(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記記録ユニットは、当該記録ユニットが備える各部および前記反転ユニットが備える各部を駆動制御する制御手段を備え、前記反転ユニットとは分離可能に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のプリンタ。
前記反転ユニットは、前記記録媒体反転手段によって表裏を反転されて前記第1の記録媒体搬送経路に供給される記録媒体の、前記記録手段による記録動作がおこなわれる面を清掃する清掃手段を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のプリンタ。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるプリンタの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0019】
まず、この発明にかかる実施の形態のプリンタの外観について説明する。
図1は、この発明にかかる実施の形態のプリンタの外観を示す説明図である。
図1において、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、略箱形の外観をなす。プリンタ100は、プリンタユニット(記録ユニット)101と給紙・用紙反転ユニット(反転ユニット)102とを備えている。
【0020】
プリンタ100は、たとえば、台などの上面に設置して使用する。プリンタ100を設置した状態において、プリンタユニット101は給紙・用紙反転ユニット102の上側に配置され、給紙・用紙反転ユニット102はプリンタユニット101の下側に配置される。プリンタユニット101と、給紙・用紙反転ユニット102と、は分離可能とされている。
【0021】
プリンタユニット101と給紙・用紙反転ユニット102との連結部には、プリンタユニット101および給紙・用紙反転ユニット102の位置決めのための形状(図示を省略する)が設けられている。これにより、プリンタユニット101と給紙・用紙反転ユニット102とを分離可能に構成した場合にも、プリンタユニット101と給紙・用紙反転ユニット102との位置関係を精度よくかつ容易に確保することができる。プリンタ100(プリンタユニット101)の筐体101aには、プリンタ100の状態を報知する各種の状態報知ランプ103が設けられている。
【0022】
プリンタユニット101は、記録対象となる記録媒体(印画紙)に対する記録動作をおこなう。給紙・用紙反転ユニット102は、プリンタユニット101における記録位置に対して、記録対象となる記録媒体の表裏を反転し、表裏を反転した記録媒体をプリンタユニット101に供給する。プリンタユニット101は、表裏を反転した記録媒体に対する記録動作をおこなうことにより、記録媒体に対する両面記録をおこなうことができる。
【0023】
この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、記録対象とする記録媒体における記録層に対して、インクリボンが備えるインク層に含有される熱拡散性色素(昇華性色素)を転写することによる、いわゆる昇華転写方式の記録動作をおこなう。このような昇華転写方式の記録動作をおこなうプリンタは、たとえば、昇華型プリンタ(Dye−sublimation printer)などと称される。
【0024】
昇華型プリンタであるプリンタ100は、記録層を備えた記録媒体を記録対象とする。記録媒体が備える記録層は、紙などによって形成される基材の表面に設けられる。記録層は、基材に塗布、あるいは貼合される断熱層と、当該断熱層に積層される受容層と、によって構成されている。受容層は、インクリボンが備えるインク層に含有される熱拡散性色素(昇華性色素)の転写を受け付ける。
【0025】
この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、記録媒体の片面に対する記録動作(片面記録)をおこなう場合は片面記録に適した記録媒体を用い、記録媒体の両面に対する記録動作(両面記録)をおこなう場合は両面記録に適した記録媒体を用いる。具体的には、片面記録に適した記録媒体は、当該記録媒体の基材の片面にのみ記録層が設けられている。また、具体的には、両面記録に適した記録媒体は、当該記録媒体の基材の両面に、それぞれ記録層が設けられている。
【0026】
昇華型プリンタは、記録媒体に転写するインクの濃度を、記録するドットごとに調整することができる。このため、昇華型プリンタは、階調表現に優れている。優れた階調表現ができることから、昇華型プリンタは、写真印刷用途にも耐えうる画質を得ることができる。このため、昇華型プリンタは、近年、DTP用途にも用いられている。
【0027】
昇華転写方式の記録動作に用いられるインクリボンは、長尺状の基材と、当該基材の一面側に設けられたインク層を備えている。インクリボンは、複数色のインク層を備えている。具体的に、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100が用いるインクリボンは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)およびシアン(C)の各色のインク層を備える。各インク層は、それぞれ、昇華性染料インク(昇華性染料(昇華性色素)を含有するインク、すなわち昇華インク)によって形成されている。
【0028】
インクリボンにおいて、複数色のインク層は、色ごとに、基材の長さ方向に沿って周期的に配置されている。具体的には、たとえば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)およびシアン(C)の各インク層は、基材の長さ方向に沿って「イエロー(Y)のインク層→マゼンタ(M)のインク層→シアン(C)のインク層→・・・」の順序で周期的に配置されている。
【0029】
また、昇華転写方式の記録動作に用いられるインクリボンは、オーバーコート層を備えている。オーバーコート層は、インク層とともに、基材の長さ方向に沿って周期的に配置されている。具体的に、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100が用いるインクリボンは、基材の長さ方向に沿って、「イエロー(Y)のインク層→マゼンタ(M)のインク層→シアン(C)のインク層→オーバーコート層→イエロー(Y)のインク層→・・・」の順序で周期的に配置されている。
【0030】
プリンタ100は、記録動作に際して、記録動作をおこなった記録媒体の表面(以下、適宜「記録面」という)に、当該記録面を覆うようにしてオーバーコート層を設ける(ラミネート処理を施す)。これにより、記録物における昇華性染料インクの耐水性能や耐候性能の劣化を抑制し、記録物の耐水性や耐候性を高めることができる。
【0031】
プリンタ100は、プリンタユニット101に設けられた片面印刷物排出口104や、給紙・用紙反転ユニット102に設けられた両面印刷物排出口105を備えている。プリンタ100は、プリンタユニット101において記録をおこなった記録物を、片面印刷物排出口104や両面印刷物排出口105を介して筐体101aの外に排出する。
【0032】
この実施の形態においては、片面印刷物排出口104を介して記録物が排出される位置によって第1の記録媒体排出位置を実現することができる。また、この実施の形態においては、両面印刷物排出口105を介して記録物が排出される位置によって第2の記録媒体排出位置を実現することができる。片面記録がおこなわれた記録物は片面印刷物排出口104を介して筐体101aの外に排出され、片面印刷物排出口104の近くに用意された図示されない排紙トレイ上に置載(積層)される。両面記録がおこなわれた記録物は、両面印刷物排出口105を介して筐体101aの外に排出され、排紙トレイ106上に載置(積層)される。
【0033】
(プリンタ100の内部構成)
つぎに、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100の内部構成について説明する。
図2、
図3、
図4および
図5は、
図1のA−A断面図である。
図2、
図3、
図4および
図5において、プリンタユニット101は、図示を省略する制御基板を備えている。制御基板は、プリンタ100の各部を駆動制御するマイクロコンピュータを備えている(
図6を参照)。
【0034】
また、プリンタユニット101は、第1の記録媒体保持部201を備えている。第1の記録媒体保持部201は、基材の片面に記録層が設けられた、片面記録に適した記録媒体Pを保持する。第1の記録媒体保持部201が保持する記録媒体Pは、長尺状をなし、長さ方向に沿ってロール状に巻回されている。第1の記録媒体保持部201は、巻回された状態の長尺状の記録媒体Pを、外周側から引き出し可能に保持する。以下、第1の記録媒体保持部201が保持する記録媒体Pを、適宜「ロール紙」とし、符号P1を付して説明する。
【0035】
具体的には、第1の記録媒体保持部201は、ロール紙P1の巻き取り中心となる巻き取り芯を、当該巻き取り芯が回転可能な状態で保持する。これによって、第1の記録媒体保持部201は、ロール紙P1の外周側の端部を、第1の記録媒体保持部201から引き出し可能な状態で保持することができる。
【0036】
プリンタユニット101は、第1の記録媒体搬送経路202を備えている。第1の記録媒体搬送経路202は、第1の記録媒体排出位置につながる片面印刷物排出口104と第1の記録媒体保持部201との間に形成されており、第1の記録媒体保持部201から片面印刷物排出口104に至る。
【0037】
