(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1プレートは、第1辺と、前記第1辺に沿って伸延する第2辺とを有する板状部材で構成され、前記第1辺側で前記ベースプレートに対して回転可能に取り付けられており、
前記第2プレートは、相隣接する第3辺及び第4辺を有する板状部材で構成され、前記第3辺側で前記第1軸を介して前記第1プレートに対して回転可能及びスライド可能に取り付けられており、
第3プレートは、第5辺と、前記第5辺に沿って伸延する第6辺とを有する板状部材で構成され、前記第5辺側で前記第2軸を介して前記第2プレートに対して回転可能に取り付けられている、請求項1又は2記載の開閉装置。
前記第1プレートは、前記第2辺に形成され、前記第1プレートに対する前記第2プレートの前記第1軸の軸方向における前記第2軸から離間する方向へのスライドを規制するストッパーを有する、請求項3記載の開閉装置。
前記着脱機構は、前記第1プレートに取り付けられる第1カム部と、前記第3プレートに取り付けられる第2カム部とを有するカム機構である、請求項1乃至5のいずれか一項記載の開閉装置。
前記着脱機構は、前記第1プレートに取り付けられる第1カム部と、前記第3プレートに固定される固定部材に取り付けられる第2カム部とを有するカム機構である、請求項1乃至5のいずれか一項記載の開閉装置。
前記カム機構の前記第1カム部は、前記第3プレートが前記第2プレートに対して回転された状態から、前記第3プレートを前記第2プレートに重ね合わせる際に、前記第2カム部を前記第1軸の軸方向に案内する、請求項6又は7記載の開閉装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の開閉装置、及び、電子機器を適用した実施の形態について説明する。
【0010】
<実施の形態>
図1は、実施の形態の開閉装置100を含む電子機器1を示す図である。電子機器1は、筐体10、ディスプレイパネル20、及び開閉装置100を含み、筐体10からディスプレイパネル20を2通りの方法で傾転(チルト)させることができる。
【0011】
ここでは、一例として、電子機器1がデジタルカメラである形態について説明する。しかしながら、電子機器1は、デジタルカメラに限定されるものではなく、例えば、ビデオカメラ、ゲーム機、タブレットコンピュータ等のディスプレイパネルを含む電子的な機器であれば何でもよい。
【0012】
また、以下では、ディスプレイパネル20がLCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)である形態について説明するが、ディスプレイパネル20はLCDに限られず、有機EL(Electroluminescence)やその他の薄型のディスプレイであってもよい。
【0013】
筐体10は、筐体本体11とLCD筐体12を有し、LCD筐体12はディスプレイパネル20の側面と裏面の一部とに取り付けられており、筐体本体11の開口部13に収納される。
【0014】
図1(A)はAチルトの状態を示し、
図1(B)はBチルトの状態を示す。なお、以下では、開閉装置100のベースプレート110がXY平面に平行に配設されるものとして、XYZ座標系を定義する。
【0015】
図2及び
図3は、実施の形態の開閉装置100を示す図である。
図4は、実施の形態の開閉装置100を分解した状態を示す斜視図である。
【0016】
図2(A)は、閉じた状態を示す斜視図である。閉じた状態とは、AチルトもBチルトも行われておらず、ディスプレイパネル20が筐体10に完全に収納された状態である。
図2(B)〜(D)は、開閉装置100の一部の断面を示す図であり、X軸負方向側からX軸正方向側を見た場合に得られる断面を示す。
【0017】
図3(A)はAチルトの状態を示す斜視図であり、
図3(B)はBチルトの状態を示す斜視図である。
【0018】
開閉装置100は、ベースプレート110、ヒンジプレート120、130、LCDプレート140、板ばね150、チルト軸160、板ばね170、チルト軸180、カム機構190、及びばね200を含む。
【0019】
ベースプレート110は、筐体10(
図1参照)に取り付けられる板状の部材であり、基部111、折り曲げ部112、及びストッパー112Aを有する。基部111は、X軸方向に長手方向を有する細長い矩形状の金属部材である。折り曲げ部112は、基部111のX軸方向の両端をZ軸負方向側に折り曲げた部分である。
