(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5955897
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】ジャンパースリーブカバー用クリップ
(51)【国際特許分類】
H02G 7/00 20060101AFI20160707BHJP
H02G 7/20 20060101ALI20160707BHJP
H02G 1/02 20060101ALI20160707BHJP
【FI】
H02G7/00
H02G7/20
H02G1/02
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-140547(P2014-140547)
(22)【出願日】2014年7月8日
(65)【公開番号】特開2016-19360(P2016-19360A)
(43)【公開日】2016年2月1日
【審査請求日】2015年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】河野 剛
(72)【発明者】
【氏名】横段 幸男
【審査官】
石坂 知樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−263664(JP,A)
【文献】
特開2013−162734(JP,A)
【文献】
特開2002−233014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 7/00
H02G 1/02
H02G 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈曲自在なヒンジ部を一端部側に有し、他端部側を開閉自在に構成した一対の箱状の絶縁ケースを備え、これらの絶縁ケースがジャンパー線を導入するコーン部を両端部に有すると共に、一対の前記ジャンパー線を接続するジャンパースリーブを内部に配置したジャンパースリーブカバーが容易に開かないようにするジャンパースリーブカバー用クリップであって、
一対の前記絶縁ケースの外周を挟持できるように、基端部が互いに連結した底部から延びて対向配置された、弾性変形が自在な一対の挟持片と、
一対の前記挟持片の底部と反対側に位置する一対の前記挟持片の先端部側を互いに内側に向かって屈曲させた後に、反転するように互いに外側に向かって湾曲した半円弧状の湾曲片と、を備え、
前記絶縁ケースの他端部側から一対の前記湾曲片を押圧すると、一対の前記挟持片の先端部側を開き、
一対の前記挟持片の底部が前記絶縁ケースの他端部側に到達すると、一対の前記絶縁ケースの少なくとも他端部側を挟持すると共に、当該絶縁ケースから脱落困難に一対の前記挟持片の先端部側を閉じ、
前記ジャンパースリーブカバーは、前記ヒンジ部と反対側に突出し、対向面が互いに当接できる一組の施錠片であって、一対の開閉腕を先端部に有する絶縁操作棒で把持できる施錠片を前記コーン部に有し、
一対の前記挟持片は、
前記底部側に切り欠かれ、前記施錠片と干渉しないように前記施錠片を逃げる逃げ部と、
一方の側部から内側に屈曲し、前記コーン部の側面に当接自在な複数の規制片と、有するジャンパースリーブカバー用クリップ。
【請求項2】
一対の前記挟持片の底部から突出し、一対の開閉腕を先端部に有する絶縁操作棒で把持できる把持片を更に備える請求項1記載のジャンパースリーブカバー用クリップ。
【請求項3】
絶縁性を有する合成樹脂で少なくとも一対の前記挟持片及び前記湾曲片を一体成形している請求項1又2記載のジャンパースリーブカバー用クリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジャンパースリーブカバー用クリップに関する。特に、電柱間で離隔した架空配電線を電気的に接続するジャンパー線をその被覆が剥離された芯線を圧縮により接続したジャンパースリーブを覆う開閉式のジャンパースリーブカバーが容易に開かないようにするジャンパースリーブカバー用クリップの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
