特許第5955978号(P5955978)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5955978
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20160707BHJP
【FI】
   H01R13/52 302Z
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-544443(P2014-544443)
(86)(22)【出願日】2013年10月22日
(86)【国際出願番号】JP2013078577
(87)【国際公開番号】WO2014069285
(87)【国際公開日】20140508
【審査請求日】2015年4月24日
(31)【優先権主張番号】特願2012-238931(P2012-238931)
(32)【優先日】2012年10月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】中井 慧
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 徹
(72)【発明者】
【氏名】大石 円
【審査官】 山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−189147(JP,A)
【文献】 特開2008−047339(JP,A)
【文献】 特開2012−069596(JP,A)
【文献】 特開2012−126267(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リヤハウジングを有するリヤコネクタと、
フロントハウジングを有し、前記リヤコネクタに組み付けられるフロントコネクタと、
を備えたコネクタであって、
前記リヤハウジングは電線端末の端子を収容し、
前記フロントハウジングは前記端子と接続される相手端子を収容し、
前記リヤハウジングには、
前記端子が外部に露出すると共に、前記端子の電圧を確認可能な確認窓部と、
該確認窓部をシール状態で閉塞する防水蓋と、
が設けられており、
前記確認窓部は、
前記リヤハウジングに設けられてリヤハウジング内の前記端子が外部から視認可能な視認用貫通孔と、
前記視認用貫通孔の開口縁部から延設された筒壁と
で形成され、
前記防水蓋は前記筒壁で囲まれる内側にシール状態で嵌合し、
前記リヤハウジングと前記端子とは一体成形されており、
前記リヤハウジングに設けた前記視認用貫通孔は、前記リヤハウジングと前記端子とを一体成形する際に、前記端子に突き当てて成形金型からリヤハウジングを押し出す押出ピンにより形成される孔であること
を特徴とするコネクタ。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタであって、
前記リヤコネクタの外周を覆い該リヤコネクタをシールドするシールドシェルを備え、
前記シールドシェルには、前記筒壁が挿通する挿通用貫通孔が設けられ、
前記防水蓋は
前記挿通用貫通孔を挿通した前記筒壁に嵌合される防水栓本体と、
該防水栓本体に組み付けられて前記筒壁の内周に密着当接するシール部材と、
前記防水栓本体が組み付けられると共に、前記リヤハウジングに固定される蓋板と、
該蓋板を前記リヤハウジングにねじ止め固定する固定ボルトとからなること
を特徴とするコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタハウジングに収容された端子の導通及び電圧測定を行うことができるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、防水シールドコネクタが提案されている。この防水シールドコネクタは、コネクタハウジングに収容された端子と、この端子に加締め接続された電線端末とが第1、第2シール部材によって覆われており、この状態で第1シール部材を突き破って外部に突出した端子先端部が筐体の差し込み口に差し込まれて、筐体内の電気回路に接続される。また、この防水シールドコネクタは、コネクタハウジング、第1、第2シール部材、端子、端子と電線端末との接続部が全体的にシールドシェルによってシールドされている。
【0003】
このようなコネクタでは、電線の導通確認や電圧の測定を行う必要があり、この場合には、電線端末と端子との接続部分に測定器のプローブを接触させている。
【0004】
