【氏名又は名称原語表記】Nederlandse Organisatie voor toegepast−natuurwetenschappelijk onderzoek TNO
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のステップは、前記足と前記支持表面との接触を検出するために、前記人の第2の足と前記支持表面との間に追加のセンサ(8)を提供することを含み、前記人が歩いているか走っているかを検出するステップは、両足が前記支持表面から同時に持ち上げられるかどうかを検出するために前記圧力センサの信号と前記追加のセンサの信号とを比較することによって実行される、請求項1に記載の方法。
前記ゲイトラインから足圧中心速さを計算するステップ(4)は、地面に接触した時間から足の前方へ前記足圧中心が動き始める開始時間と、前記足圧中心が前方へもう動かなくなる終了時間とを決定し、前記足圧中心速さ(4)が、前記足圧中心の前記終了時間と前記開始時間とにおける位置の間の距離と、前記開始時間と前記終了時間との間の経過時間との比率から計算されることを含む、請求項1に記載の方法。
前記ヒューマンインタフェースは、前記処理ユニットをプログラムするため又はデータを前記メモリに記憶させるための音響入力のマニュアルを受け取ることに好適である、請求項10から12のいずれか1項に記載のシステム。
【背景技術】
【0002】
人の歩く又は走る速さの測定は、科学、治療及びトレーニングのために重要である。そのような測定によって得られる情報は、例えばスポーツ及びリハビリテーションにいて、人の能力を向上させるために使われうる。
【0003】
走る速さの測定を可能にする多数の技術が存在しており、それらはGPS(全地球測位システム)、慣性加速度計装置、歩数計に基づく加速度計及び計時/計数センサの使用を含む。これらの方法はそれぞれ種々の程度の正確さを有し、それぞれに限界がある。人の歩幅は速さと環境とにかかわらず一定であるという仮定に依存しているので、一般の計時及び計数装置は信頼できる測定をあまり提供しない。GPSによって測定されたような位置から、経過時間の測定による直接的な方法で、速さが導き出されうる。しかしながら、GPSに基づく速さの測定は、センサが常に多数の衛星の視界にいることを要求する。したがって、市街地の高層建築物内、樹木の密生地又は山岳地域、屋内スポーツ用施設のような建物の内部又はトンネル及び地下鉄内においては、速さの測定がしばしば不可能になる。
【0004】
トレーニング及び治療のために、速さだけでなく人の歩き又は走り行動を特徴付ける他のパラメータにもしばしば興味が示される。足をつく位置、回内運動の速さ、接触時間、及びかかとの離れる速さのような生体力学的パラメータに典型的に興味が示されうる。GPSは人の位置に関する情報のみを提供するので、これらのパラメータはGPSシステムでは得られない。つまり、生体力学的パラメータを得るためには、追加のセンサが使われなければならない。そのような追加のセンサはシステムを高額かつ複雑にする。
【0005】
特許文献1は、歩いている人のゲイトライン(gait line)を決定するためのシステムを開示している。ゲイトラインは、足が地面に接触している間に足の平均圧力、又はより好ましくは足圧中心(centre of pressure)がどのように変化するかを示す線である。この既知のシステムは靴に挿入された力検出センサを備える。空間的に平均されたセンサの出力信号は2次元空間にゲイトラインを提供する。加えて、この特許文献は、足の地面との接触の種々の段階を区別する方法を開示している。特に、この既知の方法は、かかとの接触、つま先の離間、及び中間姿勢の継続時間の測定を可能にする。つまり、この既知の方法は、足の様々な部分の地面との接触時間に関する限られた数の基本的なパラメータを提供する。
【0006】
特許文献2は、走っている間の人の速さの測定のための方法を開示している。この既知の方法は、足が地面と接触しているかどうかを測定するための靴底の中に配置されたセンサの使用を含む。足が地面と接触している時間は人の走る速さを測定するために使われる。それぞれのランナーについて、接触時間と走る速さとの線型の関係が実験的に決定され、その関係はそれぞれの人で異なっている。この関係はマイクロプロセッサに記憶され、走る速さを計算するために使われる。
【0007】
しかしながら、接触時間は走る速さ以外の要素にも依存している。したがって、この手法の正確さは限られている。
【0008】
特許文献3は、靴に取り付けられる加速度計と傾きセンサとを備える動作解析システムを開示している。加速度測定と解析とから決定されるような靴の平均水平速さは、人の速さに相当する。加えて、歩幅、地面から足が離れる高さ、及び回内運動の程度のようなパラメータも測定から導き出されうる。
【0009】
加速時計を使って歩く又は走る速さを人の足の動作から導き出すときに直面する問題とは、もし加速度計が正しく取り付けられていないならば、又はもし加速度計が使用中に正しくない方向に向いてしまったならば、この方法の精度が低下するということである。もし足が通常と異なる方向に振られたならば、モデルの精度はさらに落ちうる。足を振る間の通常と異なる動的な動きも測定を妨げうる。加速度計を使った方法の別の問題は、ゲイトラインに関する情報を必要とするパラメータを導き出すために、別のタイプの追加のセンサが適用されなければならないということである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、歩いている又は走っている人の速さを足の動作から決定するための方法を提供することである。その方法は、高価でなく、歩いている又は走っている人の生体力学的パラメータを測定するための方法に容易に組み合わせられる又は組み込める。