架空配電線は、一般に電柱に架設されている。この場合、一組の架空配電線の端末が耐張碍子を介して、電柱に固定された腕金に絶縁支持されている。そして、一方の架空配電線の端末に接続したジャンパー線と、他方の架空配電線の端末に接続したジャンパー線とを、円筒状の圧縮スリーブで電気的に接続している。この圧縮スリーブは、露出させた状態では、感電の心配があるので、ジャンパースリーブカバーと呼ばれる絶縁ケースで覆っている。
【0003】
架空配電線を停電状態で配電工事を行う場合において、架空配電線への誤通電などから感電を防止するため、間接活線工事用の接地短絡器具(アースフック)を用いて、架空配電線を接地短絡している。これにより、作業者の安全を確保できる。より具体的には、アースフックを架空配電線に導通させ、アースフックから延出したアース線の末端に設けた接地極を地中に埋設することで、架空配電線を接地短絡している。
【0004】
ところで、架空配電線及びジャンパー線は、絶縁被覆されているため、アースフックを導通させることが困難であった。そこで、ジャンパースリーブを外周方向から覆う円筒状のカバー本体と、ジャンパースリーブを外周方向から覆うと共に、カバー本体とスライド自在に着脱できるスライド蓋とで、ジャンパースリーブカバーを構成し、カバー本体からスライド蓋を取り外したときは、カバー本体の内部に配置されたジャンパースリーブをアースフックで把持することが容易なジャンパースリーブカバーが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−162734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図5は、従来技術によるジャンパースリーブカバーの構成を示す斜視図である。
図6は、従来技術によるジャンパースリーブカバーの構成を示す正面図であり、カバー本体からスライド蓋を取り外した状態図である。本願の
図5は、特許文献1の
図1に相当し、本願の
図6は、特許文献1の
図2に相当している。
【0007】
図5を参照すると、電柱Pには、一組の腕金A・Aが水平状態に配置されている。これらの腕金A・Aは、図示しないバンド金具を用いて、電柱Pに固定されている。一組の架空配電線(以下、電線と略称する)Wは、それらの端末が耐張碍子Siを介して、腕金Aに絶縁支持されている。
【0008】
図5を参照すると、一方の電線Wは、その端末にジャンパー線Wjを分岐接続している。同様に、他方の電線Wは、その端末にジャンパー線Wjを分岐接続している。そして、これらのジャンパー線Wj・Wjの端末同士を圧縮スリーブ(図示せず)で電気的に接続している。ジャンパースリーブカバー(以下、スリーブカバーと略称する)9は、圧縮スリーブを覆うことで、感電を防止している。
【0009】
図6を参照すると、スリーブカバー9は、絶縁性を有する円筒状のカバー本体91と絶縁性を有する円筒状のスライド蓋92で構成している。カバー本体91は、外周方向から矩形に切り欠いた窓91wを中央部に形成している。窓91wを介して、円筒状の圧縮スリーブ(図示せず)をカバー本体91の内部に配置できる。スライド蓋92は、外周の一部が切り欠かれている。
【0010】
又、
図6を参照すると、カバー本体91は、外側に向かって縮径した一対の円錐体状のコーン部91c・91cを両端部に形成している。コーン部91cには、ジャンパー線Wj(
図5参照)を挿通できる貫通穴91hを開口している。ジャンパー線Wjを貫通穴91hに挿通し、被覆を剥離したジャンパー線Wjの芯線を図示しない圧縮スリーブで圧縮することで、一組のジャンパー線Wj・Wjを電気的に接続できる。
【0011】
図6を参照すると、カバー本体91は、外周方向に部分的に突出した凸部91tを有している。凸部91tは、
図6の紙面の奥側にも形成されている。一方、スライド蓋92は、凸部91tに嵌合する凹溝92dを内壁に形成している。
【0012】