ところが、上記特許文献1のように電線端末と端子との接続部分が第1、第2シール部材で覆われていると、測定器のプローブを電線端末と端子との接続部分に接触させることができない。そこで、導通確認や電圧の測定を行う場合には、シールドシェルや第1、第2シール部材を取り外して、電線端末と端子との接続部分を露出させ、この露出部分に測定器のプローブを接触させなければならない。
【0005】
また、電線端末と端子との接続部分を防水するのに、ポッティング剤を用いた防水コネクタや端子と電線端末部分をコネクタハウジングと一体成形した防水コネクタも提案されている。このような防水コネクタでは、端子と電線端末部分が外部に露出していないので、特許文献1と同様に導通確認や電圧の測定を行うことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−272404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、特許文献1に記載された防水シールドコネクタでは、導通確認や電圧の測定を行う場合には、第1、第2シール部材を取り外して、電線端末と端子との接続部分や端子を外部に露出させる必要があるので、導通確認や電圧の測定に手間がかかる。
【0008】
また、ポッティング剤を充槇した防水コネクタや、コネクタハウジングと一体成形する防水コネクタは、導通確認や電圧の測定を行うことが出来ない。
【0009】
そこで、本発明では、確実な防水性能が得られると共に、導通確認や電圧の測定が容易なコネクタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のコネクタは、リヤハウジングを有するリヤコネクタと、フロントハウジングを有し、リヤコネクタに組み付けられるフロントコネクタと、を備えたコネクタであって、リヤハウジングは電線端末の端子を収容し、フロントハウジングは端子と接続される相手端子を収容し、リヤハウジングには、端子が外部に露出すると共に、端子の電圧を確認可能な確認窓部と、該確認窓部をシール状態で閉塞する防水蓋と、が設けられており、前記確認窓部は、前記リヤハウジングに設けられてリヤハウジング内の前記端子が外部から視認可能な視認用貫通孔と、前記視認用貫通孔の開口縁部から延設された筒壁とで形成され、前記防水蓋は前記筒壁で囲まれる内側にシール状態で嵌合し、前記リヤハウジングと前記端子とは一体成形されており、前記リヤハウジングに設けた前記視認用貫通孔は、前記リヤハウジングと前記端子とを一体成形する際に、前記端子に突き当てて成形金型からリヤハウジングを押し出す押出ピンにより形成される孔であることを特徴とする。
【0012】
本発明のコネクタでは、リヤコネクタの外周を覆い該リヤコネクタをシールドするシールドシェルを備え、シールドシェルには、筒壁が挿通する挿通用貫通孔が設けられ、防水蓋は挿通用貫通孔を挿通した筒壁に嵌合される防水栓本体と、該防水栓本体に組み付けられて筒壁の内周に密着当接するシール部材と、防水栓本体が組み付けられると共に、リヤハウジングに固定される蓋板と、該蓋板をリヤハウジングにねじ止め固定する固定ボルトとからなることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の実施形態のコネクタを示す分解斜視図である。
図2図2は、本発明の実施形態のコネクタの組付状態を示す平面図である。
図3図3は、本発明の実施形態のコネクタを組付状態で電力制御用電気機器(インバータ)に取り付けた状態を示す平面図である。
図4図4は、図2のA−A線に沿って切断した断面図である。
図5図5は、図2のB−B線に沿って切断した断面図である。
図6図6は、確認窓部にて導通確認や電圧の測定を行っている状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態のコネクタ2について図面に基づいて説明する。本実施形態のコネクタ2は、電力制御用電気機器(インバータ)9(図3参照)と電線11とを接続するものであり、電力制御用電気機器9と電線11との間に設けられることにより電源からの電力を電力制御用電気機器9に供給する。
【0017】
図1に示すように、本実施形態のコネクタ2は、リヤハウジング14を有するリヤコネクタ4と、フロントハウジング(フロントハウジング本体)15を有しリヤコネクタ4に組み付けられるフロントコネクタ5と、リヤコネクタ4の外周を覆い該リヤコネクタ4をシールドするシールドシェル21とを備えている。リヤハウジング14は電線11の端末の端子(以下「板状端子」という)3を収容し、フロントハウジング15は、板状端子3と接続される相手端子を収容する。リヤハウジング14とフロントハウジング15がコネクタハウジングを構成している。
【0018】
