特許第5955928号(P5955928)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ベルテックの特許一覧

<>
  • 特許5955928-設置物固定具 図000002
  • 特許5955928-設置物固定具 図000003
  • 特許5955928-設置物固定具 図000004
  • 特許5955928-設置物固定具 図000005
  • 特許5955928-設置物固定具 図000006
  • 特許5955928-設置物固定具 図000007
  • 特許5955928-設置物固定具 図000008
  • 特許5955928-設置物固定具 図000009
  • 特許5955928-設置物固定具 図000010
  • 特許5955928-設置物固定具 図000011
  • 特許5955928-設置物固定具 図000012
  • 特許5955928-設置物固定具 図000013
  • 特許5955928-設置物固定具 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5955928
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】設置物固定具
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/00 20060101AFI20160707BHJP
   E04D 13/18 20140101ALI20160707BHJP
   H02S 20/24 20140101ALI20160707BHJP
【FI】
   E04D13/00 L
   E04D13/18ETD
   H02S20/24
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-238178(P2014-238178)
(22)【出願日】2014年11月25日
(62)【分割の表示】特願2011-256993(P2011-256993)の分割
【原出願日】2011年11月25日
(65)【公開番号】特開2015-61970(P2015-61970A)
(43)【公開日】2015年4月2日
【審査請求日】2014年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】510153113
【氏名又は名称】株式会社ベルテック
(74)【代理人】
【識別番号】100102048
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 光司
(72)【発明者】
【氏名】澤西 良三
(72)【発明者】
【氏名】速水 睦裕
【審査官】 五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−167754(JP,A)
【文献】 特開2011−157761(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/00
E04D 13/18
H02S 20/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地側支持部材に取付下地への固定部を備え、
前記下地側支持部材に対し、連結自在な設置物支持部材を設け、
設置物に対する連結用ボルトの頭部を係入自在なボルト挿通部を前記設置物支持部材に設け、
前記ボルト挿通部を長孔に形成すると共に、その長孔の長手方向を変更自在にする長孔方向変更機構を、前記設置物支持部材に設け、
前記長孔方向変更機構を構成するのに、
前記設置物支持部材を、設置物連結部材と支持連結部材とに分割構成すると共に、前記設置物連結部材と前記支持連結部材との夫々の周壁部を上下に軸心を沿わせた円筒形状にして、互いに嵌合させて上下軸心周りに相対回転自在に形成し、
前記設置物連結部材の周壁部に横長孔を設けると共に、その横長孔に挿通自在な連結ボルトを前記支持連結部材の周壁部に取り付けて、前記設置物連結部材と前記支持連結部材とを互いに連結自在にする連結部を構成し、
前記横長孔に連結ボルトを挿通させた状態で、前記設置物連結部材を前記支持連結部材に対して相対回転させて前記長孔の長手方向を変更自在に形成してある設置物固定具。
【請求項2】
前記横長孔を上下2段で、且つ、横方向で互いに位置ずれさせて併設し、
上下夫々に設けた前記横長孔に選択的に使い分けて前記連結ボルトを挿通させて、前記設置物連結部材を前記支持連結部材に対して相対回転させて前記長孔の長手方向を変更自在にしてある請求項1に記載の設置物固定具。
【請求項3】