【0012】
歩いている又は走っている人の速さが足の動きから導き出される方法が提供され、その方法は、
足圧中心を決定するために、圧力データを通信ユニットに送信するように構成される少なくとも一つの圧力センサを前記人の第1の足と支持表面との間に提供するステップと、それに続く、
足圧中心ゲイトラインを決定し、前記ゲイトラインから足圧中心速さを計算し、前記人が歩いているか走っているかを検出するステップと、
歩いている又は走っている人の速さと前記足圧中心速さとの相関を得るステップと、それに続く、
前記相関から前記人の前記速さを推測するステップと、
によって特徴付けられる。
【0013】
人の速さは人の質量中心の動く速度である。この速さは、例えば一つの手や他の任意の手足の速度と区別されなければならない。さらに具体的には、足の速度と区別されなければならない。
【0014】
人の速さを決定するために圧力センサを使うことの利点は、圧力センサは手頃な価格で一般に利用できること、軽くて薄いこと、例えば靴又は靴の中敷きに容易に組み込めること、及び信号の処理が複雑でないことである。これに限られるものではないが、例えばリハビリテーションや実験室での解析のため、人間の生体力学的パラメータを決定するために圧力センサはしばしば使われる。
【0015】
特有かつ複雑な装置は必要でないので、上述の目的がこの利点とともに達成される。具体的には、この方法は生体力学的パラメータを測定するために使われているシステムを用いて実行されうる。したがって、この方法は人の速さを測定するための低コストの方法を提供する。さらに、圧力センサは歩き方又は走り方を解析するために使われうるゲイトラインを提供する。
【0016】
本発明の別の目的は、歩いている又は走っている人の速さを提供するためのシステムを提供することである。そのシステムは、人が歩いているか走っているかを自動的に検出し、それでもなお高価でなく、歩いている又は走っている人によって容易に使用されうるシステムである。
【0017】
歩いている又は走っている人の速さを提供するためのシステムが提供され、前記システムは、前記人の第1の足が支持表面に接しているかどうかを測定するためのセンサを備え、
第2の足の足圧中心を決定するための、靴の中(又は、それが靴の中、表面の上又は中、若しくは足と走っている表面との間の任意の場所であっても、足と走っている表面との間)への配置に好適な圧力センサと、
歩いている又は走っている人の速さと足圧中心速さとの相関を記憶するためのメモリと、
足圧中心速さを計算するための処理ユニットと、
前記速さを提示するためのヒューマンインタフェースと、
をさらに備えることを特徴とする。
【0018】
それぞれの足に一つずつ、二つのセンサを使う利点は、人が歩いているか走っているかの自動的検出が可能なことである。歩きと走りとの違いは、走っているときはある時間二つの足が同時に持ち上げられて地面から離れるのに対し、歩いている間は常に一方の足が地面と接触していることである。質量中心速さと足圧中心速さとの相関を記憶するためのメモリを使う利点は、計算された足圧中心速さから人による干渉なしに質量中心速さが自動的に導き出されうることである。
【0019】
特有かつ複雑な装置は必要でなく、人はデータ解析を気にする必要がないので、上述の目的がこれらの利点とともに達成される。さらに具体的には、人は自分の速さに関して明快な方法で、例えば所望により走っている間にリアルタイムで、知らされるだろう。
【0020】
これらの、及び他の態様は、以下の図を参照する典型的実施形態の記述によって明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1aは歩いている又は走っている人の速さを導き出す方法のフローチャートを示す。その方法は、その上を人が歩いている又は走っている床又は道のような支持表面と足との間に圧力センサを提供する第1のステップ1を含む。第2のステップ6では、人の速さと足圧中心速さとの相関が得られる。このステップはより後の段階で行われうる。第3のステップ13では、圧力センサがデータを測定し、このデータは処理に利用可能にされる。第4のステップ4では、足圧中心ゲイトラインが決定され、これから足圧中心速さvCOPが計算される。第5のステップ5では、人が歩いているか走っているかが検出される。このステップは足圧中心ゲイトラインが決定されたときに行われてもよい。第6のステップ7では、相関と中心圧力速さとから人の速さが推測される。理解されるように、第1及び第2のステップ1,6は、人が歩き始める又は走り始める前に一度実行されうるもので、点線の箱10中の第3から第6のステップ13,4,5,7だけが人が実際に歩いている又は走っている間若しくはその後に実行される。点線の箱10のステップは、様々な時点又は期間で速さの決定を行うために、繰り返し実行されうる。
【0023】
図1bは歩いている又は走っている人の速さを測定するためのシステム(30)を示す。そのシステムは一つ以上の圧力センサ(32)(一つの箱で示される)、通信ユニット9、メモリ33、処理ユニット34、及びヒューマンインタフェース35を備える。圧力センサ32は通信ユニット9によって処理ユニット34と連結される。さらに、処理ユニット(例えばプログラムされたコンピュータ)34はメモリ33とヒューマンインタフェース(例えばディスプレイ装置)35とに連結される。
