(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記参照電極を形成する際、前記アルミニウム線の前記リチウムアルミニウム合金が形成されていない芯材の断面積が、前記参照電極の断面積の10%以上90%以下となるように形成する、請求項11または12に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態にかかるリチウムイオン二次電池は、正極および負極と、正極および負極の間に介在するセパレータと、リチウムイオンを含み、正極および負極の間に充填された非水電解液と、非水電解液と接触するように配置された参照電極と、を備える。
【0017】
<正極>
正極は正極活物質を有する。正極活物質は、リチウムを吸蔵・放出可能な材料であり、例えばコバルト酸リチウム(LiCoO
2)、マンガン酸リチウム(LiMn
2O
4)、ニッケル酸リチウム(LiNiO
2)等を用いることができる。また、LiCoO
2、LiMn
2O
4、LiNiO
2を任意の割合で混合して焼成した材料を用いてもよい。組成の一例としては、例えば、これらの材料を等しい割合で混合したLiNi
1/3Co
1/3Mn
1/3O
2が挙げられる。
【0018】
また、正極は、導電材を含んでいてもよい。導電材としては、例えばアセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、黒鉛(グラファイト)を用いることができる。
【0019】
本実施の形態にかかるリチウムイオン二次電池の正極は、例えば、正極活物質と、導電材と、溶媒と、結着剤(バインダー)とを混練し、混練後の正極合剤を正極集電体に塗布して乾燥することによって作製することができる。ここで、溶媒としては、例えばNMP(N−メチル−2−ピロリドン)溶液を用いることができる。また、バインダーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、スチレンブタジエンラバー(SBR)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等を用いることができる。また、正極集電体として、アルミニウムまたはアルミニウムを主成分とする合金を用いることができる。
【0020】
<負極>
負極活物質は、リチウムを吸蔵・放出可能な材料であり、例えば、黒鉛(グラファイト)等からなる粉末状の炭素材料を用いることができる。そして、正極と同様に、負極活物質と、溶媒と、バインダーとを混練し、混練後の負極合剤を負極集電体に塗布して乾燥することによって負極を作製することができる。ここで、負極集電体として、例えば銅やニッケルあるいはそれらの合金を用いることができる。
【0021】
<非水電解液>
非水電解液は、非水溶媒に支持塩が含有された組成物である。ここで、非水溶媒としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等からなる群から選択された一種または二種以上の材料を用いることができる。また、支持塩としては、LiPF
6、LiBF
4、LiClO
4、LiAsF
6、LiCF
3SO
3、LiC
4F
9SO
3、LiN(CF
3SO
2)
2、LiC(CF
3SO
2)
3、LiI等から選択される一種または二種以上のリチウム化合物(リチウム塩)を用いることができる。
【0022】
<セパレータ>
セパレータには、絶縁性の多孔質膜を用いることができる。例えば、セパレータとしては、ポリエチレン膜、ポリオレフィン膜、およびポリ塩化ビニル膜等の多孔質ポリマー膜、又は、リチウムイオンもしくはイオン導電性ポリマー電解質膜を、単独、又は組み合わせて使用することができる。
【0023】
<参照電極>
図1は、本実施の形態にかかるリチウムイオン二次電池が備える参照電極の長手方向における断面図である。
図2は、
図1に示す参照電極のII−IIにおける断面図である。
【0024】
図1に示すように、本実施の形態にかかるリチウムイオン二次電池が備える参照電極10は、アルミニウムからなる芯材11と、芯材11の周囲に配置されたリチウムアルミニウム合金を含む被覆層12とを有する。つまり、参照電極10は、非水電解液と接触し、参照電極として機能する先端部分の周囲がリチウムアルミニウム合金を含む被覆層12で覆われている。芯材11は被覆層12に囲まれているので、芯材11が非水電解液と接触することはない。また、芯材11のうち、被覆層12が形成されている先端部分以外の部分であって、リチウムイオン二次電池内に挿入される部分の周囲には、芯材11が非水電解液と接触しないように絶縁層13が形成されている。絶縁層13には、例えばポリイミドを用いることができる。
【0025】
図2の断面図に示すように、被覆層12は、リチウムアルミニウム合金14と、芯材11から当該芯材11の周囲に放射状に延び、リチウムアルミニウム合金14よりもアルミニウムの比率が高い複数の突出部15とを有する。ここで、リチウムアルミニウム合金14は複数の突出部15の間に配置されている。リチウムアルミニウム合金14は、多孔質で表面積が大きいという性質を備える。
