(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
反応後、式1の化合物を、1回以上、アルコール性溶媒またはアルコール性溶媒の混合物から結晶化させることによって精製することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
式3の化合物の位置選択的臭素化を、ハロゲン化炭化水素、ニトリル、およびハロゲン化炭化水素とニトリルとの混合物から選択される溶媒中で行う、請求項4または5記載の方法。
【技術分野】
【0001】
本発明は、エピマーとして純粋な形のシクレソニド1(16α,17−[(R)−シクロヘキシル−メチレンジオキシ]−11β−ヒドロキシ−21−(2−メチル−1−オキソプロポキシ)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−オン)の調製方法に関する。本化合物は、下記の構造:
【化1】
を有するコルチコステロイドである。シクレソニドは、呼吸器系疾患の処置に用いられる。
【0002】
背景技術
活性物質の合成および精製ならびに合成の詳細な特徴についてはすでに種々の研究において記載されている。
【0003】
DE4129535は、11β,16α,17,21−テトラヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−オンを無水イソ酪酸とピリジン中で反応させて16,17,21−トリエステルを得、それを更に、ジオキサン中、塩化水素および過塩素酸の存在下、シクロヘキサンアルデヒドと反応させて、R,S−シクレソニドを、R/S比約1:1で得たことを開示している。第2工程の反応時間は、非常に長く、約200時間である。
【0004】
WO94/22899は、11β,16α,17,21−テトラヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−オンをシクロヘキサンアルデヒドとの酸触媒反応に付すことによる中間体である16α,17−[(R,S)シクロヘキシル−メチレンジオキシ]−11β,21−ジヒドロキシ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−オンの合成を開示している。粗生成物中のエピマーのR/S比は、反応条件に応じて95.5〜25:75である。挙げられている実施例の多くでは、爆発の可能性がある70%過塩素酸が触媒として用いられており、一つの実施例では、溶媒としてさえ使用されている。過去、濃過塩素酸の使用が、死に至る多くの事故を招いており(例えば、L. RothによるU. Weller-Schaferbarthold, Gefahrliche Chemische Reaktionen CD-ROM, 8/2011版, ecomed Sicherheitを参照)、すなわちこの物質を工業的に使用するには、安全性に関して特に厳密な予防策をとる必要があり、したがって費用がかさむ。ある例においては、ニトロメタンが溶媒として使用されているが、これも別の爆発性物質である。
【0005】
WO95/24416は、16α,17−[(R,S)−シクロヘキシルメチレンジオキシ]−11β,21−ジヒドロキシ-プレグナ−1,4−ジエン−3,20−オンからRエピマーを濃縮する方法を開示している。Rエピマー≧97%の濃度を達成するには、21位のシリル化、少なくとも1回の分別結晶、および酸加水分解が必要である。
【0006】
WO98/09982は、水混和性溶媒と水の混合物からのR,S−シクレソニドの分別結晶を開示している。R/Sエピマー比約90:10から出発してRの割合>99.5%とするまでのエピマー精製の総収率約50%を達成するには、エタノール/水からの4回の連続した結晶化が必要である。
【0007】
WO02/38584は、70%過塩素酸の存在下、対応する16,17−ケタールをシクロヘキサンアルデヒドと反応させることにより16α,17−[(R,S)−シクロヘキシルメチレンジオキシ]−11β,21−ジヒドロキシ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−オンとR,S−シクレソニドをR/S比>90:10で合成することが開示されている。溶媒としては1−ニトロプロパンが使用されている。上述したように、濃過塩素酸の使用は、過去、死に至る多数の事故をもたらしている。
【0008】
WO2004/085460は、水混和性溶媒中のR,S−シクレソニド溶液を水に添加することによる微細結晶物質の調製に重点を置いている。この工程において、Rエピマーの濃度は観察されていない。
【0009】
WO2005/044759は、85%リン酸中、対応する16,17−ジヒドロキシ化合物とアルデヒド、アセタール、ケトンまたはケタールとの反応による、各種プレグナン誘導体の16,17−アセタールまたは16,17−ケタールの合成に関する。11β,16α,17,21−テトラヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−オンを2.5当量のシクロヘキサンアルデヒドと、85%リン酸4部中、0〜5℃で反応させることは、WO2005/044759においては実験的には記載されていないが、我々自身による研究が示すところによると、非常に不利なエピマー比しか得られない。5時間反応させ、その後メタノールおよび水の添加により生成物を沈澱させたところ、16α,17−[(R,S)−シクロヘキシルメチレンジオキシ]−11β,21−ジヒドロキシ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−オンが、約48:52のR/S比で得られている。
【0010】
WO2007/054974は、イオン性液体とアセトニトリルまたはジクロロメタンの混合物中、対応する16,17−ケタールとシクロヘキサンアルデヒドとの酸触媒反応による16α,17−[(R,S)−シクロヘキシルメチレンジオキシ]−11β,21−ジヒドロキシ-プレグナ−1,4−ジエン−3,20−オンおよび類似化合物の合成を開示している。単離された生成物におけるR/Sエピマー比は、反応条件に応じて92:8〜78:22と異なっている。記載されているすべての実施例において、爆発の可能性がある70%過塩素酸が触媒として使用されている。収率は137〜213%の間であり、すなわち単離された粗生成物の純度はむしろ低い。