第1の記録媒体保持部201と第1の記録媒体搬送経路202との境界位置の近傍には、第1の用紙センサ203が設けられている。第1の用紙センサ203は、第1の記録媒体保持部201から第1の記録媒体搬送経路202に引き出される記録媒体P(ロール紙P1)の有無に応じて出力値が変化する。具体的には、第1の用紙センサ203は、たとえば、マイクロスイッチやフォトセンサによって実現することができる。
【0038】
プリンタユニット101は、記録部(記録手段)204を備えている。記録部204は、サーマルヘッド205とプラテン206とを備えている。サーマルヘッド205とプラテン206とは、第1の記録媒体搬送経路202を間にして対向配置されている。サーマルヘッド205は、プラテン206に接触する位置とプラテン206から離間する位置とに移動可能に設けられている。
【0039】
サーマルヘッド205は、記録媒体Pの幅方向(
図2における紙面表裏方向)に沿ってライン状に配列された複数の発熱素子(発熱抵抗体)や、当該発熱素子を駆動するドライバIC(
図6を参照)などを備えている。ドライバICは、図示を省略する電源から、サーマルヘッド205における各発熱素子に接続された電極配線に選択的に通電することによって、通電された電極配線に対応する発熱素子を発熱させる。サーマルヘッド205は、発熱素子において発生した熱をインクリボン207に伝達し、当該インクリボン207に設けられた昇華性染料インクを記録媒体に昇華転写することによって、記録媒体に対する記録動作をおこなう。
【0040】
プラテン206は、記録媒体の幅方向を軸心方向とする円筒形状をなし、軸心周りに回転可能に設けられている。プラテン206は、接触する記録媒体の動きにより受動的に回転しながら、記録媒体を挟んで対向するサーマルヘッド205が記録媒体にかける圧力を受け止める。
【0041】
また、記録部204は、リボンユニット208を備えている。リボンユニット208は、インクリボン207を保持する一対のローラ209、210を備えている。一対のローラ209、210は、巻き取りローラ209と供給ローラ210とによって構成される。巻き取りローラ209は、回転可能に設けられており、
図2における時計回り方向に回転することにより、供給ローラ210が保持するインクリボン207を、当該リボンの一端側から巻き上げる。供給ローラ210は、巻回された長尺状のインクリボン207を、当該インクリボン207の外周側から繰り出し可能に保持する。供給ローラ210は、巻き取りローラ209が回転することによるインクリボン207の巻き上げにともなって、
図2における時計回り方向に回転し、インクリボン207を外周側から繰り出す。
【0042】
一対のローラ209、210は、サーマルヘッド205とプラテン206との間において、インクリボン207が張り渡されるようにして当該インクリボン207を保持する。一対のローラ209、210は、サーマルヘッド205とプラテン206との間において、インクリボン207におけるインク層がプラテン206に対向する状態で、当該インクリボン207を保持する。
【0043】
プリンタユニット101において、第1の記録媒体保持部201と第1の記録媒体搬送経路202との接続位置には、フラップ211が設けられている。フラップ211は、片面印刷時にはロール紙P1を第1の記録媒体保持部201から記録媒体搬送経路202へガイドするとともに、両面印刷時には片面印刷物排出口104からサーマルヘッド205側に向かって搬送される両面印刷用の記録媒体であるカット紙P2が第1の記録媒体保持部201に進入しないように、当該記録媒体Pの搬送位置をガイドする。
【0044】
プリンタユニット101において、片面印刷物排出口104の近傍には、第1のカッタ機構(第1の切断手段)212が設けられている。第1のカッタ機構212は、位置が固定された固定刃と、固定刃と接触しており、第1の記録媒体搬送経路202を分断する位置に設けられた可動刃と、を備えている(符号を省略する)。可動刃は、外周部分に刃を備えた円板形状をなし、固定刃に沿って記録媒体の幅方向に移動(往復移動)可能に設けられている。可動刃は、記録媒体の切断を待機している場合などの非動作時は、記録媒体の通過に支障のない位置に位置付けられる。
【0045】
第1のカッタ機構212は、可動刃用のモータなどの駆動源や、当該可動刃用のモータが発生させた駆動力を可動刃に伝達する動力伝達機構(図示を省略する)などを備えている。第1のカッタ機構212は、記録媒体Pにおける切断位置(切断対象とする位置)が、第1の記録媒体搬送経路202において可動刃が当該第1の記録媒体搬送経路202を横断するように移動(往復移動)する位置(すなわち第1のカッタ機構212による切断位置)まで搬送された状態で、可動刃用のモータが発生させた駆動力によって可動刃を記録媒体Pの幅方向に移動させることによって記録媒体Pを切断する。
【0046】
また、プリンタユニット101は、グリップローラ(第1のローラ)213とピンチローラ(第2のローラ)214とを備えている。グリップローラ213は、外周方向に突出した突起を有する。グリップローラ213は、記録部204による記録動作中の記録媒体Pの記録面の裏面側から当該記録媒体Pに当接する。ピンチローラ214は、第1の記録媒体搬送経路202を間にしてグリップローラ213に対向配置されている。
【0047】
グリップローラ213とピンチローラ214とは、第1の記録媒体搬送経路202を搬送される記録媒体Pを挟持する。グリップローラ213およびピンチローラ214が記録媒体を挟持して搬送できる力(グリップ力)を、記録媒体が記録部や用紙搬送経路から受ける負荷よりも十分大きく確保することにより、グリップローラ213と、記録媒体Pがスリップすることを防止できる。
【0048】
グリップローラ213とピンチローラ214で記録媒体Pを挟持した状態で、グリップローラ213を回転させることにより、サーマルヘッド205およびプラテン206による記録位置に対する当該記録媒体Pの位置を制御できる。この実施の形態においては、グリップローラ213およびピンチローラ214によって位置制御手段を実現することができる。
【0049】
また、プリンタユニット101において、片面印刷物排出口104の近傍であって、プリンタ100を設置した状態において第1のカッタ機構212の下方となる位置には、第1の余白片収容部215が設けられている。第1の余白片収容部215は、プリンタ100を設置した状態における上方に開口部を備え、当該開口部を介して第1のカッタ機構212が動作することにより発生した余白片を収容する。
【0050】
第1の余白片収容部215は、プリンタユニット101の筐体101aに対して着脱可能に設けられている。プリンタ100の利用者は、プリンタユニット101の筐体101aから第1の余白片収容部215を取り外すことにより、第1のカッタ機構212が動作することにより発生した余白片を容易に廃棄することができる。
【0051】
給紙・用紙反転ユニット102は、プリンタユニット101に設けられた電源から電力の供給を受けて動作する。給紙・用紙反転ユニット102は、第2の記録媒体保持部216を備えている。第2の記録媒体保持部216は、基材の両面に記録層が設けられた、両面記録に適した記録媒体Pを保持する。第2の記録媒体保持部216は、シート状の記録媒体Pを、それぞれの記録媒体Pを積層した状態で保持する。以下、第2の記録媒体保持部216が保持する記録媒体を、適宜「カット紙」とし、符号P2を付して説明する。
【0052】
給紙・用紙反転ユニット102は、第2の記録媒体搬送経路217を備えている。第2の記録媒体搬送経路217は、プリンタユニット101における第1の記録媒体搬送経路202と第2の記録媒体保持部216との間に形成され、第2の記録媒体保持部216から第1の記録媒体搬送経路202に至る。また、給紙・用紙反転ユニット102は、第2の記録媒体搬送経路217中にある記録媒体Pを、第2の記録媒体保持部216から第1の記録媒体搬送経路202に向かう方向に搬送する用紙搬送ローラ218A、218Cを備えている。
【0053】
給紙・用紙反転ユニット102は、シート供給機構(シート供給手段)219を備えている。シート供給機構219は、第2の記録媒体保持部216が保持するシート状の記録媒体P(カット紙P2)を、一枚ずつに捌いて第2の記録媒体搬送経路217に供給する。シート供給機構219は、用紙切り出しローラ220と用紙分離部(摩擦シート)221とを備えている。
【0054】
用紙切り出しローラ220は、第2の記録媒体保持部216が保持する記録媒体P(カット紙P2)のうち、最上位に積層されている記録媒体P(以下、適宜「最上位紙」という)に当接する。用紙切り出しローラ220は、たとえば、シリコンゴムを用いて形成することができる。また、シート供給機構219は、第2の記録媒体保持部216が保持する記録媒体の量(枚数)にかかわらず、用紙切り出しローラ220が常時最上位紙に当接するように、当該用紙切り出しローラ220を付勢する付勢機構222を備えている。
【0055】
この実施の形態において、用紙切り出しローラ220、用紙搬送ローラ218A、および用紙分離部(摩擦シート)221は、表面が平滑ではなく、表面が凹凸形状をなしている。あるいは、用紙切り出しローラ220、用紙搬送ローラ218A、および用紙分離部(摩擦シート)221は、表面が平滑ではなく、凹部あるいは凸部が設けられていてもよい。具体的に、用紙切り出しローラ220、用紙搬送ローラ218A、および用紙分離部(摩擦シート)221は、表面に、たとえば、エンボス加工、像肌加工などを施すことにより表面が平滑でなくなるようにすることができる。
【0056】
第2の記録媒体保持部216が保持する記録媒体P(カット紙P2)を第2の記録媒体搬送経路217に供給する際には、最上位紙に用紙切り出しローラ220を当接させた状態で、当該用紙切り出しローラ220の軸を中心として、
図2における反時計回り方向に回転させる。これにより、用紙切り出しローラ220と最上位紙との間の摩擦力によって、最上位紙が当該最上位紙の
図2における紙面右側の端部から第2の記録媒体搬送経路217に移動する。
【0057】