図6を参照して、スライド蓋92の外壁に形成された取っ手92nを一対の開閉腕を先端部に有する絶縁操作棒(図示せず)で把持し、カバー本体91の外周方向から押し込んだ後に、スライド蓋92を軸方向にスライドすることで、圧縮スリーブを覆うことができる。一方、カバー本体91からスライド蓋92を取り外した状態では、一対の把持爪を有するアースフック(図示せず)を用いて、窓91wを介して、圧縮スリーブをその外周方向から把持できる。
【0013】
又、
図7は、一般的なジャンパースリーブカバーの装柱図である。
図7を参照すると、一組の電線W・Wは、それらの端末が耐張碍子Siを介して、腕金Aに絶縁支持されている。一方の電線Wは、引下線Weを分岐している。又、一方の電線Wは、その端末にジャンパー線Wjを分岐接続している。他方の電線Wは、その端末にジャンパー線Wjを分岐接続している。ジャンパー線Wjは、その中央部がピン碍子Piに支持されている。ピン碍子Piは、腕金Aに固定されている。そして、図示しない圧縮スリーブを用いて、これらのジャンパー線Wj・Wjの端末同士を電気的に接続している。スリーブカバー7は、圧縮スリーブを覆うことで、感電を防止している。
【0014】
一般に、スリーブカバー7は、一端部側をヒンジ部で屈曲自在に連結し、一端部側と反対側の他端部側を開閉自在とした一対の絶縁ケースで構成している。特許文献1によるスリーブカバー9は、内部に配置された圧縮スリーブをアースフックで把持することが容易であるが、その用途が限定されている。
【0015】
一方、市販されている上述した一般的なスリーブカバー7は、一対の絶縁ケースの他端部側をホックと係合穴で係合して閉じているが、スリーブカバー7を長期間使用していると、ジャンパー線の振動などで一対の絶縁ケースの他端部側が開き易いという問題があった。このため、圧縮スリーブが露出する心配があった。又、一対の絶縁ケースの開いた通電部で蛇・からすなどの害獣が感電する心配があった。
【0016】
ジャンパースリーブを覆う開閉式のジャンパースリーブカバーが容易に開かないようにする、間接活線工事用のジャンパースリーブカバー用クリップが求められていた。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0017】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、ジャンパースリーブを覆う開閉式のジャンパースリーブカバーが容易に開かないようにする間接活線工事用のジャンパースリーブカバー用クリップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者らは、ジャンパースリーブカバーの外周を挟持するために、底部から延びて、対向配置された弾性変形が自在な一対の挟持片と、底部と反対側に位置する一対の挟持片の先端部側を互いに内側に向かって屈曲させた後に、反転するように互いに外側に向かって湾曲した半円弧状の湾曲片と、でジャンパースリーブカバー用クリップを構成し、ジャンパースリーブカバーの他端部側からジャンパースリーブカバー用クリップを導入することで、ジャンパースリーブカバーが容易に開かないようにできると考え、これに基づいて、以下のような新たなジャンパースリーブカバー用クリップを発明するに至った。
【0019】
(1)本発明によるジャンパースリーブカバー用クリップは、屈曲自在なヒンジ部を一端部側に有し、他端部側を開閉自在に構成した一対の箱状の絶縁ケースを備え、これらの絶縁ケースがジャンパー線を導入するコーン部を両端部に有すると共に、一対の前記ジャンパー線を接続するジャンパースリーブを内部に配置したジャンパースリーブカバーが容易に開かないようにするジャンパースリーブカバー用クリップであって、一対の前記絶縁ケースの外周を挟持できるように、基端部が互いに連結した底部から延びて対向配置された、弾性変形が自在な一対の挟持片と、一対の前記挟持片の底部と反対側に位置する一対の前記挟持片の先端部側を互いに内側に向かって屈曲させた後に、反転するように互いに外側に向かって湾曲した半円弧状の湾曲片と、を備え、前記絶縁ケースの他端部側から一対の前記湾曲片を押圧すると、一対の前記挟持片の先端部側を開き、一対の前記挟持片の底部が前記絶縁ケースの他端部側に到達すると、一対の前記絶縁ケースの少なくとも他端部側を挟持すると共に、当該絶縁ケースから脱落困難に一対の前記挟持片の先端部側を閉じる。
