(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記パッケージ本体の前壁側に設けられ、前記収容部と前記蓋部とを跨いで覆い、前記蓋部の回動を規制するカバーを更に備える、請求項1から3の何れか1項に記載のヒンジリッドパッケージ。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明に係るヒンジリッドパッケージの実施形態について、図面に基づいて説明する。本発明が適用されるヒンジリッドパッケージに収容する被収容物は特定のものに限定されないが、ここでは、フィルタシガレットや両切シガレット等のたばこ商品をパッケージに収容する場合を例に説明する。また、本実施形態に記載されている構成要素の、材質、形状、その相対配置等は、特に特定的な記載がない限りは、発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0024】
<第一実施形態>
(構成)
図1は、第一実施形態に係るヒンジリッドパッケージ(以下、単に“パッケージ”という)101のリッド3を閉じた状態の斜視図を示す。
図2A、
図2Bは、パッケージ101のリッド3を開放した状態の斜視図を示す。
図3は、パッケージ101の分解斜視図を示す。パッケージ101は、略直方体形状を有する所謂ヒンジ蓋付きボックス型パッケージである。パッケージ101は、収容部としてのアウタボックス21と、アウタボックス21に第1ヒンジ6を介して回動自在に連結される蓋部材としてのリッド3を含むパッケージ本体2と、パッケージ本体2の後壁側に設けられたアウタ7を含んで構成されている。以下、本明細書では、特に言及する場合を除いて、パッケージ101の正面側を“前方”と定義し、背面側を“後方”と定義する。また、パッケージ101のリッド側を“上方”と定義し、反対側(パッケージの底側)を“下方”と定義する。第一実施形態に係るパッケージ101は、例えば紙材、又は樹脂によって構成することができるが、これには限定されない。
【0025】
アウタボックス21は、直方体形状の上端側が斜めに切り欠かれた形状を有する箱体である。アウタボックス21は、前壁23、後壁24、側壁25、下壁26を有する。前壁23及び後壁24は夫々長方形であり、後壁24は前壁23に比べて高さ寸法が長尺の長方形であり、前壁23と対向している。一組の側壁25は、前壁23及び後壁24の両側縁と連結され、長方形の上端が斜辺となった台形状である。すなわち、側壁25の上端縁251は、前壁23の上端と後壁24の上端とを結ぶように傾斜している。下壁26は、長方形であり、前壁23及び後壁24の下端に連結されている。
【0026】
また、アウタボックス21の後壁24の上端には第1ヒンジ6が形成されている。この第1ヒンジ6は、各側壁25の上端縁251の後部間に亘って延伸し、後壁24とリッド3とを相互に回動自在に連結している。以上のように構成されるアウタボックス21は、その上端に開口端211を備えている。そして、この開口端211の後側縁に、第1ヒンジ6を介してリッド3が、回動(旋回)自在に接合(連結)されている。
【0027】
インナフレーム22は、略U字形状の前面フレーム28と、この前面フレーム28の両側縁に連結された側面フレーム29とを有する。インナフレーム22は、アウタボックス21の上部の開口端211から部分的に上方へ突出した状態で、アウタボックス21の内面、具体的には、前壁23及び側壁25の内面に接着されている。インナフレーム22は、アウタボックス21の開口端211を補強するとともに、リッド3の開閉を案内するガイドとしても機能する。
【0028】
前面フレーム28は、
図2A、
図2Bに示すように略長方形の切欠き凹部28aを有する。切欠き凹部28aは、インナフレーム22の前面を大きく開き、たばこ商品(被収容物)の取り出しを容易にしている。
【0029】
なお、インナフレーム22は、パッケージ101を構成する上で必須の部材ではない。すなわち、インナフレーム22を省略し、パッケージ101は、より簡易な構成としてもよい。また、第一実施形態では、インナフレーム22を、アウタボックス21とは別部材としてアウタボックス21の内面に接着しているが、これらを同一のブランク(材)で形成してもよい。また、アウタボックス21の前壁23の上端を、切欠き凹部28aと同様な形状とすることで、インナフレーム22を省略してもよい。
【0030】
リッド3は、第1ヒンジ6に連結されている長方形の後壁31と、後壁31に直交するように連結されている長方形の上壁32と、上壁32に直交するように連結されている長方形の前壁33と、一組の側壁34とを有している。リッド3の一組の側壁34は、夫々台形状であり、後壁31、上壁32及び前壁33の各側縁と連結されている。上記のようにリッド3は第1ヒンジ6を中心に回動自在であり、リッド3が閉じた際に、その側壁34の斜辺すなわち側壁34の傾斜下端縁が、アウタボックス21における側壁25の上端縁251と互いに合致する。
【0031】
アウタ7は、後壁74、側壁73、上壁72、下壁71を有する。アウタ7の後壁74は長方形であり、パッケージ本体2の後壁側の面積(アウタボックス21の後壁24の面積とリッド3の後壁31の面積とを足した面積)と凡そ同じ面積を有している。そのため、アウタ7は、アウタボックス21の後壁24及びリッド3の後壁31の全面を覆う。アウタ7の側壁73は、後方側の縁がアウタ7の後壁74の両側縁と連結され、上下方向の縁がアウタ7の上壁72及び下壁71の夫々の両側縁と連結している。アウタ7の一組の側壁73は、長方形であり、互いに対向しており、アウタ7の後壁74と一組のアウタ7の側壁73は直交している。第一実施形態では、アウタ7の側壁73の奥行(短手方向の長さ)が、パッケージ本体2の奥行の約2分の1に設計されている。なお、アウタ7の側壁73の奥行の寸法は、上記に限定されるものではない。例えば、アウタ7の側壁73の奥行の寸法は、パッケージ本体2の奥行の寸法の約4分の1から3分の1でも本発明の目的は達成できる。但し、アウタ7の側壁73の奥行の寸法は、特にパッケージ本体2の奥行の約2分の1とすることでリッド3の開け易さの向上と、蓋閉まりの向上をバランスよく実現できる。また、例えば、リッド3側の奥行をパッケージ本体2の奥行の約2分の1とし、下壁26側に向けて奥行を徐々に短くしてもよい。アウタ7の側壁73の高さ(長手方向の長さ)は、パッケージ本体2の高さよりも僅かに大きく設計され、アウタ7内にパッケージ本体2を収容できるようになっている。
【0032】
アウタ7の上壁72は、前方側の領域722と後方側の領域721とによって構成されており、アウタ7の後壁74及び側壁73と直交している。アウタ7の上壁72の奥行は、前方側の領域722が内側に折り返されることで、パッケージ本体2の奥行の約2分の1に設計されている。後方側の領域721は、長方形であり、リッド3の上壁32の約2分の1の面積を有している。また、前方側の領域722も長方形であり、後方側の領域721と同じく、リッド3の上壁32の約2分の1の面積を有している。前方側の領域722は、内側に折り返され、リッド3の上壁32の後方側の領域に接続される。アウタ7の上壁72と後方側領域721との境界、換言すると前方側の領域722と後方側の領域721との境界にある折り目は、リッド3を開放する際の第2ヒンジ61として機能する。
