とを伝送路30に送信すればよく、第2装置20はCPUバス23と処理部24と変換部26と受信データ中継部27とクロック生成部28とを備えていればよい。送信クロックTC1が停止したと受信データ中継部27が判定したときに、変換部26は第1装置10の異常を処理部24に送信できるからである。
【0061】
<受信データ中継部27>
受信データ中継部27の内部構成の一例は
図2の態様に限らないものの、以下に詳述する。
図2の例示では、例えば受信データ中継部27はクロック受信データ中継部271と選択部272と論理回路273〜275とを有している。なお以下では、信号の活性/非活性をそれぞれ「1」「0」で表す。例えば各クロックの活性/非活性を「1」「0」で表す。
【0062】
クロック受信データ中継部271は送信クロックTC1が停止しているか否かを判定する。例えば送信クロックTC1が「0」を採る期間が予め定められた基準期間よりも長いときに、クロック受信データ中継部271は肯定的に判定する。当該期間は例えば公知のタイマー回路などを用いて計時することができ、当該期間と基準期間との比較は例えば公知の比較器などを用いて行うことができる。そしてクロック受信データ中継部271は肯定的な判定がなされたときに「1」を出力し、否定的な判定がなされたときに「0」を出力する。
【0063】
論理回路273には、クロック受信データ中継部271からの出力と、送信クロックTC1とが入力される。論理回路273はAND回路であって、クロック受信データ中継部271が「0」を出力し、且つ、送信クロックTC1が「1」を採るときに、「1」を出力する。論理回路273はこれ以外の場合に「0」を出力する。よって論理回路273は、送信クロックTC1が停止していないと判定されるときには送信クロックTC1を出力し、送信クロックTC1が停止していると判定されるときには「0」を出力する。
【0064】
選択部272には代替クロック(例えばバスクロックBC2)とクロック受信データ中継部271の出力とが入力される。選択部272はクロック受信データ中継部271の出力が「0」である場合には「0」を出力する。一方、クロック受信データ中継部271の出力が「1」である場合には代替クロックを出力する。
【0065】
選択部272は例えば
図3に示すようにフリップフロップ2721,2722とラッチ回路2723と論理回路2724とを備えている。フリップフロップ2721,2722は例えばD型のフリップフロップである。フリップフロップ2721にはクロック受信データ中継部271の出力と代替クロックとが入力される。フリップフロップ2722にはフリップフロップ2721の出力と代替クロックとが入力される。ラッチ回路2723にはフリップフロップ2722の出力と代替クロックとが入力される。ラッチ回路2723は例えばD型のラッチ回路である。論理回路2724にはラッチ回路2723と代替クロックとが入力される。論理回路2724はAND回路である。論理回路2724の出力が選択部272の出力となる。
【0066】
図3の選択部272によれば、クロック受信データ中継部271の出力を適宜にラッチしているので、瞬時的なノイズ変動などの影響を抑制することができる。
【0067】
論理回路275は選択部272の出力と論理回路273の出力とを入力し、後述の論理値を受信クロックRC2として変換部26へと出力する。論理回路275はOR回路であって、選択部272の出力または論理回路273の出力が「1」であるときに「1」を出力し、選択部272の出力および論理回路273の出力が「0」であるときに「0」を出力する。さて、クロック受信データ中継部271の出力が「0」であるときには、選択部272は「0」を出力し、論理回路273は送信クロックTC1を出力する。よってこのとき論理回路275は送信クロックTC1を受信クロックRC2として変換部26へと出力する。一方、クロック受信データ中継部271の出力が「1」であるときには、選択部272は代替クロック(例えばバスクロックBC2)を出力し、論理回路273は「0」を出力する。よってこのとき論理回路275は代替クロックを受信クロックRC2として変換部26へと出力する。
【0068】
論理回路274はクロック受信データ中継部271の出力と送信データTD1とを入力し、後述の論理値を受信データRD2として変換部26へと出力する。論理回路274は(M+1)ビットのAND回路であって、クロック受信データ中継部271が「0」を出力した場合には、Mビットの送信データTD1と同じ内容を出力する。論理回路274はこれ以外の場合にMビットの「0」を出力する。よって論理回路274は、送信クロックTC1が停止していないと判定されるときには送信データTD1を受信データRD2として変換部26へと出力する。また送信クロックTC1が停止していると判定されるときには受信データRD2として「0」を出力する。この受信データD2が異常情報に相当する。
【0069】
なお上述のように、この異常情報は通信可否情報において通信できない旨の情報と等しくてもよい。
【0070】
<クロック受信データ中継部271>
クロック受信データ中継部271の内部構成の一例は
図4の態様に限らないものの、以下に詳述する。クロック受信データ中継部271は分周部2711と判定部2712とを備える。