【0011】
WO2007/056181は、水非混和性である少なくとも1種類の溶媒を含有する溶液からのR,S−シクレソニドの結晶化によるR−エピマーの濃縮に関する。R/Sエピマー比を約90:10から99.75:0.25まで向上させるためには、アセトン/イソオクタンからの4回の連続結晶化が必要である。45.9gの生成物に基づくと、濃縮の工程には、6137g以上のアセトン/イソオクタンが必要である。ジクロロメタン/イソオクタンを用いると、R/Sエピマー比90:10から出発してR/Sエピマー比99.5:0.5に到達するには、4回の結晶化が必要である。ここでもまた、精製のために比較的多量の溶媒、すなわち生成物37gに対してジクロロメタン/イソオクタン6000g以上が使用されている。
【0012】
US2007/0117974は、11β,16α,17,21−テトラヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−オンとカルボン酸無水物およびアルデヒドとの酸触媒反応により、ワンポット反応の形で21位がアシル化された16,17−アセタールを得ることに重点を置いている。記載されているすべての実施例において、酸成分として70%過塩素酸が使用されている。無水物(6当量)およびアルデヒド(4当量)の必要量は、比較的高い。
【0013】
WO2008/015696は、キラル固定相を用い、R,S−シクレソニドをクロマトグラフィーにより2つのエピマーに分割することが記載されている。すべての実施例において、固定相に高度に希釈した溶液が適用されている(500ppm、すなわち溶媒2000gに溶解したエピマー混合物1g)。
【0014】
WO2008/035066は、11β,16α,17,21−テトラヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−オンおよび21位がアシル化された11β,16α,17,21−テトラヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−オン誘導体とシクロヘキサンアルデヒドの重亜硫酸付加物との酸触媒反応により対応する16,17−アセタールを得ることに関する。この方法の欠点は、重亜硫酸付加物をシクロヘキサンアルデヒドと重亜硫酸ナトリウムから別々の反応工程で調製しなければならないことである。これには、重亜硫酸付加物の単離および乾燥が含まれる。アセタール化の反応は、多量の70%過塩素酸を用いることを記載した実施例で行われており、安全性に関する非常に多くの予防策が必要である。WO2008/035066はさらに、シクレソニドの結晶性メタノール溶媒和物を記載しており、これは、活性物質をメタノールから結晶化することによって得られる。
【0015】
WO2009/112557は、11β,16α,17,21−テトラヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−オン、21−アセトキシ−11β,16α,17−トリヒドロキシ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−オン、または11β,16α,17−トリヒドロキシ−21−(2−メチル−1−オキソプロポキシ)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−オンを、シクロヘキサンアルデヒドと、臭素またはヨウ化水素酸の存在下で反応させて、対応する16,17−アセタールを得ることを記載している。16α,17−[(R,S)−シクロヘキシル−メチレンジオキシ]−11β,21−ジヒドロキシ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−オンの合成においては、最初の工程において用いる11β,16α,17,21−テトラヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−オン1gに基づく反応混合物を、氷水50gに加える、すなわち高度に希釈している。
【0016】
本技術分野において知られている合成方法の欠点は、これらの方法が、大規模な工業的生産向けに一部しか、またはまったく設計されたものではなく、大規模なシクレソニドの生産の観点による特別な要件が十分に考慮されていないというものである。作業時の安全性、スケールアップの可能性、供給源の使用(原材料の観点から)を見ると、先行技術は、これらの点に的確に対処した方法をこれまで記載していないことが明らかになる。
【0017】
したがって本発明は、純粋なシクレソニドを安全かつ効率的に生産することを可能とする、特に工業的規模での使用のための改良された合成方法を提供することに基づく。本方法の長所は下記のとおりである。
・ 加水分解の傾向があるイソ酪酸誘導体(イソ酪酸無水物またはイソ酪酸塩化物など)に替えてイソ酪酸の安定な塩を使用する。
・ 21−ブロモ−16α,17−シクロヘキシル−メチレンジオキシ−11β−ヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−オン段階において22Sエピマーの減少が可能である。
・ シクレソニドの調製において、過塩素酸およびニトロアルカンを使用しない。
・ 総収率が高い:例としては、実施例1〜6(実験の部を参照)において混合物Aで得られた総収率(11β,16α,17,21−テトラヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−オンから出発して約38%)が挙げられる。
【0018】
発明の詳細な説明
本発明は、式1
【化2】
のシクレソニドを調製する方法であって、式2
【化3】
(式中、R
1は、Br、IまたはClを表しうる)の化合物を、式
【化4】
(式中、X
+は、好ましくはLi
+、Na
+、K
+およびCs
+から選択され、好ましくはNa
+であるアルカリ金属イオンを表すか;またはN(R