前記設置物支持部材を前記下地側支持部材に対して上下位置変更自在に連結する上下位置変更機構を設けてある請求項1または2に記載の設置物固定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設備機器などの設置物を、例えば建物のコンクリート床等に設置して固定するための設置物固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前記設置物固定具は、図13に示すように、上部に開口部4を形成する有底筒状の下地側支持部材5に、横外側に延出するフランジ部10を設けると共に、底部に取付下地2への固定部12を備え、前記開口部4及び前記フランジ部10を上方から覆う蓋状の設置物支持部材9を設け、固定部12に取付下地2に固定したアンカーボルト8を挿通させてナットNで固定操作を行うための作業孔22を、下地側支持部材5の横外側に設け、フランジ部10と設置物支持部材9の上面に、それらを連結するためのボルトの第2挿通孔24を設けると共に、設置物支持部材9の上面に設置物3を固定するためのボルト挿通部17を設けてあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−167754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の前記設置物固定具は、前記下地側支持部材5の横外側に形成した大きな作業孔22からの雨水の浸入の虞や、設置物支持部材9の上面に形成した第2挿通孔24、及び、ボルト挿通部17から下地側支持部材5内への雨水の侵入の虞があり、下地側支持部材5内へ雨水が侵入すると、固定部12を通して取付下地2に水が侵入して、建物内への漏水の原因になる危険性があり、厳重にシールする防水構造を考えなければならなかった。
【0005】
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、下地側支持部材内への雨水の浸入を防止し易い設置物固定具を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の特徴構成は、下地側支持部材に取付下地への固定部を備え、前記下地側支持部材に対し、連結自在な設置物支持部材を設け、設置物に対する連結用ボルトの頭部を係入自在なボルト挿通部を前記設置物支持部材に設け、前記ボルト挿通部を長孔に形成すると共に、その長孔の長手方向を変更自在にする長孔方向変更機構を、前記設置物支持部材に設け、前記長孔方向変更機構を構成するのに、前記設置物支持部材を、設置物連結部材と支持連結部材とに分割構成すると共に、前記設置物連結部材と前記支持連結部材との夫々の周壁部を上下に軸心を沿わせた円筒形状にして、互いに嵌合させて上下軸心周りに相対回転自在に形成し、前記設置物連結部材の周壁部に横長孔を設けると共に、その横長孔に挿通自在な連結ボルトを前記支持連結部材の周壁部に取り付けて、前記設置物連結部材と前記支持連結部材とを互いに連結自在にする連結部を構成し、前記横長孔に連結ボルトを挿通させた状態で、前記設置物連結部材を前記支持連結部材に対して相対回転させて前記長孔の長手方向を変更自在に形成したところにある。
【0007】
本発明の第1の特徴構成によれば、例えば、複数の設置物固定具で設置物を支持して固定する場合に、隣接する設置物固定具間で、設置物に対する連結部同士の距離が、多少変位しても、連結部における連結用ボルト間の距離が変位する方向に、長孔状に形成したボルト挿通部の長手方向を合わせるように長孔方向変更機構により調整することで、自在に連結固定できる。
また、下地側支持部材を取付下地に固定した後に、設置物に対して連結用ボルトで連結する場合に、設置物のボルト挿通孔と設置物支持部材に設けたボルト挿通部との位置合わせが、長孔に形成したボルト挿通部を長孔方向変更機構により長孔の方向を自在に変更することで、簡単に可能になる。
従って、設置物の固定が簡単に行えるようになり、作業性を向上させることができるようになった。
【0008】
本発明の第2の特徴構成は、前記横長孔を上下2段で、且つ、横方向で互いに位置ずれさせて併設し、上下夫々に設けた前記横長孔に選択的に使い分けて前記連結ボルトを挿通させて、前記設置物連結部材を前記支持連結部材に対して相対回転させて前記長孔の長手方向を変更自在にしたところにある。
【0009】
本発明の第3の特徴構成は、前記設置物支持部材を前記下地側支持部材に対して上下位置変更自在に連結する上下位置変更機構を設けたところにある。
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】設置状態を示す全体図である。
図2】分解斜視図である。
図3】組み立て状態の全体斜視図である。
図4】設置物連結部材を下から見た斜視図である。
図5】要部断面図である。
図6】要部縦断側面図である。
図7】別実施形態の下地側支持部材の分解斜視図である。
