(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記粒状固体上に配置された窒素含有超強塩基の量が、前記縮合硬化型シリコーン組成物が硬化して1であるタンデルタ値に達するために必要な時間が150℃で30秒から1時間であるために十分な量である、請求項1に記載の縮合硬化型シリコーン組成物。
前記粒状蛍光体が、セリウムドープ蛍光体、アルミン酸塩蛍光体、ケイ酸塩蛍光体、ガーネット蛍光体、および窒化物蛍光体のうちの少なくとも1つを含む、請求項3に記載の縮合硬化型シリコーン組成物。
ある量の窒素含有超強塩基が表面に配置された粒状フィラーを含み、前記粒状フィラー上に配置された窒素含有超強塩基の量が、前記粒状フィラー上の少なくとも90%の酸性部位を中和するのに十分な量であり、および前記粒状フィラー上の酸性部位の少なくとも90%が、配置された窒素含有超強塩基で中和され、前記粒状フィラーが窒化物である、処理フィラー粒子。
ある量の窒素含有超強塩基が表面に配置された粒状蛍光体を含む処理蛍光体粒子であって、前記粒状蛍光体上に配置された窒素含有超強塩基の量が、前記粒状蛍光体上の少なくとも90%の酸性部位を中和するのに十分な量であり、および前記粒状蛍光体上の酸性部位の少なくとも90%が、配置された窒素含有超強塩基で中和され;前記粒状蛍光体上に配置された窒素含有超強塩基の量が、前記処理蛍光体粒子を、縮合硬化型ポリオルガノシロキサンと前記処理蛍光体粒子とを含む縮合硬化型シリコーン組成物で使用したときに、前記縮合硬化型シリコーン組成物が硬化して150℃で1であるタンデルタ値に達するために必要な時間が、前記縮合硬化型ポリオルガノシロキサンと未処理蛍光体粒子(すなわち、前記窒素含有超強塩基を含有しない蛍光体粒子)とを含む比較対照縮合硬化型シリコーン組成物に必要な時間より少なくとも20秒短くなるために十分な量であることを特徴とする、処理蛍光体粒子。
ある量の窒素含有超強塩基が表面に配置された粒状蛍光体を含む処理蛍光体粒子であって、前記粒状蛍光体上に配置された窒素含有超強塩基の量が、前記粒状蛍光体上の少なくとも90%の酸性部位を中和するのに十分な量であり、および前記粒状蛍光体上の酸性部位の少なくとも90%が、配置された窒素含有超強塩基で中和され;ならびに前記窒素含有超強塩基が、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU);1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD);1,1,3,3−テトラメチルグアニジン(TMG);1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN);および7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(MTBD)のうちの少なくとも1つである、処理蛍光体粒子。
縮合硬化型ポリオルガノシロキサンと処理蛍光体粒子とを含む縮合硬化型シリコーン組成物を製造するための方法において処理蛍光体粒子を縮合硬化型ポリオルガノシロキサンに送達するための送達組成物であって、前記縮合硬化型シリコーン組成物が硬化して150℃で1であるタンデルタ値に達するために必要な時間が、前記縮合硬化型ポリオルガノシロキサンと未処理蛍光体粒子(すなわち、窒素含有超強塩基を含有しない蛍光体粒子)とを含む比較対照縮合硬化型シリコーン組成物に必要な時間より少なくとも20秒短く;請求項16から19および21のいずれか一項に記載の処理蛍光体粒子と有機溶媒とを含むものである送達組成物。
ポリオルガノシロキサンと処理蛍光体粒子とを含む縮合硬化型シリコーン組成物の硬化の硬化生成物を含む縮合硬化シリコーン組成物を製造するための方法において処理蛍光体粒子を縮合硬化ポリオルガノシロキサンに送達するための送達組成物であって、前記縮合硬化型シリコーン組成物が硬化して150℃で1であるタンデルタ値に達するために必要な時間が、前記縮合硬化型ポリオルガノシロキサンと未処理蛍光体粒子(すなわち、窒素含有超強塩基を含有しない蛍光体粒子)とを含む比較対照縮合硬化型シリコーン組成物に必要な時間より少なくとも20秒短く;請求項16から19および21のいずれか一項に記載の処理蛍光体粒子と有機溶媒とを含むものである送達組成物。
請求項16から19および21のいずれか一項に記載の処理蛍光体粒子を製造するための方法において窒素含有超強塩基を未処理蛍光体粒子に送達するための送達組成物の使用であって、前記送達組成物が、窒素含有超強塩基および有機溶媒を含み、前記窒素含有超強塩基が、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU);1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD);1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN);および7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(MTBD)のうちの少なくとも1つである使用。
縮合硬化型ポリオルガノシロキサンと処理蛍光体粒子とを含む縮合硬化型シリコーン組成物を製造するための方法において処理蛍光体粒子を縮合硬化型ポリオルガノシロキサンに送達するための送達組成物の使用であって、前記縮合硬化型シリコーン組成物が硬化して150℃で1であるタンデルタ値に達するために必要な時間が、前記縮合硬化型ポリオルガノシロキサンと未処理蛍光体粒子(すなわち、窒素含有超強塩基を含有しない蛍光体粒子)とを含む比較対照縮合硬化型シリコーン組成物に必要な時間より少なくとも20秒短く;前記送達組成物が、請求項16から19および21のいずれか一項に記載の処理蛍光体粒子と有機溶媒とを含むものである使用。
ポリオルガノシロキサンと処理蛍光体粒子とを含む縮合硬化型シリコーン組成物の硬化の硬化生成物を含む縮合硬化シリコーン組成物を製造するための方法において処理蛍光体粒子を縮合硬化ポリオルガノシロキサンに送達するための送達組成物の使用であって、前記縮合硬化型シリコーン組成物が硬化して150℃で1であるタンデルタ値に達するために必要な時間が、前記縮合硬化型ポリオルガノシロキサンと未処理蛍光体粒子(すなわち、窒素含有超強塩基を含有しない蛍光体粒子)とを含む比較対照縮合硬化型シリコーン組成物に必要な時間より少なくとも20秒短く;前記送達組成物が、請求項16から19および21のいずれか一項に記載の処理蛍光体粒子と有機溶媒とを含むものである使用。
【発明を実施するための形態】
【0011】
「発明の概要」および「要約」は、参照により本明細書に援用されている。下で参照するすべての米国特許出願公開明細書および特許明細書、または一部分のみを参照する場合にはそれらの一部分は、援用される主題が本明細書と矛盾しない程度に、本明細書中での参照により本明細書に援用されており、何らかのそのような矛盾がある場合、本明細書が支配することになる。
【0012】
本発明の説明は、ある一定の用語および表現を用いている。本明細書において用いる場合、「あるいは」は、独立した別個の実施形態を指す。「接触」は、物理的に接触させることを意味する。「動作可能な」は、機能的に有効であることを意味し、その効果は直接効果であってもよいし、あるいは間接的効果(indirect affect)であってもよい。例えば、反応体を、触媒を用いてまたは用いずにそれらの反応中に直接物理的に接触させてもよく;および物品またはデバイスの成分を「動作可能に接触」させてもよく、この「動作可能な接触」は、直接物理的に触れていること、あるいは1つ以上の媒介成分によって間接的に触れていることを含む。「場合により」は、不在であること、あるいは存在することを意味する。属および亜属をその中に含むいずれのマーカッシュ群も、その属中の亜属を包含し、例えば、「Rがヒドロカルビルまたはアルキルである」場合、Rは、アルケニルであってもよく、あるいはRは、ヒドロカルビルであってもよく、このヒドロカルビルには、数ある亜属の中でもアルケニルが含まれる。本明細書において用いる場合、「〜してもよい」は、選択肢であり、絶対に必要な物ではない。高分子材料の「分子量」、例えば、ポリマーの数平均分子量(M
n)または重量平均分子量(M
w)は、本明細書中に別段の断り書きがない限りゲル透過クロマトグラフィーおよびポリスチレン標準物質を使用して決定される。「シリコーン」は、線状ポリオルガノシロキサン高分子、分岐ポリオルガノシロキサン高分子、または線状ポリオルガノシロキサン高分子と分岐ポリオルガノシロキサン高分子の混合物を包含する。すべての「重量%」(重量パーセント)は、別段の断り書きがない限り、合計100重量%となる、組成物または配合物を作るために使用されたすべての配合成分または成分の総重量に基づく。
【0013】
本発明者らは、蛍光体などの粒状固体を含有する一部の縮合硬化型組成物が、発光ダイオード(LED)業界で使用されるものなどの大量製造プロセスにおいて許容される硬化速度で硬化しないか、または有用でなくなるほど遅く硬化するという本発明者らが注視した問題を解決するための本発明者らの研究中に本発明をなした。多くの研究および洞察の後、本発明者らは前記問題の新たな技術的解決策を発見した。本発明者らの技術的解決策のこの問題への適用は、蛍光体にも、縮合硬化型組成物にも、硬化速度にも限定されない。
【0014】
水素の電位(pH)の点から見て、縮合触媒は、塩基性化合物である傾向がある。本発明者らは、縮合硬化型シリコーン組成物中に含まれる粒状固体が、数ある中でもそのような組成物の硬化速度に、マイナス影響を及ぼし得ることを発見した。最初、この観察の理由は不明であったが、本発明者らは、粒状固体、特に、それらの表面に酸性部位を有するものが、縮合硬化型シリコーン組成物を硬化させるために使用される硬化触媒(例えば、縮合触媒)を吸収または吸着できることを見いだした。そしてまた硬化触媒の(例えば、粒状固体の表面の酸性部位への)吸収または吸着は、縮合硬化型シリコーン組成物を硬化させるために利用可能な硬化触媒の量の減少および/または硬化させる際の触媒の活性の低下をもたらすことができ、その結果、縮合硬化型シリコーン組成物の硬化速度は、硬化触媒を含有するが粒状固体を欠く(すなわち、含有しない)比較対照縮合硬化型シリコーン組成物の硬化速度と比較して有意に低下される。この発見は、縮合硬化型シリコーン組成物の量に比べて粒子表面の酸性部位の相対的に少ない量を考えると意外である。
【0015】
本発明は、ある量の窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)が表面に配置された(例えば吸収または吸着された)粒状固体を含む処理粒子に関する。用語「塩基」は、支持層または構造を指さない。用語「窒素含有塩基」は、原子番号7を有する少なくとも1つの元素を含有する分子、またはそのような分子の集まりを意味し、この場合、原子番号7を有する少なくとも1つの元素は、水素カチオン(プロトン)を受容するためにまたはルイス酸に孤立電子対を供与してルイス付加物を形成するために利用可能な孤立電子対を有することから塩基性窒素原子である。その孤立電子対がπ結合を固定する窒素原子、例えば、アセトアミド(CH
3CONH
2)またはピロール中の窒素原子は、このために塩基性窒素原子と見なされない。一部の実施形態において、窒素含有塩基は、後で説明するような窒素含有超強塩基である。本明細書において用いる場合、「配置された」は、窒素含有塩基と粒状固体の表面との物理的接触を指す。その物理的接触は、その表面の酸性官能基との相互作用をもたらし、その物理的接触を任意の適するメカニズム、例えば、付着、浸透、(部分的)溶解、表面張力またはそれらの組み合わせによって得てもよい。一部の実施形態において、「配置された」は、吸収された、あるいは吸着された、あるいは、「吸収された」と「吸着された」の組み合わせを意味する。一部の実施形態において、「配置された」は、物理吸着(例えば、ファンデルワールス力による付着)として分類される、あるいは化学吸着(例えば、ファンデルワールス力以外の結合、例えば、水素結合および/またはイオン結合による付着)として分類される吸着を包含する。
【0016】
一部の実施形態において、前記処理粒子の有用性および恩恵は、縮合硬化型組成物、例えば縮合硬化型シリコーン組成物または縮合硬化型有機組成物(例えば、ポリアミドを作るための縮合硬化のためのジエステルモノマーおよびジアミンモノマー;ポリウレタンを作るための縮合硬化のためのポリイソシアネートおよびジオールモノマー;またはポリエステルを作るための縮合硬化のためのジ無水物モノマーおよびジオールモノマー)におけるそれらの使用および前記組成物に対する恩恵に関する。以下の説明では、縮合硬化型シリコーン組成物に関して縮合硬化型組成物を詳述するが、本発明は、そのような組成物に限定されず、むしろ縮合硬化型有機組成物も包含する。以下の説明では、それらの使用および恩恵を詳述する。しかし、前記処理粒子の有用性および恩恵は、縮合硬化型組成物に限定されず、任意の酸感受性材料、特に、酸により助長または増進されるメカニズムによって劣化または分解されやすい材料をさらに包含する。一部の実施形態において、本発明は、酸感受性材料と前記処理粒子の混合物を含む非硬化型組成物に関する。加えて、前記処理粒子の有用性および恩恵は、酸感受性でない材料を伴う使用および酸感受性でない材料に伴う恩恵、例えば、前記非酸感受性材料によるまたは前記非酸感受性を通した色または光透過率の調節における使用および恩恵を包含する。一部の実施形態において、本発明は、非酸感受性材料と前記処理粒子の混合物を含む組成物に関する。
【0017】
一部の実施形態において、本発明は、縮合硬化型ポリオルガノシロキサンと、ある量の窒素含有塩基が表面に配置された粒状固体を含む処理粒子とを含む、縮合硬化型シリコーン組成物に関し;前記粒状固体上に配置された窒素含有塩基の量は、前記粒状固体上の複数の酸性部位の実質的な数を中和するのに十分な量であり、前記粒状固体上の酸性部位の実質的な数が、配置された窒素含有塩基で中和される。
【0018】
一部の実施形態において、硬化されたとき、本発明の縮合硬化型シリコーン組成物は、前記処理粒子ではなく未処理粒状固体を含有する比較対照縮合硬化型シリコーン組成物の硬化速度と比較して増加された硬化速度を有益に有することがある。硬化速度は、任意の適する方法を用いて測定してよい。一部の実施形態では、縮合硬化型シリコーン組成物が硬化して1であるタンデルタ値に達するために必要な時間として硬化速度を測定する。タンデルタは、貯蔵弾性率で割った損失弾性率である。タンデルタ値は、粘弾性材料の弾性応答に対する粘性応答の比として粘弾性材料のエネルギー散逸ポテンシャルを表す。すべての他のことが同じなら、材料は、流体状であるほど、その損失弾性率が大きく、固体状であるほど、その貯蔵弾性率が大きい。材料の硬化が進むにつれて、タンデルタは、タンデルタ>1から下方に減少しはじめ、最終的に材料は硬化されてタンデルタ=1に達する。すべての他の条件(例えば、硬化温度)が同じなら、硬化速度が速いほど、縮合硬化型シリコーン組成物が硬化して1であるタンデルタ値に達するために要する時間は短い。
【0019】
一部の実施形態において、前記粒状固体上に配置された窒素含有塩基の量は、前記縮合硬化型シリコーン組成物が硬化して1であるタンデルタ値に達するために必要な時間が、150℃で約30秒(s)から約1時間(例えば、約1分から約30分;約5分から約30分;約2分から約30分;約10分から約45分;または約15分から約1時間)であるために十分な量である。これらの測定中、前記縮合硬化型シリコーン組成物は、周囲温度(約23℃)から150℃の標的温度へと加熱される。一部の実施形態において、前記縮合硬化型シリコーン組成物は、150℃に達することができる前に1であるタンデルタ値に達するような硬化速度で硬化する。そのような速硬性実施形態では、組成物が硬化して1であるタンデルタ値に達する前に標的温度に達するように、標的温度を、必要に応じて、例えば140℃、または130℃、または120℃、またはそれ以下に低下させることができる。縮合硬化型シリコーン組成物が硬化して1であるタンデルタ値に達するために必要な時間が上で定義したとおりである場合、それは、粒状固体上の酸性部位の実質的な数が、配置された窒素含有塩基で実際に中和されることを意味する。言い換えると、粒状固体上の酸性部位の実質的な数が、配置された窒素含有塩基で実際に中和されることを、間接的にレオロジー測定によって判定することができる。
【0020】
あるいは、または加えて、粒状固体上の酸性部位の実質的な数が、配置された窒素含有塩基で中和されることを、当該技術分野において一般に公知の他の分析法によって判定することができる。例えば、Foo,K.Y.,et al.,Chem.Eng.J.156:2〜10(2010);およびLangmuir,I.,J.Am.Chem.Soc.38:2221〜2295(1916)を参照されたい。簡単に言うと、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)グレードのトルエンで系列希釈して、一連のDBU溶液を生成することができる。それらの溶液を任意の適する容器、例えば、ポリプロピレンボトルの中で調製することができる。その後、蛍光体粒子のアリコートを各DBU溶液のアリコートと同じ重量/重量比(例えば、1g蛍光体対8g溶液)で、ポリエチレン遠心管の中で混合する。その後、その混合物を30分間、連続タンブリングさせ、その後、約3,000回転毎分(rpm)で5から15分間、遠心分離する。その後、蛍光体粒子上に配置されたDBUの量の定量のために、上清を希釈してエレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI−MS)によって分析する。それらの結果を用いてラングミュア吸着等温曲線を作成する。それらの曲線が飽和点を定義する。飽和点は、DBUの最低レベルが上清中で検出される、処理蛍光体粒子中のDBU濃度(μg DBU/g蛍光体)と定義される。すなわち、飽和点は、前記分析法を用いてトルエン溶液中の遊離DBU(または任意の他の窒素含有塩基)の量を検出できる平衡反応を表す。飽和点で蛍光体粒子上に配置されている例えば、吸着されている)DBU(または任意の他の窒素含有塩基)の量は、平衡反応の関数である。DBUの校正標準物質をトルエン中で調製する。校正標準物質および試料を水中の80%イソプロピルアルコールに流体圧入し、エレクトロスプレー(ESI)イオン化チャンバーに直接噴霧する。Agilent Technologiesによって発行されたMass Hunter Analysis Quantitative Software、バージョンB.06を定量分析に用いることができる。
【0021】
本明細書において用いる場合、用語「窒素含有塩基」は、プロトンと共有結合を形成することができる(すなわち、窒素含有塩基がブロンステッド塩基である態様)、または金属イオンなどの空の軌道を有する何らかの他の種(ルイス酸)の空の軌道と共有結合を形成することができる(すなわち、窒素含有塩基がルイス塩基である態様)利用可能な電子対を有する原子番号7の元素を有する化学種または分子エンティティーを意味する。
【0022】
窒素含有塩基は、1分子につき1個の塩基性窒素原子、1分子につき2個の塩基性窒素原子、または1分子につき3個以上の塩基性窒素原子(例えば、3から5個の塩基性窒素原子、あるいは3個、あるいは4個、あるいは5個)を有してよい。
【0023】
1分子につき1個しか塩基性窒素原子を有さない窒素含有塩基を本明細書ではモノアミンと呼び、それらは、オクチルアミン、ジオクチルアミン、第三級ブチルアミン、モルホリン、ピペリジン、N−メチル−ピペリジン、3,4,5,6−テトラヒドロピリジン、アニリン、ピリジン、アセトンメチルイミン(CH
3C(=NCH
3)CH
3)、N,N−ジシクロヘキシルメチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジイソプロピル−2−エチルブチルアミン、N,N−ジイソプロプロピルメチルアミン、N,N−ジイソプロピル−3−ペンチルアミン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルピリジン、キヌクリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ペムピジン、トリブチルアミン、トリエチルアミン、N−エチルジイソプロピルアミン、2,4,6−トリ−tert−ブチルピリジン、およびトリス(トリメチルシリル)アミンなどの化合物によって例示される。一部の実施形態において、窒素含有塩基は、1分子につき1個の塩基性窒素原子を有する。一部の実施形態において、窒素含有塩基は、1分子につき1個の塩基性窒素原子を有する単環式脂肪族化合物であり;あるいは窒素含有塩基は、1分子につき1個の窒素原子を有する単環式脂肪族化合物であり、この1個の窒素原子は塩基性窒素原子であり;あるいは窒素含有塩基は、1分子1個の窒素原子を有する単環式脂肪族化合物であり、この1個の窒素原子は、塩基性窒素原子であり、かつ炭素−窒素二重結合(C=N)の窒素原子である。