2)
4+を表し、ここでR
2は、好ましくは、互いに独立して、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、およびtert−ブチルから、好ましくはメチルおよびn−ブチルから選択されるC
1−6アルキルを表す)
の塩と反応させることを特徴とする方法に関する。
【0019】
上記の方法において好ましくは、式2の化合物中のR
1は、Brを表す。
【0020】
上記の方法において好ましくは、X
+は、Li
+、Na
+、K
+、またはCs
+を表し、好ましくはNa
+を表す。
【0021】
上記の方法において好ましくは、X
+は、N(R
2)
4+を表し、R
2は、互いに独立して、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、およびtert−ブチルから選択され、好ましくはメチルおよびn−ブチルから選択されうる。
【0022】
上記の反応工程において用いることができる溶媒には、極性の非プロトン性溶媒[例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−エチル−2−ピロリドン(NEP)、ジメチルホルムアミド(DMF)およびジメチルアセトアミド(DMAC)]、極性エーテル[例えば、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン]、極性ニトリル(例えばアセトニトリル)、および極性ケトン(例えば、アセトン)が包含される。反応に好ましい溶媒は、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、またはその混合物である。
【0023】
本発明の一つの実施態様では、化合物1を得るための化合物2の上記反応は、20〜70℃、好ましくは35〜55℃の反応温度で行う。
【0024】
上記の方法においては好ましくは、反応後、式1の化合物を、1回以上、好ましくは1、2または3回、アルコール性溶媒、好ましくはエタノールまたはメタノール/エタノール混合物から結晶化させることによって精製する。
【0025】
精製の好ましい別法は、メタノール/エタノール混合物(好ましい比は、2:1〜1:2の間、好ましくは約1:1)からの1回または繰り返しての結晶化と続いてのエタノールからの結晶化である。
【0026】
上記の方法において好ましくは、式2
【化5】
(式中、R
1は、Brを表す)の化合物は、式3
【化6】
の化合物の位置選択的臭素化によって調製される。
【0027】
上記の方法において好ましくは、式3の化合物の位置選択的臭素化は、三臭化リン(PBr
3);ブロモトリフェニルホスホニウム・ブロミド(BrPPh
3Br);または有機トリフェニルホスフィン(好ましくはPPh
3)と、N−ブロモスクシンイミド(NBS)、テトラブロモメタン(CBr
4)、ヘキサブロモアセトン(CBr
3COCBr
3)、ジブロモ−メルドラム酸(5,5−ジブロモ−2,2−ジメチル−4,6−ジオキソ−1,3−ジオキサン)および臭素(Br
2)から選択される試薬との混合物による、好ましくはBrPPh
3Br;またはトリフェニルホスフィンと、N−ブロモスクシンイミド、テトラブロモメタン、ヘキサブロモアセトンおよびBr
2から選択される臭素化剤、好ましくはN−ブロモスクシンイミドとの混合物を用いた触媒によるアッペル反応の変法(J. Org. Chem. 2011, 76, 6749-6767 および Chem. Eur. J. 2011, 17, 11290-11295を参照)により行う。
【0028】
上記の方法において好ましくは、式3の化合物の位置選択的臭素化は、ハロゲン化炭化水素、ニトリル、およびハロゲン化炭化水素とニトリルとの混合物から選択される溶媒中で行う。ニトリルの例としては、アセトニトリル、およびプロピオニトリルが挙げられる。ハロゲン化炭化水素の例としては、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンおよびクロロホルムが挙げられる。
【0029】
上記の方法において好ましくは、式3の化合物の位置選択的臭素化は、ジクロロメタン、アセトニトリルおよびジクロロメタン/アセトニトリル混合物から選択される溶媒中で行う。
【0030】
N−ブロモスクシンイミド(NSB)/トリフェニルホスフィン(PPh
3)による臭素化において、遊離体(educt)に対して1〜2当量のNBS/PPh
3混合物の使用が好ましい。NBS/PPh
3混合物1.2〜1.5当量を用いるのが特に好ましい。
【0031】
NBS/PPh
3混合物については、1:1の割合、またはPPh
3に対してNBSがわずかに過剰であるのが有利であることが認められた。しかし、過剰量のNBSとPPh
3は、発明により異なりうる(例えば、NBS 1.25当量:PPh
3 1.25当量;NBS 1.35当量:PPh
3 1.35当量;NBS 1.45当量:PPh
31.45当量;NBS 1.50当量:PPh
3 1.50当量;NBS 1.35当量:PPh
3 1.20当量;NBS 1.35当量:PPh
31.25当量;NBS 1.45当量:PPh
3 1.25当量;NBS 1.50当量:PPh
3 1.30当量;NBS 1.50当量:PPh
31.35当量)。
【0032】
好ましくは、上記の方法は、反応後、R
1がBrを表す式2の化合物を、極性の水混和性の有機溶媒またはその混合物から、水を添加するか添加せずに、1回以上、好ましくは1回または2回の結晶化により精製することを特徴とし、ここでメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−エチル−2−ピロリドン(NEP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサンまたはほかの水混和性エーテルおよび水から互いに独立して選択される溶媒の混合物が好ましく;メタノール、アセトニトリル、NMP、NEP、DMSO、アセトン、THF、MEKおよび水から互いに独立して選択される溶媒の混合物が好ましく;メタノール、アセトニトリル、NMP、DMSO、アセトンおよび水から互いに独立して選択される溶媒の混合物が好ましい。
