(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記非現金支払い管理装置は、利用者の位置情報を蓄積し日常の移動経路を検出する利用者経路検出手段と、非現金支払い可能な施設および現金出し入れ可能な施設に関する情報を含む地図情報を記憶した地図情報記憶手段と、前記地図情報記憶手段に記憶された前記地図情報と前記利用者経路検出手段により検出した利用者の経路情報に基づいて、前記非現金支払い可能な施設および前記現金出し入れ可能な施設に関する情報を検出し提供する施設特定手段とをさらに備える請求項1記載の非現金支払い管理装置。
前記非現金支払い金額判定手段は、前記非現金支払い情報取得手段により取得した情報に基づいて、前記所定の期間における前記累積的な非現金支払い金額が前記第1の所定の金額を上回る第2の所定の金額を超えたか否かを判定し、
前記非現金支払い管理装置は、前記所定の期間において、前記非現金支払い金額判定手段によって前記累積的な非現金支払い金額が前記第2の所定の金額を超えたと判定された場合、前記非現金支払いの形態による支払いを制限する非現金支払い制限手段をさらに備える請求項1記載の非現金支払い管理装置。
前記現金支払い情報取得手段により取得した情報と非現金支払い情報取得手段により取得した情報に基づいて、現金の引き出し、非現金支払いの明細に関する情報を提供するための情報を供給する明細情報提供手段とをさらに備える請求項1記載の非現金支払い管理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方で、従来のクレジットカードまたはポストペイ型電子マネーによる後払いの方式のキャッシュレスシステムは、現時点では現金が不足していても、入金予定に合わせて買い物が可能であり非常に便利である。しかしながら、利用者に衝動買いを誘発しかねず、使ったという実感が残りにくいため、個々の金額はたいしたことはなくとも合計金額が予期せぬ高額に達することがある。最悪、決済不能などのトラブルが発生する虞もある。
【0007】
このように、キャッシュレスシステムの利便性は高いが、キャッシュレスシステムの利用を促進するためには、過度な利用を抑制する対策も同時に構築する必要がある。すなわち、利用者のキャッシュレスシステムの利用を促進しながらも、同時に後払い方式のキャッシュレスシステムにおいて生じやすいリスクを軽減することが必要となっている。
【0008】
本発明は上述の課題を考慮してなされたものであり、後払い方式のキャッシュレスシステムの過度な利用を防止しつつ、現金を使わない生活をめざすために、現金支払いに対する非現金支払いの比重を高めることができる、非現金支払い管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の課題を解決するため、本発明による非現金支払い管理装置および非現金支払い管理方法は、次のような特徴的な構成を採用している。
【0010】
(1)本発明の第1の態様によると、現金による支払いに関する情報を取得する現金支払い情報取得手段と、クレジットカードおよびポストペイ型電子マネーにより支払われた非現金支払い情報を取得する非現金支払い情報取得手段と、前記非現金支払い情報取得手段により取得した情報に基づいて、所定の期間における前記非現金支払いの形態による累積的な非現金支払い金額が第1の所定の金額を超えたか否かを判定する非現金支払い金額判定手段と、前記所定の期間において、前記非現金支払い金額判定手段によって前記非現金支払い金額が前記第1の所定の金額を超えていないと判定された場合、前記現金支払い情報取得手段により取得した情報に基づいて前記所定の期間における累積的な現金支払い金額を算出し、算出した前記累積的な現金支払い金額に対する前記累積的な非現金支払い金額との比が所定の値を超えたか否かを判定する利用比率判定手段と、前記利用比率判定手段により、前記所定の期間において、前記累積的な現金支払い金額に対する前記累積的な非現金支払い金額の比が前記所定の値より大きいと判定された場合は、その値に応じて所定のポイントを金融機関の利用者に割り当てるポイント割当手段と、前記所定の期間において、前記非現金支払い金額判定手段によって前記累積的な非現金支払い金額が前記第1の所定の金額を超えたと判定された場合、前記利用者に注意を促す情報を提供する注意情報提供手段とを備える非現金支払い管理装置が提供される。
【0011】
この構成により、本発明に係る非現金支払い管理装置は、所定の期間におけるクレジットカードやポストペイ型電子マネーのような後払い方式による非現金支払いが第1の所定の金額を超えていないか否かを常時判定しながら、超えていないと判定したときに、非現金支払いの金額の現金支払いによる金額に対する比率が所定の比率を上回ったか否かを判定して、上回っていると判定したときにポイントを付与するようにしている。第1の所定の金額とは、例えば、利用者がそれを超えれば要注意と考える注意金額であり、この注意金額の範囲内(適切な範囲内)で非現金支払いの比重を高めるように誘導する。したがって、現金の使用を減らし、かつ、後払い方式のキャッシュレスシステムの過度な利用を防止しつつ、非現金支払いの比重を高めることができる。
【0012】
ここで、「非現金支払い」とは、クレジットカードおよびポストペイ型電子マネーによる後払いによる支払いを意味するが、それに対し、「現金支払い」とは、いわゆる現金による支払いの他、デビットカードやプリペイド型電子マネーによる支払いを含む。デビットカードは、支払いと同時に銀行口座からただちに代金の引き落としが行われるので、その場で銀行口座から現金を引き出して支払うのと同等であり、また、プリペイド型電子マネーカードは、カードにチャージする際に現金で購入するので、「現金支払い」の一種と考えられるからである。すなわち、デビットカードやプリベイド型電子マネーは、キャッシュレスシステムの一部ではあるが、後述する実施形態では、「現金支払い」に含まれることに注意されたい。
【0013】
