特許第5955910号(P5955910)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5955910電気温熱刺激装置及び電気温熱刺激制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5955910
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】電気温熱刺激装置及び電気温熱刺激制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61H 39/06 20060101AFI20160707BHJP
   A61F 7/03 20060101ALI20160707BHJP
【FI】
   A61H39/06 327
   A61H39/06 324
   A61F7/08 332T
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-171429(P2014-171429)
(22)【出願日】2014年8月26日
(62)【分割の表示】特願2013-512895(P2013-512895)の分割
【原出願日】2012年9月12日
(65)【公開番号】特開2015-6419(P2015-6419A)
(43)【公開日】2015年1月15日
【審査請求日】2014年8月26日
(31)【優先権主張番号】特願2012-38390(P2012-38390)
(32)【優先日】2012年2月24日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-38395(P2012-38395)
(32)【優先日】2012年2月24日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】511167906
【氏名又は名称】了▲徳▼寺 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100114498
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】了▲徳▼寺 健二
【審査官】 山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−005595(JP,A)
【文献】 特開2010−046515(JP,A)
【文献】 特開2003−199804(JP,A)
【文献】 特開2008−113876(JP,A)
【文献】 特開2006−296626(JP,A)
【文献】 特開2011−078633(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 39/06
A61F 7/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体表面の少なくとも異なる2ヶ所の熱刺激付与起源部位に当接され、該熱刺激付与起源部位に温熱刺激を付与するための熱刺激用導子と、
前記熱刺激用導子に接続され、該熱刺激用導子から熱刺激付与起源部位に温熱刺激を付与して血流量の増加をもたらすように温熱刺激を制御するための温熱刺激制御装置と、を備え、
前記温熱刺激制御装置は、
電力発生回路の出力を制御して前記熱刺激用導子の表面温度を40℃から50℃±5℃に制御すると共に、互いに重なり合わない位相のずれた独立した熱刺激領域を備えた熱刺激パターンを前記熱刺激用導子に供給して、
該熱刺激付与起源部位における温熱刺激の付与後の血流量を熱刺激の付与前の血流量に比べて60%以上148%以下に増加するように温熱刺激を制御し、
前記熱刺激付与起源部位は、
左右の足裏の第1と第2指中足骨頭間の部位、第2と第3指中足骨頭間の部位及び第1と第2の指間で内側辺縁の延長線上で内踝の垂線と交差する部位を備え、
前記血流量の測定は、手関節内側中央部に装着されたレーザードップラー組織血流計にて測定されることを特徴とする血流量を増加させるための装置。
【請求項2】
前記温熱刺激制御装置にはモード選択機能を備えるモード選択ボタンが設置され、加温のモードとして交互モード・順次モードを選択しうることを特徴とする請求項1記載の血流量を増加させるための装置。
【請求項3】
