(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上下に配置され互いに回動自在に連結された複数のパネル体の上部が、屋内外を連通する開口の上部に回動自在に支持され、下部が引き上げられて前記複数のパネル体が折り畳まれつつ屋外側に突出して庇をなす折り畳み式パネルユニットであって、
各々の前記パネル体は、回動して前記パネル体の領域内を開閉可能な複数のルーバー羽根を有し、
前記複数のパネル体の前記下部が下げられて前記開口を閉じている状態では、前記複数のルーバー羽根は、前記パネル体の領域内を開放する方向に付勢する付勢部材が規制されて、前記パネル体の領域内を閉塞しており、
前記開口が開かれるときに、前記付勢部材の規制が解除されて前記ルーバー羽根が開放され、
前記複数のパネル体が前記庇をなしているときに、前記ルーバー羽根が前記パネル体の領域内を閉塞していないことを特徴とする折り畳み式パネルユニット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような折りたたみブラインドは、折り畳まれた際に互いに隣り合う羽根同士が接触している。このため、風が吹いた際には、各羽根が風により振動して羽根同士が接触しあって音が発生するおそれがある。また、雨が漏ることがないように隣り合う羽根同士が接触しているので通気性が悪く、強い風が吹いた際には、庇状をなしている折りたたみブラインドが煽られて、折りたたみブラインドや取り付けられている建物等を損傷するおそれがあるという課題がある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、風が吹いても騒音が発生しにくく、強風等によっても損傷しにくい折り畳み式パネルユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために本発明の折り畳み式パネルユニットは、上下に配置され互いに回動自在に連結された複数のパネル体の上部が、屋内外を連通する開口の上部に回動自在に支持され、下部が引き上げられて前記複数のパネル体が折り畳まれつつ屋外側に突出して庇をなす折り畳み式パネルユニットであって、各々の前記パネル体は、回動して前記パネル体の領域内を開閉可能な複数のルーバー羽根を有し、
前記複数のパネル体の前記下部が下げられて前記開口を閉じている状態では、前記複数のルーバー羽根は、前記パネル体の領域内を開放する方向に付勢する付勢部材が規制されて、前記パネル体の領域内を閉塞しており、前記開口が開かれるときに、前記付勢部材の規制が解除されて前記ルーバー羽根が開放され、前記複数のパネル体が前記庇をなしているときに、前記ルーバー羽根が前記パネル体の領域内を閉塞していないことを特徴とする折り畳み式パネルユニットである。
【0007】
このような、折り畳み式パネルユニットによれば、複数のパネル体が折り畳まれ屋外側に突出して庇をなす際には、ルーバー羽根がパネル体の領域内を閉塞していないので、風が吹いてもルーバー羽根同士は接触し難い。また、強風が吹いた場合であっても、パネル体の領域内を閉塞していないルーバー羽根間を風が抜けていくので、折り畳まれたパネル体は煽られ難い。このため、風が吹いても騒音が発生しにくく、強風等によっても損傷しにくい折り畳み式パネルユニットを提供することが可能である。ここで、屋内外を連通する開口とは、例えば、建物の外壁に形成された開口部や、建具が有する枠体にて形成される開口部を示している。また、ルーバー羽根がパネル体の領域内を閉塞していないという状態は、パネル体の領域内が開放さている状態、より具体的には、隣り合うルーバー羽根が接触していない状態、すなわち、隣り合うルーバー羽根間が空隙をなしている状態を示している。
【0009】
また、複数のパネル体の下部が下げられて開口を閉じている状態では、ルーバー羽根がパネル体の領域内を閉塞しているので、屋外からの視界をさえぎるとともに、防犯性及び断熱性を備えることが可能である。
【0011】
また、パネル体の領域内を閉塞している状態では、ルーバー羽根は、付勢部材に付勢力されつつも付勢部材が規制されていることにより付勢されている方向に作動しない。そして、開口が開かれるときに、付勢部材の規制が解除されることにより、ルーバー羽根は付勢部材の付勢力により速やかに回動する。このため、開口が開かれるときには、規制が解除された付勢部材の付勢力が作用して、より速やかにパネル体の領域内を開放することが可能である。そして、複数のパネル体が折り畳まれて庇をなす際には、確実にパネル体の領域内を開放しておくことが可能である。