図8】(a)は別実施形態の下地側支持部材の分解斜視図で、(b)は要部縦断面図である。
図9】別実施形態の分解斜視図である。
図10】別実施形態の組み立て状態を示す斜視図である。
図11】(a)、(b)、(c)は夫々別実施形態の要部分解斜視図である。
図12】別実施形態の要部縦断面図である。
図13】従来例の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔第1実施形態〕
以下に本発明の実施の形態を、図1図6に基づいて説明する。
図1に示すように、本発明の設置物固定具の一実施形態品(以後、単に固定台1という)を使用して、屋上のコンクリート床やベランダ等の建築物(取付下地2の一例)の上に、アンテナの支柱等の設置物3を固定してある状況を示している。
【0016】
前記コンクリート床2の上には、防水シート6が敷設してある。
当該実施形態においては、コンクリート床2の全域に防水シート6が敷設してある状態で、その上に、金属製の当該固定台1を設置して、設置物3を固定台1に固定してある例を示している。従って、固定台1を設置した後、その周囲に、図6に示すように、防水シート6と固定台1の外周部にわたる状態に立上り防水層7を設置し、その上端部をバンド29で縛ると共に、シール剤30を塗布して雨水の浸入を防止し、固定台設置部分から下方への漏水防止を図っている。
コンクリート床2における固定台設置箇所には、予め、アンカーボルト8が設置してあり、このアンカーボルト8に固定台1が固定されている。
【0017】
前記固定台1は、上部に開口部4を形成する有底筒状の下地側支持部材5と、開口部4を上から覆う蓋部材13と、その蓋部材13に連結する設置物支持部材9とから構成してある。
前記下地側支持部材5の有底筒状の底部には、取付下地2に取り付けたアンカーボルト8を挿通する第1挿通孔11を形成して、取付下地2に対する固定部12を構成してある。
尚、下地側支持部材5の底部には、径方向外方に延設する鍔状設置部14を形成してあり、この鍔状設置部14にもボルト挿通孔15を周方向に複数設けて、取付下地2に固定できるように構成してある。
【0018】
前記開口部4の外周側に形成される前記下地側支持部材5の第1周壁部18に対し、その外側を囲繞する第2周壁部19を蓋部材13に設け、第1周壁部18と第2周壁部19とに互いに連結自在な第1連結部20を設け、第2周壁部19に対する第2連結部21を備えた設置物支持部材9を設け、設置物3に対する連結用ボルト16の頭部を係入自在なボルト挿通部17を設置物支持部材9に設け、蓋部材13の天面を、ボルト挿通部17の下側でそのボルト挿通部17を通して侵入する雨水を受けて蓋部材13の横外方に排出する雨水誘導ガイド部に形成してある。
【0019】
図2図6に示すように、前記第1周壁部18に設ける第1連結部20は、第1周壁部18にチャンネル材25を溶接一体化し、そのチャンネル材25にボルト挿通孔15を複数個形成して凹部内にナットNを内装して構成してある。
前記第2周壁部19に設ける第1連結部20は、第1周壁部18に設けた第1連結部20夫々に対応した位置に、複数のボルト挿通孔15を設けてあるだけである。従って、連結ボルト23を第1連結部20のボルト挿通孔15に挿通させて、チャンネル材25のナットNに螺合させることで、下地側支持部材5に蓋部材13を、連結一体化が可能になるように構成してある。
【0020】
第2連結部21を上下方向の長孔26にして、設置物支持部材9の第3周壁部27に形成し、設置物支持部材9を下地側支持部材5に対して上下位置変更自在に連結する上下位置変更機構に形成してある。
尚、第1連結部20と第2連結部21とは、図2図6に示すように、連結ボルトとナットNとで共締めして、下地側支持部材5に蓋部材13と設置物支持部材9とが同時に連結固定されるように構成してある
【0021】
前記設置物支持部材9を、ボルト挿通部17を備えた設置物連結部材9Aと第3周壁部27に第2連結部21を備えた支持連結部材9Bとに分割構成すると共に、設置物連結部材9Aと支持連結部材9Bとを互いに連結自在にする第3連結部28を設け、設置物連結部材9Aを支持連結部材9Bに対して横方向に変位自在にする横変位機構を第3連結部28に設けてある。つまり、第3連結部28は、第3周壁部27の上部に形成した横方向に長い横長孔31と、設置物連結部材9Aの第4周壁部32に形成した丸孔33から形成し、その横長孔31と丸孔33に同時に連結ボルト23を挿通させて締め付けることで、横変位機構を構成してある。
【0022】
図2図6に示すように、前記設置物連結部材9Aの天面に形成したボルト挿通部17は、ボルト頭を挿通自在な大径孔部17Aと、ボルトの軸部より少し大きい幅でボルト頭を抜け止めする長孔状の係止孔部17Bとが一連に形成され、設置物連結部材9Aの天面の裏側に、ボルト頭を回り止めする樋状の係止部材34を溶接により一体的に取り付けてある。つまり、ボルト頭を大径孔部17Aに上方から挿通させた後に、係止孔部17Bの長手方向に移動させることで、ボルトは抜け止めされ、しかも、ボルト頭は、係止部材34により回り止めされるように構成してある。