【0024】
1分子につき2個以上の塩基性窒素原子を有する窒素含有塩基を本明細書では多官能性アミンと呼ぶ。多官能性アミンは、ポリアミン、グアニジン、ジアザ単環式炭化水素、ジアザ二環式炭化水素、トリアザ二環式炭化水素、トリアザ二環式炭化水素、テトラアザ三環式炭化水素(例えば、ヘキサメチレンテトラアミン)などによって例示される。本明細書において用いる場合、ポリアミンは、1分子につき2個以上の第一級アミノ基(−NH
2基)を有する(例えば、エチレンジアミン、スペルミン、およびトリス(2−アミノエチル)アミン)。一部の実施形態において、窒素含有塩基は、1分子につき2個以上の塩基性窒素原子、あるいは1分子につき2または3個の塩基性窒素原子、あるいは1分子につき4個以上の塩基性窒素原子、あるいは1分子につき4または5個の塩基性窒素原子、あるいは1分子につき4個の塩基性窒素原子、あるいは1分子につき3個の塩基性窒素原子、あるいは1分子につき2個の塩基性窒素原子を有する。一部のそのような実施形態において、窒素含有塩基は、1分子につき4または5個の窒素原子を有し、それらのすべてが塩基性窒素原子であり;あるいは窒素含有塩基は、1分子につき4の窒素原子を有し、それらのすべてが塩基性窒素原子であり;あるいは窒素含有塩基は、1分子につき3個の窒素原子を有し、それらのすべてが塩基性窒素原子であり;あるいは窒素含有塩基は、1分子につき2個の窒素原子を有し、それらのすべてが塩基性窒素原子である。
【0025】
窒素含有塩基は、窒素、炭素および水素原子からのみ成ってもよく;あるいは窒素含有塩基は、少なくとも1個の窒素原子と、ハロゲン、酸素、硫黄およびリンから選択される少なくとも1個のヘテロ原子;あるいはハロゲン、酸素およびリン;あるいはハロゲンおよび酸素;あるいはリンおよび酸素;あるいはハロゲン;あるいは酸素;あるいはリンとを含有してもよい。窒素含有塩基は、非環式であってもよく、あるいは環式であってもよい。環式窒素含有塩基は、単環式であってもよく、あるいは多環式であってもよい。多環式窒素含有塩基は、二環式であってもよく、あるいは三環式であってもよい。窒素含有塩基は、脂肪族であってもよく、あるいは芳香族であってもよい。脂肪族窒素含有塩基は、炭素−炭素二重結合および炭素−炭素三重結合を欠いてもよく(含有しなくてもよく)、あるいは脂肪族窒素含有塩基は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合または炭素−炭素三重結合を含有してもよい。窒素含有塩基は、70から2,000グラム毎モル(g/mol)、あるいは80から1,000g/mol、あるいは100から750g/molの分子量を有してよい。窒素含有塩基は、液体または固体、あるいは固体、あるいは液体であってよい。窒素含有塩基は、50℃から500℃、あるいは60℃から350℃、あるいは70℃から250℃の沸点を有してよい。粒状固体を処理して、ある量の窒素含有塩基が表面に配置された粒状固体を含む処理粒子を得るために使用することができる窒素含有塩基としては、一般式R
3Nの窒素含有塩基が挙げられ、この式中の各Rは、独立して水素、アルキルまたはアリールであるが、少なくとも1つのR基がアルキルまたはアリールであることを条件とする。一般式R
3Nの窒素含有塩基の例としては、n−ヘキシルアミン、トリエチルアミン、およびトリブチルアミンが挙げられる。
【0026】
本明細書において用いる場合の用語「アルキル」は、1から30個の炭素原子、10から30個の炭素原子、12から18個の炭素原子、1から約20個の炭素原子、1から10個の炭素原子、1から8個の炭素原子、1から5個の炭素原子または1から3個の炭素原子を有する直鎖および分岐一価飽和炭化水素基;ならびに3から10個の炭素原子を有する環式一価飽和炭化水素基(シクロアルキル基)を指す。直鎖アルキル基の例としては、1から8個の炭素原子を有するもの、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル基が挙げられる。直鎖アルキル基の例としては、10から30個の炭素原子を有するもの、例えば、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−ヘキサデシル、n−イコシルなどが挙げられる。分岐アルキル基の例としては、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ネオペンチル、イソペンチル、2,2−ジメチルプロピル、およびイソステアリル基が挙げられる。シクロアルキル基の例としては、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシル基が挙げられる。アルキル基は、非置換である場合があり、または例えばヒドロキシ、アルコキシ(例えば、C
1〜C
30アルコキシ)基、およびハロゲン原子で、1回以上置換されている場合がある。一部の態様では、すべてのアルキル基が非置換であり;他の態様では、少なくとも1つのアルキル基は置換されている。
【0027】
本明細書において用いる場合の用語「アリール」は、環式芳香族炭化水素であるアレーンから水素原子を除去することによって誘導される一価の基を指す。一部の実施形態において、アリール基は、それらの基の環部分に6から約30個の炭素(例えば、6から30個、6から26個、6から20個、6から14個、6から10個の炭素、12個の炭素、10個の炭素、または6個の炭素)を含有する。したがって、アリール基としては、フェニル、アズレニル、ビフェニル、インダセニル、フルオレニル、フェナントレニル、トリフェニレニル、ピレニル、ナフタセニル、クリセニル、ビフェニレニル、アントラセニル、およびナフチル基が挙げられる。アリール基の好ましい例は、フェニル、ナフチルまたはビフェニル;あるいはビフェニル;あるいはナフチル;あるいはフェニルである。アリール基は、本明細書中で定義するように、非置換である場合もあり、または置換されている場合もある。代表的な置換アリール基は、一置換されている、または1回以上置換されている、例えば二、三および四置換されている基であることができる。アリール基は、非置換である場合もあり、または例えばヒドロキシ、アルコキシ(C
1〜C
30アルコキシ)基、およびハロゲン原子で1回以上置換されている場合もある。一部の態様では、すべてのアリール基が非置換であり;他の態様では、少なくとも1つのアリール基が置換されている。
【0028】
一部の実施形態において、粒状固体を処理して、処理粒子を得るために使用される窒素含有塩基は、少なくとも1個の橋頭窒素原子を含有する多官能性有機アミンである。一部の実施形態において、前記窒素含有塩基は、少なくとも1つの炭素−窒素二重結合(C=N)を含有する、好ましくは式R
1R
2C=NR
3のものである、多官能性有機イミン、例えば、アミジン、グアニジンであるか、または少なくとも1つのC=N二重結合を有する少なくとも1つの環を含有する多官能性環式脂肪族イミンである。一部の態様では、前記窒素含有塩基は、少なくとも1つのC=N二重結合を有する少なくとも1つの環と少なくとも1個の橋頭窒素原子とを含有する多官能性環式脂肪族イミンである。一部の実施形態において、前記窒素含有塩基は、少なくとも1つのリン−窒素二重結合(P=N)を含有する、好ましくは式R
1R
2P=NR
3のものである、多官能性有機ホスファゼンである。各式において、R
1、R
2およびR
3のうちの少なくとも1つは、独立して、アザヒドロカルビルであり、任意の残りのR
1、R
2およびR
3は、独立して、(C
1〜C
30)アルキル、(C
3〜C
30)シクロアルキル、もしくは(C
7〜C
30)アラルキルであり;またはR
1、R
2およびR
3のうちの1つは、独立して、アザ(C
1〜C
30)アルキル)、アザ(C
3〜C
30)シクロアルキル)、もしくはアザ(C
7〜C
30)アラルキルであり、R
1、R
2およびR
3のうちの他の2つは互いに結合して(C
1〜C
30)アルキレンを形成し;またはR
1、R
2およびR
3のうちの1つは、独立して、(C
1〜C
30)アルキル、(C
3〜C
30)シクロアルキル、もしくは(C
7〜C
30)アラルキルであり、およびR
1、R
2およびR
3のうちの他の2つは互いに結合してアザ(C
1〜C
30)アルキレンを形成する。一部の実施形態において、R
3は、独立して、(C
1〜C
30)アルキル、(C
3〜C
30)シクロアルキル、または(C
7〜C
30)アラルキルであり、およびR
1とR
2は互いに結合して、アザ(C
1〜C
30)アルキレンである−R
1−R
2−を形成し;またはR
1は、独立して、(C
1〜C
30)アルキル、(C
3〜C
30)シクロアルキル、もしくは(C
7〜C
30)アラルキルであり、およびR
2とR
3は互いに結合して、アザ(C
1〜C
30)アルキレンである−R
2−R
3−を形成し;またはR
2は、独立して、(C
1〜C
30)アルキル、(C
3〜C
30)シクロアルキル、または(C
7〜C
30)アラルキルであり、およびR
1とR
3は互いに結合して、アザ(C
1〜C
30)アルキレンである−R
1−R
3−を形成する。一部の実施形態において、R
1、R
2およびR
3のうちの1つは、独立してアザ(C
1〜C
30)アルキルであり;またはR
3は、独立して、アザ(C
1〜C
30)アルキルであり、およびR
1とR
2は互いに結合して、(C
1〜C
30)アルキレンである−R
1−R
2−を形成し;またはR
1は、独立して、アザ(C
1〜C
30)アルキルであり、およびR
2とR
3は互いに結合して、(C
1〜C
30)アルキレンである−R
2−R
3−を形成し;またはR
2は、独立して、アザ(C
1〜C
30)アルキルであり、およびR
1とR
3は互いに結合して、(C
1〜C
30)アルキレンである−R
1−R
3−を形成する。
【0029】
用語「アザヒドロカルビル」は、接頭語アザが修飾している対応するヒドロカルビル基中のC−H基を窒素原子が形式的に置換している(例えば、アザアルキル、アザシクロアルキル、およびアザアラルキルでは、それぞれ、アルキル、シクロアルキルおよびアラルキル中のC−H基がNによって置換されている)ことを意味する。アザヒドロカルビルは、アルキル置換について前に説明したように、非置換であってもよいし、または置換されていてもよい。非置換アザヒドロカルビルは、C、HおよびN原子から成る。
【0030】
アザ(C
1〜C
30)アルキルの例は、アザ(C
21〜C
30)アルキル、アザ(C
11〜C
20)アルキル、アザ(C
1〜C
10)アルキル、アザ(C
1〜C
7)アルキル、アザ(C
2〜C
7)アルキル、アミノメチル、アミノエチル、メチルアミノエチル、ブチルアミノエチル、およびペンチルアミノである。アザ(C
3〜C
30)シクロアルキルの例は、アザ(C
21〜C
30)シクロアルキル、アザ(C
11〜C
20)シクロアルキル、アザ(C
3〜C
10)シクロアルキル、アザ(C
3〜C
7)シクロアルキル、アザ(C
5〜C
7)シクロアルキル、アジリジン−1−イル(aziridyn−1−yl)、アジリジン−2−イル、アゼチジン−1−イル、アゼチジン−3−イル、ピロリジニル、ピペリジニル、およびモルホリニルである。アザ(C
7〜C
30)アラルキルの例は、アザ(C
21〜C
30)アラルキル、アザ(C
11〜C
20)アラルキル、アザ(C
7〜C
10)アラルキル、アザ(C
7〜C
8)アラルキル、1−ナフチルメチルアミノ、1−ナフチルアミノメチル、ベンジルアミノ、および2−フェニルアミノエチルである。アザ(C
1〜C
30)アルキレンの例は、アザ(C
11〜C
30)アルキレン、アザ(C
12〜C
20)アルキレン、アザ(C
1〜C
10)アルキレン、アザ(C
2〜C
10)アルキレン、アザ(C
2〜C
7)アルキレン、アザ(C
3〜C
7)アルキレン、−N(H)−、アミノエチレン(−NHCH
2CH
2−)、2−アザプロピレン(−CH
2NHCH
2−)、2−メチルアザプロピレン(−CH
2N(CH
3)CH
2−)、1−アザブチレン(−NHCH
2CH
2CH
2−)、2−アザブチレン(−CH
2NHCH
2CH
2−)、3−アザヘキシレン(−CH
2CH
2NHCH
2CH
2CH
2−)、および4−アザヘプチレン(−CH
2CH
2CH
2NHCH
2CH
2CH
2−)である。一部の実施形態において、アザ(C
1〜C
30)アルキル、アザ(C
3〜C
30)シクロアルキル、アザ(C
7〜C
30)アラルキルおよびアザ(C
2〜C
30)アルキレン基のうちの少なくとも1つは、独立して、上で説明したように置換されていてもよく;あるいはアザ(C
1〜C
30)アルキル、アザ(C
3〜C
30)シクロアルキル、アザ(C
7〜C
30)アラルキルおよびアザ(C
2〜C
30)アルキレン基の各々は、非置換である。
【0031】
(C
1〜C
30)アルキルの例は、(C
21〜C
30)アルキル、(C
11〜C
20)アルキル、(C
1〜C
10)アルキル、(C
1〜C
7)アルキル、(C
2〜C
7)アルキル、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、およびヘプチルである。(C
3〜C
30)シクロアルキルの例は、(C
21〜C
30)シクロアルキル、(C
11〜C
20)シクロアルキル、(C
3〜C
10)シクロアルキル、(C
3〜C
7)シクロアルキル、(C
5〜C
7)シクロアルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチルである。(C
7〜C
30)アラルキルの例は、(C
21〜C
30)アラルキル、(C
11〜C
20)アラルキル、(C
7〜C
10)アラルキル、(C
7〜C
8)アラルキル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、ベンジル、および2−フェニルエチルである。(C
1〜C
30)アルキレンの例は、(C
21〜C
30)アルキレン、(C
11〜C
20)アルキレン、(C
1〜C
10)アルキレン、(C
2〜C
10)アルキレン、(C
2〜C
7)アルキレン、(C
3〜C
7)アルキレン、メチレン(−CH
2−)、エチレン(−CH
2CH
2−)、プロピレン(−CH
2CH
2CH
2−)、1−メチルエチレン(−CH(CH
3)CH
2−)、ブチレン(−CH
2CH
2CH
2CH
2−)、2−メチルプロピレン(−CH
2CH(CH
3)CH
2−)、ペンチレン(−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2−)、ヘキシレン(−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2−)、およびヘプチレン(−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2−)である。一部の実施形態において、(C
1〜C
30)アルキル、(C
3〜C
30)シクロアルキル、(C
7〜C
30)アラルキルおよび(C
2〜C
30)アルキレン基の少なくとも1つは、独立して、上で説明したように置換されていてよく;あるいは(C
1〜C
30)アルキル、(C
3〜C
30)シクロアルキル、(C
7〜C
30)アラルキルおよび(C
2〜C
30)アルキレン基の各々は、非置換である。
【0032】
粒状固体を処理して、ある量の窒素含有塩基が表面に配置された粒状固体を含む処理粒子を得るために使用することができる窒素含有塩基としては、次の一般式の窒素含有塩基も挙げられる:
【化1】
(式中、Xは、CH
2またはNR
1であり、各R
1は、独立して、水素もしくはアルキルであるか、または2つのR
1基が一緒になって−(CH
2)
p−基を形成することができ;下付き文字nは、1、2または3であり;および下付き文字pは、1、2または3である)。一部の実施形態において、nおよびpの少なくとも一方は、2または3である。一部の実施形態において、Xは、CH
2またはNR
1であり、この場合、各R
1は、水素であるか、または2つのR
1基は、−(CH
2)
p−基を形成することができ;下付き文字nは、1、2または3であり;および下付き文字pは、1、2または3である。一部の実施形態において、nおよびpの少なくとも一方は、2または3である。一部の実施形態において、Xは、NR
1である。XがNR
1であるとき、前記一般式は、1分子につき2個の塩基性窒素原子を有する多官能性アミンの態様である。そのような窒素含有塩基の例ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、キヌクリジン、および下記構造を有する1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO):
【化2】
【0033】
多官能性アミンの態様であり、かつ粒状固体を処理して、ある量の窒素含有塩基が表面に配置された粒状固体を含む処理粒子を得るために使用することができる、他の窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)としては、次の一般式の環式脂肪族イミンである窒素含有塩基も挙げられる:
【化3】
(式中、Xは、CH
2またはNRであり、この場合のRは、本明細書中で定義されており;および下付き文字nは、1から3の整数である)。そのような化合物は、いわゆるヒンダードアミン塩基の例である。一部の実施形態において、Xは、CH
2である。XがCH
2であるとき、前記一般式は、1分子につき2個の塩基性窒素原子を有する多官能性アミン(環式アミン)の態様である。一部の実施形態において、Xは、NRである。XがNRであるとき、前記一般式は、1分子につき3個の塩基性窒素原子を有する多官能性アミンの態様である。そのような窒素含有塩基は、後で説明する窒素含有超強塩基の例である。そのようなヒンダードアミン塩基の例としては、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU;XがCH
2であり;およびnが3であるとき);1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD;XがNRであり;Rが水素であり;およびnが2であるとき);7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(MTBD;XがNRであり;RがCH
3であり;およびnが2であるとき);および1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN;XがCH
2であり;およびnが1であるとき)が挙げられる。
【0034】
多官能性アミンの態様であり、かつ粒状固体を処理して、ある量の窒素含有塩基が表面に配置された粒状固体を含む処理粒子を得るために使用することができる、さらに他の窒素含有塩基としては、次の一般式の窒素含有塩基も挙げられる:
【化4】
(式中、各R’は、独立して、水素またはアルキルである)。そのような塩基の例としては、両方のR’基が水素であるときのビスピジンが挙げられる。前記一般式は、1分子につき2個の塩基性窒素原子を有する多官能性アミノの態様である。
【0035】
多官能性アミンの態様であり、かつ粒状固体を処理して、ある量の窒素含有塩基が表面に配置された粒状固体を含む処理粒子を得るために使用することができる、さらに他の窒素含有塩基としては、次の一般式の窒素含有塩基(グアニジン)も挙げられる:
【化5】
(式中、各R’は、独立して、水素またはアルキルであり;およびR”は、水素またはアルキルである)。前記一般式は、1分子につき2個の塩基性窒素原子を有する多官能性アミノの態様である。一部の実施形態において、各R’は、CH
3であり、およびR”は、水素である。例えば、2−tert−ブチル−1,1,3,3−テトラメチルグアニジン。
【0036】
多官能性アミンの態様であり、かつ粒状固体を処理して、ある量の窒素含有塩基が表面に配置された粒状固体を含む処理粒子を得るために使用することができる、さらに他の窒素含有塩基としては、以下の一般式のリン含有化合物も挙げられる:
【化6】
前記一般式は、1分子につき4個以上の塩基性窒素原子を有する多官能性アミンの態様である。
【0037】