【0026】
図3(a)、(b)は、本実施の形態にかかるリチウムイオン二次電池が備える参照電極10を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)で撮影した断面写真である。
図3(b)の芯材11は、
図3(a)の芯材11よりも細く、
図3(b)の被覆層12は、
図3(a)の被覆層12よりも厚い。被覆層12の厚さは、参照電極を形成する条件を調整することで任意に変更することができる。
【0027】
例えば、参照電極の材料に金属リチウムを用いた場合は、金属リチウムの酸化還元電位(以下、単に電位とも記載する)が低いために非水電解液が分解し、金属リチウムの表面に非水電解液の分解生成物が形成される。このため、金属リチウムからなる参照電極を長期的に使用すると、参照電極の電位が変動し、参照電極を基準として測定した正極や負極の電位も変動する。
【0028】
これに対して、リチウムアルミニウム合金は金属リチウムよりも電位が高いため、非水電解液が分解されることを抑制することができる。よって、本実施の形態にかかるリチウムイオン二次電池のように、参照電極10の被覆層12にリチウムアルミニウム合金を含む材料を用いることで、参照電極10の表面に非水電解液の分解生成物が形成されることを抑制することができる。したがって、参照電極が劣化することを抑制することができ、参照電極が示す電位を安定させることができる。また、リチウムアルミニウム合金は表面積が大きいので、例えば検出回路側において多少の電気的な変動があったとしても、長期に安定した電位を示すことができる。
【0029】
また、本実施の形態にかかるリチウムイオン二次電池の参照電極10は、参照電極10の中心にアルミニウムからなる芯材11を有する。よって、参照電極10の機械的な強度を高めることができる。例えば、リチウムイオン二次電池の充放電を繰り返すとリチウムイオンの挿入・脱離により正負極の体積が変わるため、参照電極10にストレスがかかる。このような場合であっても、参照電極10の中心にアルミニウムからなる芯材11を設けることで、参照電極10が断線することを抑制することができる。
【0030】
また、
図2に示すように、被覆層12には、リチウムアルミニウム合金14よりもアルミニウムの比率が高い突出部15が芯材11から放射状に延びるように形成されている。そして、リチウムアルミニウム合金14は、複数の突出部15の間に配置されている。ここで、突出部15はアルミニウムの比率が高いため電気抵抗が低い。よって、参照電極10の表面と芯材11とをつなぐ導電経路を設けることができ、参照電極10の表面と芯材11との間に配置されているリチウムアルミニウム合金14を有効に活用することができる。これにより、参照電極が示す電位を長期的に安定させることができる。
【0031】
また、リチウムアルミニウム合金14は多孔質であるため比較的強度が弱い。一方、突出部15は、アルミニウムの比率が高いため比較的強度が強い。よって、
図2に示すように、比較的強度の強い突出部15の間に比較的強度が弱いリチウムアルミニウム合金14を配置することで、被覆層12の強度を向上させることができる。
【0032】
参照電極は、正極と負極との間に設けられる。このとき、参照電極10の断面の直径が大きいと、リチウムイオン二次電池の電池性能を悪化させるおそれがある。よって、参照電極の直径は小さいほど好ましいが、参照電極の直径を小さくすると参照電極の強度が低下するという問題があった。
【0033】
これに対して本実施の形態にかかるリチウムイオン二次電池が有する参照電極10では、アルミニウムからなる芯材11を設けているため、参照電極10の機械的な強度を高めることができる。よって、参照電極10の直径を小さくしても、参照電極10の強度を確保することができる。参照電極10の断面の直径としては、例えば0.2mm以下、より好ましくは0.1mm以下とすることができる。
【0034】
リチウムイオン二次電池に参照電極10を設けることで、リチウムイオン二次電池の充放電状態や電極の劣化状態を、正極と負極とで分離してモニタすることができる。また、参照電極を用いて測定した正極電位や負極電位に応じて電池の充電を制御することで、急速充電時における電極の劣化を制御することができる。
【0035】
以上で説明した参照電極10を用いることで、参照電極の安定性と耐久性を確保することができる。
【0036】
<リチウムイオン二次電池>
以下、捲回電極体を備えるリチウムイオン二次電池を例にして説明する。
図4は、本実施の形態にかかるリチウムイオン二次電池を示す斜視図である。
図5は、
図4に示すリチウムイオン二次電池のV−Vにおける断面図である。
【0037】
図4、
