【実施例】
【0025】
本発明について、以下に実施例を挙げてさらに詳述するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。配合量は特記しない限り、その成分が配合される系に対する質量%で示す。
実施例の説明に先立ち本発明で用いた試験の評価方法について説明する。
【0026】
評価(1):色差
処理前後の毛髪(乾燥状態)の色差を、色差計CM−3600(ミノルタ社製)を用いて測定を行った。
【0027】
評価(2):水分保持率
染色した毛束を80%RH下で12時間放置した後、重量(W1)をカールフィッシャー水分計(三菱化学社製)で測定した。そして、同じ毛束を2時間減圧乾燥した後、重量(W2)を同様に測定した。これらの測定値を用い、下記式より水分保持率を算出した。
水分保持率(%)=(W1−W2)×100/W1
【0028】
まず、本発明者らは、下記表1に示す配合組成で、常法により酸化染毛剤型のヘアカラーを製造し、下記表2に示す配合組成で、ヘアカラー前処理用組成物を製造した。
そして、黒色毛束1gを水で濡らした後(試験例1−0)、もしくは、黒色毛束1gに試験例1−1〜1−5の前処理用組成物0.3gを塗布した後、ヘアカラー3gを塗布し、20分放置することで染毛した。そして、上記評価方法(1)で評価を行った。結果を表2に示す。
以下の試験例において、ヘアカラーはいずれも、使用直前に第1剤と第2剤を1:1で(各1.5gを)混合したものを使用した。
なお、表1記載のヘアカラーのpH(第1剤および第2剤混合時)は10であった。
【0029】
(表1)
・第1剤
セトステアリルアルコール 7.0 質量%
ポリオキシエチレンセチルエーテル 3.0
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 1.5
パラフィン 2.0
無水亜硫酸ナトリウム 0.2
パラフェニレンジアミン 0.3
レゾルシン 0.3
メタアミノフェノール 0.005
5−アミノオルトクレゾール 0.005
アンモニア 5.0
pH調整剤 適 量
精製水 残 量
・第2剤
35%過酸化水素水 16.5 質量%
セトステアリルアルコール 3.0
ポリオキシエチレンセチルエーテル 2.0
エデト酸四ナトリウム 0.02
精製水 残 量
【0030】
【表2】
【0031】
表2によると、ヘアカラー前処理用組成物にポリオキシエチレン(10)オレイルエーテルリン酸を含むと、色差が大きくなり、染毛効果が向上することがわかった。
また、ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテルリン酸を多く配合した試験例1−5の試料は、その配合量が少ない試験例1−1〜1−4の試料よりも色差が小さいことがわかった。
【0032】
次に、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸を含み、pHを変化させたヘアカラー前処理用組成物を用いて、ヘアカラー時の染毛効果について検討を行った。
本発明者らは、上記表1に示す配合組成で、常法により酸化染毛剤型のヘアカラーを製造し、下記表3に示す配合組成で、ヘアカラー前処理用組成物を製造した。そして、黒色毛束1gに前処理用組成物0.3gを塗布した後、ヘアカラー3gを塗布し、20分放置することで染毛した。そして、上記評価方法(1)で評価を行った。結果を表3に示す。
【0033】
【表3】
【0034】
表3によると、ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテルリン酸を含む前処理用組成物のpHを上げるにつれて、色差が大きくなることがわかった。特にpHが7.5以上の場合に、顕著な染毛効果が認められた。
試験例2−4と2−8を比較すると、同じpHでは、ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテルリン酸の配合量が多い方が、若干染毛効果が高いことがわかった。
また、前処理用組成物にポリオキシエチレン(3)オレイルエーテルリン酸を含み、pHを8に調整した試験例2−9の試料も、色差が大きいことがわかった。
一方、試験例2−10および2−11によると、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸を含まず、pHの高い水溶液を前処理用組成物として塗布しても、顕著な色差の向上は見られなかった。
以上のことから、本発明のヘアカラー前処理用組成物は、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸を含み、pHが7.5〜10であることが必要である。
【0035】
次に、さらなる成分の配合について検討を行った。
本発明者らは、上記表1に示す配合組成で、常法により酸化染毛剤型のヘアカラーを製造し、下記表4に示す配合組成で、ヘアカラー前処理用組成物を製造した。そして、黒色毛束1gに前処理用組成物0.3gを塗布した後、ヘアカラー3gを塗布し、20分放置することで染毛した。そして、上記評価方法(1)および(2)で評価を行った。結果を表4に示す。
【0036】
【表4】
【0037】