(2)本発明の第2の態様によると、上述の非現金支払い管理装置は、利用者の位置情報を蓄積し日常の移動経路を検出する利用者経路検出手段と、非現金支払い可能な施設および現金出し入れ可能な施設に関する情報を含む地図情報を記憶した地図情報記憶手段と、前記地図情報記憶手段に記憶された前記地図情報と前記利用者経路検出手段により検出した利用者の経路情報に基づいて、前記非現金支払い可能な施設および前記現金出し入れ可能な施設に関する情報を検出し提供する施設特定手段とをさらに備えることができる。
【0014】
この構成により、本発明に係る非現金支払い管理装置は、利用者の位置を継続的に取得することにより日常的に利用する経路を検出する。そして利用者が利用する経路の付近に設けられた非現金支払い可能な施設、すなわち、小売店、飲食店、コンビニエンスストアなど、および現金を出し入れするため、または情報取得のため、ATMやデビットカード利用可能な施設の場所を検出することができる。したがって、この情報を利用者に経路情報に関連させて提供することによってキャッシュレスシステム全体の利便性を高めることができる。
【0015】
(3)本発明の第3の態様によると、上述の非現金支払い管理装置はさらに、前記非現金支払い金額判定手段は、前記非現金支払い情報取得手段により取得した情報に基づいて、前記所定の期間における前記累積的な非現金支払い金額が前記第1の所定の金額を上回る第2の所定の金額を超えたか否かを判定し、前記非現金支払い管理装置は、前記所定の期間において、前記非現金支払い金額判定手段によって前記累積的な非現金支払い金額が前記第2の所定の金額を超えたと判定された場合、前記非現金支払いの形態による支払いを制限する非現金支払い制限手段をさらに備えることができる。
【0016】
この構成により、本発明に係る非現金支払い管理装置は、所定の期間における現金以外の支払い形態による非現金支払いによる支払いが第2の所定の金額(利用限度額)を超えた場合、直ちに非現金支払いによる支払いを停止することができる。したがって、後払いの非現金支払いの過度な利用を防止することができる。また、この第2の所定の金額を、例えば、金融機関の預金残高以下とすれば、非現金支払いによる支払いが預金残高を超えることを防止できる。
【0017】
(4)本発明の第4の態様によると、上述の非現金支払い管理装置はさらに、前記現金支払い情報取得手段により取得した情報と非現金支払い情報取得手段により取得した情報に基づいて、現金の引き出し、非現金支払いの明細に関する情報を提供するための情報を供給する明細情報提供手段とを備えることができる。
【0018】
この構成により、本発明に係る非現金支払い管理装置は、例えば、利用者の要求に応じて、キャッシュレスによる支払いの明細の情報を正確に提供することができる。キャッシュレスによる支払いの利便性が高まるので、キャッシュレスシステムの利用頻度を高めることができる。
【0019】
(5)本発明の第5の態様によると、現金による支払いに関する情報を取得する現金支払い情報取得ステップと、クレジットカードおよびポストペイ型電子マネーにより支払われた非現金支払い情報を取得する非現金支払い情報取得ステップと、前記非現金支払い情報取得ステップにより取得した情報に基づいて、所定の期間における前記非現金支払いの形態による累積的な非現金支払い金額が第1の所定の金額を超えたか否かを判定する非現金支払い金額判定ステップと、前記所定の期間において、前記非現金支払い金額判定ステップによって前記非現金支払い金額が前記第1の所定の金額を超えていないと判定された場合、前記現金支払い情報取得ステップにより取得した情報に基づいて前記所定の期間における累積的な現金支払い金額を算出し、算出した前記累積的な現金支払い金額に対する前記累積的な非現金支払い金額との比が所定の値を超えたか否かを判定する利用比率判定ステップと、前記利用比率判定ステップにより、前記所定の期間において、前記累積的な現金支払い金額に対する前記累積的な非現金支払い金額の比が前記所定の値より大きいと判定された場合は、その値に応じて所定のポイントを金融機関の利用者に割り当てるポイント割当ステップと、前記所定の期間において、前記非現金支払い金額判定ステップによって前記累積的な非現金支払い金額が前記第1の所定の金額を超えたと判定された場合、前記利用者に注意を促す情報を提供する注意情報提供ステップとを、
コンピュータに実行させるプログラムが提供される。
【0020】
この構成により、本発明に係る非現金支払い管理方法は、所定の期間における現金以外の支払い形態による非現金支払い、すなわち、後払いによる支払いが所定の金額を超えていないか否かを常時判定しながら、超えていないと判定したときに、非現金支払いの金額の現金支払いによる金額に対する比率が所定の比率を上回ったか否かを判定して、上回っていると判定したときにポイントを付与するようにしている。したがって、後払いの過度な利用を防止することを前提として、その比重を高めるように誘導するので、利用者が危惧する後払いの過度な利用を防止しつつ、現金支払いに対する非現金支払いの比重を高めることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の非現金支払い管理装置および非現金支払い管理方法によれば、現金の使用を減らし、かつ、後払いキャッシュレスシステムの過度な利用を防止しつつ、非現金支払いの比重を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明による非現金支払い管理装置(以下、「管理装置」と呼ぶ)の好適な実施形態について添付図を参照して説明する。なお、かかる管理装置をコンピュータにより実行可能な管理プログラムとして実施するようにしてもよいし、あるいは、管理プログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録するようにしてもよいことはいうまでもない。
【0024】
<キャッシュレスシステムの構成例>
図1は、本発明の一実施形態に係る管理装置を含む、キャッシュレスシステムの一構成例を示す図である。
【0025】
