【実施例】
【0029】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
実施例1
下記の配合組成および方法により、筆記具用水性インキ組成物を得た。
イオン交換水 95.75質量%
エチレングリコール(水溶性有機溶剤) 2.0質量%
トリエタノールアミン(pH調整剤) 1.0質量%
9.5質量%1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン水溶液 0.2質量%
(1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン添加量190ppm 抗菌性物質)
50質量%2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン水溶液 0.05質量%
(2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン添加量250ppm 抗菌性物質)
C.I.アシッドブルー90(着色剤:染料) 0.5質量%
C.I.ダイレクトブルー87(着色剤:染料) 0.5質量%
イオン交換水に水溶性有機溶剤、pH調整剤、抗菌性物質を添加し、プロペラ攪拌により混合してベース液を得た。その後、ベース液に染料を添加し、プロペラ攪拌により混合して、筆記具用水性インキ組成物を得た。
【0030】
実施例2
実施例1と同じ方法で、下記の配合組成により筆記具用水性インキ組成物を得た。
イオン交換水 94.75質量%
エチレングリコール(水溶性有機溶剤) 2.0質量%
トリエタノールアミン(pH調整剤) 1.0質量%
9.5質量%1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン水溶液 0.2質量%
(1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン添加量190ppm 抗菌性物質)
50質量%2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン水溶液 0.05質量%
(2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン添加量250ppm 抗菌性物質)
C.I.アシッドブルー90(着色剤:染料) 1.0質量%
C.I.ダイレクトブルー87(着色剤:染料) 1.0質量%
【0031】
実施例3
実施例1と同じ方法で、下記の配合組成により筆記具用水性インキ組成物を得た。
イオン交換水 94.69質量%
エチレングリコール(水溶性有機溶剤) 2.0質量%
トリエタノールアミン(pH調整剤) 1.0質量%
9.5質量%1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン水溶液 0.26質量%
(1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン添加量247ppm 抗菌性物質)
50質量%2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン水溶液 0.05質量%
(2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン添加量250ppm 抗菌性物質)
C.I.アシッドレッド52(着色剤:染料) 1.0質量%
C.I.アシッドレッド289(着色剤:染料) 1.0質量%
【0032】
実施例4
実施例1と同じ方法で、下記の配合組成により筆記具用水性インキ組成物を得た。
イオン交換水 96.46質量%
エチレングリコール(水溶性有機溶剤) 2.0質量%
トリエタノールアミン(pH調整剤) 1.0質量%
9.5質量%1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン水溶液 0.2質量%
(1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン添加量190ppm 抗菌性物質)
50質量%2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン水溶液 0.04質量%
(2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン添加量200ppm 抗菌性物質)
C.I.ダイレクトブラック19(着色剤:染料) 0.2質量%
C.I.フードイエロー3(着色剤:染料) 0.1質量%
【0033】
実施例5
実施例1と同じ方法で、下記の配合組成により筆記具用水性インキ組成物を得た。
イオン交換水 96.45質量%
エチレングリコール(水溶性有機溶剤) 2.0質量%
トリエタノールアミン(pH調整剤) 1.0質量%
9.5質量%1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン水溶液 0.2質量%
(1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン添加量190ppm 抗菌性物質)
50質量%2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン水溶液 0.05質量%
(2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン添加量250ppm 抗菌性物質)
C.I.アシッドブルー90(着色剤:染料) 0.1質量%
C.I.ダイレクトブラック19(着色剤:染料) 0.2質量%
【0034】
比較例1
抗菌性物質を1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン単独とし、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンを用いなかった以外は、実施例1と同様にして筆記具用水性インキ組成物を得た。
【0035】
比較例2
抗菌性物質を1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン単独とし、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンの添加量を475ppmとした以外は、実施例2と同様にして筆記具用水性インキ組成物を得た。
【0036】
比較例3
抗菌性物質を1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン単独とし、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンの添加量を380ppmとした以外は、実施例3と同様にして筆記具用水性インキ組成物を得た。
【0037】
比較例4
抗菌性物質を1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン単独とし、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンを用いなかった以外は、実施例4と同様にして筆記具用水性インキ組成物を得た。
【0038】
比較例5
抗菌性物質を1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン単独とし、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンを用いなかった以外は、実施例5と同様にして筆記具用水性インキ組成物を得た。
【0039】
実施例1〜5、比較例1〜5で得られた筆記具用水性インキ組成物について、下記の要領により評価を行った。結果を(表1)に示した。
【0040】
【表1】
【0041】
抗菌性能試験:実施例1〜5、比較例1〜5の筆記具用水性インキ組成物中に、アクレモニウムsp.(1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン耐性菌)を1mlあたり約1000個になるように接種した。これを試験インキとし、28℃で7日間放置した。その後、試験インキをポテトデキストロース寒天培地による塗抹平板法にて28℃で7日間培養し、残存した菌数から抗菌性能を評価した。
○:残存菌が見られない。
×:残存菌が30%以上100%未満となっている。
××:残存菌が100%以上(増殖)となっている。
【0042】
(表1)に示した通り、実施例1〜5は、抗菌性能試験において、筆記具用水性インキ組成物中に残存した菌が見られず、良好な抗菌性能を有していた。このことから、析出物や凝集物などの異物の発生が抑制され、該インキ組成物は一定期間経過後も初期と同等の状態を保つものとなった。このように、保存安定性が良好であったことから、実施例1〜5のインキ組成物は、経時後も全て、良好な筆記性能を発揮するものとなった。
【0043】
一方、抗菌性物質を1種類のみ添加した比較例1〜5は、残存した菌が30%以上となっており、抗菌性物質の効果が十分でなかった。
【0044】
さらに、実施例1および2に対比する、比較例1および2は、抗菌性能試験において残存した菌が100%以上となっており、特に抗菌性能が劣り、菌の増殖が見られた。このように、比較例1および2においては、抗菌性物質を添加しているにもかかわらず、本発明のような特定の抗菌性物質を併用することにより得られる優れた抗菌性能を得ることができず、菌が増殖し、インキ組成物中に異物が発生し、保存安定性が悪いものとなった。また比較例3〜5についても、程度の差はあるものの、抗菌性能に問題があるものであった。これらのことから、比較例1〜5においては、該インキ組成物を筆記具の筆記性能についても少なからず菌の影響が見られ、最悪の場合、筆記不能になるものが発生するものであった。
【0045】
このように、筆記具用水性インキ組成物の性能評価の結果から、実施例1および2のインキ組成物においては、特に優れた抗菌性能が得られ、筆記具用水性インキ組成物としてまた、該インキ組成物を外気に触れることの多い筆記具に用いたときに特に良好な性能を有していることが判った。