(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0012】
本発明者は、前述した課題を解決するために、鋭意実験検討を行った結果、以下に示す知見を得た。前述した防水シートの接合部における塗装面の黄変は、塗料に含まれる成分と、ブチルゴム粘着テープ中の加硫促進剤とが反応し、この反応によって生成された化合物が紫外線の照射により黄変することにより生じる。
【0013】
この黄変を防止する方法としては、加硫促進剤を変更することが考えられるが、黄変を生じない加硫促進剤を選択すると、ブチルゴムテープの常温での硬化反応性が低下するという新たな課題が生じる。なお、ここでいう「硬化反応」とは、ブチルゴムが自然加硫により架橋し、ブチルゴムテープの強度が向上する現象である。
【0014】
そこで、本発明者は、ブチルゴム粘着テープに配合する加硫促進剤について更に検討を行い、チアゾール化合物又はスルフェンアミド化合物を使用することにより、常温での硬化反応性を低下させずに、防水シート塗装面の紫外線による黄変が抑えられることを見出し、本発明に至った。
【0015】
本発明の実施形態に係る防水シート接合用粘着テープ(以下、単に粘着テープという。)は、ブチルゴム100質量部に対して、カーボンブラック20〜50質量部と、酸化亜鉛1〜10質量部と、チアゾール化合物及びスルフェンアミド化合物から選択される少なくとも1種の加硫促進剤を合計で0.1〜10質量部が配合されている。また、本実施形態の粘着テープには、無機充填剤、可塑剤及び粘着性付与剤等が配合されていてもよい。
【0016】
[ブチルゴム:100質量部]
本実施形態の粘着テープに配合されるブチルゴム(イソブチレン・イソプレン共重合体)としては、非架橋タイプの一般的なブチルゴム、部分的な架橋構造を有する部分架橋ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム等が挙げられる。また、タイヤのゴムチューブの熱分解品を用いた再生ブチルゴムを使用してもよい。各種ブチルゴムの中でも、特に、テープの外観に優れる非架橋タイプのブチルゴムが好ましい。
【0017】
ブチルゴムは、JIS K6300で規定されるムーニー粘度が20〜60であるものが好ましく、ムーニー粘度が30〜50のものがより好ましい。ムーニー粘度が20以上のブチルゴムを使用することで、粘着テープの形状を好適に保持することができる。また、ムーニー粘度が60以下のブチルゴムを使用すると、可塑剤の使用量を低減することが可能となるため、粘着テープからの可塑剤のブリードを抑えることができる。
【0018】
[カーボンブラック:20〜50質量部]
本実施形態の粘着テープに配合されるカーボンブラックとしては、「カーボンブラック便覧(カーボンブラック協会編、1995年発行)」に記載されているSAF、ISAF、HAF、MAF、FEF、GPF、SRF等が挙げられる。これらのカーボンブラックは単独で使用してもよく、また、2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0019】
カーボンブラックの配合量は、ブチルゴム100質量部に対して、20〜50質量部である。カーボンブラックの配合量が、ブチルゴム100質量部あたり20質量部未満の場合、粘着テープの形状保持性が低下する。一方、カーボンブラックの配合量が、ブチルゴム100質量部あたり50質量部を超えると、防水シートを接合する際の粘着性が低下する。なお、カーボンブラックの配合量は、ブチルゴム100質量部あたり、30〜40質量部とすることが好ましく、これにより粘着テープの形状保持性及び粘着性を向上させることができる。
【0020】
本実施形態の粘着テープに配合されるカーボンブラックは、比表面積が40〜130m
2/gであることが好ましい。カーボンブラックの比表面積を40m
2/g以上とすることにより、粘着テープの形状を好適に保持することが可能となる。また、カーボンブラックの比表面積を130m
2/g以下とすることにより、防水シートを接合する際の粘着性を向上させることができる。なお、カーボンブラックの比表面積は、JIS K6217−2(窒素吸着法)により求めることができる。
【0021】
[酸化亜鉛:1〜10質量部]