【0020】
ベースプレート110には、折り曲げ部112の開口部にヒンジシャフト113Aを挿通させてクリックプレート113Bで留めることによってヒンジプレート120が回転可能に取り付けられている。ヒンジプレート120をベースプレート110に対して回転させることにより、Bチルトを実現する。
【0021】
ストッパー112Aは、ベースプレート110に対してヒンジプレート120が回動されたときに、回転移動を制限するために設けられている。ストッパー112Aは、折り曲げ部112の先端をX軸方向における外側に折り曲げた部分であり、ヒンジプレート120のストッパー121Aと当接する。
【0022】
このようなベースプレート110は、例えば、板金をパンチング加工で所望の形状に打ち抜いた後に、折り曲げることによって作製することができる。板金としては、例えば、ステンレスを用いることができる。
【0023】
ヒンジプレート120は、第1プレートの一例であり、基部121、折り曲げ部122、軸固定部123、固定部124、及びストッパー125、126を有する。
【0024】
基部121は、X軸方向の長さが基部111と略同一であり、Y軸方向の幅がLCDプレート140と略同一の矩形状の金属部材である。基部121は、辺121A、121B、121C、121Dを有する。辺121A、121Bは、それぞれ、第1辺、第2辺の一例である。なお、ヒンジプレート120は、辺121Aと、辺121Aに沿って伸延する辺121Bとがあればよく、矩形状ではなくてもよい。
【0025】
辺121Aは、Y軸負方向側でX軸に沿って伸延する。辺121Bは、Y軸正方向側でX軸に沿って伸延する。辺121Cは、X軸負方向側でY軸に沿って伸延する。辺121Dは、X軸正方向側でY軸に沿って伸延する。なお、辺121Bは、軸固定部123等が形成されるため直線状ではないが、X軸に沿って伸延している。
【0026】
折り曲げ部122は、基部121のY軸負方向側の端部において、X軸方向の両端をZ軸負方向側に折り曲げた部分である。折り曲げ部122は、折り曲げ部112に対応して形成されており、折り曲げ部112の開口部に対応する開口部を有する。折り曲げ部112の開口部と、折り曲げ部122の開口部とにヒンジシャフト113Aを挿通させてクリックプレート113Bで留めることにより、ヒンジプレート120は、ベースプレート110に対して回転可能に取り付けられる。折り曲げ部122には、ストッパー112Aに対応したストッパー122Aが設けられている。
【0027】
軸固定部123は、辺121BからY軸正方向に突出するように形成されている。軸固定部123は、辺121Bに沿って2つ形成されており、チルト軸160を固定している。チルト軸160は、軸固定部123に固定されているため、回転することはできない。
【0028】
固定部124は、辺121CのY軸正方向側の端部において、X軸負方向側に突出するとともに、基部121に対してZ軸負方向側にオフセットするように形成されている。固定部124は、カム機構190のカム部191をヒンジプレート120に取り付けるために設けられている。
【0029】
ストッパー125は、辺121BのX軸正方向側の端部に切り欠きを設けることによって形成されている。Aチルトの状態にされる際に、カム機構190のカム部191とカム部192とが離れている状態で、ヒンジプレート120に対してヒンジプレート130はX軸負方向側に移動(スライド)する。これは、ディスプレイパネル20及びLCD筐体12(
図1参照)と筐体10の干渉を避けるためである。
【0030】
このようにヒンジプレート120に対してヒンジプレート130はX軸負方向側に移動する際に、ヒンジプレート130の2つの軸保持部132のうちのX軸正方向側の軸保持部132がストッパー125に当接することにより、ヒンジプレート130の移動が止まる。このように、ヒンジプレート130の移動量を調整するために、ストッパー125は設けられている。
【0031】
ストッパー126(
図3(A)参照)は、辺121Bから、Y軸正方向で、かつ、Z軸負方向の方向に突出している。ストッパー126は、Bチルトの状態にするために、ヒンジプレート120に対してヒンジプレート130が回転されるときに、ヒンジプレート130の辺131Aに当接することにより、回転量を制限するために設けられている。