【0024】
図1cに示されるように、足の動作から歩いている又は走っている人の速さを導き出す方法の様々なステップが、実施形態に基づいてより図形的に説明される。その方法のステップの一つは、その上を人が歩いている又は走っている床又は道のような支持表面と足との間に圧力センサを提供するステップ(1)である。圧力センサは足の様々な位置(2)で圧力を測定することに好適である。通信ユニット(9)は、圧力センサからのデータを、そこから足圧中心速さvCOPが計算される(4)足圧中心ゲイトライン(3)の決定に利用可能にする。別のステップ(5)は人が歩いているか走っているかを検出している。このステップは圧力センサが設置された後に行われなければならず、足圧中心ゲイトラインが測定された時点で行われうる。しかしながら、このステップ(5)はより後で(後処理で)行われてもよいが、人の速さを推測する最終ステップ(7)の前に行われるべきである。さらに別のステップ(6)は人の速さと足圧中心速さとの相関を得ている。このステップは実際は人が歩き始める又は走り始める前に行われうる。しかしながら、このステップはその後に(後処理で)行われうるが、いずれの場合でも人の速度を相関から推定する最終ステップ(7)の前であり、最終ステップはこの方法のその他のステップより後に行われなければならない。
【0025】
様々な位置での足の圧力が、人の重さが圧力センサを作動させるように人を支える表面と足との間に置かれた圧力センサによって測定される。もし本文章中で複数のセンサに言及していたとしても、それらが物理的に分けられた装置である必要はないと理解されなければならない。一つのセンサ、例えば、行列状の電極をもつ圧電素子のシート、が様々な位置での圧力の測定を可能にしうる。好ましくは、センサは靴の中に設置された中敷きの中又は上に固定される。そのような中敷きの例が
図3に示される。この中敷き(20)の特定の例は8個の圧力センサ(21)と、センサの出力信号を通信又は処理ユニットに送るコネクタ(22)とを備える。
【0026】
センサが靴の中に設置された中敷きの中又は上に固定されることが好ましいが、センサは例えば靴底の中へ取り付け又は設置、若しくは足の裏へ接着もされうる。センサは、床の中又は上、若しくは人がその上に立つ、その上を歩く、又はその上を走る表面と足との間の他の任意の都合の良い表面又は接触面にさえ取り付けられうる。床の上のセンサの明らかな欠点は、人の速さがごく特定の場所、例えばトレーニングセンタ、でしか決定されないこと、及びセンサの数が大きくなること又は面積が大きくなることである。支持表面上の足の圧力の測定に好適なセンサの例は、静電容量(例えばカーボンラミネート)、インダクタンス、圧電効果又はピエゾ抵抗効果のような電気特性に基づいたセンサである。しかしながら、反射率又は回折(例えばドップラーシフト、ブラッグ光学ファイバ)又は色変化(例えばピエゾ光学)のような光学特性に基づいたセンサもまた好適である。
【0027】
センサの出力信号は通信ユニットに送られ、通信ユニット(9)は人の速さを測定するための即時又は後のさらなる解析及び処理のためのデータの提供に好適である。それぞれのセンサ又はセンサ上のそれぞれの位置ごとに、データは圧力と圧力を測定した時間とを含む。通信ユニットはセンサデータを記憶してもよいし、又はデータを有線又は無線でデータの自動処理に好適な処理ユニットに送ってもよい。処理ユニットと通信ユニットとは一つの装置に合わせられうる。通信ユニットはまた信号、例えばセンサのオンオフを切り替えるための信号、の受け取りに好適でありうる。速さを測定する必要がないときにセンサのスイッチを切ることは、電池を節約するために有利であろう。処理ユニットは、例えばベルト又は腕バンドを使って人に取り付けられてもよいし、又は遠隔に置かれてもよい。後者の状況においては、通信ユニットと処理ユニットとの間の無線通信が、センサが人に、例えば中敷きの中に取り付けられる場合に、人にとっての障害物を最小化するために好まれる。データを自動的に処理し、例えばリアルタイムの速さに関する情報を提供を可能にすることが好ましいが、センサデータの処理を手を介して実行することも可能であると認められる。もしデータが手を介して解析されるならば、通信ユニットは、例えばセンサのデータを記憶することに好適なメモリであり、メモリは後に読み出されうる。
【0028】
圧力センサが床に取り付けられるある実施形態において、もし処理ユニットが固定された位置にあるならば、通信ユニットと処理ユニットとの間の通信は有線、例えばグラスファイバ又は銅線によるものでありうる。しかしながら、もし人が処理ユニットを持ち運んでいるならば、無線通信が好ましい。
【0029】
人が処理ユニットを持ち運んでいることに従う方法では、人にリアルタイムで速さに関する情報を、例えばディスプレイ又は信号ランプを使って光学的に、又は録音された音声又は信号音を使って音響的に、提供することが有利であろう。
【0030】
処理ユニットがデータを処理するために使われる好ましい実施形態において、処理ユニットは、ゲイトラインと足圧中心速さとを圧力センサの出力信号に基づいて計算するように構成される。前述したように、計算の全部又は一部を手を介して行うこともまた可能である。足の様々な位置での圧力は、歩いている又は走っている間に足が地面につく周波数より相当高いサンプリング周波数で測定される。この高いサンプリング周波数は、足圧中心(COP)位置の半連続的な測定を可能にする。任意の時点のCOP位置は、その時点の地面の反作用の合力が働く位置である。このCOP位置は歩いている又は走っている間に足に沿って時間変化し、ゲイトラインとして一般に知られているものになる。COPは、それぞれの圧力測定をその大きさと位置によって重み付けることによって、全ての力が一点に