【0033】
本発明の一つの実施態様では、溶媒混合物は、上記の例の2または3種、好ましくは2種の溶媒を含む。
【0034】
上記のR
1がBrを表す式2の化合物の調製方法の発明の一つの実施態様では、反応後、精製のために、
a) 極性の水混和性有機溶媒またはその混合物から、水を添加するか添加せずに、最初の結晶化を行い;溶媒の混合物は、好ましくは、メタノール、アセトニトリルおよび水から互いに独立して選択して使用され;
続いて
b) 極性の水混和性有機溶媒またはその混合物に、水を添加するか添加せずに、懸濁させることにより少なくとも1回精製し;溶媒の混合物は、好ましくは、アセトニトリル、NMP、NEP、DMF、DMAC、DMSO、アセトン、MEK、THF、ジオキサン、またはその他の水混和性エーテルおよび水から、好ましくは、アセトニトリル、NMP、NEP、DMF、DMAC、DMSO、アセトン、MEK、THF、および水から、好ましくはアセトニトリル、NMP、DMSO、アセトン、および水から互いに独立して選択して使用される。
【0035】
必要に応じて、Rエピマーが適度に濃縮されるまで工程b)を繰り返してもよい。好ましくは、R
1がBrを表す式2の化合物の生成物の混合物では、95%を超える割合、好ましくは96%、好ましくは97%の割合でRエピマーが存在する。
【0036】
工程b)は、低温(例えば周囲温度)または高温(沸点)で選択的に実施してもよい。好ましくは、温度は、用いる溶媒または溶媒混合物の沸点に応じて、40℃〜沸点、好ましくは45〜80℃の間である。
【0037】
本発明の一つの実施態様では、工程a)およびb)での溶媒混合物は、本明細書で述べる例の2または3種、好ましくは2種の溶媒を含む。
【0038】
上記の方法において好ましくは、式3の化合物は、式4
【化7】
の化合物を、酸、好ましくはメタンスルホン酸の存在下、シクロヘキサンアルデヒドと反応させることにより得られる。式4の化合物とシクロヘキサンアルデヒドとの反応における触媒としての酸の使用および適切な溶媒は、WO94/22899にすでに記載されており、ここでその全体を引用する。
【0039】
上記の方法において好ましくは、式3の生成物は単離せずに直接更に反応させて、式2の化合物が得られる。
【0040】
用いる語および定義
本発明の範囲内の化合物1は、シクレソニド、すなわち16α,17−[(R)−シクロヘキシルメチレンジオキシ]−11β−ヒドロキシ−21−(2−メチル−1−オキソプロポキシ)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−オン:
【化8】
を意味する。
本発明の範囲内の語R,S−シクレソニドは、16α,17−[(R,S)−シクロヘキシルメチレンジオキシ]−11β−ヒドロキシ−21−(2−メチル−1−オキソプロポキシ)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−オン:
【化9】
を意味する。
【0041】
R,S−シクレソニドの名称および16α,17−[(R,S)−シクロヘキシルメチレンジオキシ]−11β−ヒドロキシ−21−(2−メチル−1−オキソプロポキシ)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−オン中の一部分である語「R,S」は、それがエピマー混合物(ジアステレオマーの混合物)であるが、エピマーの比はこれからは推論できない、すなわち「R,S」は、R/S1:1のエピマー比でなければならないことは意味していない。
【0042】
本発明の範囲内の化合物2は、21−ブロモ−16α,17−[(R)−シクロヘキシルメチレンジオキシ]−11β−ヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−オンを意味する。
【化10】
【0043】
本発明の範囲内の化合物3は、16α,17−[(R)−シクロヘキシルメチレンジオキシ]−11β,21−ジヒドロキシ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−オンを意味する。
【化11】
【0044】
特に記載しない限り、置換基のすべては、互いに独立している。例えば複数のC
1−6アルキル基が一つの基の置換基として存在しているとすると、3つのC
1−6アルキル置換基の場合、それらは互いに独立して一つのメチル、一つのn−プロピル、および一つのtert−ブチルを表しうる。
【0045】
特に記載しない限り、有機化合物では、基R
n(ここでnは、別の基Rと区別するための手段としてのプレースホルダーである)は、通常は示されない水素原子に替わるものである。式中、基R
nが炭素原子の置換基として示されている場合、この基R
nは、定義に応じて1つ以上の水素原子と取って代わりうる。したがって、例えば、一例としての下記式:
【化12】
において、基R
nは、OHを意味することができ、したがって式自体は、2−プロパノールを意味しうる。しかし、基R
nがOまたは、別の方法で=Oを意味する場合、2つの水素原子がとって代られ、式自体はこの例ではアセトンを意味する。
【0046】
本発明の主題には、1つ以上の水素原子、例えば1、2、3、4または5つの水素原子が重水素で置き換わられた本発明の化合物(塩も含む)も含まれる。
【0047】
本発明の範囲においては、「有機溶媒」によっては、物理的方法によって他の有機物質を溶解しえる有機、低分子の物質が意味される。溶媒としての適性の要件は、溶解の工程において溶解する物質、溶解される物質のいずれもが化学的に変化しない、すなわち溶液の成分は、蒸留、結晶化、昇華、蒸着、吸着などの物理的な分離方法によって本来の形で回収しうるということである。多くの理由から純粋な溶媒ばかりでなく溶解特性を組み合わせた混合物もまた使用しうる。例としては下記が挙げられる:
・ アルコール(アルコール性溶媒)、好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オクタノール、シクロヘキサノール;
・ グリコール、好ましくはエチレングリコール、ジエチレングリコール;
