特許第5955810号(P5955810)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5955810-配電盤設備 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5955810
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】配電盤設備
(51)【国際特許分類】
   H02B 3/00 20060101AFI20160707BHJP
【FI】
   H02B3/00 E
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2013-107024(P2013-107024)
(22)【出願日】2013年5月21日
(65)【公開番号】特開2014-230355(P2014-230355A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2015年5月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】特許業務法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榮本 郷士
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−249370(JP,A)
【文献】 実開昭63−010703(JP,U)
【文献】 実開昭57−118613(JP,U)
【文献】 特開昭55−005032(JP,A)
【文献】 特開平07−241008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 3/00
H02B 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に電気機器が設けられた配電盤と、
この配電盤の設置箇所に形成されたケーブルピットと、
前記配電盤内に設けられ、一端は前記電気機器と接続し、他端は導体接続式の巻線形ZCTを介して前記ケーブルピット内に達する導体と、
前記ケーブルピット内に設けられ、絶縁材により箱状に形成され、その上面には前記導体の他端を縦向きで引き込む導体引き込み部が、側面には前記ケーブルピット内に布設されたケーブルの端部を横向きに引き込むケーブル引き込む部が形成された接続箱と、
この接続箱内に設けられ、前記導体の他端とケーブルの端部との接続部を支持固定する支持碍子と、
を備えたことを特徴とする配電盤設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、主回路の引込み、又は送出しにケーブルを使用する配電盤設備に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、従来の高圧配電盤は、ケーブル接続部が盤内に設けられていた。この場合、ケーブルは、盤の設置箇所に形成されたケーブルピットから立ち上げられ、盤内に引き込まれ、その端子は盤内に設けられたケーブル接続部に接続されている。また、盤内にはZCTが設けられており、盤内に引き込まれたケーブルは、三相分(3本)が共通のZCTを貫通した状態に構成される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−125421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の配電盤では、ケーブルを接続する際に、下部のケーブルピット内に水平方向に配設されているケーブルを、盤内に向けてほぼ垂直な状態に曲げなければならない。周知のようにケーブルは、導線の周囲に絶縁被覆を施した構造であるため、かなりの剛性を有し、曲げ作業に多くの労力を要する。また、ケーブルの曲げ作業は、上述の比較的大きな剛性のため比較的大きな曲率半径で曲げなければならない。このため、ケーブルピットや配電盤の形状、ZCTの配置位置などに構造上の制約を受ける。
【0005】
盤内に引き込まれたケーブルは、三相分がZCTを貫通した後でないと、それらの端末処理を行えないので、端末処理作業に手間と時間を要した。特に、既設ケーブルを流用して配電盤を更新する場合、更新前の配電盤からケーブルを離線する際、ケーブル端末部とZCTが干渉し、ケーブルを取り外せないことがある。この場合、ケーブルの端末部分を切断し、ZCTを取外していた。しかし、盤更新後に、この端末部分を切断したケーブルを使用しようとしても、切断によりケーブル長が不足する場合が殆どであり、ケーブル長を確保するためケーブルの直ジョイント作業が必要となる、などの問題点があった。
【0006】
このように、盤内にて負荷ケーブルを接続する構造では、ケーブルを、その曲径を確保しながら盤内に引き込み、盤内でZCTを貫通させた後、端末処理を行い、所定の接続箇所へ接続しなければならない。このため、多くの作業時間が必要であると共に、構造的な制約が生じた。したがって、高圧配電盤を新設および更新する際、ケーブル接続に要する作業を軽減し、工事作業時間を短縮することが要望されていた。
【0007】