【0012】
かかる折り畳み式パネルユニットであって、前記庇の状態から前記下部を降下させたときに前記複数のパネル体が展張された前記開口が閉じた状態で前記下部の降下を停止させるストッパーと、前記パネル体の前記下部を上下方向に移動させる駆動部と、前記駆動部の動力を前記下部に伝達する伝達部と、前記伝達部と前記下部とを繋ぐ中継部と、を備え、前記中継部は、前記伝達部と前記下部とを、上下方向における所定の範囲にて相対移動可能に中継しており、前記下部の降下が停止した後に、前記伝達部が前記中継部に対して下方に相対移動することにより、前記ルーバー羽根が回動し始め、前記伝達部が前記所定の範囲内を移動する間に前記ルーバー羽根が前記パネル体の領域内を閉塞することが望ましい。
【0013】
このような折り畳み式パネルユニットによれば、下部をストッパーまで降下させることにより、複数のパネル体が展張された状態とすることが可能である。また、複数のパネル体が展張された状態とした後に伝達部を更に中継部に対して相対移動させてルーバー羽根によりパネル体の領域内を閉塞する際には、伝達部が上下方向において相対移動可能とした所定の範囲内を移動する間にルーバー羽根がパネル体の領域内を閉塞する。このため、伝達部が下部に対し相対移動可能な範囲を移動しているときにルーバー羽根がパネル体の領域内を閉塞する。すなわち、伝達部が相対移動可能な範囲を残した状態でルーバー羽根がパネル体の領域内を閉塞するので、ルーバー羽根の回動が途中で停止することなく、開口を確実に閉塞することが可能である。
【0014】
かかる折り畳み式パネルユニットであって、前記複数のパネル体が展張された前記開口を閉じた状態にて、前記複数のパネル体の見込み方向における振れを防止する振れ防止部材を有していることが望ましい。
【0015】
このような折り畳み式パネルユニットによれば、複数のパネル体が展張されて開口が閉じた状態にて、振れ防止部材により複数のパネル体の見込み方向における振れが防止されるので、開口を閉じた状態が維持されやすい折り畳み式パネルユニットを提供することが可能である。
【0016】
かかる折り畳み式パネルユニットであって、前記パネル体は、前記動力にて前記ルーバー羽根を回動させるために前記動力を伝達する動力伝達機構を有し、前記開口を形成する枠体は、前記伝達部の昇降動作と連動し、前記ルーバー羽根の開放方向への回動を許容する回動許容位置と、前記ルーバー羽根の開放方向への移動を規制する回動規制位置とを移動する回動規制部を有し、前記下部の降下が停止したときに前記動力伝達機構の一部が、前記回動規制部が移動する軌道上に位置し、前記伝達部を更に降下させることにより、前記回動規制部が移動して前記動力伝達機構の一部に当接されて、前記ルーバー羽根の回動が規制されることが望ましい。
【0017】
このような折り畳み式パネルユニットによれば、複数のパネル体の下部の降下が停止したときに、伝達部の昇降動作と連動して移動する回動規制部が移動する軌道上に位置する動力伝達機構の一部に、伝達部を更に降下させることにより回動規制部が当接する。このため、複数のパネル体が展張した状態とした後に、ルーバー羽根がパネル体の領域内を開放する方向への回動が規制されるので、下部を降下させるだけで、複数のパネル体を確実に展張させ、各ルーバー羽根がパネル体の領域内を開放する方向に回動しない状態とすることが可能である。
【0018】
かかる折り畳み式パネルユニットであって、前記ルーバー羽根の開放角度を規制する角度規制部を有することが望ましい。
【0019】
このような折り畳み式パネルユニットによれば、ルーバー羽根の開放角度を規制することが可能なので、複数のパネル体が展張している状態であっても、採光を得ることが可能である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、風が吹いても騒音が発生しにくく、強風等によっても損傷しにくい折り畳み式パネルユニットを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施形態に係る折り畳み式パネルユニットを示す斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る折り畳み式パネルユニットを示す縦断面図である。
【
図3】本実施形態に係る折り畳み式パネルユニットを示す横断面図である。
