特許第5955813号(P5955813)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5955813
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20160707BHJP
【FI】
   A63F7/02 304D
【請求項の数】1
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-120326(P2013-120326)
(22)【出願日】2013年6月7日
(62)【分割の表示】特願2008-247308(P2008-247308)の分割
【原出願日】2008年9月26日
(65)【公開番号】特開2013-166074(P2013-166074A)
(43)【公開日】2013年8月29日
【審査請求日】2013年7月8日
【審判番号】不服2015-4238(P2015-4238/J1)
【審判請求日】2015年3月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000144522
【氏名又は名称】株式会社三洋物産
(74)【代理人】
【識別番号】100099047
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】神谷 敬二
【合議体】
【審判長】 本郷 徹
【審判官】 清藤 弘晃
【審判官】 平城 俊雅
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−093612(JP,A)
【文献】 米国特許第5539835(US,A)
【文献】 特開2005−319006(JP,A)
【文献】 特開2002−172216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F7/02
A63F5/04
H04R7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能の異なる複数のパネル体を前後方向に重複配置して組み立てるようにした遊技機において、
前記複数のパネル体の内、遊技者と対面する最前部のパネル体をベースプレートと、同ベースプレートの前面に配置されて同ベースプレートを覆う複数のカバーパネルとから構成し、前記複数のカバーパネルから選択された少なくとも2つ以上のカバーパネルの裏面にそれぞれ超磁歪材料又は圧電セラミックを振動子とした振動子ユニットを装着し、
ある1つの前記カバーパネルを他の1つの前記カバーパネルよりも上方位置に配置させるとともに、ある1つの前記カバーパネルの材質を他の1つの前記カバーパネルよりも硬度を高くしかつある1つの前記カバーパネルと他の1つの前記カバーパネルをそれぞれ均一の厚みに構成し、ある1つの前記カバーパネルを他の1つの前記カバーパネルよりも厚く構成することで、ある1つの前記カバーパネル側から相対的に高音域の音を再生させ、他の1つの前記カバーパネル側から相対的に低音域の音を再生させるようにするとともに、ある1つの前記カバーパネルを当該遊技機を遊技する遊技者の顔の辺りに配置するようにしたことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技の興趣を盛り立てるために遊技内容に応じた効果音を発生させるためのスピーカ装置を併設した遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から例えばパチンコ遊技機、パチロットあるいはスロットマシンのような遊技機では遊技盤の遊技面上に液晶ディスプレイ等の画像表示装置を備えており、遊技の状況に応じて液晶ディスプレイ上で画像の変動等の視覚的な様々な演出をして遊技の興趣を高めるようにしている。そして、この画像変動に伴ってスピーカ装置から場面に応じた音や声等の効果音を再生し遊技に更なる臨場感を与えるようにしている。
従来のスピーカ装置は紙等の薄手の材料からなるコーンを使用したコーン型スピーカユニットを音声発生部としており、遊技者に対面した最前部のパネル体、例えばパチンコ遊技機では扉枠にこのスピーカユニットは配設されている。しかし、従来のスピーカ装置はコーンを振動させるだけであり、またスピーカユニットはスペース的な制限からそれほど大きなものを配設することもできないため、遊技機の音源としては必ずしも十分ではなかった。
