特許第5955821号(P5955821)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5955821予想品目ピッキング・レートに従う在庫配置のための方法、プログラムおよびプログラムを記録したコンピュータアクセス可能な記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5955821
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】予想品目ピッキング・レートに従う在庫配置のための方法、プログラムおよびプログラムを記録したコンピュータアクセス可能な記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20160707BHJP
【FI】
   B65G1/137 E
【請求項の数】19
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2013-208032(P2013-208032)
(22)【出願日】2013年10月3日
(62)【分割の表示】特願2009-526918(P2009-526918)の分割
【原出願日】2007年8月30日
(65)【公開番号】特開2013-256392(P2013-256392A)
(43)【公開日】2013年12月26日
【審査請求日】2013年10月3日
(31)【優先権主張番号】11/512,631
(32)【優先日】2006年8月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507303550
【氏名又は名称】アマゾン・テクノロジーズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】アントニー,フェリックス・エフ
(72)【発明者】
【氏名】リ,シャオ・ユ
【審査官】 筑波 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭49−016174(JP,A)
【文献】 特開平08−169510(JP,A)
【文献】 特開2002−002911(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00 − 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御システムの指令により、在庫貯蔵エリアのエンベロープ内に複数のストワを分散させるステップであって、前記エンベロープが、最も内側の第1のゾーンが1つ又は複数の他のゾーンによって次々に、かつ少なくとも部分的に取り囲まれるように前記在庫貯蔵エリア内に物理的に配置された、複数のゾーンのそれぞれの少なくとも一部を包含する、ステップと、
前記制御システムが、前記エンベロープ内の対応するゾーン内に在庫品目を貯蔵するように前記複数のストワに指令するステップであって、時間の経過につれて、前記エンベロープが、前記複数のゾーンのうちの前記第1のゾーン内に含まれる軸の周りの在庫貯蔵エリアの中を進む、ステップと、を含み、
前記エンベロープは、前記複数のストワの場所を束縛する領域である、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記在庫品目を貯蔵するように前記複数のストワに指令するステップは、
貯蔵すべき前記所与の在庫品目の単位数がしきい値を超えるかどうかを判定するステップと、
前記単位数が前記しきい値を超えるとの判定に応答して、前記単位数の前記所与の在庫品目を、グループとして対応するゾーン内に貯蔵するように前記複数のストワに指令するステップと、を含み、
前記グループのうちの少なくとも一部が、複数の単位の前記所与の在庫品目を含み、前記グループのそれぞれが、前記対応するゾーン内の別個の場所を占有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記在庫品目を貯蔵するように前記複数のストワに指令するステップは、
前記単位数が前記しきい値を超えないとの判定に応答して、前記対応するゾーン内の別個の場所のそれぞれに、前記所与の在庫品目のそれぞれを貯蔵するために前記複数のストワに指令するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のゾーンのうちの所与のゾーン内に貯蔵された在庫品目の所与のグループのメンバのそれぞれの予想ピッキング・レートは、前記所与のゾーンを少なくとも部分的に取り囲む、前記複数のゾーンのうちの連続するゾーン内に貯蔵された在庫品目の別のグループのメンバのそれぞれの予想ピッキング・レート未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記対応するゾーンは、前記在庫品目のそれぞれの予想ピッキング・レートに基づいて決定される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記エンベロープ内の対応するゾーン内に在庫品目を貯蔵するように前記複数のストワに指令するステップにおいて、時間の経過につれて、前記エンベロープが、前記軸の周りの前記在庫貯蔵エリアの中を一方向に進む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記エンベロープ内の対応するゾーン内に在庫品目を貯蔵するように前記複数のストワに指令するステップにおいて、時間の経過につれて、前記エンベロープの進行方向は、前記軸の周りの前記在庫貯蔵エリアの中を振動パターンの間隔で反対となる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
庫貯蔵エリアのエンベロープ内に複数のストワが分散するように前記複数のストアに指令するステップであって、前記エンベロープが、最も内側の第1のゾーンが1つ又は複数の他のゾーンによって次々に、かつ少なくとも部分的に取り囲まれるように前記在庫貯蔵エリア内に物理的に配置された、複数のゾーンのそれぞれの少なくとも一部を包含する、ステップと、
前記エンベロープ内在庫品目を貯蔵するように前記複数のストワに指令するステップであって、時間の経過につれて、前記エンベロープが、前記複数のゾーンのうちの前記第1のゾーン内に含まれる軸の周りの在庫貯蔵エリアの中を進む、ステップと、を制御システムに実行させ
前記エンベロープは、前記複数のストワの場所を束縛する領域である、
プログラム
【請求項9】
記在庫品目を貯蔵するように前記複数のストワに指令するステップは、
貯蔵すべき前記所与の在庫品目の単位数がしきい値を超えるかどうかを判定するステップと、
前記単位数が前記しきい値を超えるとの判定に応答して、前記単位数の前記所与の在庫品目を、グループとして対応するゾーン内に貯蔵するように前記複数のストワに指令するステップと、を含み、
前記グループのうちの少なくとも一部が、複数の単位の前記所与の在庫品目を含み、前記グループのそれぞれが、前記対応するゾーン内の別個の場所を占有する、請求項8に記載のプログラム
【請求項10】
前記複数のゾーンのうちの所与のゾーン内に貯蔵された在庫品目の所与のグループのメンバのそれぞれの予想ピッキング・レートは、前記所与のゾーンを少なくとも部分的に取り囲む、前記複数のゾーンのうちの連続するゾーン内に貯蔵された在庫品目の別のグループのメンバのそれぞれの予想ピッキング・レート未満である、請求項8に記載のプログラム
【請求項11】
前記対応するゾーンは、前記在庫品目のそれぞれの予想ピッキング・レートに基づいて決定される、請求項10に記載のプログラム
【請求項12】
記エンベロープ内に在庫品目を貯蔵するように前記複数のストワに指令するステップにおいて
前記エンベロープ内の対応するゾーン内に在庫品目を貯蔵するように前記複数のストワに指令し、時間の経過につれて、前記エンベロープが、前記軸の周りの前記在庫貯蔵エリアの中を一方向に進む、ステップを含む請求項8に記載のプログラム
【請求項13】
記エンベロープ内に在庫品目を貯蔵するように前記複数のストワに指令するステップにおいて
前記エンベロープ内の対応するゾーン内に在庫品目を貯蔵するように前記複数のストワに指令し、時間の経過につれて、前記エンベロープの進行方向は、前記軸の周りの前記在庫貯蔵エリアの中を振動パターンの間隔で反対となる、ステップを含む請求項8に記載のプログラム
【請求項14】
庫貯蔵エリアのエンベロープ内に複数のストワが分散するように前記複数のストアに指令するステップであって、前記エンベロープが、最も内側の第1のゾーンが1つ又は複数の他のゾーンによって次々に、かつ少なくとも部分的に取り囲まれるように前記在庫貯蔵エリア内に物理的に配置された、複数のゾーンのそれぞれの少なくとも一部を包含する、ステップと、
前記エンベロープ内の在庫品目を貯蔵するように前記複数のストワに指令するステップであって、時間の経過につれて、前記エンベロープが、前記複数のゾーンのうちの前記第1のゾーン内に含まれる軸の周りの在庫貯蔵エリアの中を進む、ステップと、を制御システムに実行させ
前記エンベロープは、前記複数のストワの場所を束縛する領域である、
プログラムを記録したコンピュータアクセス可能な記憶媒体。
【請求項15】
記在庫品目を貯蔵するように前記複数のストワに指令するステップは、
貯蔵すべき前記所与の在庫品目の単位数がしきい値を超えるかどうかを判定するステップと、
前記単位数が前記しきい値を超えるとの判定に応答して、前記単位数の前記所与の在庫品目を、グループとして対応するゾーン内に貯蔵するように前記複数のストワに指令するステップと、を実行可能であり、
前記グループのうちの少なくとも一部が、複数の単位の前記所与の在庫品目を含み、前記グループのそれぞれが、前記対応するゾーン内の別個の場所を占有する、請求項14に記載の記憶媒体。
【請求項16】
前記複数のゾーンのうちの所与のゾーン内に貯蔵された在庫品目の所与のグループのメンバのそれぞれの予想ピッキング・レートは、前記所与のゾーンを少なくとも部分的に取り囲む、前記複数のゾーンのうちの連続するゾーン内に貯蔵された在庫品目の別のグループのメンバのそれぞれの予想ピッキング・レート未満である、請求項14に記載の記憶媒体。
【請求項17】
前記対応するゾーンは、前記在庫品目のそれぞれの予想ピッキング・レートに基づいて決定される、請求項16に記載の記憶媒体。
【請求項18】
記エンベロープ内に在庫品目を貯蔵するように前記複数のストワに指令するステップにおいて