図1では、本実施形態のコネクタ2の分解斜視図が示されている。リヤハウジング14と板状端子3とは、互いに別体として成形され、成形後のリヤハウジング14に板状端子3を組み付けるものであってもよいし、また互いに一体成形されるものであってもよい。以下の説明では、リヤハウジング14と板状端子3とは一体成形される場合について記載する。リヤハウジング14と板状端子3との一体成形の方法については後に説明する。
【0019】
本実施形態のコネクタ2は、リヤハウジング14に、板状端子3が外部に露出すると共に、板状端子3の電圧を確認可能な確認窓部10と、この確認窓部10をシール状態で閉塞する防水蓋16とが設けられている。
【0020】
板状端子3は電源からの電線11の端末に接続される。この実施形態において電線11は一対の芯線(2本の芯線)によって形成されており、板状端子3はそれぞれの電線11の端末に接続される。図1に示すように板状端子3は板状の端子本体部3aと、端子本体部3aから直角状に屈曲され、電線11の内部導体の端末に加締め圧着によって接続される電線側接続部3bと、電線側接続部3bと反対側の端子本体部3aの端部に一体に形成され、後述するメス端子12に加締め及び溶接により接続されるメス端子側接続部3cとによって形成されている。
【0021】
リヤコネクタ4はリヤハウジング14を有し、このリヤハウジング14内に板状端子3及び板状端子3に接続される電線11の端末部分が収容される。リヤハウジング14は絶縁性樹脂によって形成される。このリヤハウジング14にはフロントコネクタ5が組み付けられる長円筒状の外形の取付部14aが前面側に一体に設けられており、この取付部14aの外面にフロントコネクタ5との組み付けを行うための係止凸部14bが形成されている。このリヤハウジング14はあらかじめ成形されるものではなく、コネクタ2の製造時に後述する成形防水部6とともにモールド型内で一体成形されるものであり、この一体成形によって図2図6に示す形状となる。
【0022】
また、図1及び図4図5に示すように、リヤハウジング14に設けられた確認窓部10は、リヤハウジング14内の板状端子3が外部から視認可能な視認用貫通孔18と、この視認用貫通孔18の開口縁部18aから延設された筒壁20とで形成されている。視認用貫通孔18は、板状端子3と一体成形された成形防水部6に設けた内部貫通孔22と、リヤハウジング14に設けられて内部貫通孔22と連通する外部貫通孔25とで形成されている。内部貫通孔22と外部貫通孔25は、2つの板状端子3、3の端子本体部3a、3aにそれぞれ対応して2箇所設けられている。
【0023】
これらの内部貫通孔22と外部貫通孔25は、リヤハウジング14と成形防水部6と板状端子3とを一体成形する際に、板状端子3に突き当てる突き当てピンにより形成される孔が用いられている。また、外部貫通孔25の開口縁部18aから上記筒壁20が突設されている。
【0024】
筒壁20は、平面視で楕円形状に形成され、その高さは、図6に示すように導通確認や電圧の測定器のプローブ26先端26aが筒壁20内の外部貫通孔25、内部貫通孔22内に挿入可能に設定されている。さらに、筒壁20に隣接してリヤハウジング14には、ねじ止め固定部27が設けられている。このねじ止め固定部27は、リヤハウジング14の外周面より一段高く形成された矩形状の取付台28と、この取付台28の中心部に設けられた固定ねじ孔29と形成されている。これらの筒壁20とねじ止め固定部27は、リヤコネクタ4の外周を覆いリヤコネクタ4を電磁的にシールドするシールドシェル21で覆われ、筒壁20は、シールドシェル21に設けられた矩形状の挿通用貫通孔30から外部に突出する。また、シールドシェル21の矩形状の挿通用貫通孔30に隣接してねじ挿通孔38が形成されている。このねじ挿通孔38には、取付台28の固定ねじ孔29に螺合する固定ボルト34が挿通する。そして、筒壁20内で囲まれる内部に上記防水蓋16がシール状態で嵌合される。
【0025】
防水蓋16は、筒壁20内に嵌合される防水栓本体50と、この防水栓本体50に組み付けられるとともに筒壁20の内周に密着当接するシール部材(Oリング)51と、防水栓本体50が組み付けられるとともに、リヤハウジング14にねじ止め固定される蓋板52と、この蓋板52をリヤハウジング14に固定する固定ボルト34とで形成されている。防水栓本体50は蓋板52に固定ねじ53で固定され、固定ねじ53の両側部で防水栓本体50から突出した位置決め突起54により蓋板52に対して位置決めされている。
【0026】