図1に示すキャッシュレスシステムは、クレジットカード12、電子マネーカード22、キャッシュカード42、クレジットカード端末11、電子マネー端末21、デビットカード端末31、ATM41、クレジット管理用サーバ10、電子マネー管理用サーバ20、デビット管理用サーバ30、金融機関サーバ40、本発明の一実施形態に係る管理装置50、およびネットワーク60を含んで構成されている。
【0026】
クレジットカード12、および電子マネーカード22は、利用者が各種支払のために携帯して使用するカードであり、キャッシュカード42は、利用者が現金を引き出すために携帯して使用するカードである。また、キャッシュカード42は、デビットカードとして用いることで支払いを行うこともできる。
【0027】
クレジット管理用サーバ10は、利用者の金融機関の口座を管理する金融機関サーバ40と連動してクレジットによる支払い処理を実行する。クレジットカード端末11は、クレジットカード12を使用した支払いを受け付ける端末で、クレジットカード12に記憶された利用者を識別する情報と口座に関する情報などを読み取り、必要に応じて当該支払情報と利用者の操作情報とをクレジット管理用サーバ10と図示せぬ専用回線を通じて通信を行い、利用者のクレジットカードによる支払い処理を実行させる。
【0028】
電子マネー管理用サーバ20は、利用者の金融機関の口座を管理する金融機関サーバ40と連動してポストペイ型電子マネーによる支払い処理を実行する。電子マネー端末21は、ポストペイ型電子マネーカード22(以下、単に電子マネーカード22)を使用した支払いを受け付ける端末で、電子マネーカード22に記憶された利用者を識別する情報と口座に関する情報などを読み取り、必要に応じて当該支払情報と利用者の操作情報とを電子マネー管理用サーバ20と図示せぬ専用回線を通じて通信を行い、利用者の電子マネーによる支払い処理を実行させる。
【0029】
デビット管理用サーバ30は、利用者の金融機関の口座を管理する金融機関サーバ40と連動してデビットカードによる支払い処理を実行する。デビットカード端末31は、キャッシュカード42を使用した支払いを受け付ける端末で、キャッシュカード42に記憶された利用者を識別する情報と口座に関する情報などを読み取り、必要に応じて当該支払情報と利用者の操作情報とを支払情報をデビット管理用サーバ30と図示せぬ専用回線を通じて通信を行い、利用者のデビットカードによる支払い処理を実行させる。
【0030】
金融機関サーバ40は、利用者の金融機関の口座を管理するサーバで、利用者を識別する情報と、残高、入金、出金などを含む、利用者の口座に関わるあらゆる情報を管理し、利用者の要求に応じて入金、出金などの処理を、ATM41やインターネットバンキングにおいて実行させる。
【0031】
ATM41は、金融機関サーバ40が管理する口座と連動して利用者がキャッシュカード42を使用して現金を引き出すための端末で、金融機関サーバ40と図示せぬ専用回線を通じて通信を行い、キャッシュカード42に記憶された利用者を識別する情報と口座に関する情報などを読み取り、必要に応じて利用者の操作情報と位置情報と支払情報とを金融機関サーバ40に送信する、現金の引き出し処理を実行する。
【0032】
管理装置50は、クレジットカード12、電子マネーカード22、およびキャッシュカード42(デビットカード)を使用した支払の情報と利用者を特定する情報を、クレジット管理用サーバ10、電子マネー管理用サーバ20、およびデビット管理用サーバ30からリアルタイムで取得でき、また、利用者の現金引出明細を金融機関サーバ40から取得でき、必要に応じて利用者へのポイント付与を、各サーバに対して依頼することができる装置である。
【0033】
ネットワーク60は、専用回線、あるいは、インターネット等の広域ネットワーク上に構築されたVPN(Virtual Private Network)回線等で構成される。
【0034】
<本実施形態の概要>
利用者は、金融機関サーバ40が管理する金融機関に口座を有し、その口座からクレジットカード12またはポストペイ型電子マネーカード22(以下、特に断らない限り、単に電子マネーカード22と呼ぶ)を利用して、非現金支払いを行う。また、利用者は、キャッシュカード42を利用して、ATM41で現金を引き出し、現金支払いを行ったり、キャッシュカード42をデビットカードとして使用し、現金支払いに準じた支払を行う。
【0035】
本実施形態では、説明を容易にするため、利用者の現金による支払いは、ATM41または銀行窓口で引出した現金およびデビットカードの利用金額の合計と一致するものとして説明を進める。すなわち、金融機関サーバ40が管理する金融機関の口座から引出された金額とデビットカードの利用金額を利用者の現金による支払いの金額とみなす。クレジットカード12、電子マネーカード22、キャッシュカード42(デビットカード)は、すべて金融機関サーバ40が管理する金融機関の口座から引落を行うものとし、管理装置50は、その金融機関からの情報に基づいて利用者の現金による支払いと現金を使わない支払いの状況を管理する。
【0036】
管理装置50は、利用者の現金引出と現金以外の支払いを監視し、現金支払いに対する非現金支払いの比率に基づいてポイントを与える一方、現金以外の支払いに上限を定めて、上限を超えたらポイントの付与を停止する、警告を発する、現金以外の支払いを停止するなどして、キャッシュレス支払処理を制御する。キャッシュレス支払処理の詳細については後述する。このようにして、現金支払いに対する非現金支払いの比重を高めるとともに、利用者が危惧する非現金支払い(後払い)の過度な利用を防止することができる。
【0037】
<管理装置の構成例>
本実施形態において管理装置50は、
図1に示すように、主制御部51と、通信部52と、記憶部53と、を備える。記憶部53は、図示しないROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクなどからなり、各種支払い処理などを実行するために必要なプログラムとデータを記憶する。通信部52は、ネットワーク60を介して各種の通信を行う。主制御部51の機能は、図示しないCPUが記憶部53に記憶された各種プログラムとデータを読み込んで実現される。