このとき、最上位紙である記録媒体P(カット紙P2)と当該最上位紙よりも下側に積層されている記録媒体P(カット紙P2)との摩擦、当該下側に積層されている記録媒体P(カット紙P2)どうしの摩擦などによって、複数枚の記録媒体P(カット紙P2)が同時に、第2の記録媒体搬送経路217に向かって移動しようとする。第2の記録媒体保持部216において、
図2における紙面右側には、用紙分離部(摩擦シート)221が設けられているため、用紙切り出しローラ220の回転によって第2の記録媒体搬送経路217に向かって移動しようとする複数枚の記録媒体P(カット紙P2)は、いずれも、用紙分離部(摩擦シート)221に当接する。そして、第2の記録媒体搬送経路217に向かって移動しようとする複数枚の記録媒体P(カット紙P2)に対して、当該移動を規制する規制力が作用し、これらの複数枚の記録媒体P(カット紙P2)の移動が停止する。
【0058】
用紙切り出しローラ220を形成する材料あるいは用紙切り出しローラ220の表面形状は、第2の記録媒体保持部216が保持する記録媒体P(カット紙P2)と用紙切り出しローラ220との間に作用する摩擦力が、記録媒体P(カット紙P2)の端部と用紙分離部(摩擦シート)221との間に作用する摩擦力よりも大きくなるように調整されている。また、用紙分離部(摩擦シート)221を形成する材料あるいは用紙分離部(摩擦シート)221の表面形状は、記録媒体P(カット紙P2)の端部と用紙分離部(摩擦シート)221との間に作用する摩擦力は、記録媒体P(カット紙P2)どうしの間に作用する摩擦力よりも大きくなるように調整されている。
【0059】
これにより、シート供給機構219は、用紙切り出しローラ220の回転によって第2の記録媒体搬送経路217に向かって移動しようとする複数枚の記録媒体P(カット紙P2)のうち、用紙切り出しローラ220が直に接触している最上位紙のみを、第2の記録媒体保持部216から第2の記録媒体搬送経路217に供給することができる。
【0060】
第2の記録媒体保持部216と第2の記録媒体搬送経路217との境界位置の近傍には、第2の用紙センサ223が設けられている。第2の用紙センサ223は、第2の記録媒体保持部216から第2の記録媒体搬送経路217に供給された記録媒体Pの有無に応じて出力値が変化する。具体的には、第2の用紙センサ223は、たとえば、第1の用紙センサ203と同様に、マイクロスイッチやフォトセンサによって実現することができる。
【0061】
給紙・用紙反転ユニット102は、第3の記録媒体搬送経路224を備えている。第3の記録媒体搬送経路224は、一部が第2の記録媒体搬送経路217と重複している。第3の記録媒体搬送経路224は、両端が第1の記録媒体搬送経路202に連続した、ループ形状をなしている。また、給紙・用紙反転ユニット102は、第1の記録媒体搬送経路202から第3の記録媒体搬送経路224に排出された記録媒体を、当該第3の記録媒体搬送経路224を経由して、再び第1の記録媒体搬送経路202に供給する方向に搬送する用紙搬送ローラ218Bを備えている。
【0062】
第3の記録媒体搬送経路224がループ形状をなしているため、第1の記録媒体搬送経路202から第3の記録媒体搬送経路224に排出された記録媒体Pは、用紙搬送ローラ218B、および218Cによって当該第3の記録媒体搬送経路224中を搬送されることにより、再び第1の記録媒体搬送経路202に供給される。第3の記録媒体搬送経路224中を搬送される記録媒体Pは、当該第3の記録媒体搬送経路224中を搬送されることにより、記録部204の記録位置(サーマルヘッド205の発熱素子に対向する位置)に対して、表裏を反転した状態で、再び第1の記録媒体搬送経路202に供給される。この発明にかかる実施の形態のプリンタ100においては、第3の記録媒体搬送経路224および当該第3の記録媒体搬送経路224において記録媒体Pを搬送する用紙搬送ローラ218B、218Cおよび当該用紙搬送ローラ218B、218Cに駆動力を付与する機構などによって、記録媒体反転手段を実現することができる。
【0063】
上記の用紙搬送ローラのうち、記録動作中に記録媒体が到達する位置に存在する用紙搬送ローラ218Bは、記録動作中は記録媒体Pに触れない位置に退避可能に設けられている。具体的には、用紙搬送ローラ218Bとモータとの間の輪列に連動してローラ位置が搖動するような機構(いずれも図示を省略する)を設けることにより、用紙搬送ローラ218Bに駆動力を付与するモータが記録媒体Pの搬送方向に回転した場合に、用紙搬送ローラ218Bのうち受動的に回転するローラ(押圧ローラ)が記録媒体Pに押し付けられるように動作し、モータが逆方向へ回転すると記録媒体Pから受動ローラが離れるように動く構成とすることによって実現することができる。
【0064】
また、用紙切り出しローラ220の駆動と、用紙搬送ローラ218A、218B、218Cの駆動は、動力となるモータとそれぞれのローラに到達するまでの輪列の中に、反対方向に回転した場合は空転することにより、駆動を遮断するワンウェイクラッチを挿入すれば、モータの回転方向を切り替えることにより、一つのモータで行うことが出来るが、その場合、モータと用紙切り出しローラ220との間の輪列には、適当な量のガタ(遊び)を設けることが好ましい。これによって、記録媒体P(カット紙P2)の表裏を反転した後に、用紙搬送ローラ218Bが退避する位置まで当該用紙搬送ローラ218Bに対応するモータを逆転させても、第2の記録媒体保持部216が保持する記録媒体P(カット紙P2)が切り出されないように構成することができる。
【0065】
給紙・用紙反転ユニット102が備える用紙搬送ローラ218のうち、表裏を反転された記録媒体Pが通過する位置に設けられた用紙搬送ローラ218Cは、クリーニングローラを兼ねている。クリーニングローラを兼ねる用紙搬送ローラ218Cは、記録媒体Pを搬送するとともに、再びプリンタユニット101に供給された際に記録動作がおこなわれる面(裏面)を清掃する清掃手段としての機能を実現する。
【0066】
第3の記録媒体搬送経路224において、第2の記録媒体搬送経路217と重複している部分には、フラップ225が設けられている。フラップ225は、第1の記録媒体搬送経路202から第3の記録媒体搬送経路224に排出された記録媒体Pの、第3の記録媒体搬送経路224における搬送位置を案内する。フラップ225は、記録媒体P2を第1の記録媒体搬送経路202から第3の記録媒体搬送経路224に排出する場合と、記録媒体Pを第3の記録媒体搬送経路224から第1の記録媒体搬送経路202に供給する場合とで、それぞれ異なる位置に位置付けられる(
図2および
図4を参照)。
【0067】
具体的には、フラップ225は、記録媒体を第1の記録媒体搬送経路202から第3の記録媒体搬送経路224に排出する場合は、
図2に示した位置に位置付けられる。また、具体的には、フラップ225は、記録媒体を第3の記録媒体搬送経路224から第1の記録媒体搬送経路202に供給する場合は、
図4に示した位置に位置付けられる。
【0068】
給紙・用紙反転ユニット102は、第4の記録媒体搬送経路226を備えている。第4の記録媒体搬送経路226は、第2の記録媒体排出位置につながる両面印刷物排出口105と、第1の記録媒体搬送経路202における給紙・用紙反転ユニット102側の端部との間に形成され、第1の記録媒体搬送経路202から両面印刷物排出口105に至る。また、給紙・用紙反転ユニット102は、第1の記録媒体搬送経路202から第4の記録媒体搬送経路226中に排出された記録媒体Pを、第1の記録媒体搬送経路202から両面印刷物排出口105に向かう方向に搬送する用紙搬送ローラ218D、218Eを備えている。
【0069】
第1の記録媒体搬送経路202から第4の記録媒体搬送経路226に排出された記録媒体Pは、グリップローラ213とピンチローラ214とによって把持された状態で、用紙搬送ローラ218D、218Eの搬送力を受けることによって、両面印刷物排出口105を介して給紙・用紙反転ユニット102の外に向かう方向に搬送される。この実施の形態においては、用紙搬送ローラ218D、218E、グリップローラ213およびピンチローラ214などによって、第1の記録媒体搬送経路202から第4の記録媒体搬送経路226に排出された記録媒体を、両面印刷物排出口105を介して給紙・用紙反転ユニット102の外(第2の記録媒体排出位置)まで搬送する記録媒体排出手段を実現することができる。
【0070】
第3の記録媒体搬送経路224において、第2の記録媒体搬送経路217と重複している部分であって、第4の記録媒体搬送経路226との境界位置には、フラップ227が設けられている。フラップ227は、プリンタユニット101から第1の記録媒体搬送経路202を介して給紙・用紙反転ユニット102へ排出された記録媒体の搬送位置を案内する。フラップ227は、プリンタユニット101から第1の記録媒体搬送経路202を介して給紙・用紙反転ユニット102へ排出された記録媒体が第4の記録媒体搬送経路226に進入することを防止する位置(
図2、
図3、
図4を参照)と、当該記録媒体を第4の記録媒体搬送経路226に案内する位置(
図5を参照)と、のいずれか一方に選択的に位置付けられる。
【0071】
また、給紙・用紙反転ユニット102において、両面印刷物排出口105の近傍には、第2のカッタ機構(第2の切断手段)228が設けられている。第2のカッタ機構228は、当該第2のカッタ機構228による切断位置と、プリンタユニット101が備えるグリップローラ213などの用紙搬送ローラ218との距離が、プリンタ100において、記録媒体P2に記録可能な最小の記録物の長さより短くなる位置に設けられている。
【0072】
第2のカッタ機構228は、第1のカッタ機構212と同様の構成をなし、位置が固定された固定刃と、第2の記録媒体搬送経路217を間にして固定刃に対向する位置に設けられた可動刃と、を備えている(いずれも符号を省略する)。第2のカッタ機構228は、第1のカッタ機構212と同様の構成をなすため、説明を省略する。