また、図5に示すように、シールドシェル21に設けた矩形状の挿通用貫通孔30からは、筒壁20の先端部分が突出し、蓋板52を取付台28に固定ボルト34にてリヤハウジング14に固定した状態では、シールドシェル21から突出した筒壁20の端面に上記蓋板52が当接する。この状態では、防水栓本体50が筒壁20内に嵌合し、シール部材51が筒壁20の内壁に密着当接して防水性が確保されている。
【0027】
シールドシェル21はリヤコネクタ4の外周を覆うものであり、共にアルミニウム等の金属からなるアッパーシェル41及びアンダーシェル42によって形成されている。
【0028】
アッパーシェル41はリヤコネクタ4を収容する箱形状の外周シールド壁43と、外周シールド壁43の上面に左右方向に延びるように一体成形された固定部44とによって形成されている。固定部44は電気機器の電気機器ケース(不図示)にアッパーシェル41を固定するための部材であり、固定ボルトが貫通する固定用貫通孔47が左右両側に形成されている(図1参照)。また、アッパーシェル41には、上面46に上記した矩形状の挿通用貫通孔30、この挿通用貫通孔30に隣接してねじ挿通孔38が設けられている。
【0029】
アンダーシェル42はコ字形に形成されており、アッパーシェル41の下部に組み付けられる。この組み付けは挟持ブラケット49によって行われる。挟持ブラケット49はアッパーシェル41の下部及びアンダーシェル42を挟み込むように一対が設けられ、アンダーシェル42をアッパーシェル41の下部に当接させた状態で一対の挟持ブラケット49によってこれらを挟み込み、一対の挟持ブラケット49をボルト及びナットによって結合することによりアッパーシェル41とアンダーシェル42とが組み付けられる。このようにアンダーシェル42をアッパーシェル41に取り付けることによりリヤハウジング14がシールドシェル21内に収容されてシールド状態となる。
【0030】
フロントコネクタ5はフロントハウジング本体15(フロントハウジング)と、ハウジングフロント17とによって形成されている。
【0031】
フロントハウジング本体15は一対のメス端子12を収容する。メス端子12は箱状に形成されており、板状端子3のそれぞれに接続された状態でフロントハウジング本体15に収容される。メス端子12を収容するため、フロントハウジング本体15には、端子収容室15cが形成されている。端子収容室15cは隔壁部15aによって区画されており、それぞれの端子収容室15cに挿入されたメス端子12の相互接触が防止されている。フロントハウジング本体15はリヤハウジング14の取付部14aに組み付けられるものであり、取付部14aの係止凸部14bと対応したフック部15bがリヤハウジング14に向かって突出している。
【0032】
ハウジングフロント17は電力制御用電気機器の相手端子が差し込まれるものである。ハウジングフロント17は、ロアフロント部17aと、アッパーフロント部17bとを有し、これらが相互に組み付け可能となっている。ロアフロント部17aには電力制御用電気機器側からの板状の相手端子(図示省略)が差し込まれる矩形状の相手端子挿入口19が形成されている。相手端子挿入口19に差し込まれた相手端子は、フロントハウジング本体15の内に収容されている箱状のメス端子12と電気的に接続される。
【0033】
成形防水部6は電線11の周囲に一体成形されるものである。成形防水部6は一対の芯線からなる電線11の周囲を囲むように設けられており、電線11の絶縁外皮を伝わって板状端子3側に移動する水を遮断する。これにより電線11の周囲からの水の侵入を防止することができる。
【0034】
成形防水部6はあらかじめ成形されるものではなく、コネクタ2の製造時にモールド型内で一体成形される。図2図4は一体成形により成形される成形防水部の形状を示している。このように一体成形されることにより、成形防水部6は電線11と一体となるため、ゴム等のシールリングを単に電線1に巻き付けた場合に比べて電線11と強固に結合される。このため防水性が格段に向上する。
【0035】
このような成形防水部6の材料としては、熱硬化性エラストマーが使用される。熱硬化性エラストマーとしては、加硫ゴム、熱硬化性樹脂系エラストマーを使用することができ、熱硬化性樹脂系エラストマーとしては、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等を適宜選択することができる。
【0036】
以下、実施形態のコネクタ2の製造方法を説明する。
【0037】
図1は成形防水部6の一体成形前の状態を示し、一対の芯線からなるそれぞれの電線11の端末に板状端子3が接続されている。
【0038】