【0071】
分周部2711は分周比DIVで送信クロックTC1を分周して判定クロックC2を生成し、これを判定部2712に出力する。分周比DIVは例えば予め設定される。
【0072】
判定部2712には判定クロックC2が入力される。判定部2712は判定クロックC2を所定のサンプリング周波数f1で繰り返しサンプリングする(
図5も参照)。
図5においては判定クロックC2を示し、またサンプリングタイミングを黒丸で示している。このサンプリング周波数f1は判定クロックC2の周波数f2の2倍よりも高い。これによってサンプリングの周期(1/f1)が判定クロックC2の半周期(1/(2・f2))よりも短くなる。したがって判定クロックC2の半周期に少なくとも1回のサンプリングを行うことができる。
【0073】
判定部2712は同じサンプリング値を連続して採る回数Fを計数する。
図5の例示では、回数Fは2又は3である。そして判定部2712はこの回数Fが回数基準値DETCT(例えば3)よりも大きいかどうかを判定し、肯定的な判定がなされたときに送信クロックTC1が停止したと判定する。
【0074】
ここで、回数基準値DETCTの決定方法について述べる。まず判定クロックC2が正常に動作しているときの回数Fについて考慮する。
図5に例示するように回数Fは必ずしも一定ではない。
図5の例示では回数Fは2又は3を採る。よってこの場合、回数基準値DETCTとして3以上の値を採用すればよい。これによって送信クロックTC1の停止を適切に判定することができる。
【0075】
次に、判定クロックC2が正常に動作するときの回数Fを一般化する。この回数Fは、サンプリング周期(1/f1)と判定クロックPC2の半周期(1/(2・f2))との比(=f1/(2・f2))に基づいて理解できる。例えば当該比が自然数である場合、
図6に示すように、回数Fは常にその自然数(
図6の例示では2)と一致する。なお、判定クロックPC2が遷移するタイミングでサンプリングする場合、例えばサンプリング値として常に「1」を採用するか、常に「0」を採用すればよい。一方、
図5に例示では当該比が2.2程度である。この場合、回数Fは2または3を採る。つまり、当該比が整数部分Xと小数部分Y(0<Y<1)とを有する小数である場合、回数Fはその整数部分Xと、整数部分Xに1を加算した整数(X+1)とのどちらかを採る。
【0076】
回転基準値DETCTは、判定クロックC2が正常に動作するときの回数Fの最大値(
図5の例示では(X+1))以上であればよい。言い換えれば、回数基準値DETCTは、サンプリング周波数f1を周波数f2の2倍で除算した値以上の整数であればよい。
【0077】
以上のようにして回数基準値DETCTを決定することができる。
【0078】
なおサンプリング周波数f1はサンプリングクロックによって規定される。サンプリングクロックは例えばバスクロックBC2または生成用クロックPC2であってもよい。これによって、サンプリングのための新たなクロックを生成する必要がなく、回路規模および製造コストを低減できる。
【0079】
なお例えば信号処理のモードに基づいて、送信クロックTC1の周波数ftおよび生成用クロックPC2の周波数fpを、個別に変化させる場合がある。例えば第1モードにおいて周波数ftをその最大値ftmaxに設定し、周波数fpをその最小値fpminに設定したり、第2モードにおいて周波数ftをその最小値ftminに設定し、周波数fpをその最大値fpmaxに設定する。
【0080】
このように周波数ft,fpをその最小値と最大値との間で個別に変動させる場合、分周比DIVを以下の式を満たすように設定することが望ましい。
【0081】
DIV>2ftmax/fpmin ・・・(1)
【0083】
1/fpmin<1/(2・ftmax/DIV) ・・・(2)
【0084】
式(2)の左辺はサンプリング周期の最大値に相当し、式(2)の右辺は判定クロックC2の半周期の最小値に相当する。よって式(2)によれば、サンプリング周期が最大であり、かつ判定クロックC2の半周期の最小値となる場合であっても、サンプリング周期を判定クロックC2の半周期よりも小さくできる。したがって、式(1)を満たすように分周比DIVを設定することで、たとえ送信クロックTC1の周波数ftと生成用クロックPC2の周波数fpとが変動したとしても、判定クロックC2の半周期において少なくとも1回のサンプリングを行うことができる。
【0085】
また回数基準値DETCTは次式を満たす整数であることが望ましい。
【0086】
DETCT≧fpmax・DIV/(2×ftmin)・・・(3)
【0087】
式(3)の右辺は、サンプリング周期の最小値(1/fpmax)と、判定クロックC2の周期の最大値(1/(2・ftmin/DIV))との比である。さて回数Fは、サンプリング周期が最小であり、判定クロックC2の周期が最大となるときに、最大値を採る。よって、式(3)の右辺の比は回数Fの最大を表す。
【0088】
式(3)によれば回数基準値DETCTは回数Fの最大値よりも大きい。よって、たとえ送信クロックTC1の周波数ftと生成用クロックPC2の周波数fpとが変動したとしても、判定クロックC2の動作の停止を適切に判定することができる。