収束するように計算される。より具体的には、x方向のCOP(x)は、数式
【数1】
を使って計算され、ここでFiはx方向の基準点からの距離xiでの圧力である。総和はセンサの離散的な測定位置iに渡ってとる。ゲイトラインは空間上の点を結んだ線である必要がないことは理解されなければならない。ゲイトラインという語は足が支持表面と接触する間の様々な足圧中心の空間分布を言い表すために使われる。
【0031】
逐次的なCOP位置が2次元表現の線で結ばれると、ゲイトライン(3)が
図1に示すように得られる。COP速さは足圧中心が動く速さとして定義される。COP速さは、二つの足圧中心の間の距離と経過時間とから容易に導き出される。人の速さを決定するために、最初に足が床に着いた時と場所とに関連する始点と、足が床から離れた時と場所とに関連する終点とに基づいて、好ましくはCOP速度が計算される。実際は、足を下ろす間の短い時間にCOPは後方(体の動作の方向に関して)に動きうる。したがって、最初に足をついてから足の前方にCOPが動く時及び位置が、開始時間及び開始位置とそれぞれ定義されうる。同様の方法、即ち、例えば足が床から離れる、静止する、又は少し後ろに動くことによって、COPがもう前方に動かなくなる時と位置とから、終了時間と終了位置とが決定されうる。COP速度は始点と終点との間の距離と、その間の経過時間との比率として定義できる。
【0032】
ある実施形態において、COP速度の決定は開始時間と終了時間とを決定するステップを備える。この実施形態の第1のステップで、処理ユニット34がCOP位置を時間の関数(例えば一連の時点について)として決定する。第2のステップで、処理ユニット34が開始時間を、足を最初についたときからCOPが足の前方に動き始めた時に決定する。第3のステップで、処理ユニット34が終了時間をそれ以降COPが前方に動かない時に決定する。第4のステップで、処理ユニット34がCOP速度を、終了時間のCOP位置と開始時間のCOP位置との間の距離と、終了時間と開始時間との間の経過時間との比率から計算する。比率を計算する代わりに、処理ユニット34が、時間の関数として計算されたCOP位置にあてはめられる、COP位置と時間との線型関係の係数を計算してもよい。あてはめの技術はそれ自体知られている。このような開始時間と終了時間の使用は、COP速度と歩く又は走る速さとの相関の正確さを向上させる。それは走り方等への依存を取り除きうる。それぞれの場合において、処理ユニット34はその後、計算したCOP速度から走る又は歩く速さを決定するために相関を使う。
【0033】
開始時間と終了時間との間の期間の多くに渡って、多くの場合にCOP位置がほぼ線型に時間の関数として変化することは留意されうる。したがって、処理ユニット34は、この期間内の任意の第1の時間のCOP位置と第2の時間のCOP位置との間の距離と、第1の期間と第2の期間との間の経過時間との比率から、同じようなCOP速度を取得しうる。ある実施形態において、処理ユニット34は、前方への瞬間的なCOP速さが0より大きいある閾値を上回り始める第1の時点を選ぶ。瞬間的なCOP速さは、一連のサンプリング時点の間のCOP位置の変化から、又は瞬間的なCOP速さが決定される時点での時間の関数としてのCOP位置の線型関係のあてはめから決定されうる。閾値は、COP速さが平均COP速度よりも十分に小さく(例えば半分より小さく)なる最初の接触以降の段階を含まないように選ばれうる。例えば一定の閾値が使われてもよいし、又は閾値がピークCOP速度の観測された平均から導かれてもよい。そのような第1の時点の使用は、COP速度と歩く又は走る速さとの相関の正確さを向上させる。それは走り方等への依存を取り除きうる。
【0034】
さらに、処理ユニット34は、瞬間的なCOP速さが0より大きい追加的な閾値(第1の時点を得るために使われた閾値と同じでもよい)を超えなくなる第2の時点を選んでもよい。前方への動きの始点と終点とに対応する始点と終点とが使われる方法は、0の閾値を使うことに対応することは留意されうる。処理ユニット34は、COP速度を第1の時点のCOP位置と第2の時点のCOP位置との間の距離と、第1の時点と第2の時点との間の経過時間との比率からCOP速度を計算してもよいし、あてはめた関係の係数から計算してもよい。
【0035】
発明は、中でも、人の速さと足圧中心速さとの相関は、人が歩いているか走っているかによって主に決定されるという洞察を提供する。発明者は、驚くべきことに、質量中心速さと足圧中心速さとの関係は、走っていても歩いていても非常によく一貫しているが、この関係は歩いていか走っているかについて異なることを発見した。言い換えれば、走っている人の速さと足圧中心速さとの間には一般的な関係がある。歩いている人の速さと足圧中心速さとの間にも一般的な関係があるが、この関係は走っている人についての関係とは異なりうる。その一般的な関係のために、もし人が歩いているか走っているかを知っているならば、歩く又は走る速さとCOP速さとの相関のための一般的に利用できるマスターカーブを使うことができる。相関又は相関についてのマスターカーブは、質量中心速さと足圧中心速さとの関係、又は少なくとも関係の平均を表す。ある速さの範囲の中、例えば4km/hから10km/hの範囲で、人は歩くことも走ることもありうるので、速さ自体は走りと歩きとの間で十分に区別されないことは理解されなければならない。