【0073】
この発明にかかる実施の形態のプリンタ100において、フラップ227は、第4の記録媒体搬送経路226に設けられた用紙搬送ローラ218D、および用紙搬送ローラ218Eの駆動をおこなうモータの駆動力によって動作する。このフラップ227を駆動するモータは、第4の記録媒体搬送経路226に設けられた用紙搬送ローラ218D、218Eの駆動とフラップ227の駆動とを兼用する。
【0074】
具体的には、フラップ227が回動する支点となる支点軸上に歯車を設け、当該歯車を、図示を省略するクラッチ機構(トルクリミッタ)により排出側の用紙搬送ローラ218D、218Eを駆動する輪列と結合する。フラップ227は、第4の記録媒体搬送経路226において記録媒体Pを排出する方向へ用紙搬送ローラ218D、218Eを回転させるようモータを駆動すると、記録媒体Pを両面印刷物排出口105から排出する方向へ導く方向へ動くように構成されている(
図5の位置)。また、フラップ227は、第4の記録媒体搬送経路226において記録媒体Pを排出する方向とは逆方向へ用紙搬送ローラ218D、218Eを回転させるようモータを駆動すると、第3の記録媒体搬送経路224側へ導く方向へ動くように構成されている(
図2の位置)。
【0075】
また、給紙・用紙反転ユニット102において、両面印刷物排出口105の近傍であって、プリンタ100を設置した状態において第2のカッタ機構228の下方となる位置には、第2の余白片収容部229が設けられている。第2の余白片収容部229は、プリンタ100を設置した状態における上方に開口部を備え、当該開口部を介して第2のカッタ機構228が動作することにより発生した余白片を収容する。
【0076】
第2の余白片収容部229は、給紙・用紙反転ユニット102の筐体101aに対して着脱可能に設けられている。プリンタ100の利用者は、給紙・用紙反転ユニット102の筐体101aから第2の余白片収容部229を取り外すことにより、第2のカッタ機構228が動作することにより発生した余白片を容易に廃棄することができる。
【0077】
この発明にかかる実施の形態のプリンタ100においては、第2の記録媒体保持部216が保持するシート状の記録媒体P(カット紙P2)を第2の記録媒体搬送経路217に供給する動作(切り出し動作)と、第2の記録媒体搬送経路217に供給した(切り出した)記録媒体P(カット紙P2)を給紙・用紙反転ユニット102からプリンタユニット101へ搬送する動作と、を1つのモータでおこなうように構成してもよい。
【0078】
具体的には、たとえば、第2の記録媒体搬送経路217に記録媒体P(カット紙P2)を供給する(切り出す)用紙切り出しローラ220、および、給紙・用紙反転ユニット102からプリンタユニット101へ搬送する用紙搬送ローラ218A、218B、218Cまでの各々の輪列中にワンウェイクラッチを設け、用紙切り出しローラ220を駆動しているときには、用紙搬送ローラ218A、218B、218Cまでの輪列中のワンウェイクラッチが空転して駆動力が伝達されず、用紙搬送ローラ218A、218B、218Cを駆動しているときには、用紙切り出しローラ220までの輪列中のワンウェイクラッチが空転して駆動力が伝達されないような構成によって実現することができる。
【0079】
これにより、シート供給機構219を駆動するモータの回転方向により、第2の記録媒体搬送経路217および第3の記録媒体搬送経路224において、記録媒体P2を切り出す、あるいは、切り出す動作は行わないで、記録媒体P2を搬送するなどの複数の動作を1つのモータによって選択的におこなうことができる。
【0080】
(プリンタ100のハードウエア構成)
つぎに、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100のハードウエア構成について説明する。
図6は、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100のハードウエア構成を示す説明図である。
図6において、プリンタ100は、マイクロコンピュータ601と、通信I/F(インターフェイス)602と、ドライバIC603と、モータドライバ604と、状態報知ランプ103と、第1の用紙センサ203および第2の用紙センサ223と、を備えている。マイクロコンピュータ601、通信I/F602、ドライバIC603、モータドライバ604、状態報知ランプ103、第1の用紙センサ203および第2の用紙センサ223の各部は、バス605によって接続されている。
【0081】
マイクロコンピュータ601は、プリンタ100が備える各部を駆動制御する。マイクロコンピュータ601は、たとえば、CPU、ROMやRAMなどのメモリ、入出力回路やタイマー回路などの各種回路を実装した基板によって実現することができる。この実施の形態のプリンタ100においては、マイクロコンピュータ601によって、当該プリンタユニット101が備える各部および給紙・用紙反転ユニット102が備える各部を駆動制御する制御手段を実現することができる。
【0082】
マイクロコンピュータ601は、メモリに記憶された各種データや通信I/F602を介して外部装置から受信した各種データに基づいて、当該メモリに記憶された各種の制御プログラムをCPUにおいて実行することによってプリンタ100が備える各部を駆動制御する。マイクロコンピュータ601において、CPUは、たとえば、記録命令情報に基づく印刷にかかるイメージデータを展開する際のワークエリアとしてRAMを使用する。
【0083】
通信I/F602は、図示を省略する外部装置に接続されている。通信I/F602は、ネットワークと内部とのインターフェイスをつかさどり、コンピュータ装置におけるデータの入出力を制御する。外部装置は、たとえば、プリンタ100に対する記録命令情報を生成し、生成した記録命令情報をプリンタ100に対して出力する。記録命令情報は、たとえば、記録媒体Pに記録する画像などに関する情報や、当該情報の記録を指示するコマンドなどを含む。外部装置は、具体的には、デジタルカメラで撮影した画像をプリント出力するサービスを提供するDPE店などに設置されたパーソナルコンピュータによって実現することができる。
【0084】
ドライバIC603は、マイクロコンピュータ601によって駆動制御される。ドライバIC603は、マイクロコンピュータ601によって駆動制御されることにより、サーマルヘッド205における複数の発熱素子のそれぞれに対応する電極配線に対して選択的に通電する。これにより、各発熱素子を選択的に発熱させることができる。サーマルヘッド205の発熱素子において発生した熱をインクリボン207を介して記録媒体の記録層に伝達することによって、当該インクリボン207に設けられた昇華性染料インクを記録媒体に昇華転写し、記録媒体に対する記録動作をおこなうことができる。
【0085】
モータドライバ604は、マイクロコンピュータ601によって駆動制御される。モータドライバ604は、マイクロコンピュータ601によって駆動制御されることにより、グリップローラ213用のモータ、用紙搬送ローラ218A、218B、218C用のモータ、用紙搬送ローラ218D、218E用のモータ、可動刃用のモータおよびサーマルヘッド205を移動させるためのモータなどの各種モータ600を駆動制御する。グリップローラ213用のモータや用紙搬送ローラ218A、218B、218C用のモータ、および用紙搬送ローラ218D、218E用のモータは、たとえば、ステッピングモータなどによって実現することができる。可動刃用のモータは、たとえば、DCモータなどによって実現することができる。モータドライバ604は、グリップローラ213用のモータ、用紙搬送ローラ218用のモータおよび可動刃用のモータなどのモータごとに設けることができる。
【0086】
モータドライバ604は、マイクロコンピュータ601からの制御信号に基づいて該当するモータを駆動制御し、各種モータ600の励磁シーケンスや印加する電流の方向を切り換える。各種モータ600は、それぞれ、モータドライバ604によって駆動制御されることにより、電気エネルギーを機械エネルギーに変換し、回転駆動力を発生する。また、各種モータ600の回転方向は、モータドライバ604による励磁シーケンスや印加する電流の方向の切り換えに応じて切り換わる。
【0087】
状態報知ランプ103は、マイクロコンピュータ601によって駆動制御され、プリンタ100の状態に応じて点灯したり消灯したりする。状態報知ランプ103は、たとえば、LEDによって実現することができる。状態報知ランプ103は、たとえば、プリンタ100への電源の供給状態、プリンタ100におけるエラー発生の有無、記録媒体の有無などの報知内容に応じて点灯したり消灯したりする。
【0088】
状態報知ランプ103は、たとえば、報知内容ごとに複数設けることができる。あるいは、状態報知ランプ103は、たとえば、報知内容ごとに発光色を異ならせてもよい。あるいは、状態報知ランプ103は、たとえば、報知内容ごとに点滅させたり点灯させたりして、報知内容ごとに点灯パターンを異ならせてもよい。
【0089】
第1の用紙センサ203および第2の用紙センサ223の出力値は、マイクロコンピュータ601に入力される。第1の用紙センサ203および第2の用紙センサ223の出力値は、常時マイクロコンピュータ601に入力されるものであってもよく、出力値に変化があった場合にマイクロコンピュータ601に入力されるものであってもよい。
【0090】
(プリンタ100がおこなう記録動作)
つぎに、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100がおこなう記録動作について説明する。上述したように、プリンタ100は、片面記録および両面記録をおこなうことができる。
【0091】
(片面記録)
図7、
図8、
図9、
図10および