図5に示すように、リチウムイオン二次電池1は、正極シート(正極)21、負電シート(負極)22およびセパレータ23を有する捲回電極体20と、この捲回電極体20を収容する電池ケース40と、リチウムイオンを含み、捲回電極体20のセパレータ23に含浸させた非水電解液と、この非水電解液に接触した参照電極10とを備える。また、参照電極10と接続されている導線17と、当該導線17と接続されている参照電極端子18とを備える。導線17は絶縁層で被覆されている。
【0038】
電池ケース40は、電池ケース本体41および封口蓋42を有する。電池ケース本体41は矩形状の箱形であり、電池ケース本体41と捲回電極体20との間には、樹脂からなり、箱状に折り曲げた絶縁フィルム(不図示)が設けられている。封口蓋42は矩形板状であり、電池ケース本体41の開口部を閉塞して、電池ケース本体41に溶接されている。電池ケース40を構成する材料としては、アルミニウム、スチール等の金属材料が好ましい。また、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリイミド樹脂等の樹脂材料を用いて電池ケース40を形成してもよい。
【0039】
封口蓋42には、捲回電極体20の正極シート21と電気的に接続されている正極部材33が、封口蓋42の表面から突出するように設けられている。正極部材33のうち封口蓋42の表面から突出している部分は、正極端子部31を構成する。正極端子部31と封口蓋42との間には、これらを電気的に絶縁するための絶縁部材32が設けられている。同様に、封口蓋42には、捲回電極体20の負極シート22と電気的に接続されている負極部材36が、封口蓋42の表面から突出するように設けられている。負極部材36のうち封口蓋42の表面から突出している部分は、負極端子34を構成する。負極端子部34と封口蓋42との間には、これらを電気的に絶縁するための絶縁部材35が設けられている。また、封口蓋42には、矩形板状の安全弁47が設けられている。
【0040】
捲回電極体20は、長尺状の正極シート21と長尺状の負極シート22とが長尺状のセパレータ23を介して扁平に捲回されている。正極シート21は、箔状の正極集電体の両面に正極活物質を含む正極合剤層が保持された構造を有している。負極シート22も正極シートと同様に、箔状の負極集電体の両面に負極活物質を含む負極合剤層が保持された構造を有している。捲回電極体20を作製する際は、正極シート21および負極シート22を、セパレータ23を介して積層する。そして、このように重ね合わせた積層体を捲回し、得られた捲回体を側面方向から押しつぶして扁平状の捲回電極体20を作製する。
【0041】
図5に示すように、参照電極10は、正極シート21と負極シート22との間に設けられている。このとき、参照電極10と正極シート21とが直接接触しないように、また参照電極10と負極シート22とが直接接触しないようにするために、例えば、参照電極10と正極シート21との間および参照電極10と負極シート22との間に、セパレータ23の一部が配置されるようにしてもよい。
【0042】
<参照電極の製造方法>
次に、本実施の形態にかかるリチウムイオン二次電池の製造方法(特に、参照電極の製造方法)について、
図6を用いて説明する。本実施の形態にかかるリチウムイオン二次電池を製造する場合は、まず正極(正極シート)21および負極(負極シート)22の間にセパレータ23_1、23_2を配置する。ここで、正極21は、正極集電体51と正極活物質52とを有する。負極22は、負極集電体54と負極活物質55とを有する。
【0043】
次に、正極21と負極22との間に、リチウムイオンを含む非水電解液27を充填する。このとき、セパレータ23_1、23_2には非水電解液27が含浸される。次に、非水電解液27と接触するようにアルミニウム線11(参照電極形成後は、芯材11となる)を配置する。このとき、アルミニウム線11のうち先端部分以外の部分には絶縁層13を設ける。絶縁層13を設けることで、参照電極が形成される先端部分以外の部分が非水電解液と接触することを防ぐことができる。
【0044】
そして、アルミニウム線11と正極21との間に所定の電気量の電流を流してアルミニウム線11の表面にリチウムアルミニウム合金を含む被覆層12を形成し、参照電極10を形成する。つまり、アルミニウム線11から正極21に電流を流すことで、正極21からアルミニウム線11に電子が供給される。非水電解液27はリチウムイオン(Li
+)を含むため、アルミニウム線11に供給された電子をリチウムイオンが取り込むことで、アルミニウム線11の表面にリチウムが析出する。析出したリチウムはアルミニウム線11の一部とリチウムアルミニウム合金を形成する。リチウムアルミニウム合金を含む被覆層12の厚さは、アルミニウム線11と正極21との間に流す電流の大きさや時間を調整することで変更することができる。
【0045】