前記熱刺激用導子は、熱伝導板を備え、該熱伝導板は熱伝導率の異なる2種類の材料で構成され、該2種類の材料の組み合わせは、アルミニウムと金、銅、白金、ステンレス鋼又はダイヤモンドとのいずれかの組み合わせを備えることを特徴とする請求項1記載の血流量を増加させるための装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体表面の刺激付与起源部位へ温熱により刺激することにより末梢循環機能及び自律神経機能を賦活化させる電気温熱刺激装置及び電気温熱刺激制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来において、各種の電気温熱刺激装置が知られている。例えば、電気温熱刺激装置は、発熱素子の先端部をツボに密着させ、プッシュ式スイッチを押して通電してツボを熱する(特許文献1参照)方法、また温熱治療装置の通電制御を、一定時間連続的に加熱して行なう方法(特許文献2参照)や所定温度まで急速に加熱し、その後急速な放熱を行なう方法(特許文献2参照)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3047096号
【特許文献2】特開平5−277194号
【特許文献3】特開2004−173750号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の装置では、連続的に温熱刺激を与えることができない。特許文献2の加熱方法では、目標温度まで加熱するのに時間がかかり、さらに連続的に加熱するので低温火傷を負いやすい。
特許文献2の加熱方法では、急激な温度な上昇と急激な放熱を行なうには温度制御が難しく連続して所望の温度プロフィールを維持することが困難となり、効果的な温熱刺激を与えることができない。
【0005】
本発明の目的は、発明者が鋭意検討を重ねた結果、血流量の増加率を刺激付与の指標とする新たな見地を見出したことに鑑みて、体表面の刺激付与起源部位に効果的に刺激を与えることができる電気温熱刺激装置及び電気温熱刺激制御方法を提供することにある。ここで、温熱刺激装置及び温熱刺激制御方法は、体表面の刺激付与起源部位に刺激を付与して手関節内側中央部に装着されたレーザードップラー組織血流計で血流量を測定し、刺激付与の前後における血流量を増加率させる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、加熱温度を46.5℃から52.5℃に制御し、かつ熱刺激波形、熱刺激強度、温熱印加時間、温刺激波形のサイクル、熱刺激パターン、加温モード、熱刺激のプロトコールの少なくとも1つを制御して手関節内側中央部に装着されたレーザードップラー組織血流計で測定して得られる温熱刺激付与の前後における血流量の増加率を60%以上、好ましくは100%以上に生成し、さらに該熱刺激パターンを実質的に互いに重なり合わないように位相をずらして独立した熱刺激波形を生成する熱刺激制御装置を備え、ここで前記血流量の増加率を該刺激付与の指標として刺激を制御することを特徴とする電気温熱刺激装置である。
【0007】
電気温熱刺激装置は、熱刺激波形の1サイクルを加温波形と放熱波形からなる熱刺激波形と、次の加温曲線までのインターバルで構成し、該熱刺激パターンの1サイクルを熱刺激領域;1秒から30秒、該熱領域間のインターバル;1秒から10秒に設定するように制御することを特徴とする。
【0008】
電気温熱刺激装置は、2種類の異なる金属で構成される熱刺激用導子を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明は、加熱温度を46.5℃から52.5℃に制御し、かつ熱刺激波形、温熱印加時間、温刺激波形のサイクル、熱刺激パターン、加温モード、熱刺激のプロトコールの少なくとも1つを制御して手関節内側中央部に装着されたレーザードップラー組織血流計で測定して得られる温熱刺激付与の前後における血流量の増加率を60%以上、好ましくは100%以上に生成し、さらに該熱刺激パターンを実質的に互いに重なり合わないように位相をずらして独立した熱刺激波形を生成する電気温熱刺激制御方法である。
【0010】
前記温熱刺激制御方法は、熱刺激波形の1サイクルを加温波形と放熱波形からなる熱刺激波形と、次の加温曲線までのインターバルで構成し、該熱刺激パターンの1サイクルを熱刺激領域;1秒から30秒、該熱領域間のインターバル;1秒から10秒に設定し、かつ該熱刺激パターンを実質的に互いに重なり合わないように位相をずらして独立して制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