【
図4】ルーバー羽根が開放された折り畳み式パネルユニットが展張されている状態を示す縦断面図である。
【
図5】折り畳み式パネルユニットが折り畳まれた状態を示す縦断面図である。
【
図7】
図7(a)は、操作部材とリンク部とを示す平面図、
図7(b)は、ルーバー羽根が開いた状態の操作部材及びリンク部の状態を示す側面図、
図7(c)は、ルーバー羽根が閉じた状態の操作部材及びリンク部の状態を示す側面図である。
【
図8】
図8(a)は、ルーバー羽根を開閉するための機構部を示す平面図、
図8(b)は、ルーバー羽根を連動させる機構を示す側面図である。
【
図9】折り畳み式パネルユニットの開閉機構及びルーバー開閉機構を示す斜視図である。
【
図10】
図10(a)は、駆動チェーンと下パネル体の下框との繋がりを示す平面図、
図10(b)は、折り畳み式パネルユニット及びルーバー羽根が閉じる前の状態における揺動部材周辺を示す図、
図10(c)は、
図10(b)におけるA矢視図、
図10(d)は、昇降スライダーがストッパーに当接された状態を示す図、
図10(e)は、プッシャーにより揺動部材の一方の腕部が押し下げられた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態に係る折り畳み式パネルユニットについて図面を参照して説明する。
【0023】
本実施形態の折り畳み式パネルユニット1は、
図1〜
図5に示すように、上下に配置されヒンジ9を介して連結された2枚のパネル体10、20の上部をなす上パネル体10の上框11が、屋内外を連通する開口2の上部側に回動自在に支持されており、下部をなす下パネル体20の下框22が引き上げられて2枚のパネル体10、20が折り畳まれつつ屋外側に突出して庇をなす折り畳み式パネルユニット1である。この折り畳み式パネルユニット1は、開口2に設けられる辷り出し窓3の屋外側に矩形状に枠組みされた枠体5とともに設けられている。
【0024】
以下の説明においては、開口2に設けられた状態の折り畳み式パネルユニット1において、上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向または見付け方向、屋内外方向である奥行き方向を見込み方向として示す。また、折り畳み式パネルユニット1等が備える各部材は、単体として説明する場合であっても、開口2に設けられた状態で上下方向、見付け方向、見込み方向等となる方向にて方向を特定して説明する。
【0025】
枠体5は、下パネル体20の下框22を昇降するための駆動部が収容される上部ボックス50と、開口2の下部を形成する下枠56と、上部ボックス50と下枠56とを左右の両端部にて繋ぐ縦枠57とが矩形状に枠組みされ、屋内側に設けられた辷り出し窓3の窓枠3aに接合部材6を介して接合されている。上部ボックス50内には、駆動部をなす、モーター51及び見付け方向に沿って設けられモーター51にて駆動される駆動シャフト52が設けられている。
【0026】
駆動シャフト52の両端にはスプロケット(不図示)が設けられており、各々のスプロケットには伝達部としての駆動チェーン53が掛けられている。駆動チェーン53の一方の端には、縦枠57に設けられたガイドレール57aに案内されて昇降する昇降スライダー54及び下パネル体20の下框22と繋がる中継部としての中継プレート38が固定されている。また、ガイドレール57aは、昇降スライダー54とともに駆動チェーン53も、その屈曲を規制しつつ案内する。
【0027】
折り畳み式パネルユニット1は、上パネル体10と、下パネル体20と、上パネル体10の下框12及び下パネル体20の上框21とともにヒンジ9を構成する回動支持部材4と、を有している。上パネル体10と下パネル体20は、いずれも中空の角パイプ状をなす上框11、21及び下框12、22と、長手方向に連通する中空部を形成するように形成された左右の縦框13、23とが矩形状に框組みされた框体14、24と、框体14、24にて囲まれている領域内を開閉自在に設けられた複数のルーバー羽根15と、を有している。ここで、上パネル体10に設けられているルーバー羽根15と下パネル体20に設けられているルーバー羽根15とは同一の部材である。
【0028】
各ルーバー羽根15の両端部にはそれぞれ、見つけ方向に突出させてリンク部16が設けられており、リンク部16は、ルーバー羽根15の回動中心から見つけ方向に突出された回動軸16aと、回動軸16aの先端に設けられ回動軸16aと直交する方向に突出された軸連結部16bと、回動軸16aと平行に設けられ軸連結部16bに対して回動軸16aの反対側に突出された操作軸16cとが一体に形成されている。