多官能性アミンの態様であり、かつ粒状固体を処理して、ある量の窒素含有塩基が表面に配置された粒状固体を含む処理粒子を得るために使用することができる、さらに他の窒素含有塩基としては、アミジン;1,5,7−トリアザビシクロ(4.4.0)デカ−5−エン;7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ(4.4.0)デカ−5−エン;1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノナ−5−エン;3,3,6,9,9−ペンタメチル−2,10−ジアザビシクロ−(4.4.0)デカ−1−エン;およびN,N,N’N’−テトラメチル−1,8−ナフタレンジアミンも挙げられる。例えば、米国特許第7,504,442号明細書を参照されたい。前記特許文献は、本明細書に完全に記述されているかのごとく参照により援用されている。粒状固体を処理して、ある量の窒素含有塩基が表面に配置された粒状固体を含む処理粒子を得るために使用することができる、および「超強塩基」と呼ばれることもある、さらなる多官能性アミンタイプ窒素含有塩基、例えば、さらなるグアニジン、アミジンおよびホスファゼンについては、Superbases for Organic Synthesis:Guanidines,Amidines,Phosphazenes and Related Organocatalysts(Tsutomu Ishikawa ed;2009)も参照されたい。
【0038】
IUPACは、「超強塩基」を、非常に高い塩基性を有する化合物、例えばリチウムジイソプロピルアミン、として定義している(The Gold Book,International Union of Pure and Applied Chemistry)。本明細書において用いる場合、用語「超強塩基」は、200℃より高い沸点(b.p.)と、アセトニトリル中での対数酸解離定数(pKa)>24とを有する窒素含有塩基を意味する。あるいは、pKaは、水中で≧12.0である。一部の実施形態において、pKa≧25(アセトニトリル)、あるいはpKa≧25(アセトニトリル)、あるいはpKa≧26(アセトニトリル)、あるいはpKa≧27(アセトニトリル)、あるいはpKa≧28(アセトニトリル)、あるいはpKa≧29(アセトニトリル)、あるいはpKa≧30(アセトニトリル);および一部の実施形態において、pKa<40(アセトニトリル)、あるいはpKa<36(アセトニトリル)、あるいはpKa<30(アセトニトリル)。一部の実施形態において、b.p.>200℃、あるいは>230℃、あるいは240℃、あるいは>250℃、あるいは259℃;および一部の実施形態において、沸点は、<400℃、あるいは<350℃、あるいは<300℃、あるいは<290℃、あるいは280℃、あるいは<270℃でもある。略して超強塩基は、本明細書では「窒素含有超強塩基」と呼ぶこともある。
【0039】
一部の実施形態において、粒状固体を処理して、処理粒子を得るために使用される窒素含有超強塩基は、少なくとも1つの炭素−窒素二重結合(C=N)を含有する少なくとも1つの多官能性有機イミンの少なくとも1つ;式R
1R
2C=NR
3(式中、R
1、R
2およびR
3は、上で定義したとおりである)の多官能性有機イミンの少なくとも1つ;アミジンの少なくとも1つ;次の一般式のグアニジン:
【化7】
(式中、R’およびR”は、上で定義したとおりである)の少なくとも1つ;少なくとも1つのC=N二重結合を有する少なくとも1つの環を含有する多官能性環式脂肪族イミンの少なくとも1つ;少なくとも1つのC=N二重結合を有する少なくとも1つの環と少なくとも1個の橋頭窒素原子とを含有する多官能性環式脂肪族イミンの少なくとも1つ;または次の一般式の環式脂肪族イミン:
【化8】
(式中、Xおよび下付き文字nは、上で定義したとおりである)の少なくとも1つである。一部の実施形態において、前記窒素含有超強塩基は、少なくとも1つの炭素−窒素二重結合(C=N)を含有する多官能性有機イミンであり;あるいは前記窒素含有超強塩基は、式R
1R
2C=NR
3(式中、R
1、R
2およびR
3は、上で定義したとおりである)の多官能性有機イミンであり;あるいは、前記窒素含有超強塩基は、アミジンであり;あるいは、前記窒素含有超強塩基は、上記一般式(式中のR’およびR”は、上で定義したとおりである)のグアニジンであり;あるいは前記窒素含有超強塩基は、少なくとも1つのC=N二重結合を有する少なくとも1つの環を含有する多官能性環式脂肪族イミンであり;あるいは前記窒素含有超強塩基は、少なくとも1つのC=N二重結合を有する少なくとも1つの環と少なくとも1つの橋頭窒素原子とを含有する多官能性環式脂肪族イミンであり;あるいは前記窒素含有超強塩基は、上記一般式(式中のXおよび下付き文字nは、上で定義したとおりである)の環式脂肪族イミンである。
【0040】
一部の実施形態において、粒状固体を処理して、処理粒子を得るために使用される窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)は、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU);1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD);1,1,3,3−テトラメチルグアニジン(TMG);1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN);および7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(MTBD)のうちの少なくとも1つである。一部の実施形態において、粒状固体を処理して、処理粒子を得るために使用される窒素含有塩基は、DBU、TBD、TMGおよびDBNのうちの少なくとも1つ;あるいはDBU、TBD、TMGおよびMTBDのうちの少なくとも1つ;あるいはDBU、TBD、DBNおよびMTBDのうちの少なくとも1つ;あるいはDBU、TBD、TMG、DBNおよびMTBDのうちの少なくとも1つ;あるいはDBU、TMG、DBNおよびMTBDのうちの少なくとも1つ;あるいはTBD、TMG、DBNおよびMTBDのうちの少なくとも1つである。一部の実施形態において、粒状固体を処理して、処理粒子を得るために使用される窒素含有塩基は、TMGの少なくとも1つである。一部の実施形態において、粒状固体を処理して、処理粒子を得るために使用される窒素含有塩基は、DBU、TBD、DBNおよびMTBDのうちの少なくとも1つである。一部の実施形態において、粒状固体を処理して、処理粒子を得るために使用される窒素含有塩基は、DBUおよびDBNのうちの少なくとも1つである。一部の実施形態において、粒状固体を処理して、処理粒子を得るために使用される窒素含有塩基は、TBDおよびMTBDのうちの少なくとも1つである。一部の実施形態において、粒状固体を処理して、処理粒子を得るために使用される窒素含有塩基は、DBUおよびTBDのうちの少なくとも1つ;あるいはDBUの少なくとも1つ;あるいはDBUおよびTMGのうちの少なくとも1つ;あるいはDBUおよびDBNのうちの少なくとも1つ;あるいはDBUおよびMTBDのうちの少なくとも1つである。一部の実施形態において、粒状固体を処理して、処理粒子を得るために使用される窒素含有塩基は、DBNおよびTBDのうちの少なくとも1つ;あるいはDBNの少なくとも1つ;あるいはDBNおよびTMGのうちの少なくとも1つ;あるいはDBNおよびMTBDのうちの少なくとも1つである。一部の実施形態において、前記窒素含有塩基は、DBUおよびDBNのうちの少なくとも1つである。
【0041】
前記窒素含有超強塩基は、前記窒素含有超強塩基を欠くまたは含有しないことを除いて同じである、本発明のものでない組成物と比較して、縮合硬化型シリコーン組成物の硬化の硬化速度を向上させる。例えば、前記窒素含有超強塩基は、一切の窒素含有塩基を欠くもしくは含有しないことを除いて同じである本発明のものでない組成物と比較して、または超強塩基でない窒素含有塩基、例えば非環式飽和アミンを有することを除いて同じである組成物と比較して、縮合硬化型シリコーン組成物の硬化の硬化速度を向上させる。超強塩基でないそのような非環式飽和アミンの例は、ブチルアミン、ジオクチルアミン、およびトリヘキシルアミンである。理論により拘束されないが、硬化型シリコーン組成物の硬化の硬化速度は、処理粒子中の粒状固体の表面の酸性官能基を実質的に中和するように、あるいは中和するように機能する窒素含有超強塩基によって向上されると考えられる。また、縮合硬化型シリコーン組成物の硬化の硬化速度は、さらに、追加量の同じ窒素含有超強塩基を縮合硬化型シリコーン組成物における縮合触媒として使用したときでさえ、または異なる窒素含有超強塩基を縮合硬化型シリコーン組成物における縮合触媒として使用したときでさえ、向上されると考えられる。縮合硬化型シリコーン組成物の硬化の硬化速度の向上は、超強塩基でない窒素含有塩基では見いだせない窒素含有超強塩基の1つ以上の特性に起因し得る。これらの特性の例としては、アセトニトリルなどの有機溶媒中での強い塩基性、高い脱離温度、低い揮発性、オルガノシロキサンへの高い溶解度、および縮合硬化反応における高い触媒活性が挙げられる。アセトニトリルなどの有機溶媒中での高い塩基性が支配的要因であり得、そして高温脱離および/または低い揮発性とともに高い触媒活性が相補的に硬化速度向上に寄与し得る。
【0042】
一部の実施形態において、前記窒素含有超強塩基は、アセトニトリルなどの有機溶媒中で高い塩基性を有する。アセトニトリルなどの有機溶媒中での高い塩基性は、粒状固体の表面の酸性官能基に対するならびに縮合硬化型シリコーン組成物中のオルガノシロキサン成分上のSiOH基および/またはその硬化の硬化生成物のシリコーンマトリックス中のSiOH基に対する強い結合強度をもたす窒素含有塩基の特性である。窒素含有塩基をその塩基性によって特性づけするには、その共役酸形態、特にモノプロトン化窒素含有塩基、の酸性を測定することが適便である。例えば、窒素含有超強塩基が1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)である場合、そのモノプロトン化共役酸形態は、[(DBU)−H]]
+である。すべての他のことが同じなら、窒素含有塩基(窒素含有超強塩基)の塩基性が強いほど、その共役酸形態の酸性は弱く、逆もまた同じである。共役酸形態の酸性をそのpKaで適便に表してもよい。共役酸形態のpKaが高いほど、共役酸形態の酸性は弱く、窒素含有塩基(窒素含有超強塩基)の塩基性は強い。pKaは、最も一般的には水中で測定されるが、窒素含有超強塩基の塩基性を最もよく例証するpKaは、本方法または組成物において使用される窒素含有塩基(窒素含有超強塩基)が経験する環境により近似している溶媒中で測定される。アセトニトリルなどの有機溶媒がそれに適している。一部の実施形態において、前記窒素含有超強塩基の共役酸形態は、pKa≧20(アセトニトリル)、あるいはpKa≧21(アセトニトリル)、あるいはpKa≧21(アセトニトリル)、あるいはpKa≧22(アセトニトリル)、あるいはpKa≧23(アセトニトリル)、あるいはpKa≧24(アセトニトリル)、あるいはpKa≧25(アセトニトリル)、あるいはpKa<40(アセトニトリル)、あるいはpKa≦36(アセトニトリル)、あるいはpKa≦30(アセトニトリル)を有する。あるいは、pKaは、水中で≧12.0である。
【0043】
あるいは、または高い塩基性を有することに加えて、前記窒素含有超強塩基は、単離された処理粒状固体から120℃未満、あるいは150℃未満、あるいは180℃未満、あるいは200℃未満の温度で脱離しない。低い脱離は、縮合硬化型シリコーン組成物中の粒状固体の表面に結合した窒素含有超強塩基を、特にその縮合硬化型シリコーン組成物の硬化中に(この硬化は、多くの場合、120℃以上の硬化温度で行われる)、維持するために有利である。
【0044】
あるいは、またはアセトニトリルなどの有機溶媒中での高い塩基性、および高い脱離温度に加えて、前記窒素含有超強塩基は、低い揮発性を有する。低い揮発性は、前記縮合硬化型シリコーン組成物中の窒素含有超強塩基をその縮合硬化型シリコーン組成物の硬化中に(この硬化は、多くの場合、120℃以上の硬化温度で行われる)維持するために有利である。揮発性は、窒素含有超強塩基の蒸気圧または沸点に関係する。一部の実施形態において、前記窒素含有超強塩基は、沸点(b.p.)>200℃、あるいは>230℃、あるいは>240℃、あるいは>250℃、あるいは>259℃を有し;および一部の実施形態において、前記沸点は、<400℃、あるいは<350℃、あるいは<300℃、あるいは<290℃、あるいは280℃、あるいは<270℃でもある。
【0045】
あるいは、または高い脱離温度、アセトニトリルなどの有機溶媒中での高い塩基性、および低い揮発性に加えて、前記窒素含有超強塩基は、オルガノシロキサンへの適切な溶解度も有することがある。適切な溶解度は、前記窒素含有超強塩基を縮合硬化型シリコーン組成物のオルガノシロキサン構成要素とその硬化中に密接に接触している状態に保ち、およびそれによって調製された硬化生成物のシリコーンマトリクスと密接に接触している状態に保つのに有利である。前記窒素含有超強塩基の溶解度は、それが前記縮合硬化型シリコーン組成物のオルガノシロキサン成分の1つ以上にまたはその硬化の硬化生成物のシリコーンマトリックスに部分的に混和性であるか、または混和性である場合、適切である。
【0046】
あるいは、または高い脱離温度、アセトニトリルなどの有機溶媒中での高い塩基性、低い揮発性、および適切な溶解度に加えて、前記窒素含有超強塩基は、前記縮合硬化型シリコーン組成物の縮合硬化を触媒するための高い縮合触媒活性も有することがある。縮合触媒活性は、縮合硬化型シリコーン組成物が上記の期間中にタンデルタ=1に硬化する場合、高い。
【0047】
アセトニトリルなどの有機溶媒中で高い塩基性を有する窒素含有超強塩基の、有さない窒素含有塩基に勝る利点および恩恵は、本発明の実施例における超強塩基、DBU、の性能と比較例における非超強塩基、ジオクチルアミン(DOA)、の性能とを比較することによって例証され得る。DBUの共役酸のモノプロトン化形態は、pKa>24(アセトニトリル)を有するのに対して、DOAの共役酸のモノプロトン化形態は、pKa 18.8(アセトニトリル)を有し、したがって、有利なことに、DBUはDOAよりアセトニトリル中での塩基性が5桁を超えて高い。この比較は、異なる縮合硬化型シリコーン組成物の硬化速度の比較を含むことがあり、その場合、1つのそのような本発明の組成物では、DBUを別々の量で、処理粒子に関する処理剤としても、縮合触媒としても使用する一方で、第一の比較対照組成物では、DBUを縮合触媒として使用するが、第一の比較対照組成物に使用する前に先ずDOA処理プロセスから単離したDOAを処理粒子に関する処理剤として使用する。後で実施例14(表5)において示すように、DBUは、実施例14a〜14eにおいてDBUを縮合触媒としても使用したとき、蛍光体を処理するための窒素含有超強塩基として、後で実施例15a〜15b(表6)に示すようにDBUを第一の比較対照組成物において縮合触媒として使用したときに蛍光体を処理するための窒素含有塩基としてDOAが動作するのより有意に良好に機能する。すなわち、DBUを本発明の組成物、実施例14a〜14e(表5)において蛍光体処理剤と縮合触媒の両方として使用すると、DBUは、縮合硬化型シリコーン組成物について150℃でタンデルタ=1までのそれぞれの時間によって測定して、硬化速度を増加させる。しかし、第一の比較対照組成物においてDOAを蛍光体処理剤として使用し、DBUを縮合触媒として使用すると、縮合硬化型シリコーン組成物は硬化しなかった。
【0048】
理論により拘束されることを望まないが、DBUは、DOA処理蛍光体粒子からDOAを迅速に外して、インサイチューで生成されたDBU処理蛍光体粒子と(劣った)縮合触媒としてのDOAとをもたらすと考えられる。類似の結果が、未処理蛍光体を使用し、DBUを縮合触媒として使用する第二の比較対照組成物から予想され、この場合、DBUは、未処理蛍光体粒子にインサイチューで結合し、それによって第二の比較対照組成物を硬化できなくさせるか、または少なくとも、蛍光体を欠く(含有しない)ことを除いて第二の比較対照組成物と同じである第三の比較対照組成物より遅く硬化する(すなわち、遅い硬化速度を有する)と予想された。すなわち、縮合触媒としてDBUを含む縮合硬化型シリコーン組成物における未処理蛍光体のインサイチューでの処理は、未処理蛍光体が触媒を有効に被毒させ、前記組成物が硬化できなくなるか、または未処理蛍光体を含有しない組成物に比べて硬化が少なくとも抑制されることになるため、失敗することになる。高塩基性アミンDBUでの結果に基づき、他の高塩基性アミン、例えば、TBD、MTBD、TMGおよびDBNは、蛍光体処理剤と縮合触媒の両方として使用したとき、縮合触媒としてのTBD、MTBD、TMGおよびDBNとともに蛍光体処理剤として使用したときに動作するジオクチルアミン(DOA)などのより塩基性の低いアミンより、同じ方法によって測定して硬化速度の点で、有意に良好に動作することも予想される。
【0049】
粒状固体を処理して、処理粒子を得るために使用される窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)は、上述の窒素含有塩基のいずれか1つであってもよいし、またはそれらのいずれか2つ以上のものの組み合わせであってもよい。上に図示した構造を有する窒素含有塩基は、図示した配座異性体に限定されず、それらの任意の配座異性体(例えば、シスおよびトランス異性体、船型および椅子型異性体など)を包含する。
【0050】
粒状固体を処理して、処理粒子を得るために使用される窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)は、処理粒子を調製するために使用される未処理粒状固体1gにつき1マイクログラム(μg)から3,000μgの窒素含有塩基;あるいは使用される未処理粒状固体1gにつき5μgから2,000μgの窒素含有塩基;あるいは使用される未処理粒状固体1gにつき10μgから1,000μgの窒素含有塩基での濃度(負荷量)であってよい。前記未処理粒状固体は、未処理粒状フィラー、あるいは未処理蛍光体であってもよい。
【0051】
一部の実施形態において、前記縮合硬化型シリコーン組成物は、ある量の窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)が表面に配置された粒状固体を含む処理粒子を含む。前記粒状固体は、窒素含有塩基を吸収することができる。前記粒状固体は、その表面に酸性部位を有することがある。配置された窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)は、粒状固体の表面の酸性部位に、例えば、水素カチオン(プロトン)交換反応などの酸−塩基反応、またはルイス酸−ルイス塩基結合によって、結合されることもある。前記粒状固体は、粒状フィラーおよび粒状蛍光体の少なくとも一方である。粒状フィラーは、少なくとも1つの特性、例えば、組成、蛍光体として機能する能力、粒径、負荷量などの点で、粒状蛍光体とは異なる。「蛍光体」は、第一の波長で光を吸収し、応答して第一の波長とは異なる第二の波長で光を放出する、波長変換器の1タイプである。例えば、ネオジムドープイットリウム・アルミニウム・ガーネット(Nd:YAG)蛍光体は、白色光、または黄色光以外のその一部に曝露されると、応答して黄色光を放出することになる。本明細書において用いる場合の粒状フィラーは、粒状蛍光体以外の任意の微粉有機または無機固体を意味する。前記縮合硬化型シリコーン組成物において有用な粒状フィラーの例としては、チキソトロープフィラー、補強用フィラー、伝導性フィラー(熱および/または電気伝導性)、顔料(蛍光体ではない)、および増量用フィラーが挙げられる。前記粒状フィラーまたは粒状蛍光体は、ナノ粒状フィラーまたはナノ粒状蛍光体(例えば、0nm超から約50nm未満までの、あるいは約5nmから約20nm未満までの;あるいは約5nmから約10nm未満までの;あるいは約1nmから約5nm未満までの最大寸法または平均最大寸法を有する、ナノ粒状フィラーまたはナノ粒状蛍光体)を含む、任意の適する粒状フィラーまたは粒状蛍光体であることができる。
【0052】