【0036】
方法の有利な実施形態において、マスターカーブは歩きと走りとのためのデータの両方を備える。しかしながら、もし人が走るだけと事前に決めている、又は走る速さだけに興味があるならば、歩きのためのマスターカーブは除かれてもよい。走る速さを決定するために、人が歩いているか走っているかを検出することだけはしなくてはならない。速さは人が走っている又は走っていた時間のみから計算されるだろう。同じことが歩きに対して準用される。
【0037】
人間の速さと足圧中心速さとの相関は、あるトレーニングセッション中の人に特に有効である(即ち、ほとんど不正確さを生じない)が、異なるトレーニングセッション中の同一の人にも有効である。発明者は、異なる人に対するこの相関のマスターカーブを妥当な程度の正確さで得ることが可能であることさえ観測した(
図4参照)。この観測により、このようなマスターカーブが、一度定められれば、それぞれの特定の人、適用、または状況に対する人間の質量中心速さと足圧中心速さとの相関を決めることなく、多くの状況で使用できることが認められる。このマスターカーブは、人の速さとCOP速さとの間の線型関係、高次の多項式、または質量中心速さと足圧中心速さとに対応する表によって定義される関係のような他の任意の種類の関係でありうる。
【0038】
もし走っている人の速さだけに興味があるならば、マスターカーブはCOP速さと走る速さとの相関だけを含みうる。一方、もし歩いている人の速さだけに興味があるならば、マスターカーブはCOP速さと歩く速さとの相関だけを含みうる。しかしながら、好ましくは、マスターカーブは歩きと走りとの両方についての相関を含むであろう。この場合において、曲線は典型的には二つの部分、
図1に示す歩きについての部分(61)及び走りについての部分(62)、を含みうる。ここで「曲線」という語が使われているが、相関が記憶される方法はグラフ表示に限定されないことは理解されるだろう。例えば、人の速さとCOP速さとの線型関係の係数がマスターカーブを表すために記憶されてもよいし、関係を表す高次の多項式の係数が記憶されてもよいし、又は質量中心速さの値と足圧中心の値に対応する表が記憶されてもよい。好ましくは、マスターカーブは、COP速さと人の速さとに関するデータへのさらなる処理のための容易なアクセスを可能にするデータ記憶媒体に記憶される。この記憶媒体は、好ましくは処理ユニットに含まれる。
【0039】
歩きと走りとの違いは、走っている間に両方の足が地面から持ち上げられる一定の期間があるのに対して、歩いている間は一方の足が常に地面に接しているということである。したがって、自身や、例えばトレーナーのような付き添う人によって、人が歩いているか走っているかは容易に観測できる。この情報は適切な相関曲線、即ち歩いている人についての曲線又は走っている人についての曲線、を選ぶために使われうる。しかしながら、人が歩いているか走っているかを決定する好ましい方法は、
図2に示すような自動的なものである。ある実施形態において、足圧中心を決定するための圧力センサ(10)が両足の下に置かれている。実際、センサの出力信号から足が地面から離れているかどうかが決定されうる。両足が地面から離れている期間が検出された場合は走りが検出される一方、常に少なくとも一方の足が地面に接している場合は歩きが検出される。両足の下の圧力センサを使うことのさらなる利点は、正確さの向上であろう。
【0040】
別の実施形態において、
図2に示すように、一方の足だけに圧力センサ(2)が使われ、他方の足に異なる種類のセンサ(8)がある瞬間に足が地面についているかどうかを決定するために使われる。この異なる種類のセンサは、例えば非常に単純な圧力センサであり、第1の足のセンサと同期しうる。しかしながら、第1のセンサと同じ種類であるが床との接触を検出する状態でのみ使われることもありうる。どのような追加のセンサが第2の足に使われようとも、このような方法の実施形態は、速さ(7)を決定するための適切な相関曲線(61,62)が自動的に選ばれることを可能にする。
【0041】
マスターカーブのような、歩いている又は走っている人の速さと足圧中心速度との相関は、トレッドミル、バイコン(Vicon)(登録商標)又はコーダ(Coda)(登録商標)カメラシステム、速度計、人に持ち運ばれるGPS受信機による測定、又は知られた距離とその距離を進むのにかかった時間とのような知られた動作解析システムを使って、歩いている又は走っている間の足圧中心速度を決定し、歩く又は走る速さを測定して、得ることができる。最後の方法、即ち知られた時間と距離とを使うことは、高度な動作解析システムを利用できない個人にとって好ましいものでありうる。この目的のために、方法に好適な装置は時間の測定と距離の記憶とを実現するような機能性を備えうる。相関は安定であると理解されるので、そのような相関は与えられた製品についてただ1度決定すれば十分であろう。しかしながら、個々の校正はより高い正確さをもたらすと認められる。
【0042】
人の速さを相関から推測することが最後のステップである、即ちこのステップ(7)が他の全てのステップの後に実行されるならば、いくつかのステップは異なる順序で実行されうる。COPゲイトラインを決定し、ゲイトラインからCOP速さを計算するステップと、人が歩いているか走っているかを決定するステップとの両方より前にセンサが配置されなければならないことは明らかである。そこで、最初に人の速さとCOP速さとの相関(6)(マスターカーブ)が得られうる。第2のステップとして圧力センサ(10)が足の底と表面との間に提供されうる。第2のステップの後、足圧中心ゲイトラインが決定され、足圧中心速さがゲイトラインから計算され(4)、人が歩いているか走っているかが検出される(5)。方法の別の実施形態においては、COP速さと歩く又は走る速さとの相関は後に、即ちCOP速さが決定された後に決定される。もちろんこの実施形態は人の速さに関する情報をリアルタイムで提供することはできない。それは解析のみに使われる。