図3(B)ではストッパー126はLCDプレート140の陰になって見えないが、ヒンジプレート130がヒンジプレート120に対して約130度回転されるとストッパー126に当接するように構成されている。
【0032】
このようなヒンジプレート120は、例えば、板金をパンチング加工で所望の形状に打ち抜いた後に、折り曲げることによって作製することができる。板金としては、例えば、ステンレスを用いることができる。
【0033】
なお、ここでは、ヒンジプレート120が辺121Aの側でベースプレート110に取り付けられている形態について説明するが、ヒンジプレート120が辺121Aと辺121Bとの間でベースプレート110に取り付けられていればよい。また、辺121Aの側でベースプレート110に取り付けられているとは、辺121Bよりも辺121Aに近い側でベースプレート110に取り付けられることをいう。
【0034】
ヒンジプレート130は、第2プレートの一例であり、基部131、軸保持部132、133を有する。
【0035】
基部131は、X軸方向の長さが基部121より長く、Y軸方向の幅が基部121より短い矩形状の金属部材である。基部131は、辺131A、131B、131C、131Dを有する。辺131A〜131Dの位置関係は、辺121A〜121Dの位置関係と同様である。辺131B、131Dは、それぞれ、第3辺、第4辺の一例である。なお、ヒンジプレート130は、相隣接する辺131Bと辺131Dがあればよく、矩形状ではなくてもよい。
【0036】
軸保持部132は、辺131BからY軸正方向に突出するように形成されている。軸保持部132は、辺131Bに沿って2つ形成されており、チルト軸160を回動自在に保持している。このため、ヒンジプレート130は、チルト軸160に対して回転可能である。
【0037】
軸保持部133は、辺131DからX軸正方向に突出するように形成されている。軸保持部133は、辺131Dに沿って2つ形成されており、チルト軸180を回動自在に保持している。このため、ヒンジプレート130は、チルト軸180に対して回転可能である。
【0038】
このようなヒンジプレート130は、例えば、板金をパンチング加工で所望の形状に打ち抜いた後に、折り曲げることによって作製することができる。板金としては、例えば、ステンレスを用いることができる。
【0039】
なお、ここでは、ヒンジプレート130が辺131Bにおいてチルト軸160に回転可能に取り付けられる形態について説明するが、ヒンジプレート130は、辺131Bの側においてチルト軸160に取り付けられていればよい。辺131Bの側とは、辺131Aよりも辺131Bに近い側をいう。
【0040】
また、ここでは、ヒンジプレート130が軸保持部132を有し、軸保持部132がチルト軸160を回転自在に保持する形態について説明するが、ヒンジプレート130は、軸保持部132の代わりにチルト軸160を固定的に保持する軸固定部を有していてもよい。この場合には、板ばね150はヒンジプレート120に取り付けられていて、チルト軸160はヒンジプレート130に固定されていればよい。
【0041】
LCDプレート140は、ディスプレイパネル20を保持する金属部材であり、第3プレートの一例である。LCDプレート140は、基部141、軸固定部142を有する。
【0042】
基部141は、X軸方向の長さが基部131より長く、Y軸方向の幅が基部131より長い矩形状の金属部材である。基部141は、辺141A、141B、141C、141Dを有する。辺141A〜141Dの位置関係は、辺121A〜121Dの位置関係と同様である。辺141D、141Cは、それぞれ、第5辺、第6辺の一例である。なお、LCDプレート140は、辺141Dと、辺141Dに沿って伸延する辺141Cとがあればよく、矩形状ではなくてもよい。
【0043】
軸固定部142は、辺141DからX軸正方向に突出するように形成されている。軸固定部142は、辺141Dに沿って2つ形成されており、チルト軸180を固定している。チルト軸180は、軸固定部142に固定されているため、回転することはできない。
【0044】
このようなLCDプレート140は、例えば、板金をパンチング加工で所望の形状に打ち抜いた後に、折り曲げることによって作製することができる。板金としては、例えば、ステンレスを用いることができる。
