特許第5955646号(P5955646)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5955646
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】ヘアカラー前処理用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/55 20060101AFI20160707BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20160707BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20160707BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALN20160707BHJP
【FI】
   A61K8/55
   A61K8/73
   A61Q5/00
   !A61Q5/10
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-120762(P2012-120762)
(22)【出願日】2012年5月28日
(65)【公開番号】特開2013-63948(P2013-63948A)
(43)【公開日】2013年4月11日
【審査請求日】2015年5月11日
(31)【優先権主張番号】特願2011-190617(P2011-190617)
(32)【優先日】2011年9月1日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100092901
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 祐司
(72)【発明者】
【氏名】小林 孝聡
(72)【発明者】
【氏名】田中 智也
【審査官】 中村 俊之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−513509(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/133267(WO,A1)
【文献】 特開2006−282512(JP,A)
【文献】 特表2008−514615(JP,A)
【文献】 特開平11−049649(JP,A)
【文献】 特開平11−228360(JP,A)
【文献】 特開2007−153874(JP,A)
【文献】 特開2011−102244(JP,A)
【文献】 特開2008−290971(JP,A)
【文献】 特開昭58−074798(JP,A)
【文献】 特開2004−018420(JP,A)
【文献】 特開平03−143540(JP,A)
【文献】 特開2007−008910(JP,A)
【文献】 新化粧品ハンドブック,日本,2006年10月30日,p. 344-349
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸と、
アセチル化ヒアルロン酸又はその塩類と、を含み、
pHが7.5〜10であることを特徴とする酸化染毛型ヘアカラー前処理用組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の組成物において、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸が、下記式(I)で示されることを特徴とする酸化染毛型ヘアカラー前処理用組成物。
【化1】
(式中、nはオキシエチレン基の平均付加モル数である。)
【請求項3】
請求項1又は2に記載の組成物において、アセチル化ヒアルロン酸又はその塩類が、下記式(II)で示される繰り返し構造単位を有することを特徴とする酸化染毛型ヘアカラー前処理用組成物。
【化2】
(式中、R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立に水素原子、又はエステル結合されたアセチル基を示す(ただし、平均して各繰り返し構造単位においてR1、R2、R3、R4の少なくとも2個以上がアセチル基を示す)。R5は水素原子又はアルカリ金属を示す。kは2以上の数を示す。)
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の組成物において、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸を0.5〜10質量%、アセチル化ヒアルロン酸又はその塩類を0.0001〜10質量%含むことを特徴とする酸化染毛型ヘアカラー前処理用組成物。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれかに記載の組成物において、式(I)で示されるnが1〜20であることを特徴とする酸化染毛型ヘアカラー前処理用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヘアカラー前処理用組成物に関し、特にヘアカラー時の染毛効果が向上し、毛髪へのダメージを軽減できるヘアカラー前処理用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費者の意識の変化に伴い、毛髪を明るくしたいという要望が高まり、ヘアカラーの市場が拡大している。しかし、ヘアカラーを複数回使用することにより、毛髪へのダメージが懸念される場合がある。また、ダメージが大きい毛髪を染毛すると、ダメージがある部分がより染毛されてしまって色ムラが生じてしまったり、期待した色に染毛することができないという問題もあった。
【0003】
そこで、毛髪ダメージが大きな消費者であっても、優れた染毛効果を実現するために、ヘアカラーを使用する前に、毛髪を前処理用組成物で処理することが提案されている。