【0029】
上パネル体10の框体14と下パネル体20の框体24とは、同一の部材が、それらの上下を反転させた状態にて用いられ、上パネル体10の下框12と下パネル体20の上框21とが回動支持部材4と共にヒンジ9を形成している。
【0030】
また、上パネル体10の上框11と下パネル体20の下框22とは、長手方向、すなわち左右方向の幅が、框体14、24の幅より、短くなるように形成されている。上框11と下框22とには、各々上框11及び下框22と回動自在に設けられた上軸11aと下軸22aとが、上框11及び下框22の両端に設けられている。上軸11aは、端部が枠体5に固定された端部ブラケット7にボルト8により回動不能に支持されている。下軸22aは、縦枠57に設けられたガイドレール57aに案内されて昇降する駆動チェーン53の動力を下パネル体20に伝達するための中継プレート38を介して駆動チェーン53と繋がっている。
【0031】
上パネル体10及び下パネル体20の左右の縦框13、23内には、ルーバー羽根15を回動させて框体14、24にて囲まれている領域内を開閉させるためのルーバー開閉機構30が各々設けられている。
【0032】
ルーバー開閉機構30は、
図6、
図7に示すように、ルーバー羽根15の上下方向の間隔に合わせて複数の内側スリット13b、23bが設けられた、左右の縦框13、23において互いに対向する内壁部13a、23aと、左右の縦框13、23内に収容されて上下に移動可能に設けられ内側スリット13b、23bと同じピッチにて形成された外側スリット31aを有する操作部材31と、ルーバー羽根15の両端部に設けられて、縦框13、23内に挿入されたリンク部16と、を有している。内側スリット13b、13bと外側スリット31aとは、見込み方向に沿って水平方向に切り欠かれおり、屋内側の端が開放されている。
【0033】
リンク部16は、回動軸16aが内側スリット13b、23bに挿入され、操作軸16cが外側スリット31aに挿入された状態で、操作部材31が上下に移動されることにより、操作軸16cが外側スリット31a内を移動しつつリンク部16が回動軸16aを中心に回動することによりルーバー羽根15が回動する。このとき、ルーバー羽根15は操作部材31が上方に移動するとルーバー面15aが上下方向に沿い、隣接するルーバー羽根15同士が接触して各パネル体10、20内、すなわち框体14、24にて囲まれている領域内を閉塞する閉塞状態となり、操作部材31が下方に移動するとルーバー面15aがより水平に近づいて、隣接するルーバー羽根15との間が空隙をなし框体14、24にて囲まれている領域内を開放する開放状態となる。
【0034】
ルーバー開閉機構30を移動させるための動力源は、下パネル体20の下框22を昇降するモーター51であり、モーター51の動力を、駆動チェーン53から操作部材31に伝達する動力伝達機構が、上パネル体10及び下パネル体20の左右の縦框13、23内に設けられている。
【0035】
動力伝達機構は、
図8、
図9に示すように、縦框13、23内にて操作部材31と係合し操作部材31とともに上下方向に移動する連動部材33と、縦框13、23外にて屋内側に設けられ縦框13、23内に挿入される係止部34aが連動部材33に係止されて操作部材31とともに上下方向に移動するトリガー部材34と、を有している。また、連動部材33の上には、ルーバー羽根15が閉塞状態のときに当該連動部材33を下方、すなわち、框体14、24にて囲まれている領域内を開放する方向に付勢する付勢部材としての圧縮バネ35が設けられている。そして、ルーバー羽根15が開放状態のときには連動部材33は、圧縮バネ35に付勢されず移動可能な範囲の最下位置に位置してルーバー羽根15は框体14、24にて囲まれている領域内を開放している。
【0036】
トリガー部材34は、縦框13、23の屋内側に突出す突出部34bを有しており、モーター51からの動力が枠体5側から伝達されて突出部34bを移動させることによりルーバー羽根15が開閉するように構成されている。ルーバー羽根15の開閉動作については後述する。
【0037】
駆動チェーン53の動力を下パネル体20に伝達するための中継プレート38は、
