(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1の実施形態を、
図1〜
図5により説明する。
【0015】
図1は、本実施形態における放射線測定装置の外観を表す図である。
図2は、本実施形態における放射線測定装置の構成を表す概略図である(但し、便宜上、データ収集解析装置の操作部を図示していない)。
【0016】
これら
図1及び
図2において、放射線測定装置は、放射線検出器(ガンマカメラ)1と、この放射線検出器1に接続されたデータ収集解析装置2を備えている。
【0017】
放射線検出器1は、例えば有底円筒形状の放射線遮蔽体3と、この放射線遮蔽体3の開口側(図中右側)に設けられたコリメータ4と、このコリメータ4の内側に設けられた放射線検出素子5及び放射線計測回路6とを有している。コリメータ4は、放射線検出素子5に入射するガンマ線(放射線)の方向を制限する。放射線検出素子5は、コリメータ4の立体角で制限された領域(詳細には、例えば測定対象物7の線量集積箇所8a又は8b)から入射したガンマ線を検出する。放射線計測回路6は、放射線検出素子5からの出力信号の波高値を計測するようになっている。
【0018】
また、放射線検出器1は、放射線遮蔽体3の外部に設けられた光学カメラ9及び距離計10を有している。光学カメラ9は、測定対象物7の表面を撮影して、その光学画像を取得する。距離計10は、測定対象物7の表面までの距離を計測するようになっている。
【0019】
データ収集解析装置2は、例えば
図1で示すように持ち運びが容易な情報処理装置であり、キーボードやマウスで構成された操作部11と、液晶モニタで構成された表示部12とを有している。また、データ収集解析装置2は、
図2で示すように、機能的構成として、エネルギースペクトル演算部13、計数率比演算部14、データベース15、深さ演算部16、設定部17、及び表示制御部18を有している。
【0020】
エネルギースペクトル演算部13は、放射線検出器1から放射線計測回路6の計測結果(詳細には、波高値)を入力するとともに、距離計10の検出結果(詳細には、距離計10から測定対象物7の表面までの距離)を入力している。そして、放射線計測回路6の計測結果より、放射線検出素子5に入射したガンマ線のエネルギーを演算する。また、距離計10の検出結果より、放射線検出素子5から測定対象物7の表面までの距離dを演算し、これに基づき、ガンマ線のエネルギーを補正する。具体的には、ガンマ線のエネルギーに例えば距離dの2乗などを乗じる。そして、設定部17で設定された積算時間(詳細は後述)の間に得られたガンマ線のエネルギーから、各エネルギーの計数率を演算してガンマ線のエネルギースペクトルを作成するとともに、線量率を演算するようになっている。
【0021】
図3は、本実施形態におけるガンマ線のエネルギースペクトルの具体例を表す図である。
【0022】
この
図3で示すエネルギースペクトルは、測定対象物7の線量集積箇所8a又は8b(上述の
図2参照)からほぼ単一のエネルギーのガンマ線が放出された場合のものである。具体的には、例えばセシウム137が線量集積箇所8a又は8bに存在する場合であり、セシウム137から放出されたガンマ線のエネルギースペクトルでは、全エネルギー吸収ピーク位置が0.662MeVとなる。また、例えばヨウ素131が線量集積箇所8a又は8bに存在する場合であり、ヨウ素131から放出されたガンマ線のエネルギースペクトルでは、全エネルギー吸収ピーク位置が0.365MeVとなる。但し、エネルギー分解能に応じてばらつきが生じるため、一般的に、全エネルギー吸収ピーク位置の計数率でなく、全エネルギー吸収ピーク領域(言い換えれば、全エネルギー吸収ピーク位置を中心とした領域)の計数率を見る。
【0023】
図3中実線で示すエネルギースペクトルは、測定対象物7の表面に位置する線量集積箇所8aから放出されたガンマ線に関するものであり、