図11は、片面記録に際してプリンタ100(マイクロコンピュータ601)がおこなう記録動作を示す説明図である。プリンタ100は、外部装置から片面記録を指示する記録命令情報(片面印刷データ)を受信するまで待機する(
図7を参照)。そして、プリンタ100は、外部装置から片面印刷データを受信した場合に、片面記録にかかる記録動作を開始する。
【0092】
プリンタ100は、片面印刷データを受信した場合、該当するモータドライバ604を駆動制御して、当該モータドライバ604に対応する用紙搬送ローラ218Fを所定方向に回転させる。この場合、プリンタ100は、第1の記録媒体搬送経路202中の記録媒体が、第1の記録媒体保持部201から片面印刷物排出口104へ向かって移動する方向に、第1の記録媒体搬送経路202に設けられた用紙搬送ローラ218Fを回転させる。
【0093】
これにより、第1の記録媒体保持部201が保持する記録媒体P(ロール紙P1)が、第1の記録媒体保持部201から第1の記録媒体搬送経路202に引き出される。記録媒体P(ロール紙P1)を第1の記録媒体搬送経路202に引き出す際に、プリンタ100は、第1の用紙センサ203、および図示されない用紙経路202上の用紙センサの出力値に基づいて、第1の記録媒体保持部201が保持する記録媒体P(ロール紙P1)の先端が、第1の記録媒体搬送経路202に引き出され、グリップローラ213とピンチローラ214で挟持されたか否かを判断することができる。
【0094】
プリンタ100は、引き続き、該当するモータドライバ604を駆動制御して、当該モータドライバ604に対応するグリップローラ213を所定方向に回転させる。プリンタ100は、記録媒体の先端が、あらかじめ設定された記録動作の開始位置(印刷開始位置)に到達するまで、第1の記録媒体保持部201が保持する記録媒体P(ロール紙P1)を、第1の記録媒体搬送経路202中に引き出す(
図8を参照)。
【0095】
記録動作の開始位置(印刷開始位置)は、第1の記録媒体搬送経路202に引き出した記録媒体P(ロール紙P1)の先端から記録部204の記録位置までの長さが、外部装置から受信した記録命令情報に基づいて特定される記録物の寸法よりも長くなる位置に設定することができる。プリンタ100は、記録媒体P(ロール紙P1)を第1の記録媒体保持部201から引き出す際には、サーマルヘッド205をプラテン206から離間させる。
【0096】
つぎに、プリンタ100は、サーマルヘッド205をプラテン206側に移動させ、サーマルヘッド205とプラテン206とによって記録媒体およびインクリボン207を挟持する。この状態で、第1の記録媒体保持部201から第1の記録媒体搬送経路202に引き出した記録媒体P(ロール紙P1)を、第1の記録媒体保持部201に引き込む方向に搬送しながら、記録命令情報に基づいて、サーマルヘッド205が備える発熱素子を選択的に発熱させる(
図9を参照)。これにより、発熱素子において発生した熱がインクリボン207に伝達され、当該インクリボン207に設けられた昇華性染料インクが記録媒体に昇華転写され、記録媒体Pに対する記録動作をおこなうことができる。
【0097】
上記の記録動作は、インク層の色ごとにおこなう、いわゆるYMC面順次印刷をおこなう。具体的には、たとえば、1色目(たとえばイエロー(Y))の記録動作をおこない、つぎに2色目(たとえばマゼンタ(M))の記録動作をおこない、そのつぎに3色目(シアン(C))の記録動作をおこなう。プリンタ100は、各色の記録動作をおこなうごとに、当該記録動作により第1の記録媒体保持部201に引き込まれた記録媒体P(ロール紙P1)の先端が、再び印刷開始位置に到達するまで、当該記録媒体P(ロール紙P1)を第1の記録媒体搬送経路202に引き出す(
図8を参照)。
【0098】
具体的には、1色目(たとえばイエロー(Y))の記録動作をおこなった後、記録媒体Pの先端が印刷開始位置に到達するまで記録媒体P(ロール紙P1)を第1の記録媒体搬送経路202に引き出す。そして、2色目(たとえばマゼンタ(M))の記録動作をおこない、当該2色目(たとえばマゼンタ(M))の記録動作をおこなった後、記録媒体の先端が印刷開始位置に到達するまで記録媒体P(ロール紙P1)を第1の記録媒体搬送経路202に引き出す。3色目(シアン(C))の記録動作も同様におこなう。
【0099】
そして、記録媒体Pの片面に対してすべての色の記録動作をおこなった後、記録動作をおこなった記録面にオーバーコート層を設ける。プリンタ100は、記録動作をおこなった記録媒体Pの先端が印刷開始位置に到達するまで記録媒体P(ロール紙P1)を第1の記録媒体搬送経路202に引き出した状態で、上記の記録動作をおこなうことによって、記録動作をおこなった記録面にオーバーコート層を設ける。オーバーコート層は、記録動作をおこなった記録面の全面に設ける。
【0100】
つぎに、プリンタ100は、該当するモータドライバ604を駆動制御して、オーバーコート層を設けた記録媒体P(ロール紙P1)が、第1の記録媒体保持部201から片面印刷物排出口104へ向かって移動する方向に、第1の記録媒体搬送経路202に設けられたグリップローラ213を回転させる。プリンタ100は、オーバーコート層を設けた記録媒体P(ロール紙P1)の先端が、第1のカッタ機構212による切断位置を通過して、所定の位置まで引き出されるまで該当するモータドライバ604を駆動制御する。
【0101】
そして、オーバーコート層を設けた記録媒体P(ロール紙P1)を所定の位置まで引き出した状態で、第1のカッタ機構212における可動刃用のモータのモータドライバ604を駆動制御して、可動刃を動作させる(
図10を参照)。これにより、片面記録をおこなった記録媒体の先端の余白が記録物から切断される。この切断により生じた余白片は、第1の余白片収容部215に収容される。
【0102】
さらに、片面記録をおこなった記録媒体の先端の余白を切断した記録媒体P(ロール紙P1)を、片面印刷物排出口104へ向かって搬送する方向にグリップローラ213が回転するように、該当するモータドライバ604を駆動制御する。プリンタ100は、片面記録をおこなった記録媒体P(ロール紙P1)が、当該記録媒体における記録部204分が第1のカッタ機構212による切断位置を通過して、所定の位置まで搬送されるまで、該当するモータドライバ604を駆動制御する。
【0103】
この状態で、第1の切断手段における可動刃用のモータのモータドライバ604を駆動制御して、再度、可動刃を動作させる(
図11を参照)。これにより、片面記録をおこなった記録媒体の記録部と未記録部の境界が切断される。このように、片面記録をおこなった記録媒体の記録部両端を切断することにより、余白のない記録物(縁なしの記録物)を提供することができる。
【0104】
(両面記録)
図12、
図13、
図14、
図15、
図16、
図17、
図18、
図19、
図20、
図21および
図22は、両面記録に際してプリンタ100(マイクロコンピュータ601)がおこなう記録動作を示す説明図である。プリンタ100は、外部装置から両面記録を指示する記録命令情報(両面印刷データ)を受信するまで待機する(
図12を参照)。そして、プリンタ100は、両面印刷データを受信した場合に、両面記録にかかる記録動作を開始する。
【0105】
プリンタ100は、両面印刷データを受信した場合、該当するモータドライバ604を駆動制御することにより、当該モータドライバ604に対応する用紙切り出しローラ220用のモータを駆動制御して、用紙切り出しローラ220を
図12〜
図22における反時計回り方向に回転させる。
【0106】
また、プリンタ100は、第2の用紙センサ223が用紙を検出すると、該当するモータドライバ604を駆動制御することにより、当該モータドライバ604に対応する用紙搬送ローラ218A、218C用のモータを駆動制御する。これにより、用紙搬送ローラ218A、218Cを所定方向に回転させる。
【0107】
この場合、プリンタ100は、第2の記録媒体搬送経路217に設けられた用紙搬送ローラ218A、218Cを、当該第2の記録媒体搬送経路217における記録媒体が第2の記録媒体保持部216から第1の記録媒体搬送経路202へ向かって移動する方向に回転させる。これにより、第2の記録媒体保持部216が保持する記録媒体P(カット紙P2)が、第2の記録媒体保持部216から第2の記録媒体搬送経路217に引き出され、第2の記録媒体搬送経路217を経由して第1の記録媒体搬送経路202へ搬送される(
図13を参照)。
【0108】
また、この場合、プリンタ100は、該当するモータドライバ604を駆動制御することにより、グリップローラ213を、第1の記録媒体搬送経路202における記録媒体が片面印刷物排出口104へ向かって移動する方向に回転させる。これにより、第2の記録媒体保持部216が保持する記録媒体P(カット紙P2)が、第2の記録媒体保持部216から開始位置(印刷開始位置)に到達するまで移動する(
図14を参照)。記録媒体を第2の記録媒体保持部216から引き出す際には、サーマルヘッド205はプラテン206から離間している。
【0109】
つぎに、サーマルヘッド205をプラテン206側に移動し、サーマルヘッド205とプラテン206とによって記録媒体およびインクリボン207を挟持するとともに、用紙搬送ローラ218Bを離間させ、記録中の記録媒体に触れない位置に退避する。この状態で、第2の記録媒体保持部216から第1の記録媒体搬送経路202に引き出した記録媒体を、第3の記録媒体保持部に引き込む方向に搬送しながら、記録命令情報に基づいてサーマルヘッド205が備える発熱素子を選択的に発熱させる(
図15を参照)。これにより、発熱素子において発生した熱がインクリボン207に伝達され、当該インクリボン207に設けられた昇華性染料インクが記録媒体に昇華転写され、記録媒体の片面(表面)に対する記録動作をおこなうことができる。
【0110】