図2に示したように、被覆層12は、リチウムアルミニウム合金14と、リチウムアルミニウム合金14よりもアルミニウムの比率が高い突出部15とを有する。上記に示す方法で参照電極10を形成する場合は、アルミニウム線11の表面から内部に向けてリチウムアルミニウム合金14が形成されていく。よって、被覆層12のうち、リチウムアルミニウム合金14が形成されている部分は、リチウムアルミニウム合金を形成する反応が良好に進んだ部分に対応しており、突出部15が形成されている部分は、リチウムアルミニウム合金を形成する反応が良好に進まなかった部分に対応している。
【0046】
上記に示す方法で参照電極10を形成することで、参照電極を安定的に製造することができる。つまり、リチウムアルミニウム合金は多孔質であるため強度が弱いが、上記のように、アルミニウム線11をリチウムイオン二次電池の内部に設けた後に参照電極10を形成することで、参照電極10を形成した後に参照電極10をリチウムイオン二次電池の内部に設置する場合よりも、参照電極10に加わる外力を低減することができる。
【0047】
また、参照電極10を形成する際、アルミニウム線11を回転させることで、アルミニウム線11の表面に被覆層12をより均一に形成することができる。例えば、アルミニウム線11と正極21との間に所定の時間、電流を流した後、アルミニウム線11を所定の角度、回転させ、更にアルミニウム線11と正極21との間に所定の時間、電流を流すようにしてもよい。また、アルミニウム線11を連続的に回転させながら、アルミニウム線11と正極21との間に電流を流すようにしてもよい。
【0048】
なお、上記例では、正極21とアルミニウム線11との間に電流を流して参照電極10を形成する場合について説明したが、負極22とアルミニウム線11との間に電流を流して参照電極10を形成するように構成してもよい。この場合は、アルミニウム線11から負極22に電流を流すことで、アルミニウム線11の表面にリチウムアルミニウム合金を含む被覆層12を形成することができる。
【0049】
<参照電極の使用例>
図7は、本実施の形態にかかるリチウムイオン二次電池が備える参照電極10の使用例を説明するための図である。
図7に示す使用例では、参照電極10に対する負極22の電位を測定する場合を示している。すなわち、負極22の電位と参照電極10の電位との電位差を求めることで、参照電極10に対する負極22の電位を求めることができる。
【0050】
なお、
図7では参照電極10に対する負極22の電位を測定する場合について示したが、正極21の電位も同様の方法で測定することができる。すなわち、正極21の電位と参照電極10の電位との電位差を求めることで、参照電極10に対する正極21の電位を求めることができる。
【0051】
<本発明の効果の説明>
次に、従来技術を用いて参照電極を構成した場合と、上記で説明した方法を用いて参照電極10を構成した場合との比較例について説明する。
図8は、参照電極を使用している時間と参照電極の電位との関係を示すグラフである。
図8に示す比較例1の参照電極は、リチウムアルミニウム合金の量が不足している参照電極、つまり主としてアルミニウムで構成されている参照電極である。比較例1の参照電極を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した断面写真を、
図9(a)に示す。
図9(a)に示すように、比較例1の参照電極のほとんどはアルミニウム111で構成されている。
【0052】
また、
図8に示す比較例2の参照電極は、主としてリチウムアルミニウム合金で構成されている参照電極であり、中心軸(芯材)もリチウムアルミニウム合金で構成されている。比較例2の参照電極を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した断面写真を、
図9(b)に示す。
図9(b)に示すように、比較例2の参照電極のほとんどがリチウムアルミニウム合金112で構成されているため、中心軸も含めて参照電極の全体が多孔質な構造となっている。なお、符号116に示す部分は、分析時に欠損した部分である。
【0053】
図8に示すように、比較例1の参照電極では、時間が経過するにつれて参照電極が示す電位が変動している。この理由は、比較例1の参照電極では、リチウムアルミニウム合金の量が不足しているために、参照電極からリチウムが脱離するためであると考えられる。また、参照電極の表面に非水電解液の分解生成物が形成されるためであると考えられる。比較例2の参照電極は、リチウムアルミニウム合金を含むために参照電極が示す電位が安定している。しかし、比較例2の参照電極は中心軸(芯材)もリチウムアルミニウム合金で構成されているために強度が弱く、
図8に示すように途中で断線している。
【0054】
これに対して本実施の形態にかかるリチウムイオン二次電池が備える参照電極10は、長期間にわたり安定した電位を示している。すなわち、参照電極10は、被覆層12にリチウムアルミニウム合金を含んでいる。リチウムアルミニウム合金は酸化還元電位が高いため、非水電解液の分解反応を抑制することができ、参照電極が示す電位を安定させることができる。また、参照電極10では、アルミニウムからなる芯材11を設けているため、参照電極10の機械的な強度を高めることができる。