図3中点線で示すエネルギースペクトルは、測定対象物7の内部に位置する線量集積箇所8bから放出されたガンマ線に関するものである。そして、図示のように、線量集積箇所が測定対象物7の内部に位置する場合の全エネルギー吸収ピーク領域の計数率(積算値)は、線量集積箇所が測定対象物7の表面に位置する場合と比較して小さくなり、その減少割合が比較的大きい。また、線量集積箇所が測定対象物7の内部に位置する場合の散乱線領域の計数率(積算値)は、線量集積箇所が測定対象物7の表面に位置する場合と比較して小さくなり、その減少割合が比較的小さい。そして、全エネルギー吸収ピーク領域の計数率C1と散乱線領域の計数率C2との比である計数率比C1/C2を演算すると、この計数率比C1/C2は、線量集積箇所が深くなるほど小さくなる(
図4参照)。
【0024】
そこで、上述の
図2に戻り、計数率比演算部14は、エネルギースペクトル演算部13で演算されたエネルギースペクトルから、全エネルギー吸収ピーク領域の計数率C1及び散乱線領域の計数率C2を演算し、それらの比である計数率比C1/C2を演算する。また、データベース15は、予め計算又は測定で取得された、
図4で示すような計数率比C1/C2と線量集積箇所の深さとの関係を記憶している。そして、深さ演算部16は、データベース15で記憶された関係に基づき、計数率比演算部14で演算された計数率比C1/C2から、測定対象物7における線量集積箇所の深さ(詳細には、測定対象物7の線量集積箇所から放射線検出素子5にガンマ線が入射する方向の深さ。例えば
図2で示す線量集積箇所8bの深さH)を演算するようになっている。
【0025】
なお、
図3で示す全エネルギー吸収ピーク領域は、測定対象物7の線量集積箇所に存在する核種に応じて異なる。具体的には、例えばセシウム137が測定対象物7の線量集積箇所に存在する場合に、全エネルギー吸収ピーク領域は、0.662MeVを中心とした領域となる。また、例えばヨウ素131が測定対象物7の線量集積箇所に存在する場合に、全エネルギー吸収ピーク領域は、0.365MeVを中心とした領域となる。また、
図4で示す計数率比と線量集積箇所の深さとの関係は、測定対象物7の線量集積箇所に存在する核種や測定対象物7の材質に応じて異なる。
【0026】
そのため、計数率比演算部14(又はデータベース15)には、核種毎に予め設定された全エネルギー吸収ピーク領域及び散乱線領域が記憶されている(但し、散乱線領域は、複数の核種で共通するように予め設定されてもよい)。そして、計数率比演算部14は、設定部17で設定された核種(詳細は後述)に対応した全エネルギー吸収ピーク領域及び散乱線領域における計数率を演算するようになっている。また、データベース15は、核種及び材質に応じて予め取得された、計数率比と線量集積箇所の深さとの関係を記憶している。そして、深さ演算部16は、設定部17で設定された核種及び材質(詳細は後述)に対応した関係をデータベース15から読込み、その関係に基づき、計数率比演算部14で演算された計数率比から、測定対象物7における線量集積箇所の深さを演算するようになっている。
【0027】
表示制御部18は、放射線検出器1の光学カメラ9で取得された測定対象物7の光学画像を入力している。また、エネルギースペクトル演算部13で演算されたエネルギースペクトル及び線量率を入力している。また、深さ演算部16で演算された測定対象物7における線量集積箇所の深さを入力している。そして、これらの入力情報を、表示部12に表示させるようになっている。
【0028】
次に、本実施形態における表示部12の表示画面の具体例を説明するとともに、関連処理について説明する。
図5は、本実施形態における表示部12の表示画面の具体例を表す図である。
【0029】
この
図5で示す表示画面19は、積算時間選択領域20、核種選択ボタン21A,21B、材質入力欄22、測定開始ボタン23、測定停止ボタン24、エネルギースペクトル表示領域25、及び光学画像表示領域26を有している。
【0030】
積算時間選択領域20は、バー上のノブの移動により、例えば「1sec」、「1min」、「1hr」、又は「累積」を選択可能としている。そして、その選択情報が表示制御部18から設定部17に出力される。これにより、設定部17は、積算時間を可変設定可能としている。