図9に示すように、駆動チェーン53の最も下に位置するリンク53aの下側のピン53bを貫通するビス36にて、リンク53aと繋がっている。このとき、リンク53aと中継プレート38との間には、後述する揺動部材41を押圧するプッシャー37が介在されている。
【0038】
ビス36は、プッシャー37に設けられた丸穴37aを貫通し、中継プレート38の縦方向に長い長穴38aを貫通してナット36aにて固定されている。このため、駆動チェーン53とプッシャー37とは一体となって昇降する。
【0039】
中継プレート38には長穴38aの下に丸穴38bが設けられており、プッシャー37の丸穴37aの下に設けられ上下方向に長い長穴37bを貫通するピン39にて、駆動チェーン53の下方に位置する昇降スライダー54が固定されている。このため、中継プレート38と昇降スライダー54とは一体となって昇降する。そして、中継プレート38とプッシャー37は、長穴38aと長穴37bとにより規制される範囲内で上下方向に相対移動可能に設けられている。
【0040】
駆動チェーン53に中継プレート38を介して下パネル体20の下框22が繋がって吊り下げられた状態では、自重により中継プレート38の長穴38aの上端側にビス36が位置し、プッシャー37の長穴37bの下端側にピン39が位置している。すなわち、中継プレート38と一体となって昇降する昇降スライダー54が最も下がった位置に位置している。
【0041】
枠体5のガイドレール57aの下端には、昇降スライダー54が降下した際に突き当たるストッパー58が設けられており、下パネル体20の下框22が降下し駆動チェーン53とともに移動していた昇降スライダー54がストッパー58に当接して降下が停止する。このとき、昇降スライダー54と中継プレート38は停止するが、駆動チェーン53とプッシャー37は、長穴37bと長穴38aの範囲で降下し続ける。そして、ピン39が長穴37bの上端、または、ビス36が長穴38aの下端のいずれかに当接する前に揺動部材41の一方の腕部41aを最も押し下げるように構成されている。すなわち、下框22の降下が停止した後に、駆動チェーン53が中継プレート38に対して下方に相対移動することにより、駆動チェーン53と一体となったプッシャー37が長穴37b、38aにより設定された所定の範囲内を移動する間に揺動部材41の一方の腕部41aを最も押し下げるように構成されている。
【0042】
下枠56には、
図10に示すように、降下したプッシャー37に押圧されて、シーソー状に揺動する、2本の腕部41a、41bを有する揺動部材41が設けられている。
【0043】
揺動部材41は、見込み方向に沿う軸42を中心に2本の腕部41a、41bがシーソー状に揺動可能に設けられている。揺動部材41の一方の腕部41aの上方にはプッシャー37が位置しており、降下したプッシャー37により一方の腕部41aが下がるように揺動部材41が揺動するように構成されている。また、揺動部材41の他方の腕部41bには、プッシャー37が繋がれている駆動チェーン53と見付け方向にて対向しつつ揺動部材41により上下方向に移動可能な連動棒43が設けられている。連動棒43は、下端が揺動部材41の他方の腕部41b上に当接されており、降下したプッシャー37により一方の腕部41aが下がるように揺動部材41が揺動されると、揺動部材41の他方の腕部41bにより上方に押し上げられるように構成されている。
【0044】
連動棒43は、縦框13、23と見込み方向に対向する位置に設けられており、連動棒43には、上パネル体10と下パネル体20とが展張された際に、縦框13、23に設けられて屋内側に突出しているトリガー部材34の突出部34bの下方に配置されている。このため、連動棒43が上方に移動されることにより、圧縮バネ35の付勢力に抗してトリガー部材34が押し上げられ、ルーバー羽根15が開放状態から閉塞状態となる。
【0045】
このように構成された折り畳み式パネルユニット1は、下パネル体20の下框22がモーター51により降下され上パネル体10と下パネル体20とが展張されるとトリガー部材34が屋内側に突出した状態となる。プッシャー37が更に降下されて揺動部材41の一方の腕部41aを押し下げて他方の腕部41bが押し上げられると連動棒43が上方に移動され、連動棒43に設けられている回動規制部としての操作片44が、圧縮バネ35の付勢力に抗してトリガー部材34の突出部34bを押し上げることにより、操作部材31が上方に移動してルーバー面15aがより上下方向に沿うようにルーバー羽根15が回動して