【0055】
図10は、参照電極10の芯材11の断面積(つまり、芯材11の略円形部分の面積)の割合と参照電極10が安定して動作する時間との関係を示すグラフである。ここで、参照電極10が安定して動作する時間は、参照電極10の電位測定開始後、参照電極10が示す電位が所定の許容範囲を超えるまでの時間、換言すると、参照電極10が示す電位が所定の許容範囲内で動作する時間に対応している。
【0056】
図10に示すように、芯材11の断面積の割合が約4%の場合は、参照電極10が安定して動作する時間が短い。この理由は、芯材11の断面積の割合が小さすぎると、参照電極10の強度が弱くなるためであると考えられる。また、芯材11の割合が90%以上の場合も、参照電極10が安定して動作する時間が短い。この理由は、芯材11の割合が90%以上だと、参照電極10から徐々にリチウムイオンが脱離し、アルミニウムのみになるため、電位が不安定になるからである。また、アルミニウムのみでは電位が不安定で参照電極にはならない。
【0057】
一方、芯材11の断面積が、参照電極10の断面積の10%以上90%以下の場合は、参照電極が長期的に安定して動作する。つまり、芯材11の断面積を参照電極10の断面積の10%以上90%以下とすることで、芯材11により参照電極10の強度を保ちつつ、リチウムアルミニウム合金により参照電極の表面に非水電解液の分解生成物が形成されることを抑制することができる。
【0058】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態の説明に際して、第1の実施の形態と同等の要素については重複する説明を省略する。
<正極>
正極合剤を正極集電体に塗布して乾燥することによって所定の厚さを有する正極合剤層を形成する。正極合剤層の厚さは、例えば、両面合計で50〜65μmとすることができる。
【0059】
<負極>
負極合剤を負極集電体に塗布して乾燥することによって所定の厚さを有する負極合剤層を形成する。負極合剤層の厚さは、例えば、両面合計で60〜70μmとすることができる。
【0060】
<参照電極>
正極及び負極間には、後述する所定の厚みを有する参照電極を配置することになる。
図11及び12に、第2の実施の形態にかかるリチウムイオン二次電池が備える参照電極60が表されている。参照電極60は、シート状又は板状の電極である。参照電極60は少なくとも片方の面に電極面を備える。
図12では図中の上方に電極面を備える。電極面は非水電解液と接するので、電位を測定することができる。また、参照電極60の母材として、面状基材61が表されている。
【0061】
面状基材61の一つの働きは、リチウム合金を有する電極面としての被覆層62を積層するための母材となることである。リチウム合金としては、酸化還元電位が金属リチウムよりも高いものが利用できる。被覆層62は面状基材61の材料となる金属膜、金属箔、金属シート又は金属板の一部をリチウム合金化して作るのが好ましい。また、面状基材61は不図示の他の支持材又はその他の部材と結合されて電極を構成していてもよく、他の部材は面状基材61と異なる金属、その他の材料で形成されていても良い。
【0062】
面状基材61は前記リチウム合金を生成できる金属を含有することが好ましい。かかる金属としてはアルミニウム、インジウム、ビスマス、アンチモン、スズ及び銀を使用できる。上記リチウム合金としてはこれら金属のリチウム合金を使用できる。
本実施の形態に係る面状基材61はアルミニウムからなっているため電気抵抗は十分に低く、参照電極60は長期的に安定した性能を発揮する。
【0063】
アルミニウムを面状基材61として使用する場合、不純物としてSi、Fe、Cu、Mn、Mg、Zn、Cr、Ti、Al、及びその他の元素を含んでもよい。耐食性の観点から、アルミニウムの純度は99.0%以上であることが好ましく、99.9%以上であることが特に好ましい。
【0064】
面状基材61は独立して形状を保てる板材又は薄板材であってもよく、独立して形状を保てない膜又は薄膜であっても良い。また平面状であっても良く、また曲面を有していてもよい。参照電極60の機械的な強度を高める観点から面状基材61の厚みは2μm以上であることが好ましい。
【0065】
参照電極60は、先端部の所定長さの領域に、面状基材61を被覆する多孔質のリチウムアルミニウム合金を含む被覆層62を備える。被覆層62は電極面を構成し、面状基材61の
図12中の上方の面の、少なくとも一部に形成される。被覆層62にリチウムアルミニウム合金を含むことで、参照電極60の電極面に非水電解液の分解生成物が形成されることを抑制できる。このため、参照電極60の示す電位が安定する。リチウムアルミニウム合金が多孔質である場合強度が弱く、それだけで構成された電極は、機械的強度が不足するため、面上基材61が被覆層62を担持することが好ましい。
【0066】