【0038】
主制御部51は、利用者の現金引出と現金以外の支払いを監視し、その比率に基づいてポイントを与える一方、現金以外の支払いに上限を定めて、上限を超えたら支払いを停止するキャッシュレス支払処理を制御する。キャッシュレス支払処理の詳細については後述する。
【0039】
管理装置50は、通信部52とネットワーク60を介して、クレジットカード12、電子マネーカード22、およびキャッシュカード42を使用した支払の情報と利用者を特定する情報をクレジット管理用サーバ10、電子マネー管理用サーバ20、およびデビット管理用サーバ30からリアルタイムで取得でき、必要な場合は、当該支払の停止を金融機関サーバ40、あるいは、クレジット管理用サーバ10、電子マネー管理用サーバ20、およびデビット管理用サーバ30に対して依頼する。
【0040】
また、管理装置50は、通信部52とネットワーク60を介して、利用者の現金引出明細を金融機関サーバ40から取得でき、必要に応じて利用者へのポイント付与を、金融機関サーバ40、あるいは、クレジット管理用サーバ10、電子マネー管理用サーバ20、およびデビット管理用サーバ30に対して依頼する。
【0041】
管理装置50は、利用者の金融機関の口座を管理する金融機関サーバ40に設置してもよいし、クレジット管理用サーバ10、電子マネー管理用サーバ20、デビット管理用サーバ30、金融機関サーバ40と独立した第3者機関として設置してもよいし、上記いずれかの会社に設置してもよい。
【0042】
利用者がクレジットカード12を利用して支払いの決済を行う場合は、小売店、飲食店、コンビニエンスストアなど、所定の場所に設けられたクレジットカード端末11を介して、金融機関が管理するクレジット管理用サーバ10との間でその処理は行われる。クレジット管理用サーバ10は、金融機関サーバ40と通信して利用者が有する口座を特定し、キャッシュレスの支払いを行う。利用者と、支払いが行われた日付、場所、内訳などの明細に関する情報は、クレジット管理用サーバ10からネットワーク60を介して管理装置50に送られ、管理装置の記憶部53に記憶される。
【0043】
利用者が電子マネーカード22を利用して支払いの決済を行う場合は、小売店、飲食店、コンビニエンスストアなど、所定の場所に設けられた電子マネー端末21を介して、金融機関が管理する電子マネー管理用サーバ20との間でその処理は行われる。電子マネー管理用サーバ20は、金融機関サーバ40と通信して利用者が有する口座を特定し、キャッシュレスの支払いを行う。利用者と、支払いが行われた日付、場所、内訳などの明細に関する情報は、電子マネー管理用サーバ20からネットワーク60を介して管理装置50に送られ、管理装置の記憶部53に記憶される。
【0044】
利用者がデビットカード(キャッシュカード42をそのまま利用する場合と、専用のカードが発行される場合がある)で支払いの決済を行う場合は、小売店、飲食店、コンビニエンスストアなど、所定の場所に設けられたデビットカード端末31を介して、金融機関が管理するデビット管理用サーバ30との間でその処理は行われる。デビット管理用サーバ30は、金融機関サーバ40と通信して利用者が有する口座を特定し、デビットカードによる支払いを行う。利用者と、支払いが行われた日付、場所、内訳などの明細に関する情報は、デビット管理用サーバ30からネットワーク60を介して管理装置50に送られ、管理装置の記憶部53に記憶される。
【0045】
利用者が現金を利用して支払いの決済を行う場合は、利用者は、キャッシュカード42を利用して所定の場所に設置されたATM41を操作して、現金の引落しを行う。現金の引落しの処理は、金融機関が管理する金融機関サーバ40とATM41との間で行われる。利用者と、支払いが行われた日付、場所などに関する情報は、金融機関サーバ40からネットワーク60を介して管理装置50に送られる。
【0046】
既に説明したように、本実施形態では、利用者が利用する現金は、必ず金融機関サーバ40が管理する金融機関の口座から引き出された現金であるとする。すなわち現金支払いにはすべて、金融機関の口座から引き出された現金が用いられる。具体的には、所定の期間、例えば、月ごとに、利用者がキャッシュカード42に限らず預金通帳を含む各種手段により、金融機関サーバ40が管理する金融機関の口座から引落された現金に関する情報が、所定期間における現金支払いの動向として金融機関サーバ40からネットワーク60を介して管理装置50に送られる。
【0047】
図2は、管理装置50の機能構成の一例を示す図である。
【0048】
本実施形態において、本発明に係る各種処理を実現するため、管理装置50の主制御部51は、
図2に示すように、現金支払い情報取得手段511と、非現金支払い情報取得手段512と、非現金支払い金額判定手段513と、利用比率判定手段514と、ポイント割当手段515と、注意情報提供手段516と、非現金支払い制限手段517と、明細情報提供手段518と、利用者経路検出手段519と、施設特定手段520との機能を実現し、記憶部53は、地図情報記憶手段531を構成する。
【0049】
主制御部51の制御の下に実行される、現金支払い情報取得手段511、非現金支払い情報取得手段512、非現金支払い金額判定手段513、利用比率判定手段514、ポイント割当手段515、注意情報提供手段516、非現金支払い制限手段517、明細情報提供手段518、利用者経路検出手段519、施設特定手段520、地図情報記憶手段531の機能について説明する。
【0050】
現金支払い情報取得手段511は、通信部52を介して、金融機関サーバ40から、金融機関サーバ40が管理する金融機関の口座から現金の引き出し情報、およびデビット管理用サーバ30からデビットカード利用情報を取得する。現金引き出し情報には公共料金などの口座振替の引き落とし金額も含めるようにしてもよい。取得した情報は管理装置50の記憶部53に記憶される。既に説明したように、本実施形態では、金融機関サーバ40が管理する金融機関の口座から引出された現金、およびデビット管理用サーバ30からのデビットカード利用情報が現金支払い額の計算に用いられる。すなわち、両者の合計を現金による支払い額として扱う。なお、現金によるチャージまたは現金による購入を必要とするプリペイド型電子マネーは、現金による支払いに含まれる。