刺激付与起源部位に効果的に制御された刺激を行なうことにより、血流量を増加させる。刺激は、刺激付与起源部位の少なくとも2ヶ所に非同時に互いに独立して付与される。よって、深部体温の上昇、収縮期血圧の低下、唾液アミラーゼの減少、コルチゾールの減少、肝機能の改善、総コレステロールの減少、善玉並びに悪玉コレステロールの低下、血糖値の低下、AI(動脈硬化指数)の低下、レプチンの減少が得られた。さらに、ハートレーターにより自律神経のバランスを計測した結果、ストレス抵抗度が増加した。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に使用される電気温熱刺激装置を示す概略図である。
図2】電気温熱刺激装置の回路図の概略図である。
図3】電気温熱刺激装置を制御して得られる熱刺激波形及び熱刺激波形のサイクルを示す概略図である。
図4】本発明に使用される電気温熱刺激装置の機能の配置を示す概略図である。
図5】足裏の刺激付与起源部位を示す概略図である。
図6】足裏の刺激付与起源部位への熱刺激プロトコールを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明者は、体表面の特定の刺激付与起源部位へ電気温熱刺激装置による刺激を付与することにより血流量が刺激前後で増加することを見出した。そして、体表面の刺激付与起源部位へ温熱による刺激を付与することにより血流量が増加する見地に基づき、刺激付与起源部位へ刺激を与えて得られる刺激前後の血流量の増加率を指標として、血流量の増加率が所望の値になるように刺激付与起源部位へ温熱刺激を与えるための電気温熱刺激装置及び電気温熱刺激制御方法を提供する。ここで、体表面の刺激付与起源部位とは、温熱刺激の付与により血流量の増加が認められる部位である。
【0014】
前記刺激付与起源部位は、左右の足裏の第1と第2指中足骨頭間の部位、第2と第3指中足骨頭間の部位及び第1と第2の指間で内側辺縁の延長線上で内踝の垂線と交叉する部位の少なくとも2ヶ所である。上記部位の少なくとも2ヶ所に温熱刺激を付与するために温熱刺激装置は、モード選択機能を備える。
【0015】
ここで血流量の測定は、手関節内側中央部に装着されたレーザードップラー組織血流計で測定することが好ましい。レーザードップラー組織血流計ALF21D(Adovans社製)は、半導体レーザー光(波長780nm)を生体組織に照射した際の組織からの反射光を電気信号に変換して処理することにより、生体組織の血流情報を得る。このレーザー組織血流計ALF21Dを用いて健康成人の手関節横紋の中央にC型レーザープローブ(直径10mm、厚さ3mm、レーザー照射面積2mm、測定深度1mm)を装着し、刺激後15分安静時の血流量の変化を計測した。
【0016】
レーザー組織血流量測定の原理は、レーザー光が血管内を流れる赤血球に衝突し、散乱を受ける際に生じるドップラーシフト(周波数変化)を利用するところにある。この測定法の特徴は、無侵襲的、即時応答性かつ連続測定が可能な点にある。さらに今回使用したALF21Dはml/min/100g単位の血流量の表示が可能で、これは、Bonnerらの理論に基づいた信号処理がなされているためである。
【0017】
本発明は、温熱刺激装置によって体表面の刺激付与起源部位に刺激を付与して手関節内側中央部に装着されたレーザードップラー組織血流計で血流量を測定し、該刺激付与の前後における該血流量の増加率を求める。そして、血流量の増加率が得られるように刺激装置で体表面の刺激付与起源部位に温熱刺激を与える。この増加率を刺激付与の指標として刺激付与を制御する。血流量の増加率が60%以上、好ましくは100%以上になるように刺激付与を制御することが好ましい。
【0018】
刺激は、上述した刺激付与起源部位の少なくとも異なる2ヶ所の部位に非同時に互いに独立して付与することが好ましい。刺激は、少なくとも異なる2ヶ所の部位に位相をずらして付与されることが好ましい。刺激は、温熱刺激であることが好ましい。温熱刺激によれば、温熱刺激波形は、所定のピーク値温度;50±5℃まで温度を上昇させ加熱波形と、その後放熱させる放熱波形とを備える。そして、温熱刺激の熱サイクルを連続して繰り返して行なうことが好ましい。加熱波形は、正弦波に限らずにのこぎり波、凹凸波等であってもよい。温熱刺激の1熱サイクルは、加熱波形期間;10秒から30秒、放熱波形期間と次の加熱波形期間とのインターバル期間;1秒から10秒に、それぞれ設定されることが好ましい。
【0019】
さらに、熱刺激は、上記の部位の他に左足の母趾末節骨底と基節骨頭の内側境界部の横紋端との外皮との間の部位、又は甲状腺部位に与えてもよい。
【0020】