【0020】
(2)一対の前記挟持片の底部から突出し、一対の開閉腕を先端部に有する絶縁操作棒で把持できる把持片を更に備えることが好ましい。
【0021】
(3)前記ジャンパースリーブカバーは、前記ヒンジ部と反対側に突出し、対向面が互いに当接できる一組の施錠片であって、一対の開閉腕を先端部に有する絶縁操作棒で把持できる施錠片を前記コーン部に有し、一対の前記挟持片は、前記底部側に切り欠かれ、前記施錠片と干渉しないように前記施錠片を逃げる逃げ部と、一方の側部から内側に屈曲し、前記コーン部の側面に当接自在な複数の規制片と、有することが好ましい。
【0022】
(4)絶縁性を有する合成樹脂で少なくとも一対の前記挟持片及び前記湾曲片を一体成形していることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によるジャンパースリーブカバー用クリップは、絶縁ケースの他端部側から一対の湾曲片を押圧すると一対の挟持片の先端部側を開くことができ、一対の挟持片の底部が絶縁ケースの他端部側に到達すると、一対の絶縁ケースの少なくとも他端部側を挟持すると共に、当該絶縁ケースから脱落困難に一対の挟持片の先端部側を閉じることができる。これにより、ジャンパースリーブカバーが容易に開かないようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態によるジャンパースリーブカバー用クリップの構成を示す斜視図であり、ジャンパースリーブカバーの一部を斜視図で示している。
【
図2】前記実施形態によるジャンパースリーブカバー用クリップの構成を示す斜視図であり、ジャンパースリーブカバー用クリップ及びジャンパースリーブカバーの一部を
図1と異なる方向から観ている。
【
図3】前記実施形態によるジャンパースリーブカバー用クリップの構成を示す図であり、
図3(A)は、ジャンパースリーブカバー用クリップの正面図、
図3(B)は、ジャンパースリーブカバー用クリップの右側面図、
図3(C)は、ジャンパースリーブカバー用クリップの下面図、
図3(D)は、
図3(A)のX−X矢視断面図である。
【
図4】前記実施形態によるジャンパースリーブカバー用クリップが適用されるジャンパースリーブカバーの構成を示す図であり、
図4(A)は、ジャンパースリーブカバーの正面図、
図4(B)は、ジャンパースリーブカバーの右側面図、
図4(C)は、ジャンパースリーブカバーの下面図である。
【
図5】従来技術によるジャンパースリーブカバーの構成を示す斜視図である。
【
図6】従来技術によるジャンパースリーブカバーの構成を示す正面図であり、カバー本体からスライド蓋を取り外した状態図である。
【
図7】一般的なジャンパースリーブカバーの装柱図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
[ジャンパースリーブカバー用クリップの構成]
最初に、本発明の一実施形態によるジャンパースリーブカバー用クリップの構成を説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態によるジャンパースリーブカバー用クリップの構成を示す斜視図であり、ジャンパースリーブカバーの一部を斜視図で示している。
図2は、前記実施形態によるジャンパースリーブカバー用クリップの構成を示す斜視図であり、ジャンパースリーブカバー用クリップ及びジャンパースリーブカバーの一部を
図1と異なる方向から観ている。
【0027】
図3は、前記実施形態によるジャンパースリーブカバー用クリップの構成を示す図であり、
図3(A)は、ジャンパースリーブカバー用クリップの正面図、
図3(B)は、ジャンパースリーブカバー用クリップの右側面図、
図3(C)は、ジャンパースリーブカバー用クリップの下面図、
図3(D)は、
図3(A)のX−X矢視断面図である。
【0028】
図4は、前記実施形態によるジャンパースリーブカバー用クリップが適用されるジャンパースリーブカバーの構成を示す図であり、
図4(A)は、ジャンパースリーブカバーの正面図、
図4(B)は、ジャンパースリーブカバーの右側面図、