【0031】
核種選択ボタン21A,21Bは、常に、いずれか一方が選択された状態となる。すなわち、核種選択ボタン21Aのみが選択された状態で、核種選択ボタン21Bが操作されると、核種選択ボタン21Bのみが選択された状態に切換わる。また、核種選択ボタン21Bのみが選択された状態で、核種選択ボタン21Aが操作されると、核種選択ボタン21Aのみが選択された状態に切換わるようになっている。そして、その選択情報が表示制御部18から設定部17に出力される。これにより、設定部17は、測定対象物7の線量集積箇所に存在する核種を可変設定可能としている。すなわち、核種選択ボタン21Aが選択された場合は、核種としてセシウム137を設定する。また、核種選択ボタン21Bが選択された場合は、核種としてヨウ素131を設定する。
【0032】
材質入力欄22は、図示しない材質リストを出現させ、この材質リスト上の材質を選択して入力可能としている。そして、その選択情報が表示制御部18から設定部17に出力される。これにより、設定部17は、測定対象物7の材質を可変設定可能としている。
【0033】
そして、測定開始ボタン23が操作されると、その操作情報が表示制御部18から設定部17に出力される。これに応じて、設定部17は、測定開始の指令及び積算時間の設定情報を、エネルギースペクトル
演算部13に出力する。また、測定開始の指令及び核種の設定情報を、計数率比演算部14に出力する。また、測定開始の指令、核種の設定情報、及び材質の設定情報を、深さ演算部16に出力する。
【0034】
また、例えば、測定開始ボタン23が操作された後、積算時間選択領域20が操作されて積算時間の設定が変更されると、設定部17は、変更された積算時間の設定情報を、エネルギースペクトル演算部13に出力する。また、例えば、測定開始ボタン23が操作された後、核種選択ボタン21A又は21Bが操作されて核種の設定が変更されると、設定部17は、変更された核種の設定情報を、計数率比演算部14及び深さ演算部16に出力する。また、例えば、測定開始ボタン23が操作された後、材質入力欄22が操作されて材質の設定が変更されると、設定部17は、変更された材質の設定情報を、深さ演算部16に出力する。
【0035】
エネルギースペクトル演算部13は、例えば積算時間の設定情報が「1sec」であれば、1秒間の間に得られたガンマ線のエネルギーから、各エネルギーの計数率を演算してガンマ線のエネルギースペクトルを作成するとともに、線量率を演算する。言い換えれば、積算時間の設定情報「1sec」を入力してから1秒間毎に、エネルギースペクトル及び線量率を演算して、表示制御部18に出力する。同時に、計数率比演算部14にも、エネルギースペクトルを出力する。
【0036】
また、例えば積算時間の設定情報が「1min」であれば、1分間の間に得られたガンマ線のエネルギーから、各エネルギーの計数率を演算してガンマ線のエネルギースペクトルを作成するとともに、線量率を演算する。言い換えれば、積算時間の設定情報「1min」を入力してから1分間毎に、エネルギースペクトル及び線量率を演算して、表示制御部18に出力する。同時に、計数率比演算部14にも、エネルギースペクトルを出力する。
【0037】
また、例えば積算時間の設定情報が「1hr」であれば、1時間の間に得られたガンマ線のエネルギーから、各エネルギーの計数率を演算してガンマ線のエネルギースペクトルを作成するとともに、線量率を演算する。言い換えれば、積算時間の設定情報「1hr」を入力してから1時間毎に、エネルギースペクトル及び線量率を演算して、表示制御部18に出力する。同時に、計数率比演算部14にも、エネルギースペクトルを出力する。
【0038】
また、例えば積算時間の設定情報が「累積」であれば、積算時間の設定情報「累積」の入力時点から時間の経過とともに更新される現時点(演算時点)までの間に得られたガンマ線のエネルギーから、各エネルギーの計数率を演算してガンマ線のエネルギースペクトルを作成するとともに、線量率を演算する。言い換えれば、積算時間の設定情報「累積」を入力してから例えば1秒間毎に、エネルギースペクトル及び線量率を更新して、表示制御部18に出力する。同時に、計数率比演算部14にも、エネルギースペクトルを出力する。