前処理用組成物としては、タンパク質加水分解物を含む染毛用前処理剤が知られている(例えば特許文献1参照)。タンパク質加水分解物により、毛髪のダメージ部分を保護・補修することにより、染毛効果の向上が期待できる。しかしながら、その効果には改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−226629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記従来技術の課題に鑑み行われたものであり、ヘアカラー時の染毛効果が向上し、毛髪へのダメージを軽減できるヘアカラー前処理用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らが前述の問題を解決すべく鋭意研究を行った結果、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸とアセチル化ヒアルロン酸又はその塩類をヘアカラー前処理用組成物に配合し、特定のpHに調整することにより、ヘアカラー時の染毛効果が向上し、毛髪へのダメージを軽減できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明にかかる酸化染毛型ヘアカラー前処理用組成物は、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸と、アセチル化ヒアルロン酸又はその塩類と、を含み、pHが7.5〜10であることを特徴とする。
前記組成物において、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸が、下記式(I)で示されることが好適である。
【化1】
(式中、nはオキシエチレン基の平均付加モル数である。)
前記組成物において、アセチル化ヒアルロン酸又はその塩類が、下記式(II)で示される繰り返し構造単位を有することが好適である。
【化2】
(式中、R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立に水素原子、又はエステル結合されたアセチル基を示す(ただし、平均して各繰り返し構造単位においてR1、R2、R3、R4の少なくとも2個以上がアセチル基を示す)。R5は水素原子又はアルカリ金属を示す。kは2以上の数を示す。)
前記組成物において、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸を0.5〜10質量%、アセチル化ヒアルロン酸又はその塩類を0.0001〜10質量%含むことが好適である。
前記組成物において、式(I)で示されるnが1〜20であることが好適である。
【発明の効果】
【0008】
本発明にかかるヘアカラー前処理用組成物は、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸と、アセチル化ヒアルロン酸又はその塩類と、を含み、pHが7.5〜10である組成物であり、ヘアカラー時の染毛効果が向上し、毛髪へのダメージを軽減できるヘアカラー前処理用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明にかかるヘアカラー前処理用組成物は、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸およびアセチル化ヒアルロン酸又はその塩類を含む。
以下、各成分について詳述する。
【0010】
(ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸)
ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸は、下記式(I)で示される化合物であることが好ましい。
【0011】
【化3】
【0012】
式(I)中、nはオキシエチレン基の平均付加モル数である。
nは特に限定されないが、1〜20であることが好ましく、3〜10であることが特に好ましい。
【0013】
本発明にかかるヘアカラー前処理用組成物において、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸の配合量は、0.5〜10質量%であることが好ましい。配合量は1質量%以上であることがより好ましい。配合量が少なすぎると、染毛効果に劣る場合がある。また、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸の配合量は、5質量%以下であることがより好ましい。配合量が多すぎても、効果の顕著な向上が見られない場合がある。
【0014】
(アセチル化ヒアルロン酸又はその塩類)
アセチル化ヒアルロン酸又はその塩類は、ヒアルロン酸の水酸基を部分的にアセチル化した高分子化合物である。このアセチル化ヒアルロン酸は保湿効果を有する水溶性高分子で、長期的に塗布することでフケ・カユミ防止効果を有することが知られている。
【0015】
本発明において、アセチル化ヒアルロン酸又はその塩類の水酸基に対するアセチル化率は特に限定されるものでないが、下記式(II)で示される繰り返し構造単位を有するものを好適に用いることができる。
【0016】
【化4】
【0017】
式(II)中、R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立に水素原子、又はエステル結合されたアセチル基を示す(ただし、平均して各繰り返し構造単位においてR1、R2、R3、R4の少なくとも2個以上がアセチル基を示す)。R5は水素原子又はアルカリ金属を示す。kは2以上の数を示す。
【0018】
上記式(II)において、R1〜R4のうちの1つがアセチル基である場合をアセチル化度1とすると、本発明ではアセチル化度が2〜4のアセチル化ヒアルロン酸が好ましく用いられる。
また、本発明に用いられるアセチル化ヒアルロン酸の分子量は、ヒアルロン酸換算で1万〜100万程度が好ましい。
【0019】
本発明に用いられるアセチル化ヒアルロン酸又はその塩類の製造方法は、例えば、粉末状のヒアルロン酸を酢酸に分散し、触媒として無水トリフルオロ酢酸を加えて反応させる方法、ヒアルロン酸を酢酸に分散し、p−トルエンスルホン酸を加えてさらに無水酢酸を加えて反応させる方法、ヒアルロン酸を無水酢酸溶媒に懸濁させた後、濃硫酸を加えて反応させる方法等が知られており(特開平6−9707号公報、特開平8−53501号公報等)、これらの方法により製造することができるが、上記例示の方法に限定されるものでない。
【0020】