【0033】
アウタ7の下壁71も長方形であり、アウタ7の後壁74及び側壁73と直交している。アウタ7の下壁71の奥行は、パッケージ本体2の奥行とほぼ同様に設計されている。また、アウタ7の下壁72は、前方側の領域712と後方側の領域711とを備え、各領域711,712の奥行は夫々パッケージ本体2の奥行の約2分の1に設計されている。前方側の領域712の内面が接着領域であり、アウタボックス21の下壁26の外面の前方側に接着される。そして、前方側の領域712と後方側の領域711との境界が、リッド3を開放する際の第3ヒンジ62として機能する。
【0034】
(ブランク)
第一実施形態において、パッケージ101は、アウタボックス21及びリッド3を成形する第1ブランクB1と、インナフレーム22を成形する第2ブランクB2と、アウタ7を成形する第4ブランクB4の各所を折り込み、接合することで成形することができる。
図4Aは、第1ブランクB1を示し、
図4Bは、第2ブランクB2を示し、
図4Cは、第4ブランクB4を示す。第1ブランクB1,第2ブランクB2,第4ブランクB4にはカード紙、マニラボール紙等の紙材、又はプラスチックシートなどの樹脂を用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、ブランクの説明では、図の上下方向を基準に説明する。
【0035】
図4Aに示すように、第1ブランクB1は、アウタボックス21となるアウタボックス区域R1、リッド3となる蓋区域R2を有している。アウタボックス区域R1は、アウタボックス21の前壁23となる前壁パネルP1を有しており、前壁パネルP1の両側縁には、アウタボックス21の側壁25となる側壁パネルP2,P2が連なっている。
【0036】
また、前壁パネルP1の上縁(
図4Aにおける上縁)には、アウタボックス21の下壁26となる下壁(底板)パネルP3が連なっている。下壁パネルP3には、前壁パネルP1とは反対側に位置してアウタボックス21の後壁24となる後壁パネルP4が連なっている。この後壁パネルP4の両側縁には、側壁パネルP2に対するインナサイドフラップP5,P5が連なっている。更に、各インナサイドフラップP5の下縁には、インナボトムフラップP6が連なっており、これらインナボトムフラップP6は下壁パネルP3に重ね合わされ、アウタボックス21の下壁26の補強をなす。
【0037】
蓋区域R2は、リッド3の後壁31となる後壁パネルP7を有しており、後壁パネルP7の下縁は、第1ヒンジ6となる第1ヒンジラインL1を介してアウタボックス区域R1の後壁パネルP4と連結されている。また、蓋区域R2の後壁パネルP7の上縁には、リッド3の上壁32となる上壁パネルP8が連なっている。また、後壁パネルP7の両側縁には、リッド3の側壁34の一部となるインナサイドフラップP9が夫々連なっている。そして、各インナサイドフラップP9の上縁には、インナトップフラップP10が連なっており、これらインナトップフラップP10は上壁パネルP8に重ね合わされ、上壁32の補強をなす。
【0038】
更に、上壁パネルP8の上縁には、後壁パネルP7とは反対側に位置してリッド3の前壁33となる前壁パネルP11が連なっている。前壁パネルP11の上縁には、前壁補強パネルP11−1が更に連なっている。前壁補強パネルP11−1が内側に折り返され、前壁パネルP11に重ねあわされ、接着されることで、リッド3の前壁33の補強をなす。また、前壁パネルP11の両側縁には、リッド3における側壁34となる側壁パネルP12が夫々連なっている。上述したインナサイドフラップP9は、側壁パネルP13に重ね合わされ、接着されることで、側壁34の補強をなす。
【0039】
図4Bに示すように、第2ブランクB2は、インナフレーム22の前面フレーム28となる前面パネルP13を有し、前面パネルP13の両側縁には、インナフレーム22の側面フレーム29となる側面フラップP14が夫々連なっている。
【0040】
図4Cに示すように、第4ブランクB4は、アウタ7の後壁74となる後壁パネルP21を有しており、後壁パネルP21の下縁には、アウタ7の下壁71となる下壁パネルP22が連なっている。また、後壁パネルP21の上縁には、前方側の領域722と後方側の領域721を含むアウタ7の上壁72となる上壁パネルP25が連なっている。後壁パネルP21の両側縁には、アウタ7の側壁73となる側壁パネルP23,P23が夫々連なっている。側壁パネルP23,P23の下縁には、インナボトムフラップP24が夫々連なっており、これらのインナボトムフラップP24は下壁パネルP22に重ね合わされ、接着されることで、下壁71の補強をなす。また、側壁パネルP23,P23の上縁には、インナトップフラップP26が夫々連なっており、これらのインナトップフラップP26は上壁パネルP25に重ね合わされ、接着されることで、上壁72の補強をなす。
【0041】
上述した第1ブランクB1、第2ブランクB2、及び第4ブランクB4は、
図4A、
図4B、
図4C中破線で示した折り込み線で夫々折り込まれる。その結果、
図1から
図3に示すようなアウタボックス21とリッド3を含むパッケージ本体2、及びアウタ7が夫々成形される。第1ブランクB1のアウタボックス区域R1においては、各折り込み線で折り込まれ、インナボトムフラップP6が下壁パネルP3に重ねられ、インナサイドフラップP5が側壁パネルP2に接着されることで、パッケージ本体2のアウタボックス21が成形される。そして、アウタボックス区域R1の前壁パネルP1に対して、第2ブランクB2の前面パネルP13が接着されることで、アウタボックス21及びインナフレーム22が一体となったパッケージ本体2が成形される。
【0042】
一方、第1ブランクB1の蓋区域R2においては、各折り込み線で折り込まれ、側壁パネルP12がインナサイドフラップP9に接着され、インナトップフラップP10が上壁パネルP8に重ねられることで、リッド3が成形される。
【0043】
第4ブランクB4についても、折り込み線で夫々折り込まれて、インナボトムフラップP24は下壁パネルP22に重ね合わされて接着され、インナトップフラップP26が上壁パネルP25に重ね合わされて接着されることで、アウタ7が成型される。
【0044】
(開閉動作)
次に、パッケージ101におけるリッド3の開閉動作について説明する。以下に説明する動作は、使用者が適宜外力を加えることで行われる。
図5A、
図5Bは、第一実施形態に係るヒンジリッドパッケージの動作を説明する側面図を示す。
【0045】
パッケージ101は、リッド3が閉じられた状態では、アウタ7とパッケージ101が接しており、アウタ7がパッケージ101の後方側を覆っている(
図5A参照)。パッケージ101に収容されているシガレットを取り出す必要が無い場合は、通常、パッケージ101は、
図5Aに示す状態である。この状態では、アウタ7がパッケージ101の後方側を覆い、アウタ7の一組の側壁73,73、上壁72、下壁71でパッケージ本体2の周囲が覆われている。特に、アウタ7の上壁72と下壁71によって、リッド3を開く際に必要となる上下方向(