前記エンベロープ内の対応するゾーン内に在庫品目を貯蔵するように前記複数のストワに指令し、時間の経過につれて、前記エンベロープが、前記軸の周りの前記在庫貯蔵エリアの中を一方向に進む、ステップを含む請求項14に記載の記憶媒体。
【請求項19】
記エンベロープ内に在庫品目を貯蔵するように前記複数のストワに指令するステップにおいて
前記エンベロープ内の対応するゾーン内に在庫品目を貯蔵するように前記複数のストワに指令し、時間の経過につれて、前記エンベロープの進行方向は、前記軸の周りの前記在庫貯蔵エリアの中を振動パターンの間隔で反対となる、ステップを含む請求項14に記載の記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマテリアル・ハンドリング・システムに関し、より詳細には、マテリアル・ハンドリング・システム内の材料の貯蔵配置及び選択に関する。
【背景技術】
【0002】
作業中に材料を受け取り、消費し、変形し、配布する企業は、マテリアル・ハンドリング・システムを実装して、企業内で材料がどのように管理されるかを調整する。例えば、製造においては、材料は、処理のために製造施設に到着する原料、供給材料、部品など、さらには製造工程の結果として得られる半製品又は完成品を含む。同様に、流通においては、小売業者、卸売業者、その他のタイプの流通業者が、商品又は製品などの材料を受け取り、それをクライアント又は顧客に流通させる。
【0003】
材料は、在庫として在庫施設内に貯蔵され、クライアント又は顧客による注文又は使用のために利用可能にされる。例えば、製造においては、クライアントは、特定のタイプの材料を入力として含む製造工程のステップを含み、小売においては、クライアントは、製品を注文する顧客を含む。従来型マテリアル・ハンドリング・システムでは、多くの場合、同様の品目が在庫内に一緒に貯蔵されることがある。例えば、共通のUniversal Product Code(UPC)、Stock−Keeping Unit(SKU)コード、又は他の名称(メーカ独自の名称を含む)を有する品目を在庫内に一緒に貯蔵することがある。
【0004】
例えばクライアントの注文に応答して、又は製造工程を補充するために、在庫から材料を取り出すことが必要なとき、1つ又はいくつかの在庫品目を在庫から取り出し、すなわち「ピッキング」し、要求者又は受領者に配送する準備をしなければならない。いくつかの異なる要求者の要求に対する多数の異なる品目やサービスを含む在庫環境では、所与の時間に、品目をピッキングすることを求めるかなりの数の未処理要求が存在することがある。ピッキングの生産性を改善するために、マテリアル・ハンドリング・システムは、在庫施設全体にわたって分散する複数の品目ピッカを利用することができ、あるケースでは、単一の注文に関する異なる品目のピッキングを含む異なるピッキング操作を、異なるピッカに割り当てることができる。
【0005】
所与のピッカの生産性は一般に、所与のピッカが単位時間又は単位労力当たりにどれほど多くのピッキング操作を完了することができるかに依存する。例えば、ピッカが2つの品目のピッキングの間にかなりの距離を移動する場合、ピッキングすることなく移動するのに費される時間を非生産的な時間とみることができる。それに対応して、連続するピッキング操作間にピッカが移動する距離を削減することにより、ピッカの生産性を改善することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、少量のいくつかの在庫品目を比較的大型の在庫施設内に貯蔵するときに困難が生じる。例えば、品目の在庫量は、その品目に対する相対的需要に比例するであろう。しかし、貯蔵すべき品目量が減少するにつれて、品目が貯蔵される可能性のある在庫施設内の可能な離散的な場所の数も減少する。例えば、不可分な1単位のみの所与の品目を在庫する場合、それを施設内の複数の場所に貯蔵することはできない。施設が大型であり、かつその中で所与の品目がランダムに配置される場合、所与の品目は、所与の品目をピッキングするように要求されたときに、最も近いピッカから遠く離れていることがある。したがって、あるピッカは、所与の品目を取り出すのに、その現在位置からかなりの距離を移動しなければならない可能性があり、それによってピッカの生産性が低下する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】フルフィルメント・センタの一実施形態を示すブロック図である。
図2】在庫品目を貯蔵する方法の一実施形態を示す流れ図である。
図3】ゾーン・ベースの在庫分布の一実施形態を示すブロック図である。
図4】ゾーン・ベースの在庫分布の別の実施形態を示すブロック図である。
図5】ゾーン・ベースの在庫分布内に貯蔵された品目をピッキングする方法の一実施形態を示す流れ図である。
図6】ゾーン・ベースの在庫分布内に現在配置されているピッカとストワの一実施形態を示すブロック図である。
図7】ゾーン・ベースの在庫分布内に現在配置されているピッカとストワの別の実施形態を示すブロック図である。
図8A】在庫ゾーンの直線的分布並びにそのようなゾーンの分布にわたる例示的なエンベロープ移動の一実施形態を示す図である。
図8B】在庫ゾーンの直線的分布並びにそのようなゾーンの分布にわたる例示的なエンベロープ移動の一実施形態を示す図である。
図8C】在庫ゾーンの直線的分布並びにそのようなゾーンの分布にわたる例示的なエンベロープ移動の一実施形態を示す図である。
図8D】在庫ゾーンの直線的分布並びにそのようなゾーンの分布にわたる例示的なエンベロープ移動の一実施形態を示す図である。
図9】在庫貯蔵施設内の1組の在庫ゾーンの複製の一実施形態を示すブロック図である。
図10】在庫貯蔵施設内のピッカ及び/又はストワと通信するように構成された制御システムの一実施形態を示すブロック図である。
図11】コンピュータ・システムの例示的一実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は様々な修正形態及び代替形態が可能であるが、図面では本発明の特定の実施形態を例示として示し、本明細書ではその特定の実施形態を詳細に説明する。しかし、本発明の図面及び詳細な説明は、本発明を開示の特定の形態に限定するものではなく、その逆に、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の趣旨及び範囲の中にあるすべての修正形態、均等物、及び代替形態を包含することが意図されることを理解されたい。
【0009】
予想される品目ピッキング・レートに従う在庫配置のための方法及びシステムの様々な実施形態が開示される。一実施形態では、主に在庫をランダムに、又は便宜的に配置するのではなく、品目が貯蔵庫からピッキングされると予想されるレートに従って、在庫品目を在庫施設内のゾーンとして編成することができる。ゾーンは、順序付けられた幾何学的な方式で編成され、それによって、内側のゾーン内のまれにしかピッキングされない品目が、より頻繁にピッキングされる品目を含む連続するゾーンによって少なくとも部分的に取り囲まれる。
【0010】
そのようなゾーンの編成は、各ゾーンの少なくとも一部分を包含する在庫施設の区間又はエンベロープが、ピッキングされる頻度が少ないと予想される品目を含めて施設内に貯蔵された少なくとも1単位の各品目を含に、又は確率的に含む可能性が高いという特性を示すことができる。同時に、エンベロープは通常、全体としての在庫施設よりも小さい。
そのようなエンベロープ内にピッカを分散させることにより、連続するピッキング操作間でピッカによって移動される平均距離を、他の配置方式と比較して低減させることができる。例えば、品目選択が進行するにつれて、ピッカは、在庫施設の中を、エンベロープが最も内側のゾーン内に含まれる軸の周りを進むように移動する。そのような軸進行は、内側のゾーンに配置された、あまり頻繁にピッキングされない品目を、ピッカの整合性のある距離の範囲内に保つことができ、それにより、まれにしかピッキングされない品目を取り出すための長いピッカ・エクスカーションの頻度を低減させることができる。
【0011】
特定の一実施形態では、方法が、いくつかの在庫品目のそれぞれについて、予想ピッキング・レートをそれぞれ求めること、及び予想ピッキング・レートに応じて、各在庫品目について、在庫貯蔵エリアのいくつかのゾーンのうちの対応するゾーンの1つを選択することを含む。第1の最も内側のゾーンが1つ又は複数の他のゾーンによって次々に、かつ少なくとも部分的に取り囲まれるように、在庫貯蔵エリア内にゾーンを物理的に配置することができる。この方法は、所与のゾーン内に貯蔵された所与のグループの品目のメンバの予想ピッキング・レートが、その所与のゾーンを少なくとも部分的に取り囲む、連続するゾーン内に貯蔵された別のグループの品目のメンバのそれぞれの予想ピッキング・レート未満となるように、各在庫品目を対応するゾーン内に貯蔵することをさらに含む。
【0012】
別の特定の実施形態では、方法が、在庫貯蔵エリアのエンベロープ内にいくつかのピッカを分散させることを含み、エンベロープは、在庫貯蔵エリア内に物理的に配置されたいくつかのゾーンのそれぞれの少なくとも一部を包含し、それによって第1の最も内側のゾーンが、1つ又は複数の他のゾーンによって次々に、かつ少なくとも部分的に取り囲まれ、所与のゾーン内に貯蔵された所与のグループの品目のメンバの予想ピッキング・レートが、その所与のゾーンを少なくとも部分的に取り囲む、連続するゾーン内に貯蔵された別のグループの品目のメンバの予想ピッキング・レート未満となる。この方法は、エンベロープ内に貯蔵された在庫品目を選択するようにピッカに指令することをさらに含み、それによって、時間の経過につれて、エンベロープが、在庫貯蔵エリアの中を、第1の最も内側のゾーン内に含まれる軸の周りを進む。
【0013】
上記で要約したように、いくつかの実施形態では、予想品目ピッキング・レートに応じてゾーン内に在庫品目を貯蔵することにより、マテリアル・ハンドリング工程全体の生産性を改善することができる。ゾーン・ベースの在庫配置の様々な実施形態を以下で詳細に説明する。開示の技法が複雑であるため、説明を容易にするために議論をいくつかのセクションに分割する。しかし、方法及びシステムの実施形態は、セクションの見出し、又はシステムの態様が説明される特定の順序によって限定されないことに留意されたい。さらに、以下の議論では、在庫品目を貯蔵するように構成されたフルフィルメント・センタからの顧客の注文の履行の状況においてマテリアル・ハンドリングが説明されることに留意されたい。しかし、「注文履行」及び「フルフィルメント・センタ」という用語は、要求又は注文に応答して材料が貯蔵され、選択される任意のタイプのマテリアル・ハンドリング・システムを包含する。