リチウムイオン二次電池の充放電を繰り返すとリチウムイオンの挿入・脱離により正負極の体積が変わる。また、温度変化により正負極が膨張収縮し体積が変わる。このため、参照電極60に力学的ストレスがかかる。このような場合であっても、参照電極60の中心にアルミニウムからなる面状基材61を設けることで、参照電極60が断線することを抑制することができる。
【0067】
参照電極60中、絶縁層63が、少なくとも、被覆層62により被覆された領域以外で、正極及び負極の間に配置される領域を覆っている。すなわち、面状基材61の被覆層62により被覆されていない部分で、非水電解液と接触し得る部分を、直接又は間接的に絶縁層63で覆っている。
絶縁層63の材料としては、例えば、ポリイミド、パラキシリレン樹脂を初めとする熱硬化性樹脂を用いることが好ましく、ポリイミドを用いることが特に好ましい。
【0068】
絶縁層63は、非水電解液との接触及び、リチウムイオン二次電池の備える正負極との短絡を回避する観点から、実施の形態に合わせて好適な形状で設計できる。より詳細には、絶縁を確保する観点から、絶縁層63の厚みは1μm以上であることが好ましい。また、参照電極60の厚みを小さくする観点から、少なくとも一方の面に形成された絶縁層63の厚みは20μm以下であることが好ましい。
また、上記支持材(不図示)ごと絶縁層63で覆ってもよく、上記支持材(不図示)の一部が絶縁層により覆われていなくともよい。
図12中、絶縁層63は面状基材61の下方の面を覆うように形成される。また、
図12中、絶縁層63は面状基材61の上方の面の電極面が形成されていない部分を覆うように形成される。
【0069】
上記に従い絶縁層63を適切に配置することで参照電極60の機械的な強度はさらに高まり、容易に断線しなくなる。具体的には、イオン挿入・脱離、又は温度変化に伴う正極又は負極の膨張・収縮に基づく力学的ストレスによる面上基材61の破損が抑制される。
上記の効果は面状基材61を薄膜で構成した場合に特に顕著に表れる。つまり、面状基材61を薄膜で構成した場合は、面状基材61の強度は低くなる。しかし、面状基材61を強度が高い絶縁層63上に形成することで、面状基材61が破損することを抑制することができる。
【0070】
また、面状基材61を被覆層62及び絶縁層63で覆うことで、面状基材61が非水電解液と接触することを抑制できる。また、被覆層62の表面積を大きくできるため、二次電池は検出回路側の多少の電気的な変動があっても長期的に安定な電位を示す。
【0071】
参照電極60は、正極と負極との間に設けられるため、参照電極60の厚みは、正極合剤層及び負極合剤層より小さいことが好ましい。また、該厚みは、正極合剤層又は負極合剤層のうち、最も薄い合剤層の20分の1以下であることが好ましい。かかる構成とすることで合剤層やセパレータ間の密着は保たれるため、電池性能の低下は抑制される。前記参照電極の厚みは、前記正極合剤層又は前記負極合剤層のうち、最も薄い合剤層の20分の1以下であってもよい。
【0072】
参照電極60は、電極部からリード部分に向かう方向に対して直交する方向の幅が、電極部からリード部分までにおいて、所定の幅を有することが好ましい。所定の幅としては、0.1mm以下が好ましく、0.05mm以下が特に好ましい。参照電極60の幅が上記範囲にあることで、電池性能の低下が抑制される。また、電極電位測定の信頼性が向上する。
【0073】
<リチウムイオン二次電池>
リチウムイオン二次電池に参照電極60を設けることで、リチウムイオン二次電池の充放電状態や電極の劣化状態を、正極と負極とで分離してモニタすることができる。また、参照電極を用いて測定した正極電位や負極電位に応じて電池の充電を制御することで、急速充電時における電極の劣化を制御することができる。このため、電池の安定性と耐久性とを確保できる。
【0074】
図13に示すように、リチウムイオン二次電池2は、参照電極10(
図4参照)に代えて、参照電極60を備える点が第1の実施の形態と異なる。参照電極60は被覆層62を備える先端部が捲回電極体20の内部に配置されているが、前記リード部分の一部は捲回電極体20の外側に出ている。このため、参照電極60と接続されているリード線である導線17は、捲回電極体20の内部に配置されない。
【0075】
参照電極60は、電池ケース本体41と捲回電極体20との間にある、箱状に折り曲げた絶縁フィルム(不図示)と一体として成形されてもよい。この場合、参照電極端子18は参照電極60と直接接続することができる。このためリード線を有する、有しないに関わらず、正極シート21と負極シート22との間にはセパレータ23のほかに、上記厚みを有する参照電極60のみ設けられるので、合剤層やセパレータ間の密着は保たれる。
【0076】
参照電極60は、第1の実施の形態と同様、正極シート21と負極シート22との間に
配置する。また、参照電極60が配置される部位において、参照電極60、正極シート21及び負極シート22が平面であれば、これらが平行になるように参照電極60を配置する。参照電極60、正極シート21及び負極シート22が曲面であれば、正極シート21と負極シート22との間の平均距離が最も小さくなるように配置する。かかる構成とすることで、参照電極60の配置による合剤層やセパレータ間の密着性の低下を抑制できる。