図5Aでは、左右方向)の動きが規制されている。従って、第一実施形態に係るパッケージ101では、リッド3の開閉が規制される。
【0046】
パッケージ101に収容されているシガレットを取り出す場合、パッケージ本体2に対して前方(
図5Aでは、上方)への外力が加えられることで、アウタ7によるリッド3の回動の規制が解除される(
図5B参照)。具体的には、パッケージ本体2に対して前方への外力が加えられると、パッケージ本体2が前方に徐々に移動し、アウタ7の上壁72及び下壁71によるパッケージ本体2の上下方向の移動を規制する力が徐々に弱まる。そして、パッケージ本体2に対する前方へ加えられる外力が、アウタ7の上壁72及び下壁71によるパッケージ本体2の上下方向の移動を規制する力を上回ると、リッド3が第1ヒンジ6を軸として回動する。ここで、リッド3の上壁32の後方側はアウタ7の上壁72の後方側の領域722と接着されているが、リッド3の上壁32の前方側は接着されていない。そのため、リッド3が第1ヒンジ6を軸として回動すると、アウタ7の上壁72の後方側の領域722との境界(前方側の領域722と後方側の領域721との境界)に存在する第2ヒンジ61を軸としてリッド3の回動が許容される。また、アウタボックス21の下壁26の前方側がアウタ7の下壁71の前方側の領域712と接着されているが、アウタボックス21の下壁26の後方側は接着されていない。そのため、リッド3が第1ヒンジ6を軸として回動すると、前方側の領域712と後方側の領域711との境界に存在する第3ヒンジ62を軸としてアウタボックス21の回動が許容される。その結果、アウタ7と接していたパッケージ本体2がアウタ7から離れ、アウタ7の上壁72と下壁71によって規制されていたリッド3を開く際に必要となる上下方向の動きの規制が解除される。これにより、リッド3の開閉が可能となる。
【0047】
(効果)
第一実施形態に係るパッケージ101は、アウタ7がパッケージ101の後方側を覆い、アウタ7の一組の側壁73,73、上壁72、下壁71でパッケージ本体2の周囲が覆われている。特に、アウタ7の上壁72と下壁71によって、リッド3を開く際に必要となる上下方向の動きが規制されている。そのため、リッド3の回動を規制することができ、パッケージ101のリッド3をより確実に閉めることができる。また、アウタ7の奥行がパッケージ本体2とリッド3の奥行の約2分の1であるため、外力を加えると、アウタ7の上壁72と下壁71によって規制されていたリッド3を開く際に必要となる上下方向の動きの規制を従来よりも容易に解除することができる。すなわち、蓋閉まりを向上するとともに、従来よりも小さい外力で蓋部を開閉することができる。
【0048】
<第二実施形態>
(構成)
図6は、第二実施形態に係るヒンジリッドパッケージ102のリッド3を閉じた状態の斜視図を示す。
図7A、
図7Bは、パッケージ102のリッド3を開放した状態の斜視図を示す。
図8は、パッケージ102の分解斜視図を示す。第二実施形態に係るパッケージ102は、アウタ7aとパッケージ本体2との接続構造が第一実施形態と異なる。なお、第一実施形態に係るパッケージ101と同様の構成については同一符号を付し、説明は割愛する。
【0049】
第二実施形態に係るパッケージ102は、第一実施形態と同様に、アウタ7aの上壁72が、前方側の領域722と後方側の領域721を備える。但し、第二実施形態に係るパッケージ102では、前方側の領域722が内側に折り返されずに、リッド3の上壁32の前方側の領域に接続されている。なお、第一実施形態と同様に、前方側の領域722と後方側の領域721との境界は、リッド3を開放する際の第2ヒンジ61として機能する。
【0050】
また、第二実施形態に係るパッケージ102では、アウタ7aの下壁71aが、前方側の領域712aと後方側の領域711aとを備え、各領域712a,711aの奥行は夫々パッケージ本体2の奥行の約2分の1に設計されている。また、アウタ7aの下壁71aは、前方側の領域712aと後方側の領域711aとの境界に切り込み714が形成されている。この切り込み714は、中央から両側縁の手前まで直線状に伸び、切り込み714の両端部には、逆U字状のU字切り込みが設けられている。換言すると、後方側の領域711aの前方側の縁の両端部には、前方側に突出した小フラップ713が夫々設けられている。そして、前方側の領域712a、かつ、小フラップ713よりも内側の内面が接着領域であり、この接着領域がアウタボックス21の下壁26の外面の前方側に接着されている。
【0051】
第二実施形態に係るパッケージ102では、切り込み714及び小フラップ713を備えることで、アウタ7aの下壁71aの弾性変形が可能となる。換言すると、アウタ7aの下壁71aに弾性機能を持たせることができる。具体的には、前方側の領域712と後方側の領域711との境界を単に直線状の折り目としてヒンジとして機能させ、前方側の領域712の内面の全てをアウタボックス21の下壁26の前方側に接着する第一実施形態と比較して、パッケージ本体2の上方側への移動量を増やすことができる。その結果、リッド3の開度を増すことができる。
【0052】
(ブランク)
図9A、
図9B、
図9Cは、第二実施形態に係る各ブランクを示す。第1ブランクB1(
図9A参照)、及び第2ブランクB2(
図9B参照)は、第一実施形態と同様である。第二実施形態に係る第4ブランクB4’ (
図9C参照)は、下壁パネルP22’に切り込み714、及び小フラップ713が設けられている点で第一実施形態と異なる。
【0053】
(開閉動作)
次に、第二実施形態に係るパッケージ102のリッド3の開閉動作について説明する。
図10A、
図10B、
図10Cは、第二実施形態に係るヒンジリッドパッケージの動作を説明する側面図を示す。
【0054】
パッケージ102は、リッド3が閉じられた状態では、パッケージ102の後方側において、アウタ7aとパッケージ本体2とが接しており、アウタ7aがパッケージ本体2の後方側を覆っている(
図10A参照)。リッド3が閉じられた状態は、第一実施形態と同様であり、アウタ7aがパッケージ本体2の後方側を覆い、アウタ7aの一組の側壁73,73、上壁72、下壁71aでパッケージ本体2の周囲が覆われている。特に、アウタ7aの上壁72と下壁71aによって、リッド3を開く際に必要となる上下方向の動きが規制されている。従って、第二実施形態に係るパッケージ102では、リッド3の開閉が規制される。
【0055】
パッケージ102に収容されているシガレットを取り出す場合、パッケージ本体2に対して前方(
図10Aでは、上方)への外力が加えられることで、アウタ7aによるリッド3の回動の規制が解除される(
図10B参照)。