また、前記樋状の係止部材34は、設置物連結部材9Aの天面の裏側に一体に溶接してあることにより、天面におけるボルト挿通部17周辺部の補強の役目を担い、ボルト挿通部17に係止した連結用ボルト16に、引抜力が働いた時に、天面が変形しながらボルト挿通部17の係止孔部17Bの幅が拡大して連結用ボルト17が抜けてしまうのを防止できる。
【0023】
〔第2実施形態〕
前記ボルト挿通部17を長孔に形成すると共に、その長孔の長手方向を変更自在にする長孔方向変更機構を、設置物支持部材9に設けるために、図9図11に示すように、下地側支持部材5、蓋部材13、設置物支持部材9のすべてを、上下に軸心を沿わせた円筒形状にして、上下軸心周りに回転自在に形成しても良い。つまり、第1周壁部18、第2周壁部19、第3周壁部27、第4周壁部32を円筒形状に形成して、図11(a)、(b)、(c)のように、支持連結部材9Bに対して設置物連結部材9Aを360度相対回転させてボルト挿通部17の長手方向を変更することで、連結用ボルト16の取り付け位置を横方向の2次元方向に変位して自在に調整できるように構成してある。尚、横変位機構の横長孔31は、上下に2段に併設して、上記相対回転させて連結ボルト23を挿通させる際に、使い分けできるように構成してある。
〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。
〈1〉 前記設置物3は、実施形態のように、アンテナの支柱以外に、太陽電池パネルの支持フレームであったり、その他の装置であっても良い。
〈2〉 設置物支持部材9は、設置物連結部材9Aと支持連結部材9Bとに分割構成してある場合以外に、それらが一体形成してあるものであっても良い。
〈3〉 前記設置物支持部材9の天面に設けたボルト挿通部17は、長孔状以外に、スリット状であっても良く、また、連結用ボルト16の取り付け位置の調整が不要であるならば、単にボルト頭が係止する大きさの丸孔形状であっても良い。
〈4〉 第1連結部20と第2連結部21とは、連結用ボルト16とナットNとで共締めして、下地側支持部材5に蓋部材13と設置物支持部材9とが同時に連結固定されるように構成したが、第2周壁部19に対し第1連結部20とは異なる位置に、第2連結部21が位置して、別々の連結用ボルト16とナットNで個別に連結するように形成しても良い。この場合、設置物支持部材9に設ける第2連結部21を、丸孔にすると共に、第2周壁部19に設ける第2連結部21を上下長孔に形成して、上下変更機構を構成するようにすることも考えられる。
〈5〉 前記下地側支持部材5は、第1連結部20を構成するのに、図7に示すように、第1周壁部18の上端縁部に、金属製の帯状の補強帯板35を全周にわたって一体に溶接し、その補強帯板35にナットNを溶接により取り付けて第1連結部20を構成してあっても良い。また、図8(a)、(b)に示すように、ナットNを上方から嵌入することで回り止めして収容するナット収納箱部材36を溶接着けしてあっても良い。この場合、ナット収納箱部材36は、板金製で金属板を折り曲げて形成し、底板部36Aを第1周壁部18より遠ざかるほど低くなるように傾斜させると共に、下部コーナー部に隙間37を形成し(図8(a))、上方のナット出入用開口部より例え雨水が浸入したとしても、その隙間37から外方へ排出されるように構成してある。また、ナット収納箱部材36内にナットNを挿入させると、傾斜した底板部36Aに受けられたナットNは、ボルト挿通孔20Aに近接する(図8(a))ように案内される。しかし、この状態では、ボルト挿通孔20Aの中心軸心と、ナットNの中心軸心は合わず、ボルト挿通孔20Aから連結ボルト23によって、ナットNが第1周壁部18に近接するように押し込まれることによって、挿入する双方の軸心が一致するように(図8(c))設定してある。
〈6〉 前記係止部材34は、図12に示すように、連結用ボルト16の頭の回り止めを行うのに、内側にボルト頭に接当する棒状部材を溶接により一体取付してあっても良い。
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0024】
2 取付下地
3 設置物
4 開口部
5 下地側支持部材
9 設置物支持部材
9A 設置物連結部材
9B 支持連結部材
12 固定部
13 蓋部材
16 連結用ボルト
17 ボルト挿通部
18 第1周壁部
19 第2周壁部
20 第1連結部
21 第2連結部
28 第3連結部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13