【0014】
まず、例示的フルフィルメント・センタ実施形態の概要を与える。次いで、ゾーン・ベースの在庫品目貯蔵の方法の実施形態と、結果として得られる在庫分布の例とを論じる。
ゾーン・ベースの方式で貯蔵された在庫品目をピッキングし、積み込む方法も、在庫分布の幾何形状の追加の例と共に説明する。最後に、在庫貯蔵施設内のエージェントの動作を調整するように構成された例示的制御システムの実施形態を説明する。
【0015】
フルフィルメント・センタの概要 注文履行のための在庫選択が行われる在庫施設又はマテリアル・ハンドリング施設は、フルフィルメント・センタとも呼ばれる。在庫品目を貯蔵するように構成されたフルフィルメント・センタの一実施形態が、図1に示されている。図示される実施形態では、フルフィルメント・センタ100が、受領エリア120と、任意の数の品目10a〜nを貯蔵するように構成された貯蔵エリア130と、梱包/出荷エリア140とを含む。フルフィルメント・センタ100の図示される実施形態内の様々なエリアの配置は、概略的にではなく、機能的に描かれている。例えば、いくつかの実施形態では、複数の異なる受領エリア120、貯蔵エリア130、梱包/出荷エリア140を分離するのではなく、点在させることができることに留意されたい。さらに、フルフィルメント・センタ100は、受領エリア120、貯蔵エリア130、梱包/出荷エリア140のそれぞれと対話するように構成された在庫管理システム150を含む。例えば、以下で説明するように、上述のエリア内に配置された他のシステム又はエージェントと対話するようにシステム150を構成することができる。
【0016】
様々な供給業者から異なる種類の品目10を受け取り、品目10のうちの特定の品目を指定する顧客の注文を受け取るまで品目10を貯蔵するようにフルフィルメント・センタ100が構成されている。かくして、貯蔵庫から特定の品目10を選択し、顧客に送ることができる。フルフィルメント・センタ100を通る品目の一般的な流れが、矢印を使用して示されている。具体的には、図示される実施形態では、製造業者、販売業者、卸売業者などの1つ又は複数の供給業者から受領エリア120で品目10を受け取る。様々な実施形態では、品目10は、フルフィルメント・センタ10を運用する企業の性質に応じて、製品、日用品、生鮮食料品、又は任意の適切なタイプの品目を含むことができる。受領エリア120で供給業者から受け取ったとき、品目10を貯蔵する準備をする。例えば、いくつかの実施形態では、品目10を荷解きあるいは再構成し、在庫管理システム150(以下で説明するように、コンピュータ・システム上で実行中の1つ又は複数のソフトウェア・アプリケーションを含むことができる)を更新して、新たに受け取った品目10に関して、タイプ、量、状態、コスト、又は任意の他の適切なパラメータを反映させることができる。
【0017】
パッケージ、カートン、クレート、パレット、又は他の適切な集合などの、数えることができる(可算)個々の単位又は複数の単位で品目10をストックし、管理し、配量することができることに留意されたい。あるいは、バルク製品、日用品などのいくつかの品目10を、可算単位として本質的に編成することのできない連続的又は任意に分割可能な量で貯蔵することもできる。そのような品目10は、長さ、面積、容積、重量、持続時間、又は測定の単位によって特徴付けられる他の次元特性の単位などの測定可能量で管理される。一般的に言えば、品目10の量は、適宜、品目10の個々の単位又は集合単位の可算数、又は品目10の測定可能量を指すことがある。
【0018】
受領エリア120を通じて到着した後、貯蔵エリア130内に品目10を貯蔵することができる。貯蔵エリア130は一般に、品目10が受領された後、かつ品目10がピッキングされ、あるいは在庫から除去される前に品目10を保持する、任意の適切な構成のラック、ビン、シェルフ、空地、及び/又は他の施設を含む。図2〜3の説明と共に以下でより詳細に説明するように、いくつかの実施形態では、貯蔵エリア130内の様々なタイプの品目10の配置は、品目10の予期される需要のパターンに応じて変化する可能性がある。例えば、貯蔵エリア130内の所与の品目10の分布は、所与の品目10がピッキングされると予想されるレート又は容積、あるいは所与の品目10に関する平均予想保持時間などの類似のメトリックに少なくとも部分的に依存する可能性がある。
【0019】
品目10のうちの1つ又は複数を指定する顧客の注文が受領されたとき、対応する品目10を貯蔵エリア130から選択する、すなわち「ピッキング」する。様々な実施形態では、品目ピッキングは、最低限だけ自動化されたピッキングから、完全に自動化されたピッキングまで、手動工程と自動化工程の任意の適切な組合せを含めて変化可能である。例えば、一実施形態では、フルフィルメント・センタの従業員が、顧客の注文から導出された書面のピック・リスト又は電子的ピック・リストを使用して品目10をピッキングし、別の実施形態では、コンベヤ・ベルト及びロボティクスを使用して、品目10をピッキングし、移送することができる。特定の注文に対応する品目10がピッキングされた後、その品目10を顧客に配送するために梱包/出荷エリア140で処理する。例えば、運送業者を使用して顧客に出荷するために品目を梱包したり、又は単に袋詰めし、あるいは、例えば注文ピックアップ・カウンタで、顧客に直接移送することができる。いくつかの実施形態では、品目10が貯蔵エリア130からピッキングされるとき、かつ/又は梱包/出荷エリア140で処理されるとき、例えば、在庫記録を更新して在庫の除去を反映し、販売又は他の取引(例えば賃貸、レンタル、交換など)に関する収入を記録するなどのために、在庫管理システム150との別の対話を行うことができる。
【0020】
顧客の注文以外の理由で、貯蔵エリア130から品目10をピッキング又は選択することができることに留意されたい。例えば、損傷のために、現金化又は処分するために、供給業者に返却するために、異なるフルフィルメント・センタ100に搬送するために、あるいは他の何らかの理由で、品目10を除去することがある。いくつかの実施形態では、顧客の注文やその他の理由でピッキングされる品目10を、ピッキングを実施するエージェントにとって透過的な方式で1つに合わせ、その後で品目10の所期の宛先に従ってソートすることができる。所与の注文に関する顧客は、1つ又は複数の品目の注文を行うことができ、又は要求することができ、あるいはそのような注文を顧客の代わりに行わせ、又は要求させることのできる任意の実体でよいことにさらに留意されたい。例えば、顧客は、個人又は組織でよい。顧客はまた、何らかの種類の材料入力を有する仮想的実体でもよい。例えば、顧客は、製造、組立て、又は他のタイプの工程の特定のステップ又は段階でよい。
【0021】
在庫ゾーン 多くの場合、所与の時間に、フルフィルメント・センタ100内に異なる量の異なる品目10を貯蔵することができる。例えば、2つの異なる品目10a〜bの、任意の所与の時間に貯蔵庫からピッキングされるレートがそれぞれ相対的に低く、高いことが知られていることがあり、又は予測されることがある。例えば品目10a〜bについての履歴上の顧客の注文量又は予測される顧客の注文量から、そのようなレート又は速度を推定することができ、いくつかの実施形態では、品目10a〜bがピッキングされる可能性に寄与する他の要素を考慮に入れることができる。互いに相対的に、品目10aが低いピッキング・レートを有する点で、品目10aを「低速移動」品目と呼ぶことができ、高いピッキング・レートを有する品目10bを「高速移動」品目と呼ぶ。いくつかの実施形態では、フルフィルメント・センタ100内に貯蔵された品目10の保持量は、その品目の予想ピッキング・レートに比例することができ、品目の予想ピッキング・レートは、あるケースでは、品目の予想される注文量又は販売量に正比例することができ、又はそれと等価でよい。したがって、例えば、所与の測定期間又は計画期間中に10単位の品目10aと1000単位の品目10bの注文が予想され、その期間中に品目の在庫補充をする機会が1度ある場合、一実施形態では、10単位の品目10aと1000単位の品目10bの保持量をフルフィルメント・センタ100内に貯蔵することができる。他の実施形態では、在庫計画期間中の品目10に関する在庫補充機会が1度より多い、又は少ない可能性があり、それに応じて品目10に関する保持量を決定する。
【0022】
さらに、所与の品目10に関する保持量を決定する際に、需要の予期しない変動に警戒するためのマージン(例えば在庫切れマージン)、腐敗又は損傷を補償するマージン、又は任意の他の適切な要素などの他の要素を考慮に入れることができる。いくつかの実施形態では、在庫量計画は、所定の時間間隔で、継続的に、在庫関連イベント(例えば、顧客の注文、在庫受領など)に応答して、あるいは任意の他の適切な方式又は方策に従って行うことができることに留意されたい。使用する計画の方策(例えば、間隔を置いて実施するか、それとも継続的に実施するか)に応じて、品目10の保持量は、計画期間の始めに貯蔵庫で保持すべき品目10の量、ある期間にわたって(例えば計画期間又は別の測定期間にわたって)保持される平均量、又は別の適切なメトリックを表すことができる。使用する在庫計画方策に応じて、所与の品目10の保持量が経時的に変動してもよいことも企図される。例えば、所与の品目10の注文が周期的又は季節的である場合、需要が増大する期間中に、所与の品目10の保持量を増大させることができ、需要が減少する期間中に、減少することが許される。
【0023】
いくつかの実施形態では、それぞれの予想品目ピッキング・レートに従って異なる品目10に関する異なる保持量を決定することにより、品目10の予想ピッキング・レートに関わらず固定量を貯蔵することに比べて、フルフィルメント・センタ100内の貯蔵資源の全使用率を改善することができる。例えば、そのような手法の結果、貯蔵する高速移動品目10の量を多くし、低速移動品目10の量を少なくすることができ、したがって、頻繁にピッキングされることが予想されない品目10に充てられる貯蔵資源が低減される(例えばシェルフ空間が少なくなる)。
【0024】