前記処理粒子は、前記縮合硬化型シリコーン組成物中に、その縮合硬化型シリコーン組成物の総重量に基づき約0.1%から<100%、例えば、約2%から<100%、あるいは約1%から約60%;あるいは約3%から約60%;あるいは約5%から約60%;あるいは約10%から約60%;あるいは約15%から約60%;あるいは20%から約60%;あるいは約25%から約60%;あるいは約30%から約60%;あるいは約40%から約60%;あるいは約50%から約60%;あるいは約25%から約50%;あるいは約25%から約40%;あるいは約25%から約30%;あるいは約30%から約40%;あるいは約30%から約50%;あるいは約40%から約50%の範囲の量(負荷量)で存在してよい。一部の実施形態において、前記処理粒子は、前記縮合硬化型シリコーン組成物中に、その縮合硬化型シリコーン組成物が硬化して150℃で1であるタンデルタ値に達するために必要な時間を、縮合硬化型ポリオルガノシロキサンと未処理粒子(すなわち、窒素含有塩基を含有しない粒子)とを含む比較対照縮合硬化型シリコーン組成物に必要な時間と比較して、少なくとも20秒、あるいは少なくとも30秒、あるいは少なくとも1分、あるいは少なくとも10分、あるいは少なくとも10%、あるいは少なくとも50%、あるいは少なくとも60%短縮させるのに有効な量で存在する。縮合硬化型シリコーン組成物が硬化してタンデルタ値=1に達するのに必要な時間の短縮が大きいほど、硬化生成物を得るために縮合硬化型シリコーン組成物を硬化させる硬化速度に対する窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)の有利な向上は大きい。
【0053】
ある量の窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)が表面に配置された粒状/ナノ粒状フィラーを含む処理粒子を得るために使用される適切な粒状/ナノ粒状フィラーの例としては、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、鉄、タンタル、ケイ素、亜鉛の金属酸化物、ならびにバリウム、チタンおよびストロンチウム(例えば、バリウムとチタンおよびストロンチウムとチタン)を含む金属酸化物を含む混合金属酸化物を含む、粒状/ナノ粒状フィラーが挙げられる。一部の実施形態において、適する粒状/ナノ粒状フィラーは、SiO
2、TiO
2、Al
2O
3、ZrO
2、BaTiO
3、Ta
2O
5、Fe
2O
3、ZnO、およびSrTiO
3のうちの少なくとも1つを含む。適する粒状/ナノ粒状フィラーとしては、フュームド粒状/ナノ粒状フィラー酸化物、例えば、フュームドAl
2O
3も挙げられる。一部の実施形態において、前記粒状/ナノ粒状フィラーは、TiO
2、SiO
2、ZnO、ZrO
2、およびAl
2O
3のうちの少なくとも1つを含む。他の実施形態において、適する粒状/ナノ粒状フィラーは、窒化物、例えば、AlN、Si
3N
4、およびBNを含む。一部の実施形態において、上述のフィラーは、酸性である表面ヒドロキシル基を有することを特徴とする。例えば、空気中の湿分は、フィラーの遷移金属酸化物または酸化ケイ素と反応して、酸性M
F−OH基(ここでのM
Fは、遷移金属またはSi(例えば、Si、Ti、Al、Zr、Ba、Ta、Fe、ZnまたはSr)を有するフィラーの遷移金属またはSiを表す)をもたらす。
【0054】
ある量の窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)が表面に配置された粒状/ナノ粒状蛍光体を含む処理粒子を得るために使用される適切な粒状/ナノ粒状蛍光体の例としては、セリウムドープ蛍光体、アルミン酸塩蛍光体、ケイ酸塩蛍光体、ガーネット蛍光体および窒化物蛍光体のうちの少なくとも1つを含む粒状/ナノ粒状蛍光体が挙げられる。これらの蛍光体タイプは、当該技術分野において公知であり、例えば、カリフォルニア州フリーモントのIntematix Corp.から一般に市販されている。あるいはまたは加えて、前記粒状/ナノ粒状蛍光体は、着色されていてもよく、その色は、赤、オレンジ色、黄色、緑色、青色、インジゴまたは紫であり;あるいはその色は、オレンジ色、黄色、緑色、青色、インジゴまたは紫色であり;あるいはその色は赤色であり;あるいはその色は黄色であり;あるいはその色は緑色であり;あるいはその色は青色であり;あるいはその色はインジゴであり;あるいはその色は紫色であり;あるいはその色はシアンである。一部の実施形態において、上述の蛍光体は、酸性である表面ヒドロキシル基を有することを特徴とする。例えば、空気中の湿分は、適切な蛍光体の遷移金属酸化物と反応して、酸性M
P−OH基(ここでのM
Pは、蛍光体の遷移金属(例えば、Ce、Y、Al、Zn、Cd、Ag、CumEu、Mg、Mn、Fe、Co、As、Gd、Tb、Ga、In、B、Pb、W、Sr、La、Ge、Sn、Sb、またはTl)を表す)をもたらす。
【0055】
適する粒状/ナノ粒状蛍光体の例は、以下のものの少なくとも1つを含む:Ce:YAG;Zn
2SiO
4:Mn(ケイ酸亜鉛鉱);ZnS:Ag+(Zn,Cd)S:Ag;ZnS:Ag+ZnS:Cu+Y
2O
2S:Eu;ZnO:Zn;KCl;ZnS:Ag,ClまたはZnS:Zn;(KF,MgF
2):Mn;(Zn,Cd)S:Agまたは(Zn,Cd)S:Cu;Y
2O
2S:Eu+Fe
2O
3、ZnS:Cu,Al;ZnS:Ag+Co−on−Al
2O
3;(KF,MgF
2):Mn;(Zn,Cd)S:Cu,Cl;ZnS:CuまたはZnS:Cu,Ag;MgF
2:Mn;(Zn,Mg)F
2:Mn;Zn
2SiO
4:Mn,As;ZnS:Ag+(Zn,Cd)S:Cu;Gd
2O
2S:Tb;Y
2O
2S:Tb;Y
3Al
5O
12:Ce;Y
2SiO
5:Ce;Y
3Al
5O
12:Tb;ZnS:Ag,Al;ZnS:Ag;ZnS:Cu,AlまたはZnS:Cu,Au,Al;(Zn,Cd)S:Cu,Cl+(Zn,Cd)S:Ag,Cl;Y
2SiO
5:Tb;Y
2OS:Tb;Y
3(Al,Ga)
5O
12:Ce;Y
3(Al,Ga)
5O
12:Tb;InBO
3:Tb;InBO
3:EU;InBO
3:Tb+InBO
3:Eu;InBO
3:Tb+InBO
3:Eu+ZnS:Ag;(Ba,Eu)Mg
2Al
16O
27;(Ce,Tb)MgAl
11O
19;BaMgAl
10O
17:Eu,Mn;BaMg
2Al
16O
27:Eu(II);BaMgAl
10O
17:Eu,Mn;BaMg
2Al
16O
27:Eu(II),Mn(II);Ce
0.67Tb
0.33MgAl
11O
19:Ce,Tb;Zn
2SiO
4:Mn,Sb
2O
3;CaSiO
3:Pb,Mn;CaWO
4(灰重石);CaWO
4:Pb;MgWO
4;(Sr,Eu,Ba,Ca)
5(PO
4)
3Cl;Sr
5Cl(PO
4)
3:Eu(II);(Ca,Sr,Ba)
3(PO
4)
2Cl
2:Eu;(Sr,Ca,Ba)
10(PO
4)
6Cl
2:Eu;Sr
2P
2O
7:Sn(II);Sr
6P
5BO
20:Eu;Ca
5F(PO
4)
3:Sb;(Ba,Ti)
2P
2O
7:Ti;3Sr
3(PO
4)
2.SrF
2:Sb,Mn;Sr
5F(PO
4)
3:Sb,Mn;Sr
5F(PO
4)
3:Sb,Mn;LaPO
4:Ce,Tb;(La,Ce,Tb)PO
4;(La,Ce,Tb)PO
4:Ce,Tb;Ca
3(PO
4)
2.CaF
2:Ce,Mn;(Ca,Zn,Mg)
3(PO
4)
2:Sn;(Zn,Sr)
3(PO
4)
2:Mn;(Sr,Mg)
3(PO
4)
2:Sn;(Sr,Mg)
3(PO
4)
2:Sn(II);Ca
5F(PO
4)
3:Sb,Mn;Ca
5(F,Cl)(PO
4)
3:Sb,Mn;(Y,Eu)
2O
3;Y
2O
3:Eu(III);Mg
4(F)GeO
6:Mn;Mg
4(F)(Ge,Sn)O
6:Mn;Y(P,V)O
4:Eu;YVO
4:Eu;Y
2O
2S:Eu;3.5MgO・0.5MgF
2・GeO
2:Mn;Mg
5As
2O
11:Mn;SrAl
2O
7:Pb;LaMgAl
11O
19:Ce;LaPO
4:Ce;SrAl
12O
19:Ce;BaSi
2O
5:Pb;SrFB
2O
3:Eu(II);SrB
4O
7:Eu;Sr
2MgSi
2O
7:Pb;MgGa
2O
4:Mn(II);Gd
2O
2S:Tb;Gd
2O
2S:Eu;Gd
2O
2S:Pr;Gd
2O
2S:Pr,Ce,F;Y
2O
2S:Tb;Y
2O
2S:Eu;Y
2O
2S:Pr;Zn(0.5)Cd(0.4)S:Ag;Zn(0.4)Cd(0.6)S:Ag;CdWO
4;CaWO
4;MgWO
4;Y
2SiO
5:Ce;YAlO
3:Ce;Y
3Al
5O
12:Ce;Y
3(Al,Ga)
5O
12:Ce;CdS:In;ZnO:Ga;ZnO:Zn;(Zn,Cd)S:Cu,Al;ZnS:Cu,Al,Au;ZnCdS:Ag,Cu;ZnS:Ag;アントラセン、EJ−212、Zn
2SiO
4:Mn;ZnS:Cu;NaI:Tl;CsI:Tl;LiF/ZnS:Ag;LiF/AnSCu,Al,Au;ならびに窒化物、例えば、LaAl(Si
6Al
3)N
7O
3:Ce
3+;Ca
0.898Ce
0.068Si
9Al
3ON
15;La
4.9Ce
0.1Si
3O
12N;La
0.96Ce
0.04SiO
2N;La
2.82Ce
0.18Si
8O
4N
11;(Ca,Sr,Ba)Si
2O
2N
2:Eu
2+;(Sr,Ba)YSi
4N
7:Eu
2+;(Ca,Sr,Ba)
2Si
5N
8:Eu
2+;(Sr,Ca)AlSiN
3:Eu
2+など。一部の実施形態において、上述の蛍光体は、表面ヒドロキシル基、例えば酸性M
P−OH基(ここでのMは、その適切な遷移金属を表す)を特徴とする。例えば、蛍光体Ce:YAGの場合、YAGは、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(Y
3Al
5O
12)であり、M
Pは、セリウム(Ce)、イットリウム(Y)、またはアルミニウム(Al)であってよい。
【0056】
一部の実施形態において、前記縮合硬化型シリコーン組成物は、縮合触媒をさらに含む。一部の実施形態において、前記縮合触媒は、縮合硬化型有機組成物の縮合硬化を果たすことが当該技術分野において公知の任意の触媒から選択してよい。一部の実施形態において、前記縮合触媒は、オルガノシロキサンの縮合硬化を果たすことが当該技術分野において公知の任意の触媒から選択してよい。縮合触媒は、Si−O−Si結合(および副生成物水分子)を形成して縮合硬化生成物を得るためのケイ素結合ヒドロキシ(シラノール)基の縮合反応を促進するために使用してよい、任意の化学エンティティーまたは分子であることができる。
【0057】
適する縮合触媒の例としては、本明細書に記載する窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)、および鉛、スズ、チタン、亜鉛および鉄の錯体、例えば、様々なスズまたはチタン触媒が挙げられる。他の例としては、他の塩基性化合物、例えば、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、および金属含有化合物、例えば、チタン酸テトライソプロピル、チタン酸テトラブチル、アセチルアセトネートチタン、アルミニウムトリイソブトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、テトラ(アセチルアセトナト)ジルコニウム、ジルコニウムテトラブチレート、オクチル酸コバルト、アセチルアセトナトコバルト、アセチルアセトナト鉄、アセチルアセトナトスズ、オクチル酸ジブチルスズ、ラウリン酸ジブチルスズ、オクチル酸亜鉛、安息香酸亜鉛、p−tert−ブチル安息香酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、リン酸アルミニウムおよびアルミニウムトリイソプロポキシド;有機アルミニウムキレート、例えば、アルミニウムトリスアセチルアセトネートおよびアルミニウムビスエチルアセトアセテートモノアセチルアセトネート;ならびに有機チタンキレート、例えば、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタンおよびジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタンが挙げられる。
【0058】
一部の実施形態において、前記縮合触媒は、オクチル酸亜鉛、安息香酸亜鉛、p−tert−ブチル安息香酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、およびアルミニウムトリイソプロポキシドを含む。例えば、米国特許第8,193,269号明細書を参照されたい。前記特許文献の全開示は、本明細書に完全に記述されているかのごとく参照により援用されている。縮合触媒の他の例としては、アルミニウムアルコキシド、アンチモンアルコキシド、バリウムアルコキシド、ホウ素アルコキシド、カルシウムアルコキシド、セリウムアルコキシド、エルビウムアルコキシド、ガリウムアルコキシド、ケイ素アルコキシド、ゲルマニウムアルコキシド、ハフニウムアルコキシド、インジウムアルコキシド、鉄アルコキシド、ランタンアルコキシド、マグネシウムアルコキシド、ネオジムアルコキシド、サマリウムアルコキシド、ストロンチウムアルコキシド、タンタルアルコキシド、チタンアルコキシド、スズアルコキシド、バナジウムアルコキシドオキシド、イットリウムアルコキシド、亜鉛アルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、チタンまたはジルコニウム化合物、特に、チタンおよびジルコニウムアルコキシド、ならびに上記アルコキシドのキレートおよび有機縮合体および重縮合体、二酢酸ジアルキルスズ、オクタン酸スズ(II)、ジアクリル酸ジアルキルスズ、ジアルキルスズオキシドならびに二重金属アルコキシドが挙げられるが、これらに限定されない。二重金属アルコキシドは、2つの異なる金属を特定の比率で含有するアルコキシドである。一部の実施形態において、縮合触媒としては、チタンテトラエチレート、チタンテトラプロピレート、チタンテトライソプロピレート、チタンテトラブチレート、チタンテトライソオクチレート、チタンイソプロピレートトリステアロイレート、チタントリイソプロピレートステアロイレート、チタンジイソプロピレートジステアロイレート、ジルコニウムテトラプロピレート、ジルコニウムテトライソプロピレート、ジルコニウムテトラブチレートが挙げられる。例えば、米国特許第7,005,460号明細書を参照されたい。この特許文献の全開示は、本明細書に完全に記述されているかのごとく参照により援用されている。加えて、縮合触媒としては、ドイツ特許第4427528号C2明細書および欧州特許第0 639 622号B1明細書に記載されているようなチタン酸塩、ジルコン酸塩およびハフニウム酸塩が挙げられ、前記特許文献は両方とも、本明細書に完全に記述されているかのごとく参照により援用されている。
【0059】
一部の実施形態において、縮合触媒は、独立して、窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)である。一部の実施形態において、前記窒素含有塩基および前記縮合触媒は、同じ窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)化合物である(例えば、縮合触媒と、粒状固体を処理して、処理粒子を調製するために使用される窒素含有塩基の両方が、DBUである)。他の実施形態において、縮合触媒と、粒状固体を処理して、処理粒子を調製するために使用される窒素含有塩基とは、異なる窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)化合物である(例えば、縮合触媒がDBUであり、粒状固体を処理して、処理粒子を調製するために使用される窒素含有塩基がDBNであるか、または縮合触媒がDBNであり、粒状固体を処理して、処理粒子を調製するために使用される窒素含有塩基がDBUである)。一部の実施形態において、窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)および縮合触媒は、同じ化合物である(例えば、各々がDBUである)。縮合触媒が、窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)の実施形態であるとき、その縮合硬化型シリコーン組成物は、第一の量の前記縮合触媒と、粒状固体を処理するために使用される第二の量の窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)とを独立して含有する。前記縮合触媒の第一の量は、前記組成物の縮合硬化を触媒するのに十分な量であり、前記粒状固体を処理するために使用される窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)の第二の量は、その粒状固体を処理するのに十分な量、例えば、その組成物の硬化時にタンデルタ=1までの時間を短縮するために十分な量である。
【0060】
縮合硬化型シリコーン組成物中の縮合触媒の量は様々であってよく、限定されない。一部の実施形態において、縮合触媒の量は、縮合硬化型シリコーン組成物の縮合反応または硬化を促進(増進)するのに触媒的に有効な量である。触媒的に有効な量は、数ある要因の中でも、選択される縮合触媒;および縮合硬化型シリコーン組成物中の、もしあれば、残留シラノール基の濃度に依存して変動し得る。一般的に言うと、縮合触媒の触媒的に有効な量は、縮合硬化型シリコーン組成物が硬化して1であるタンデルタ値に達するために必要な時間が、150℃で約30秒から約1時間(例えば、あるいは約1分から約30分;あるいは約5分から約30分;あるいは約2分から約30分;あるいは約10分から約45分;あるいは約15分から約1時間)であるために十分な量である。
【0061】
一部の実施形態において、処理粒子を含む縮合硬化型シリコーン組成物に必要な時間に対して処理粒子を欠く縮合硬化型シリコーン組成物に必要な時間は、150℃で、互いに1時間以内、あるいは互いに30分以内、あるいは互いに15分以内、あるいは実質的に同じになる。
【0062】
一部の実施形態では、縮合硬化型シリコーン組成物中に存在する縮合触媒の量を百万分率(ppm)で記載する。縮合硬化型シリコーン組成物に添加される縮合触媒の量は、その縮合硬化型シリコーン組成物の重量で約0.1から約1.000ppm(例えば、あるいは約1から約500ppm、あるいは約10から約100ppm、あるいは約10から約50ppm、あるいは約5から約30ppm、あるいは約5から25ppm)の範囲であってよい。一部の実施形態では、縮合硬化型ポリオルガノシロキサンおよび処理粒子に添加する前に縮合触媒を有機溶媒で希釈して、縮合触媒と有機溶媒とをさらに含む縮合硬化型シリコーン組成物の実施形態を得てもよい。場合により、有機溶媒を縮合硬化型シリコーン組成物から、その組成物を硬化させる前に除去してもよい。この除去は、蒸発および/またはストリッピングなどの任意の適する手段によるものであってよい。
【0063】
(C
6〜C
10)炭化水素、(C
1〜C
5)アルコール、またはそれらのいずれか2つ以上のものの組み合わせを含めて、あらゆる有機溶媒が適する。一部の実施形態において、前記有機溶媒は、(C
6〜C
10)炭化水素であり;あるいは前記有機溶媒は、トルエンまたはヘプタンである。一部の実施形態において、前記有機溶媒は、(C
1〜C
5)アルコールであり;あるいは前記有機溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール(すなわち、CH
3CH
2CH
2OH)、1−メチルエタノール(別名2−プロパノールもしくはイソプロピルアルコール)、またはブタノールである。他の実施形態において、前記有機溶媒は、エーテル、カルボン酸エステル、ケトン、有機ニトリル、またはそれらのいずれか2つ以上のものの組み合わせである。一部の実施形態において、前記有機溶媒は、テトラヒドロフランまたは1,4−ジオキサンであるエーテルであり;あるいは、前記有機溶媒は、酢酸エチル、酢酸プロピルまたはプロピオン酸エチルであるエステルであり;あるいは前記有機溶媒は、アセトンまたはメチルエチルケトンであるケトンであり;あるいは前記有機溶媒は、アセトニトリルまたはプロピオニトリルである有機ニトリルである。一部の実施形態において、前記有機溶媒は、トルエン、ヘプタン、プロパノールまたは1−メチルエタノール;あるいはヘプタンまたはプロパノール;あるいはトルエンまたは1−メチルエタノール;あるいはヘプタン;あるいはプロパノール;あるいはトルエン;あるいは1−メチルエタノールである。
【0064】
一部の実施形態において、前記縮合硬化型シリコーン組成物は、希釈剤をさらに含む。一部の実施形態において、前記希釈剤は、有機溶媒である。前記希釈剤が有機溶媒であるとき、それは、(C
6〜C
10)炭化水素、(C
1〜C