図4(C)は、ジャンパースリーブカバーの下面図である。なお、従来技術で使用した符号と同じ符号は、その作用を同一にするので、以下の説明では割愛することがある。
【0029】
(ジャンパースリーブカバーの構成)
本発明の一実施形態によるジャンパースリーブカバー用クリップの構成を説明するに先立ち、前記実施形態によるジャンパースリーブカバー用クリップが適用されるジャンパースリーブカバーの構成を説明する。
【0030】
図4を参照すると、一実施形態によるジャンパースリーブカバー(以下、スリーブカバーと略称する)7は、半分割状態に形成された一対の箱状の絶縁ケース71・71で構成している。一対の絶縁ケース71・71は、一端部側をヒンジ部71hで屈曲自在に連結し、他端部側を開閉自在に構成している。一対の絶縁ケース71・71の他端部側に設けた鍔片72hを閉じることで、一対のジャンパー線Wj・Wjを電気的に接続する円筒状のジャンパースリーブSjを一対の絶縁ケース71・71で覆うことができる(
図2参照)。
【0031】
図4を参照すると、一対の絶縁ケース71・71は、角丸長方形の外形を有するカバー本体部70と一対の円錐体状のコーン部71c・71cを備えている。カバー本体部70は、ジャンパースリーブSjを覆うことができる(
図2参照)。
【0032】
図4を参照すると、一対のコーン部71c・71cは、カバー本体部70の両端部に形成している。コーン部71cは、カバー本体部70から連続すると共に、外側に向かって縮径している。又、コーン部91cは、ジャンパー線Wjを導入できる穴70hを側面に開口している(
図1又は
図2参照)。
【0033】
図4を参照すると、一対の絶縁ケース71・71は、一組の施錠片72・72をヒンジ部71hと反対側に突出している。一方の施錠片72aは、一方の絶縁ケース71のコーン部71cの他端部側に突出している。他方の施錠片72bは、他方の絶縁ケース71のコーン部71cの他端部側に突出している。他方の施錠片72bは、円柱状のボス722を突出している(
図3(B)参照)。一方の施錠片72aは、ボス722に嵌合する穴721を開口している。
【0034】
図4を参照して、一対の開閉する把持腕を先端部に有する絶縁操作棒(図示せず)を用いて、一対の施錠片72a・72bの対向面が当接するように、施錠片72a・72bを把持することで、一対の絶縁ケース71・71の他端部側を閉じることができる。又、一対の開閉する把持腕を先端部に有する絶縁操作棒(図示せず)を用いて、施錠片72a又は施錠片72bを把持することで、スリーブカバー7を高所に移動できる。
【0035】
(全体構成)
次に、本発明の一実施形態によるジャンパースリーブカバー用クリップの構成を説明する。
図1から
図3を参照すると、本発明の一実施形態によるジャンパースリーブカバー用クリップ(以下、クリップと略称する)10は、弾性変形が自在な一対の挟持片11・11と一対の半円弧状の湾曲片12・12を備えている。
【0036】
図1から
図3を参照すると、一対の挟持片11・11は、基端部が互いに連結したU字状の底部11bを有している。そして、一対の挟持片11・11は、一対の絶縁ケース71・71の外周を挟持できるように、底部11bから延びて対向配置されている。
【0037】
図1から
図3を参照すると、一対の湾曲片12・12は、一対の挟持片11・11の底部11bと反対側に位置する一対の挟持片11・11の先端部側を互いに内側に向かって屈曲させている。又、一対の湾曲片12・12は、それらの先端部を反転するように互いに外側に向かって湾曲している。
【0038】
図1から
図3を参照して、一対の絶縁ケース71・71の他端部側から一対の湾曲片12・12を押圧すると、互いの円弧部がスライドして、一対の挟持片11・11の先端部側を開くことができる。そして、一対の挟持片11・11の底部11bが一対の絶縁ケース71・71の他端部側に到達すると(
図3(D)参照)、一対の挟持片11・11が弾性復帰して、一対の絶縁ケース71・71の少なくとも他端部側を挟持できる。又、
図3に示した状態では、一対の挟持片11・11は、一対の絶縁ケース71・71から脱落困難に、一対の挟持片11・11の先端部側を閉じている。