・ エーテル/グリコールエーテル、好ましくはジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、モノ−、ジ−、トリ−、ポリエチレングリコールエーテル;
・ ケトン、好ましくはアセトン、ブタノン、シクロヘキサノン;
・ エステル、好ましくは酢酸エステル、グリコールエステル;
・ 窒素化合物を含むアミド、好ましくはジメチルホルムアミド、ピリジン、N−メチル−2−ピロリドン、アセトニトリル;
・ ニトロ化合物、好ましくはニトロベンゼン;
・ ハロゲン化炭化水素、好ましくはジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、トリクロロエテン、テトラクロロエテン、1,2−ジクロロエタン、クロロフルオロカーボン;
・ 脂肪族または脂環式炭化水素;
・ 芳香族炭化水素、好ましくはベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン;
または対応するその混合物。
【0048】
語「C
1−6アルキル」(他の基の一部であるものも含む)によっては、1〜6個の炭素原子を有する分岐または非分岐アルキル基が意味され、語「C
1−4アルキル」によっては、1〜4個の炭素原子を有する分岐または非分岐アルキル基が意味される。1〜4個の炭素原子を有するアルキル基が好ましい。例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオ−ペンチル、またはヘキシルが挙げられる。場合によっては、略語Me、Et、n−Pr、i−Pr、n−Bu、i−Bu、t−Buなどを上記の基に使用することもできる。特に記載しない限りプロピル、ブチル、ペンチル、およびヘキシルの定義は、対象となっている基のすべての可能な異性体型を含む。したがって、例えばプロピルは、n−プロピルおよびイソプロピルを含み、ブチルは、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルなどを含む。
【0049】
「懸濁」による精製においては、固形物として得られた粗生成物を、適当な溶媒とともに撹拌し、洗浄する。溶媒は、選択した条件下、粗生成物から不純物を溶解するために適切であるが、生成物自体はごくわずかな程度しか溶解しないか、まったく溶解しないのが理想的である。しかし、一部の生成物が溶解する場合、溶液を冷却することによる再結晶化による精製と同様にして通常は回収することができる。原則として、再結晶による精製に使用されるのと同じ溶媒を懸濁にも使用することができるが、使用量が少ない、または温度が低すぎるという事実のため、生成物を完全には溶解することはできない。洗浄後、懸濁液をろ過して生成物を回収する。
【0050】
実験の部
実施例1: 化合物3の調製(濃縮物)
【化13】
混合物A: 11β,16α,17,21−テトラヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−オン100gをジクロロメタン2リットルに懸濁し、−20℃まで冷却し、シクロヘキサンアルデヒド37gを撹拌しながら加えた。次いで、メタンスルホン酸255gをこの温度で30分以内に加えた。このようにして得られた溶液を−20℃で3時間撹拌した。反応溶液を、最大10℃で45%水酸化ナトリウム溶液160mlおよび水500mlの混合物と合わせ、5%炭酸水素ナトリウム溶液100mlによりpH 8.5に調整した。相を互いに分離し、水相をジクロロメタン500mlで1回抽出した。有機相を合わせ、水500mlで1回洗浄し、容量900mlまで濃縮した。
【0051】
混合物B: メタンスルホン酸255gを、11β,16α,17,21−テトラヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−オン100g、ジクロロメタン2リットル、およびシクロヘキサンアルデヒド37gの混合物に、−10〜−15℃で、30分以内に加えた。溶液を−15℃で3時間撹拌し、次いで約10%水酸化ナトリウム溶液でpH8に調整し、相を互いに分離し、水相をジクロロメタン500mlで1回抽出した。有機相を合わせ、水500mlで1回洗浄し、総容量900mlまで濃縮した。
【0052】
混合物C: 11β,16α,17,21−テトラヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−オン25gおよびジクロロメタン500mlをとり、まずシクロヘキサンアルデヒド9gを−15℃で素早く加え、合計64gのメタンスルホン酸を−18〜−20℃で30分以内に撹拌しながら加えた。−20℃で約3時間後、45%水酸化ナトリウム溶液40mlおよび水125mlの混合物で反応溶液をpH2.5に調整し、次いで5%炭酸水素ナトリウム溶液25mlでpH8.5に調整した。相を互いに分離し、水相をジクロロメタン125mlで1回抽出した。有機相を合わせ、水125mlで1回洗浄し、真空下、容量225mlまで濃縮した。
【0053】
混合物D: 11β,16α,17,21−テトラヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−オン700gおよびジクロロメタン7リットルを25リットルの反応容器に入れた。懸濁液を撹拌しながら−15℃まで冷却し、この温度でシクロヘキサンアルデヒド258gを計量して入れた。30分以内にメタンスルホン酸1790gを加え、得られた溶液を−15℃で160分間撹拌した。反応混合物を最大10℃で、45%水酸化ナトリウム溶液1.1リットルおよび水5.8リットルの溶液でpH1.8に調整し、次いで5%炭酸水素ナトリウム溶液でpH8.0に調整した。相を互いに分離し、水相をジクロロメタン3.7リットルで1回抽出した。次いで有機相を合わせ、水3.5リットルで1回洗浄し、約600mbarの圧力下、最大50℃のジャケット温度で、生成物溶液の溶媒を蒸発させて容量5リットルとした。
【0054】