図2に示すように框体14、24にて囲まれている領域内を閉塞する閉塞状態となる。
【0046】
また、上パネル体10と下パネル体20とが展張されるとともに框体14、24にて囲まれている領域内が閉塞された状態からモーター51が駆動され下パネル体20の下框22が引き上げられると、まず、プッシャー37が引き上げられ、プッシャー37により揺動部材41の一方の腕部41aを押し下げていた押圧力が低下する。このとき、揺動部材41の他方の腕部41bには、連動棒43に操作部材31を下方に付勢する圧縮バネ35の付勢力がトリガー部材34及び操作片44を介して作用しているので、一方の腕部41aを押し下げていた押圧力の低下にともなって他方の腕部41bが下方に押し下げられていく。そして、他方の腕部41bが下方に押し下げられるときに、連動棒43及び操作片44とともにトリガー部材34及び操作部材31が下方に移動することによりルーバー羽根15が回動して、
図4に示すように、框体14、24にて囲まれている領域内に空隙が生じ開放された状態となる。このとき、連動棒43及び操作片44よりトリガー部材34及び操作部材31とともに規制されていた圧縮バネ35の規制が解除されることにより圧縮バネ35の付勢力が作用して、より速やかにルーバーが回動する。
【0047】
その後、下パネル体20の下框22が引き上げられて、上パネル体10と下パネル体20とが連結されているヒンジ9が屋外側に移動しつつ折り畳まれて
図5に示すような庇を構成する。このとき、上パネル体10と下パネル体20とのルーバー羽根15は框体14、24にて囲まれている領域内が開放された状態が維持されている。
【0048】
ここで、本実施形態においては、操作片44が押し上げられた位置が回動規制位置に相当し、操作片44が押し下げられた位置が回動許容位置に相当し、回動規制位置と回動許容位置との間が操作片44の軌道に相当する。また、トリガー部材34の突出部34bが、下パネル体20の下部としての下框22が降下して停止したときに屋内側に突出する、動力伝達機構の一部に相当する。
【0049】
折り畳み式パネルユニット1は、上パネル体10と下パネル体20とが展張された状態にて、上パネル体10と下パネル体20とが見込み方向に振れることを防止する振れ防止部材45が設けられている。振れ防止部材45は、
図11に示すように、各縦框13、23内に設けられており、縦框13、23の縦枠57と対向する壁部13d、23dに設けられた角穴13e、23eからブロック状のゴムでなる保持部材46が突出して縦枠57を押圧することにより、上パネル体10及び下パネル体20の見込み方向における振れが防止される。具体的には、縦框13、23の縦枠57と対向する壁部13d、23dの内面に角穴13e、23eの下側に、一端が固定された板バネ47が設けられており、板バネ47は、固定された一端側から他端側に向かって縦框13、23との間隔が広がるように傾斜している。板バネ47の他端には、角穴13e、23e側に向かって保持部材46が設けられており、上パネル体10と下パネル体20とが展張されていないときには、保持部材46が角穴13e、23eから突出しないように構成されている。そして、上パネル体10と下パネル体20とが展張されたときに、縦框13、23内にて上方に移動する連動部材33により、板バネ47が縦枠57側に押圧されて保持部材46が角穴13e、23eから突出し、保持部材46が縦枠57を押圧するように構成されている。
【0050】
本実施形態の折り畳み式パネルユニット1によれば、上パネル体10と下パネル体20とが折り畳まれ屋外側に突出して庇をなす際には、ルーバー羽根15が框体14、24にて囲まれている領域内を開放しているので、風が吹いてもルーバー羽根15同士は接触し難い。また、強風が吹いた場合であっても、框体14、24にて囲まれている領域内を開放しているルーバー羽根15間を風が抜けていくので、折り畳まれたパネル体10、20は煽られ難い。このため、風が吹いても騒音が発生しにくく、強風等によっても損傷しにくい折り畳み式パネルユニット1を提供することが可能である。
【0051】
また、2枚のパネル体10、20の下部をなす下パネル体20の下框22が、押し下げられて開口2を閉じている状態では、ルーバー羽根15が上パネル体10及び下パネル体20の領域内を閉塞しているので、屋外からの視界をさえぎるとともに、防犯性及び断熱性を備えることが可能である。
【0052】