【0051】
非現金支払い情報取得手段512は、通信部52を介してクレジット管理用サーバ10と、電子マネー管理用サーバ20と通信をして、金融機関サーバ40が管理する利用者の金融機関の口座から、クレジットカード、およびポストペイ型電子マネーを含む、現金以外の支払い形態により支払われた非現金支払い情報を取得する。取得した情報は管理装置50の記憶部53に記憶される。クレジットカードに利用額がオートチャージされる電子マネーカードは、ポストペイ型電子マネーカードである。このようなポストペイ型電子マネーカードは、電子マネーカードにチャージされた時点で、クレジットカード利用額(非現金支払い)にチャージ分が算入されており、この電子マネーカードを使って商品・サービスを購入した時点の情報は、非現金支払いまたは現金支払いのいずれにも算入しない。
【0052】
非現金支払い金額判定手段513は、非現金支払い情報取得手段512により取得した情報に基づいて、所定の期間、例えば、支払当月における現金以外の支払い形態による累積的な非現金支払い金額が第1の所定の金額を超えたか否かを判定する。既に説明したように、後払いによる支払い、すなわち、非現金支払いは利便性は高いが、利用者に衝動買いを誘発しかねず、予期せぬ高額な利用料金の支払いが生じたり、さらには、料金未払いなどのトラブルが発生する虞もある。
【0053】
このため、非現金による支払いを奨励するシステムに上限額を設定し、この上限額を超えた場合には、非現金による支払いを推奨する処理、例えば、後述するポイントの付与などをしないようにする必要がある。このように、本実施形態では、非現金による支払いを奨励する処理を中止する目安として、第1の所定の金額を設定することにより、非現金による支払いで生じやすいリスクを軽減するようにしている。さらに、本実施形態では、所定の期間を支払当月とし、第1の所定の金額は、利用者が設定してもよいし、あるいは金融機関が利用者の消費動向および所得に基づいて設定してもよい。なお、非現金支払い情報取得手段512が算出した所定の期間における現金以外の支払い形態による非現金支払いの累積的な合計金額は記憶部53に記憶される。
【0054】
利用比率判定手段514は、非現金支払い金額判定手段によって非現金支払い金額が第1の所定の金額を超えていないと判定された場合、現金支払い情報取得手段により取得した情報に基づいて所定の期間、本実施形態では、支払当月における累積的な現金引出金額を算出し、算出した現金引出金額に対する非現金支払い情報取得手段により取得された累積的な非現金支払い金額との比が所定の値を超えたか否かを判定する。なお、利用比率判定手段514が算出した所定の期間における現金支払いの累積的な合計金額は記憶部53に記憶される。
【0055】
既に説明したように、後払いによる支払いは利便性が高い。非現金支払い金額判定手段513により後払いによる支払いが第1の所定の金額を超えていない、すなわち、利用者が過度な利用をしていないと判定された場合は、本実施形態の管理装置50は後払いによる支払いを奨励するようになっている。
【0056】
より具体的には、利用比率判定手段514は、現金支払い情報取得手段511により取得した情報に基づいて所定の期間、本実施形態では、支払当月における累積的な現金支払い金額を算出し、算出した現金支払い金額に対する非現金支払い情報取得手段512により取得された当該所定の期間、すなわち、支払当月における累積的な非現金支払い金額の比が所定の値を超えたか否かを判定する。
【0057】
ポイント割当手段515は、利用比率判定手段514により、所定の期間、すなわち、支払当月において、累積的な現金支払い金額に対する累積的な非現金支払い金額の比が所定の値より大きいと判定された場合は、その値に応じて所定のポイントを金融機関の利用者に割り当てる。本実施形態では比の値が所定の値を超えた場合に、その値に応じてポイントを割り当てる。ポイントの情報は、通信部52を介して、金融機関サーバ40が管理する金融機関の口座の情報に付加される。利用者には付与されたポイントに応じて、所定のサービスまたは商品の提供、現金との換金などの特典を与えることができる。
【0058】
注意情報提供手段516は通信部52を介して、所定の期間、すなわち、支払当月において、非現金支払い金額判定手段によって累積的な非現金支払い金額が第1の所定の金額を超えたと判定された場合、カードの利用者に注意を促す情報を提供する。利用者がクレジットカード端末11、電子マネー端末21、デビットカード端末31、ATM41等を利用する際に、注意情報提供手段516は、例えば、「後払いによる支払いが多くなっています。注意してください。ポイントの付与も中止します」などのメッセージの情報を、金融機関サーバ40が管理する金融機関の口座の情報に付加し、利用者がクレジットカード端末11、電子マネー端末21、デビットカード端末31またはATM41等を使用しようとする際に、そのメッセージを表示させるようにしてもよい。あるいは、利用者が所有する携帯電話またはコンピュータなどの端末に通信部52を介してそのメッセージを送信するようにしてもよい。
【0059】
既に説明した第1の所定の金額を超えても利用者は非現金による支払いを継続する可能性がある。このような場合、利用者が予期せぬ高額な利用料金の支払いが生じたり、さらには、料金未払いなどのトラブルが発生する虞もある。このため、管理装置50は、さらに第2の所定の金額を設定し、この金額を超えたら、非現金による支払い自体を不可能とするようにしている。
【0060】
より具体的には、非現金支払い金額判定手段513は、非現金支払い情報取得手段512により取得した情報に基づいて、所定の期間、例えば、支払当月における現金以外の支払い形態による累積的な非現金支払い金額が第2の所定の金額を超えたか否かを判定する。