【0039】
計数率比演算部14は、エネルギースペクトル演算部13からエネルギースペクトルを入力する度に、そのエネルギースペクトルから全エネルギー吸収ピーク領域の計数率及び散乱線領域の計数率を演算し、それらの比である計数率比を演算して、深さ演算部16に出力する。なお、全エネルギー吸収ピーク領域及び散乱線領域の計数率は、設定部17から入力した核種の設定情報に対応させる。
【0040】
深さ演算部16は、計数率比演算部14から計数率比を入力する度に、データベース15から読込んだ関係に基づき、測定対象物7における線量集積箇所の深さを演算して、表示制御部18に出力する。なお、データベース15から読込む関係は、設定部17から入力した核種の設定情報及び材質の設定情報に対応させる。
【0041】
表示制御部18は、エネルギースペクトル演算部13から入力したエネルギースペクトルを、表示部12の表示画面19のエネルギースペクトル表示領域25に表示させる。
【0042】
また、表示制御部18は、放射線検出器1の光学カメラ9で取得された測定対象物7の光学画像を、表示部12の表示画面19の光学画像表示領域26に表示させる。また、表示制御部18は、表示画面19の光学画像表示領域2
6におけるガンマ線検出領域27(詳細には、コリメータ4の立体角で制限された領域)を予め記憶しており、エネルギースペクトル演算部13から入力した線量率を、領域27の色調を変えて表示させる。すなわち、測定対象物7の光学画像上に線量集積箇所の位置及び線量率を表示させる。そして、例えば
図5で示すようにガンマ線検出領域27にカーソルが合わされた場合に、深さ表示欄(ふきだし)28を出現させ、深さ演算部16から入力した線量集積箇所の深さを表示させる。
なお、測定停止ボタン22が操作されると、その操作情報が表示制御部18から設定部17に出力される。これに応じて、設定部17は、測定停止の指令を、エネルギースペクトル部13、計測率比演算部14、及び深さ演算部15に出力する。これにより、上述した演算が停止する。
【0043】
なお、測定停止ボタン2
4が操作されると、その操作情報が表示制御部18から設定部17に出力される。これに応じて、設定部17は、測定停止の指令を、エネルギースペクトル
演算部13、計
数率比演算部14、及び深さ演算部1
6に出力する。これにより、上述した演算が停止する。
【0044】
以上のように構成された本実施形態においては、測定対象物における線量集積箇所の深さを検知することができる。そのため、例えば効率的な除洗作業を計画するために良好である。
【0045】
なお、上記第1の実施形態においては、測定対象物7の表面までの距離を検出する距離計10を放射線検出器1に設け、距離計10の検出結果より、放射線検出素子5から測定対象物7の表面までの距離を演算し、これに基づき、ガンマ線のエネルギーを補正する場合を例にとって説明したが、これに限られず、本発明の趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲内で様々な変形が可能である。すなわち、例えば測定対象物7の表面までの距離が変化しないように放射線検出器1を使用する場合は、距離計10を設けなくともよい。さらに、測定対象物7の表面までの距離による影響を軽視してもよい場合は、ガンマ線のエネルギーを補正しなくともよい。
【0046】
また、上記第1の実施形態においては、測定対象物7の線量集積箇所に例えばセシウム137又はヨウ素131が存在し、線量集積箇所からほぼ単一のエネルギーのガンマ線が放出された場合を想定したが、これに限られず、本発明の趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲内で様々な変形が可能である。すなわち、測定対象物7の線量集積箇所に例えばセシウム134又はコバルト60が存在し、線量集積箇所から複数のエネルギーのガンマ線が放出された場合を想定してもよい(後述の