【0043】
人の速さを推測した後に、人が歩いてきた及び走ってきた距離を計算することができる。もし走らなければならない又は歩かなければならない総距離を知っているならば、残りの時間又は距離をも決定することができる。一般に人の速さは常に一定ではないが、これは速さを時間で積分すること、又は速さを十分に高い周波数でサンプリングすることで考慮することができる。同様に、所定の場所に着くまでにかかる時間を予測することも可能である。
【0044】
前述のようなステップの多くは、プログラムできる処理ユニットに速さの導出を実行させるための指示のプログラムを含むソフトウェア製品で実施されることができ、ソフトウェア製品は有形の、例えばDVD、又は無形の、例えばインターネット経由のものである。
そのようなソフトウェア製品は、プログラムできる処理ユニットに、
足圧中心ゲイトライン(3)を決定し、ゲイトラインから足圧中心速さ(4)を計算するステップと、
歩いている又は走っている人の速さと足圧中心速さとの相関(6)から人の速さ(7)を推測するステップと、
を実行させることにとりわけ好適でありうる。ソフトウェア製品は、本文書の他の場所で説明したように、歩いている又は走っている人の速さと足圧中心速さとの相関(6)(例えばマスターカーブ)を得ることに好適でありうる。加えて、ソフトウェア製品は人が歩いているか走っているかを検出し、及び/又は、距離及び/又は時間を計算することにさえ好適でありうる。
【実施例】
【0045】
バイコン(Vicon)(登録商標)動作解析システムが、様々な歩行様式をとるアスリートの動作と、圧電性結晶フォースプレートを備えるランウェイに沿った速さとを捕捉するために使われた。フォースプレートデータから計算される足圧中心位置が、バイコン(Vicon)(登録商標)データから計算される対応する質量中心位置(骨盤の中心であると推定される)に対してプロットされた。データは、多様な走る速さでの1歩の間の時間に、足圧中心速さが質量中心速さと相関があることを示した。
【0046】
実験は、歩く及び走る速さの範囲で連続的にトレッドミル上にいる8人を、圧力中敷きに基づくシステムを使って観測した。中敷きは、
図3に示すように構成した8つのセンサを備えた。このシステムは、ゼファーテクノロジーが提供している容量型圧力検出中敷きと、プロセッサと、無線送信電子ユニットと、受信機と、データ取得ユニットとを備えた。被験者は、4.5km/hから1.5km/hの増分で9km/hへ、自然と走り始めなければならなくなるような速さまで、速さが増すトレッドミルでそれぞれ1分間歩くよう求められた。参加者は、それぞれ歩いた時間ごとに、再び歩く準備ができるまで休むことができた。
【0047】
10km/hから、1km/hの増分でトレッドミル上の速さが参加者がペースを保つことが困難になるような速さまで速さが増加された。参加者が最初に走りの足取りを使い始めた速さが記録された。それぞれの被験者はそれぞれのトレッドミルの速さで30から60秒の間走った。COPが始点から終点へ向かって動いた瞬間が開始時間として定義された。COPがこの瞬間からCOPが終点に到達する瞬間までにかかった時間が総移動時間として使われた。30から60秒の1つのテストの間にそれぞれの参加者によって多くの歩数が費やされた。いずれの場合も、最初の10歩と最後の10歩は、トレッドミルの速さへの慣れと、足取りの選択と、その期間に起こる加速及び減速との効果のために計算に考慮されなかった。残りの歩数は相対的に安定した状態で実行されたと考えられた。
【0048】
中敷き圧力測定から計算されたCOP速度はトレッドミルの速さに対してそれぞれの参加者についてプロットされた。
【0049】
図4に示す走りのデータのグラフは、この異なる8人のグループについてさえCOPとトレッドミルの速さとの明確な相関を示す。
【0050】
テストの間、被験者は遅い速さで歩きもし、速さが楽に走るのに十分だと感じた時に走り始めた。
図3は歩きの足取りのトレッドミルの速さを含む結果のグラフを示す。このグラフにおいて、二つの別々の相関が観察され、一方は歩きの足取りに対応し他方は走りの足取りに対応する。3人は既に歩いた速さにおいて走ることを求められた。
図3は、より一般には歩きと関連する極めて遅い速さでさえ走りの足取りについての関係性が持続することを示す。
【0051】
トラックを走る人に関する実験もまたCOP速さと走る速さとの体系的な関係を示した。COP位置の変化は、支える足に対して人の質量中心(COM、通常胴体中に位置する)の位置の変化に関連しているので、COP速さと走る速さとの関係を説明できると後から理解することによって、発明を限定することなく理論立てることができた。最初に、歩いている又は走っている間に足が初めて地面に接したとき、足はCOMの前方にある。最後に、歩いている又は走っている間に足が地面から離れたとき、足はCOMの後方にある。この全ての間にCOMは前方に動く。これらの時点の間に、COPもまた前方に動く期間がある。最初の接触と離間との近くには、走り方、歩幅、歩調(歩みの頻度)等に依存する異なる動きがあろう。これらの動きはCOMの動きと一貫性のある関係を持たないが、もちろんCOP速度はCOM速度よりも低いが、COMが足の範囲に対して足よりも上のCOMの高さによって許容される距離に渡って動く一方、COPは足の範囲内で動き、ほとんど固定された位置にあるので、少なくとも前方へのCOPの動きの期間の中心部においては、COPの動きとCOMの動きとの間には一貫性のある関係がある。