【0061】
当該所定の期間において、非現金支払い金額判定手段によって累積的な非現金支払い金額が第2の所定の金額を超えたと判定された場合、非現金支払い制限手段517は、現金以外の支払い形態による支払いを不可能とする。例えば、非現金支払い制限手段517は、金融機関サーバ40に当該利用者の口座からの現金以外の形態による支払いを不可能とするように指示してもよいし、クレジット管理用サーバ10、電子マネー管理用サーバ20、デビット管理用サーバ30に、当該利用者の口座からの現金支払い以外の支払いを不可能とするように指示してもよい。第2の所定の金額は、例えば、金融機関の預金残高以下に設定することが好ましい。非現金による支払いが預金残高を超えることを防止できるからである。
【0062】
明細情報提供手段518は、利用者からの要求に応じて、記憶部53に記憶された情報から利用者の明細情報を抽出する。利用者の明細情報とは、利用者および、支払いが行われた日付、場所、内訳、累積的な現金による支払い金額または後払いによる支払い金額などの明細に関する情報をいう。さらに、明細情報提供手段518は通信部52を介してこうして抽出した利用者の明細情報を、必要に応じて、「後払いによる支払いが多くなっている・・・」などのメッセージとともに、利用者に提供する。
【0063】
具体的には、例えばATM41等の端末やインターネットバンキングの表示画面に、キャッシュレス関連情報表示ボタンなどを設け、利用者によるキャッシュレス関連情報表示ボタンの操作に応じて、明細情報提供手段518は、記憶部53に記憶された情報から利用者の明細情報を抽出するようにしてもよい。明細情報提供手段518はこうして抽出した明細情報とともに、必要に応じて、「後払いによる支払いが多くなっている・・・」などのメッセージを付加して通信部52を介してATM41に送出する。ATM41はこのようにして取得した明細情報を画面に表示するなどして利用者に提供することができる。あるいは、明細情報提供手段518は、利用者が操作する携帯電話やコンピュータなど端末の操作に応じて上述の明細情報を通信部52を介して利用者の端末に送出するようにしてもよい。
【0064】
利用者経路検出手段519は、通信部52を介して利用者が有する携帯電話などから発せられる電波に基づいて得られる利用者の位置情報を蓄積し、利用者が日常利用する経路を検出する。あるいは、利用者がクレジットカード端末11、電子マネー端末21、デビットカード端末31、ATM41などの端末を操作する際に、各端末から位置情報を取得するようにしてもよい。
【0065】
地図情報記憶手段531は、非現金支払い可能な施設に関する情報を含む地図情報を記憶しており、記憶部53に含まれる。
【0066】
施設特定手段520は、地図情報記憶手段531に記憶された地図情報と利用者経路検出手段519により取得した利用者の経路情報に基づいて、非現金支払い可能な最寄りの施設に関する情報を検出して利用者に提供する。
【0067】
具体的には、ATM41にキャッシュレス対応施設表示ボタンなどを設け、利用者によるキャッシュレス対応施設表示ボタンの操作に応じて、施設特定手段520は、地図情報記憶手段531に記憶された情報とATM41から取得した現在位置の情報から非現金支払い可能な最寄りの施設を抽出するようにしてもよい。施設に関する情報とは、非現金支払いを受け付ける施設の場所に関する情報に限らず、施設が存在する店の種類、施設が設置された場所と通勤経路との関係などの情報も含んでもよい。施設特定手段520はこうして抽出した非現金支払い可能な施設に関する情報を、通信部52を介してATM41に送出する。
【0068】
ATM41はこのようにして取得した非現金支払い可能な施設を画面に表示するなどして利用者に提供する。このため、ATM41は、非現金支払い可能な施設の情報を現在位置とともに、施設が設置された店の種類、施設が設置された場所と通勤経路との関係などと関連付けて提供することができる。あるいは、施設特定手段520は、利用者が操作する携帯電話やコンピュータなど端末の操作に応じて上述の非現金支払い可能な施設に関する情報を通信部52を介して利用者の端末に送出するようにしてもよい。この情報に基づいて、利用者の端末は、非現金支払い可能な施設の情報を現在位置とともに、施設が設置された店の種類、施設が設置された場所と通勤経路などと関連付けて表示するなどして利用者に提供することができる。
【0069】
主制御部51の制御の下に実行される現金支払い情報取得手段511、非現金支払い情報取得手段512、非現金支払い金額判定手段513、利用比率判定手段514、ポイント割当手段515、注意情報提供手段516、非現金支払い制限手段517、明細情報提供手段518、利用者経路検出手段519、施設特定手段520、地図情報記憶手段531、により実行される処理の詳細については、以下のキャッシュレス支払い処理でさらに説明する。
【0070】
<管理装置による処理の例>
次に、
図3のフローチャートを用いて、本実施形態におけるキャッシュレス支払処理の一例について説明する。
【0071】
図3は、
図1の管理装置50を含むキャッシュレスシステムにより実行されるキャッシュレス支払処理の一例を示すフローチャートである。
【0072】
キャッシュレス支払処理は、利用者が、クレジットカード端末11、電子マネー端末21、またはデビットカード端末31を介して、何らかの支払いを行ったことが、クレジット管理用サーバ10、電子マネー管理用サーバ20、またはデビット管理用サーバ30を介して管理装置50に通知された時を契機として開始される。
【0073】
ステップS1において、管理装置50の主制御部51は、通信部52とネットワーク60を介して、上記支払いを受け付けた端末から、利用者を特定する情報を取得する。
【0074】