しかし、異なる品目10について異なる保持量を決定することにより、ピッキングのために品目10を貯蔵エリア130全体にわたって効率的に分散させることが困難となる可能性がある。貯蔵庫内の品目10の単位の量が、貯蔵エリア130の全面積又は全容積と比較して多い場合、貯蔵エリア130全体にわたって各単位を一様に分散させることが可能であり、それによって、所与のピッカが1単位の品目10の場所に到達するために貯蔵エリア130の中を移動しなければならない平均距離が、貯蔵エリア130の寸法に比べて短くなる(例えば、貯蔵エリア130の長さ又は幅の10%以下)。一般的に言えば、所与のピッカが品目10のうちの様々な品目を選択する間に移動する平均距離を低減することのできる範囲で、ピッキング操作の効率を向上させることができる。これにより、ピッカがその時間の大部分を、フルフィルメント・センタ100内を移動するのではなく、品目をピッキングすることに費すことが可能となるからである。それに対応して、ピッキング効率の向上により、所与のピッカ数が所与の期間中に完了することのできる(例えば顧客の注文に対する)ピッキング操作数を増加させることができ、したがってフルフィルメント・センタ全体の生産性が向上する。
【0025】
対照的に、特定の品目10が特に低いピッキング・レートを有する場合、その保持量が、少数の単位のみ(例えばわずか1単位)であると決定されることがある。こうした単位が貯蔵エリア130全体にわたって均一に分布する場合であっても、ピッカが所与の単位に到達するために移動しなければならない可能性のある平均距離は、先のケースと比較して、貯蔵エリア130の寸法のかなりの割合となる。例えば、貯蔵エリア130内のピッカの一様な分布を仮定すると、特定の品目10の各単位が貯蔵エリア130内にどのように分布するかに応じて、ピッカが特定の品目10の単位に到達するために移動しなければならない可能性のある平均距離は、貯蔵エリア130の長さ又は幅の50〜100%にもなる可能性がある。所与の時間に特定の品目10をピッキングする機会は相対的に低いのに、有する保持量がそれぞれ少ないいくつかの品目10が貯蔵庫内に存在する可能性がある。例えば、フルフィルメント・センタ100に関する在庫計画は、いくつかの「テール」品目、すなわち頻繁にはピッキング又は注文されない品目を求める顧客に関するショッピング体験を改善するために、そのような品目の包括的在庫網羅を重視することがある。
それに対応して、所与の時間に、取り出すためにかなりの距離を移動することをピッカに要求するある「テール」品目10をピッキングするかなりの機会が存在する可能性がある。他の品目10を途中にピッキングすることができない場合、そのようなエクスカーションはピッキング効率を低下させる可能性がある。
【0026】
様々な実施形態では、ピッキング・レートに従って保持量がそれぞれ変動する異なる品目10を、異なる量の品目がピッキングされるとして品目選択間でピッカが移動しなければならない可能性のある平均距離を低減することのできる配置で、貯蔵エリア130内に貯蔵することができる。在庫品目10のそのような配置を格納する方法の一実施形態が、図2に示されている。図示される方法を、様々な環境下で起動することができる。例えば、図6〜7の説明と共に以下で詳細に説明するように、フルフィルメント・センタ100に新しい在庫が到着したことに応答して、イベント駆動式に起動することができ、又はストワが貯蔵エリア130内の在庫の欠乏を補充するように動作するときに周期的又は継続的に起動することができる。
【0027】
図示される方法の動作はブロック200で始まり、いくつかの異なる在庫品目10のそれぞれについて予想ピッキング・レートがそれぞれ求められる。上述のように、いくつかの実施形態では、例えば、所与の品目10についての履歴上の顧客の注文又は予想される顧客の注文、並びに/あるいは所与の品目10が貯蔵エリア130から選択されると予想されるレートに影響を及ぼす可能性のある、品目の腐敗、損傷、再配置、又はその他の要素を考慮に入れて、所与の品目10についての履歴上のピッキング挙動及び/又は予測される将来のピッキング挙動に応じて、所与の品目10についての予想ピッキング・レートを求める。いくつかの実施形態では、所与の品目10についての予想ピッキング・レートを、異なる品目10に関するデータに応じて求める。例えば、ある点では所与の品目10と同様である1つ又は複数の関連品目10の履歴上の挙動及び/又は予想される挙動の、平均などの関数として、所与の品目10についてのピッキング・レートを求めることができる。先に触れたように、ピッキング・レートを在庫計画期間に関して、又は瞬間レートとして求めることができる。
【0028】
様々な実施形態では、所与の品目10についてのピッキング・レートの決定は、品目関連データの平滑化、平均化、又は他の操作の対象となる可能性があることに留意されたい。さらに、いくつかの実施形態では、ピッキング・レートの決定は、厳密に定量的なものではなく、定性的又は無条件的なものでもよい。例えば、品目10のうちの様々な品目についてのピッキング・レートを求めることは、個々の品目10を、「高速」、「中程度」、「低速」などのいくつかの離散的ピッキング・レート・カテゴリの1つに分類することを含んでもよい。一実施形態では、そのような定性的分類は、定量的ピッキング・レート(例えば、時間枠当たりにピッキングするX単位の特定の品目)を計算し、次いでマッピング規則の適用によって定量的レートを定性的カテゴリに分類又はビンニングする(例えば、YからZまでの範囲内の定量的ピッキング・レートを有する品目が、定性的ピッキング・レートAにマッピングされる)ことによって様々に実施することができる。他の実施形態では、定性的ピッキング・レート決定を、まず定量値を計算して定量値を変換することなしに実施することができる。
【0029】
各品目の予想ピッキング・レートに応じて、各品目10について、貯蔵エリア130内のいくつかのゾーンのうちの対応する1つのゾーンを選択することができる(ブロック202)。図3及び図8A〜Dの説明と共に以下でより詳細に説明するように、いくつかの実施形態では、第1の最も内側のゾーンが、1つ又は複数の他のゾーンによって次々に、かつ少なくとも部分的に取り囲まれるように、貯蔵エリア130内にゾーンを物理的に配置することができる。複数の品目10について所与のゾーンを選択することができることに留意されたい。
【0030】
次いで、所与のゾーン内の所与のグループの品目10について、グループ・メンバのそれぞれの予想ピッキング・レートが、その所与のゾーンを少なくとも部分的に取り囲む、連続するゾーン内に貯蔵された別のグループ品目10のメンバのそれぞれの予想ピッキング・レート未満となるように、各品目10を、その対応するゾーン内に貯蔵することができる(ブロック204)。言い換えれば、ゾーンが最も内側のゾーンから外側のゾーンに物理的に順序付けられるように、ゾーン内に品目10を貯蔵することができる。さらに、各ゾーンに関連付けられたそれぞれの定性的又は定量的ピッキング・レートが、任意の内側ゾーンからその内側ゾーンを少なくとも部分的に取り囲む任意の連続するゾーンまで進行する単調非減少順となるように、品目10を貯蔵することができる。
【0031】
図2の方法の動作によって生成することのできる在庫分布の例示的一実施形態が、図3に示されている。図示される実施形態では、貯蔵エリア130は、4つの在庫ゾーン300a〜dを含む。ゾーン300aは、最も内側のゾーンを表し、図示される実施形態では、それぞれの連続するゾーン300b〜dは、前のゾーンを完全に取り囲むが、図8A〜Dの説明と共に以下でより詳細に説明するように、いくつかの実施形態では、連続するゾーンは、内側のゾーンを部分的に取り囲むだけでよい。図3では、1単位の品目10aがゾーン300a内に貯蔵されるように示されており、4単位の品目10bがゾーン300b内に貯蔵され、11単位の品目10cがゾーン300c内に貯蔵され、18単位の品目10dがゾーン300d内に貯蔵される。他の実施形態では、異なる数のゾーン300を設けることができ、異なる数の単位及びタイプの品目10を各ゾーン300内に貯蔵することができることに留意されたい。さらに、説明を容易にするために円形ゾーン300が図3に示されているが、他の実施形態では、ゾーンは、例えば楕円形構成や直線的構成などの他のトポロジ構成を有することができる。円形トポロジのゾーン300は、楕円形トポロジの特殊なケースであるとみなすことができることに留意されたい。
【0032】
一実施形態では、ゾーン300a〜dをそれぞれのカテゴリの品目ピッキング・レートと関連付けることができる。いくつかの実施形態では、上述のように、そのようなカテゴリは、定性的なものでよく、例えばそれぞれゾーン300a〜dについて「低速」、「中程度」、「高速」、「超高速」の間で変化するものでよい。他の実施形態では、各カテゴリは、定量的ピッキング・レートの範囲に対応することができ、それによって所与のゾーン300内に貯蔵された品目10は、その範囲内にある予想ピッキング・レートを有する。そのような一実施形態では、範囲は厳密に非重複でよく、それによって、所与のゾーン300の上限は、任意の周囲のゾーン300の下限未満である。そのような別の実施形態では、範囲は確率的に非重複でよく、それによって、所与のゾーン300内の所与の品目10は、確率的に、所与のゾーン300に対応する範囲内の予想ピッキング・レートを有する所与のしきい値(例えば90%)以内にある可能性が高い。確率的に非重複のピッキング・レート範囲を有するゾーン300を有する実施形態では、所与のゾーン300が所与のゾーン300の範囲内にはない品目10を含んでもよい。
【0033】
在庫エンベロープ350も図3に示されている。一般的に言えば、貯蔵エリア130内に含まれる各ゾーン300の少なくとも一部を包含する閉じた連結領域としてエンベロープ350を構成することができる。一実施形態では、貯蔵エリア130の全体未満を包含するようにエンベロープ350を制限する。品目10がゾーン300内に分布する一様性及び粒度とエンベロープ350のサイズとに応じて、エンベロープ350内の任意の品目10をピッキングする前に、貯蔵エリア130内に貯蔵された少なくとも1単位の各品目10をエンベロープ350内のどこかに配置することができるという特性を有するようにエンベロープ350を構成することができる。すなわち、図2の方法に従って品目10を貯蔵することに続いて、貯蔵エリア130のエリアのサブセットに制限されるときであっても、エンベロープ350は、最も遅いピッキング・レート及び最も速いピッキング・レートを有する品目10並びにこうした極値間にある品目10の単位を含む、貯蔵エリア130内に貯蔵された完全な1組のタイプの品目10を表している。一実施形態では、図2の方法に従って品目10を貯蔵することに続いて、各ゾーン300の少なくとも一部を包含するように構築することのできる任意の2つの異なるエンベロープ350は、各エンベロープ350内に貯蔵される品目10のタイプに関して同形でよい。すなわち、各エンベロープ350は、貯蔵エリア130内に貯蔵された少なくとも1単位の各品目10を含むことができる。いくつかの実施形態では、貯蔵エリア130内に貯蔵された確率的に完全な1組の品目10となるようにエンベロープ350を構成することができる。すなわち、少なくとも確率のしきい値(例えば98%)内で貯蔵エリア130内に貯蔵された所与の品目10をエンベロープ350内で見つけることができるように、エンベロープ350を構成することができる。