そのため、特許文献1のように従来のコーン型スピーカユニットを使用したスピーカ装置に代わって超磁歪材料や圧電セラミックのような振動素子を使用した他者振動型のスピーカ装置が新たに提供されている。超磁歪材料を使用した音響デバイスとしては例えばエキサイタが挙げられる。エキサイタは磁界の発生によって外形が大きく変化する性質を有する超磁歪材料のコイルを巻回した構造を有し、エキサイタを装着した物体を自身とともに振動させることによってその物体自体から音声を再生することができる音響デバイスである。特許文献1はエキサイタをウィンドユニットの透明板に装着し、透明板自体を振動させることでスペース的な制限があるこの種の遊技機のスピーカの性能を向上させるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−204734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような他者振動型のスピーカ装置ではエキサイタのような振動子ユニットを装着してその物体自体を振動させるのであるから、どのような物(以下、振動子ユニットが装着される物体を「振動媒体」とする)に装着するかは音質に大きな影響があるのは当然である。甚だしい場合では例えばスポンジのような柔らかい物体を振動媒体としてエキサイタを装着したとしても振動がスポンジに吸収されてしまい十分な音圧レベル及び音質の音が得られないこととなる。一方、非常に硬度が高い振動媒体であれば高周波の音を再現性よく再生させることが可能である。つまり、これは音源によって振動子ユニットが装着される振動媒体の質量、材質、形状等を適宜変更すれば最適な音響効果を得られるということであるが、従来ではそのような点に着目した他者振動型のスピーカ装置はなかった。
また、従来のスピーカ装置では遊技者に目視させないように遊技機の内部に見えないように配置し、遊技機のパネルにその音を前面に放出させる音声通路を設けるような構成を採用していた。しかし、このように遊技者から離間した位置にスピーカ装置がある場合では途中で音圧レベルが減衰してしまうため、やはり遊技機の音源としては必ずしも十分ではなかった。
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、振動素子を使用した他者振動型のスピーカ装置を備えた遊技機において振動子ユニットを装着する振動媒体を複数種類を用意して最適な音響効果を得ることを可能とした遊技機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために請求項1の発明では、機能の異なる複数のパネル体を前後方向に重複配置して組み立てるようにした遊技機において、前記複数のパネル体の内、遊技者と対面する最前部のパネル体をベースプレートと同ベースプレートの前面に配置されて同ベースプレートを覆う複数のカバーパネルから構成し、前記複数のカバーパネルから選択された少なくとも2つ以上のカバーパネルの裏面にそれぞれ超磁歪材料又は圧電セラミックを振動子とした振動子ユニットを装着し、ある1つの前記カバーパネルを他の1つの前記カバーパネルよりも上方位置に配置させるとともに、ある1つの前記カバーパネルの材質を他の1つの前記カバーパネルよりも硬度を高くしかつある1つの前記カバーパネルと他の1つの前記カバーパネルをそれぞれ均一の厚みに構成し、ある1つの前記カバーパネルを他の1つの前記カバーパネルよりも厚く構成することで、ある1つの前記カバーパネル側から相対的に高音域の音を再生させ、他の1つの前記カバーパネル側から相対的に低音域の音を再生させるようにするとともに、ある1つの前記カバーパネルを当該遊技機を遊技する遊技者の顔の辺りに配置するようにしたことをその要旨とする。
【0006】
上記のような構成では、遊技者と対面する最前部のパネル体をベースプレートとベースプレートの前面に配置されて同ベースプレートを覆う複数のカバーパネルから構成し、その複数のカバーパネルに超磁歪材料又は圧電セラミックを振動子とした振動子ユニットを装着したため、カバーパネル毎に音圧レベルや音質が異なるように振動を起こさせることができ、遊技者に最も近い位置でカバーパネル毎に固有の効果音を再生することが可能となる。更に、上方位置の遊技者の顔の辺りに配置したカバーパネルは周波数の高い高音を再生するのに好適となるため、音源として比較的高い効果音を上方位置から再生させ、相対的に低い効果音をそれよりも下方位置から再生させることが可能となる。
ここに、振動子ユニットとは振動子として超磁歪材料又は圧電セラミックを使用し、これらにその他の電気部品を組み合わせて音声電流に基づいて振動子を振動させるようにしたアッセンブリーであって、振動子ユニット及び振動子ユニットが装着される振動媒体(被振動体)をもってスピーカ装置が構成される。