5)アルコール、またはそれらのいずれか2つ以上のものの組み合わせを含めて、上記の任意の適する有機溶媒、例えば、トルエン、ヘプタン、プロパノールまたは1−メチルエタノールであることができる。あるいは、前記有機溶媒は、エーテル、カルボン酸エステル、ケトン、有機ニトリル、またはそれらのいずれか2つ以上のものの組み合わせである。本発明の実施形態は、前記縮合硬化型シリコーン組成物と前記処理粒子とを含む水性エマルジョンおよび懸濁液も含む。
【0065】
一部の実施形態において、前記縮合硬化型シリコーン組成物の硬化の硬化生成物は、オルガノシロキサンブロックコポリマーを含む。一部の実施形態において、前記オルガノシロキサンブロックコポリマーは、式[R
13SiO
1/2]のM構成単位を0から10モルパーセント、式[R
12SiO
2/2]のD構成単位を40から90モルパーセント、式[R
1SiO
3/2]のT構成単位を10から60モルパーセント、およびケイ素結合ヒドロキシ(SiOH)を0.5から35モルパーセント含み、ここで、M、DおよびT構成単位のモルパーセントの合計は100モルパーセントであり;各R
1は、独立して、C
1からC
30ヒドロカルビル基であり;D構成単位[R
12SiO
2/2]は、線状ブロック1つにつき平均50から300のD構成単位[R
12SiO
2/2]を有する線状ブロックに配列されており;T構成単位[R
1SiO
3/2]は、少なくとも500g/モルのブロック重量を有する非線状ブロックに配列されており;M構成単位[R
13SiO
1/2]は、T単位に連結されており;前記非線状ブロックの少なくとも30%は、互いに架橋しており;各線状ブロックは、少なくとも1つの非線状ブロックに−Si−O−Si−結合によって結合しており;および前記オルガノシロキサンブロックコポリマーは、少なくとも20,000g/モルの重量平均分子量を有する。そのようなオルガノシロキサンブロックコポリマーは、少なくとも米国特許出願公開第2013/0168727号明細書;米国特許出願公開第2013/0171354号(現在、米国特許第8,921,493号)明細書;米国特許出願公開第2013/0245187号(現在、米国特許第8,957,147号)明細書;および米国特許出願公開第2013/0165602号(現在、米国特許第8,921,494号)明細書に記載されており、前記特許文献のすべてが、本明細書に完全に記述されているかのごとく参照により援用されている。
【0066】
本明細書において用いる場合、用語「C
1からC
30ヒドロカルビル基」または単に「(C
1〜C
30)ヒドロカルビル」は、1から30個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖炭化水素に由来する、または3から30個の炭素原子(またはアリールについては6から30個の炭素原子)を含む環式炭化水素に由来する一価の官能基を指し、アルキル、シクロアルキル、アリールまたはそれらの任意の組み合わせであることができる。
【0067】
前記縮合硬化型シリコーン組成物を硬化させて硬化生成物を得てもよい。前記縮合硬化型シリコーン組成物の縮合硬化からの硬化生成物は、本明細書に含まれている。前記縮合硬化型シリコーン組成物を、本明細書に記載する縮合触媒の存在下、当該技術分野において公知の縮合硬化条件下で硬化させて、固体硬化組成物を得てもよい。例えば、米国特許出願公開第2013/0168727号明細書;米国特許出願公開第2013/0171354号(現在、米国特許第8,921,493号)明細書;米国特許出願公開第2013/0245187号(現在、米国特許第8,957,147号)明細書;および米国特許出願公開第2013/0165602号(現在、米国特許第8,921,494号)明細書を参照されたい。前記特許文献のすべてが、本明細書に完全に記述されているかのごとく参照により援用されている。縮合硬化条件としては、例えば、縮合硬化型シリコーン組成物の50℃から250℃、あるいは100℃から250℃、あるいは120℃から180℃の温度での加熱が挙げられる。硬化を果たすのに十分な期間、例えば10分から10時間この加熱を行ってよく、ここで、すべての他のことが同じなら、温度が高いほどその期間は短く、温度が低いほど、その期間は長い。後で説明するように、縮合硬化型シリコーン組成物を処理粒子含有フィルムとして形成し、その後、その処理粒子含有フィルムを10分から10時間、100℃から250℃(例えば、3時間、120℃から180℃)の温度の温度制御炉/オーブンに入れることによって硬化させてもよい。
【0068】
一部の実施形態、例えば、硬化生成物がオルガノシロキサンブロックコポリマーを含む実施形態において、縮合硬化型シリコーン組成物の縮合硬化からの硬化生成物は、約20メガパスカル(MPa)から約500MPa、例えば、あるいは約20MPaから約200MPa、あるいは約20MPaから約150MPa、あるいは約40MPaから約150MPa、あるいは約50MPaから約120MPa、あるいは約40MPaから約100MPa、あるいは約80MPaから約120MPa、あるいは約50MPaから約150MPaのヤング率を有する。上述のヤング率を本明細書では熱老化前のヤング率と呼ぶこともある。すべてのヤング率値は、試験材料の1mm厚試料フィルムを用い、前記フィルムをドッグボーン形試験片に切断し、その後、Instron Bluehill計器を使用して引張測定することで決定する。
【0069】
一部の実施形態、例えば、硬化生成物がオルガノシロキサンブロックコポリマーを含む実施形態において、縮合硬化型シリコーン組成物の縮合硬化からの硬化生成物は、48時間、225℃で熱老化に付され、熱老化した生成物は、約20MPaから約500MPa、例えば、あるいは約50MPaから約500MPa、あるいは約50MPaから約400MPa、あるいは約50MPaから約350MPa、あるいは約100MPaから約350MPa、あるいは約150MPaから約300MPa、あるいは約100MPaから約250MPaのヤング率を有する。上述のヤング率を本明細書では熱老化後のヤング率と呼ぶこともある。
【0070】
一部の実施形態、例えば、硬化生成物がオルガノシロキサンブロックコポリマーを含む実施形態において、縮合硬化型シリコーン組成物の縮合硬化からの硬化生成物は、0超から4未満までの、225℃で48時間の熱老化後の硬化生成物のヤング率の225℃で48時間の熱老化前の硬化生成物のヤング率に対する比を有する。一部の実施形態において、その最大比は、例えば、あるいは3.5未満、あるいは3未満、あるいは2.5未満、あるいは2未満、あるいは1.5未満、あるいは1.0未満、あるいは0.5未満であってよい。一部の実施形態において、ヒドロシリル化硬化型組成物の硬化生成物は、約1:1から約4:1、あるいは約1:1から約3:1、あるいは約1:1から約2:1、あるいは約1:1の、225℃で48時間の熱老化後の硬化生成物のヤング率の225℃で48時間の熱老化前の硬化生成物のヤング率に対する比を有する。
【0071】
本発明をなす前、本発明者らは、多過ぎる窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)での蛍光体の処理が、多少の塩基が高温で周囲に残存し、ことによると硬化生成物を分解する結果となることを懸念した。有益なことに、熱老化前および後のヤング率の上述の比は、有益なことにそのような分解が起こらない実施形態、例えば、硬化生成物がオルガノシロキサンブロックコポリマーを含む実施形態を明らかにした。さらに、比較対照硬化型組成物において未処理蛍光体とともに使用される一部の縮合触媒は、その比較対照組成物または結果として生ずる比較対照硬化生成物を分解することがある。ヤング率値のこの比は、比較対照硬化生成物の熱安定性と比較して、縮合触媒および処理蛍光体を用いて得られる本発明の硬化生成物の熱安定性の改善も説明する。この熱安定性改善は、窒素含有塩基、特に窒素含有超強塩基での蛍光体処理に起因する。
【0072】
一部の実施形態において、前記縮合硬化型シリコーン組成物の縮合硬化からの硬化生成物は、約20%から約300%、例えば、あるいは約20%から約250%、あるいは約20%から約200%、あるいは約20%から約150%、あるいは約50%から約200%、あるいは約100%から約200%、あるいは約50%から約150%、あるいは約80%から約160%の破断点伸びを有する。上述の破断点伸びを本明細書では熱老化前の破断点伸びと呼ぶこともある。すべての破断点伸び値は、試験材料の1mm厚試料フィルムを用い、ドッグボーン形試験片に切断し、その後、Instron Bluehill計器を使用して引張測定することで決定する。
【0073】
一部の実施形態では、前記縮合硬化型シリコーン組成物の縮合硬化からの硬化生成物を、225℃で48時間の熱老化に付し、その熱老化生成物は、約1%から200%、例えば、あるいは約2%から約150%、あるいは約4%から約100%、あるいは約4%から約75%、あるいは約4%から約50%、あるいは約10%から約60%、あるいは約10%から約75%、あるいは約15%から約50%、あるいは約15%から約60%の破断点伸びを有する。上述の破断点伸びを本明細書では熱老化後の破断点伸びと呼ぶこともある。
【0074】
本発明の前、本発明者らは、蛍光体を含有するシリコーン硬化生成物の熱不安定性について懸念した。有益なことに、熱老化前および後の上述の破断点伸び値は、有益なことにそのような熱不安定性が起こらない実施形態、例えば、硬化生成物がオルガノシロキサンブロックコポリマーを含む実施形態を明らかにした。それらの破断点伸び値は、硬化生成物が良好な熱安定性を有することを示し、この良好な熱安定性は、理論により拘束されないが、存在する窒素含有塩基、特に窒素含有超強塩基、蛍光体熱処理に起因し得る。
【0075】
一部の実施形態において、前記縮合硬化型シリコーン組成物の縮合硬化からの硬化生成物は、72時間の225℃での熱老化後、0から約7、例えば、あるいは約6以下、あるいは約4以下、あるいは約3以下、あるいは約2以下、あるいは約1以下、あるいは約1から約7、あるいは約1から約4、あるいは約2から約6、あるいは約1から約3、あるいは約2から約5である国際照明委員会(CIE)b
*値を有する。すべてのCIE B
*値は、各試料の1mm厚フィルムを使用し、前記フィルムを2.54cm×2.54cm試験片に切断し、その後、225℃で72時間熱老化させ、その後、BYK比色計、BYK Spectro−Guide計器、を使用してb
*値を測定することで測定する。
【0076】
一部の実施形態において、前記縮合硬化型シリコーン組成物の縮合硬化からの硬化生成物は、フィルムが1ミリメートル(mm)の厚さほども厚いときでさえ95%超から100%の可視光の光透過率を有するコーティングおよびフィルムを形成することができる。一部の実施形態において、前記縮合硬化型シリコーン組成物の縮合硬化からの硬化生成物から誘導されるコーティングおよびフィルムは、約350ナノメートル(nm)から約1000nmの波長を有する光の、少なくとも95%から100%、例えば、あるいは少なくとも96%;あるいは少なくとも97%;あるいは少なくとも98%;あるいは少なくとも99%光透過率;あるいは可視光の100%透過率を、フィルムが約50μmから約500μm以上(例えば1mm)の厚さに達するときでさえ、有することができる。
【0077】
一部の実施形態において、前記縮合硬化型シリコーン組成物の縮合硬化からの硬化生成物は、以下のものから選択される上述の特性のいずれか2つ以上のものの組み合わせ、あるいはそれらのすべてを有することができる:熱老化前のヤング率;熱老化後のヤング率;熱老化後のヤング率の熱老化前のヤング率に対する比;熱老化前の破断点伸び;熱老化後の破断点伸び;熱老化後の(CIE)b
*値;および可視光の光透過率。それぞれのそのような特性は、その上述の範囲または値のいずれか1つを有し得る。
【0078】
本明細書に記載する温度および期間(225℃、72時間)などの熱老化条件は、一部の実施形態では、温度および期間などの硬化条件とは異なる。一部の実施形態において、硬化条件は、120℃で1時間およびその後、160℃で3時間の縮合硬化型シリコーン組成物の加熱を含む。他の実施形態において、熱老化条件は、硬化条件と同じである。
【0079】
本発明の様々な実施形態は、本明細書では硬化ポリオルガノシロキサンとも呼ばれる硬化生成物を調製するための方法にも関し、この方法は、本明細書では縮合硬化型ポリオルガノシロキサンとも呼ばれる縮合硬化型シリコーン組成物を、縮合触媒と、ある量の窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)が表面に配置された処理粒子との存在下で縮合硬化させ、硬化生成物(硬化ポリオルガノシロキサン)を得る工程を含み;前記処理粒子上に配置された窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)の量は、未処理粒子上の複数の酸性部位の実質的な数を中和するのに十分な量である。
【0080】
本発明の様々な実施形態は、硬化ポリオルガノシロキサンを調製するための方法にも関し、この方法は、縮合硬化型ポリオルガノシロキサンを、縮合触媒と、ある量の窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)が表面に配置された粒状固体を含む処理粒子との存在下で縮合硬化させて、硬化ポリオルガノシロキサンを得る工程を含み;前記粒状固体上に配置された窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)の量は、その粒状固体上の複数の酸性部位の実質的な数を中和するのに十分な量である。
【0081】
本発明の様々な実施形態は、複数の酸性部位を有する粒状固体を処理するための方法にも関し、この方法は、前記粒状固体と窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)を接触させて、ある量の窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)が表面に配置された処理粒子を得る工程であって、前記窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)の量が、前記粒状固体上に配置されており、および前記粒状固体上の複数の酸性部位の実質的な数を中和するのに十分な量である工程;およびある量の窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)が表面に配置された前記処理粒子を単離する工程を含む。一部の実施形態において、前記接触は、粒状固体と、液体または蒸気形態の、あるいは液体形態の、あるいは蒸気形態の、ニート窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)とを接触させることを含む。一部の実施形態において、前記接触は、粒状固体と、窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)および溶媒、例えば上記の有機溶媒、例えば、(C
6〜C
10)炭化水素、(C
1〜C
5)アルコールまたはそれらのいずれか2つ以上のものの組み合わせ、例えば、トルエン、ヘプタン、プロパノールまたは1−メチルエタノールを含む組成物とを接触させることを含む。あるいは、前記有機溶媒は、エーテル、カルボン酸エステル、ケトン、有機ニトリル、またはそれらのいずれか2つ以上のものの組み合わせである。場合により、溶媒を処理粒子から除去してもよい。
【0082】
一部の実施形態では、単離された処理粒子を「そのまま」縮合硬化型シリコーン組成物ならびに関連する方法および硬化生成物に使用する。「そのまま」は、単離されたまま、または過剰な窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)を除去するためのさらなる加工を伴わないことを意味する。粒状固体を処理するために望まれる量より過剰な何らかの窒素含有超強塩基が、前記縮合硬化型シリコーン組成物において縮合触媒として有利に機能することもある。
【0083】
一部の実施形態では、処理粒子が含有する窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)の量を制御することが望ましいこともある。処理粒子中のあまりにも過剰な窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)は、縮合硬化型シリコーン組成物の他の成分中に溶出し、それらの分解または早期硬化の引き金になる可能性がある。一部の実施形態では、縮合硬化型シリコーン組成物の、その組成物が流動し得るまたはある一定の形状に(例えば、フィルムまたは他の所望の形状)に成形され得る前の、早期硬化を回避することが望ましい。単離された処理粒子を、それらから窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)の、すべてではないが、一部を除去するようにさらに加工した後、(単離され、さらに加工された)処理粒子とその縮合硬化型シリコーン組成物の他の成分とを接触させ、その結果、前記さらなる加工後の処理粒子(すなわち、加工され、単離された処理粒子)を実質的に中和する、または中和することによって、分解および早期硬化を回避してもよい。一部の実施形態では、前記さらなる加工は、処理粒子中に過剰な窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)が残っていないが、すべてのそれらの酸性部位が窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)で中和されていることから実質的にpH中性または完全にpH中性である処理粒子をもたらす。一部の実施形態において、前記処理粒子は、中和された処理粒子であり、縮合硬化型シリコーン組成物、およびそれを縮合硬化することによって得られる硬化生成物は、中性の処理粒子のみを含有する。そのような実施形態では、既知量の縮合触媒を縮合硬化型シリコーン組成物の他の成分に添加して、既知濃度の縮合触媒を含有する縮合硬化型シリコーン組成物の実施形態を得ることができる。縮合硬化型シリコーン組成物中の縮合触媒の濃度の制御は、制御された硬化速度および/または保管寿命を有するようにその組成物を配合するために有利であり得る。この利点は、添加される縮合触媒と窒素含有超強塩基が同じ化合物であるときでさえ得られる。
【0084】
一部の実施形態において、前記方法は、ある量の窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)が表面に配置された前記単離された処理粒子を、配置された窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)の、すべてでないが、一部分をそれらから除去するように加工(例えば、加熱、真空への曝露、およびブロッティングのうちの少なくとも1つ)して、加工された処理粒子を得る工程をさらに含む。前記加工は、配置された窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)の、すべてでないが、一部分のそれらから除去であって、ある量の窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)が表面に配置された前記加工された処理粒子を含む縮合硬化型シリコーン組成物が、硬化して1であるタンデルタ値に達するために必要な時間が、150℃で約30秒から約1時間になるような除去を含む。前記加工は、配置された窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)の、すべてでないが、十分な除去であって、処理粒子から前記超強塩基をすべてでないが多少除去して、表面に配置された多少の超強塩基を含有する加工された処理粒子(例えば、加工された処理蛍光体粒子)を得るためにさらに加工された処理粒子(例えば、処理蛍光体粒子)が、それらの粒子の表面に超強塩基のモノリシックコーティングまたはフィルムを含有しないような除去を含むこともある。前記単離された処理粒子から、配置された窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)の、すべてでないが、一部分を除去ために適する任意の技法を用いて前記加工を行って、加工された処理粒子を得てもよい。適する技法の例は、蒸発、凍結乾燥、吸収材料でのブロッティング、および前記技法のいずれか2つ以上のものの組み合わせである。
【0085】