図6参照)。そして、このような場合でも、ガンマ線のエネルギースペクトルから、全エネルギー吸収ピーク領域における計数率と散乱線領域における計数率との比である計数率比を演算し、この計数率比から線量集積箇所の深さを演算してもよい。
【0047】
本発明の第2の実施形態を、
図6〜
図8により説明する。本実施形態は、測定対象物の線量集積箇所(線源)から複数のエネルギーのガンマ線が放出される場合を想定した実施形態である。そのため、上記第1の実施形態と同等の部分は同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0048】
図6は、本実施形態におけるガンマ線のエネルギースペクトルの具体例を表す図である。
【0049】
この
図6で示すエネルギースペクトルは、測定対象物7の線量集積箇所8a又は8b(上述の
図2参照)から複数のエネルギーのガンマ線が放出された場合のものである。具体的には、例えばセシウム134が線量集積箇所8a又は8bに存在する場合であり、セシウム134から放出されたガンマ線のエネルギースペクトルでは、全エネルギー吸収ピーク位置が0.605MeV及び0.796MeVとなる。また、例えばコバルト60が線量集積箇所8a又は8bに存在する場合であり、コバルト60から放出されたガンマ線のエネルギースペクトルでは、全エネルギー吸収ピーク位置が1.17MeV及び1.33MeVとなる。但し、エネルギー分解能に応じてばらつきが生じるため、一般的に、全エネルギー吸収ピーク位置の計数率でなく、全エネルギー吸収ピーク領域(言い換えれば、全エネルギー吸収ピーク位置を中心とした領域)の計数率を見る。
【0050】
図6中実線で示すエネルギースペクトルは、測定対象物7の表面に位置する線量集積箇所8aから放出されたガンマ線に関するものであり、
図6中点線で示すエネルギースペクトルは、測定対象物7の内部に位置する線量集積箇所8bから放出されたガンマ線に関するものである。そして、図示のように、線量集積箇所が測定対象物7の内部に位置する場合の全エネルギー吸収ピーク領域の計数率は、線量集積箇所が測定対象物7の表面に位置する場合と比較して小さくなる。また、エネルギーが比較的低いほう(図中左側)の全エネルギー吸収ピーク領域の計数率は、その減少割合が比較的大きく、エネルギーが比較的高いほう(図中右側)の全エネルギー吸収ピーク領域の計数率は、その減少割合が比較的小さい。そして、エネルギーが比較的低いほうの全エネルギー吸収ピーク領域の計数率C3とエネルギーが比較的高いほうの全エネルギー吸収ピーク領域の計数率C4との比である計数率比C3/C4を演算すると、この計数率比C3/C4は、線量集積箇所が深くなるほど小さくなる(
図7参照)。
【0051】
そこで、本実施形態の計数率比演算部14は、エネルギースペクトル演算部13で演算されたエネルギースペクトルから、2つの全エネルギー吸収ピーク領域の計数率C3,C4を演算し、それらの比である計数率比C3/C4を演算する。また、本実施形態のデータベース15は、予め計算又は測定で取得された、
図7で示すような計数率比C3/C4と線量集積箇所の深さとの関係を記憶している。そして、本実施形態の深さ演算部16は、データベース15で記憶された関係に基づき、計数率比演算部14で演算された計数率比C3/C4から、測定対象物7における線量集積箇所の深さを演算するようになっている。
【0052】
なお、
図6で示す全エネルギー吸収ピーク領域は、測定対象物7の線量集積箇所に存在する核種に応じて異なる。具体的には、例えばセシウム134が線量集積箇所に存在する場合に、全エネルギー吸収ピーク領域は、0.605MeVを中心とした領域と、0.796MeVを中心とした領域となる。また、例えばコバルト60が測定対象物7の線量集積箇所に存在する場合に、全エネルギー吸収ピーク位置は、1.17MeVを中心とした領域と、1.33MeVを中心とした領域となる。また、
図7で示す計数率比と線量集積箇所の深さとの関係は、測定対象物7の線量集積箇所に存在する核種や測定対象物7の材質に応じて異なる。
【0053】