混合物E: 11β,16α,17,21−テトラヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−オン700gおよびジクロロメタン7リットルを25リットルの撹拌容器に入れた。容器の内容物を撹拌しながら−15℃まで冷却し、シクロヘキサンアルデヒド258gを加えた。次いで30分以内にメタンスルホン酸1790gを計量して入れ、得られた溶液を−15℃で更に210分間撹拌した。反応混合物を、45%水酸化ナトリウム溶液1.1リットルと水5.8リットルの溶液と最大10℃で合わせ、次いで5%炭酸水素ナトリウム溶液1.8リットルでpH8.0に調整した。相を分離し、水相をジクロロメタン3.5リットルで1回抽出した。有機相を合わせ、水3.5リットルで1回洗浄し、溶媒の一部を約600mbarの圧力下、最大50℃のジャケット温度で留去した。化合物3の濃縮物5リットルを得た。
【0055】
混合物F: シクロヘキサンアルデヒド15gを、ジクロロメタン400ml中の11β,16α,17,21−テトラヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−オン40gの懸濁液に加え、混合物を−17℃に冷却した。この温度で、メタンスルホン酸102gを計量し、撹拌しながら35分以内に加えた。得られた溶液を更に3時間撹拌し、撹拌時間の最後では、温度は0℃であった。反応混合物を45%水酸化ナトリウム溶液64mlおよび水200mlの溶液で中和し、次いで5%炭酸水素ナトリウム溶液約5mlでpH7.8に調整した。相を互いに分離し、水相をジクロロメタン100mlで1回抽出し、次いで有機相を合わせ、水100mlで1回洗浄した。合わせた有機相を実施例2の混合物H中で処理した。
【0056】
実施例2: 化合物2(粗生成物)の調製
【化14】
混合物A: 化合物3(実施例1、混合物Aから)の濃縮物300mlをジクロロメタン480mlで希釈した。トリフェニルホスフィン35gを、不活性ガス雰囲気下で撹拌しながら加え、溶液を10℃まで冷却した。10〜16℃の温度範囲で、N−ブロモスクシンイミド(NBS)24gをバッチ方式で1時間以内に加えた。更に1時間後、反応混合物を蒸発乾固し、メタノール50mlを加え、混合物を再度蒸発乾固した。次いで残渣をメタノール760mlにとり、水40mlを加え、混合物を50℃まで加熱し、1時間撹拌した。得られた懸濁液を放置して徐々に周囲温度まで戻した。それを更に16時間撹拌し、懸濁液を吸引フィルターを介してろ過した。分割した固形物をメタノール/水(95:5)25mlで2回洗浄し、メタノール25mlで2回洗浄し、次いで真空乾燥機中、60℃で乾燥した。35gの化合物2を粗生成物の形で得た。クロマトグラフィーによる純度(HPLC−UV):液状Rエピマー93.5%、液状Sエピマー5.5%。
【0057】
混合物B: トリフェニルホスフィン35gを、化合物3(実施例1、混合物Aから)の濃縮物300mlに、不活性ガス雰囲気下、撹拌しながら加え、混合物を10℃まで冷却し、次いでアセトニトリル480ml中のN−ブロモスクシンイミド24gの溶液を計量し、10〜16℃で1時間かけて加えた。1時間の反応時間後、反応混合物を真空下、40℃で蒸発乾固し、メタノール50mlを加え、混合物をもう一度蒸発乾固した。残留した残渣をメタノール500mlにとり、水26mlと合わせ、50℃まで加熱した。この温度で1時間撹拌し、その間に生成物が沈澱し始めた。周囲温度へ冷却後、懸濁液を更に16時間撹拌した。真空ろ過により分離した沈澱物をメタノール/水(95:5)25mlで2回洗浄し、メタノール25mlで2回洗浄した。真空乾燥機中60℃で乾燥後、生成物36gが得られた。クロマトグラフィーによる純度(HPLC−UV):液状Rエピマー92.9%、液状Sエピマー5.6%。
【0058】
混合物C: 化合物3(実施例1、混合物Bから)の濃縮物450mlおよびトリフェニルホスフィン52gを15℃でとり、ジクロロメタン660ml中、テトラブロモメタン66gの溶液を計量して90分以内に加え、混合物を15〜20℃で更に30分間撹拌した。反応混合物を真空下、40℃で蒸発乾固し、メタノール50mlを加え、溶媒をもう一度留去した。残渣をメタノール760mlに溶解し、水40mlと合わせ、周囲温度で数時間撹拌した。得られた懸濁液を10℃まで冷却した。10℃で2時間後、ろ過装置を用いて沈殿した固形物を分離し、メタノール100mlで洗浄し、真空乾燥機中60℃で乾燥した。生成物50gが得られた。クロマトグラフィーによる純度(HPLC−UV):液状Rエピマー89.5%、液状Sエピマー7.9%。
【0059】
混合物D: 化合物3(実施例1、混合物Bから)の濃縮物450mlを、不活性ガス雰囲気下に置き、10℃でジクロロメタン660ml中のブロモトリフェニルホスホニウム・ブロミド73gの懸濁液を90分以内にバッチ方式で加えた。添加が完了したら、反応混合物を更に30分間撹拌し、次いで真空下、蒸発乾固した。メタノール50mlを残渣に加え、混合物を再度蒸発乾固した。残渣をメタノール760mlおよび水40mlの混合物にとり、得られた懸濁液をまず周囲温度で数時間撹拌し、次いで10℃まで冷却し、10℃で更に2時間撹拌した。吸引ろ過により分離した沈殿物をメタノール100mlで洗浄し、真空乾燥機中、60℃で乾燥した。収量は45gであった。クロマトグラフィーによる純度(HPLC−UV):液状Rエピマー約88.3%、液状Sエピマー約5.1%。
【0060】
混合物E: 実施例1の混合物Cから得られた化合物3の濃縮物(225ml)およびトリフェニルホスフィン26gを、10℃で不活性ガス雰囲気下に置き、ジクロロメタン480ml中のN−ブロモスクシンイミド18gの溶液を10〜16℃で撹拌しながら1時間以内に加えた。1時間の反応後、真空下、40℃で溶媒を留去し、残渣をメタノール50mlと合わせ、溶媒を再度留去した。ゆるやかに加熱しながら残渣をメタノール760mlにとり、水40mlと合わせた。得られた懸濁液を50℃で1時間撹拌した。次いで、放置して周囲温度に戻し、更に16時間撹拌した。真空ろ過により固形物を分離し、メタノール/水(95:5)25mlで2回洗浄し、メタノール25mlで2回洗浄し、次いで真空乾燥機中60℃で乾燥した。生成物25gが得られた。クロマトグラフィーによる純度(HPLC−UV):液状Rエピマー93.8%、液状Sエピマー4.8%。
【0061】