【0077】
<参照電極の製造方法>
図11〜13を参照しつつ、参照電極60を有するリチウムイオン二次電池2の製造方法について、第1の実施形態と異なるところを中心に説明する。参照電極60は、参照電極10のアルミニウム線11に代えて、先端部の電極面となる部分以外が絶縁層63に被覆された、アルミニウムからなる面状基材61(面状のアルミニウム材)を母材として形成する。
【0078】
被覆層62は面状基材61の露出した先端部に、面状基材61を覆うように形成する。
図13に示すように、参照電極60を導線17に接続する。また、参照電極60を引き回して、参照電極端子18と直接接続してもよい。さらに参照電極60の先端部及び被覆層のないリード部を捲回電極体20の正極及び負極の間に挟み込む。この際、導線17は捲回電極体20に挟み込まないことが好ましい。
【0079】
電池を組み上げた後に、参照電極60に通電して、被覆層62を形成し完成する。なお、第1の実施の形態ではアルミニウム線11を回転することで均一な被覆層12を形成したが、本実施の形態では面状基材61が正極シート21及び負極シート22に挟まれているので、被覆層62を形成する際には実施できない。
【0080】
そこで、参照電極60が配置される部位において、面状基材61、正極シート21及び負極シート22が平面であれば、これらが平行になるように、面状基材61を配置する。また、面状基材61、正極シート21及び負極シート22が曲面であれば、正極シート21と負極シート22との間に隙間ができないよう、できる限り曲がり具合を合わせて面状基材61を配置する。参照電極60が十分に薄く、柔軟性があり、捲回電極体20の曲げを妨げないであれば、正極シート21と負極シート22との間に積層するように配置する。
【0081】
かかる工程を経ることで、正極21又は負極22との間に通電したのち、電極面となる面に被覆層62を、均一に形成することができる。かかる製造方法により、電極面に、強度の弱い多孔質のリチウムアルミニウム合金を含む参照電極を得ることができる。
以上で説明した第2の実施の形態にかかる発明により、安定性と耐久性を備えた参照電極を有するリチウムイオン二次電池およびリチウムイオン二次電池の製造方法を提供することができる。
【0082】
実施の形態の変形として、面状基材の一方の面に第1の被覆層を形成し、他方の面に第2の被覆層を形成しても良い。また、第1の被覆層が被覆している、面状基材の部位と第2の被覆層が被覆している、面状基材の部位は、面状基材を挟んで重複部分を有していても良い。すなわち重複部分では、面状基材は絶縁層に覆われていないものとすることができる。この場合、面状基材は独立して形状を保てる程度に機械的強度を有することが好ましい。
【実施例】
【0083】
次に、特に第2の実施の形態にかかる実施例について、参照電極及びリチウムイオン二次電池の構成を示す
図14〜19を参照し説明する。
リチウムイオン二次電池100は以下のとおり製造した。まず、
図14及び15に示すように、一部が突出している、凸型の20μm厚のポリイミド樹脂シート169(上述の絶縁層63の一部)の上に、2μm厚のアルミニウム膜161(上述の面状基材61)を成膜した。ポリイミド樹脂シート169の突出していない広い部分は、電池ケース本体と捲回電極体との間に設けられる絶縁フィルムとなるよう、電池ケースの内面の大きさに合わせて成形した。
【0084】
アルミニウム膜161は、ポリイミド樹脂シート169の突出している部分の先端から、ポリイミド樹脂シート169の広い部分の領域を経由して、広い部分の図中の上端まで引き回した。アルミニウム膜161の、ポリイミド樹脂シート169の広い部分の側の端部は、電池の組み上げ時に
図16の参照電極端子168と接続した。さらに電極面となる左側の先端部170を残して、アルミニウム膜161を覆うように1〜2μmのポリイミド樹脂膜163(上述の絶縁層63の一部)を成膜した。先端部170の幅は、0.05μmとした。
【0085】
上記の通り、ポリイミド樹脂シート169がアルミニウム膜161を支える構成とすることでアルミニウム膜161の機械的な強度は高まり、容易に断線しなくなる。具体的には、イオン挿入・脱離、又は温度変化に伴う正極又は負極の膨張・収縮に基づく力学的ストレスによるアルミニウム膜161の破損が抑制される。
【0086】
第1リード部174は、上述の通り絶縁フィルム及びポリイミド樹脂膜により、両面を被覆され、かつ絶縁フィルム面の領域を引き回されたアルミニウム膜161を含む部分として形成した。また先端部170と第1リード部174を接続するよう第2リード部167を成形した。
【0087】
リチウムイオン二次電池を組み立てた後、通電し、リチウムアルミニウム合金を含む被覆層162を形成することで参照電極160を形成した。このため、この段階では被覆層162は形成されていない。便宜的に通電前の電極も参照電極160と呼ぶこととする。また