そして、上記の片面記録の場合と同様にして、記録媒体P(カット紙P2)の片面(表面)に対してすべての色の記録動作をおこなった後、片面記録された記録媒体P(カット紙P2)の記録面に、オーバーコート層を設ける。オーバーコート層は、上記の片面記録の場合と同様に、記録動作をおこなった記録面の全面に設ける。記録媒体の片面(表面)に対する記録動作が完了した後は、サーマルヘッド205とプラテン206とを離間させる。
【0111】
つぎに、オーバーコート層を設けた記録媒体P(カット紙P2)を、第3の記録媒体搬送経路224へ向かって搬送する方向に用紙搬送ローラ218B、218Cおよびグリップローラ213が回転するように、該当するモータドライバ604を駆動制御する。
【0112】
そして、プリンタ100は、該当するモータドライバ604を駆動制御して、当該モータドライバ604に対応する用紙搬送ローラ218B、218Cおよびグリップローラ213を所定方向に回転させる。この場合、プリンタ100は、第3の記録媒体搬送経路224に引き込んだ記録媒体が、再び第1の記録媒体搬送経路202に供給される方向に、第3の記録媒体搬送経路224中に設けられた用紙搬送ローラ218B、218Cおよびグリップローラ213を回転させる。このとき、用紙搬送ローラ218Bは、記録媒体と接し、記録媒体を搬送できる位置となる。
【0113】
記録媒体P(カット紙P2)は、第3の記録媒体搬送経路224を経由して、再び第1の記録媒体搬送経路202に供給されることによって、記録位置に対する表裏が反転される(
図16を参照)。プリンタ100は、表裏を反転されて第1の記録媒体搬送経路202に供給された記録媒体の先端が印刷開始位置に到達するまで、当該記録媒体P(カット紙P2)を、片面印刷物排出口104へ向かって搬送する(
図17を参照)。
【0114】
つぎに、サーマルヘッド205をプラテン206側に移動し、サーマルヘッド205とプラテン206とによって再び第1の記録媒体搬送経路202に供給された記録媒体およびインクリボン207を挟持するとともに、用紙搬送ローラ218Bを離間させ、記録中の記録媒体に触れない位置に退避する(
図18を参照)。この状態で、再び第1の記録媒体搬送経路202に供給した記録媒体を、第3の記録媒体保持部に引き込む方向に搬送しながら、記録命令情報に基づいてサーマルヘッド205が備える発熱素子を選択的に発熱させることにより、記録媒体の裏面に対する記録動作をおこなうことができる。その後、表面に対する記録動作と同様にして、裏面に対してオーバーコート層を設ける。記録媒体の裏面に対する記録動作が完了した後は、サーマルヘッド205とプラテン206とを離間させる。
【0115】
つぎに、プリンタ100は、両面記録をおこなった記録媒体P(カット紙P2)が、当該記録媒体の先端が第1のカッタ機構212による切断位置を通過して、所定の位置まで引き出されるまで該当するモータドライバ604を駆動制御する(
図19を参照)。この状態で、第1のカッタ機構212における可動刃用のモータのモータドライバ604を駆動制御して、可動刃を動作させる。これにより、両面記録をおこなった記録媒体の一端側の余白が記録物から切断される。この切断により生じた余白片は、第1の余白片収容部215に収容される。
【0116】
つぎに、必要に応じて、該当するモータドライバ604を駆動制御してグリップローラ213を回転させ、記録媒体をフラップ227の位置の切り換えに支障のない位置まで移動(
図20を参照)した後に、フラップの位置を切り換えるとともに、記録媒体P(カット紙P2)を、第4の記録媒体搬送経路226へ向かって搬送する方向に用紙搬送ローラ218D、218Eおよびグリップローラ213が回転するように、該当するモータドライバ604を駆動制御する。そして、一方の端部を切断した記録媒体P(カット紙P2)の他端が第2のカッタ機構228による切断位置を通過して、所定の位置に達するまで該当するモータドライバ604を駆動制御する(
図21を参照)。
【0117】
この状態で、第2のカッタ機構228における可動刃用のモータのモータドライバ604を駆動制御して、可動刃を動作させる。これにより、両面記録をおこなった記録媒体の両端の余白が記録物から切断される。この切断により生じた余白片は、第2の余白片収容部229に収容される。つぎに、該当するモータドライバ604を駆動制御して用紙搬送ローラ218D,218Eおよびグリップローラ213を回転させ、両端の余白が切断された記録媒体P2を、両面印刷物排出口105を介して、排紙トレイ106に排出する(
図22を参照)。このように、両面記録をおこなった記録媒体の両端の余白を記録物切断することにより、余白のない記録物(縁なしの記録物)を提供することができる。
【0118】
なお、余白カットは、上記シーケンスにとらわれることなく、カット紙P2の両端の余白を第2のカッタ機構で行ってもよい。その場合、両面に印刷が終了した記録媒体P2を、前記と同様の要領でフラップを切り替えて第4の記録媒体搬送経路226へ搬送し、先端の余白をカットする。つぎに記録媒体P2を一旦プリンタユニット101へ引き戻し、前記手順と同様に用紙の表裏を反転させてからプリンタユニット101まで記録媒体P2を搬送する。その後、再び記録媒体P2を第4の記録媒体搬送経路226へ搬送し、残されたもう一方の余白を切断することで実現できる。
【0119】
上記のように、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、以下に示す特徴を備える。すなわち、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、ロール状に巻回された印画紙の一方の面に、インクリボン207のインクをサーマルヘッド205で熱転写することで任意の画像を印刷し、カット排出する一般的な熱転写プリンタ100(プリンタユニット101)と、前記プリンタ100(プリンタユニット101)にカットされた印画紙を供給でき、かつ、少なくとも1つ以上の給紙部と用紙の表裏を反転することができる用紙反転部をもつ給紙・用紙反転ユニット102と、を組み合わせることによって構成されているという特徴を備える。
【0120】
これにより、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、プリンタユニット101において保持する片面記録に適した記録媒体(片面印刷用印画紙)および給紙・用紙反転ユニット102において保持する両面記録に適した記録媒体(両面印刷用印画紙)に選択的に記録をおこなった記録物を得ることができる。
【0121】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、片面記録した記録媒体P(カット紙P2)を、ループ形状をなす第3の記録媒体搬送経路224中を搬送することによって、記録部204の記録位置に対して当該記録媒体P(カット紙P2)の表裏を反転する機構(反転機構)によって、記録媒体P(カット紙P2)の表裏を入れ替えるという特徴を備える。
【0122】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、記録媒体P(カット紙P2)をプリンタユニット101に供給する第2の記録媒体搬送経路217と、記録媒体P(カット紙P2)の表裏を反転するための第3の記録媒体搬送経路224と、の一部が兼ねられているという特徴を備える。
【0123】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、給紙・用紙反転ユニット102側の用紙反転のためのループパスである第3の記録媒体搬送経路224に、記録媒体において記録動作がおこなわれる面を清掃(クリーニング)する機構を備えたという特徴を備える。
【0124】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、給紙・用紙反転ユニット102が、第2の記録媒体保持部216が保持するシート状の記録媒体P(カット紙P2)を、一枚ずつに捌いて第2の記録媒体搬送経路217に供給するシート供給機構219と、シート状の記録媒体P(カット紙P2)の両端に位置する余白を切断する第2のカッタ機構228と、を備えたという特徴を備える。
【0125】
シート状の記録媒体P(カット紙P2)を用いた両面記録に際して、記録面の全面に記録がなされた縁無しの記録物を得るためには、記録媒体において搬送方向の先端および後端となる両端の余白をカットする必要がある。従来、適切な長さにカットして使用する長尺状の記録媒体P(ロール紙P1)を記録対象として設計された一般的なプリンタは、切断する前の長い状態の記録媒体P(ロール紙P1)を把持することによって切断する位置を決定する構造とされているが、長さが限定されているシート状の記録媒体P(カット紙P2)の両端を精度よく切断することは難しい。
【0126】
これに対し、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、給紙・用紙反転ユニット102側に余白を切断するための第2のカッタ機構228と両面印刷物排出口105とを備えたことを特徴としているため、シート状の記録媒体P(カット紙P2)を用いた記録動作に際して、当該記録媒体P(カット紙P2)における余白の切断時に、当該記録媒体P(カット紙P2)を固定し、高精度に切断することができるという特徴を備える。
【0127】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、給紙・用紙反転ユニット102が備えるカッタの下部に、カットした余白片を収容できる収容箱を備えたという特徴を備える。また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、片面記録をおこなった記録物と両面記録をおこなった記録物とを、それぞれ異なる排出口(片面印刷物排出口104および両面印刷物排出口105)から排出するという特徴を備えている。