表4によると、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸を含み、pH8である試験例2−4の試料に、アセチル化ヒアルロン酸を加えると、色差がさらに大きくなることがわかった。また、水分保持率も上昇することから、毛髪へのダメージを軽減できることがわかった。
また、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸を含み、pH8である試験例2−4の試料に、ヒアルロン酸ナトリウムを加えた場合(試験例3−4)も、色差が大きく、水分保持率も上昇した。しかし、アセチル化ヒアルロン酸を加えた場合に比べると、効果が小さかった。
したがって、本発明のヘアカラー前処理用組成物は、アセチル化ヒアルロン酸又はその塩類を含むことも必要である。
【0038】
次に、ヘアカラー前処理用組成物の使用方法による効果の相違について検討を行った。
本発明者らは、上記表4と同様、試験例3−2の前処理用組成物および表1のヘアカラーを用いて、常法および方法X(塗布の順番を変えた方法)にて、黒色毛束の処理を行った。そして、上記評価方法(1)で評価を行った。結果を表5に示す。
なお、常法とは、黒色毛束1gに前処理用組成物0.3gを塗布した後、ヘアカラー3gを塗布し、20分放置後に洗浄することで染毛処理を行う方法である。
また、方法Xとは、黒色毛束1gにヘアカラー3gを塗布した後、前処理用組成物0.3gを塗布し、20分放置後に洗浄することで染毛処理を行う方法である。
【0039】
【表5】
【0040】
試験例3−2’によると、ヘアカラー塗布後に本発明の前処理用組成物を塗布しても、前処理しない場合(試験例3−0)と同じ色差であり、染毛効果の向上は認められなかった。
このことから、本発明のヘアカラー用前処理用組成物は、ヘアカラーの前に用いることが必要である。
【0041】
次に、本発明者らは、前処理用組成物の有効成分を、ヘアカラーに配合した場合の効果の相違について検討を行った。
本発明者らは、上記表1および下記表6に示す配合組成で、常法により酸化染毛剤型のヘアカラーを製造し、下記表7に示す配合組成で、ヘアカラー前処理用組成物を製造した。なお、表6記載のヘアカラーのpH(第1剤および第2剤混合時)は10であった。
そして、上記の常法もしくは前処理なしで染毛処理した。そして、上記評価方法(1)で評価を行った。結果を表7に示す。
【0042】
(表6)
・第1剤
ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテルリン酸 0.36 質量%
アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム 0.018
セトステアリルアルコール 7.0
ポリオキシエチレンセチルエーテル 3.0
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 1.5
パラフィン 2.0
無水亜硫酸ナトリウム 0.2
パラフェニレンジアミン 0.3
レゾルシン 0.3
メタアミノフェノール 0.005
5−アミノオルトクレゾール 0.005
アンモニア 5.0
pH調整剤 適 量
精製水 残 量
・第2剤
35%過酸化水素水 16.5 質量%
セトステアリルアルコール 3.0
ポリオキシエチレンセチルエーテル 2.0
エデト酸四ナトリウム 0.02
精製水 残 量
【0043】
【表7】
【0044】
試験例3−2との前処理用組成物と同量の有効成分を、ヘアカラーとして黒色毛束に塗布した試験例3−2’’は、有効成分の入っていないヘアカラーを塗布した試験例3−0と、それほど色差が変わらなかった。
このため、本発明の有効成分は、ヘアカラーに配合するのではなく、ヘアカラー前処理用組成物として、ヘアカラーの前に塗布することで、優れた染毛効果を発揮できることが明らかになった。
【0045】
以下に、本発明のヘアカラー前処理用組成物の処方例を挙げる。本発明はこの処方例によって限定されるものではない。
【0046】
処方例1 ヘアカラー前処理用液状組成物
ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテルリン酸 2.0 質量%
アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
アルギニン 0.4
加水分解コムギタンパク質 0.1
エチルパラベン 0.2
メチルパラベン 0.1
フェノキシエタノール 0.1
精製水 残 量
(製造方法)
各成分を室温で攪拌混合し、均一化を行い、製造する。
【0047】
処方例2 ヘアカラー前処理用乳液状組成物
ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテルリン酸 2.0 質量%
アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
アルギニン 0.4
加水分解コムギタンパク質 0.1
ミネラルオイル 1.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5
エチルパラベン 0.2
メチルパラベン 0.1
フェノキシエタノール 0.1
カルボマー 0.05
水酸化ナトリウム 適 量
精製水 残 量
(製造方法)
水溶性成分を水に溶解させ、油と界面活性剤を加えて、ホモミキサーで乳化処理を行い、乳液状組成物を製造する。