【0045】
なお、ここでは、LCDプレート140が辺141Dにおいてチルト軸180を介してヒンジプレート130に対して回転可能に取り付けられる形態について説明するが、LCDプレート140は、辺141Dの側においてヒンジプレート130に対して回転可能に取り付けられていればよい。辺141Dの側とは、辺141Cよりも辺141Dに近い側をいう。
【0046】
また、ここでは、LCDプレート140が軸固定部142を有し、軸固定部142がチルト軸180に固定されている形態について説明するが、LCDプレート140は、軸固定部142の代わりにチルト軸180を回転自在に保持する軸保持部を有していてもよい。この場合には、板ばね170はLCDプレート140に取り付けられていて、チルト軸180はヒンジプレート130に固定されていればよい。
【0047】
板ばね150は、板金を折り曲げて作製される第1板ばね及び規制機構の一例であり、ねじ151によってヒンジプレート130に固定されている。板ばね150には、チルト軸160が挿通されており、チルト軸160の切り欠き部161に対する角度により、チルト軸160を挟む部分に生じる復元力が変化するように構成されている。
【0048】
板ばね150は、Aチルトの状態にする際に、ヒンジプレート130がヒンジプレート120に対して閉じた状態で、ばね200の復元力によってヒンジプレート130がヒンジプレート120に対してX軸負方向側に押圧されたときに、チルト軸160に沿って(スラスト方向に)移動可能になるように、ばね定数が設定されている。
【0049】
また、板ばね150は、Bチルトの状態にする際に、ばね200の復元力によってヒンジプレート120に対してヒンジプレート130がX軸負方向側に押圧されても、板ばね150によるチルト軸160の押圧によってヒンジプレート130のチルト軸160に沿った移動が規制する復元力を発生するように、ばね定数が設定されている。
【0050】
このような板ばね150は、例えば、板金をパンチング加工で所望の形状に打ち抜いた後に、折り曲げることによって作製することができる。板金としては、例えば、ステンレスを用いることができる。
【0051】
なお、ここでは、規制機構の一例として板ばね150を用いる形態について説明するが、規制機構は、Aチルトの状態にする際に、ヒンジプレート130がヒンジプレート120に対して閉じた状態で、ヒンジプレート130をチルト軸160に沿ってヒンジプレート120に対して移動可能にするとともに、Bチルトの状態にする際にヒンジプレート130のチルト軸160に沿った移動を規制する機構であれば、板ばね150以外の構成であってもよい。
【0052】
チルト軸160は、第1軸の一例であり、断面が円形の棒状の金属部材である。チルト軸160は、2つの軸固定部123によって固定され、2つの軸保持部132と板ばね150とに挿通されている。チルト軸160は、板ばね150に挿通される部分に切り欠き部161を有する。
【0053】
切り欠き部161は、
図2(B)に示すように、円柱状のチルト軸160の外周面の一部を平坦に切り欠いた部分である。
図2(B)に示すように切り欠き部161が板ばね150の内面に当接しているときの板ばね150の内部の寸法aは、切り欠き部161に垂直でチルト軸160の中心軸を通るチルト軸160の寸法に合わせられている。従って、
図2(B)に示す状態では、板ばね150には復元力は生じていない。
【0054】
図2(C)に示すように切り欠き部161が板ばね150の内面に当接していないときの板ばね150の内部の寸法bは、
図2(B)に示す寸法aよりも大きくなる。すなわち、a<bが成立する。これは、切り欠き部161に当接しないときの方が、板ばね150が広げられるからである。そして、
図2(C)に示す状態では、板ばね150には、チルト軸160を押圧する復元力が生じる。
【0055】
実施の形態では、
図2(A)に示すように、ヒンジプレート120に対してヒンジプレート130が閉じられている状態では、
図2(B)の断面の状態になるように切り欠き部161の位置を設定する。また、ヒンジプレート120に対してヒンジプレート130を回転させて開いたときに、
図2(C)の断面の状態が得られるようにしておく。
【0056】
なお、