図10Bに示す状態も基本的には、第一実施形態と同様であり、パッケージ本体2に対して前方への外力が加えられると、パッケージ本体2が前方に徐々に移動し、アウタ7aの上壁72及び下壁71aによるパッケージ本体2の上下方向の移動を規制する力が徐々に弱まる。そして、パッケージ本体2の前方へ加えられる外力が、アウタ7aの上壁72及び下壁71aによるパッケージ本体2の上下方向の移動を規制する力を上回ると、リッド3が第1ヒンジ6を軸として回動する。ここで、リッド3の上壁32の前方側はアウタ7aの上壁72の前方側の領域722と接着されているが、リッド3の上壁32の後方側の領域721は接着されていない。そのため、リッド3が第1ヒンジ6を軸として回動すると、前方側の領域722と後方側の領域721との境界に存在する第2ヒンジ61を軸としてリッド3の回動が許容される。また、アウタボックス21の下壁26の前方側、かつ小フラップ713の内側の領域はアウタ7aの下壁71aの前方側の領域712aと接着されているが、小フラップ713の外側の領域及びアウタボックス21の下壁26の後方側は接着されていない。そのため、アウタボックス21の下壁26が弾性変形する。具体的には、リッド3が第1ヒンジ6を軸として回動すると、前方側の領域712aと後方側の領域711aとの境界がヒンジ62として機能するとともに、小フラップ713の外側に位置する、アウタ7aの下壁71の前方側の領域712aと後方側の領域711aとの接続部分が撓み、アウタ7aの下壁71aが弾性変形する。これにより、前方側の領域712と後方側の領域711との境界を単に直線状の折り目とし、前方側の領域712の内面の全てをアウタボックス21の下壁26の前方側に接着する第一実施形態と比較して、パッケージ本体2及びリッド3の上方側への移動量を増やすことができる(
図10C参照)。その結果、リッド3の開度を増すことができる。
【0056】
(効果)
第二実施形態に係るパッケージ102は、アウタ7aがパッケージ102の後方側を覆い、アウタ7aの一組の側壁73,73、上壁72、下壁71aでパッケージ本体2の周囲が覆われている。特に、アウタ7aの上壁72と下壁71aによって、リッド3を開く際に必要となる上下方向の動きが規制されている。そのため、リッド3の回動を規制することができ、パッケージ102のリッド3をより確実に閉めることができる。また、アウタ7aの奥行がパッケージ本体2の奥行の約2分の1であるため、外力を加えると、アウタ7の上壁72と下壁71aによって規制されていたリッド3を開く際に必要となる上下方向の動きの規制を従来よりも容易に解除することができる。すなわち、蓋閉まりを向上するとともに、従来よりも小さい外力で蓋部を開閉することができる。更に、アウタ7aの下壁71aが弾性変形するため、前方側の領域712と後方側の領域711との境界を単に直線状の折り目とし、前方側の領域712の内面の全てをアウタボックス21の下壁26の前方側に接着する第一実施形態と比較して、パッケージ本体2の上方側への移動量を増やすことができる。その結果、リッド3の開度を増すことができる。
【0057】
<
参考例1>
(構成)
参考例1に係るヒンジリッドパッケージ103は、アウタボックス21aとリッド3aとを含むパッケージ本体2aと、カバー4とを含んで構成されている。なお、第一実施形態及び第二実施形態と同様の構成については同一符号を付し、説明は割愛する。
【0058】
図11は、リッド3aが閉じられたパッケージ103を正面側の右斜め上方から眺めた状態を示す。
図12は、カバー4が結合されたリッド3aが開放されたパッケージ103を正面側の右斜め上方から眺めた状態を示す。
図13は、カバー4がパッケージ103から取り外され、リッド3aが開放されたパッケージ103を正面側の右斜め上方から眺めた状態を示す。なお、
図13は、説明の便宜上、カバー4とパッケージ103とを取り外した状態を示す。但し、
図12に示すように、通常、カバー4とパッケージ103は、結合されて使用される。
図14Aは、
参考例1に係るヒンジリッドパッケージの斜視図を示し、
図14Bは、
図14Aのb―b断面図を示す。
【0059】
参考例1に係るパッケージ103は、パッケージ本体2aに更に複数のフラップ5が設けられている点で、第一実施形態や第二実施形態に係るパッケージ101,102と構成が異なる。具体的には、
参考例1に係るアウタボックス21aは、アウタボックス21aの前壁23と側壁25とのコーナー部分、及びリッド3aの前壁33と側壁34のコーナー部分に、本発明の係合部に相当するフラップ5が複数設けられている。
参考例1では、アウタボックス21a側の複数のフラップ5は、何れも同じ寸法の長方形であり、アウタボックス21aの前壁23と同一面上に、アウタボックス21aの前壁23の両側縁から突出するように等間隔で配置されている。また、リッド3a側の複数のフラップ5も、何れも同じ寸法の長方形であり、リッド3aの前壁33と同一面上に、リッド3aの前壁3
3の両側縁から突出するように等間隔で配置されている。そして、アウタボックス21a側の複数のフラップ5とリッド3a側の複数のフラップ5は、リッド3aが閉じた状態において、同一直線状に位置する。
【0060】
参考例1に係るパッケージ103は、パッケージ本体2aの前方側に設けられるカバー4を備えている。カバー4は、リッド3aが閉じた状態において、アウタボックス21aの前壁23及びリッド3aの前壁33の全面を覆う。
【0061】
カバー4は、前壁41、側壁42,42、上壁43を有する。カバー4の前壁41は長方形であり、アウタボックス21aの前壁23の面積とリッド3aの前壁33の面積の和と凡そ同じ面積を有している。そのため、カバー4は、リッド3aが閉じた状態において、アウタボックス21aの前壁23及びリッド3aの前壁33の全面を覆うことができる。カバー4の側壁42は、前側縁がカバー4の前壁41の両側縁及びカバー4の上壁43の前側縁と連結している。カバー4の一組の側壁42は、長方形であり、互いに対向して
おり、カバー4の前壁41とカバー4の一組の側壁42は直交している。
参考例1では、カバー4の側壁42の奥行(短手方向の長さ)が、パッケージ本体2aの奥行の約2分の1に設計されている。カバー4の側壁42の高さ(長手方向の長さ)は、パッケージ本体2aの高さよりも僅かに大きく設計されている。カバー4の上壁43は、長方形であり、カバー4の前壁41及び側壁42と直交している。カバー4の上壁43の奥行は、パッケージ本体2aの奥行の約2分の1に設計され、カバー4の上壁43の幅は、パッケージ本体2aの幅よりも僅かに大きく設計されている。
【0062】
また、カバー4の両側壁42の内側の前壁41側には、本発明の被係合部に相当する段差44が設けられている(
図13、
図14B参照)。
参考例1に係る段差44は、カバー4の側壁42の素材の厚さを利用して形成されている。具体的には、カバー4の側壁42は、素材が折り返されることで2重構造であり、カバー4の前壁41側の一部を1重構造とすることで、段差44が形成されている。この段差44には、先に説明した複数のフラップ5が係合する。段差44に複数のフラップ5が係合することで、カバー4は、パッケージ103の前側面に沿って、上下方向の移動のみが許容される。
【0063】
また、
図13に示すように、カバー4の前壁41の下端縁には、前壁41から延出し、前壁41の下端縁で折り返された長方形の舌部45が設けられている。舌部45は、前壁41と連結されている縁と反対側の縁(以下、開放縁451とする)の両角部がR状であり、この開放縁451の中央には、リッド3aに設けられた結合穴35に結合する小舌部46が設けられている。なお、