板状端子3が取り付けられた電線11の端末部分をモールド型内にセットし、モールド型内に熱硬化性エラストマーを注入して熱硬化する。これにより電線11の端末部分の周囲に成形防水部6が一体成形される。
【0039】
成形防水部6の一体成形の後、箱状のメス端子12をそれぞれの板状端子3に接続する。メス端子12は図1に示すように、箱状のメス箱部接続部12aと、メス箱部接続部12aから延びる薄板状の板状接続部12bとによって形成されており、板状接続部12bに対して板状端子3のメス端子側接続部3cを加締めて圧着する。その後、溶接を行うことにより板状接続部12bとメス端子側接続部3cとを結合させる。溶接を行うことにより板状端子3とメス端子12とが強固に接続された状態となる。これにより電気的接続の信頼性が向上する。
【0040】
図2図6はリヤハウジング14を一体成形した状態を示す。この状態では、電線11の端末部分への成形防水部6の一体成形及び溶接による板状端子3とメス端子12との接続の後に行われるものである。
【0041】
リヤハウジング14の一体成形にあっては、成形防水部6が形成されている電線11の端末部分及び電線11の端末部分に接続されている板状端子3をモールド型内にセットし、モールド型内に絶縁性樹脂を注入して硬化することにより行う。この成形により成形防水部6や成形防水部6が設けられている電線11の端末部分がリヤハウジング14に埋め込まれた状態となる。従って、成形防水部6がリヤハウジング14内で固定された状態となり、成形防水部6が電線11から離れることが阻止される。従って成形防水部6が電線11の周囲に密着した状態を保持することができるため、成形防水部6による水の侵入防止を確実に行うことができる。
【0042】
成形防水部6を電線11の端末に一体成形し、リヤハウジング14を成形防水部6と一体成形した後においては、フロントハウジング本体15をリヤハウジング14に組み付ける。この場合、ハウジングフロント17を組み立ててフロントハウジング本体15内に挿入してフロントコネクタ5を形成する。なお、フロントハウジング本体15とハウジングフロント17との間には、ゴムからなるシールリング7が配置される。
【0043】
その後、メス端子12をフロントハウジング本体15の端子収容室15cに挿入しながら、フロントハウジング本体15をリヤハウジング14の取付部14aに組み付ける。このとき、ゴムからなるシールリング7を挟みながらフック部15bを係止凸部14bに係止させる。
【0044】
次に、リヤコネクタ4をシールドシェル21内に収容する。このとき、リヤハウジング14に設けた筒壁20を、矩形状の挿通用貫通孔30内に挿通させる。この状態からアンダーシェル42を挟持ブラケット49を用いてアッパーシェル41に組み付けることでリヤコネクタ4がシールドシェル21内に収容・保持される。そして、筒壁20内に防水栓本体50を嵌合させ、シール部材51を筒壁20の内壁に密着当接させる。次に固定ボルト34を挿通孔38内に挿通させて、リヤハウジング14の固定ねじ孔29に螺合させることで、図4及び図5に示すように蓋板52が筒壁20の端面に当接する。
【0045】
以上により、図2及び図3に示すようにコネクタ2が組み付けられる。次に、導通確認や電圧の測定を行う場合には、図6に示すように、固定ボルト34を固定ねじ孔29から取り外し、防水蓋16を筒壁20内から取り出す。防水蓋16を筒壁20内から取り出した状態では、外部貫通孔25、内部貫通孔22を通して板状端子3の端子本体部3aが外部に露出している。そして、外部貫通孔25、内部貫通孔22から導通確認や電圧測定用に測定器のプローブ26を挿入し、先端26aを端子本体部3aに接触させる。
【0046】
導通確認や電圧の測定が終了した後には、再び防水蓋16を筒壁20内に嵌合させて、固定ボルト34を固定ねじ孔29に螺合させて締め付けることで外部貫通孔25、内部貫通孔22をシール状態で閉塞する。
【0047】
以上説明したように、本実施形態によれば、リヤハウジング14に板状端子3が収容されたコネクタ2において、確認窓部10を防水蓋16によりシール状態で閉塞するので確実な防水性能が得られ、また、確認窓部10を開放することにより板状端子3が外部に露出するので、検査機器や測定機器のプローブ26の先端26aをこの確認窓部10から板状端子3に接触させることにより、導通確認や電圧の測定を容易に行うことが出来る。従って、導通確認や電圧の測定に手間がかかるという従来の問題や、導通確認や電圧の測定を行うことができないという従来の問題を解決し、確実な防水性能が得られると共に、導通確認や電圧の測定を容易に行うことができる。
【0048】