本実施形態の粘着テープは、常温にて硬化が進行する。この硬化はブチルゴムのイソプレン部位の架橋反応によって進行するが、イソプレンゴムの常温での架橋には、酸化亜鉛が不可欠である。本実施形態の粘着テープには、JIS K1410の1〜3種を満たしているものであれば、いずれの酸化亜鉛も使用することができる。
【0022】
酸化亜鉛の配合量は、ブチルゴム100質量部に対して、1〜10質量部である。酸化亜鉛の配合量が、ブチルゴム100質量部あたり1質量部未満の場合、粘着テープの常温硬化性が低下する。一方、酸化亜鉛の配合量が、ブチルゴム100質量部あたり10質量部を超えると、粘着テープの貯蔵安定性が低下する。なお、酸化亜鉛の配合量は、ブチルゴム100質量部あたり、4〜6質量部とすることが好ましく、これにより、粘着テープの常温硬化性及び貯蔵安定性を向上させることができる。
【0023】
[加硫促進剤:合計で0.1〜10質量部]
加硫促進剤には、チアゾール化合物及びスルフェンアミド化合物から選択される少なくとも1種類の加硫促進剤を使用する。これらの加硫促進剤を使用することにより、本実施形態の粘着テープを用いて防水シートを接合した際に、防水シート塗装面の紫外線による黄変を抑えることができる。
【0024】
ここで、チアゾール系加硫促進剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾール及びその塩、2−(4’−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール、ジ−2−ベンゾチアジルジスルフィド、2−(N,N−ジエチルカルバモイルチオ)ベンゾチアゾール等が挙げられる。また、スルフェンアミド系加硫促進剤としては、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド等が挙げられる。
【0025】
これらの化合物の中でも、硬化性及び塗装面の黄変抑制の観点から、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジ−2−ベンゾチアジルジスルフィド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドが好ましく、特に、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジ−2−ベンゾチアジルジスルフィド及びN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドの3種の組み合わせが好ましい。
【0026】
加硫促進剤の配合量は、ブチルゴム100質量部に対して0.1〜10質量部である。加硫促進剤の配合量がブチルゴム100質量部あたり0.1質量部未満の場合、粘着テープの常温での硬化性が低下する。一方、加硫促進剤の配合量がブチルゴム100質量部あたり10質量部を超えると、粘着テープの貯蔵安定性が低下する。なお、加硫促進剤の配合量は、ブチルゴム100質量部あたり1〜5質量部とすることが好ましく、これにより、粘着テープの常温硬化性及び貯蔵安定性を向上させることができる。
【0027】
[無機充填剤]
本実施形態の粘着テープには、前述した各成分に加えて、粘着テープの強度向上等の目的で、無機充填剤が配合されていてもよい。本実施形態の粘着テープに配合される無機充填剤としては、シリカ、クレー、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン等が挙げられる。これらの無機充填剤の中でも、特に、テープ中での分散性に優れるクレー又は炭酸カルシウムが好ましい。なお、前述した無機充填剤は、単独で配合されていてもよく、2種以上を組み合わせて配合されていてもよい。
【0028】
無機充填剤の配合量は、その種類、形状及び粒子径に依存するが、ブチルゴム100質量部に対して、100〜250質量部であることが好ましく、より好ましくは150〜200質量部である。無機充填剤を、ブチルゴム100質量部あたり100質量部以上配合することで、粘着テープの形状を好適に保持することができる。一方、無機充填剤を過剰に配合すると、粘着テープ中での分散性が低下するため、無機充填材を配合する場合は、ブチルゴム100質量部あたり250質量部以下にすることが好ましい。
【0029】
[可塑剤]