【0128】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、給紙・用紙反転ユニット102側に設けられた第2のカッタ機構228による切断位置と、プリンタ100におけるグリップローラ213との距離が、記録媒体P2への両面印刷で対応する最短印画物の長さより短く設定されていることを特徴としている。これにより、グリップローラ213を用いて、両面記録に際しての記録媒体の余白を精度良く切断することができる。
【0129】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、プリンタユニット101と給紙・用紙反転ユニット102との連結部に位置決めのための形状を備えたという特徴を備えている。また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、給紙・用紙反転ユニット102の用紙搬送ローラ218Bが、記録動作中は記録媒体に触れない位置に退避しており、記録媒体を反転する際には搬送できる位置へ動くことを特徴としている。印刷中に用紙にローラが触れると印画ムラになってしまうが、このプリンタ100のように給紙・用紙反転ユニット102の用紙搬送ローラ218Bを退避させることにより、印画ムラの発生を防止して、高品質の印画物を得ることができる。
【0130】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、給紙・用紙反転ユニット102に、用紙の幅方向の位置調整部をもつことを特徴としている。すなわち、左右印画位置を合わせるとともに、用紙の給紙角度も修正してからプリンタ100へ給紙することができるので、左右印画位置のばらつきを抑制し、高品質の記録物を得ることができる。
【0131】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、第2の記録媒体保持部216が保持するシート状の記録媒体P(カット紙P2)を第2の記録媒体搬送経路217に供給する動作(切り出し動作)と、第2の記録媒体搬送経路217に供給した(切り出した)記録媒体P(カット紙P2)を給紙・用紙反転ユニット102からプリンタユニット101へ搬送する動作と、を1つのモータでおこない、記録媒体P(カット紙P2)の切り出し動作と、切り出した用紙を給紙・用紙反転ユニット102からプリンタユニット101へ供給する動作とを1つのモータでおこなうとともに、当該モータの回転方向により各々の動作を選択的におこなうことができるという特徴を備える。
【0132】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、用紙搬送ローラ218Bが、記録動作中には記録媒体に触れず、記録媒体の搬送に際しては当該記録媒体を搬送できる位置まで移動するための動作を、用紙搬送ローラ218Bに駆動力を付与するモータでおこなうという特徴を備える。
【0133】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、第3の記録媒体搬送経路224と第4の記録媒体搬送経路226とを切り替えるためのフラップ機構が設けられており、そのフラップ機構の駆動が、排出側に設けられた用紙搬送ローラ218D、218Eの駆動をおこなうモータで兼ねることができるという特徴を備える。
【0134】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、給紙・用紙反転ユニット102側は、プリンタユニット101に設けられた電源から電力を受けて動作するという特徴を備える。プリンタ100において、最も電力を要する記録動作中は、給紙・用紙反転ユニット102の動きは少ない。この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、プリンタユニット101に設けられた電源から給紙・用紙反転ユニット102へ電力を供給することにより、記録動作中は少なくなる給紙・用紙反転ユニット102の動きを考慮し、プリンタユニット101側の電源を増やすことなく、給紙・用紙反転ユニット102が消費する電力を賄うことができるという特徴を備える。このように、プリンタユニット101と給紙・用紙反転ユニット102とにおいて電源を共通で使用することにより、プリンタ100の構成を簡易(シンプル)にすることができ、プリンタ100の小型化や製造にかかるコスト低減を図ることができる。
【0135】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、給紙・用紙反転ユニット102側の制御をプリンタユニット101のマイクロコンピュータ601(コントロール基板)でおこなうという特徴を備える。給紙・用紙反転ユニット102の制御は、プリンタユニット101の制御と比較して簡易な制御であり、この給紙・用紙反転ユニット102の制御をプリンタユニット101のマイクロコンピュータ601によっておこなうことにより、給紙・用紙反転ユニット102を専用に駆動する制御基板を設けることなく、給紙・用紙反転ユニット102の動作をコントロールすることができる。
【0136】
また、このように、プリンタユニット101と給紙・用紙反転ユニット102とにおいて制御にかかるマイクロコンピュータ601を共通で使用することにより、プリンタ100の構成を簡易(シンプル)にすることができ、プリンタ100の小型化や製造にかかるコスト低減を図ることができる。
【0137】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、用紙パスを構成するガイド部材のうち、一部が開閉可能な構造となっており、用紙ジャム時など、復旧作業が容易になるように構成されており、そのガイド部材が、プリンタ100の前面からアクセス可能な場所に設けられていることを特徴とする。
【0138】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、用紙切り出しローラ220の材質がシリコンゴムであるという特徴を備える。両面用の記録媒体を想定した場合、記録動作前の受像紙の写真となる面にローラが接触する。たとえば、EPDM(エチレン・プロピレンゴム)などのローラ材質では、ローラ中の可塑剤が受像紙に影響を及ぼし(受容層を軟化させる)などして、濃度ムラになることがある)。これに対し、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、用紙切り出しローラ220が接触することによる濃度ムラの発生を抑制することができる。
【0139】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、用紙搬送ローラ218のうち、印画品質に影響のあるローラの材質がシリコンゴムであるという特徴を備える。また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、用紙切り出し部の、分離機構に用いられ、受像紙表面と接触する摩擦材の材質がシリコンゴムであるという特徴を備える。これらにより、用紙切り出しローラ220の場合と同様に、用紙搬送ローラ218や用紙分離部(摩擦シート)221に接触することによる濃度ムラの発生を抑制することができる。
【0140】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、用紙切り出しローラ220、用紙搬送ローラ218のうち必要なローラ、および用紙分離部(摩擦シート)221の表面が平滑でないという特徴を備える。用紙切り出しローラ220、用紙搬送ローラ218のうち必要なローラ、および用紙分離部(摩擦シート)221は、平滑な面では摩擦力が安定しにくい。より具体的には、摩擦材の表面が平滑な場合、きれいな面同士が接触すると非常に大きな摩擦が生じるが、紙粉などにより急激に摩擦力が小さくなってしまう。用紙切り出しローラ220、用紙搬送ローラ218のうち必要なローラ、および用紙分離部(摩擦シート)221を、凹凸を持つ表面の摩擦材によって実現することにより、紙粉の影響を小さくし、安定した摩擦力を得ることができる。
【0141】
これに対して、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、摩擦力を安定化し、安定した搬送をおこなうことができる。
【0142】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、シート状の記録媒体P(カット紙P2)に代えて、給紙・用紙反転ユニット102において、ロール状の記録媒体P(ロール紙P1)を保持するとともに、当該ロール紙P1を所定の長さに切断してから給紙する構造としてもよい。
【0143】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、記録媒体の表裏を反転する第3の記録媒体搬送経路224に、たとえば溶融型インクや転写箔などを転写する熱転写ユニットを設けるようにしてもよい。この場合、記録媒体の搬送は、前記熱転写ユニットのプラテンによっておこなってもよい。色ずれが起きやすいYMC面順次印刷では、グリップローラ213による搬送が必須であるが、位置精度要求が低い用途では前記熱転写ユニットのプラテンによって記録媒体を搬送することにより、搬送ローラの突起による印画物の品質低下が2重に発生することを防止することができる。
【0144】
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、プリンタユニット101と反転ユニットとを備えたプリンタ100において、プリンタユニット101が、第1の記録媒体保持部201から引き出した記録媒体P(ロール紙P1)に対して記録動作をおこなうとともに、給紙・用紙反転ユニット102が備える第2の記録媒体保持部216が保持する記録媒体P(カット紙P2)に対して記録動作をおこなう。
【0145】