そのため、計数率比演算部14(又はデータベース15)には、核種毎に予め設定された2つの全エネルギー吸収ピーク領域が記憶されている。そして、計数率比演算部14は、設定部17で設定された核種(詳細は後述)に対応した2つの全エネルギー吸収ピーク領域における計数率を演算するようになっている。また、データベース15は、核種及び材質に応じて予め取得された、計数率比と線量集積箇所の深さとの関係を記憶している。そして、深さ演算部16は、設定部17で設定された核種及び材質に対応した関係をデータベース15から読込み、その関係に基づき、計数率比演算部14で演算された計数率比から、測定対象物7における線量集積箇所の深さを演算するようになっている。
【0054】
次に、本実施形態における表示部12の表示画面の具体例を説明するとともに、核種の設定処理について説明する。
図8は、本実施形態における表示部12の表示画面の具体例を表す図である。
【0055】
この
図8で示す表示画面19Aは、上記第1の実施形態の表示画面19の核種選択ボタン21A,21Bに代えて、核種選択ボタン21C,21Dを有している。
【0056】
核種選択ボタン21C,21Dは、常に、いずれか一方が選択された状態となる。すなわち、核種選択ボタン21Cのみが選択された状態で、核種選択ボタン21Dが操作されると、核種選択ボタン21Dのみが選択された状態に切換わる。また、核種選択ボタン21Dのみが選択された状態で、核種選択ボタン21Cが操作されると、核種選択ボタン21Cのみが選択された状態に切換わるようになっている。そして、その選択情報が表示制御部18から設定部17に出力される。これにより、設定部17は、測定対象物7の線量集積箇所に存在する核種を可変設定可能としている。すなわち、核種選択ボタン21Cが選択された場合は、核種としてセシウム134を設定する。また、核種選択ボタン21Dが選択された場合は、核種としてコバルト60を設定する。
【0057】
以上のように構成された本実施形態においても、上記第1の実施形態と同様、測定対象物における線量集積箇所の深さを検知することができる。そのため、例えば効率的な除洗作業を計画するために良好である。
【0058】
なお、上記第2の実施形態においては、核種選択ボタン21C,21Dのうちのいずれか一方しか選択できない場合を例にとって説明したが、これに限られず、本発明の趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲内で様々な変形が可能である。すなわち、例えば核種選択ボタン21C,21Dの両方を選択可能としてもよい。すなわち、測定対象物7における線量集積箇所にセシウム134及びコバルト60が存在する場合を想定してもよい。そして、4つの全エネルギー吸収ピーク領域のうちのいずれの計数率を選択して計数率比を演算するかを、計数率比演算部14に予め設定しておけばよい。また、これに対応した計数率比と線量集積箇所の深さとの関係を、データベース15に予め記憶しておけばよい。
【0059】
また、上記第1及び第2の実施形態においては、測定対象物7の線量集積箇所に存在する核種を可変設定可能にするとともに、測定対象物7の材質を可変設定可能にする場合を例にとって説明したが、これに限られず、本発明の趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲内で様々な変形が可能である。すなわち、例えば測定対象物7の線量集積箇所に存在する核種を固定してもよい。また、例えば測定対象物7の材質を固定してもよい。これらの場合も、上記同様の効果を得ることができる。また、汎用性が低下するものの、データベース15のデータ量を減少させることができる。
【0060】
本発明の第3の実施形態を、
図9により説明する。なお、本実施形態は、上記第1の実施形態と上記第2の実施形態を組合せた実施形態である。そのため、上記第1及び第2の実施形態と同等の部分は同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0061】
図9は、本実施形態における表示画面の具体例を表す図である。
【0062】
この