図2(A)に示すように、ヒンジプレート120に対してヒンジプレート130が閉じられている状態において、
図2(D)に示すように、切り欠き部161が板ばね150の内面に当接せずに、ヒンジプレート120に対してヒンジプレート130を少し回転させたときに、切り欠き部161が板ばね150の内面に当接するように構成してもよい。
【0057】
ただし、この場合には、板ばね150が発生する復元力が十分に弱く、チルト軸160に対して、板ばね150が軸方向に移動可能である必要がある。
【0058】
板ばね170は、板金を折り曲げて作製される第2板ばねの一例であり、ねじ171によってヒンジプレート130に固定されている。板ばね170には、チルト軸180が挿通されており、チルト軸180の切り欠き部に対する角度により、チルト軸180を挟む部分に生じる復元力が変化するように構成されている。これは、板ばね150及びチルト軸160の関係と同様である。
【0059】
このような板ばね170は、例えば、板金をパンチング加工で所望の形状に打ち抜いた後に、折り曲げることによって作製することができる。板金としては、例えば、ステンレスを用いることができる。
【0060】
チルト軸180は、、第2軸の一例であり、断面が円形の棒状の金属部材である。チルト軸180は、2つの軸固定部142によって固定され、2つの軸保持部133と板ばね170とに挿通されている。チルト軸180は、板ばね170に挿通される部分に切り欠き部を有する。ここでは、チルト軸180の切り欠き部の構成は、チルト軸160の切り欠き部161と同様であるため、ここでは図示を省く。
【0061】
カム機構190は、着脱機構の一例であり、カム部191及び192を有する。カム部191及び192は、それぞれ、第1カム部及び第2カム部の一例である。カム部191は、ヒンジプレート120の固定部124のZ軸正方向側の面に取り付けられ、カム部192は、LCDプレート140の辺141Bと辺141Cとの間の頂点の近傍において、Z軸負方向側の面に取り付けられている。
【0062】
カム部191及び192は、
図2(A)に示すように、ヒンジプレート120、130、LCDプレート140が閉じられている状態では、互いに係合しており、ヒンジプレート120とLCDプレート140とは固定されている。
【0063】
電子機器1(
図1参照)の利用者がディスプレイパネル20をBチルトの状態にしようとしてディスプレイパネル20を開くと、開く力がLCDプレート140に掛かり、カム部192はカム部191から離脱する。
【0064】
ばね200は、付勢機構の一例であり、2つの軸固定部123のうちのX軸正方向側の軸固定部123と、2つの軸保持部132のうちのX軸負方向側の軸保持部132との間において、チルト軸160に巻回されている。ばね200は、
図2(A)に示すように、カム機構190によってヒンジプレート120とヒンジプレート130とが固定されている状態において、自然長よりも収縮された状態で軸固定部123と軸保持部132との間に設けられている。
【0065】
また、ばね200は、ヒンジプレート130の2つの軸保持部132のうちのX軸正方向側の軸保持部132がストッパー125に当接した状態においても、自然長よりも収縮された状態になるように、ばね長が設定されている。
【0066】
ばね200のばね定数は、次のように設定される。Aチルトの状態にする際に、ヒンジプレート130がヒンジプレート120に対して閉じた状態で、板ばね150及びヒンジプレート130をヒンジプレート120に対してX軸負方向側に押圧できるように、ばね定数が設定されている。
【0067】
また、ばね200は、Bチルトの状態にする際に、板ばね150によるチルト軸160の押圧によって、ばね200の復元力によるヒンジプレート130のチルト軸160に沿った移動が規制されるように、ばね定数が設定されている。
【0068】
なお、ここでは、付勢機構の一例としてばね200を用いる形態について説明するが、板ばね150及びヒンジプレート130をヒンジプレート120に対してX軸負方向側に押圧する付勢力を発生する機構であれば、ばね200以外の構成であってもよい。例えば、チルト軸160に巻回されていなくてもよく、板ばねであってもよい。
【0069】
次に、Aチルト及びBチルトの状態にする際の動作について説明する。
【0070】
図5は、Aチルトの状態にする動作を示す側面図である。