【0034】
所与の時間のエンベロープ350内の所与の品目10の実際の単位数は、品目のピッキングや在庫補充の挙動に従って変動する可能性がある。いくつかの実施形態では、所与の品目10についての予想ピッキング・レートと、ピッカがエンベロープ350内にとどまると予想される予想「滞留時間」量とに応じて、エンベロープ350内で維持すべき所与の品目10の目標単位数を決定することができる。例えば、所与の品目10についての予想ピッキング・レートが毎時20単位であり、エンベロープ350の滞留時間が4時間である場合、上記で触れた同形特性を維持するために、所与の品目10のエンベロープ350内に貯蔵すべき目標単位数を80単位とすることができる。すなわち、ピッキング・レートと滞留時間の確実性のレベル内で、必要なときに、所与の品目10の単位がエンベロープ350内で利用可能となることを保証するのに、80単位の所与の品目10の貯蔵で十分である。
【0035】
さらに、所与の品目10の目標値(例えば、上述のように、その予想ピッキング・レート及び予想ピッカ滞留時間に従って決定される)を使用して、所与の品目10を一般にどのゾーン300内に配置すべきかを決定することができる。一実施形態では、ゾーン300のうちの様々なゾーンに、しきい値を割り当てることができ、所与の品目10の単位を、しきい値に対する目標値の関係に従って配置することができる。例えば、10単位又はそれより少ない単位の目標値を有する品目10を、最も内側のゾーン300a内に貯蔵することができ、ゾーン300b〜dについてのしきい値範囲は、それぞれ10〜100単位、100〜500単位、500単位超とすることができる。こうした値は例に過ぎず、任意の適切なしきい値を使用できることに留意されたい。さらに、いくつかの実施形態では、品目10のゾーン配置についてのしきい値を、厳密な要件としてではなく、ヒューリスティックス又は提案として使用できることも企図される。そのような実施形態では、様々なゾーン300についてのしきい値は、厳密に互いに素ではなく、ある品目10に関して部分的に重複することができる。
【0036】
上述のように、予想ピッキング・レートの順序付きの区別が、異なるゾーン300内に貯蔵される品目10について存在する可能性がある。すなわち、いくつかの実施形態では、異なるゾーン300内に配置された2つの異なる品目10の予想ピッキング・レート間の関係が一般に、ゾーン300間の物理的関係に対応すると予想することができる。しかし、いくつかの実施形態では、単一ゾーン300内の個々の品目ピッキング・レートに従って品目10を順序付け、又は分離することが不要である。
【0037】
さらに、ゾーン300内に貯蔵された品目10の単位の分布の一様性は、様々な実施形態で変動する可能性がある。ゾーン300内の品目10の単位の厳密に一様な分布(例えば、単位間の一定の分離距離を有する分布)が、ピッカが所与の単位に到達するために移動する必要がある可能性のある平均距離を最小限に抑える際に理想的であることがあるが、そのような分布を確立し、維持することが難しいことがある。それに対応して、いくつかの実施形態では、自由貯蔵場所の可用性、所与の品目10を格納するコスト(例えば、貯蔵作業を実施するのに必要な労力及び時間)、品目10の予想ピッキング・レート、又は任意の他の関連要素を調節しながら、所与の品目10の単位を、可能な限り一様に近くなるように貯蔵することができる。
【0038】
同様に、ゾーン300内に格納される品目10の密度の貯蔵粒度又は密度は、様々な実施形態で変動する。例えば、N単位の所与の品目10を所与のゾーン300内に貯蔵すべき場合、所与のゾーン300内のN個の別個の場所にそれを一様に貯蔵することにより、単位の最も連続的な分布を得ることができる。しかし、Nと、所与のゾーン300のサイズが共に増加するにつれて、各単位を別個の場所に貯蔵する労力とコストも増大する。それに対応して、いくつかの実施形態では、品目10の単位をグループとして貯蔵することができ、各グループが、ゾーン300内の別個の場所に貯蔵され、グループ数は、貯蔵すべき単位数よりも小さい。
【0039】
一実施形態では、所与の品目10の単位を個々に貯蔵するか、それともグループとして貯蔵するかに関する決定は、貯蔵すべき単位数がしきい値を超えるかどうかに依存する。
例えば、貯蔵すべきN単位がしきい値Mを超える場合、N単位を、貯蔵のために約N/M単位のM個のグループに分割することができる。いくつかの実施形態では、しきい値Mは、異なるゾーン300に対して変動する。さらに、いくつかの実施形態では、品目10がグループ化される方式は、異なるタイプの品目10に対して変動する。例えば、貯蔵のために所与の品目10の単位をグループ化するかどうか、及びどのようにグループ化するかに関する決定は、所与の品目10の単位がどのように梱包されるか(例えば、複数の単位が、フルフィルメント・センタ100への到着時に、箱、パッケージ、クレート、パレットなどの中に一緒に梱包されるかどうか)、単位の物理的特徴(例えば、寸法、重量、形状)、あるいは腐敗可能性、脆弱性、危険性などの、単位の他の定性的又は定量的特徴に依存する可能性がある。
【0040】
図4は、いくつかの品目10の単位が、それぞれの別個の場所にではなく、グループとして貯蔵される、貯蔵エリア130の例示的実施形態を示す。図3に示される実施形態と同様に、図示される実施形態は、4つのゾーン300a〜dを含み、1単位の品目10aがゾーン300a内にあり、4単位の品目10bがゾーン300b内にある。しかし、図3とは異なり、ゾーン300c〜dは、それぞれ4つのグループ15c品目及び8つのグループ15dの品目を含む。例えば、グループ15c〜dはそれぞれ、いくつかの単位の品目10c〜dを含むことができる。図3に示される単位10c〜dの分布と同様に、図4のグループ15c〜dは、そのゾーン300内で比較的一様に配置される。しかし、グループ15c〜dの個々のグループ間の間隔は、品目10c〜dの単位間の間隔より大きく、品目10を貯蔵するコストと、ピッキング操作中に、貯蔵品目10に到達するための平均ピッカ移動距離との間の兼ね合いの可能性を示す。図3と同様に、品目単位のグループが貯蔵される実施形態では、各ゾーン300の部分を包含するように在庫エンベロープ350を構成することができ、それによって、エンベロープ350が、少なくとも1単位の異なるタイプの貯蔵品目10を含む。
【0041】
在庫ゾーン内の品目のピッキング及び積込み 図2〜4に関して上記で説明したように、順序付きゾーン300内の品目10の分布が予想品目ピッキング・レートに依存するとすれば、各ゾーン300の少なくとも一部を含むように在庫エンベロープ350を構成することができ、それによってエンベロープ350は、貯蔵エリア130内に貯蔵された少なくとも1単位の所与の品目10を含むという絶対的特性又は確率的特性を有する。エンベロープ350の幾何学的面積が貯蔵エリア130の面積未満である場合、エンベロープ350内にピッカを集中させることにより、貯蔵エリア130の全面積の一部分の中で品目10の完全又はほぼ完全な選択を見つけることができるので、ピッカが所与の品目10にアクセスするために移動する必要がある可能性のある平均距離を低減することができる。
【0042】
図5は、貯蔵エリア130内から在庫品目10をピッキングする方法の一実施形態を示し、品目10は、予想ピッキング・レートに応じてゾーン内に貯蔵されている。方法の動作はブロック500で始まり、いくつかのピッカが、貯蔵エリア130のエンベロープ350内に分散される。前述のように、エンベロープ350は、各ゾーン300の少なくとも一部を包含することができ、前記ゾーン300の第1の最も内側のゾーンが、前記複数のゾーン300のうちの1つ又は複数の他のゾーンによって次々に、かつ少なくとも部分的に取り囲まれるように、前記在庫貯蔵エリア内に各ゾーンを物理的に配置することができる。さらに、所与のゾーン300内に貯蔵された所与のグループの品目10のメンバのそれぞれの予想ピッキング・レートを、所与のゾーン300を少なくとも部分的に取り囲む、連続するゾーン300内に貯蔵された別のグループの品目10のメンバのそれぞれの予想ピッキング・レート未満とすることができる。
【0043】
上記で触れたように、様々な実施形態では、ピッカは、機械的支援を伴う、又は伴わない人間のエージェント、並びに純粋に機械的な自動化エージェントでよい。図10の説明と共に以下でより詳細に説明するように、可聴式、視覚式、電子式(有線通信技術又はワイヤレス通信技術を使用して)などの任意の適切な手段を介してピッカに命令を通信するように構成することのできる集中型制御システム又は分散型制御システムにより、ピッカの分布、移動、動作を制御し、調整することができる。
【0044】
この方法は、時間の経過につれて、エンベロープ350が、在庫貯蔵エリア130の中を、第1の最も内側のゾーン300内に含まれる軸の周りを進むように、エンベロープ350内に貯蔵された品目10を選択することをピッカに指令することをさらに含むことができる(ブロック502)。ピッカがエンベロープ350内から品目10を選択することを開始するとき、こうした品目が欠乏する可能性がある。しかし、図3及び4からわかるように、ゾーン300a内に含まれる軸の周りのエンベロープ350の運動の結果、エンベロープ350が品目10の新しい貯蔵を包含する。
【0045】
図6は、図5の方法によるピッカの例示的分布を示す貯蔵エリア130の一実施形態を示す。具体的には、ピッカ25a〜jを含むピッカ・グループ600が、ゾーン300a〜dにわたって分布するように示されている。図が見やすいように、図6からは品目10及びグループ15が省略されているが、そのような品目10及び/又はグループ15を前述のようにゾーン300全体にわたって分散させることができることを理解されたい。一実施形態では、エンベロープ350の境界をピッカ25の場所によって決めることができる。例えば、エンベロープ350の一例を、特定のピッカ・グループ500に属する各ピッカ25を含む閉領域を少なくとも含むように考慮する。それに対応して、ピッカ25の特定の移動を指令することによってエンベロープ350の移動を実施することができる。