本発明にかかるヘアカラー前処理用組成物において、アセチル化ヒアルロン酸又はその塩類の配合量は、0.0001〜10質量%であることが好ましい。配合量は、0.001質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることが特に好ましい。配合量が少なすぎると、染毛効果に劣ったり、毛髪へのダメージが軽減できない場合がある。また、アセチル化ヒアルロン酸又はその塩類の配合量は、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。配合量が多すぎると、粘性が上がりすぎる場合がある。
【0021】
本発明のヘアカラー前処理用組成物は、pHを7.5〜10に調整することが必要である。pHが7.5未満であると、染毛効果に劣る。pHが10を超えても、効果の顕著な向上が見られないため、好ましくない。
【0022】
本発明において、pHの調整は、1種又は2種以上のpH調整剤を用いて行うことができる。
pH調整剤としては、例えば、リン酸、硫酸、塩酸、炭酸などの無機酸やアミノ酸、クエン酸、グリコール酸、酒石酸などの有機酸のアルカリ金属塩類、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノールなどの有機アルカリ塩類等が挙げられる。
【0023】
本発明のヘアカラー前処理用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、水、タンパク質加水分解物、界面活性剤、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトールなどの保湿剤、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガムなどの粘度調整剤、低級アルコール、防腐剤等の任意成分を適宜配合することができる。
【0024】
本発明のヘアカラー前処理用組成物は、酸化染毛剤型のヘアカラーの前処理に用いることが好ましい。
また、本発明のヘアカラー前処理用組成物は、ヘアカラー前に毛髪に塗布し、手、クシ等によって、毛髪に均一に塗布した後、そのまま又は軽くすすいだ後、任意のヘアカラーを用いることができる。本発明のヘアカラー前処理用組成物は、塗布後、そのまま任意のヘアカラーを用いることが好ましい。
【実施例】
【0025】
本発明について、以下に実施例を挙げてさらに詳述するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。配合量は特記しない限り、その成分が配合される系に対する質量%で示す。
実施例の説明に先立ち本発明で用いた試験の評価方法について説明する。
【0026】
評価(1):色差
処理前後の毛髪(乾燥状態)の色差を、色差計CM−3600(ミノルタ社製)を用いて測定を行った。
【0027】
評価(2):水分保持率
染色した毛束を80%RH下で12時間放置した後、重量(W1)をカールフィッシャー水分計(三菱化学社製)で測定した。そして、同じ毛束を2時間減圧乾燥した後、重量(W2)を同様に測定した。これらの測定値を用い、下記式より水分保持率を算出した。
水分保持率(%)=(W1−W2)×100/W1
【0028】
まず、本発明者らは、下記表1に示す配合組成で、常法により酸化染毛剤型のヘアカラーを製造し、下記表2に示す配合組成で、ヘアカラー前処理用組成物を製造した。
そして、黒色毛束1gを水で濡らした後(試験例1−0)、もしくは、黒色毛束1gに試験例1−1〜1−5の前処理用組成物0.3gを塗布した後、ヘアカラー3gを塗布し、20分放置することで染毛した。そして、上記評価方法(1)で評価を行った。結果を表2に示す。
以下の試験例において、ヘアカラーはいずれも、使用直前に第1剤と第2剤を1:1で(各1.5gを)混合したものを使用した。
なお、表1記載のヘアカラーのpH(第1剤および第2剤混合時)は10であった。
【0029】
(表1)
・第1剤
セトステアリルアルコール 7.0 質量%
ポリオキシエチレンセチルエーテル 3.0
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 1.5
パラフィン 2.0
無水亜硫酸ナトリウム 0.2
パラフェニレンジアミン 0.3
レゾルシン 0.3
メタアミノフェノール 0.005
5−アミノオルトクレゾール 0.005
アンモニア 5.0
pH調整剤 適 量
精製水 残 量
・第2剤
35%過酸化水素水 16.5 質量%
セトステアリルアルコール 3.0
ポリオキシエチレンセチルエーテル 2.0
エデト酸四ナトリウム 0.02
精製水 残 量
【0030】
【表2】
【0031】
表2によると、ヘアカラー前処理用組成物にポリオキシエチレン(10)オレイルエーテルリン酸を含むと、色差が大きくなり、染毛効果が向上することがわかった。
また、ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテルリン酸を多く配合した試験例1−5の試料は、その配合量が少ない試験例1−1〜1−4の試料よりも色差が小さいことがわかった。
【0032】
次に、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸を含み、pHを変化させたヘアカラー前処理用組成物を用いて、ヘアカラー時の染毛効果について検討を行った。
本発明者らは、上記表1に示す配合組成で、常法により酸化染毛剤型のヘアカラーを製造し、下記表3に示す配合組成で、ヘアカラー前処理用組成物を製造した。そして、黒色毛束1gに前処理用組成物0.3gを塗布した後、ヘアカラー3gを塗布し、20分放置することで染毛した。そして、上記評価方法(1)で評価を行った。結果を表3に示す。
【0033】
【表3】
【0034】
表3によると、ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテルリン酸を含む前処理用組成物のpHを上げるにつれて、色差が大きくなることがわかった。特にpHが7.5以上の場合に、顕著な染毛効果が認められた。
試験例2−4と2−8を比較すると、同じpHでは、ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテルリン酸の配合量が多い方が、若干染毛効果が高いことがわかった。
また、前処理用組成物にポリオキシエチレン(3)オレイルエーテルリン酸を含み、pHを8に調整した試験例2−9の試料も、色差が大きいことがわかった。