【0071】
図5(A)に示す状態では、ヒンジプレート120、130、及びLCDプレート140は閉じられており、ヒンジプレート120とLCDプレート140は、カム機構190によって固定されている。このときのばね200の長さはL1である。
【0072】
次に、電子機器1(
図1参照)の利用者がディスプレイパネル20をAチルトの状態にするために、チルト軸180に対して回転させながら開くと、
図5(B)に示すように、LCDプレート140のX軸負方向側の端部がZ軸正方向側に移動するため、カム機構190のカム部191からカム部192が離脱し始める。
【0073】
図5(B)に示す状態は、カム部191からカム部192が完全に離脱する直前の状態であるため、ヒンジプレート130の位置は
図5(A)に示す位置と同一であり、ばね200の長さはL1である。
【0074】
また、ヒンジプレート130は、チルト軸160に対して回転していないため、板ばね150は復元力を発生していない。
【0075】
利用者がさらにディスプレイパネル20を開くと、
図5(C)に示すように、カム機構190のカム部191からカム部192が離脱する。そして、この状態では、ヒンジプレート130は、チルト軸160に対して回転しておらず、ヒンジプレート120はチルト軸160に沿ってX軸方向に移動可能であるため、ばね200の復元力によってヒンジプレート130がヒンジプレート120に対してX軸負方向側に押されて移動する。
【0076】
そして、ヒンジプレート130は、軸保持部132がストッパー125に当接することによって停止する。このとき、ばね200の長さはL2(>L1)である。長さL1とL2の差は、ヒンジプレート120に対するヒンジプレート130の移動量である。すなわち、ヒンジプレート130の移動量は、ストッパー125の位置で決めることができる。
【0077】
従って、Aチルトの状態にするためにディスプレイパネル20を開く際に、ディスプレイパネル20が筐体10に干渉しないように、ディスプレイパネル20をX軸負方向に移動させる量を設定すればよい。
【0078】
また、
図5(C)に示す状態からディスプレイパネル20を収納するときは、ディスプレイパネル20をばね200の復元力に対抗してX軸正方向にスライドさせつつ押圧すると、
図5(B)に示すようにカム部191と192が係合し始める。さらにディスプレイパネル20を押圧すると、カム部191と192によってディスプレイパネル20はX軸正方向側に案内され、
図5(A)に示す閉じた状態に戻り、LCDプレート140はヒンジプレート120に完全に固定される。
【0079】
図6は、Bチルトの状態にする動作を示す側面図である。
【0080】
図6(A)に示す状態では、ヒンジプレート120、130、及びLCDプレート140は閉じられており、ヒンジプレート120とLCDプレート140は、カム機構190によって固定されている。
【0081】
次に、電子機器1(
図1参照)の利用者がディスプレイパネル20をBチルトの状態にするために、チルト軸160に対して回転させながら開くと、
図6(B)に示すように、ヒンジプレート130及びLCDプレート140のY軸正方向側の端部がZ軸正方向側に移動するため、カム機構190のカム部191からカム部192が離脱し始める。
【0082】
そして、利用者がさらにディスプレイパネル20を開くと、
図6(C)に示すように、カム機構190のカム部191からカム部192が離脱する。このとき、ヒンジプレート130はチルト軸160に対して十分に回転しているため、板ばね150(
図2参照)がチルト軸160を押圧する復元力が増大しており、ヒンジプレート130のチルト軸160の軸方向への移動は規制される。
【0083】
これは、ばね200の復元力によってヒンジプレート120に対してヒンジプレート130がX軸負方向側に押圧されても、板ばね150によるチルト軸160の押圧によってヒンジプレート130のチルト軸160に沿った移動が規制されるように、板ばね150の復元力が設定されているからである。
【0084】
従って、Bチルトの状態にするためにディスプレイパネル20をチルト軸160に対して回転させる際に、ディスプレイパネル20がチルト軸160の軸方向にずれないようにすることができる。
【0085】