【0052】
あらゆる状況下の歩き及び走りについて、トレッドミル上でも路上でも、COPの動きの間にCOMの動きが起こる。このようにして、人の速さとCOP速さとの相関が生じる。実験は、少なくとも平均ではこれが計算されたCOP速さと質量中心速さとの一定の関係という結果になるということを裏付ける。歩いている間、両足が地面につく時間があり、一方の足から働く力が他方の足のCOPの位置に影響を及ぼしうるので、歩きについての関係は、走りについてのそれとは異なる。
【0053】
もちろん、個々の歩みの間の通常とは違う体の動きが、個々の歩みにおけるCOP速さが人の速さの正確な決定をもたらさないという効果を持ちうる(歩みはCOP速さが決められる足が地面に接している期間として定義される)。しかし、ほとんどの歩みについて人の速さの正確な決定がされよう。ある実施形態において、個々の歩みに関する不正確さの効果は、複数の歩みについて決められたCOP速さを組み合わせることによって、例えば、複数の歩みのCOP速さの平均値又は中央値をとり、相関を使って人の速さを調べるために、組み合わせた値を使うことによって、減らすことができる。代わりに、複数の歩みについて決められたCOP速さは、人の速さの値を調べるための個々の歩みについてのCOP速さを使うことによって、及びその人の速さの値を組み合わせることによって、例えば平均値又は中央値を取ることによって、組み合わせられうる。
【0054】
人間の速さを決める最後のステップは、マスターカーブを使うことによって、測定された足圧中心速度を速さと関連づけること(即ち、例えばCOP速度を速さに変換すること)である。好ましくはこれは処理ユニットによって自動的になされるが、速さは印刷された又は表示されたマスターカーブから速さを得ることによって手を介して決定されうる。
【0055】
方法の全ての実施形態は、上述したかどうかにかかわらず、歩いている又は走っている人の速さを提供するためのシステムにおいて実施されうる。発明者は、ユーザ、より具体的には走っている又は歩いている人が、活動中に速さを知らされるシステムにとりわけ関心を持った。そのシステムの典型的な実施形態が
図5に示される。システム(30)のこの実施形態は、人の第1の足が支持表面に接しているかどうかを関知するためのセンサ(31)と、靴の中に配置するのに好適な、第2の足の足圧中心を決定するための圧力センサ(32)と、を備える。方法の説明において前に言及したように、このようなセンサはとりわけ、ゲイトラインと続いて足圧中心速さとを決定することに有利であり、大変好適である。特定の実施形態においては、両方のセンサ(31,32)がゲイトラインを決定することに適した圧力センサである。システムは歩いている又は走っている人の速さと足圧中心速さとの相関を記憶するメモリ(33)をさらに備える。このメモリは、より具体的にはシステムの提供者によって、前もって適切なデータをプログラムされ、又は、以下に説明するように、データはユーザによってメモリに記憶されうる。
【0056】
システムは測定された圧力データから足圧中心速さを計算するための処理ユニット(34)をさらに備える。好ましいヒューマンインタフェース(35)、例えばディスプレイは、速さの情報をユーザに提示する。このユーザインタフェースは、しかしながら、例えばヘッドフォン(41)のようなスピーカでもあってもよいし、又はスピーカを備えてもよい。走りながら読むことは聞くことに比べてより面倒なので、音響的提示は好ましい。音響的提示のために、システムは計算された速さを人間の言語の文に変換するための電子音声ユニットを備えうる。もしユーザが速さの正確な値に興味がないならば、光学的提示は例えば発光ダイオード(LED)の数の形を取り、点灯したLEDの数が速さを示す。同様の方法で、音響的提示は周波数が速さに伴って上昇する音のパルスの形を取りうる。
【0057】
前述のように、相関データは、例えばデジタル記録装置上に恒久的に、又は一時的に、システムの提供者によってメモリに記憶されうる。相関データは無線で又はインターネットを通じて提供もされうる。しかしながら、システムはユーザによるプログラミングのために構成もされうる。この目的のために、システムは例えばユーザがデータをメモリ又は処理ユニットに導入すること、そうでなければシステムに指示をすることを可能にするためのキー(42)又は音声記録手段を備えうる。ユーザは、例えばそこから処理ユニットが速さを計算する知られた距離を導入しうる。様々な走る又は歩く速さについてこの手順を繰り返すことによって、ユーザは質量中心速さと足圧中心速さとの関係についての自身のマスターカーブを作ることができる。
【0058】
さらに、処理ユニットとヒューマンインタフェースとは、走ってきた又は歩いてきた距離、又は例えば総距離が導入された場合には、残りの距離を計算し、表示するように構成されうる。
【0059】
メモリ、処理ユニット及びヒューマンインタフェースは、例えばベルト又は腕バンド(43)によって人に取り付けられうる1つの装置(45)に組み込まれうる。この装置は電源のための電池又は例えば太陽電池を備えうる。
【0060】
要約すると、発明の実施形態は、人の第1の足と支持表面との間の少なくとも1つの圧力センサを使い、さらに歩く又は走る速さと足圧中心速さとの相関(6)を使って、歩いている又は走っている人の速さを足の動作から決定する方法を提供し、その方法は、