本実施形態の粘着テープには、前述した各成分に加えて、粘着テープの成形性向上等の目的で、可塑剤が配合されていてもよい。本実施形態の粘着テープに配合される可塑剤としては、ナフテン系プロセスオイル、パラフィン系プロセスオイル、フタル酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤等が挙げられる。これらの可塑剤の中でも、ブチルゴムとの相溶性の観点から、ナフテン系プロセスオイルが好ましい。これらの可塑剤は単独で配合してもよく、また、2種以上組み合わせて配合することもできる。
【0030】
可塑剤の配合量は、ブチルゴム100質量部に対して、10〜40質量部であることが好ましく、より好ましくは15〜30質量部である。可塑剤を、ブチルゴム100質量部あたり10質量部以上配合することで、粘着テープの防水シートへの追従性が向上する。一方、可塑剤を過剰に配合すると、粘着テープの接着強度が低下することがあるため、可塑剤を配合する場合は、ブチルゴム100質量部あたり40質量部以下とすることが好ましい。
【0031】
[粘着性付与剤]
本実施形態の粘着テープには、前述した各成分に加えて、被着体に対する粘着性向上等の目的で、粘着性付与剤が配合されていてもよい。本実施形態の粘着テープに配合される粘着性付与剤としては、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂等のテルペン樹脂、スチレン樹脂、ポリブテン、アルキルフェノール等が挙げられる。これらの粘着性付与剤の中でも、ブチルゴムとの相溶性の観点から、テルペン樹脂、ポリブテン、アルキルフェノールが好ましい。これらの粘着性付与剤は単独で配合してもよく、また、2種以上組み合わせて配合することもできる。
【0032】
粘着性付与剤の配合量は、ブチルゴム100質量部に対して、50〜150質量部であることが好ましく、80〜130質量部であることがより好ましい。粘着性付与剤を、ブチルゴム100質量部あたり50質量部以上配合することにより、粘着テープの粘着性を向上させることができる。一方、粘着性付与剤を過剰に配合すると、粘着テープ製造時に混練物が混練装置からの排出しにくくなるため、粘着性付与剤を配合する場合は、ブチルゴム100質量部あたり150質量部以下とすることが好ましい。
【0033】
[その他の成分]
本実施形態の粘着テープには、前述した各成分以外の成分が配合されていてもよい。本実施形態の粘着テープに配合されるその他の成分としては、硫黄等の加硫剤、スコーチ防止剤、分散剤、離型剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、老化防止剤等が挙げられる。
【0034】
[製造方法]
本実施形態の粘着テープは、例えば原料を配合し混練する工程と、混練物をテープ化する工程により製造することができる。配合原料の混練は、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、オープンニーダー等の公知の混練機を使用することができる。また、加硫促進剤の分解が生じないように、加硫促進剤を添加した後は120℃以下の温度で混練することが好ましい。
【0035】
一方、テープ化は、ダイス部に所定の形状の口金を備えた押出機に、混練した配合原料を投入してテープ化する方法、又は、カレンダーロール等に混練した配合原料を投入し、所定の厚みに加工後、スリッター等の裁断機により所望の幅に加工する方法を適用することができる。
【0036】
本実施形態の粘着テープは、加硫促進剤としてチアゾール化合物及び/又はスルフェンアミド化合物を用いているため、防水シート塗装面の紫外線による黄変を抑制することができ、常温硬化性及び貯蔵安定性にも優れている。そして、本実施形態の粘着テープを用いて防水シート同士を接合することにより、表面に塗料が塗布されても、紫外線による黄変を生じることのない防水シート接合体を得ることができる。本実施形態の粘着テープを用いた防水シート接合体は、意匠性に優れるため、ビルの屋上、屋外プール、貯水層等の防水用に長期間使用することができる。
【実施例】
【0037】
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本実施例においては、カーボンブラック及び加硫促進剤の種類や配合量を変えて実施例及び比較例の粘着テープを作製し、その性能を評価した。
【0038】
<
参考例1>