すべてのカバーパネルに別個に振動子ユニットを装着してもよく、装着しないカバーパネルがあっても構わない。「異なる材質」とは振動媒体の硬度や比重等の固有の物理的性質が異なるということである。
【発明の効果】
【0007】
上記請求項に記載された発明では、ベースプレート前面を覆う複数のカバーパネルから選択された少なくとも2つ以上のカバーパネルの裏面にそれぞれ超磁歪材料又は圧電セラミックを振動子とした振動子ユニットを装着し、ある1つのカバーパネルを他の1つのカバーパネルよりも上方位置であって遊技者の顔の辺りに配置するとともに、ある1つのカバーパネルを他の1つのカバーパネルよりも硬度を高くしかつある1つのカバーパネルと他の1つのカバーパネルをそれぞれ均一の厚みに構成し、ある1つのカバーパネルを他の1つのカバーパネルよりも厚く構成することで、ある1つのカバーパネル側から相対的に高音域の音を再生させ、他の1つのカバーパネル側から相対的に低音域の音を再生させるようにしたため、指向性のある音を遊技者の顔の辺りで再生させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明を応用した実施の形態のパチンコ遊技機の正面図。
図2】同じパチンコ遊技機の分解斜視図。
図3】同じパチンコ遊技機の扉枠を取り去った状態の正面図。
図4】同じパチンコ遊技機の扉枠のベースプレートの背面図。
図5】同じパチンコ遊技機の扉枠の扉枠の側分解図。
図6】扉枠の前面の化粧パネルを分解して説明する説明図。
図7】扉枠の前面の化粧パネルのうち上下受け皿パネルユニットのみを実線で示した背面図。
図8】上下受け皿パネルユニットの分解斜視図。
図9】化粧パネルの斜視図。
図10】ガラスユニットの斜視図。
図11】同じパチンコ遊技機の扉枠の各化粧パネルをその外郭線で境界を分かりやすく説明した説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施の形態について図面に基づいて説明する。
図1図3に示すように、パチンコ遊技機の分類上いわゆる第1種に区分されるパチンコ遊技機11は支持枠体かつパネル体としての外枠12を備えている。外枠12は、遊技ホールへの設置の際にいわゆる島設備に取り付けられる。外枠12は上下左右の各枠板12a〜12dによって四角形に枠組みされた木製の枠体とされている。下部枠板12d上面には幕板13が配設されている。本実施例では図11に示すように幕板13をカバーパネルの一種と考えてエキサイタを使用したスピーカ装置の一部をなす振動子ユニット99が裏面に配設されている。振動子ユニット99については後述する。
外枠12内には遊技機本体14が装着されている。後方パネル体としての遊技機本体14はパチンコ遊技機の構造的な中核を形成する正面視において長方形形状をなすパネル状の構成部材であって、外枠12内において幕板13上に配置されている。図1図3に示すように、遊技機本体14は正面視において略長方形の外郭を備えたABS製のパネルとされている。遊技機本体14は正面から見て左方寄りにおいて上下に配設された開閉金具15aを有し、外枠12側の開閉金具15bに軸支されて開閉軸線P(図2参照)を軸心として前方側に開放可能とされている。図2に示すように、遊技機本体14は開閉軸線P側とは逆側の側縁に上下方向に間隔を開けて2箇所にラッチ機構L1が配設されている。ラッチ機構L1は遊技機本体14が外枠12に対して閉塞された際に外枠12側の図示しない挿入溝に挿入されて係合しロック状態とされる。
【0010】
図3に示すように、遊技機本体14の下部領域には遊技機本体側機構部16が形成されている。遊技機本体側機構部16を正面から見て右方には遊技球発射機構としての遊技球発射ユニット17が配設されている。遊技球発射ユニット17はソレノイド等から構成された発射部18と、発射部18にパチンコ球を順に供給する送球部19及び補助レール20から構成されている。遊技機本体側機構部16の正面から見て左方には上部パチンコ球流入路21と下部パチンコ球流入路22がそれぞれ配設されている。両パチンコ球流入路21,22間にはバイパス通路23が形成されている。下部パチンコ球流入路22の上方にはファール球通路24が形成されている。バイパス通路23及びファール球通路24はユニット化されている。
本体枠側機構部16の背面側にはすべての遊技球を回収して一旦機外に放出させるための遊技球回収通路26が形成されている(図2参照)。
【0011】