足圧中心ゲイトライン(3)を決定し、足圧中心速さ(4)をゲイトラインから計算することと、
足圧中心速さ(4)と、足圧中心速さとの相関とから人の速さ(7)を導き出すことと、
を備える。足圧中心ゲイトラインは、例えば、その位置で測定されたそれぞれの圧力に比例する重みで重み付けられた足又は靴底上の位置の平均である、足圧中心の計算された一連の位置でありうる。
さらなる実施形態においては、方法は、
人が歩いているか走っているか(5)を検出することと、
足圧中心速さ(4)と、足圧中心速さと検出された歩く又は走る速さのうちの1つとの相関とから人の速さ(7)を導き出すことと、
をさらに備える。
どちらの実施形態においても、例えば足の前方への足圧中心速さ(4)が第1の閾値を超え始める第1の時点から、足の前方への足圧中心速さ(4)が第2の閾値を超えなくなる第2の時点の期間における足圧中心の変位で、足圧中心速さ(4)が計算されうる。第1及び第2の閾値は0でもよいので、第1及び第2の時点はCOPの前方への動きの始点及び終点でありうる。例えば、時間の関数としての足圧中心にあてはめられた関数の係数から、足圧中心速さ(4)が計算されてもよい。コンピュータによって実行されたときに、コンピュータに方法のステップを実行させる、プログラム可能なコンピュータのための指示のプログラム備えるコンピュータプログラム製品が提供されうる。
【0061】
例えばヒューマンユーザインタフェースを通して(例えばディスプレイ上で)ユーザに速さを表示する信号を生成するために、導き出された速さが使われうる。さらなる実施形態において、歩く又は走る速さの一方との相関のみが提供され(例えば走りについてのみ)、歩き及び走りの一方が検出された場合のみ、相関を使って速さが導き出される(又は信号を生成するために使われる)。
【0062】
別のさらなる実施形態において、歩く速さと足圧中心速さとの第1の相関と、歩く速さと足圧中心速さとの第2の相関が提供され、もし人が歩いていることが検出されたならば第1の相関を使って、もし人が走っていることが検出されたならば第2の相関を使って、人の速さ(7)が導き出される。
【0063】
人が歩いているか走っているかの検出(5)は、例えば人が両足を地面に接する期間があるかどうかを検出することによって実行されうる。例えば人の歩く又は走る速さと足圧中心速さとを関連づけるマスターカーブを表す記憶されたデータに、相関が提供されうる。ある実施形態において、方法は所定の相関を使って相関を得ることを備える。別の実施形態において、方法は、校正段階中の人(例えば後に歩く又は走る速さを導き出すために相関が使われる人、又は異なる人)の足圧中心速さ(4)を決定し、校正段階中の人の速さを測定することによって相関を得るステップを有する校正段階を備える。
【0064】
ある実施形態において、複数の歩みについて決められた足圧中心速さの組み合わせが(足が地面についている期間、例えば3又はより多くの歩数に渡って)、相関を使って人の速さを決定するために使われうる。この方法において、個々の歩みの外乱の影響は減らされうる。
【0065】
さらに、ある実施形態は、歩いている又は走っている人の速さを決定するためのシステム(30)を提供し、そのシステムは、
人の第1の足の足圧中心を決定するために圧力を測定するための圧力センサ(32)と、
歩いている又は走っている人の速さと足圧中心速さとの相関を記憶するためのメモリ(33)と、
圧力センサ(32)の測定結果から足圧中心速さを計算し、計算された足圧中心速さと相関とから歩いている又は走っている人の速さを導き出すように構成された処理ユニット(34)と、
を備える。
処理システムは説明された方法の実施形態の一つ又はそれ以上を実行するように構成されうる。ここで使われた「構成される」という語は、処理ユニット(34)が、処理ユニットに実行するように構成された動作を実行させるプログラム、同様のことをさせる回路、又はその両方の混合を有することを意味する。処理ユニットは機能を実行するための一つ又は複数のプロセッサを備えうる。さらなる実施形態においては、処理ユニットは複数の歩みについて決定された足圧中心速さの組み合わせから速さを計算するように構成されうる。システムは、その上又はその中に圧力センサ(32)が提供された靴を備えうる。
【0066】
さらなる実施形態において、システムは導出された速さ(35)を提示するためのディスプレイ又は音響出力のようなヒューマンインタフェースを備えうる。さらなる実施形態において、システムは人の第2の足が支持表面に接触しているかどうかを検出するための追加のセンサ(31)を備えうる。処理ユニット(34)は、追加のセンサ(31)の出力によって、例えば両足を地面に付ける期間があるかどうかによって(追加のセンサの出力と、圧力センサ(32)によって検出された圧力とによって示されるように)、人が歩いているか走っているかを検出するように構成されうる。
【0067】
さらなる実施形態において、歩く又は走る速さの一方との相関のみが提供され(例えば走りについてのみ)、歩き及び走りの一方が検出された場合のみ、相関を使って速さが導き出される(又は信号を生成するために使われる)。別のさらなる実施形態において、歩く速さと足圧中心速さとの第1の相関と、歩く速さと足圧中心速さとの第2の相関とが提供され、もし人が歩いていることが検出されたならば第1の相関を使って、もし人が走っていることが検出されたならば第2の相関を使って、人の速さ(7)が導き出される。