(A)ブチルゴム100質量部に対して、(B)無機充填剤170質量部、(C)カーボンブラック35質量部、(D)可塑剤20質量部を、5L加圧ニーダーに投入し、120℃で1時間混練した。その後、(E)粘着性付与剤125質量部、(F)酸化亜鉛5質量部、(G)加硫促進剤1.0質量部を添加し、非加圧下80℃で30分間混練することにより粘着テープ用コンパウンドを作製した。このコンパウンドを、スクリュー径70mmφのベント付き押出機に投入し、70℃にて幅80mm、厚さ1.0mmのテープ形状に押出することにより
参考例1の粘着テープを作製した。
(以下実施例1は参考例1と読み替える。)
【0039】
(使用原料)
(A)ブチルゴム
日本ブチル社製「ブチル268」(ムーニー粘度51、ML1+8、125℃)
(B)無機充填剤
クレー:群馬長石御座入鉱山社製「FA80」
炭酸カルシウム:東洋電化工業社製「トヨライトC」
(C)カーボンブラック
旭カーボン社製「旭#80」(比表面積115m
2/g)
(D)可塑剤
ナフテン系プロセスオイル:出光興産社製、「ダイアナ(登録商標)プロセルオイルNP−24」
(E)粘着性付与剤
テルペン樹脂:ヤスハラケミカル社製「PX300N」
アルキルフェノール樹脂:日立化成社製「ヒタノール(登録商標)1501」
ポリブテン:BP JAPAN社製「H−300」
ポリブテン:日石ポリブテン社製「LV−100」
(F)酸化亜鉛
堺化学工業社製「第3種酸化亜鉛」
(G)加硫促進剤
チアゾール系加硫促進剤:ジ−2−ベンゾチアジルジスルフィド、大内新興化学工業社製「ノクセラー(登録商標)DM−P」
【0040】
<
参考例2>
(G)加硫促進剤を、チアゾール系の加硫促進剤(チアゾール系加硫促進剤:2−メルカプトベンゾチアゾール、大内新興化学工業社製「ノクセラー(登録商標)M」)に変更した以外は、
参考例1と同様の方法及び条件で、
参考例2の粘着テープを作製した。
(以下実施例2は参考例2と読み替える。)
【0041】
<
参考例3>
(G)加硫促進剤を、スルフェンアミド系の加硫促進剤(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業社製「ノクセラー(登録商標)CZ−G」)に変更した以外は、
参考例1と同様の方法及び条件で、
参考例3の粘着テープを作製した。
(以下実施例3は参考例3と読み替える。)
【0042】
<実施例4〜7>
実施例1〜3で使用した(G)加硫促進剤を3種併用すると共に、硫黄(日本乾溜工業社製「セイミOT」)を配合し、それ以外は、実施例1と同様の方法及び条件で、実施例4〜7の粘着テープを作製した。
【0043】
<実施例8、9>
(C)カーボンブラックを、「旭#60」(旭カーボン社製、比表面積:40m
2/g)又は「旭#50」(旭カーボン社製、比表面積:23m
2/g)に変更した以外は、実施例1と同様の方法及び条件で、実施例8、9の粘着テープを作製した。
【0044】
<実施例10〜12>
(C)カーボンブラック「旭#80」の配合量を変更した以外は、実施例1と同様の方法及び条件で、実施例10〜12の粘着テープを作製した。
【0045】
<
参考例13、14>
(G)加硫促進剤の配合量を変更した以外は、
参考例1と同様の方法及び条件で、
参考例13、14の粘着テープを作製した。
(以下実施例13は及び14はそれぞれ参考例13及び14と読み替える。)
【0046】
<比較例1>
(G)加硫促進剤を、アルデヒドアミン系の加硫促進剤「ノクセラー(登録商標)8N」(n−ブチルアルデヒドアニリン、大内新興化学工業社製)1.0質量部に変更した以外は、実施例1と同様の方法及び条件で比較例1の粘着テープを作製した。
【0047】
<比較例2>
(G)加硫促進剤を、ジチオカルバミン酸塩系の加硫促進剤「ノクセラー(登録商標)BZ−P」(ジチオカルバミン酸亜鉛、大内新興化学工業社製)1.0質量部に変更した以外は、実施例1と同様の条件及び方法で比較例2の粘着テープを作製した。
【0048】
<比較例3>
(G)加硫促進剤を、チウラム系の加硫促進剤「ノクセラー(登録商標)TT」(テトラメチルチウラムジスルフィド、大内新興化学工業社製)1.0質量部に変更した以外は、実施例1と同様の方法及び条件で比較例3の粘着テープを作製した。
【0049】
<比較例4>
比較例1〜3で使用した(G)加硫促進剤を3種併用し、それ以外は実施例1と同様の方法及び条件で比較例4の粘着テープを作製した。