例えば、エンベロープ350の全体的な反時計回り運動を実施するために、平均してピッカがゾーン300の中を反時計回り方向に進むように、ピッカ25の移動を偏らせることができる。例えば、他の方向ではなく、エンベロープ350の反時計回り移動を近似する方向への移動を必要とする品目選択を行うようにピッカ25によって頻繁に指令することにより、そのような偏りを実施することができる。他の実施形態では、品目10が貯蔵エリア130内に貯蔵される方式で、エンベロープ350の移動を実施することができる。
例えば、以下で説明するように、ストワのグループが、予想されるピッキング需要を見越して、ピッカ25のグループに先んじて品目を配置することができる。したがって、品目10の次の利用可能な単位の配置は、エンベロープの所望の移動方向にピッカを引き寄せる傾向にある可能性がある。
【0046】
割り当てられたピッキング操作を履行するために、所与の時間に所与のピッカ25が任意の方向に移動できることに留意されたい。したがって、ピッカ25を含むエンベロープ350の瞬間的境界は、非常に動的である可能性があり、必ずしも単調ではない形で変動する。しかし、完了したピッキング操作の時間又は数の点でより長い測定期間にわたって、ピッカ25とエンベロープ350の平均的運動は、ゾーン300を通る一貫した軸進行とすることができる。いくつかの実施形態では、イベント駆動式にピッカ25の移動を決定することができる。例えば、何らかの種類のピッキング操作が行われることを必要とする特定のイベント(例えば、顧客の注文、損傷を受けた品目10の検出、又は品目ピッキングを早める可能性のある任意の他のイベント)に応答して、移動し、かつ/又はピッキング操作を実施するようにピッカ25に指令することができる。他の実施形態では、時間駆動式にピッカ移動を決定することができる。例えば、一定の期間が経過した後に、その時に特定のピッキング操作がない場合であっても移動するようにピッカ25に指令する。
様々な実施形態では、ピッカ25とエンベロープ350の移動は、相対的に粗いものでよく、又は細かいものでよいことに留意されたい。例えば、ピッカ25は、ある長さの時間に対して同じ全般的エリア内にとどまり、次いで全体的に再配置するように命令を受け、それによって、時間の経過につれて、エンベロープ350が、離散的な移動によって中断される時間間隔に対して、相対的に固定した位置にとどまるように見える。あるいは、ピッカ25がその位置をより小さな増分で変更するときに、エンベロープ350は、時間の経過につれて、より徐々に、かつ継続的に移動することができる。
【0047】
前述のように、いくつかの実施形態では、より少数の単位の低速移動品目10を内側のゾーン300内に貯蔵し、より多数の単位の高速移動品目10を外側のゾーン300内に貯蔵することができる。さらに、最も内側のゾーン300の周囲にゾーンを次々に配置することにより、比較的一定の間隔のゾーンが得られ、エンベロープ350内に含まれる所与のゾーン300の部分が、その所与のゾーン300によって少なくとも部分的に取り囲まれる内側のゾーン300のエンベロープ350内の対応する部分よりも広い面積を包含する。それに対応して、いくつかの実施形態では、より少数のピッカ25を内側のゾーン300内に分布させることができ、より多数のピッカ25を外側のゾーン300内に配置することができる。そのような分布は、ピッカ25当たり、かつ/又は貯蔵庫130内の単位面積当たりの一様なピッキング操作に近づける際に効果的であり、ピッカ25のグループの生産性を最大にする助けとなる。例えば、図6の実施形態では、ピッカ25によって決まるエンベロープ内に取り囲まれたゾーン300a〜dの各部分の相対的面積は、それぞれ1、3、5、7でよい。ゾーン300d内の品目10は一般に、ゾーン300a内の品目10よりも高いピッキング・レートを有すると予想することができるので、ピッカ25当たり、又は貯蔵エリア130内の単位面積当たりのピッキング操作レートの分散を低減するために、ゾーン300d内に、ゾーン300a内よりも多数のピッカ25を配置することができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、ピッカ25の生産性レベル、及び/又はエンベロープ350内のゾーン300が欠乏するレートを調整するために、ゾーン300の相対的サイズを調節することもできることが企図される。例えば、ゾーン300dの前にゾーン300bが欠乏する場合、ゾーン300b内のピッカ25は、品目10を見つけてピック要求を満たすために、貯蔵エリア130の異なる部分に進む必要がある。ゾーン300d内のピッカ25も進まない場合、エンベロープ350がゆがんだ(例えばコンパクトでなくなった)可能性があり、それに応じてピッカ効率が低下する。しかし、ゾーン300dがゾーン300bと同等に欠乏する前にゾーン300d内のピッカが進む場合、貯蔵エリア130が最も効率的に利用されていない可能性がある。それに応じて、ゾーン300の相対的サイズと、その中に貯蔵される品目10の混合を調整して、各ゾーン300内の空乏レートの平衡を取ることができ、それによって、エンベロープが進むときにピッカ25のエンベロープのコンパクトさを保持することができると共に、貯蔵エリア130の利用率が比較的一貫したものとなる。
【0049】
いくつかの実施形態では、ピッカ25を静的に特定のゾーン300に割り当てる必要はなく、実際に、ピッカ25が、ピッキング命令に応答して貯蔵エリア130内のどんな場所にも移動することができることに留意されたい。例えば、ピッカ25は概して、エンベロープ350内で互いに一定の平均距離内にとどまることができるが、例えば、何らかの理由でエンベロープ350内で容易には入手可能ではない品目10を求める高優先順位の顧客の注文などの例外的状態に応答して、所与のピッカ25が他のピッカ25からかなりの距離だけ離れて移動するエクスカーションが依然として生じる可能性がある。
【0050】
例えば図2及び5のそれぞれの方法に従って、品目のピッキングと貯蔵のどちらも単一の貯蔵エリア130内で同時に行うことができることも企図される。図6は、そのような同時操作の1つの可能な実施形態を示し、いくつかのストワ35a〜hを含む、ストワ・グループ610が、ゾーン300内に分散するように示されている。一実施形態では、各ゾーン300の部分を包含するエンベロープ350内にストワ35を分散させることができる。例えば、ピッカ25に関して上記で説明したように、いくつかの実施形態では、ストワ35が分布するエンベロープ350を、ストワ35の場所を束縛する領域に関して決めることができる。他の実施形態では、ストワ35は、個々のゾーン300、又はすべてのゾーン300よりも少数のゾーン内で集合的に働く。
【0051】
個々のストワ35は、図2の方法に従ってゾーン300内に品目10の単位又はグループを貯蔵し、すなわち「積み込む」ように指令される。したがって、一般的に言えば、ストワ35は、ピッカ25によって実施されるピッキング操作によって引き起こされるある程度の欠乏に続いて、在庫品目10の指令された分散を復元するように動作することができる。いくつかの実施形態では、それぞれのエンベロープ350内に品目10を積み込むようにストワ35に指令することができ、それによって、時間の経過につれて、それぞれのエンベロープは、貯蔵エリア130の中を、最も内側のゾーン300内に含まれる軸の周りを進む。例えば、ストワ35は概して、ゾーン300の中を、軸方向に、ピッカ25と同一方向に移動することができる。図示する実施形態では、ストワ35は、貯蔵エリア130の中を進行中に、ピッカ25に先行し、又はピッカ25を導くことができる。いくつかの実施形態では、ピッカ25が、需要が予測される時間フレーム中にストック・エリアに進入することを見越して、品目10の予測又は予想されるピッキング需要に従って貯蔵エリア130の部分をストックするようにストワ35に指示することができる。これにより、予想される需要の変動に応答して、品目配置とピッカ移動を動的に調節することが可能となる。例えば、ストワ35は、ピッカ25が数時間又は数日以内にストック・エリア内に進入し、ピッキングを開始するという仮定の下に、貯蔵エリア130の一部をストックすることができる。
【0052】
他の実施形態では、ストワ35は、貯蔵エリア130の中を進行中に、ピッカ25に追従し、又はピッカ25に遅れることができ、実質的にピッカ25に「続いて」動作して、ピッキングされた品目10を補充する。代替実施形態では、個々のエージェントが、ある品目10に関してピッカ25として動作することができ、他の品目10に関してストワ35として動作することができることも企図される。したがって、例えば、所与のエージェントは、貯蔵エリア130の中を進行中に、品目のピッキングと積込みのどちらも行うことができる。さらに、ピッカ25とストワ35の反時計回り移動が図6に示されているが、他の実施形態では、ピッカとストワが時計回り方向に移動することができ、又は以下で説明するような振動パターンなどの別のパターンで移動できることも企図される。
【0053】
いくつかの実施形態では、複数のグループのピッカ25及び/又はストワ35を貯蔵エリア130の各部分内に配置して、上述のように品目10のピッキング及び/又は積込みを実施することができることも企図される。図7は、2つのピッカ・グループ600a〜bがゾーン300のそれぞれのエンベロープ内に分布する一実施形態を示す。2つのストワ・グループ610a〜bも示されている。ピッカ25又はストワ35のすべてのグループが必ずしも同数のエージェントを含む必要はなく、異なるグループをそれぞれのエンベロープ内で異なるように分散させることができることに留意されたい。さらに、ストワ・グループ610の数は、ピッカ・グループ600の数と等しい必要はない。いくつかの実施形態では、既存のグループを拡張するのではなく、貯蔵エリア130の別個のエリア内で動作する追加のグループのピッカ25及び/又はストワ35を追加することにより、ピッキング操作及び/又は積込み操作に関する貯蔵エリア130のスループット又は全生産性をより容易に調節することができる。例えば、ある場合には、貯蔵エリア130内の2つの別個のエンベロープに分割されるピッカ25は、互いに干渉する可能性が低いことがあり、あるいは、単一のエンベロープ内に分布する同数のピッカ25よりも制御問題が単純となることがある。
【0054】