一部の実施形態において、前記加工は、ある量の窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)が表面に配置された前記単離された処理粒子を、配置された窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)の、すべてでないが、一部分をそれらから除去するのに十分な温度で十分な時間加熱して、加工された処理粒子を得ることを含み、その結果、ある量の窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)が表面に配置された前記加工された処理粒子を含む縮合硬化型シリコーン組成物が硬化して1であるタンデルタ値に達するために必要な時間は、150℃で約30秒から約1時間になる。
【0086】
配置された窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)の、すべてでないが、一部分を除去するための他の方法は、本明細書に含まれている。例えば、前記加工は、単離された処理粒子を、配置された窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)の、すべてでないが、一部分をそれらから除去するのに十分な時間、減圧(例えば、真空)に曝露して、加工された処理粒子を得ることを含むことができ、その結果、ある量の窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)が表面に配置された前記加工された処理粒子を含む縮合硬化型シリコーン組成物が硬化して1であるタンデルタ値に達するために必要な時間は、150℃で約30秒から約1時間になる。前記単離された処理粒子の減圧(例えば、真空)への曝露を単独で用いて、または配置された窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)の、すべてでないが、一部分をそれらから除去するために十分な温度での十分な時間の加熱に加えて用いて、加工された処理粒子を得ることができ、その結果、ある量の窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)が表面に配置された前記加工された処理粒子を含む縮合硬化型シリコーン組成物が、硬化して1であるタンデルタ値に達するために必要な時間は、150℃で約30秒から約1時間になる。あるいは、一部の実施形態において、前記加工は、単離された処理粒子を凍結乾燥に付すことを含むことができる。
【0087】
本発明の様々な実施形態は、硬化型ポリオルガノシロキサン粒子含有組成物を処理するための方法であって、縮合硬化型ポリオルガノシロキサンと未処理粒子とを含む組成物を、溶媒と、前記未処理粒子上の複数の酸性部位の実質的な数を中和するために十分な量の窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)とを含む溶液で処理する工程を含み、前記窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)を含む溶液が、その縮合硬化型ポリオルガノシロキサンを実質的に溶解しないものである方法にも関する。一部の実施形態において、硬化型ポリオルガノシロキサン粒子含有組成物を処理するための前記方法は、縮合触媒の存在下で前記硬化型ポリオルガノシロキサン粒子含有組成物を硬化させる工程をさらに含む。前記溶媒は、揮発性シリコーン油であってもよいし、または有機溶媒であってもよい。一部の実施形態において、前記溶媒は、上記の有機溶媒、例えば、(C
6〜C
10)炭化水素、(C
1〜C
5)アルコールまたはそれらのいずれか2つ以上のものの組み合わせ、例えば、トルエン、ヘプタン、プロパノールまたは1−メチルエタノールである。あるいは、前記有機溶媒は、エーテル、カルボン酸エステル、ケトン、有機ニトリル、またはそれらのいずれか2つ以上のものの組み合わせである。
【0088】
本発明の様々な実施形態は、硬化型ポリオルガノシロキサン粒子含有組成物を処理するための方法であって、縮合硬化型ポリオルガノシロキサンと粒状固体とを含む組成物を、溶媒と、前記粒状固体上の複数の酸性部位の実質的な数を中和するために十分な量の窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)とを含む溶液で処理する工程(これによって処理粒子がインサイチューで得られる)を含み、前記窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)を含む溶液が、その縮合硬化型ポリオルガノシロキサンを実質的に溶解しないものである方法にも関する。そのような実施形態では、さらなる窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)を添加して、縮合硬化型シリコーン組成物を得る。一部の実施形態において、硬化型ポリオルガノシロキサン粒子含有組成物を処理するための前記方法は、縮合触媒、前記さらなる窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)の存在下で、前記硬化型ポリオルガノシロキサン粒子含有組成物を硬化させる工程をさらに含む。前記溶媒は、上記の有機溶媒、例えば、トルエンまたは1−メチルエタノールであってよい。
【0089】
一部の実施形態では、硬化型ポリオルガノシロキサン粒子含有組成物を、当該技術分野において一般に公知の方法によって形成することができるコーティングまたはフィルムの形態で配置または適用することができる。例えば、フィルムまたはコーティングは、縮合硬化型ポリオルガノシロキサンと処理粒状固体とを、希釈剤(例えば、溶媒、例えば、上記のものなどの有機溶媒、例えばトルエンまたは1−メチルエタノール)の存在下で併せる工程、結果として得られた混合物を基板上に配置する工程、および希釈剤を除去して、前記基板上の前記縮合硬化型ポリオルガノシロキサンと前記処理粒状固体とを含む組成物(例えば、コーティングまたはフィルム)を得る工程によって形成してもよい。前記コーティングまたはフィルムを前記基板上で硬化させてもよく、あるいは、前記コーティングまたはフィルム硬化させる前に前記コーティングまたはフィルムを前記基板から除去してもよい。一部の実施形態では、前記コーティングまたはフィルムを基板から除去した後にそのコーティングまたはフィルムを硬化させてもよく、したがって、除去されるコーティングまたはフィルムは、自立したコーティングまたはフィルムであり得る。硬化後、コーティングまたはフィルムの形態で得られた硬化生成物を基板から除去して、自立した硬化コーティングまたはフィルムを得てもよい。
【0090】
一部の実施形態において、前記縮合硬化型ポリオルガノシロキサンを実質的に溶解しない窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)を含む溶液は、窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)と溶媒としての水とを含む水溶液であることができ、または窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)と水および水でない水混和性溶媒(例えば、25℃で混和可能な水混和性有機溶媒)を含む溶媒とを含む実質的に水性の溶液であることができる。前記水混和性溶媒は、有機溶媒、例えば、アセトニトリル、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、プロパノール、1−メチルエタノールなどであってもよい。あるいは、前記溶媒は、部分的水混和性であってもよい。一部の実施形態において、前記縮合硬化型シリコーン組成物は、縮合触媒をさらに含み、前記方法は、縮合触媒の存在下で硬化型ポリオルガノシロキサン粒子含有組成物を硬化させる工程をさらに含む。窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)を含む溶液に関して言えば、窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)は、前記溶媒に実質的に溶解するが、その溶媒は、縮合硬化型ポリオルガノシロキサンを溶解しない。
【0091】
一部の実施形態は、以下の番号の付いた態様のうちのいずれか1つを含む。
【0092】
態様1.縮合硬化型ポリオルガノシロキサンと、ある量の窒素含有超強塩基が表面に配置された粒状固体を含む処理粒子とを含む、縮合硬化型シリコーン組成物であって、前記粒状固体上に配置された窒素含有超強塩基の量が、前記粒状固体上の複数の酸性部位の実質的な数を中和するのに十分な量であり、および前記粒状固体上の酸性部位の実質的な数が、配置された窒素含有超強塩基で中和される、縮合硬化型シリコーン組成物。
【0093】
態様2.前記粒状固体上に配置された窒素含有超強塩基の量が、前記縮合硬化型シリコーン組成物が硬化して1であるタンデルタ値に達するためにかかる時間が、150℃で約30秒から約1時間であるために十分な量である、態様1に記載の縮合硬化型シリコーン組成物。
【0094】
態様3.前記粒状固体が、粒状フィラーである、態様1または2に記載の縮合硬化型シリコーン組成物。
【0095】
態様4.前記粒状フィラーが、ナノ粒状フィラーである、態様3に記載の縮合硬化型シリコーン組成物。
【0096】
態様5.前記粒状フィラーが、Ti
2、SiO
2、ZnO、ZrO
2、およびAl
2O
3のうちの少なくとも1つを含む、態様3または4に記載の縮合硬化型シリコーン組成物。
【0097】
態様6.前記粒状固体が、粒状蛍光体である、態様1または2に記載の縮合硬化型シリコーン組成物。
【0098】
態様7.前記粒状蛍光体が、ナノ粒状蛍光体である、態様6に記載の縮合硬化型シリコーン組成物。
【0099】
態様8.前記粒状蛍光体が、セリウムドープ蛍光体、アルミン酸塩蛍光体、ケイ酸塩蛍光体、ガーネット蛍光体、および窒化物蛍光体のうちの少なくとも1つを含む、態様6または7に記載の縮合硬化型シリコーン組成物。
【0100】
態様9.前記窒素含有超強塩基が、一般式:
【化9】
(式中、Xは、CH
2またはNRであり、この場合のRは、本明細書中で定義されており;および下付き文字nは、1から3の整数である)の環式脂肪族イミンである、態様1から8に記載の縮合硬化型シリコーン組成物。
【0101】
態様10.前記窒素含有超強塩基が、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU);1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD);1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN);および7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(MTBD)のうちの少なくとも1つである、態様1から9のいずれか1つに記載の縮合硬化型シリコーン組成物。
【0102】
態様11.前記含有超強塩基が、DBUおよびDBNの少なくとも一方である、態様10に記載の縮合硬化型シリコーン組成物。
【0103】
態様12.前記窒素含有超強塩基が、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン(TMG)である、態様1から8のいずれか1つに記載の縮合硬化型シリコーン組成物。
【0104】
態様13.縮合触媒をさらに含む、態様1から12のいずれか1つに記載の縮合硬化型シリコーン組成物。
【0105】
態様14.前記縮合触媒が、独立して窒素含有超強塩基である、態様13に記載の縮合硬化型シリコーン組成物。
【0106】
態様15.希釈剤をさらに含む、態様1から14いずれか1つに記載の縮合硬化型シリコーン組成物。
【0107】
態様16.前記縮合硬化型ポリオルガノシロキサンが、式[R
3SiO
1/2]のM構成単位を0から10モルパーセント、式[R
2SiO
2/2]のD構成単位を40から90モルパーセント、式[RSiO
3/2]のT構成単位を10から60モルパーセント、およびケイ素結合ヒドロキシ(SiOH)を0.5から35モルパーセント含むオルガノシロキサンブロックコポリマーを含み、ここで、M、DおよびT構成単位のモルパーセントの合計が100モルパーセントであり;各Rが、独立して、C
1からC
30ヒドロカルビルであり;D構成単位[R
2SiO
2/2]が、線状ブロック1つにつき平均50から300のD構成単位[R
2SiO
2/2]を有する線状ブロックに配列されており;T構成単位[RSiO
3/2]が、少なくとも500g/モルのブロック重量を有する非線状ブロックに配列されており;M構成単位[R
3SiO
1/2]が、T単位に連結されており;前記非線状ブロックの少なくとも30%が、互いに架橋しており;各線状ブロックが、少なくとも1つの非線状ブロックに−Si−O−Si−結合によって結合しており;および前記オルガノシロキサンブロックコポリマーが、少なくとも20,000g/モルの重量平均分子量を有する、態様1から15のいずれか1つに記載の縮合硬化型シリコーン組成物。
【0108】
態様17.態様1から16のいずれか1つに記載の縮合硬化型シリコーン組成物の縮合硬化の硬化生成物。
【0109】
態様18.硬化ポリオルガノシロキサンを調製するための方法であって、処理粒子上に配置された窒素含有超強塩基の量が、未処理粒子上の複数の酸性部位の実質的な数を中和するのに十分な量である、態様1から16のいずれか1つに記載の縮合硬化型シリコーン組成物を、縮合触媒の存在下で縮合硬化させて硬化ポリオルガノシロキサンを得る工程を含む方法。
【0110】
態様19.複数の酸性部位を有する粒状固体を処理するための方法であって、前記粒状固体を窒素含有超強塩基と接触させて、ある量の窒素含有超強塩基が表面に配置された処理粒子を得る工程を含み、前記窒素含有超強塩基の量が、前記粒状固体上に配置されており、および前記粒状固体上の複数の酸性部位の実質的な量を中和するのに十分な量である方法。
【0111】
態様20.ある量の窒素含有超強塩基が表面に配置された前記処理粒子を単離して、単離された処理粒子を得る工程をさらに含む、態様19に記載の方法。
【0112】
態様21.ある量の窒素含有超強塩基が表面に配置された前記単離された処理粒子を、配置された窒素含有超強塩基の、すべてでないが、一部分をそれらから除去するように加工して、加工された処理粒子を得る工程をさらに含む、態様20に記載の方法。
【0113】
態様22.前記加工が、配置された窒素含有超強塩基の、すべてでないが、一部分をそれらから除去して、加工された処理粒子を得ることを含み、その結果、ある量の窒素含有超強塩基が表面に配置された前記加工された処理粒子を含む縮合硬化型シリコーン組成物が硬化して1であるタンデルタ値に達するために必要な時間が、150℃で約30秒から約1時間になる、態様21に記載の方法。
【0114】
態様23.前記加工が、ある量の窒素含有超強塩基が表面に配置された前記単離された処理粒子を、配置された窒素含有超強塩基の、すべてでないが、一部分をそれらから除去するのに十分な温度で十分な時間加熱して、加工された処理粒子を得ることを含み、その結果、ある量の窒素含有超強塩基が表面に配置された前記加工された処理粒子を含む縮合硬化型シリコーン組成物が硬化して1であるタンデルタ値に達するために必要な時間が、150℃で約30秒から約1時間になる、態様21に記載の方法。
【0115】
態様24.ある量の窒素含有超強塩基が表面に配置された粒状フィラーを含む、処理フィラー粒子。
【0116】
態様25.前記窒素含有超強塩基が、一般式:
【化10】
(式中、Xは、CH
2またはNRであり、この場合のRは、本明細書中で定義されており;および下付き文字nは、1から3の整数である)の環式脂肪族イミンである、態様24に記載の処理フィラー粒子。
【0117】
態様26.前記窒素含有超強塩基が、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU);1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD);1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN);および7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(MTBD)のうちの少なくとも1つである、態様25に記載の処理フィラー粒子。
【0118】
態様27.前記粒状フィラーが、ナノ粒状フィラーであるか;または前記粒状フィラーが、TiO
2、SiO
2、ZnO、ZrO
2、およびAl
2O
3のうちの少なくとも1つを含むか;または前記粒状フィラーが、ナノ粒状フィラーであり、かつ前記ナノ粒状フィラーが、TiO
2、SiO
2、ZnO、ZrO
2、およびAl
2O
3のうちの少なくとも1つを含む、態様24から26のいずれか1つに記載の処理フィラー粒子。
【0119】
態様28.前記粒状フィラー上に配置された窒素含有超強塩基の量が、前記粒状フィラー上の複数の酸性部位の実質的な数を中和するのに十分な量であり、および前記粒状フィラー上の酸性部位の実質的な数が、配置された窒素含有超強塩基で中和され;前記粒状フィラー上に配置された窒素含有超強塩基の量が、前記処理フィラー粒子が、縮合硬化型ポリオルガノシロキサンと前記処理フィラー粒子とを含む縮合硬化型シリコーン組成物中にあるとき、前記縮合硬化型シリコーン組成物が硬化して150℃で1であるタンデルタ値に達するために必要な時間が、前記縮合硬化型ポリオルガノシロキサンと未処理フィラー粒子(すなわち、前記窒素含有超強塩基を含有しないフィラー粒子)とを含む比較対照縮合硬化型シリコーン組成物に必要な時間より少なくとも20秒短くなるために十分な量であることを特徴とする、態様24から27のいずれか1つに記載の処理フィラー粒子。
【0120】
態様29.単離された粉末の形態である、態様24から28のいずれか1つに記載の処理フィラー粒子。
【0121】
態様30.ある量の窒素含有超強塩基が表面に配置された粒状蛍光体を含む処理蛍光体粒子であって、前記粒状蛍光体上に配置された窒素含有超強塩基の量が、前記粒状蛍光体上の複数の酸性部位の実質的な数を中和するのに十分な量であり、および前記粒状蛍光体上の酸性部位の実質的な数が、配置された窒素含有超強塩基で中和され;前記粒状蛍光体上に配置された窒素含有超強塩基の量が、前記処理蛍光体粒子を、縮合硬化型ポリオルガノシロキサンと前記処理蛍光体粒子とを含む縮合硬化型シリコーン組成物で使用したときに、前記縮合硬化型シリコーン組成物が硬化して150℃で1であるタンデルタ値に達するために必要な時間が、前記縮合硬化型ポリオルガノシロキサンと未処理蛍光体粒子(すなわち、前記窒素含有超強塩基を含有しない蛍光体粒子)とを含む比較対照縮合硬化型シリコーン組成物に必要な時間より少なくとも20秒短くなるために十分な量であることを特徴とする、処理蛍光体粒子。
【0122】
態様31.前記縮合硬化型シリコーン組成物が硬化して150℃で1であるタンデルタ値に達するために必要な時間が、前記縮合硬化型ポリオルガノシロキサンと未処理粒子(すなわち、前記窒素含有超強塩基を含有しない蛍光体粒子)とを含む比較対照縮合硬化型シリコーン組成物に必要な時間より少なくとも50%短い、態様30に記載の処理蛍光体粒子。
【0123】
態様32.前記粒状蛍光体が、ナノ粒状蛍光体であるか;または前記粒状蛍光体が、セリウムドープ蛍光体、アルミン酸塩蛍光体、ケイ酸塩蛍光体、ガーネット蛍光体、および窒化物蛍光体のうちの少なくとも1つを含むか;または前記粒状蛍光体が、ナノ粒状蛍光体であり、かつ前記ナノ粒状蛍光体が、セリウムドープ蛍光体、アルミン酸塩蛍光体、ケイ酸塩蛍光体、ガーネット蛍光体、および窒化物蛍光体のうちの少なくとも1つを含む、態様30または31に記載の処理蛍光体粒子。
【0124】
態様33.前記窒素含有超強塩基が、一般式:
【化11】
(式中、Xは、CH
2またはNRであり、この場合のRは、本明細書中で定義されており;および下付き文字nは、1から3の整数である)の環式脂肪族イミンである、態様30から32のいずれか1つに記載の処理蛍光体粒子。
【0125】
態様34.前記窒素含有超強塩基が、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU);1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD);1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN);および7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(MTBD)のうちの少なくとも1つである、態様30から33のいずれか1つに記載の処理蛍光体粒子。
【0126】