図13は、説明の便宜上、舌部45及び小舌部46がカバー4の前壁41から離れた状態を示す。但し、通常の使用では、舌部45は内側に折り返され、舌部45及び小舌部46はカバー4の前壁41の内面に接している。
【0064】
(ブランク)
参考例1に係るパッケージ103は、アウタボックス21a及びリッド3aを成形する第1ブランクB1’と、インナフレーム22を成形する第2ブランクB2と、カバー4を成形する第3ブランクB3の各所を折り込み、接合することで成形することができる。
図15Aは、第1ブランクB1’を示し、
図15Bは、第2ブランクB2を示し、
図15Cは、第3ブランクB3を示す。第1ブランクB1’、第2ブランクB2、第3ブランクB3にはカード紙、マニラボール紙等の紙材、又はプラスチックシートなどの樹脂を用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、ブランクの説明では、図の上下方向を基準に説明する。
【0065】
図15Aに示すように、
参考例1に係る第1ブランクB1’は、前壁パネルP1及び前壁パネルP11の両側縁に、複数のフラップ5が設けられている点で、第一実施形態及び第二実施形態に係る第1ブランクB1と異なる。また、上壁パネルP8には、リッド3aの前壁33となる前壁パネルP11の上縁の中央部に、この縁に沿って細長状の結合穴35が設けられている。また、第一実施形態及び第二実施形態に係る第1ブランクB1は、P11−1の上縁に前壁補強パネルP11−1が連なっていたが、
参考例1に係る第1ブ
ランクB1’は前壁補強パネルP11−1を有さない簡易な構成となっている。
図15Bに示すように、
参考例1に係る第2ブランクB2は、第一実施形態及び第二実施形態に係る第2ブランクB2と同様である。
【0066】
図15Cに示すように、第3ブランクB3は、カバー4の前壁41となる前壁パネルP15を有しており、前壁パネルP15の下縁には、カバー4の舌部45となる舌部パネルP16が連なり、前壁パネルP15の上縁には、カバー4の上壁41となる上壁パネルP20が夫々連なっている。舌部パネルP16は、長方形であり、下縁には小舌部46が設けられている。また、前壁パネルP15の両側縁には、カバー4の側壁42の外壁となる側壁外パネルP17,P17、及びカバー4の側壁42の内壁となる側壁内パネルP18,P18が順次連なっている。側壁内パネルP18,P18の上縁には、インナトップフラップP19が連なっており、これらのインナトップフラップP19は上壁パネルP20に重ね合わされ、接着されることで、上壁41の補強をなす。
【0067】
上述した第1ブランクB1’、第2ブランクB2、及び第3ブランクB3は、
図15A、
図15B、
図15C中破線で示した折り込み線で夫々折り込まれる。その結果、
図11から
図14に示すようなアウタボックス21aとリッド3aとを含むパッケージ本体2a、及びカバー4が夫々成形される。第1ブランクB1’のアウタボックス区域R1においては、各折り込み線で折り込まれ、インナボトムフラップP6が下壁パネルP3に重ねられ、インナサイドフラップP5が側壁パネルP2に接着されることで、パッケージ本体2aのアウタボックス21が成形される。そして、アウタボックス区域R1の前壁パネルP1に対して、第2ブランクB2の前面パネルP13が接着されることで、アウタボックス21a及びインナフレーム22が一体となったパッケージ本体2aが成形される。
【0068】
一方、第1ブランクB1’の蓋区域R2においては、各折り込み線で折り込まれ、側壁パネルP12がインナサイドフラップP9に接着され、インナトップフラップP10が上壁パネルP8に重ねられることで、リッド3aが成形される。
【0069】
第3ブランクB3についても、折り込み線で夫々折り込まれて、インナトップフラップP19が上壁パネルP20に重ね合わされた上で接着される。側壁内パネルP18の幅は、側壁外パネルP17の幅よりも短く形成されており、側壁パネルP18を折り返すことで、
図13,
図14Bに示すような段差44が形成される。なお、舌部パネルP16は、前壁パネルP15側に折り返されるのみで、接着はされない。以上により、カバー4が形成される。
【0070】
(開閉動作)
次に、パッケージ103におけるリッド3の開閉動作について説明する。以下に説明する動作は、使用者が適宜外力を加えることで行われる。
図16A、
図16B、
図16Cは、パッケージ103の動作を説明する斜視図を示す。
図17A、
図17B、
図17Cは、パッケージ103の動作を説明する断面図を示し、リッド3aを閉じた状態からカバー4をスライドした状態を示す。
図17D、
図17Eは、パッケージ103の動作を説明する断面図を示し、カバー4をスライドした後、リッド3aをカバー4と共に回動した状態を示す。
【0071】
パッケージ103は、リッド3aが閉じられた状態では、カバー4がパッケージ103の前方側を全て覆うように位置する(
図16A、
図17A参照)。パッケージ103に収容されているシガレットを取り出す必要が無い場合(例えば、シガレットを収容するパッケージ103を持ち運ぶ際など)は、通常、パッケージ103は、
図16A、
図17Aに示す状態である。この状態では、カバー4は、アウタボックス21aの前壁23及びリッド3aの前壁33を跨ぎ、アウタボックス21aの前壁23及びリッド3aの前壁33の全面を覆っている。また、この状態では、カバー4の段差44は、アウタボックス21に設けられた複数のフラップ5及びリッド3aに設けられた複数のフラップ5の全てに係合している。これにより、リッド3aの開閉が規制される。
【0072】
パッケージ103に収容されているシガレットを取り出す場合、カバー4に対して上方への外力が加えられ、カバー4がパッケージ103の前面に沿って上方にスライドする(
図17B参照)。カバー4の段差44とアウタボックス21に設けられた複数のフラップ5及びリッド3aに設けられた複数のフラップ5との係合状態が維持されながら、カバー4がスライドする。カバー4の段差44とフラップ5とが係合した状態では、カバー4は、幅方向及び前後方向の移動が規制され、上下方向の移動のみが許容される。カバー4が上方にスライドすると、パッケージ103の下側のフラップ5から順に係合状態が解除される。
【0073】
更に、カバー4がパッケージ103の上方にスライドすると、カバー4の舌部45の小舌部46がリッド3aの結合穴35と結合する(
図16B、