図9で示す表示画面19Bは、上記第1の実施形態の表示画面19の核種選択ボタン21A,21Bと、上記第2の実施形態の表示画面19BのB核種選択ボタン21C,21Dを有している(モード選択部)。
【0063】
核種選択ボタン21A〜21Dは、常に、いずれか1つが選択された状態となる。すなわち、核種選択ボタン21Aが操作されると、核種選択ボタン21Aのみが選択された状態に切換わる。また、核種選択ボタン21Bが操作されると、核種選択ボタン21Bのみが選択された状態に切換わる。核種選択ボタン21Cが操作されると、核種選択ボタン21Cのみが選択された状態に切換わる。また、核種選択ボタン21Dが操作されると、核種選択ボタン21Dのみが選択された状態に切換わるようになっている。そして、その選択情報が表示制御部18から設定部17に出力される。これにより、設定部17は、測定対象物7の線量集積箇所に存在する核種を可変設定可能としている。すなわち、核種選択ボタン21Aが選択された場合は、核種としてセシウム137を設定する。また、核種選択ボタン21Bが選択された場合は、核種としてヨウ素131を設定する。核種選択ボタン21Cが選択された場合は、核種としてセシウム134を設定する。また、核種選択ボタン21Dが選択された場合は、核種としてコバルト60を設定する。
【0064】
計数率比演算部14は、例えば核種の設定情報がセシウム137又はヨウ素131である場合(言い換えれば、第1の演算モードが選択された場合)、エネルギースペクトル演算部13で演算されたエネルギースペクトルから、全エネルギー吸収ピーク領域の計数率C1及び散乱線領域の計数率C2を演算し、それらの比である計数率比C1/C2を演算する。一方、例えば核種の設定情報がセシウム134又はコバルト60である場合(言い換えれば、第2の演算モードが選択された場合)、2つの全エネルギー吸収ピーク領域の計数率C3,C4を演算し、それらの比である計数率比C3/C4を演算する。
【0065】
データベース15は、予め計算又は測定で取得された、上述の
図4で示すような計数率比C1/C2と線量集積箇所の深さとの関係を記憶している。また、予め計算又は測定で取得された、上述の
図7で示すような計数率比C3/C4と線量集積箇所の深さとの関係を記憶している。
【0066】
深さ演算部16は、例えば核種の設定情報がセシウム137又はヨウ素131である場合(言い換えれば、第1の演算モードが選択された場合)、データベース15で記憶された計数率比C1/C2と線量集積箇所の深さとの関係に基づき、計数率比演算部14で演算された計数率比C1/C2から、測定対象物7における線量集積箇所の深さを演算する。一方、例えば核種の設定情報がセシウム134又はコバルト60である場合(言い換えれば、第2の演算モードが選択された場合)、データベース15で記憶された計数率比C3/C4と線量集積箇所の深さとの関係に基づき、計数率比演算部14で演算された計数率比C3/C4から、測定対象物7における線量集積箇所の深さを演算する。
【0067】
以上のように構成された本実施形態においても、上記第1及び第2の実施形態と同様、測定対象物における線量集積箇所の深さを検知することができる。そのため、例えば効率的な除洗作業を計画するために良好である。
【0068】
なお、上記第3の実施形態においては、核種選択ボタン21A〜21Dのうちのいずれか1つしか選択できない場合を例にとって説明したが、これに限られず、本発明の趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲内で様々な変形が可能である。すなわち、例えば核種選択ボタン21A〜21Dのうちのいずれか2つ、3つ、又は4つを選択可能としてもよい。そして、散乱線領域及び全エネルギー吸収ピーク領域のうちのいずれの計数率を選択して計数率比を演算するかを、計数率比演算部14に予め設定しておけばよい。また、これに対応した計数率比と線量集積箇所の深さとの関係を、データベース15に予め記憶しておけばよい。
【0069】