態様35.ある量の窒素含有超強塩基が表面に配置された粒状蛍光体を含む処理蛍光体粒子であって、前記粒状蛍光体上に配置された窒素含有超強塩基の量が、前記粒状蛍光体上の複数の酸性部位の実質的な数を中和するのに十分な量であり、および前記粒状蛍光体上の酸性部位の実質的な数が、配置された窒素含有超強塩基で中和され;ならびに前記窒素含有超強塩基が、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU);1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD);1,1,3,3−テトラメチルグアニジン(TMG);1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN);および7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(MTBD)のうちの少なくとも1つである、処理蛍光体粒子。
【0127】
態様36.前記粒状蛍光体が、ナノ粒状蛍光体であるか;または前記粒状蛍光体が、セリウムドープ蛍光体、アルミン酸塩蛍光体、ケイ酸塩蛍光体、ガーネット蛍光体、および窒化物蛍光体のうちの少なくとも1つを含むか;または前記粒状蛍光体が、ナノ粒状蛍光体であり、かつ前記ナノ粒状蛍光体が、セリウムドープ蛍光体、アルミン酸塩蛍光体、ケイ酸塩蛍光体、ガーネット蛍光体、および窒化物蛍光体のうちの少なくとも1つを含む、態様35に記載の処理蛍光体粒子。
【0128】
態様37.前記窒素含有超強塩基が、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU);1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD);1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN);および7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(MTBD)のうちの少なくとも1つである、態様35または36に記載の処理蛍光体粒子。
【0129】
態様38.前記窒素含有超強塩基が、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)および1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN)の少なくとも一方である、態様24から37のいずれか1つに記載の処理蛍光体粒子。
【0130】
態様39.前記窒素含有超強塩基が、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD);および7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(MTBD)の少なくとも一方である、態様24から37のいずれか1つに記載の処理蛍光体粒子。
【0131】
態様40.単離された粉末の形態である、態様24から39のいずれか1つに記載の処理蛍光体粒子。
【0132】
態様41.前記超強塩基をすべてでないが多少それらから除去して、表面に配置された多少の超強塩基を含有する加工された処理蛍光体粒子を得るためにさらに加工された前記処理蛍光体粒子が、前記蛍光体粒子の表面に超強塩基のモノリシックコーティングまたはフィルムを含有しない、態様24から40のいずれか1つに記載の処理蛍光体粒子。
【0133】
態様42.窒素含有超強塩基を未処理蛍光体粒子に送達するための送達組成物であって、窒素含有超強塩基と有機溶媒とを含み、前記窒素含有超強塩基が、一般式:
【化12】
(式中、Xは、CH
2またはNRであり、この場合のRは、本明細書中で定義されており;および下付き文字nは、1から3の整数である)の環式脂肪族イミンである、送達組成物。
【0134】
態様43.前記窒素含有超強塩基が、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU);1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD);1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN);および7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(MTBD)のうちの少なくとも1つである、態様42に記載の送達組成物。
【0135】
態様44.前記未処理蛍光体粒子をさらに含む、態様42または43に記載の送達組成物。
【0136】
態様45.縮合硬化型ポリオルガノシロキサンと処理蛍光体粒子とを含む縮合硬化型シリコーン組成物を製造するための方法において処理蛍光体粒子を縮合硬化型ポリオルガノシロキサンに送達するための送達組成物であって、前記縮合硬化型シリコーン組成物が硬化して150℃で1であるタンデルタ値に達するために必要な時間が、前記縮合硬化型ポリオルガノシロキサンと未処理蛍光体粒子(すなわち、窒素含有超強塩基を含有しない蛍光体粒子)とを含む比較対照縮合硬化型シリコーン組成物に必要な時間より少なくとも20秒短く;態様24から41のいずれか1つに記載の処理蛍光体粒子と有機溶媒とを含むものである送達組成物。
【0137】
態様46.ポリオルガノシロキサンと処理蛍光体粒子とを含む縮合硬化型シリコーン組成物の硬化の硬化生成物を含む縮合硬化シリコーン組成物を製造するための方法において処理蛍光体粒子を縮合硬化ポリオルガノシロキサンに送達するための送達組成物であって、前記縮合硬化型シリコーン組成物が硬化して150℃で1であるタンデルタ値に達するために必要な時間が、前記縮合硬化型ポリオルガノシロキサンと未処理蛍光体粒子(すなわち、窒素含有超強塩基を含有しない蛍光体粒子)とを含む比較対照縮合硬化型シリコーン組成物に必要な時間より少なくとも20秒短く;態様24から41のいずれか1つに記載の処理蛍光体粒子と有機溶媒とを含むものである送達組成物。
【0138】
態様47.前記窒素含有超強塩基が、一般式:
【化13】
(式中、Xは、CH
2またはNRであり、この場合のRは、本明細書中で定義されており;および下付き文字nは、1から3の整数である)の環式脂肪族イミンである、態様45または46に記載の送達組成物。
【0139】
態様48.前記窒素含有超強塩基が、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU);1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD);1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN);および7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(MTBD)のうちの少なくとも1つである、態様47に記載の送達組成物。
【0140】
態様49.前記窒素含有超強塩基が、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU);および1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN)の少なくとも一方である、態様42から48のいずれか1つに記載の送達組成物。
【0141】
態様50.前記窒素含有超強塩基が、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD);および7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(MTBD)の少なくとも一方である、態様42から48のいずれか1つに記載の送達組成物。
【0142】
態様51.前記有機溶媒が、(C
6〜C
10)炭化水素、(C
1〜C
5)アルコール、またはそれらのいずれか2つ以上のものの組み合わせである、態様42から50のいずれか1つに記載の送達組成物。
【0143】
態様52.前記有機溶媒が、トルエンまたは1−メチルエタノールである、態様51に記載の送達組成物。
【0144】
態様53.態様24から37のいずれか1つに記載の処理蛍光体粒子を製造するための方法において窒素含有超強塩基を未処理蛍光体粒子に送達するための送達組成物の使用であって、前記送達組成物が、窒素含有超強塩基および有機溶媒を含み、前記窒素含有超強塩基が、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU);1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD);1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN);および7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(MTBD)のうちの少なくとも1つである使用。
【0145】
態様54.縮合硬化型ポリオルガノシロキサンと処理蛍光体粒子とを含む縮合硬化型シリコーン組成物を製造するための方法において処理蛍光体粒子を縮合硬化型ポリオルガノシロキサンに送達するための送達組成物の使用であって、前記縮合硬化型シリコーン組成物が硬化して150℃で1であるタンデルタ値に達するために必要な時間が、前記縮合硬化型ポリオルガノシロキサンと未処理蛍光体粒子(すなわち、窒素含有超強塩基を含有しない蛍光体粒子)とを含む比較対照縮合硬化型シリコーン組成物に必要な時間より少なくとも20秒短く;前記送達組成物が、態様24から37のいずれか1つに記載の処理蛍光体粒子と有機溶媒とを含むものである使用。
【0146】
態様55.ポリオルガノシロキサンと処理蛍光体粒子とを含む縮合硬化型シリコーン組成物の硬化の硬化生成物を含む縮合硬化シリコーン組成物を製造するための方法において処理蛍光体粒子を縮合硬化ポリオルガノシロキサンに送達するための送達組成物の使用であって、前記縮合硬化型シリコーン組成物が硬化して150℃で1であるタンデルタ値に達するために必要な時間が、前記縮合硬化型ポリオルガノシロキサンと未処理蛍光体粒子(すなわち、窒素含有超強塩基を含有しない蛍光体粒子)とを含む比較対照縮合硬化型シリコーン組成物に必要な時間より少なくとも20秒短く;前記送達組成物が、態様24から37のいずれか1つに記載の処理蛍光体粒子と有機溶媒とを含むものである使用。
【0147】
態様56.前記縮合硬化型シリコーン組成物が、態様1から16のいずれか1つに記載のものである、態様54または55に記載の使用。
【0148】
態様57.前記窒素含有超強塩基が、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU);1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD);1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN);および7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(MTBD)のうちの少なくとも1つである、態様54から56のいずれか1つに記載の使用。
【0149】
態様58.前記窒素含有超強塩基が、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU);および1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN)の少なくとも一方である、態様53から57のいずれか1つに記載の使用。
【0150】
態様59.前記窒素含有超強塩基が、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD);および7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(MTBD)の少なくとも一方である、態様53から57のいずれか1つに記載の使用。
【0151】
態様60.前記有機溶媒が、(C
6〜C
10)炭化水素、(C
1〜C
5)アルコール、またはそれらのいずれか2つ以上のものの組み合わせである、態様53から59のいずれか1つに記載の使用。
【0152】
態様61.前記有機溶媒が、トルエンまたは1−メチルエタノールである、態様60に記載の使用。
【0153】
態様62.硬化型ポリオルガノシロキサン粒子含有組成物を処理するための方法であって、縮合硬化型ポリオルガノシロキサンと未処理粒子とを含む組成物を、溶媒と、前記未処理粒子上の複数の酸性部位の実質的な数を中和するために十分な量の窒素含有超強塩基とを含む溶液で処理する工程を含み、前記窒素含有超強塩基を含む溶液が、前記縮合硬化型ポリオルガノシロキサンを実質的に溶解しないものである方法。
【0154】
態様63.前記硬化型ポリオルガノシロキサン粒子含有組成物が、コーティングまたはフィルムである、態様62に記載の方法。
【0155】
態様64.縮合触媒の存在下で前記硬化型ポリオルガノシロキサン粒子含有組成物を硬化させる工程をさらに含む、態様62または63に記載の方法。
【0156】
本明細書において用いる場合の用語「実質的に」は、少なくとも約90%、あるいは少なくとも95%、あるいは少なくとも96%、あるいは少なくとも97%、あるいは少なくとも98%、あるいは少なくとも99%、あるいは少なくとも99.5%、あるいは少なくとも99.9%、あるいは少なくとも99.99%、あるいは少なくとも少なくとも約99.999%以上の場合のような、大多数の、または大部分;および一部の実施形態では100%、あるいは多くても<100%を指す。
【0157】
本明細書において用いる場合の用語「実質的に〜ない」は、約10%未満、あるいは5%未満、あるいは4%未満、あるいは3%未満、あるいは2%未満、あるいは1%未満、あるいは0.5%未満、あるいは0.1%未満、あるいは0.01%未満、あるいは約0.001以下未満の場合のような、少数の;および一部の実施形態では0%、あるいは少なくとも>0%を指す。
【0158】
本明細書において用いる場合の用語「約」は、値または範囲の変動度、例えば、規定の値の、または範囲の規定の限度の、10%以内、あるいは5%以内、あるいは1%以内を可能ならしめることができる。
【0159】
範囲形式で表されている値は、その範囲の限度として明確に挙げられている数値のみを含むのではなく、その範囲内に含まれるすべての個々の数値または部分範囲も、あたかも各数値および部分範囲が明確に挙げられているかのごとく含むと、柔軟に解釈すべきである。例えば、「約0.1%から約5%」または約「0.1%から5%」の範囲は、約0.1%から約5%ばかりでなく、この指示範囲内の個々の値(例えば、1%、2%、3%および4%)および部分範囲(例えば、0.1%から0.5%、1.1%から2.2%)も含むと解釈すべきである。
【0160】
本明細書において記載し、特許請求する本発明の実施形態は、本明細書において開示する特定の実施形態によって範囲が限定されない。これらの実施形態は、本開示のいくつかの態様の例証として意図されたものであるからである。いずれの等価実施形態も本開示の範囲内であることが意図される。実際、本明細書において示し、記載するものに加えて、それらの実施形態の様々な変更形態が、上述の説明から当業者に明らかになるだろう。そのような変更実施形態の例は、いずれか2つの実施形態を組み合わせて第三の実施形態を形成すること;または特定の窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)と特定の蛍光体を組み合わせて、処理粒子の実施形態を形成すること;または特定の縮合触媒と、粒状固体を処理して処理粒子を調製するために使用される特定の窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)とを組み合わせて、縮合硬化型シリコーン組成物の実施形態を形成することを含む。そのような変更実施形態も添付の請求項の範囲に入ることが意図される。
【0161】
読み手が本技術的開示の性質を素早く確かめることを可能にするために要約書を提供する。本要約書を、それが本請求項の範囲または意味を解釈または限定するために用いられないという了解のもとで提出する。
【実施例】
【0162】
以下の実施例は、本発明の特定の実施形態を実証するために含めるものである。しかし、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、開示する特定の実施形態に多くの変更を加え、なお同様のまたは類似の結果を得ることができる。
(実施例1)(PhMeSiO
2/2)
0.52(PhSiO
3/2)
0.42(45重量%フェニル−T)の調製
【0163】
500mL 4つ口丸底フラスコにDow Corning 217 Flake(45.0g、0.329モルSi)およびトルエン(Fisher Scientific、70.38g)を入れた。そのフラスコに温度計と、テフロン撹拌パドルと、水冷凝縮器に取り付けられたディーン・スターク装置とを装着した。窒素ブランケットを適用し、ディーン・スターク装置にトルエンを予備充填し、加熱には油浴を使用した。反応混合物を30分間、還流させながら加熱した。反応混合物を108℃に冷却した後、ジアセトキシ末端PhMeシロキサンを迅速に添加した。このジアセトキシ末端PhMeシロキサンは、トルエン(29.62g)に溶解した140dp(重合度)シラノール末端PhMeシロキサン(55.0g、0.404モルSi)の溶液に50/50重量% MTA/ETA(メチルトリアセトキシシラン/エチルトリアセトキシシラン)(1.21g、0.00523モルSi)混合物を添加することによって調製した。その溶液を2時間、室温で、窒素雰囲気下で混合した。ジアセトキシ末端PhMeシロキサンを添加した後、反応混合物を2時間、還流させながら加熱した。この段階で、50/50重量% MTA/ETA(7.99g、0.0346モルSi)を108℃で添加した。反応混合物をさらに1時間、還流させながら加熱した。その反応混合物を90℃に冷却し、その後、脱イオン(DI)水(12mL)を添加した。温度を上昇させて還流させ、水を共沸蒸留によって除去した。その反応混合物を再び90℃に冷却し、その後、さらなるDI水(12mL)を添加した。その反応混合物をもう一度加熱して還流させ、水を除去した。その後、多少のトルエン(56.9g)を蒸留によって除去して、固形物含有量を増加させた。その材料を室温に冷却し、その後、5.0μmフィルターによって加圧濾過した。
(実施例2)
【0164】
1,8−ジアザビシクロウンデカ−7−エン(DBU)溶液(0.1重量%)を、99.9gトルエンに100mg DBUを溶解することによって調製した。Intematix RR6436蛍光体(RR6436−02A−12、1g;Intematix Corp.、カリフォルニア州フリーモント;Euドープ窒化物蛍光体)をガラスバイアルに投入した。その後、トルエン中の0.1重量% DBU溶液10gをそのバイアルに投入した。バイアルをキャップし、20時間、ロータリーミキサー上に置いた。その後、その得られた処理蛍光体を、濾紙を使用してその溶液から濾過して除去した。その湿潤蛍光体ケーキをオーブンに移し、150℃で4時間、乾燥させる。
(実施例3)
【0165】
Intematix O5446蛍光体(5g;Intematix Corp.、カリフォルニア州フリーモント;Euドープケイ酸塩蛍光体)をガラスバイアルに投入した。その後、トルエン中の0.5重量% DBU溶液10g溶液をそのバイアルに投入した。バイアルをキャップし、2時間、ロータリーミキサー上に置いた。その後、その得られた処理蛍光体を、濾紙を使用してその溶液から濾過して除去した。湿潤蛍光体ケーキをオーブンに移し、150℃で4時間、乾燥させた。
(実施例4)
【0166】
Intematix GAL535−L蛍光体(20g;Intematix Corp.、カリフォルニア州フリーモント;EuまたはCeドープアルミン酸塩蛍光体)をガラスバイアルに投入した。その後、トルエン中の1重量% DBU溶液20gをそのバイアルに投入した。バイアルをキャップし、2時間、ロータリーミキサー上に置いた。その後、その得られた処理蛍光体を、濾紙を使用してその溶液から濾過して除去した。湿潤蛍光体ケーキをオーブンに移し、150℃で16時間、乾燥させた。
(実施例5)
【0167】
TiO
2(5g;Sigma−Aldrich、ミズーリ州セントルイス)をガラスバイアルに投入した。その後、トルエン中の1重量% DBU溶液10gをそのバイアルに投入した。バイアルをしっかりとキャップし、2時間、ロータリーミキサー上に置いた。その後、得られた処理TiO
2粒子を、濾紙を使用してその溶液から濾過して除去した。湿潤TiO
2ケーキをオーブンに移し、150℃で16時間、乾燥させた。
比較例(CE)A(1):塩基ではなくトルエンでの処理
【0168】