図17C参照)。具体的には、カバー4の舌部45と小舌部46はアウタボックス21aの前壁23と接しながら上方へ移動する。小舌部46は、アウタボックス21aの前壁23の上端縁まで移動すると、次にインナフレーム22の前面フレーム28と接して更に上方へ移動する。ここで、カバー4の舌部45は、カバー4の前壁41の内面側に折り返されており、カバー4の舌部45には、カバー4の前壁41と舌部45との境界(折り目)を軸として、カバー4の前壁41から離間する方向(パッケージ本体2a側)へ回動しようとする復元力が作用している。一方、インナフレーム22の前面フレーム28は、アウタボックス21aの前壁23の厚さ分だけ後方側(奥側)に位置している。そのため、小舌部46は、アウタボックス21aの前壁23の上端縁を過ぎると、インナフレーム22の前面フレーム28と接して移動する。また、リッド3aの前壁33もアウタボックス21aの前壁23と同様、インナフレーム22の前面フレーム28よりも前方側に位置している。そのため、小舌部46は、インナフレーム22の前面フレーム28に接しながら更に上方へ移動すると、リッド3aの前壁33の下端縁からリッド3a内に侵入する。そして、小舌部46は、リッド3aの前壁33の内面に沿って更に上方に移動する。舌部45及び小舌部46がリッド3a内を上方へ移動する際、舌部45は、舌部45の後方側の面をインナフレーム22の前面フレーム28によって支持される。また、パッケージ103にシガレットが十分に収容されている場合、舌部45は、後方側の面を収容されたシガレットによって支持される。そのため、舌部45の回動は、インナフレーム22の前面フレーム28やシガレットによって規制され、舌部45及び小舌部46はリッド3aの前壁33の内面に沿って上方へ移動する。そして、小舌部46は、リッド3aの前壁33の上端縁に設けられた結合穴35と結合する。小舌部46が結合穴35と結合すると、舌部45の開放縁451がリッド3aの上壁32と接し、カバー4の上方への移動が規制される。なお、インナフレーム22の前面フレーム28がアウタボックス21の前壁23の厚さ分だけ後方側(奥側)に位置する構成など、小舌部46を結合穴35へ導く構成は、本発明の誘導部に相当する。
【0074】
小舌部46が結合穴35と結合すると、リッド3aの回動が可能となり、リッド3aを開放するための外力が加えられると、パッケージ103が開放状態となる。具体的には、カバー4がリッド3a側にスライドしたことで、カバー4はリッドのみを覆う状態となる。換言すると、カバー4の段差44は、アウタボックス21aのフラップ5との係合が全て解除され、リッド3aのフラップ5とのみ係合する。そのため、リッド3aの回動の規制が解除され、リッド3aは、第1ヒンジ6を軸として回動自在となる(
図16C、
図17D、
図17E参照)。リッド3aが回動する際、カバー4の小舌部46とリッド3aの結合穴35とが結合しているため、リッド3aはカバー4と共に回動する。リッド3aが開放されることで、パッケージ103に収容されたシガレットの取り出しが可能となる。リッド3aの開度は、パッケージ103に収容されるシガレットの本数に応じて適宜変更可能である。なお、
参考例1に係るパッケージ103は、
図17Eに示すように、パッケージ103の開放状態において、逆V字型にすることができる。そのため、パッケージ103を垂直状体から僅かに後方に傾けた状態で平面上(例えば、机上や台上)に置くことができる。また、リッド3aが開放された状態において、カバー4を下方(リッド3aの前壁33の下端縁方向)へ移動することで、カバー4は、リッド3aから分離することができる。
【0075】
リッド3aを開放状態から閉じた状態にする場合、上述した回動動作と逆の動作が行われる。具体的には、リッド3aを閉じた状態とするための外力が加えられると、リッド3aがカバー4と共に回動して閉じた状態となる。リッド3aが閉じた状態でカバー4に対して下方への外力が加えられると、リッド3aが下方にスライドし、リッド3aのフラップ5とのみ係合していた段差44が徐々にアウタボックス21aのフラップ5とも係合していく。カバー4の下端縁がアウタボックス21aの前壁23の下端縁と一致する位置までスライドすると、カバー4の上壁43の内面がリッド3aの上壁32と接し、カバー4の下方へのスライドが規制される。そして、カバー4は、パッケージ103の前方側を全て覆う状態となる。その結果、リッド3aの開閉が規制される。
【0076】
(効果)
参考例1に係るパッケージ103は、カバー4がアウタボックス21aとリッド3aとを跨いで覆うことで、リッド3aが閉じた状態においてリッド3aの回動を規制することができる。そのため、パッケージ103のリッド3aをより確実に閉めることができる。また、カバー4には、パッケージ本体2aやリッド3aに加えて、更に印刷を施すことができる。そのため、パッケージ103は、従来よりも多くの印刷スペースを確保でき、消費者へのアピール力を高めることができる。なお、パッケージ本体2aやカバー4の表面には、エンボス加工、ニスを厚く盛り凹凸をつける、静電植毛を施す等の加工を施し、アピール力をより高めてもよい。
【0077】
<
参考例2>
(構成)
図18は、
参考例2に係るパッケージ104において、リッド3が閉じられたパッケージ104を正面側の右斜め上方から眺めた状態を示す。上述した実施形態
及び参考例と同様の構成については同一符号を付し、説明は割愛する。
【0078】
参考例2に係るパッケージ104は、インナフレームを備えておらず、例えば
参考例1に係るパッケージ103よりも部品点数が少なく、より簡易な構成となっている。また、リッド3bの前壁33aの下端縁は、アウタボックス21bの前壁23の上端縁の形状と合致するよう逆U字状に形成され、リッド3bの前壁33aは台形状である。また、このリッド3bの前壁33aの下端縁の中央には、カバー4aの舌部45a及び小舌部46aが通る開口部36bが設けられている。開口部36bは、リッド3bの前壁33aの下端縁に沿って設けられ、長方形である。開口部36bの間口(幅方向の長さ)は、小舌部46aがリッド3bに設けられた結合穴35と結合できる位置まで舌部45aが通るよう設計されている。また、リッド3bの前壁33aの下端縁には、舌部45aや小舌部46aを支える、長方形の支え板36aが設けられている。支え板36aは、長方形であり、リッド3bの前壁33aの内面側に折り返されている。この支え板36aは、第一実施形態に係るパッケージ101のインナフレーム22に代わり、カバー4aがスライドする際、舌部45a及び小舌部46aを内側から支持する。支え板36aは、単に折り返すだけでもよく、両端縁をリッド3bの前壁33aの内面に接着してもよい。接着することで、支え板36aは、舌部45aや小舌部46aをより安定的に支持することができる。
【0079】
カバー4aの舌部45aは、凡そホームベース型であり、頂点側(下側縁の反対側)に小舌部45aが設けられ、小舌部45aから延びる開放縁451aが斜線となっている。舌部45aの幅は、開口部36bよりも小さく形成されており、小舌部46aや舌部45aは、より円滑に開口部36bを通ることができる。
【0080】
(ブランク)
参考例2に係るパッケージ104は、アウタボックス21b及びリッド3bを成形する第1ブランクB1’’と、カバー4を成形する第3ブランクB3’の各所を折り込み、接合することで成形されている。
図19Aは、第1ブランクB1’’を示し、
図19Bは、第3ブランクB3’を示す。なお、ブランクの説明では、図の上下方向を基準に説明する。
【0081】
図19Aに示すように、
参考例2に係るブランクでは、第1ブランクB1’’において、前壁パネルP11’が台形状であり、前壁パネルP11’の上縁の中央部に、この縁に沿って開口部36bが設けられている。また、前壁パネルP11’の上縁には、支え板36aとなる支えパネルP11−1が連なっている。
【0082】
また、
図19Bに示すように、第3ブランクB3’において、凡そホームベース型の舌部パネルP16’の下端縁に小舌部46aが設けられている。
【0083】
(開閉動作)