上記の議論では、説明を容易にするために、在庫ゾーンとエンベロープの移動の円形実施形態を示した。しかし、先に触れたように、任意の適切なトポロジを利用することができる。在庫ゾーンの直線的編成の例示的一実施形態が図8Aに示されている。図示される実施形態では、貯蔵エリア130内に配置されたピック・モジュール400の直線的配列が示されている。一般的に言えば、ピック・モジュール400は、在庫品目10を貯蔵するように構成可能な任意の適切な構造でよい。様々な実施形態では、ピック・モジュール400は、固定又は取外し可能なビン、ラック、シェルフ、区画、又は品目貯蔵のための他の施設を含むことができる。個々のピック・モジュールの特定の構成は変わってもよい。例えば、異なるサイズ又はタイプの品目10を貯蔵するために、異なるピック・モジュール400を構成することができる。いくつかの実施形態では、例えばピッカ又はストワによって、ピック・モジュール400を動的に再構成することができる。ある向きからのみ、又は複数の異なる向きからピック・モジュール400にアクセス可能であり、特定のモジュール400にアクセスするためにピッカとストワが移動することのできる通路などの空間によって分離された貯蔵エリア130全体にわたって、ピック・モジュール400を分散させることができる。一様な分布のピック・モジュール400が示されているが、他の実施形態では、モジュールの分布及び間隔が変動する可能性がある。
【0055】
図示される実施形態では、3つの別個のゾーン410a〜cが示されている。最も内側のゾーン410aは、貯蔵エリア130の縁部に配置されたピック・モジュール400aを含む。ゾーン410bは、ゾーン410aを部分的に取り囲み、ピック・モジュール400b〜fを含む。ゾーン410cは、ゾーン410bを部分的に取り囲み、残りの図示されるピック・モジュール400を含む。最も内側のゾーン410aを貯蔵エリア130の内部に配置する必要はなく、最も内側のゾーン410aを連続するゾーン410によって完全に取り囲まれる必要もないことに留意されたい。ゾーン410内に在庫品目10を、図2の方法に従って貯蔵することができ、それによってゾーン410a〜cは、それぞれ低い予想ピッキング・レート、中間の予想ピッキング・レート、高い予想ピッキング・レートを有する品目10を含む。
【0056】
図8Aはまた、各ゾーン410a〜cの少なくとも一部を包含するように構成される在庫エンベロープ450の一実施形態も示す。具体的には、図示されるように、エンベロープ450は、ピック・モジュール400a及び400d〜lを含む。図6〜7の実施形態と同様に、エンベロープ450にわたってピッカを分散させることができ、図5の方法に従って、エンベロープ450内に貯蔵された品目10を選択するように指令することができ、それによって、時間の経過につれて、エンベロープ450は、貯蔵エリア130の中を、ゾーン410a内に含まれる軸の周りを進む。図が見やすいように、図8Aでは、ピック・モジュール400の間にピッカを明示的に示していない。
【0057】
集合的に、図8A〜Dは、どのようにエンベロープ450が貯蔵エリア130の中を移動して、ピッキングが進むことができるかについての一例を示す。いくつかの実施形態では、ゾーン410aの周りの軸移動を、ゾーン410を通る一連の直線的ピッカ移動によって近似することができることに留意されたい。すなわち、モジュール400の配置が所与のピッカの可能な移動を例えば2つの直交する方向に制限する可能性がある場合であっても、貯蔵エリア130を全体とした尺度で、そのような移動を、ゾーン410a内に含まれる軸の周りのエンベロープ450の回転を近似するように調整することができる。軸エンベロープ移動は継続的に単一方向である必要はないことに留意されたい。図8A〜Dに示されるような実施形態では、エンベロープ450は、貯蔵エリア130の縁部で定められた境界間で振動することができ、例えば、図8Dの向きから図8Aの向きに戻る。
【0058】
図6に関して上記で説明した実施形態と同様に、品目10の積込みを、ピッキング・エンベロープ450に続いて行うことができる。エンベロープ450が方向の点で振動する場合、ストワは、貯蔵エリア130の同一の領域を同時に占有することを避けるために、エンベロープ450が方向を変更したときに貯蔵エリア130を空けることができる。あるいは、ストワ及びピッカは時々、一時的に重複することもできる。
【0059】
いくつかの実施形態では、貯蔵エリア130内に複数の組のゾーン410を決め、ゾーン410の各組は、最も内側のゾーン400をそれぞれ含み、最も内側のゾーン410内に含まれる軸の周りを移動するように構成された1つ又は複数のエンベロープ450を含み、異なる組のゾーン410のエンベロープを互いに独立に管理することができる。例えば、貯蔵エリア130全体を包含するように拡張する代わりに、図2又は8Aに示されるゾーンの全般的構成を貯蔵エリア130内に数回複製することができる。そのような複製を示す一実施形態が図9に示されており、3つのゾーン410a〜cとして編成されたピック・モジュール400を示す図8Aの配置が、4つの別個のゾーン・セット900a〜d内に4回複製される。図9には具体的には示していないが、各ゾーン・セット900は、図8A〜Dに示されるエンベロープ450と同様のピッキング活動のエンベロープを含むことができる。ゾーン・セット900のうちの様々なゾーンに貯蔵された品目10のタイプと量は異なってもよく、具体的には特定のゾーン・セット900内に格納された品目10の予想ピッキング・レートに各ゾーン・セット900を合わせることができることに留意されたい。すなわち、ピッカとストワのエンベロープは、異なるゾーン・セット900にわたって異なるように動作することができる。単一のフルフィルメント・センタ100内に異なるゾーン・セット900を配置するのと類似の方式では、異なるフルフィルメント・センタ100内に独立したゾーン410の組を配置し、独立したゾーン410の組を、貯蔵される品目10の特定の特徴に合わせることができることが企図される。
【0060】
先に触れたように、いくつかの実施形態では、エージェントに命令を通信するように構成された制御システムにより、ピッカ及び/又はストワとして働く様々なエージェントの動作を調整することができる。そのようなシステムの一実施形態が図10に示されており、図8Aに示されるピック・モジュール400の一部が、ピック・モジュール400の間に位置する2つのピッカ25a〜bを示すように拡張される。各ピッカ25a〜bは、ピッカが対話することができ、制御システム1000と通信することのできる、対応する通信デバイス1010a〜bを有する。様々な実施形態では、通信デバイス1010は、ハンドヘルド・デバイス、ピッカ25に装着され、又はピッカ25に取り付けられたデバイス、あるいは例えば手押し車などの、ピッカ25によって使用され、又はピッカ25の一部を含む装置に一体化され、又はその装置上に取り付けられたデバイスでよい(いくつかの実施形態では、ストワ35は、以下で説明するように構成された対応する通信デバイス1010を同様に有することができる)。
【0061】
貯蔵エリア130内でどの動作を実施するかに関してピッカ25に命令を搬送するように通信デバイス1010を構成することができる。例えば、一実施形態では、通信デバイス1010は、特定の1組のピック・モジュール400からピッキングすべき品目10のリストを制御システム1000から受信することができ、画面などのデバイスのディスプレイ部分を介して、ピッキングする品目とピック・モジュール400をピッカ25に提示することができる。様々な品目をピッキングする命令を受信したことに応答して、ピッカ25は、最初に指示されたピック・モジュール400(あるいは、指示されたピック・モジュール400が制御システムによって具体的に順序付けられない場合、指示された最も近いピック・モジュール400)に移動することができる。指示されたピック・モジュール400に移動すると、ピッカ25は、指示されたピック・モジュール400から、1単位の指示された品目10を選択することができる。例えば、ピッカ25は、ピック・モジュール400のビン、パレット、シュート、又は他の構成から品目を取り出すことができる。ある場合には、ピッカ25は、品目の状態を検査することもでき、品目が適切な状態にある(例えば、清潔であり、損傷しておらず、未開封であり、又は何らかの他の基準の組を満たす)場合にのみ、品目を選択することができる。
【0062】
品目10が選択されると、ピッカ25は、通信デバイス1010を介して、その品目に関するピッキング操作の完了を制御システム1000に通知することができる。例えば、選択された品目10は、バー・コード、無線周波数識別(RFID)タグ、又は通信デバイス1010でスキャンすることのできる他のタイプの識別子を含むことができる。あるいは、ピッカ25は、通信デバイス1010に識別子を手動で入力することができ、又は指示された品目10をピッキング済みとマークすることもできる。
【0063】
通信デバイス1010の多数の異なる実施形態が可能であり、企図されることに留意されたい。いくつかの実施形態では、通信デバイス1010は、オペレーティング・システムや1つ又は複数のアプリケーションを実行するように構成されたポータブル汎用コンピュータ・システムを含むことができ、他の実施形態では、通信デバイス1010は、カスタマイズされたソフトウェア・アプリケーションを実行するように構成された組込みコンピュータ・システムを含むことができる。様々な実施形態では、通信デバイス1010は、様々なサイズと解像度のビデオ・ディスプレイ、(例えば音声通信用の)音声入力/出力機能、光(例えばバー・コード)走査デバイス、RFID検出器、ワイヤレス又は有線ネットワーク・インターフェース、あるいはこれらの様々な組合せなどの多数の異なるインターフェース機構をサポートすることができ、それを通信デバイス1010内に直接的に一体化することができ、又は通信デバイス1010とインターフェースされる別々のデバイスによって実装することができる。いくつかの実施形態では、通信デバイス1010は、汎用コンピュータに関連する機能を含まない可能性があるが、その代わりに、ディスパッチャ又は制御システムを備える単純な音声インターフェースを含むことができる(例えば、一方向又は2方向無線電話又はワイヤレス電話又は携帯電話)。通信デバイス1010は一般に、例えば有線又はワイヤレス・データ・ネットワーキング・プロトコル(例えばイーサネット(登録商標)又はWi−Fi)あるいは任意の適切な形態の無線周波数通信などの任意の適切な通信技術を介して制御システム1000と通信するように構成することができる。
【0064】