Intematix RR6436−02A−12蛍光体(2g;Intematix Corp.、カリフォルニア州フリーモント)をガラスバイアルに投入した。その後、2gのトルエンをそのバイアルに投入した。バイアルをキャップし、2時間、ロータリーミキサー上に置いた。その後、濾紙を使用してその溶液から蛍光体を濾過して除去した。その湿潤蛍光体ケーキをオーブンに移し、150℃で16時間、乾燥させた。
(実施例6)レオロジー測定
【0169】
IT LF−1000蛍光体フィルムバインダー(Dow Corning、ミシガン州ミッドランド)を基礎原料として使用した。トルエン中の1000ppm溶液として調製した硬化触媒としてのDBU(実施例2の試料2に関して下に記載)をIT LF−1000に、乾燥樹脂に対して5ppmの負荷量で添加した。実施例1からの蛍光体を、触媒を伴うそのバインダーに、乾燥樹脂100部につき2部(2%)の負荷量で混ぜ入れた。DBUと実施例1からの処理蛍光体とを含有するバインダーを薄膜に調製し、70℃で半時間乾燥させて溶媒を除去した。また、DBUと実施例5からの蛍光体とを含有するバインダーフィルムも調製した。
比較例(CE)B(1):
【0170】
DBUを含有するが蛍光体を含有しないブランクバインダーフィルムも調製した。比較例(CE)C(1):最後に、DBUと未処理RR6436(すなわち、実施例5の場合のように、トルエン中のDBUで、またはトルエンだけで処理していないもの)とを含有するバインダーフィルムを2%負荷量で調製した。
【0171】
それらのフィルムを使用して、Aresレオメーター(TA instruments、米国)で70℃から20℃/分で150℃への上昇、その後、150℃で40分間の停留という温度プロファイルを用いて、硬化およびレオロジー特性を測定した。最小G’、最大tan δ、および温度が150℃に達した時点からフィルムが硬化してtan δ=1に達する時間を記録した。結果を表1に収載する。
【表1】
【0172】
表1からわかるように、未処理蛍光体PR6436(試料3、CE C(1))またはトルエン処理蛍光体PR6436(試料4、CE A(1))の5ppm DBU負荷樹脂への添加の結果、tan d=1への時間>1000分となり、これは、これらの比較対照試料が硬化しないことを意味する。蛍光体を伴わないブランク(試料1、CE B(1))は22.9分で硬化するので、表1のデルタは、試料3(CE C(1))および試料4(CE A(1))中の蛍光体粒子が硬化を抑制するようであることを示唆している。対照的に、試料2の本発明の処理蛍光体粒子(実施例2)は、硬化生成物をもたらす。
実施例7〜9ならびに比較例B(2)からB(4)およびC(2)からC(4):
【0173】
他の蛍光体および他の粒子、すなわち、O5446、GAL535、およびTiO
2を使用して、実施例6と同じ様式でのレオロジー試験用の樹脂薄膜を調製した。すべてが2%負荷量であった。触媒レベルは、5ppmであった。ブランク、未処理および処理のレオロジー特性を表2において比較した。
【表2】
【0174】
表1から決定したのと同じ結論を表2から導き出すことができる:蛍光体またはTiO
2の処理は、急速な硬化を可能にするのに対して、未処理粒子についてはより遅い硬化が見られる。
実施例10〜12ならびに比較例B(5)およびC(5)からC(7):
【0175】
蛍光体および他の粒子を使用して、レオロジー試験用の樹脂薄膜を調製した。すべてが、(一切の有機溶媒の重量をカウントせずに)シリコーンマトリックス形成性前駆体100部につき150部の粒子負荷量であった。触媒レベルは、20ppmであった。ブランク、未処理および処理のレオロジー特性を表3において比較した。
【表3】
【0176】
実施例13 水溶液での蛍光体の処理および比較例B(6)
【0177】
1,8−ジアザビシクロウンデカ−7−エン(DBU)溶液(0.5重量%)を、19.9g脱イオン水に100mg DBUを溶解することによって調製した。Intematix RR6436蛍光体(RR6436−02A−12;2g;Intematix Corp.、カリフォルニア州フリーモント)をガラスバイアルに投入した。その後、水中の0.5重量%DBU溶液10gをそのバイアルに投入した。バイアルをキャップし、4時間、ロータリーミキサー上に置いた。その後、濾紙を使用してその溶液から蛍光体を濾過して除去した。湿潤蛍光体ケーキをオーブンに移し、150℃で16時間、乾燥させる。処理蛍光体を使用して、5ppm DBUを伴う2%負荷量で樹脂フィルムを調製した。結果を表4に収載する。
【表4】
【0178】
実施例14aから14e:窒素含有超強塩基溶液での蛍光体含有ポリオルガノシロキサンフィルムの処理
【0179】
この実施例は、DBUの水溶液の使用、この溶液への固体フィルムの異なる時間量にわたる曝露、および異なるDBU濃度の使用により、トルエン溶液からの固体蛍光体含有フィルムキャストの硬化を引き起こす方法を記載するものである。
【0180】
次の配合成分を使用した:実施例1からのポリオルガノシロキサン、トルエン、DBU、水およびシリコン処理PET剥離フィルム、およびIntematixからのNYAG4454L。
【0181】
蛍光体をトルエン中のポリオルガノシロキサン溶液と75重量%固形分で混合した。かくして達成される蛍光体負荷量は、固形分(=蛍光体およびポリオルガノシロキサン)と比較して60重量%の蛍光体に相当する。遊星形ミキサーを使用して、このスラリーを混合した。混合後、ドクターブレード法を用いて三菱(Mitsubishi)からのシリコン処理PETフィルム上にそのスラリーを塗布した。その湿潤フィルムを30分間、70℃の強制空気炉に入れてトルエンを除去した。シリコン処理PET担体上のその得られた蛍光体フィルムを、異なる時間量にわたって異なる濃度のDBU/水溶液に導入した。曝露後、フィルムを豊富な量の脱イオン水ですすぎ、空気中で20分間乾燥させた。下の表は、濃度または曝露時間いずれかの増加が、どれ程の硬化速度の増加(または150℃でタンデルタ=1までの時間の短縮)をもたらすかを秒で示すものである。
【表5】
【0182】
実施例15aおよび15bならびに比較例B(7)およびC(8):トルエン中のジオクチルアミンから成る窒素含有塩基溶液での蛍光体含有ポリオルガノシロキサンフィルムの処理
【0183】
Intermatix NYAG4454−S蛍光体をトルエン中の1重量%ジオクチルアミン(DOA)で4時間処理し、その後、その混合物をオーブンの中で150℃で16時間乾燥させてDOA処理蛍光体を得た。
【0184】
異なる実験では、2gの処理蛍光体と4gの固体ポリオルガノシロキサンとをトルエン中の溶液中、75重量%固形分で、および5ppm DBUを添加して、またはせずに混合した。かくして達成される蛍光体負荷量は、6g固形分(=2g蛍光体および4gポリオルガノシロキサン)と比較して33重量%の蛍光体に相当する。遊星形ミキサーを使用して、このスラリーを混合した。混合後、ドクターブレード法を用いて三菱(Mitsubishi)からのシリコン処理PETフィルム上にそのスラリーを塗布した。その湿潤フィルムを強制空気炉の中で30分間、70℃で乾燥させてトルエンを除去した。150℃タンデルタ=1試験のために、その乾燥フィルムを折り畳み、1mm厚フィルムとしてプレスした。下の表中のデータは、蛍光体のDOA処理が、蛍光体の表面へのDBUの結合を妨げないことの例証となる。
【表6】
【0185】
表6中のデータに対する表5中のデータによって示されるように、DBUは、実施例14a〜14eにおいてDBUを縮合触媒として併用すると、後で実施例15a〜15bに関して示したようにDBUを縮合触媒として併用したときにジオクチルアミン(DOA)などの非環式アミンが蛍光体処理剤として動作する(表6)のより、有意に良好に蛍光体処理剤として動作する。すなわち、DBUを蛍光体処理剤と縮合触媒の両方として使用すると(実施例14a〜14e(表5))、DBUは、縮合硬化型シリコーン組成物についての150℃でタンデルタ=1までのそれぞれの時間によって測定して、硬化速度を増加させる。しかし、DOAを蛍光体処理剤として使用し、DBUを縮合触媒として使用すると、縮合硬化型シリコーン組成物は硬化しなかった。DBUでの結果に基づき、TBD、DABCO、TMG、DBNおよびMTBDは、蛍光体処理剤と縮合触媒の両方として使用したとき、縮合触媒としてのそれぞれTBD、DABCO、TMG、DBNおよびMTBDとともに蛍光体処理剤として使用したジオクチルアミン(DOA)などの非環式アミンより、同じ方法によって測定して硬化速度の点で有意に良好に動作することも予想される。理論により拘束されることを望まないが、DBUは、DOA処理蛍光体粒子からDOAを迅速に外して、インサイチューで生成されたDBU処理蛍光体粒子と(劣った)縮合触媒としてのDOAとをもたらすと考えられる。
【0186】
表中のデータは、粒状蛍光体などの粒状固体を処理するために使用したジオクチルアミンなどの弱いアミンが、縮合硬化型シリコーン組成物などの縮合硬化型組成物の硬化の硬化速度に対して測定可能なプラス効果を及ぼさないことを示す。言い換えると、超強塩基を含有する上述の処理粒子を超強塩基縮合触媒と併用するのとは対照的に、弱いアミンを含有する処理粒子を縮合硬化型シリコーン組成物などの縮合硬化型組成物において超強塩基縮合触媒と併用すると、縮合触媒である超強塩基が処理粒子からインサイチューで弱いアミンを外し、その硬化速度は改善されない。したがって、一部の実施形態では、追加の窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)を添加して縮合硬化型シリコーン組成物を得、処理粒子および縮合触媒の窒素含有超強塩基は、各々独立して、縮合硬化型シリコーン組成物などの縮合硬化型組成物中の上述の超強塩基であり、したがって、前記縮合硬化組成物は、向上された硬化速度を有する。
(実施例16)(予測例、prophetic)
【0187】
1,8−ジアザビシクロウンデカ−7−エン(DBU)溶液(0.1重量%)を、99.9g 1−メチルエタノールに100mg DBUを溶解することによって調製する。Intematix RR6436蛍光体(RR6436−02A−12、1g;Intematix Corp.、カリフォルニア州フリーモント;Euドープ窒化物蛍光体)をガラスバイアルに投入する。その後、1−メチルエタノール中の0.1重量% DBU溶液10gをそのバイアルに投入する。バイアルをキャップし、20時間、ロータリーミキサー上に置く。その後、その得られた処理蛍光体を、濾紙を使用してその溶液から濾過して除去する。湿潤蛍光体ケーキをオーブンに移し、150℃で4時間、乾燥させる。
(実施例17)(prophetic)
【0188】
Intematix O5446蛍光体(5g;Intematix Corp.、カリフォルニア州フリーモント;Euドープケイ酸塩蛍光体)をガラスバイアルに投入する。その後、1−メチルエタノール中の0.5重量% DBU溶液10gをそのバイアルに投入する。バイアルをキャップし、2時間、ロータリーミキサー上に置く。その後、その得られた処理蛍光体を、濾紙を使用してその溶液から濾過して除去する。湿潤蛍光体ケーキをオーブンに移し、150℃で4時間、乾燥させる。
(実施例18)(prophetic)
【0189】
Intematix GAL535−L蛍光体(20g;Intematix Corp.、カリフォルニア州フリーモント;EuまたはCeドープアルミン酸塩蛍光体)をガラスバイアルに投入する。その後、1−メチルエタノール中の1重量% DBU溶液20gをそのバイアルに投入する。バイアルをキャップし、2時間、ロータリーミキサー上に置く。その後、その得られた処理蛍光体を、濾紙を使用してその溶液から濾過して除去する。湿潤蛍光体ケーキをオーブンに移し、150℃で16時間、乾燥させる。
(実施例19)(prophetic)
【0190】
TiO
2(5g;Sigma−Aldrich、ミズーリ州セントルイス)をガラスバイアルに投入する。その後、1−メチルエタノール中の1重量% DBU溶液10gをそのバイアルに投入する。バイアルをしっかりとキャップし、2時間、ロータリーミキサー上に置く。その後、その得られた処理TiO
2粒子を、濾紙を使用してその溶液から濾過して除去する。湿潤TiO
2ケーキをオーブンに移し、150℃で16時間、乾燥させる。
(実施例20)(prophetic)
【0191】
1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN)溶液(0.1重量%)を、99.9g 1−メチルエタノールに100mg DBNを溶解することによって調製する。Intematix RR6436蛍光体(RR6436−02A−12、1g;Intematix Corp.、カリフォルニア州フリーモント;Euドープ窒化物蛍光体)をガラスバイアルに投入する。その後、1−メチルエタノール中の0.1重量%DBN溶液10gをそのバイアルに投入する。バイアルをキャップし、20時間、ロータリーミキサー上に置く。その後、その得られた処理蛍光体を、濾紙を使用してその溶液から濾過して除去する。湿潤蛍光体ケーキをオーブンに移し、150℃で4時間、乾燥させる。
(実施例21)(prophetic)
【0192】
Intematix O5446蛍光体(5g;Intematix Corp.、カリフォルニア州フリーモント;Euドープケイ酸塩蛍光体)をガラスバイアルに投入する。その後、1−メチルエタノール中の0.5重量% DBU溶液10gをそのバイアルに投入する。バイアルをキャップし、2時間、ロータリーミキサー上に置く。その後、その得られた処理蛍光体を、濾紙を使用してその溶液から濾過して除去する。湿潤蛍光体ケーキをオーブンに移し、150℃で4時間、乾燥させる。
(実施例22)(prophetic)
【0193】
Intematix GAL535−L蛍光体(20g;Intematix Corp.、カリフォルニア州フリーモント;EuまたはCeドープアルミン酸塩蛍光体)をガラスバイアルに投入する。その後、トルエン中の1重量%1,1,3,3−テトラメチルグアニジン(TMG)溶液20gをそのバイアルに投入する。バイアルをキャップし、2時間、ロータリーミキサー上に置く。その後、その得られた処理蛍光体を、濾紙を使用してその溶液から濾過して除去する。湿潤蛍光体ケーキをオーブンに移し、150℃で16時間、乾燥させる。
(実施例23)(prophetic)
【0194】
SiO
2(5g;Sigma−Aldrich、ミズーリ州セントルイス)をガラスバイアルに投入する。その後、トルエン中の1重量%DBU溶液10gをそのバイアルに投入する。バイアルをしっかりとキャップし、2時間、ロータリーミキサー上に置く。その後、得られた処理SiO
2粒子を、濾紙を使用してその溶液から濾過して除去する。湿潤SiO
2ケーキをオーブンに移し、150℃で16時間、乾燥させる。
実施例24aおよび24bならびに比較例B(8)およびC(9):DBUのイソプロパノール溶液で蛍光体を処理、蛍光体なし、または未処理蛍光体
【0195】
実施例24a:100mg量のDBUを19.9gイソプロパノール(IPA)に溶解して、1,8−ジアザビシクロウンデカ−7−エン(DBU)(0.5重量%)の溶液を得た。Intematix YAG蛍光体(NYAG4454S、15g;Intematix Corp.、カリフォルニア州フリーモント)をガラスバイアルに投入した。その後、IPA中の0.5重量% DBU溶液15gをそのバイアルに投入した。バイアルをキャップし、4時間、ロータリーミキサー上に置いた。その後、その得られた処理蛍光体を、濾紙を使用してその溶液から濾過して除去した。処理蛍光体の湿潤ケーキをオーブンに移し、150℃で16時間、乾燥させて、0.50重量% DBUを含有する実施例24aのDBU処理蛍光体を得た。実施例24b:その処理蛍光体を使用して、10%負荷量および追加の5ppm DBU縮合触媒で樹脂を調製した。比較例B(8):蛍光体およびDBUを欠く(含有しない)フィルムを調製した。比較例C(9):未処理NYAG4454S蛍光体を含有するフィルムを調製した。実施例24b(処理蛍光体)ならびに比較例B(8)(蛍光体なし)およびC(9)(未処理蛍光体)についてのレオロジー結果を下の表7に収載する。
【表7】
【0196】
実施例25a1から25a11および25b1から25b11ならびに比較例B(9)およびC(10)からC(12):
【0197】
実施例25a1から25a11:3つの蛍光体(GAL535、NYAG4156およびR6832、すべてIntematixからのもの)を使用して、レオロジー試験用の樹脂薄膜を調製した。DBUでの蛍光体処理は、上の実施例24aの処理に類似しているが、それぞれ、乾燥温度を120℃から225℃に変え、乾燥時間を4時間から120時間に変えて、実施例25a1から25a11のDBU処理蛍光体を得た。実施例25b1から25b11:実施例25a1から25a11の処理蛍光体を使用して、追加の5ppm DBU縮合触媒を用いて、それぞれ、実施例25b1から25b11の樹脂フィルムを調製した。R6832についての処理蛍光体負荷量は5重量%であり、GAL535およびNYAG4156についての処理蛍光体負荷量は、各々50重量%であった。比較例B(9):蛍光体およびDBUを欠く(含有しない)フィルムを調製した。比較例C(10)からC(12):未処理蛍光体を含有するフィルムを調製した。実施例24b(処理蛍光体)ならびに比較例B(9)(蛍光体なし)およびC(10)からC(12)(未処理蛍光体)についてのレオロジー結果を下の表8に収載する。
【表8】
【0198】
表8中のデータからわかるように、異なる条件下で乾燥させたDBU処理蛍光体を含有する実施例25b1から25b11は、処理蛍光体の表面のDBU濃度が異なる結果となった。より高い乾燥温度およびより長い乾燥時間は、より低い乾燥温度および/またはより短い乾燥時間で追い出すより多くのDBUを処理蛍光体の表面から追い出した。DBUを追い出し過ぎると、縮合硬化型シリコーン組成物のフィルムに使用したとき、そのフィルムは、より遅い硬化速度を有する処理蛍光体をもたらすことがある。結局、DBUの沸点および/または蒸気圧を基準にして乾燥温度が高すぎるおよび/または乾燥時間が長すぎると、処理蛍光体が過乾燥されたその処理蛍光体の表面からDBUの大半が脱離することになる。過乾燥された処理蛍光体を用いて調製した縮合硬化型シリコーン組成物のフィルムは、向上された硬化速度を呈示しないことがある。この向上された硬化速度の欠如は、過乾燥された処理蛍光体が、フィルムに使用された5ppmの添加DBU縮合触媒を吸着し過ぎるような過剰な自由酸性部位を有する過乾燥された処理蛍光体に起因し得る。過乾燥された処理蛍光体を使用するフィルムに向上された硬化速度を回復させるために、追加のppmのDBU縮合触媒を縮合硬化型シリコーン組成物に添加してもよく、それらから調製されるフィルムは、向上された硬化速度を有することになる。前に説明したように、処理蛍光体表面がほぼ中性であるか、中性である(酸性部位がなく、過剰なDBUを含有しない)、最適処理条件がある。本発明者らは、そのような最適に処理された蛍光体はもちろん、最適に満たない処理が施された蛍光体も企図している。最適に満たない処理が施された蛍光体を含有する縮合硬化型シリコーン組成物のフィルムが、なお、硬化速度の多少の向上を呈示することもある。
【0199】
用いた用語および表現は、説明用語として用いており、限定用語として用いておらず、そのような用語および表現の使用には、示されているおよび記載されている特徴のいずれの等価物も除外する意図がなく、様々な変更形態が本発明の実施形態の範囲内で可能であると認識される。したがって、本発明を特定の実施形態および任意選択の特徴によって具体的に開示したが、本明細書において開示する概念の変更形態および変形形態が通常の当業者によって用いられることがあること、およびそのような変更形態および変形形態が本発明の実施形態の範囲内であるとみなされることを理解されたい。
【0200】
下記請求項は、参照によりここに援用されており、用語「請求項(単数)および「請求項(複数)」は、用語「態様(単数)または「態様(複数)」によってそれぞれ置き換えられる。本発明の実施形態は、これらの結果として生ずる番号付き態様も包含する。
【課題】縮合硬化型ポリオルガノシロキサンと、ある量の窒素含有塩基(例えば、窒素含有超強塩基)が表面に配置された粒状固体を含む処理粒子とを含む、縮合硬化型シリコーン組成物を得ること。
【解決手段】縮合硬化型ポリオルガノシロキサンと、ある量の窒素含有超強塩基が表面に配置された粒状固体を含む処理粒子とを含む、縮合硬化型シリコーン組成物であって、前記した粒状固体上に配置された窒素含有超強塩基の量が、前記した粒状固体上の複数の酸性部位の実質的な数を中和するのに十分な量であり、および前記した粒状固体上の酸性部位の実質的な数が、配置された窒素含有塩基で中和される、縮合硬化型シリコーン組成物により、上記した課題を解決する。