ステップS2において、管理装置50の非現金支払い情報取得手段512は、通信部52とネットワーク60を介して、クレジット管理用サーバ10、電子マネー管理用サーバ20、およびデビット管理用サーバ30に対して、上記利用者を特定する情報を送信し、クレジット管理用サーバ10、電子マネー管理用サーバ20、およびデビット管理用サーバ30から、当該利用者の所定の期間内における非現金支払額Eを取得する。非現金支払額Eとは、当該利用者が、クレジットカード12、および電子マネーカード22を使用して支払った金額を累積した合計額である。
【0075】
本実施形態において、所定の期間とは、月の初日から上記支払の当日までの期間をいうものとする。
【0076】
ステップS3において、管理装置50の非現金支払い金額判定手段513は、ステップS2で取得した非現金支払額Eが所定の上限金額Uを超えているか否かを判断する。
【0077】
上限金額Uとは、それを超えた場合に支払が停止される、現金以外の合計支払額の上限であり、本発明の第2の所定の金額に相当する。この上限金額Uは、例えば、金融機関の預金残高以下に設定することが好ましい。後払いによる支払いが預金残高を超えることを防止できるからである。非現金支払額Eが上限金額Uを超えている場合、ステップS3においてYESと判定され、処理はステップS4に進む。
【0078】
ステップS4において、管理装置50の非現金支払い制限手段517は、通信部52とネットワーク60を介して、上記支払いを行った端末に対して支払不許可の制御を行う。具体的には、当該端末において、支払いできない旨のエラーメッセージが表示され、利用者は支払いを拒否される。これにより、キャッシュレス支払処理は終了する。
【0079】
一方、非現金支払額Eが上限金額Uを超えない場合、ステップS3においてNOと判定され、処理はステップS5に進む。
【0080】
ステップS5において、管理装置50の非現金支払い金額判定手段513は、ステップS2で取得した非現金支払額Eが所定の注意金額Wを超えているか否かを判断する。
【0081】
注意金額Wとは、それを超えた場合に、現金以外の支払額が上限に近づいている旨の注意が利用者に与えられる金額であり、本発明の第1の所定の金額に相当する。非現金支払額Eが注意金額Wを超えている場合、ステップS5においてYESと判定され、処理はステップS6に進む。
【0082】
ステップS6において、管理装置50の注意情報提供手段516は、現金以外の支払額が上限に近づいている旨の注意を利用者に通知する。当該注意の通知は、通信部52を介して、予め登録された利用者の携帯電話に「後払いによる支払いが多くなっています。注意してください。ポイントの付与も中止します」などの警告メールを送信する等の方法を用いればよく、あるいは、注意情報提供手段516は上記メッセージを利用者が操作しているATM41あるいはインターネットバンキングなどの現金または非現金支払い可能な施設に通信部52を介して送信して、上記メッセージを表示させるなどしてもよい。
【0083】
この後、処理は後述するステップS12に進み、支払は許可されて、キャッシュレス支払処理は終了する。すなわち、後述するポイントを付与する処理は行われない。
【0084】
一方、非現金支払額Eが注意金額Wを超えない場合、ステップS5においてNOと判定され、処理はステップS7に進む。ステップS7において、管理装置50の現金支払い情報取得手段511は、通信部52とネットワーク60を介して、金融機関サーバ40に上記利用者を特定する情報を送信し、当該利用者の現金引出額Cを取得する。現金引出額Cとは、当該利用者が上記所定の期間内において金融機関の窓口あるいはATM41から引き出した現金、及びデビットカード利用額の合計額である。
【0085】
ステップS8において、管理装置50のポイント割当手段515は、ステップS7で取得した現金引出額Cに対するステップS2で取得した非現金支払額Eの比率Rを計算する。
【0086】
ステップS9において、管理装置50のポイント割当手段515は、ステップS8で計算した現金引出額Cに対する非現金支払額Eの比率Rが所定の比率、本実施形態では所定の値を超えるか否かを判断する。
【0087】
比率Rが所定の値を超えない場合、ステップS9においてNOと判定され、処理は後述するステップS12に進み、支払が許可されて、キャッシュレス支払処理は終了する。すなわち、後述するポイントを付与する処理は行われない。
【0088】
一方、比率Rが所定の値を超える場合、ステップS9においてYESと判定され、処理はステップS10に進む。ステップS10において、管理装置50のポイント割当手段515は、上記比率Rと上記支払の金額を用いた所定の計算式に基づいてポイントPを計算する。所定の計算式とは、上記比率Rが大きいほど、また、上記支払の金額が大きいほど、ポイントPが大きくなるような式であればよい。このようにして付与されたポイントPに応じて、利用者には所定のサービスまたは商品の提供、現金との換金などの特典を与えるようにする。こうして、ポイントPが大きいほど、現金以外の方法で支払いを行おうとする利用者の動機が助長される。
【0089】
ステップS11において、管理装置50のポイント割当手段515は、ステップS10で計算したポイントPを、上記支払いに使用したクレジットカード12、または電子マネーカード22に対して付与するように、通信部52とネットワーク60を介して、クレジット管理用サーバ10または電子マネー管理用サーバ20に依頼する。
【0090】
このポイントPは、所定の期間ごとに集計されて、利用者に通知される。通知の形態は、メールでもよいが、ATM41あるいはインターネットバンキングなどの現金または非現金支払い可能な施設において表示される[出金照会]ボタンを利用者が押した時に表示されるようにしてもよい。
【0091】
図4は、[出金照会]ボタンを押した場合に表示される画面の一例である。
図4において、「今月の現在までの獲得ポイント」は、今月初日から支払当日までの間にクレジットカード12および電子マネーカード22に対して付与されたポイントPの合計である。また、「現在の累積ポイント」は、過去に獲得して未だ使用していない全てのポイントPの合計である。
【0092】