図20A、
図20B、
図20Cは、
参考例2に係るパッケージ104の動作を説明する断面図を示す。パッケージ104は、リッド3aが閉じられた状態では、カバー4aがパッケージ101の前方側を全て覆うように位置する(
図20A参照)。
【0084】
パッケージ104に収容されているシガレットを取り出す場合、カバー4に対して上方への外力が加えられ、カバー4aがパッケージ104の前面に沿って上方にスライドする(
図20B参照)。更に、カバー4aがパッケージ104の上方にスライドすると、カバー4aの舌部45aの小舌部46aがリッド3bの結合穴35と結合する(
図20C参照)。具体的には、カバー4aの舌部45aと小舌部46aはアウタボックス21bの前壁23と接しながら上方へ移動する。小舌部46aは、アウタボックス21bの前壁23の上端縁まで移動すると、次に開口部36bを通り、支え板36aと接して更に上方へ移動する。ここで、カバー4aの舌部45aには、
参考例1に係る舌部4と同じく、復元力が作用している。一方、支え板36aは、アウタボックス21bの前壁23の厚さ分だけ後方側(奥側)に位置している。そのため、小舌部46aは、開口部36bを通り、支え板36aに支えられながら移動する。そして、舌部45aの回動は、支え板36aによって規制され、舌部45a及び小舌部46aはリッド3aの前壁33aの内面に沿って上方へ移動する。そして、小舌部46aは、リッド3bの前壁33aの上端縁に設けられた結合穴35と結合する。小舌部46aが結合穴35と結合すると、舌部45aの開放縁451aがリッド3aの上壁32と接し、カバー4aの上方への移動が規制される。なお、支え板36aや開口部36bなど、小舌部46を結合穴35へ導く構成が、本発明の誘導部に相当する。
【0085】
なお、図示は省略するが、小舌部46aが結合穴35と結合すると、リッド3bの回動が可能となり、パッケージ104を開放状態とすることが可能となる。リッド3bが回動する際、カバー4aの小舌部46aとリッド3bの結合穴35とが結合しているため、リッド3bはカバー4aと共に回動する。リッド3bが開放されることで、パッケージ104に収容されたシガレットの取り出しが可能となる。リッド3bの開度は、パッケージ104に収容されるシガレットの本数に応じて適宜変更可能である。また、パッケージ104も開放状態において、逆V字型にすることができる。また、リッド3bが開放された状態において、カバー4aを下方(リッド3bの前壁33aの下端縁方向)へ移動することで、カバー4aは、パッケージ本体2bから分離することができる。
【0086】
(効果)
参考例2に係るパッケージ104も、カバー4aがリッド3bとアウタボックス21bを跨いで覆うことで、リッド3bが閉じた状態においてリッド3bの回動を規制することができる。そのため、パッケージ104のリッド3bをより確実に閉めることができる。また、カバー4aには、パッケージ本体2bやリッド3bに加えて、更に印刷を施すことができる。そのため、パッケージ104は、従来よりも多くの印刷スペースを確保することができ、消費者へのアピール力を高めることができる。
【0087】
更に、
参考例2に係るパッケージ104は、インナフレームを備えておらず、
参考例1に係るパッケージ103よりも部品点数を削減することができる。そのため、パッケージ104は、より簡易な構成とすることができる。
【0088】
<第
三実施形態>
(構成)
第
三実施形態に係るパッケージ105は、カバー4bとアウタ7aの双方を備える構成である。なお、既に説明した実施形態
及び参考例と同様の構成については同一符号を付し、説明は割愛する。
【0089】
図21は、リッド3aが閉じられたパッケージ105を正面側の右斜め上方から眺めた状態を示す。
図22は、カバー4b及びアウタ7aが結合されたリッド3aが開放されたパッケージ105を正面側の右斜め上方から眺めた状態を示す。
図23は、カバー4b及びアウタ7aがパッケージ105から取り外され、リッド3aが開放されたパッケージ105を正面側の右斜め上方から眺めた状態を示す。なお、アウタ7aは、パッケージ本体2aやカバー4bと同素材、例えば紙材、又はプラスチックシートによって構成することができるが、これには限定されない。
【0090】
パッケージ本体2aは、アウタボックス21aと、リッド3aとを含み、パッケージ105は、パッケージ本体2aの前方側にカバー4bを備えている。カバー4bは、リッド3aが閉じた状態において、アウタボックス21aの前壁23及びリッド3aの前壁33の全面を覆う。なお、カバー4bの構成は基本的には第一実施形態と同様であるが、第
三実施形態では、小舌部46bが碇状であり、小舌部46bが結合穴35に結合されると、結合状態が解除されにくいよう構成されている。インナフレーム22は、パッケージ101を構成する上で必須の部材ではない。すなわち、インナフレーム22を省略し、パッケージ105は、より簡易な構成としてもよい。
【0091】
第
三実施形態に係るパッケージ105は、パッケージ本体2aの後方側に更にアウタ7aを備えている。アウタ7aは、アウタボックス21aの後壁24及びリッド3aの後壁31の全面を覆う。
【0092】
(ブランク)
第
三実施形態において、パッケージ105は、アウタボックス21a及びリッド3aを成形する第1ブランクB1’’と、インナフレーム22を成形する第2ブランクB2と、カバー4bを成形する第3ブランクB3’’と、アウタ7aを成形する第4ブランクB4’の各所を折り込み、接合することで成形することができる。
図24Aは、第1ブランクB1’’を示し、
図24Bは、第2ブランクB2を示し、
図24Cは、第3ブランクB3’’を示し、
図24Dは、第4ブランクB4’を示す。第1ブランクB1’’、第2ブランクB2、第3ブランクB3’’、第4ブランクB4’にはカード紙、マニラボール紙等の紙材、又はプラスチックシートなどの樹脂を用いることができる。第1ブランクB1’’は、
参考例2と同様である。第2ブランクB2は、第一実施形態と同様である。第3ブランクB3’’は、舌部パネルP16’に、碇状の小舌部46bが設けられている以外は、
参考例2と同様である。また、第4ブランクB4’は、第二実施形態と同様である。
【0093】
(開閉動作)
次に、第
三実施形態に係るパッケージ105のリッド3aの開閉動作について説明する。
図25A、
図25B、
図25C、
図25Dは、第
三実施形態に係るヒンジリッドパッケージの動作を説明する断面図を示す。なお、カバー4bの動作は、基本的に
参考例1と同様であり、アウタ7aの動作は基本的に第二実施形態と同様である。
【0094】
パッケージ105は、リッド3aが閉じられた状態では、カバー4bがパッケージ105の前方側を全て覆い、アウタ7aがパッケージ105の後方側を覆う(
図25A参照)。パッケージ105に収容されているシガレットを取り出す必要が無い場合は、通常、パッケージ105は、
図25Aに示す状態である。この状態では、カバー4bは、アウタボックス21aの前壁23及びリッド3aの前壁33を跨ぎ、アウタボックス21aの前壁23及びリッド3aの前壁33の全面を覆っている。また、この状態では、カバー4bの段差44は、アウタボックス21aに設けられた複数のフラップ5及びリッド3aに設けられた複数のフラップ5の全てに係合している。これにより、リッド3の開閉が規制される。更に、第