この発明は、ケーブル曲げ処置や、延線のための直ジョイント作業を省略でき、ケーブル処理作業を簡略化した配電盤設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施の形態に係る配電盤設備は、内部に電気機器が設けられた配電盤と、この配電盤の設置箇所に形成されたケーブルピットと、前記配電盤内に設けられ、一端は前記電気機器と接続し、他端は導体接続式の巻線形ZCTを介して前記ケーブルピット内に達する導体と、前記ケーブルピット内に設けられ、絶縁材により箱状に形成され、その上面には前記導体の他端を縦向きで引き込む導体引き込み部が、側面には前記ケーブルピット内に布設されたケーブルの端部を横向きに引き込むケーブル引き込む部が形成された接続箱と、この接続箱内に設けられ、前記導体の他端とケーブルの端部との接続部を支持固定する支持碍子とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明の実施の形態によれば、盤外のケーブル接続箱内でケーブルを取合うことにより、従来の盤で要していたケーブル処理作業の大幅な簡略化が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態に係る配電盤設備の構成を説明する側面図である。
図2図1の部分背面図である。
図3】本発明の一実施の形態に用いる接続装置の構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1は、この実施の形態による配電盤設備の側面構造を示している。この配電盤設備は配電盤11、この配電盤11の設置箇所に形成されたケーブルピット12、及びこのケーブルピット12内に設置された接続装置13を有する。配電盤11は、その内部に遮断器などの電気機器14が設けられており、その一方の端子は、背面側(図示右側)に縦向きに配置された接続用の導体15の一端(図示上端)と接続している。この導体15は、図2で示すように、三相分が平行配置されており、その長さ方向中間部には、図1で示すように、導体接続式の巻線形ZCT16が接続されている。さらに、この導体15の他端(図示下端)は、ケーブルピット12内の接続装置13内に達している。なお、配電盤11内の電気機器14の他方の端子は、図示しない水平母線などに接続している。
【0013】
接続装置13は、ケーブルピット12内において、このケーブルピット12内に布設されたケーブル18の一端と、前述した導体15の他端(図示下端)とを接続する。この接続装置13は、図3で示すように、絶縁材により箱状に形成された接続箱20を有する。この接続箱20の上面には、導体15の図示下端を縦向きで引き込む導体引き込み部21が、側面にはケーブル18の端部を横向きに引き込むケーブル引き込む部22が、それぞれ形成されている。これらの引き込み部21,22は、引き込み用の開口に、小動物などの外来物が進入させない構造と防水処理とを施したものである。また、導体引き込み部21の近くには、通常時は蓋体で覆われた作業用開口部23を設けておくとよい。
【0014】
この接続箱20内には支持碍子25が設けられている。この支持碍子25は、磁器やゴム材等の絶縁物で作られ、導体15の図示下端とケーブル18の端部との接続部を支持固定する。ここで、導体15の図示下端は図示のようにほぼ直角に折り曲げ、ケーブル18の端部に設けられた接続端子18aとボルト・ナットなどの締め付け具により一体的に接続できるように構成する。
【0015】
上記構成において、配電盤11内の接続用導体15と、外部ケーブル18との接続は、ケーブルピット12内に設けられた接続装置13の接続箱20内で行われる。すなわち、ケーブルピット12内に水平方向に布設されたケーブル18の先端を接続箱20内に、曲げ加工を要することなく、そのまま引き込む。同じく配電盤11内から導体15を縦向きに引き込み、この導体15の下端をケーブル18の接続端子18aと接続し、支持碍子25上に固定する。この場合、導体15の下端部は、予め直角に折り曲げたものを用いることができ、また、ケーブル18には、予め先端部に接続端子18aを取り付けたものを用いることができる。このため、従来の盤内でのケーブル接続を行う場合のように、ケーブルの曲げ作業や、ZCT貫通後のケーブル端末処理などが不要となり、配電盤11の設置時における作業が格段に容易となり、作業時間が短縮される。
【0016】
また、既設ケーブルを流用して配電盤を更新する場合、ケーブルを切断してZCTを取外しても、この切断したケーブルをそのまま流用することができる。すなわち、ケーブルピット12内の接続箱20内で接続処理を行うため、配電盤内でケーブルを切断しても、ケーブル長が不足することはない。したがって、ケーブルの直ジョイント作業を要することなくそのまま流用することができる。すなわち、更新時に主回路ケーブルの切断、再端末作業は必要となるが、ケーブル18を盤内収納するための曲げ処置や延線のための直ジョイントの作業をする必要がなくなる。したがって、更新作業においてもケーブル処理作業を簡略化でき、作業時間を短縮することができる。
【0017】
このように、配電盤11内の接続導体15は、ケーブルピット12に設置された接続装置13の接続箱20内にて高圧ケーブル18と取り合うため、この接続導体15を配電盤11内で垂直に引出す構造とすることができる。そして、接続箱20内の支持碍子25上でケーブル18の端子18aと接続することができる。このため、配電盤にケーブルを収納するスペースが不要となるため、その奥行寸法を小さくすることもできる。
【0018】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0019】
11・・・配電盤
12・・・ケーブルピット
13・・・接続装置
14・・・電気機器
15・・・接続用の導体
18・・・ケーブル
20・・・接続箱
21・・・導体引き込み部
22・・・ケーブル引き込み部
25・・・支持碍子
図1
図2
図3