【0039】
(把持片の構成)
図1から
図3を参照すると、クリップ10は、把持片13を更に備えている。把持片13は、一対の挟持片11・11の底部11bから突出している。一対の開閉腕を先端部に有する絶縁操作棒(図示せず)を用いて、把持片13を把持できる。そして、絶縁操作棒(図示せず)を用いて、把持片13を把持することで、スリーブカバー7に向かって、クリップ10を移動できる。
【0040】
(逃げ部及び規制片の構成)
又、
図1から
図3を参照すると、一対の挟持片11・11は、逃げ部11eと複数の規制片14を有している。逃げ部11eは、一対の挟持片11・11の底部側が切り欠かれている。そして、逃げ部11eは、施錠片72と干渉しないように、施錠片72を逃げている。規制片14は、一対の挟持片11・11の一方の側部から内側に直角に屈曲している。そして、規制片14は、コーン部71cの側面に当接できる。
【0041】
更に、
図1から
図3を参照すると、一対の挟持片11・11は、円錐体状のリブ11rを内壁から突出している。これらのリブ11r・11rは、コーン部71cの斜面に当接できる。そして、これらのリブ11r・11rは、コーン部71cを挟持できる。
【0042】
図3を参照すると、一対の挟持片11・11の底部11bが施錠片72の側面に当接することで、スリーブカバー7に対してクリップ10が右側に移動することを阻止できる。一方、複数の規制片14がスリーブカバー7の側面に当接することで、スリーブカバー7に対してクリップ10が左側に移動することを阻止できる。
【0043】
図1から
図3を参照して、実施形態によるクリップ10は、絶縁性を有する合成樹脂で少なくとも一対の挟持片11・11及び湾曲片12・12を一体成形していることが好ましい。
【0044】
[ジャンパースリーブカバー用クリップの作用]
次に、実施形態によるクリップ10の作用及び効果を説明する。
【0045】
図1から
図3を参照すると、クリップ10は、一対の絶縁ケース71・71の他端部側から一対の湾曲片12を押圧すると、一対の挟持片11・11の先端部側を開くことができる。更に、クリップ10を押し上げて、一対の挟持片11・11の底部11bが一対の絶縁ケース71・71の他端部側に到達すると、一対の絶縁ケース71・71の他端部側を一対の挟持片11・11で挟持できる。又、
図3(D)に示すように、クリップ10は、一対の絶縁ケース71・71から脱落困難に、一対の挟持片11・11の先端部側を閉じることができる。
【0046】
図1から
図3を参照すると、一対の開閉腕を先端部に有する絶縁操作棒(図示せず)を用いて、把持片13を把持できる。絶縁操作棒(図示せず)を用いて、把持片13を把持することで、スリーブカバー7に向かって、クリップ10を移動できる。そして、スリーブカバー7に向かって、クリップ10を押し上げることで、クリップ10をスリーブカバー7に取り付けることができる。又、絶縁操作棒(図示せず)を用いて、スリーブカバー7からクリップ10を取り外すことができる。
【0047】
本発明によるジャンパースリーブカバー用クリップは、次のような効果が期待される。
(1)ジャンパースリーブカバーが開いて、スリーブが露出することに起因する停電事故を防止できる。
(2)一対の開閉腕を先端部に有する絶縁操作棒などの間接活線工具を用いて、クリップの取り付け又は取り外しを容易に実施できる。
(3)ジャンパースリーブカバーからクリップが脱落することを防止できる。
【0048】
本発明によるジャンパースリーブカバー用クリップは、絶縁操作棒を用いた間接活線作業に好適な実施形態を開示したが、絶縁手袋を用いた直接活線作業にも適用できる。本発明によるジャンパースリーブカバー用クリップは、間接活線作業が効率化され、作業時間の短縮が期待できる。
【符号の説明】
【0049】
7 スリーブカバー(ジャンパースリーブカバー)
10 クリップ(ジャンパースリーブカバー用クリップ)
11・11 一対の挟持片
11b 底部
12 湾曲片
71・71 一対の絶縁ケース
71c コーン部
71h ヒンジ部
Wj ジャンパー線
Sj ジャンパースリーブ