なお、このようにチルト軸160が板ばね150に押圧された状態では、チルト軸160の軸方向(スラスト方向)の動きは規制されるが、回転方向の動きは記載されないため、ヒンジプレート130は、チルト軸160に対して回転可能であり、ヒンジプレート120に対してヒンジプレート130を所望の角度まで開くことができる。
【0086】
また、
図6(C)に示すBチルトの状態から、ディスプレイパネル20を収納する際には、
図6(B)に示す状態までディスプレイパネル20を回転させると、板ばね150がチルト軸160を押圧する復元力は弱まるが、カム部191と192が係合し始めることにより、LCDプレート140はヒンジプレート120に固定され始める。そして、ディスプレイパネル20はカム部191及び192に案内されて
図6(A)に示す閉じた状態に戻る。
【0087】
以上、実施の形態によれば、筐体10にディスプレイパネル20が収納された状態からAチルトの状態にするときに、LCD筐体12及びディスプレイパネル20が筐体10に干渉することなく、容易かつ確実にAチルトの状態にすることができる開閉装置100、及び、電子機器1を提供することができる。
【0088】
また、実施の形態によれば、筐体10にディスプレイパネル20が収納された状態からBチルトの状態にするときに、LCD筐体12及びディスプレイパネル20が筐体10に対してY軸方向にずれることなく、容易かつ確実にBチルトの状態にすることができる開閉装置100、及び、電子機器1を提供することができる。
【0089】
従って、実施の形態によれば、ディスプレイパネル20を筐体10から容易に取り出す(チルトアップする)ことができる開閉装置100、及び、電子機器1を提供することができる。
【0090】
ここで、
図7を用いて、実施の形態の変形例による開閉装置と電子機器について説明する。
【0091】
図7は、実施の形態の変形例による開閉装置100A、100Bと電子機器1A、1Bを示す図である。
【0092】
図7(A)に示す電子機器1Aは、
図1に示す電子機器1の筐体10と開閉装置100の代わりに、筐体10Aと開閉装置100Aを含むものである。
【0093】
開閉装置100Aは、
図2に示す開閉装置100のカム部192の代わりにカム部14Aを含むものである。また、筐体10Aは、筐体本体11AとLCD筐体12Aを含み、LCD筐体12A及びディスプレイパネル20は筐体本体11Aの開口部13Aに収納される。また、LCD筐体12Aには、カム部14Aが設けられている。カム部14Aは、カム部192と同様の構成を有し、カム部191と係合する。すなわち、カム部191とカム部14Aとで、
図2に示すカム機構190と同様の機能及び動作を実現している。
【0094】
このように、筐体10AのLCD筐体12Aに設けたカム部14Aをカム部192の代わりに用いてもよい。カム部14Aは、LCD筐体12Aに設けられており、LCD筐体12Aは、LCDプレート140に直接的に、又は、ディスプレイパネル20を介して間接的に固定される固定部材の一例である。
【0095】
また、
図7(B)に示す電子機器1Bは、
図1に示す電子機器1の筐体10と開閉装置100の代わりに、筐体10Bと開閉装置100Bを含むものである。開閉装置100Bは、Aチルトの動作方向が
図1及び
図2に示す開閉装置100と異なる。すなわち、開閉装置100Bは、
図2に示すチルト軸180がX軸負方向側に位置し、カム機構190をX軸正方向側に位置させたものである。
【0096】
筐体10Bは、このような変形に伴って変形が施されたものであり、筐体本体11BとLCD筐体12Bを含み、LCD筐体12B及びディスプレイパネル20は筐体本体11Bの開口部13Bに収納される。
【0097】
図7(B)に示すように開閉装置100Bが動作する場合において、Aチルトを行う際に、ディスプレイパネル20が180度回転可能になるように、ヒンジプレート130がヒンジプレート120に対してX軸負方向側に移動する量を設定しておくと、利用者が自画像を撮影する際に、ディスプレイパネル20で画像を確認しながら撮影できるようになり、便利である。
【0098】
このように、Aチルトの動作は、
図1(A)に示す動作とは逆の動作として実現されてもよい。
【0099】
以上、本発明の例示的な実施の形態の開閉装置、及び、電子機器について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。