この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、片面記録であるか両面記録であるかにかかわらず同じ記録動作をおこなうため、両面記録に際してプリンタ100の各部にかかる処理負担が、片面記録と比較して増大することを抑制することができる。
【0146】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、片面記録に適した記録媒体P(ロール紙P1)を保持するとともに、当該記録媒体P(ロール紙P1)に対する記録動作(片面記録)をおこなうプリンタユニット101と、両面記録に適した記録媒体P(カット紙P2)を記録ユニットに供給するための第2の記録媒体搬送経路217および片面記録をおこなった記録媒体P(カット紙P2)の表裏を反転するための第3の記録媒体搬送経路224を備えた給紙・用紙反転ユニット102と、を備えたことを特徴としている。
【0147】
この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、片面記録に際しては片面記録に適した記録媒体を用い、両面記録に際しては両面記録に適した記録媒体を用いることができるため、記録媒体における記録面にかかわらず、常に高い記録品質を確保することができる。
【0148】
これにより、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、用途に応じた記録媒体を用いることで高い記録品質を確保し、かつ、用途に応じた記録媒体を保持することによるプリンタの大型化を抑制することができる。
【0149】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、給紙・用紙反転ユニット102が、片面記録がなされた記録媒体P(カット紙P2)の表裏を反転して、再びプリンタユニット101の記録部204に供給する第3の記録媒体搬送経路224を備え、当該第3の記録媒体搬送経路224が、プリンタユニット101に対して記録媒体P(カット紙P2)を供給する第2の記録媒体搬送経路217と一部重複していることを特徴としている。
【0150】
この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、これらの記録媒体搬送経路(第2の記録媒体搬送経路217および第3の記録媒体搬送経路224)を独立して設ける場合と比較して、両面記録をおこなうプリンタ100の小型化を図ることができる。
【0151】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、片面記録に適した記録媒体P(ロール紙P1)を保持するとともに、当該記録媒体P(ロール紙P1)に対する記録動作(片面記録)をおこなうプリンタユニット101と、両面記録に適した記録媒体P(カット紙P2)を記録ユニットに供給するための第2の記録媒体搬送経路217および片面記録をおこなった記録媒体P(カット紙P2)の表裏を反転するための第3の記録媒体搬送経路224とが一部重複している給紙・用紙反転ユニット102と、を備えたことを特徴としている。
【0152】
これにより、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、用途に応じた記録媒体を保持することによるプリンタの大型化を抑制しつつ、片面記録に際しては片面記録に適した記録媒体を用い、両面記録に際しては両面記録に適した記録媒体を用いることによって、記録媒体における記録面にかかわらず、常に高い記録品質を確保することができる。
【0153】
このように、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、用途に応じた記録媒体を用いることで高い記録品質を確保するとともに、用途に応じた記録媒体を保持することによるプリンタの大型化を抑制することができ、かつ、片面記録であるか両面記録であるかにかかわらず同じ記録動作をおこなうことにより、両面記録に際してプリンタ100の各部にかかる処理負担が、片面記録と比較して増大することを抑制することができる。
【0154】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、プリンタユニット101が、当該プリンタユニット101が備える各部および給紙・用紙反転ユニット102が備える各部を駆動制御するマイクロコンピュータ601を備え、給紙・用紙反転ユニット102とは分離可能に設けられていることを特徴としている。
【0155】
この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、プリンタユニット101と給紙・用紙反転ユニット102とが分離可能な別体であるため、プリンタ100の用途に応じて設置するユニットを選択することができる。具体的には、プリンタ100の用途が片面記録のみである場合はプリンタユニット101のみを設置し、プリンタ100の用途が両面記録である場合はプリンタユニット101および給紙・用紙反転ユニット102を設置することができる。
【0156】
これにより、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、用途に応じて複数種類のプリンタ100を製造する場合と比較してプリンタ100の製造コストの低減を図るとともに、利用者の要求に柔軟に対応することができる。
【0157】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、給紙・用紙反転ユニット102が、第3の記録媒体搬送経路224を経由することによって記録部204の記録位置に対する表裏を反転されて第1の記録媒体搬送経路202に供給される記録媒体の、記録部204による記録動作がおこなわれる面を清掃する清掃手段を備えたことを特徴としている。
【0158】
この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、片面記録における記録媒体の搬送に際して、片面記録された記録媒体P(カット紙P2)の非記録面(裏面)に、当該記録媒体P(カット紙P2)の端面などから発生する紙粉などの異物が付着した場合にも、当該異物を除去してから裏面への記録動作をおこなうことができる。これにより、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、記録媒体P(カット紙P2)の両面において高い記録品質を確保することができる。
【0159】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、プリンタユニット101が、記録部204による記録動作中の記録位置および第1のカッタ機構212による切断動作中の当該第1のカッタ機構212による切断位置に対する、第1の記録媒体搬送経路202中を搬送される記録媒体(ロール紙P1、カット紙P2)の位置を制御するグリップローラ213およびピンチローラ214を備えたことを特徴としている。
【0160】
この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、片面記録であるか両面記録であるかにかかわらず、グリップローラ213およびピンチローラ214を用いて第1の記録媒体搬送経路202中を搬送される記録媒体(ロール紙P1、カット紙P2)の位置を制御することができる。これにより、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、片面記録および両面記録に際してそれぞれ用いるグリップローラ213およびピンチローラ214を設ける場合と比較して、両面記録をおこなうプリンタ100の小型化を図ることができる。
【0161】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、第1の記録媒体搬送経路202から両面印刷物排出口105に至る第4の記録媒体搬送経路226中を搬送される記録媒体の位置をグリップローラ213およびピンチローラ214によって制御することを特徴としている。
【0162】
この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、記録媒体(カット紙など)における不要な余白などを除去する際に、第1のカッタ機構212および第2のカッタ機構228の双方を選択的に用いることができる。これにより、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、使用する記録媒体の種類に応じて、記録対象となる記録媒体を最適な経路において搬送することができ、記録媒体を搬送する経路の自由度を高めることができる。
【0163】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、記録部204が、記録媒体に対して昇華転写方式の記録動作をおこなうことを特徴としている。この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、デジタルカメラで撮影した画像をプリント出力するDTP用途などにも適した昇華転写方式による記録動作により得られる記録物における高い記録品質を確保し、かつ、記録媒体の両面に対して昇華転写方式による記録動作をおこなう従来のプリンタ100と比較して小型化を図ることができる。
【0164】
これにより、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、従来の昇華転写方式の両面プリンタと比較してプリンタ100の設置に要する空間容積を抑えることができる。また、これによって、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、たとえば、小規模なDPE店においても、デジタルカメラで撮影した画像を昇華転写方式により記録した両面記録物を提供するサービスをおこなうことができる。