また本実施形態によれば、導通確認や電圧の測定を行う際には、視認用貫通孔18の開口縁部18aに設けた筒壁20内に嵌合している防水蓋16を外せば、視認用貫通孔18を通して外部に板状端子3が露出するので容易に導通確認や電圧の測定を行うことができる。また、筒壁20の内側に防水蓋16を嵌合させることで確実な防水性能が得られる。
【0049】
さらに、リヤハウジング14にねじ止め固定された固定ボルト34を外し、蓋板52をシールドシェル21から外すことで筒壁20内から防水栓本体50を取り外すことができ、この状態では筒壁20内の内部貫通孔22から板状端子3が外部に露出する。板状端子3が外部に露出した状態で導通確認や電圧の測定を行った後に再び、防水栓本体50を筒壁20内に挿入し、蓋板52をリヤハウジング14に固定ボルト34により固定することで防水栓本体50が筒壁20の内側に嵌合し、シール部材51が筒壁20の内側に密着当接することで確実な防水性能が得られる。
【0050】
また、リヤハウジング14と端子とを一体成形する際に、端子3に突き当てる突き当てピンによって形成される孔を、筒壁20内で端子3を外部に露出する視認用貫通孔18とすることで、リヤハウジング14を設計する上で特別に端子露出用の貫通孔を設ける必要がない。これにより、リヤハウジングを成形する成形金型の構造が簡単になり、金型及びコネクタの製造コストの低減が可能となる。
【0051】
さらに、本実施形態では、電線11端末の周囲に成形防水部6を一体成形するため、成形防水部6が電線11の絶縁外皮に密着した状態となって電線11と強固に結合される。このため電線11を伝う水を成形防水部6が遮断するため、水の侵入を確実に防止することができる。また、成形防水部6を含む電線11をリヤハウジング14と一体成形するため、成形防水部6がリヤハウジング14と一体となって埋め込まれ、成形防水部6が電線11に密着した状態を保持することができ、成形防水部6による水の侵入防止力が増大する。
【0052】
このような実施形態では、電線11端末の周囲に成形防水部6を一体成形し、この成形防水部6を含む電線11をリヤハウジング14と一体成形して防水構造とすることから、防水のための部品点数が多くなることがなく、コネクタ2が大型化することがない。しかも、成形防水部6を電線11と一体成形すると共に、リヤハウジング14を一体成形するため、組み立て工程が少なくなり、製造が容易となる。
【0053】
なお、本実施形態では、電線11が一対の芯線によって形成されている場合について説明したが、同軸線に接続された端子の導通検査や電圧測定にも本発明を適用することができる。
【0054】
また、本実施形態では、リヤハウジング14と板状端子3とが一体成形されているコネクタの場合について説明したが、リヤハウジング14と板状端子3とが別体として成形され、成形後のリヤハウジング14に板状端子3を組み付けるようなコネクタについても本発明を適用することができる。すなわち、端子がコネクタハウジングに収容されるコネクタ全てに本発明を適用することができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの実施形態は本発明の理解を容易にするために記載された単なる例示に過ぎず、本発明は当該実施形態に限定されるものではない。本発明の技術的範囲は、上記実施形態で開示した具体的な技術事項に限らず、そこから容易に導きうる様々な変形、変更、代替技術なども含むものである。
【0056】
本出願は、2012年10月30日に出願された日本国特許願第2012−238931号に基づく優先権を主張しており、この出願の全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
端子を収容するコネクタハウジングにおいて、確認窓部を防水蓋によりシール状態で閉塞するコネクタであるので、確実な防水性能が得られ、確認窓部を開放することにより端子が外部に露出するので、導通確認や電圧の測定を行うことができる。従って、従来のように導通確認や電圧の測定に手間がかかるという問題や、導通確認や電圧の測定を行うことができないという問題を解決し、確実な防水性能が得られると共に、導通確認や電圧の測定を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0058】
2 コネクタ
3 板状端子
4 リヤコネクタ
5 フロントコネクタ
10 確認窓部
14 リヤハウジング
15 フロントハウジング
16 防水蓋
18 視認用貫通孔
30 挿通用貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6