また、上記第3の実施形態においては、測定対象物の材質を可変設定可能にする場合を例にとって説明したが、これに限られず、例えば測定対象物の材質を固定してもよい。この場合も、上記同様の効果を得ることができる。また、汎用性が低下するものの、データベースのデータ量を減少させることができる。
【0070】
また、上記第1〜第3の実施形態においては、放射線検出器1は、単一の放射線検出素子5で構成された場合を例にとって説明したが、これに限られず、例えば
図10で示す変形例のように、複数の放射線検出素子5がマトリクス状に配置されて構成されてもよい。そして、エネルギースペクトル演算部13は、放射線検出素子5毎にエネルギースペクトル及び線量を演算し、計数率比演算部14は、放射線検出素子5毎に計数率比を演算し、深さ演算部16は、放射線検出素子5毎に深さを演算すればよい。そして、例えば
図11で示すように、光学画像表示領域26は、複数の放射線検出素子5の配置に対応した複数のガンマ線検出領域27を有し、放射線検出素子5毎に演算された線量率を、各領域27の色調を変えて表示すればよい。また、カーソルが合わされた領域27に応じて、放射線検出素子5毎に演算された線量率を深さ表示欄28に表示する。このような変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0071】
また、上記第1〜第3の実施形態においては、特に説明しなかったが、
図12で示す変形例のように、放射線検出器1のコリメータ4の開口を開閉可能なシャッタ29を設け、このシャッタ29の開閉を制御するシャッタ制御部30を有してもよい。そして、測定準備段階として、シャッタ制御部30がシャッタ29を閉じ状態に制御し、この状態における放射線計測回路6の計測結果より、エネルギースペクトル演算部13Aがガンマ線のエネルギースペクトルを演算し、これをバックグラウンドとして記憶する。そして、測定時に、シャッタ制御部30がシャッタ29を開き状態に制御し、この状態における放射線計測回路6の計測結果より、エネルギースペクトル演算部13Aがガンマ線のエネルギースペクトルを演算し、さらに前述したバックグラウンドを差し引いて補正する。このような変形例では、検出精度を高めることができる。
【0072】
また、上記第1〜第3の実施形態においては、計数率比演算部14(又はデータベース15)には、核種毎に予め設定された全エネルギー吸収ピーク領域等が記憶されている場合を例にとって説明したが、これに限られず、本発明の趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲内で様々な変形が可能である。すなわち、計数率比演算部14は、例えばエネルギースペクトルから全エネルギー吸収ピーク領域等を自動的に抽出してもよい。さらに、例えば核種や材質の変更に伴う演算誤差を軽視してもよい場合は、核種や材質にかかわらず共通して使用可能な計数率比と線量集積箇所の深さとの関係をデータベース15に記憶させてもよい。すなわち、深さ演算部16は、核種や材質にかかわらず共通して使用可能な計数率比と線量集積箇所の深さとの関係に基づき、計数率比演算部14で演算された計数率比から、測定対象物7における線量集積箇所の深さを演算してもよい。このような場合、演算精度が低下するものの、線量集積箇所の深さの傾向を得ることができる。
【0073】
また、上記第1〜第3の実施形態においては、操作部11、表示部12、エネルギースペクトル演算部13、計数率比演算部14、データベース15、深さ演算部16、設定部17、及び表示制御部18を一体として有するデータ収集解析装置2を備えた場合を例にとって説明したが、これに限られず、本発明の趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲内で様々な変形が可能である。すなわち、例えば、操作部11を別体として備えてもよい。また、例えば表示部12及び表示制御部18を別体として備えてもよい。また、エネルギースペクトル演算部13、計数率比演算部14、データベース15、深さ演算部16、及び設定部17をそれぞれ別体として備えてもよい。これらの場合も、上記同様の効果を得ることができる。