混合物F: トリフェニルホスフィン730gおよびジクロロメタン5リットルを、実施例1の混合物Dから得られた化合物3の濃縮物(5リットル)に、不活性ガス雰囲気下、撹拌しながら加え、溶液を5℃まで冷却した。5〜10℃で、N−ブロモスクシンイミド496gを1時間以内に5回に分けて加え、更に3時間撹拌した。2回目の撹拌期間中に、反応混合物を10℃から20℃まで徐々に加熱し、次いで真空下、ジャケット温度最大50℃で溶媒を留去した。蒸留残渣をメタノール1.4リットルに懸濁し、真空下で溶媒を再度留去し、次いでメタノール10.5リットルおよび水0.56リットルを加えた。得られた懸濁液を40℃から20℃まで2時間以内に冷却し、20℃で更に16時間撹拌し、次いで加圧フィルターを介して加えた。得られたフィルターケークをメタノール/水(95:5)0.70リットルおよびメタノール0.70リットルで洗浄し、次いで、真空下、60℃で乾燥した。660gの化合物2が粗生成物の形で得られた。クロマトグラフィーによる純度(HPLC−UV):液状Rエピマー91.9%、液状Sエピマー6.6%;乾燥減量(80℃):0.3%。
【0062】
混合物G: 実施例1の混合物Eから得られた化合物3の濃縮物(5リットル)、トリフェニルホスフィン658g、およびジクロロメタン5リットルを、25リットルの反応容器に入れた。反応容器の内容物を5℃まで冷却し,N−ブロモスクシンイミド446gを5〜10℃で1時間以内にバッチ法で加え、混合物を10℃で1時間保持し、次いで反応混合物を放置して3時間以内に20℃まで戻した。真空下、最大50℃のジャケット温度で溶媒を留去し、メタノール1.4リットルを残渣に加え、再度留去した。反応容器内に残留していた残渣をメタノール10.5リットルおよび水0.56リットルにとり、40℃から20℃まで徐々に冷却した。得られた懸濁液を20℃で更に21時間撹拌し、次いで加圧フィルターを用いて沈殿物を単離した。沈殿物をまずメタノール/水(95:5)0.70リットルで洗浄し、次いでメタノール0.70リットルで洗浄した。真空下、50℃で乾燥後、生成物740gが得られた。クロマトグラフィーによる純度(HPLC−UV):液状Rエピマー92.2%、液状Sエピマー6.5%;乾燥減量(80℃):1.9%。
【0063】
混合物H: 実施例1の混合物Fからの合わせた有機相を真空下で蒸発乾固し、不揮発性成分をアセトニトリル200mlと合わせ、40〜50℃で再度蒸発乾固した。残留していた残渣をアセトニトリル500mlにとり、50℃で撹拌しながら、トリフェニルホスフィン42gおよび更に250mlのアセトニトリルを不活性ガス雰囲気下で加えた。混合物を2℃に冷却し、この温度でN−ブロモスクシンイミド29gを70分以内に15回に分けて加えた。混合物を2〜3℃で更に3時間撹拌し、放置して90分以内に12℃まで戻した。反応混合物の溶媒を留去して、約260mlの容量とし、水13mlを45℃で加えた。周囲温度に冷却後、得られた懸濁液を16時間撹拌し、次いで真空ろ過に付した。単離した沈澱をアセトニトリル50mlで2回洗浄し、次いで真空下、60℃で乾燥した。32gの化合物2が粗生成物の形で得られた。クロマトグラフィーによる純度(HPLC−UV):液状Rエピマー94.6%、液状Sエピマー4.2%。
【0064】
実施例3: 化合物2(粗生成物)から化合物2(工業グレード)への精製
混合物A: 化合物2の粗生成物(実施例2、混合物Aから)30gを、アセトニトリル588mlおよびN−メチル−2−ピロリドン(NMP)12mlの混合物に懸濁した。懸濁液を撹拌しながら80℃に加熱し、この温度で1時間保持した。徐々に5℃まで冷却後、混合物をこの温度で16時間保持し、次いでブフナー漏斗を介して加えた。分離した沈殿物を予め5℃の温度に調整したアセトニトリル50mlで洗浄し、真空下、60℃で乾燥した。23gの工業グレードの化合物2が残留した。クロマトグラフィーによる純度(HPLC−UV):液状Rエピマー97.0%、液状Sエピマー2.7%。
【0065】
混合物B: 化合物2の粗生成物[クロマトグラフィーによる純度(HPLC−UV):液状Rエピマー約91.9%、液状Sエピマー約5.8%]250gを、アセトニトリル4.9リットルおよびN−メチル−2−ピロリドン0.10リットルの混合物に懸濁し、撹拌しながら80℃まで加熱し、この温度で1時間保持した。次いで20℃まで徐々に冷却し、懸濁液をこの温度で数時間撹拌した。次いで5℃まで冷却し、この温度で1時間撹拌した。吸引フィルターを介して固形物を分離し、アセトニトリル0.20リットルで洗浄し、真空乾燥機中、60℃で約15時間乾燥した。生成物195gが得られた。クロマトグラフィーによる純度(HPLC−UV):液状Rエピマー95.8%、液状Sエピマー3.3%。
【0066】
混合物C: 化合物2の粗生成物[クロマトグラフィーによる純度(HPLC−UV):液状Rエピマー89.6%、液状Sエピマー7.2%]25gをアセトニトリル/ジメチルスルホキシド(98:2)500mlと合わせ、80℃で1時間撹拌した。混合物を徐々に20℃まで冷却し、次いでこの温度で更に16時間撹拌した。沈殿物をブフナー漏斗を介してろ去し、アセトニトリル25mlで洗浄し、真空下、60℃で20時間乾燥した。収量は20gであった。クロマトグラフィーによる純度(HPLC−UV):液状Rエピマー95.2%、液状Sエピマー3.3%。
【0067】
混合物D: アセトン1000mlおよび水50ml中の化合物2の粗生成物[クロマトグラフィーによる純度(HPLC−UV):液状Rエピマー約92.2%、液状Sエピマー約4.7%]212gの懸濁液を50℃で2時間撹拌した。次いで放置して周囲温度まで戻し、周囲温度で数時間撹拌した。分離した沈殿物をアセトン/水(90:10)200mlで洗浄し、次いで真空乾燥機中、60℃で20時間乾燥した。生成物163gが得られた。クロマトグラフィーによる純度(HPLC−UV):液状Rエピマー97.4%、液状Sエピマー1.4%。
【0068】
実施例4: シクレソニド粗生成物の調製
【化15】