【0050】
<比較例5>
酸化亜鉛を配合しなかった以外は、実施例1と同様の方法及び条件で比較例5の粘着テープを作製した。
【0051】
<比較例6>
(C)カーボンブラックを配合しなかった以外は、実施例1と同様の方法及び条件で比較例6の粘着テープを作製した。
【0052】
(粘着テープの評価)
前述した方法で作製した実施例1〜14及び比較例1〜6の粘着テープについて、以下に示す方法で、硬化性、貯蔵安定性及び耐黄変性を評価した。
図1は硬化性及び耐黄変性の評価に用いた試験片を示す模式図である。
【0053】
[硬化性(引張剪断接着強さ)]
硬化性の評価には
図1に示す試験片を用いた。具体的には、厚さ1.0mmのエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)製防水シート(以下、単に防水シートという。)を、長さ100mm、幅25mmの形状に裁断した2枚の防水シート3a,3bを準備し、それぞれ一方の面の端部から25mmまでの位置に、プライマー4a,4bとしてクロロプレンゴム系溶剤型接着剤(コニシ社製 「G10L」)を塗布した。
【0054】
常温にて30分間風乾後、一方の防水シート3bのプライマー4b塗布面に、25mm四方に裁断した粘着テープ5を載せ、他方の防水シート3aのプライマー4a塗布面と重ね合わせた。重ね合わせ部(接合部1)をハンドローラーにて圧延し、接着試験片を得た。得られた接着試験片を80℃に調整したオーブン(タバイエスペック社製 「RL−0680−J」)に30日間暴露後、23±2℃、相対湿度50%の環境にて引張速度10mm/分で引張剪断接着強さを測定した。
【0055】
引張剪断接着強さは、数値が高いほど硬化性に優れると判断される。本実施例では、暴露前の値が0.05MPa以上で、かつ、暴露後の値が0.30MPa以上のものを合格とした。
【0056】
[貯蔵安定性(ループタック)]
実施例及び比較例の各粘着テープを、40℃に調整したオーブンにて60日間暴露した。オーブンより取り出した後、粘着テープを長さ250mm、幅25mmの形状に裁断し、これを円周状治具外周に巻きつけた。続いて、23±2℃、相対湿度50%の環境にて、粘着テープと下方に設置した防水シートとを10秒間接触させた後、引張試験機(島津製作所社製 「AG−Xplus」)にて速度500mm/分で垂直に引き上げ、このときの引き剥がし荷重を求めた。
【0057】
引き剥がし荷重は、大きいほど、粘着性に優れると判断され、また、暴露前後の引き剥がし荷重の値に変化が少ないほど、貯蔵安定性に優れると判断される。本実施例では、暴露前の各粘着テープについても同様の方法で引き剥がし荷重を測定し、暴露後での差(暴露前の引き剥がし荷重−暴露後の引き剥がし荷重)が0.4N/25mm以下のものを合格とした。
【0058】
[耐黄変性(ΔE)]
引張剪断接着強さの測定に用いた
図1に示す試験片10のゴムシート表面に、水性アクリル系塗料(アトミクス社製 「アトレーヌ水性シルバー」)を塗装し、その塗装面2に紫外線を照射した。紫外線の照射は、サンシャインウエザオメーター(スガ試験機社製 「S80」)を用いて、63℃シャワー有りの条件下で、352時間行った。
【0059】
そして、紫外線照射前後の各試料片10の塗装面2の色差(ΔE)を、コニカミノルタ社製色差計「CR−400」を使用し測定した。その結果、色差(ΔE)が1.0未満であったものを「優」、色差(ΔE)が1.0以上2.0未満であったものを「良」、色差(ΔE)が2.0以上3.0未満であったものを「可」、色差(ΔE)が3.0以上であったものを「不可」として、耐黄変性を評価した。
【0060】
以上の結果を下記表1〜3にまとめて示す。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】
上記表3に示すように、本発明の範囲から外れる比較例1〜4の粘着テープは、防水シート接合部に黄変が観察され、耐黄変性に劣っていた。なお、比較例5及び比較例6の粘着テープは、硬化性に劣っていたため、耐黄変性の評価は行わなかった。
【0065】
これに対して、上記表1及び表2に示すように、本発明の範囲内で作製した実施例1〜14の粘着テープは、硬化性及び貯蔵安定性に優れており、更に、表面に塗料が塗布されても紫外線照射により黄変せず、耐黄変性にも優れていた。