図2に示すように、本体枠側機構部16の上方には遊技盤取り付けスペース25が形成され、遊技盤27が同スペース25内に配設されている。同スペース25は遊技盤27が載置される棚部28(図2参照)と、略楕円形状に切り欠き形成された窓孔29を有している。窓孔29の周囲は棚部28に載置された遊技盤27の前面周縁が当接する前板部30とされている。図2に示すように、木製の遊技盤27の外郭は略正方形形状とされ、棚部28に載置された状態で図示しない係止手段によって前板部30に対して圧着固定される。図2に示すように、遊技盤27は同スペース25に配設された状態で前面に形成された遊技面27aが窓孔29から前方に露出される。窓孔29を包囲する壁面31の一部は後述する遊技領域の一部を画定する。
【0012】
遊技体の一部をなす遊技盤27には遊技面27aから裏面に貫通する大小複数の開口部が形成され、各開口部にはそれぞれ目的に応じた各種装飾パネルが併設されている。遊技盤27の略中央には可変表示ユニット35が配設されている。可変表示ユニット35は大型の液晶ディスプレイ36を備えている。図2に示すように可変表示ユニット35は遊技盤27背面に配置される表示制御装置37を備えている。表示制御装置37の下方には主制御装置及び音声ランプ制御装置34が配設されている。可変表示ユニット35の直下には始動口38が配置されており、さらにその下方にいわゆる大入賞口と呼称される可変入賞装置39が配置されている。可変表示ユニット35の左右両側にスルーゲート40が配置され、始動口38の左右両側方向には一般入賞口41がそれぞれ複数配置されている。遊技盤27の最下部位置にはアウト口42が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口42を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。遊技盤27の表面には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の遊技釘が植設されている。また、風車43等の各種部材(役物)が配設されている。
【0013】
遊技盤27の遊技面27a上には、外レール51とレール部材としての内レール52が装着されている。遊技盤27が遊技機本体14の遊技盤取り付けスペース25に配設された状態で両レール51,52及び前記遊技機本体14側の窓孔29を包囲する壁面31の一部によって遊技面27aに遊技領域が画定されている。
図3に示すように、外レール51は前記パチンコ球発射ユニット17の補助レール20の正面から見て左斜め上方であって、同補助レール20の延長方向にファール球通路24上方の空間を隔てた位置にその基端が配置されている。外レール51は基端から時計回り方向に円弧状に上方に延出され遊技面27aの頂点から若干進んだ位置(遊技面27aを時計のダイヤルと見立てた場合の略2時方向位置)にその先端が配置されている。
【0014】
内レール52は遊技面27aを時計のダイヤルと見立てた場合の略4時方向に基端が配置されている。内レール52は基端から時計回り方向に円弧状に下方に延出され、前記アウト口42前面を略水平に横切った後、外レール51の内周側を上方に向かって延出され、遊技面27aの頂点の手前位置(遊技面27aを時計のダイヤルと見立てた場合の略10時方向位置)にその先端が配置されている。内レール52の先端には遊技面27aに打ち出されたパチンコ球の逆進を防止するための片持ちの舌片が形成された逆進防止部材55が装着されている。円弧状の内レール52の最下方位置はアウト口42と交差する位置とされている。両レール51,52は正面から見てアウト口42の左方位置から逆進防止部材55位置(つまり内レール52の先端)にかけて隣接して配置されパチンコ球発射通路49が形成されている。
外レール51及び内レール52は帯状の同幅に形成されたステンレス製薄板条体から構成されている。両レール51,52は遊技面27aに対して前方に向かって略垂直に立設されている。
【0015】
遊技球(パチンコ球)はパチンコ球発射ユニット17によって打ち出されると補助レール20を滑走した後、外レール51に乗り移り外レール51を更に滑走しながら外レール51と内レール52との間のパチンコ球発射通路49を上方に向かって進み遊技面27aに飛び出す。この時、パチンコ球発射ユニット17による打ち出し力が弱く補助レール20から外レール51に乗り移ることができなかったり、外レール51に乗り移っても遊技領域まで至らなかったパチンコ球は落下してファール球通路24に導かれる。