混合物A: 工業グレードの化合物2(実施例3、混合物Aから)22g、DMSO110ml、およびナトリウムイソブトキシド6gの混合物を撹拌しながら40℃まで加熱した。90分後、得られた反応溶液を放置して約20℃まで戻し、メチル−tert−ブチルエーテル(MtBE)176mlおよび水110mlを加えた。混合物を10分間激しく撹拌し、有機及び水相を互いに分離し、水相を廃棄した。有機相を水60mlで3回洗浄し、真空下で、蒸発乾固し、エタノール10mlを加え、混合物を再び蒸発乾固した。次いで残留した残渣を約60℃でエタノール33mlに溶解し、メタノール33mlと合わせ、徐々に0℃まで冷却した。懸濁液を0℃で3時間撹拌した。沈殿物を吸引ろ過により分離し、冷メタノール66mlで洗浄し、真空乾燥機中70℃で乾燥した。シクレソニド粗生成物20gが得られた。クロマトグラフィーによる純度(HPLC−UV):液状Rエピマー98.8%、液状Sエピマー0.9%。
【0069】
混合物B: 工業グレードの化合物2(実施例3、混合物Bから)194gをジメチルスルホキシド(DMSO)970mlに周囲温度で加え、ナトリウムイソブトキシド55gを撹拌しながら加えた。反応混合物を40℃まで加熱し、この温度で80分間保持し、次いで周囲温度まで冷却した。メチル−tert−ブチルエーテル1550mlおよび水970mlの添加後、得られた2相系を10分間激しく撹拌した。相分離を行った後、有機相を水530mlで3回洗浄し、次いで溶媒を真空下で留去した。残留した残渣をエタノール90mlにとり、溶媒を再び留去した。残渣をエタノール290mlに60℃で溶解し、メタノール290mlと合わせた。放置して徐々に周囲温度に戻し、この温度で15時間撹拌した。懸濁液を0℃まで冷却し、この温度で2時間保持した。次いで固形物を真空ろ過により分離し、冷メタノール580mlで洗浄し、次いで吸引ろ過し、乾燥した。固形分183gが得られた。クロマトグラフィーによる純度(HPLC−UV):液状Rエピマー98.5%、液状Sエピマー1.1%、乾燥減量(70℃):2%。
【0070】
混合物C: 工業グレードの化合物2[クロマトグラフィーによる純度(HPLC−UV):液状Rエピマー93.4%、液状Sエピマー2.9%]40gをN−メチル−2−ピロリドン220mlに溶解し、ナトリウムイソブトキシド11gを周囲温度で加えた。反応混合物を50℃まで加熱し、この温度で3時間保持し、次いで周囲温度まで冷却した。メチル−tert−ブチルエーテル300mlおよび水200mlを加え、10分間の高速撹拌を選択した。2相の分離後、水相を廃棄した。有機相を水100mlで3回洗浄し、真空下で蒸発乾固した。残渣を温かいエタノール60mlにとり、真空下で短時間蒸留し、メタノール60mlを加え、混合物を放置して徐々に周囲温度まで冷却した。得られた懸濁液を周囲温度で数時間撹拌し、次いで0℃で3時間撹拌した。吸引ろ過により分離した沈殿物を冷メタノール30mlで1回、50mlで1回洗浄し、真空乾燥機中60℃で20時間撹拌した。固形物34gが得られた。クロマトグラフィーによる純度(HPLC−UV):液状Rエピマー97.7%、液状Sエピマー0.9%。
【0071】
実施例5: シクレソニド(粗生成物)のシクレソニド(工業グレード)への精製
混合物A: 実施例4の混合物Aから得られたシクレソニド粗生成物(20g)を70℃でエタノール33mlに溶解し、撹拌しながらメタノール33mlと合わせた。溶液を約4時間以内に2℃まで冷却し、2℃で16時間放置した。結晶化した生成物を吸引ろ過により分離した。フィルターケークを冷メタノール20mlで2回洗浄し、次いで真空下、70℃で20時間乾燥した。工業グレードのシクレソニド18gが得られた。クロマトグラフィーによる純度(HPLC−UV):液状Rエピマー99.5%、液状Sエピマー0.4%。
【0072】
混合物B: シクレソニド粗生成物(実施例4、混合物Bから)181gを周囲温度でエタノール300mlに懸濁した。70℃へ加熱する間に溶液が形成された。この溶液に撹拌しながらメタノール300mlを加え、非常に緩徐に0℃まで冷却し、得られた結晶懸濁液をこの温度で2時間保持した。沈殿物を吸引ろ過により分離し、結晶を冷メタノール300mlで洗浄し、完全に乾燥するまで吸引した。固形物163gが得られた。クロマトグラフィーによる純度(HPLC−UV):液状Rエピマー99.4%、液状Sエピマー0.4%;乾燥減量(70℃):2%。
【0073】
実施例6: シクレソニド(工業グレード)のシクレソニド(純品)への精製
混合物A:予め温度70℃に調整しておいた工業グレードのシクレソニド(実施例5、混合物Aから)17gのエタノール24ml中の溶液に、活性炭170mgを加えた。澄明ろ過(clear filtration)を行い、フィルターの残渣をエタノール10mlで洗浄した。合わせたろ液を3時間以内に21℃まで冷却した。次いで得られた懸濁液を2℃まで冷却した。2℃で16時間後、混合物をろ過し、沈澱物を冷エタノール20mlで2回洗浄した。単離した生成物を真空下、60℃で20時間乾燥した。シクレソニド純品の収量は、14gであった。クロマトグラフィーによる純度(HPLC−UV):液状Rエピマー99.7%、液状Sエピマー0.2%;q−NMR:Rエピマー99.0%;融点:210℃;含水率(KF):0.5%;強熱残渣:<0.1%。
【0074】
混合物B: 工業グレードのシクレソニド(実施例5、混合物Bから)160gにエタノール200mlを加え、混合物を撹拌しながら70℃まで加熱した。活性炭2gを添加後、熱ろ過し、フィルターの残渣をエタノール115mlで洗浄した。合わせたろ液を放置して周囲温度まで冷却させた。得られた結晶懸濁液を周囲温度で数時間撹拌し、0℃まで冷却し、0℃で2時間保持した。吸引ろ過により分離した結晶を冷エタノール160mlで洗浄し、次いで真空乾燥機中60℃で乾燥した。シクレソニド純品129gが得られた。クロマトグラフィーによる純度(HPLC−UV):液状Rエピマー99.7%、液状Sエピマー0.2%;融点:210〜211℃。
【0075】
実施例7: イソブトキシド塩のスクリーニング
工業グレードの化合物2(R/Sエピマー比97.2:2.8)1gを周囲温度で溶媒5mlに溶解し、イソブトキシド塩1.4当量と合わせ、50℃で撹拌した。HPLC−UVを用いて、1、2および5時間後に変換モニターリングを行った。結果は、表を参照のこと。
【表1】