図15中、被覆層162は先端部170のアルミニウム膜161の表面を覆うように形成した。
【0088】
次に
図16及び17に示すように、正負極、及びリチウムアルミニウム合金を含む被覆層を形成する前の参照電極を組み立てた。
図16中、電池ケース本体141及び封口蓋142からなる電池ケース140並びに安全弁は図示されていない。
【0089】
合剤層厚みは、アルミ薄膜(アルミニウム膜161)の厚みの20〜32.5倍が好ましく、20倍が特に好ましい。例えば、合剤層厚みが40μmであれば、アルミ薄膜の厚みは2μmとすることができる。かかる厚みとすることで参照電極挿入による電池性能の低下を抑制できる。
今回の実施例では、電池性能とのバランスを勘案して、正極シート121は60μmの正極合剤層を有するものとした。また、負極シート122は65μmの負極合剤層を有するものとした。
【0090】
正極シート121および負極シート122を、ポリエチレン膜123を介して積層し、正極シート121をさらにポリエチレン膜で挟むようにポリエチレン膜をもう一層積層した。負極シート122とポリエチレン膜123を積層する際に上記参照電極160の先端部170及び第2リード部167の一部を挟むようにし、正極シート121および負極シート122の間に配置されるようにした。
【0091】
参照電極を挟む向きは電極面がポリエチレン膜123側に来る方向とし、電極面と負極シートが直接接触しないようにした。
このように重ね合わせた積層体を捲回し、得られた捲回体を側面方向から押しつぶして扁平状の捲回電極体120を作製した。さらに図に示すように参照電極160の第1リード部174を箱状に折り曲げて、アルミニウム製の電池ケース本体141と捲回電極体120との間の絶縁フィルムとした。
【0092】
正極部材133と正極シート121を接続し、さらに負極部材136と負極シート122を接続した。また、参照電極端子168と参照電極を接続し、封口蓋142を取り付けた。正極部材133と負極部材136とにはそれぞれ、絶縁部材132及び135を取り付けて、それぞれの露出部分を正極端子部131及び負極端子部134とした。
【0093】
封口蓋142に矩形板状の安全弁を取り付けた。正極端子部131と参照電極端子168を電気的に接続し、参照電極160から正極シート121に向かって電流を流し、アルミニウム膜161の表面にリチウムアルミニウム合金を含む被覆層162を形成した。
参照電極の完成によりリチウムイオン二次電池100を完成した。
【0094】
実施例にかかる参照電極及びリチウムイオン二次電池を評価した。
図18(a)には捲回電極体の断面が表されている。図中、負極シート122の負極集電板154から順に右に向かって、負極合剤層155、ポリエチレン膜123、正極合剤層152、正極集電板151が積層されている。参照電極160の第2リード部167は負極合剤層155及びポリエチレン膜123に挟まれた薄い層として表れている。
【0095】
図18(a)に示すように、本実施例にかかる参照電極は、正極合剤層及び負極合剤層のいずれよりも薄い部分しか有していない薄膜センサ形状の電極である。このような参照電極を合剤層及びセパレータの間に配置しても、合剤層やセパレータ間の密着は保たれるため、電池性能の低下は抑制される。
【0096】
一方で、
図18(b)に比較例として、リード線付きセンサの形状をした参照電極を示す。参照電極160の第2リード部167の代わりに、比較例の参照電極ではリード線117が接続されている。図中の断面においてリード線117は二層のポリエチレン膜123に挟まれている。
【0097】
図18(b)に示すように、本比較例では正極合剤層又は負極合剤層の厚みよりも大きい直径を有するリード線を備える。このような参照電極を合剤層及びセパレータの間、又はセパレータ層内に挿入すると、合剤層やセパレータ間の密着が悪くなり電池性能が低下する。
一方、リード線117の直径を、正極合剤層及び負極合剤層のいずれの厚みよりも小さいものとした場合、合剤層やセパレータ間の密着は保たれるが、機械的な強度が低く、断線する恐れがある。
【0098】
図19に、上記参照電極を組み込んだ電池の電気抵抗の時間変化を示す。本実施例にかかる参照電極は薄膜センサ形状の電極であるため、比較例にかかるにリード線付きセンサ形状の参照電極に比べ、電池の電気抵抗の増大が遅い。
これは以下の通り説明される。すなわち正極合剤層又は負極合剤層の厚みよりも小さい参照電極を組み込んだ場合、正負極間の隙間が大きく生じないため電解液移動が活発になることを抑制できる。一方で、該厚みよりも大きい参照電極を組み込んだ場合は、正負極間に生じた隙間のため電解液移動が活発になり反応分布が発生する。このため、電気抵抗の増大速度に差が生じたと考えられる。
【0099】
以上、本発明を上記実施形態及び実施例に即して説明したが、上記実施形態及び実施例の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。