この刺激方法を用いれば、付与された刺激の程度を評価することができる。刺激は、温熱刺激付与の前後における血流量の増加率を該刺激付与の指標とし、血流量の増加率を測定して、測定結果をもって刺激の評価を行なう。刺激の効果を考えれば、血流量の増加率が、60%以上、好ましくは100%以上になるように温熱刺激制御することが好ましい。
【0021】
血管が広がって血流量が増加する作用は、刺激によりカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)の産生が高まると考えられる。神経などを刺激することで筋血流の増加により、CGRPなどの放出が亢進させたものと考えられる。すなわち、これにより、求心性神経などの刺激により軸索反射機転が生じ、末端からCGRPが放出され、支配域の血管が拡張する機序によると考えられている。
【0022】
更には、血管を支配する自律神経活動への影響も想定される。筋などの血管は、アドレナリン作動性交感神経とコリン作動性交感神経により支配される。前者は、α受容体を介した血管収縮神経であり、後者は、アセチルコリンを介した血管拡張神経である。前者は、筋の血管に対しては安静時においても常時緊張時に活動し、血管を程度収縮した状態に常時維持する。一方、後者は、神経終末から放出されるアセチルコリンに反応して血管の平滑筋を弛緩することにより血流量を増加させると考えられている。
【0023】
温熱による刺激が副交感神経優位を維持することにより、長期的な交感神経亢進状態が改善される、さらに、深部体温の上昇、血圧変動などから、温熱刺激が全身血圧や自律神経を介して各器官の血流を調節していると考えられる。本発明による体表面の刺激付与起源部位への刺激により血管拡張による血流量の増大により機序と交感神経への影響が顕著になる。
【0024】
刺激付与起源部位へ刺激を付与して血流量を増加させる機序について記載する。
生体に対する精神的なストレスは、大脳辺縁系、視床下部下垂体を介して交感神経を刺激し、血管を収縮させ生体の内臓を含む微小循環を低下させる。
【0025】
さらに、生体活性ホルモンである血管作動性腸管ペプチド(VIP)は、消化管、膵臓、視床下部より分泌され腸蠕動を亢進させ消化管を含む血流を増加させる。さらに、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)により血管新生および微小血管の血管透過性を亢進させる。このVIPおよびVEGFは、特定部位の刺激により有意に増加することから、VIP、VEGFの両作用を惹起させて内臓血流および末梢の血流を増加させると考えられる。
【0026】
これらの結果から、生体のストレス刺激による自律神経を介する交感神経活動および視床下部下垂体刺激ホルモンの過剰反応が、視床下部に作用し、ストレスホルモン放出を抑制するとともにVIPおよびVEGFを介して血流を増加させたものと考えられる。
【0027】
この血流量の増加は、ストレスにより交感神経性皮膚血流反応(SFR)を介した血流量の速度の減少をストレスホルモンの抑制とともにVIP、VEGFを介して血流を増加させたと考えられる。
【実施例】
【0028】
図1は、本発明に使用される電気温熱刺激装置を示す概略図である。図2は、図1の電気温熱刺激装置の回路図の概略図である。
【0029】
図において、電気温熱刺激装置は、制御機能を組み込んだ装置本体10と、装置本体10と導線12で接続された熱刺激用導子14とを備える。装置本体10は、熱刺激パターンを記憶する記憶手段16と、記憶手段16から熱激パターンを読出する制御手段(CPU)18と、熱刺激用導子14に熱刺激パターンを供給する出力手段20を備える。熱刺激パターンに従って上記部位内に熱刺激が導入される。
【0030】
制御手段(CPU)18は、記憶手段16に接続されている。記憶手段16は、艾(もぐさ)の燃焼と同等の刺激具合を得るための熱刺激波形が記憶されている。制御手段(CPU)18は、前記記憶手段16から熱刺激波形を読み出し、温度センサ22の検出に基づいて発熱素子への出力を制御して、熱刺激パターンを熱刺激用導子に出力する。
【0031】
装置本体10は、異なる少なくとも2ヶ所の部位に上述した部位に熱刺激波形を供給するための複数個の熱刺激用導子に接続される。かくして、選択された熱刺激波形が、熱刺激用導子を介して体表面の部位に供給される。
【0032】
前記刺激付与起源部位は、左右の足裏の第1と第2指中足骨頭間の部位、第2と第3指中足骨頭間の部位及び第1と第2の指間で内側辺縁の延長線上で内踝の垂線と交叉する部位の少なくとも2ヶ所である。
【0033】
図3は、上述の電気式温熱刺激装置を制御して得られた熱刺激波形及び熱刺激波形のサイクルを示す概略図である。
【0034】