デビットカード利用額は、本実施形態では、現金支払額に含まれるとしたが、一般的にはキャッシュレスシステムの一部であり、その利用は「カード支払額」と考えられるので、純粋な現金支払額(現金引出額)とカード支払額との比率を表示するようにしてもよい。こうすることで、「カード使用比率」(広い意味でのキャッシュレス化率)を可視化できる。また、このカード使用比率に応じてポイントを調節するようにしてもよい。例えば、全体のカード使用比率が一定の割合を超えれば、ポイントを5%アップするなどである。さらに、別の実施形態として、「非現金:現金使用非率」の計算の際に、デビットカードの利用額を現金支払額から除くようにしてもよい。この場合、デビットカードは後払いではないので非現金支払額にも含めず、ニュートラルな扱いとする。このようにすることで、デビットカードの利用によって得られるポイントが減ることがなく、キャッシュレスシステム全体の利用促進にも繋がる。
【0093】
その他のポイントの付与や使用の方法については、公知の技術であるので、詳細は省略する。
【0094】
図3に戻り、ステップS12において、管理装置50の主制御部51は、通信部52とネットワーク60を介して、上記支払いを行った端末に対して支払許可の制御を行う。具体的には、当該端末において、支払可能のメッセージが表示され、利用者は支払いを完了する。これにより、キャッシュレス支払処理は終了する。
【0095】
<非現金による支払い可能な施設の特定>
なお、非現金による支払いを望んでも、非現金による支払いを受け付ける小売店、飲食店、コンビニエンスストアなどの施設の場所を見つける必要がある場合がある。
【0096】
既に説明したように、本実施形態の管理装置50は、利用者からの要求に応じて、非現金による支払いが可能な施設に関する情報を提供する。具体的には、ATM41等に設けたキャッシュレス対応施設表示ボタンあるいは、利用者の端末からの問い合わせを受けると、管理装置50の施設特定手段520は、ATM41等または端末からの情報に基づいて利用者の現在位置を特定し、非現金支払い可能な施設に関する情報を通信部52を介してATM41等または利用者の端末に送出することができる。
【0097】
この情報に基づいて、ATM41等または利用者の端末は、非現金支払い可能な施設の情報を施設が設置された店の種類、施設が設置された場所と通勤経路等との関係などと関連付けて利用者に地図などで表示して提供する。もちろん、現在位置とともに表示してもよい。その一例を
図5に示す。経路に沿った施設は、記号を付したり、色を変えて表示するなど特に目立つようにしてもよい。
【0098】
このように、利用者の最寄りに設けられた非現金支払い可能な施設、すなわち、小売店、飲食店、コンビニエンスストア、あるいは、現金出し入れや情報取得のためATMやデビットカード利用可能店などの場所をすみやかに提供することができる。したがって、この情報を利用者に提供することによってキャッシュレスシステム全体の利用頻度を高めることができる。
【0099】
以上説明したように、管理装置50は、所定の期間における現金以外の支払い形態による非現金支払いが所定の金額を超えているか否かを常時判定している。さらに、管理装置50は、後払いによる支払いが所定の金額を超えておらず、さらに、非現金支払い金額の現金支払い金額に対する比率が所定の比率を上回っている場合にのみポイントを付与する。このように、後払いの過度な利用を防止することを前提として、キャッシュレスシステム全体の利用頻度を高めることを奨励している。したがって、利用者が危惧する後払いの過度な利用を防止しつつ、現金支払いに対する非現金支払いの比重を高めることができる。
【0100】
一方、現金を使わないために無駄な消費をし過ぎた場合には、先ず注意が与えられ、さらには支払いを停止されるので、うっかり使い過ぎるということも避けられる。
【0101】
以上、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明した。なお、上述の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0102】
上述の実施形態では、現金支払い情報取得手段511は、金融機関の口座から引出した現金の金額およびデビットカードの利用額の合計が、現金により支払われた金額に相当するものとして扱ったが、本発明はこれに限定されず、現金により支払われた金額は随時、利用者がATM41等あるいはインターネットバンキングなど、あるいは携帯電話やパーソナルコンピュータなどで入力、修正、更新できるようにしてもよい。これによって非現金支払いの金額の現金支払いによる金額に対する比率を正確に算出することが可能となる。
【0103】
一連の処理を実行するソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータなどにネットワークや記録媒体からインストールされる。コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパソコンであってもよい。
【0104】
このようなプログラムを含む記録媒体は、利用者にプログラムを提供するために装置本体とは別に配布されるリムーバブル記憶媒体により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態で利用者に提供される記録媒体などで構成される。リムーバブル記憶媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスクまたは光磁気ディスクなどにより構成される。光ディスクは、例えば、CD−ROM(Compact Disk−Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)などにより構成される。光磁気ディスクは、MD(Mini−Disc)などにより構成される。また、装置本体に予め組み込まれた状態で利用者に提供される記録媒体は、例えば、プログラムが記録されている管理装置50のROMや、記憶部53などで構成される。
【0105】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。