遊技領域に放出された遊技球は落下しながら遊技釘、装飾パネルあるいは各種役物等と干渉して弾かれながら降下し、途中始動口38、可変入賞装置39及び一般入賞口41に入賞する球以外はすべて内レール52上に落下し、同内レール52を伝わって最下部位置のアウト口42に導かれる。入賞した入賞球、アウト口42に導かれたアウト球は遊技機本体14背面の遊技球回収通路26に集合し、機外に一旦放出される。
【0016】
遊技機本体14の前面には扉枠61が配設されている。図1及び図2に示すように、扉枠61は遊技機本体14の正面から見た外郭と略一致した長方形形状の外郭の正面形状を有している。扉枠61は遊技機本体14に対して開閉可能に取り付けられている。扉枠61は遊技機本体14と同様前記開閉金具15の開閉軸線Pと同軸に取り付けられた開閉金具54を軸心として前方側に開放可能とされている。そのため、遊技機本体14は外枠12に対して開閉可能とされるとともに、扉枠61は外枠12と遊技機本体14のそれぞれに対して独立して開閉可能とされている。
図2に示すように、扉枠61には開閉軸線P側とは逆側の側縁に上下方向に間隔を開けて3箇所にラッチ機構L2が配設されている。ラッチ機構L2は前面扉61が遊技機本体14に対して閉塞された際に遊技機本体14側の挿入溝D2に挿入されて係合しロック状態とされる。ロック状態の解除は遊技機本体14背面側からの図示しない解除装置の操作によって行われる。
【0017】
図2図4及び図5に示すように、扉枠61はABS樹脂製のパネル体から構成されるベースプレート63を有している。ベースプレート63の周囲四方には図示しない補強用の金属フレームが配設されている。ベースプレート63には遊技者が遊技面27aを目視するための窓部としての目視用窓孔62が形成されている。目視用窓孔62は略楕円形状に形成され、扉枠61が遊技機本体14に対して閉鎖された状態で同遊技機本体14側の窓孔29と対峙する。図5に示すように、ベースプレート63の背面側には目視用窓孔62を塞ぐようにガラスユニット75が配設されている。ガラスユニット75については後述する。目視用窓孔62の周囲のベース面63a上には所定の位置(本実施の形態では3箇所)にガラスユニット75固定用のクランプレバー58が配設されている。ベースプレート63の背面側であって目視用窓孔62の上部には横長の収容部59が形成されている。収容部59内にはクランプユニット60が吊り下げ支持されている。
【0018】
目視用窓孔62の下部領域にはいくつかの連通口が形成されている。図4において目視用窓孔62の下部右方には前記上部パチンコ球流入路21から流入するパチンコ球の扉枠61前面側への流出口となる主流出口65が形成されている。図4において目視用窓孔62の下部中央には前記下部パチンコ球流入路22から流入するパチンコ球の扉枠61前面側への流出口となる下皿用流出口66が形成されている。図4において目視用窓孔62の下部左方には前記送球部19と連通されて発射用のパチンコ球を流下させる発射球流下口67が形成されている。
【0019】
図4及び図10に示すようにベースプレート63の背面には透明体ユニットとしてのガラスユニット75が配設されている。ガラスユニット75は、モールド成形によって一体的に製造されたABS樹脂製のガラスフレーム76を備えている。ガラスフレーム76には前後二枚の透明板体としてのガラス板77,78が所定間隔を開けて平行に装着されている。ガラスフレーム76は楕円環状の外形形状を有し、細枠部79と細枠部79の一部が外方に拡張された膨出部80とから基本形状が構成されている。膨出部80の表面側(図10で示される面)には凹部81が形成されている。凹部81内においてリブ82で区画された収容領域Sには乾燥剤83が収容されている。ガラスフレーム76側方には上下位置にはブラケット86が形成されている。ガラスフレーム76はブラケット86によって開閉可能にベース面63a上に取り付けられてるとともにクランプユニット60及びクランプレバー58によって目視用窓孔62位置に配置される。
【0020】
図1図5図7及び図11に示すように、ベースプレート63の前面側には4つの化粧パネル95a〜95dと上受け皿パネルユニット96及び下受け皿パネルユニット97が配設されている。目視用窓孔62の左右及び上方に配置されたカバーパネルとしての化粧パネル95a〜95c内には装飾ランプとしてのLEDユニット94が配設されている。これらパネル95a〜95d、96、97は振動減衰材料としてのゴムスポンジからなるシート体93を介してベースプレート63の前面に固着されている。