温熱刺激装置は、熱刺激制御装置を備え、熱刺激制御装置は、熱刺激波形、加熱温度、熱刺激強度、温熱印加時間、温刺激波形のサイクル、熱刺激パターン、加温モード、熱刺激のプロトコールの少なくとも1つを制御する。制御の情報は、熱刺激用導子から出力される。
【0035】
熱刺激制御装置は、上記の制御情報により、手関節内側中央部に装着されたレーザードップラー組織血流計で測定して得られる温熱刺激付与の前後における血流量の増加率を60%以上、好ましくは100%以上を生成し、かつ該熱刺激パターンを実質的に互いに重なり合わないように位相をずらして独立した熱刺激波形を生成する。ここで前記血流量の増加率を該刺激付与の指標とする。
【0036】
熱刺激波形30は、所定のピーク温度;50±5℃まで温度に加熱して得られる加熱波形32と、ピーク温度に達したら加熱をオフにして形成される放熱波形34とを備える。加熱波形32と放熱波形34で囲まれた領域は、熱刺激領域36である。熱刺激領域36は、加熱領域熱38と放熱領域40を備える。波形32は、所定のピーク温度;50±5℃まで温度を加熱して得られる凸型状を有する。加熱波形は、凸型状波形以外に直線状の加熱波形、あるいは凹型波形、ノコギリ状、凹凸状であってもよい。
【0037】
ここで、放熱波形は、加熱波形の立ち上がり角度(水平線を基準に対して)をαとし、加熱をオフにして得られる放熱波形の立ち下り角度(ピーク温度点の垂線を基準に対して)をβとすると、β<αを備える領域を備えることが好ましい。
【0038】
熱刺激強度は、熱刺激領域を可変して得られる。熱刺激強度は、熱刺激領域の面積を大きく、ピーク温度を高く、加熱波形の立ち上がりの勾配を大きくすることにより得られる。
【0039】
熱刺激パターンは、加熱波形32と放熱波形34を備える熱刺激領域36と次の熱刺激領域36との間にインターバルを備える第1熱刺激パターン38と、前記第1の熱刺激パターンと位相をずらして形成される第2の熱刺激パターン40を備える。
【0040】
熱刺激パターンの1サイクルは、熱刺激領域;10秒から30秒、該熱領域間のインターバル;1秒から10秒に設定されることが好ましい。熱刺激パターンは、実質的に互いに重なり合わない位相のずれた独立した熱刺激領域を備える。そして、熱刺激パターンのサイクルは、10分から30分繰り返えされることが好ましい。
【0041】
温度センサは、人体の部位に接触するハウジングの所定の位置に設けられ、その位置の温度を検出してセンサアンプに検出信号を与える。制御手段(CPU)は、人体の皮膚表面に接触する温度が所定の温度を超えないように電力発生回路の出力を制御する。温熱装置は、熱刺激用導子の表面温度を40℃から50℃±5℃に制御する。
【0042】
温度センサで検出される発熱素子による加熱温度が、所望の基準温度以下のときに、温度センサの出力に応じてパルス信号の正側期間を長く、負側期間を短くなるように制御し、また基準温度状態では逆に正側期間を短く、負側期間を長くなるように制御する。
【0043】
装置本体10は、異なる少なくとも2ヶ所の上述した部位に熱刺激パターンを供給するための複数個の熱刺激用導子に接続される。かくして、選択された熱刺激パターンが、熱刺激用導子を介して上述した部位に供給される。
【0044】
温度センサ22は、発熱素子の近傍で患部温度に対して相関のある位置に設ける。熱刺激用導子は、以下の構造を備える。熱刺激用導子14は、装置本体を構成するケーシングと、ケーシング内に熱刺激を加えるための温熱源となるヒータと、ヒータの熱を被使用者の皮膚に伝えるためのケーシングの下面に設けられた熱伝導板と、ケーシングの上面に設けられた密封板とを備える。
【0045】
温度センサは、人体の部位に接触するハウジングの所定の位置に設けられ、その位置の温度を検出してセンサアンプに検出信号を与える。制御手段(CPU)は、人体に皮膚表面接触する温度が所定の温度を超えないように電力発生回路の出力を制御する。
【0046】
温度センサで検出される発熱素子による加熱温度が所望の基準温度以下のときは、温度センサの出力に応じてパルス信号の正側期間を長く、負側期間を短くなるように制御し、また基準温度状態では逆に正側期間を短く、負側期間を長くなるように制御する。
【0047】
熱刺激用導子の熱伝導板は、以下の材料が用いられ、これら材料の少なくとも2種類の熱伝導率の異なる材料で構成される。室温付近での材料の熱伝導率(単位;W・m-1・K-1)は以下の通りであり、熱伝導率の異なる少なくとも2つの材料を組み合わせて使用する。
【0048】