例示的制御システム・ハードウェア いくつかの実施形態では、上述の方法、技法、又は構成要素のいずれかを、コンピュータ・アクセス可能な記憶媒体で格納することのできる命令及びデータとして実装することができることが企図されている。そのような方法又は技法は、例えば、限定はしないが、図2及び5に示され、上記で詳細に説明した、在庫品目10を貯蔵しピッキングするようにエージェントに指令する方法、及びその適切な変形形態を含むことができる。そのような命令を実行して、プロセス間通信の実施、積分、微分、たたみこみ、最適化などのプロセス制御のための数学関数だけでなく、オペレーティング・システム機能、ネットワーク通信機能、アプリケーション機能、及び/又は任意の他の適切な機能などの高水準機能の実装などの特定の計算機能を実施することができる。上述の任意の方法について、方法の操作の特定の順序付けが説明されておらず、又は要求されておらず、任意の適切な順序で実行することのできる命令による任意の適切な順序で方法の様々な操作を実施できることに留意されたい。
【0065】
一実施形態では、制御システム1000は、図11に示されるような、1つ又は複数の有形のコンピュータ・アクセス可能記憶媒体を含み、又はそれにアクセスするように構成される汎用コンピュータ・システムを含むことができる。図示される実施形態では、コンピュータ・システム1100は、入力/出力(I/O)インターフェース1130を介してシステム・メモリ1120に結合された1つ又は複数のプロセッサ1110を含む。コンピュータ・システム1100は、I/Oインターフェース1130に結合されたネットワーク・インターフェース1140をさらに含む。一般的に言えば、コンピュータ・システム1100の1つ又は複数の例、又はその適切な変形形態を、任意の適切な機能区分化に従って、上述の方法又は技法のいずれかなどの制御システム1000の機能のうちの任意の1つ又は複数を実装するように構成可能である。いくつかの実施形態では、コンピュータ・システム1100は、制御システム1000の例でよく、他の実施形態では、制御システム1000は、コンピュータ・システム1100の要素に加えて、他の要素を含むことができる。
【0066】
様々な実施形態では、コンピュータ・システム1100は、1つのプロセッサ1110を含む単一プロセッサ・システム、又はいくつかのプロセッサ1110(例えば2個、4個、8個、又は他の適切な数)を含むマルチプロセッサ・システムでよい。プロセッサ1110は、命令を実行することのできる任意の適切なプロセッサでよい。例えば、様々な実施形態では、プロセッサ1110は、x86、PowerPC、SPARC、MIPS命令セット・アーキテクチャ(ISA)、又は任意の他のISAなどの様々なISAのいずれかを実装する汎用プロセッサ又は組込みプロセッサでよい。マルチプロセッサ・システムでは、各プロセッサ1110は一般には同一のISAを実装するが、必ずしもそうである必要はない。
【0067】
プロセッサ1110でアクセス可能な命令とデータを格納するようにシステム・メモリ1120を構成することができる。様々な実施形態では、静的ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)、synchronous dynamic RAM(SDRAM)、不揮発性/フラッシュ型メモリ、又は任意の他のタイプのメモリなどの任意の適切なメモリ技術を使用してシステム・メモリ1120を実装することができる。図示される実施形態では、上述のような所望の機能、方法、又は技法を実装する命令及びデータが、コード1125としてシステム・メモリ1120内に格納されるように示されている。いくつかの実施形態では、コード1125は、プロセッサ1110で直接的に実行可能ではないが、プロセッサ1110で直接的に実行可能な命令に変換可能な抽象的形式として表現又は符号化される所望の機能を実装する命令及びデータを含むことができることに留意されたい。例えば、コード1125は、プロセッサ1110で、又はプロセッサ1110上で実行可能な他のコード1125でエミュレートすることができるISAで指定される命令を含むことができる。あるいは、コード1125は、コンパイルすることができ、又は実行中に解釈することのできる抽象プログラミング言語で実装された命令、プロシージャ、又はステートメントを含むことができる。非限定的な例として、コード1125は、CやC++などの手続型プログラミング言語又はオブジェクト指向プログラミング言語、perlなどのスクリプト記述言語、HTMLやXMLなどのマークアップ言語、あるいは任意の他の適切な言語で指定されるコードを含むことができる。
【0068】
一実施形態では、プロセッサ1110と、システム・メモリ1120と、ネットワーク・インターフェース1140又は他の周辺インターフェースを含むデバイス内の任意の周辺デバイスとの間でI/Oトラフィックを調整するようにI/Oインターフェース1130を構成することができる。いくつかの実施形態では、I/Oインターフェース1130は、任意の必要なプロトコル変換、タイミング変換、又は他のデータ変換を実施して、ある構成要素(例えばシステム・メモリ1120)からのデータ信号を別の構成要素(例えばプロセッサ1110)で使用するのに適したフォーマットに変換することができる。いくつかの実施形態では、I/Oインターフェース1130は、例えばPeripheral Component Interconnect(PCI)バス規格又はユニバーサル・シリアル・バス(USB)規格の変形形態などの様々なタイプの周辺バスを介して接続されたデバイスのサポートを含むことができる。いくつかの実施形態では、I/Oインターフェース1130の機能を、例えばノース・ブリッジとサウス・ブリッジなどの2つ以上の別々の構成要素に分割することができる。さらに、いくつかの実施形態では、システム・メモリ1120に対するインターフェースなどのI/Oインターフェース1130の機能の一部又はすべてを、プロセッサ1110に直接的に組み込むことができる。
【0069】
コンピュータ・システム1100と、例えば他のコンピュータ・システムなどのネットワーク120に接続された他のデバイスとの間でデータを交換することを可能とするようにネットワーク・インターフェース1140を構成することができる。具体的には、コンピュータ・システム1100と上述の様々な通信デバイス1010との間で通信を可能とするようにネットワーク・インターフェース1140を構成することができる。ネットワーク・インターフェース1140は一般に、1つ又は複数のワイヤレス・ネットワーキング・プロトコル(例えばWi−Fi/IEEE802.11又は他のワイヤレス・ネットワーキング規格)をサポートすることができる。しかし、様々な実施形態では、ネットワーク・インターフェース1140は、例えば他のタイプのイーサネット・ネットワークなどの任意の適切な有線又はワイヤレス一般データ・ネットワークを介する通信をサポートすることができる。さらに、ネットワーク・インターフェース1140は、アナログ音声ネットワークやデジタル・ファイバ通信ネットワークなどの遠隔通信網/電話網を介する通信、Fibre channel SANなどの貯蔵エリア・ネットワークを介する通信、又は任意他の適切なタイプのネットワーク及び/又はプロトコルを介する通信をサポートすることができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、システム・メモリ1120は、上述のように命令とデータを格納するように構成されたコンピュータ・アクセス可能記憶媒体の一実施形態でよい。しかし、他の実施形態では、異なるタイプのコンピュータ・アクセス可能媒体上で命令及び/又はデータを受信、送信、又は格納することができる。一般的に言えば、コンピュータ・アクセス可能媒体は、I/Oインターフェース1130を介してコンピュータ・システム1100に結合された磁気媒体や光媒体などの記憶媒体又はメモリ媒体、例えばディスク又はCD/DVD−ROMを含むことができる。コンピュータ・アクセス可能媒体はまた、システム・メモリ1120又は別のタイプのメモリとしてコンピュータ・システム1100のいくつかの実施形態に含めることのできる、RAM(例えばSDRAM、DDR SDRAM、RDRAM、SRAMなど)、ROMなどの任意の揮発性媒体又は不揮発性媒体を含むことができる。コンピュータ・アクセス可能媒体は一般に、伝送媒体を介して、あるいはネットワーク・インターフェース1140を介して実装することのできるようなネットワーク及び/又はワイヤレス・リンクなどの通信媒体を介して搬送される電気的信号、電磁的信号、デジタル信号などの信号を介してアクセス可能である。
【0071】
一実施形態では、制御システム1000と通信デバイス1010との間の関係は、サーバ/クライアント型の関係でよい。例えば、通信デバイス1010に命令を搬送することができ、通信デバイス1010から肯定応答を受信することのできるサーバ・コンピュータ・システム1100として制御システム1000を構成することができる。そのような実施形態では、通信デバイス1010は比較的単純なクライアント・デバイス、すなわち「シン」クライアント・デバイスでよい。例えば、表示機能、データ入力機能、通信機能を有し、あるいは計算機能がほとんどないダム端末として通信デバイス1010を構成することができる。しかし、いくつかの実施形態では、通信デバイス1010は、1つ又は複数のプロセッサ1110や様々な他のデバイスを含むコンピュータ・システム1100と同様に構成されたコンピュータ・システムでよいことが企図される(しかし、いくつかの実施形態では、通信デバイス1010を実装するコンピュータ・システム1100は、制御システム1000を実装するコンピュータ・システム1100と比べて幾分異なるデバイス、又は異なるクラスのデバイスを有する可能性がある)。いくつかの実施形態では、制御システム1000の機能を通信デバイス1010の一部又はすべてにわたって分散させることができることがさらに企図される。すなわち、いくつかの実施形態では、ピッカ及び/又はストワの活動の中央制御地点がない可能性があり、むしろ、通信デバイス1010が協調的、分散式に機能して、フルフィルメント・センタ100の活動を調整することができる。
【0072】
実施形態をかなり詳細に説明したが、上記の開示を完全に理解した後には、多数の変形形態及び修正形態が当業者には明らかとなるであろう。以下の特許請求の範囲は、そのようなすべての変形形態及び修正形態を含むように解釈されるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10
図11