化粧パネル95a〜95dはいずれも型抜きで成形された成形品であって、上方中央位置に配置された化粧パネル95aはアクリル樹脂を原料として一体成形されており、厚みは4.0mmとされ重量は333gとされている。上方左右位置に配置された略対称形状の化粧パネル95b,95cはポリブチレンテレフタレート(PBT)を原料として一体成形されており、厚みは共に3.2mmとされ重量は共に125gとされている。正面視において上受け皿パネル96に隣接した左方位置に配置された化粧パネル95dはポリカーボネートを原料として一体成形されており、厚みは3.2mmとされ重量は134gとされている。
図7図9及び図11に示すように、上方左右位置に配置された化粧パネル95b,95cの背面側であって上部側方位置にはそれぞれエキサイタを使用したスピーカ装置の一部をなす振動子ユニット99が配設されている(図9は遊技者側から見て右側の化粧パネル95cを示す)。エキサイタは磁気回路と駆動コイル及び超磁歪素子から構成され、本実施例では振動子ユニット99は図示しない音声ランプ制御装置から出力される音声電流に基づいて駆動されるものとする。
【0021】
目視用窓孔62の下方位置にはカバーパネルとしての上受け皿パネルユニット96及び下受け皿パネルユニット97が配設されている。図6図8に示すように、両ユニット96,97は複数の小パネルが前後方向に組み合わされて構成されている。
図8に示すように、上受け皿パネルユニット96は上部背面パネル100とその前方に配置される上受け皿化粧パネル101と両パネル100,101間に配置される上受け皿パネル102によって基本的な骨格が形成されている。上部背面パネル100はベースプレート63の前面に固着される上受け皿パネルユニット96のベース部分であり、前記主流出口65に接続される導入通路105が形成されている。上受け皿化粧パネル101は上受け皿パネルユニット96を構成する部材中で最も大きなパネルであって、前方に大きく膨出したフォルムを有する。図8及び図11に示すように上受け皿化粧パネル101の底板101aの上面位置には振動子ユニット99が配設されている。
上受け皿化粧パネル101の左右方向中央位置にはモニター画面を変更させるための操作ボタンを有するモニター表示変更ユニット104が配設されている。遊技者側から見て上受け皿化粧パネル101の右方位置には証紙確認用の透孔が形成され、透孔内には小窓ユニット107が配設されている。上受け皿化粧パネル101の前面であって小窓ユニット107周辺には補助化粧パネル108が配設されている。補助化粧パネル108は化粧パネル95a〜95dと同じ表面装飾とされており、化粧パネル95a〜95dとのデザイン的な統一が図られている。また、遊技者側から見て上受け皿化粧パネル101の左方位置には灰皿用背パネル109が配設され、灰皿用背パネル109に隣接する位置には補助化粧パネル110が配設されている。
上受け皿パネル102は上部背面パネル100との間で構成される所定の容積を有する貯留部111を備えている。前記導入通路105から導入されるパチンコ球は貯留部111内に導かれる。上受け皿パネル102の上部位置にはカード操作用のボタン等を備えたCRユニット113が配設されている。また、貯留部111内のパチンコ球をバイパス通路106方向に流下させるためのパチンコ球流下レバー114が併設されている。バイパス通路106出口位置には通路部材112が配設されている。
【0022】
図8に示すように、下受け皿パネルユニット97は下部背面パネル115とその前方に配置される下受け皿化粧パネル116と両パネル115,116間に配置される下受け皿パネル117によって基本的な骨格が形成されている。
下部背面パネル115はベースプレート63の前面に固着される下受け皿パネルユニット97のベース部分であり、前記下皿用流出口66内に侵出される導入通路118が形成されている。導入通路118の側方には前記通路部材112と連通する小通路122が形成されている。下受け皿化粧パネル116は下受け皿パネルユニット97を構成する部材中で最も大きなパネルであって、前方に大きく膨出したフォルムを有する。下受け皿化粧パネル116は底板116aを備えている。下受け皿パネル117は底板116a上にシャッタユニット119を配設した状態で載置されている。下受け皿パネル117の底板部には透孔117aが形成されており、シャッタユニット119を操作する(レバーを動かしてシャッタを開放する)ことで下受け皿パネル117内のパチンコ球を排出することが可能となっている。遊技者側から見て下受け皿化粧パネル116の左方位置には灰皿120が配設されている。灰皿120は下受け皿化粧パネル116の裏面側から支持金具121によって支持されている。
下受け皿パネルユニット97の下部背面パネル115に隣接する位置にはハンドル用背面パネル123がベースプレート63の前面に固着されている。同パネル123の前面には発射ユニット17と連動するパチンコ球打ち出し用ハンドル124が突設されている。