カーボンナノチューブ;3000〜5500、ダイヤモンド;1000〜2000、銀;420、銅;398、金;320、アルミニウム;236、シリコン;168、真鍮;106、鉄;84、白金;70、ステンレス鋼;16.7〜20.9、ガラス;1、エポキシ樹脂;0.21、シリコーンゴム;0.16である。
【0049】
熱伝導率の異なる材料の組み合わせとしては、アルミニウムと金、銅、白金、ステンレス鋼、又はダイヤモンドとのいずれかの組合せ、ステンレス鋼とダイヤモンド、金、又は白金等の組合せが考えられる。これらの組み合わせに限定されるものではない。なお、例えば、精神的ストレスレベルが高いほど、熱伝導率の差が大きい組み合わせが好ましい。
【0050】
被験者は成人男女を対象とする。刺激付与部位に上記の電気式温熱装置を使用して温熱刺激を行なった。プローブは直径10mmでピーク温度50±5℃を15分、温熱刺激を行なうよう設定をする。プローブを以下の温熱刺激部位の体表面に設けて体表面の温度を40℃〜50℃で温熱刺激を行なった。
【0051】
電気温熱刺激装置の温熱制御操作を以下に記載する。
上述した温熱刺激部位の2ヵ所に熱刺激用導子を固定する場合を説明する。2個の熱刺激用導子を選択した2ヶ所の部位に固定し、温熱刺激部位装置に電源を入れる。ここで、熱刺激用導子の温度の設定及び刺激付与の仕方について温熱刺激部位が2ヵ所の場合を、図4を参照して説明する。熱刺激用導子1及び2を使用する。温度設定スイッチで温度を調節する。スイッチを押す毎に1−2−3−4−5の順に温度が46.5℃から52.5℃に制御される。
【0052】
加温のモードとして交互モード・順次モードを選択する、モード選択機能を備えるモード選択ボタンが設置されている。交互モードでは、2個の熱刺激用導子1、2がそれぞれ交互に加温・休止を繰り返す。順次モードでは、2つの熱刺激用導子が順番に1つずつ加温を繰り返す。かくして、加温(温熱)が、2ヶ所の異なる部位に非同時に互いに独立して供給される。4ヶ所の部位を加温(温熱)するには、4個の熱刺激用導子を使用する。また、加温間隔のインターバル(時間)モードが選択できる。交互モードを選択し、その後インターバル(時間)モード「短・中・長」を選択する。例えば、交互モードと短では、熱刺激用導子1と2を交互に加温した5秒後(中では10秒後、長では15秒後)に休止します。順次モードと短では、熱刺激用導子1と2は、7.5秒間隔で順次に加温される。
【0053】
刺激付与起源部位は、左右の足裏の(i)第1と第2指中足骨頭間の部位、(ii)第2と第3指中足骨頭間の部位及び(iii)第1と第2の指間で内側辺縁の延長線上で内踝の垂線と交叉する部位の少なくとも2ヶ所である。そして、この選択された部位に温熱刺激が与えられる。この部位の位置を図5に示す。これら刺激付与起源部位は、血流量の増加が図られると共に深部体温の上昇等の上述した刺激による効用が得られる部位である。
【0054】
少なくとも2つ刺激付与起源部位の組合せは、(i)と(ii)、(i)と(iii)、(ii)と(iii)、さらに左右の足の(i)、左右の足の(ii)、右の足の(iii)等である。そして、これら組合せの刺激付与起源部位に非同時に互いに独立して刺激が付与される。
【0055】
自律神経を介する精神性ストレスへの影響を考慮して、被験者を20分間仰臥位の状態で安静にした。この後、刺激直前に血圧、深部体温、唾液アミラーゼ、ハートレーター(動脈年齢)を計測する。その後温熱刺激を15分間行い、刺激直後に再測定する。
【0056】
熱刺激のプロトコールを図6に示す。安静仰臥位で血圧等の検査・測定、採血し、その後熱刺激を付与する。その後、安静仰臥位で血圧等の検査・測定、採血する。
【0057】
表1は、上記温熱刺激部位に電気温熱刺激装置を用いて温熱刺激を付与し、レーザードップラー組織血流計を用いて手関節横紋の中央部の刺激付与の前後の血流量を測定した結果を示す。表より、刺激の付与の前後で血流量の増加が認められた。該表より血流の増加率;60%以上、好ましくは120%以上で治療効果が顕著であった。
【0058】
【表1】
【0059】
上記温熱刺激部位での血流量の増加に伴い、深部体温の上昇(+2.1)。収縮期血圧の低下(−4.5)、唾液アミラーゼの低減、コルチゾールの減少、肝機能の改善、総コレステロールの減少、善玉並びに悪玉コレステロールの低下、血糖値の低下(−5.25)、AI(動脈硬化指数)の低下(−0.02)、レプチンの減少が達成された。ハートレーターにより自律神経のバランスを計測した結果、ストレス抵抗度が増加した(+12.25)。
【産業上の利用可能性】
【0060】
ストレスをフリーにする刺激治療、ストレスをフリーにする電気温熱刺激治療。
図1
図2
図3
図4
図5
図6