三実施形態では、アウタ7aがパッケージ105の後方側を覆い、アウタ7aの一組の側壁73,73、上壁72、下壁71でパッケージ本体2aの周囲が覆われている。特に、アウタ7aの上壁72と下壁71aによって、リッド3aを開く際に必要となる上下方向の動きが規制されている。従って、第
三実施形態に係るパッケージ105では、リッド3aの開閉がより強固に規制される。
【0095】
パッケージ105に収容されているシガレットを取り出す場合、カバー4bに対して上方への外力が加えられ、カバー4bがパッケージ105の前面に沿って上方にスライドする(
図25B参照)。更に、カバー4bがパッケージ105の上方にスライドすると、リッド3aの舌部45の小舌部46bがリッド3bの結合穴35と結合する。小舌部46bが結合穴35と結合すると、舌部45の開放縁451がリッド3の上壁32と接し、カバー4bの上方への移動が規制される。そして、カバー4bはリッド3aの前壁33のみを覆う状態となる。カバー4の段差44は、アウタボックス21aのフラップ5との係合が全て解除され、リッド3aのフラップ5とのみ係合する。そのため、カバー4bによる、リッド3aの回動の規制が解除される。
参考例1に係るパッケージ103では、カバー4によるリッド3aの回動の規制が解除されると、リッド3aは第1ヒンジ6を軸として回動自在となった(
図16C、
図17D、
図17E参照)。これに対し、第
三実施形態に係るパッケージ105は、アウタ7aによってもリッド3aの回動が規制されている。
【0096】
第
三実施形態に係るパッケージ105では、パッケージ本体2aに対して前方(
図25Aでは、上方)への外力が加えられることで、アウタ7aによるリッド3aの回動の規制が解除される(
図25C参照)。具体的には、パッケージ本体2aに対して前方への外力が加えられると、パッケージ本体2aが前方に徐々に移動し、アウタ7aの上壁72及び下壁71aによるパッケージ本体2aの上下方向の移動を規制する力が徐々に弱まる(
図25B参照)。そして、パッケージ本体2aの前方へ加えられる外力が、アウタ7aの上壁72及び下壁71aによるパッケージ本体2aの上下方向の移動を規制する力を上回ると、リッド3aが第1ヒンジ6を軸として回動する(
図25C参照)。ここで、リッド3aの上壁32の前方側がアウタ7aの上壁72の前方側の領域722と接着されているが、リッド3aの上壁32の後方側は接着されていない。そのため、リッド3aが第1ヒンジ6を軸として回動すると、前方側の領域722と後方側の領域721との境界に存在する第2ヒンジ61を軸としてリッド3aの回動が許容される。また、アウタボックス21aの下壁26の前方側、かつ小フラップ713の内側の領域がアウタ7aの下壁71aの前方側の領域712aと接着されているが、小フラップ713の外側の領域及びアウタボックス21aの下壁26の後方側は接着されていない。そのため、アウタ7の下壁71aが弾性変形する。具体的には、リッド3aが第1ヒンジ6を軸として回動すると、前方側の領域712aと後方側の領域711aとの境界がヒンジとして機能するとともに、小フラップ713の外側に位置する、アウタ7aの下壁71aの前方側の領域712aと後方側の領域711aとの接続部分が撓み、アウタ7aの下壁71aが弾性変形する。これにより、前方側の領域712と後方側の領域711との境界を単に直線状の折り目とし、前方側の領域712の内面の全てをアウタボックス21の下壁26の前方側に接着する場合と比較して、パッケージ本体2aの上方側への移動量を増やすことができる(
図25D参照)。その結果、リッド3aの開度を増すことができる。
【0097】
(効果)
第
三実施形態に係るパッケージ105は、カバー4bがアウタボックス21aとリッド3aとを跨いで覆うことで、リッド3aが閉じた状態においてリッド3aの回動を規制することができる。また、アウタ7aによってもリッド3aの回動を規制することができるため、より強くリッド3aの回動を規制することができる。そのため、パッケージ105のリッド3aをより確実に閉めることができる。また、カバー4bには、パッケージ本体2aやリッド3aに加えて、更に印刷を施すことができる。そのため、パッケージ105は、従来よりも多くの印刷スペースを確保することができ、消費者へのアピール力を高めることができる。更に、カバー4bのみを備える構成と異なり、パッケージ105の外面が均一になり、外面の段差を無くすことができる。その結果、パッケージ105を衣服のポケット等に収容した場合の引っ掛かりを抑制することができる。
【0098】
<変形例>
なお、上述した実施形態
及び参考例に係るパッケージ101,102,103,104,105は、適宜組み合わせることができ、また、種々の変形を加えることができる。例えば、パッケージ103,104,105における複数のフラップ5は、全て同じ大きさ、かつ、等間隔に配置されている。しかしながら、フラップ5は、大きさに変化を持たせたり、間隔に変化をつけるようにしてもよい。例えば、アウタボックス21aのフラップ5の形状又は間隔と、リッド3aのフラップ5の形状又は間隔を異なるようにしてもよい。これにより、カバー4をスライドする際の振動が変化する。この振動の変化が使用者の手指に伝達されることで、使用者は、例えば、カバー4がリッド3a側にスライドし、リッド3aの開閉が可能になったことを、目視せずに認識することができる。
【0099】
また、複数のフラップ5に代えて、複数のフラップを連結して一続きとしたレールを用いてもよい。この場合、パッケージは紙製としてもよいが、樹脂製とすることで、パッケージをより容易に成形することができる。
【0100】
また、複数のフラップ5は、パッケージ本体2aの後方側の両側縁に設けるようにしてもよい。この場合、カバー4は、上壁43に変えて下壁を備える構成とすればよい。この場合、カバー4の上壁43、舌部45、リッド3の結合穴35が不要となり、例えば、パッケージ103はより簡易な構成となる。この場合、カバー4を下方にスライドさせることで、リッド3aの開閉が可能となる。
【0101】
また、カバー4は、前壁41と側壁42とによって構成してもよい。この場合にも、カバー4の上壁43、舌部45、リッド3の結合穴35が不要となり、例えば、パッケージ103はより簡易な構成となる。この場合、カバー4は、上方又は下方の何れか一方にスライドさせることで、リッド3aの開閉が可能となる。
【0102】
また、カバー4は、アウタボックス21とリッド3aとを跨いで覆っていればよく、リッド3aの前壁33の一部とアウタボックス21aの前壁23の一部を覆うものでもよい。
【0103】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明に係るヒンジリッドパッケージは、可能な限り各実施例を組み合わせて実施することができる。また、本実施形態では、ヒンジリッドパッケージに収容する被収容物の好適な適用例として、フィルタシガレットや両切シガレット等のたばこ商品を挙げたが、これには限定されず、たばこ商品以外の物品をパッケージに収容してもよい。