一方、試験例2−10および2−11によると、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸を含まず、pHの高い水溶液を前処理用組成物として塗布しても、顕著な色差の向上は見られなかった。
以上のことから、本発明のヘアカラー前処理用組成物は、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸を含み、pHが7.5〜10であることが必要である。
【0035】
次に、さらなる成分の配合について検討を行った。
本発明者らは、上記表1に示す配合組成で、常法により酸化染毛剤型のヘアカラーを製造し、下記表4に示す配合組成で、ヘアカラー前処理用組成物を製造した。そして、黒色毛束1gに前処理用組成物0.3gを塗布した後、ヘアカラー3gを塗布し、20分放置することで染毛した。そして、上記評価方法(1)および(2)で評価を行った。結果を表4に示す。
【0036】
【表4】
【0037】
表4によると、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸を含み、pH8である試験例2−4の試料に、アセチル化ヒアルロン酸を加えると、色差がさらに大きくなることがわかった。また、水分保持率も上昇することから、毛髪へのダメージを軽減できることがわかった。
また、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸を含み、pH8である試験例2−4の試料に、ヒアルロン酸ナトリウムを加えた場合(試験例3−4)も、色差が大きく、水分保持率も上昇した。しかし、アセチル化ヒアルロン酸を加えた場合に比べると、効果が小さかった。
したがって、本発明のヘアカラー前処理用組成物は、アセチル化ヒアルロン酸又はその塩類を含むことも必要である。
【0038】
次に、ヘアカラー前処理用組成物の使用方法による効果の相違について検討を行った。
本発明者らは、上記表4と同様、試験例3−2の前処理用組成物および表1のヘアカラーを用いて、常法および方法X(塗布の順番を変えた方法)にて、黒色毛束の処理を行った。そして、上記評価方法(1)で評価を行った。結果を表5に示す。
なお、常法とは、黒色毛束1gに前処理用組成物0.3gを塗布した後、ヘアカラー3gを塗布し、20分放置後に洗浄することで染毛処理を行う方法である。
また、方法Xとは、黒色毛束1gにヘアカラー3gを塗布した後、前処理用組成物0.3gを塗布し、20分放置後に洗浄することで染毛処理を行う方法である。
【0039】
【表5】
【0040】
試験例3−2’によると、ヘアカラー塗布後に本発明の前処理用組成物を塗布しても、前処理しない場合(試験例3−0)と同じ色差であり、染毛効果の向上は認められなかった。
このことから、本発明のヘアカラー用前処理用組成物は、ヘアカラーの前に用いることが必要である。
【0041】
次に、本発明者らは、前処理用組成物の有効成分を、ヘアカラーに配合した場合の効果の相違について検討を行った。
本発明者らは、上記表1および下記表6に示す配合組成で、常法により酸化染毛剤型のヘアカラーを製造し、下記表7に示す配合組成で、ヘアカラー前処理用組成物を製造した。なお、表6記載のヘアカラーのpH(第1剤および第2剤混合時)は10であった。
そして、上記の常法もしくは前処理なしで染毛処理した。そして、上記評価方法(1)で評価を行った。結果を表7に示す。
【0042】
(表6)
・第1剤
ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテルリン酸 0.36 質量%
アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム 0.018
セトステアリルアルコール 7.0
ポリオキシエチレンセチルエーテル 3.0
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 1.5
パラフィン 2.0
無水亜硫酸ナトリウム 0.2
パラフェニレンジアミン 0.3
レゾルシン 0.3
メタアミノフェノール 0.005
5−アミノオルトクレゾール 0.005
アンモニア 5.0
pH調整剤 適 量
精製水 残 量
・第2剤
35%過酸化水素水 16.5 質量%
セトステアリルアルコール 3.0
ポリオキシエチレンセチルエーテル 2.0
エデト酸四ナトリウム 0.02
精製水 残 量
【0043】
【表7】
【0044】
試験例3−2との前処理用組成物と同量の有効成分を、ヘアカラーとして黒色毛束に塗布した試験例3−2’’は、有効成分の入っていないヘアカラーを塗布した試験例3−0と、それほど色差が変わらなかった。
このため、本発明の有効成分は、ヘアカラーに配合するのではなく、ヘアカラー前処理用組成物として、ヘアカラーの前に塗布することで、優れた染毛効果を発揮できることが明らかになった。
【0045】
以下に、本発明のヘアカラー前処理用組成物の処方例を挙げる。本発明はこの処方例によって限定されるものではない。
【0046】
処方例1 ヘアカラー前処理用液状組成物
ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテルリン酸 2.0 質量%
アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
アルギニン 0.4
加水分解コムギタンパク質 0.1
エチルパラベン 0.2
メチルパラベン 0.1
フェノキシエタノール 0.1
精製水 残 量
(製造方法)
各成分を室温で攪拌混合し、均一化を行い、製造する。
【0047】
処方例2 ヘアカラー前処理用乳液状組成物
ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテルリン酸 2.0 質量%
アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
アルギニン 0.4
加水分解コムギタンパク質 0.1
ミネラルオイル 1.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5
エチルパラベン 0.2
メチルパラベン 0.1
フェノキシエタノール 0.1
カルボマー 0.05
水酸化ナトリウム 適 量
精製水 残 量
(製造方法)
水溶性成分を水に溶解させ、油と界面活性剤を加えて、ホモミキサーで乳化処理を行い、乳液状組成物を製造する。