【0023】
上受け皿パネルユニット96を構成する骨格部材(上部背面パネル100、上受け皿化粧パネル101及び上受け皿パネル102)はABS樹脂を原料として成形されており、厚みはそれぞれ2.0mmとされている。このうち上受け皿化粧パネル101の重量は468gとされている。
下受け皿パネル97を構成する骨格部材(下部背面パネル115、下受け皿化粧パネル116及び下受け皿パネル117)もABS樹脂を原料として成形されており、厚みはそれぞれ2.0mmとされている。
【0024】
次に遊技盤27の背面構成について図2に基づいて説明する。
遊技機本体14(遊技盤27)の背面には各種制御装置が重複状に配置されている。制御装置は大きく3つにユニット化されており、タンク220や遊技球を供給するための遊技球供給装置221、保護カバー223等を備えた第1ユニット224、払出制御装置、発射制御装置及び電源装置を備えた第2ユニット226から構成されている。
【0025】
上記のような振動子ユニット99を備えたパチンコ遊技機11では、振動子ユニット99が駆動されると次のような作用が生じる。
まず、音声電流が振動子ユニット99に流れると、エキサイタの駆動コイルがその電流の強弱に従って励磁され素子を振動させる。この振動に伴って化粧パネル95b,95cの及び受け皿パネルユニット96の上受け皿化粧パネル101がそれぞれ独自に振動し、それぞれのパネル95b,95c,101前面の空気に粗密層を励振させ音を発生させることとなる。4つの化粧パネル95a〜95dと上受け皿パネルユニット96及び下受け皿パネルユニット97はシート体93を介してベースプレート63の前面に固着されているため、振動はベースプレート63側には伝わりにくい。本実施例では上側左右にそれぞれ一箇所ずつと、それらの下方位置に一箇所の計3箇所に振動子ユニット99を配置していわゆる3チャンネルのステレオ効果を与えることができることとなる。例えば、左右の化粧パネル95b,95cには左右それぞれの方向から音声が分かれて聞こえるような左右ステレオ効果を与えるとともに、下方の上受け皿化粧パネル101からはそれらの音を混合したモノラル音声を出すようにしたり、あるいは左右の化粧パネル95b,95cに左右ステレオ効果を与えるとともに、下方の上受け皿化粧パネル101からはそれらの音とは別の音、例えばごく低音の効果音を出すようにすることが可能である。更に、これに幕板13の振動子ユニット99を加えて計4チャンネルのステレオ効果を与えることができることとなる。
ここに、振動媒体としての化粧パネル95b,95cと上受け皿化粧パネル101では材質や大きさが異なるため、例え同じ音源であっても音圧レベルや音質は異なる。振動媒体における音圧レベルや音質を決定する要因としては、硬度、比重、形状、質量等が挙げられる。
プラスチックの硬さは試料の組成、加硫の条件や寸法、形状等も測定値に影響するため一義的ではないが、本実施例で使用しているプラスチックの硬さ順位は概ね下記の通りである。
ABS樹脂<PBT<ポリカーボネート<アクリル樹脂
また、本実施例で使用しているプラスチックの比重は以下の通りである。
ABS樹脂 :1.05〜1.07
PBT :1.3〜1.5
ポリカーボネート:1.2程度
アクリル樹脂 :1.2程度
さて、化粧パネル95b,95cと上受け皿化粧パネル101とを比較すると、その材質は化粧パネル95b,95cの方が比重が大きく、また硬度も高い。更に、厚みも化粧パネル95b,95cの方が厚い。一方質量は化粧パネル95b,95cの方が上受け皿化粧パネル101よりも小さい。つまり化粧パネル95b,95cが厚さのある小さな硬い物体というイメージであるのに対し、上受け皿化粧パネル101は大きいが見た目ほど重くはなく、更にそれほど硬くはない物体というイメージである。従って、化粧パネル95b,95cからは比較的高音を再生させることがより音質のよい効果音を再生させるという趣旨から好ましい。高音の方が周波数が高いため、厚さのある小さな硬い物体の方が励振に対する応答性がよく、粗密層の密度を高くする(つまり周波数を高くする)ことが可能だからである。
一方、その逆である上受け皿化粧パネル101からは相対的に低音を再生させることが好ましい。また、比較的指向性の高い高音は耳に近い位置で再生させることが好ましく、その点でも遊技者の頭部近くに配置される化粧パネル95b,95c側に高音の音源に基づいて高音を再生させるような設定をすることが好ましい。
【0026】
このように構成されたパチンコ遊技機11では、次のような効果が奏される。