また、各パネル体14、24の領域内を閉塞している状態では、ルーバー羽根15は、圧縮バネ35に付勢力されつつも圧縮バネ35が規制されていることにより付勢されている方向に作動しない。そして、下パネル体20の下框22が引き上げられて折り畳まれるときに、圧縮バネ35の規制が解除されることにより、ルーバー羽根15は圧縮バネ35の付勢力により速やかに開放される。このため、折り畳まれて庇をなす際には、確実にルーバー羽根15が框体14、24にて囲まれている領域内を開放しておくことが可能である。
【0053】
また、下パネル体20の下框22をストッパー58まで降下させることにより、上パネル体10と下パネル体20とが展張された状態とすることが可能であり、上パネル体10と下パネル体20とを展張された状態とした後にモーター51を更に駆動してプッシャー37を中継プレート38に対して相対移動させてルーバー羽根15を回動させることが可能である。そして、ルーバー羽根15を回動して框体14、24にて囲まれている領域内を閉塞する際には、ピン39が長穴37bの上端、または、ビス36が長穴38aの下端のいずれかに当接する前に揺動部材41の一方の腕部41aを最も押し下げることで、ルーバー羽根15を回動して框体14、24にて囲まれている領域内が閉塞状態となる。このため、ルーバー羽根15にて回動して框体14、24にて囲まれている領域内を確実に閉塞することが可能である。すなわち、開口2にて上パネル体10と下パネル体20とを確実に展張し、框体14、24にて囲まれている領域内を確実に閉塞することが可能である。
【0054】
また、上パネル体10と下パネル体20が展張された状態にて、振れ防止部材45により上パネル体10と下パネル体20とが見込み方向に移動することが規制されるので、開口2を閉じた状態が維持されやすい折り畳み式パネルユニット1を提供することが可能である。
【0055】
また、下パネル体20の下框22の降下が停止したときに、駆動チェーン53の昇降動作と連動して移動する操作片44が移動する軌道上に突出部34bが位置するトリガー部材34に、駆動チェーン53を更に降下させることにより操作片44が当接する。このため、上パネル体10と下パネル体20とが展張した状態とした後に、ルーバー羽根15が框体14、24にて囲まれている領域内を開放する方向への回動を規制するので、下パネル体20の下框22を降下させるだけで、上パネル体10と下パネル体20とを確実に展張し、各ルーバー羽根15が框体14、24にて囲まれている領域内を開放する方向に回動しない状態とすることが可能である。
【0056】
上記実施形態においては、ルーバー羽根15の動作を閉塞状態と開放状態とのいずれかとしたが、これに限らず、たとえば、下パネル体20の下框22の降下が停止した後にプッシャー37を降下させる距離を調節、あるいは、連動棒43に対する操作片44の位置を調節することにより、ルーバー羽根15を任意の角度にて停止させることが可能である。この場合には、上パネル体10と下パネル体20とを展張した状態であっても、採光を得ることが可能である。すなわち、本実施形態では、プッシャー37及び操作片44等がルーバー羽根15の開放角度を規制する角度規制部になり得る。
【0057】
上記実施形態においては、枠体5を折り畳み式パネルユニット1と別体として説明したが、枠体5を含めて折り畳み式パネルユニット1としても構わない。また、折り畳み式パネルユニットが屋内側に設けられている建具と一体であっても構わない。
【0058】
また、上記実施形態においては、折り畳み式パネルユニット1が辷り出し窓3と共に設けられている例について説明したが、これに限らず、例えば、引き違い窓等と共に設けられていてもよい。
【0059】
上記実施形態においては、2枚のパネル体10、20がヒンジ9により連結されている例について説明したが、パネル体の数は、3枚以上であっても折り畳まれて庇をなす構造であれば構わない。
【0061】
上記実施形態においては、2枚のパネル体10、20の上部を上パネル体10の上框11及び上軸11aとし、複数のパネル体の下部を下パネル体20の下框22及び下軸22aとして説明したが、これに限るものではない。例えば、複数のパネル体の上部を上パネル体10の縦框13の上端側など上パネル体10の上部側の部位とし、複数のパネル体の下部を下パネル体20の縦框23の下端側など下パネル体20の下部側の部位としてもよい。
【0062】
また、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。