(1)従来のようなコーン式のスピーカ装置ではなくエキサイタを使用した振動子ユニット99を使用し、それら振動子ユニット99が装着される化粧パネル95b,95c及び上受け皿化粧パネル101全体をスピーカ装置としたため、化粧パネル95b,95c及び上受け皿化粧パネル101がそれぞれ振動することとなって大きな放射面積が得られ遊技機としての十分な音圧レベルの効果音を発することが可能となる。そのため、騒音の多い環境で使用される遊技機として十分な音量や音質を得ることができる。また、本実施例では3つの異なる種類の効果音、つまり3チャンネルの音を極めて分離性能よく再生させることができるので、遊技における臨場感が非常に高まる。
(2)化粧パネル95b,95c及び上受け皿化粧パネル101毎にそれぞれ振動子ユニット99が配設されているため、遊技者に非常に近い位置で音を再生することとなって非常に高い音圧レベルの効果音を遊技者に聴かせることとなって、臨場感が高まる。
(3)化粧パネル95b,95cは上受け皿化粧パネル101に対して硬度が高く、厚いため高音を再生するのに適しており、ちょうど化粧パネル95b,95cは遊技者の顔の辺りに配置されるため指向性のある高音の再生に適している。一方、低音は相対的に硬度が低く薄い上受け皿化粧パネル101から再生させるのが適しており、更に低音は指向性が小さいため遊技者の体全体で低音を実感させるためにはちょうど遊技者の体の中心辺りに配置された上受け皿化粧パネル101で再生させることが適している。
(4)ベースプレート63には化粧パネル95b,95c及び上受け皿化粧パネル101の振動が伝達されにくくなっているため、これら化粧パネル95b,95c及び上受け皿化粧パネル101からの直接的な振動の伝達を受けて(共振することはありうる)ベースプレート63よりも背後の部材がいわゆるびびるというようなことがない。
(5)本実施例では3箇所の化粧パネル95b,95c,101に加えて外枠12のベースプレートとなる幕板13に振動子ユニット99を配設したため計4箇所の異なる位置から効果音を発生させることが可能となり、非常に音声効果の高いパチンコ遊技機を提供することができる。
【0027】
本発明は以下のような態様に変更して実施することが可能である。
・上記ではプラスチック材料として熱可塑性プラスチックを使用したが、熱硬化性プラスチックを使用することも可能である。その場合一般に熱硬化性プラスチックは硬度が熱可塑性プラスチックよりも硬度が高くなる傾向であるため、高音の効果音を再生させるのに適している。つまり、なるべく上方位置の部材用に使用することが好ましい。
・上記実施例では化粧パネル95b,95cと上受け皿化粧パネル101に振動子ユニット99を設けるようにしたが、音圧レベルや音質を変更したり、音源に応じた音質を得るために他のパネルに振動子ユニット99を取り付けるようにしてもよい。
上記実施例ならば例えば上受け皿パネル96に隣接した左方位置に配置されたポリカーボネート製の化粧パネル95aや化粧パネル95dに追加的に、あるいは化粧パネル95b,95cや上受け皿化粧パネル101に代わって振動子ユニット99を取り付けることも可能である。
・振動子ユニット(及び使用される振動子)は被振動体(上記では分割プレート72a〜72c)の材質や大きさに応じて適宜変更可能である。基本的には被振動体に適合した出力の振動子ユニットを使用することが好ましい。
・上記実施例では振動子ユニットとしてエキサイタを使用したが、圧電セラミックを振動子とした振動子ユニットでも構わない。
・上記実施例では振動減衰材料としてゴムスポンジを使用したが、発泡ウレタン等その他の振動減衰材料を使用してもよい。また、クッション体73等の形状も上記に限定されるものではない。
上記材質は一例であって他のプラスチックに変更することも可能である。
・上記実施の形態のパチンコ遊技機11以外の機種に応用することも自由である。またパチンコ遊技機以外のスロットマシンやいわゆるパチロットに応用することも可能である。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない態様で実施することは自由である。
【符号の説明】
【0028】
11…パチンコ遊技機、27…遊技盤、61…扉枠、63…ベースプレート、95a〜95d…カバーパネルとしての化粧パネル、96…カバーパネルとしての上受け皿パネルユニット、97…カバーパネルとしての下受け皿パネルユニット、99…振動子ユニット。
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図11