(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、移動型X線診断装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下では、本願に係る移動型X線診断装置として、X線管とX線可動絞りとを支持する支持機構に支柱が用いられる移動型X線診断装置を例に挙げて説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
まず、
図1を用いて、第1の実施形態に係る移動型X線診断装置の全体構成の一例を説明する。
図1は、第1の実施形態に係る移動型X線診断装置1の全体構成の一例を示す図である。
図1においては、
図1の(A)がX線管の収納時の状態を示し、
図1の(B)がX線画像の撮影時の状態を示す。
図1の(A)に示すように、移動型X線診断装置1は、支柱2と、アーム3と、X線管4と、X線可動絞り5と、前輪6と、後輪7と、ハンドル8と、装置本体9とを備える。
【0010】
支柱2は、
図1の(A)に示すように、移動型X線診断装置1の前側(前輪6側)に配置され、アーム3の一端が連結されることで、アーム3を支持する。アーム3は、一端が支柱2と連結され、他端にX線管4とX線可動絞り5とが配置される。ここで、アーム3は、支柱2によって上下に自在にスライドするように連結される。例えば、支柱2にレールが設置され、アーム3は一端がレールと連結されてレール上を移動することにより、上下にスライドする。また、アーム3は、支柱2の長軸に直交する方向に伸縮する。
【0011】
X線管4は、装置本体9に含まれる高電圧発生部(不図示)と接続され、高電圧発生部から供給される高電圧を用いて、X線を発生する。X線可動絞り5は、X線管4によって発生されたX線の照射野を調節する機構を有する。具体的には、X線可動絞り5は、2対の可動制限羽根を有し、各対における可動制限羽根が開閉することでX線の照射野を調整する。すなわち、X線可動絞り5は、X線管4によって円錐状に発せられたX線が所定の照射野に照射されるように可動制限羽根が開閉される。
【0012】
前輪6は、旋回自在の車輪であり、例えば、一対のキャスターなどである。後輪7は、図示しないモータなどが連結された駆動輪であり、操作者による操作に応じて駆動する。一例を挙げると、後輪7は、ハンドル8付近に配置された駆動ボタンが押下されることによりモータが駆動し、モータによる動力により駆動する。ハンドル8は、操作者が移動型X線診断装置1を移動させる際に操作するハンドルである。例えば、操作者は、ハンドル8を握った状態で駆動ボタンを押下することで、移動型X線診断装置1を前進させたり、後進させたりすることができる。或いは、ハンドル8が圧力センサを備え、操作者によって操作される方向(例えば、ハンドルを押している場合に前進、ハンドルを引いている場合に後進など)を検知して、モータを所望の方向に駆動させることも可能である。なお、移動型X線診断装置1は、上記した駆動ボタンの押下が止められたり、或いは、圧力センサによる検知が無くなったりすると、ブレーキがかかるように制御される。
【0013】
装置本体9は、移動型X線診断装置1の各部を制御する制御部、各種データを記憶する記憶部、外部から供給される電力を蓄電するバッテリ、種々の操作を受け付ける操作部、及び、種々の情報を表示する表示部などを有する。そして、装置本体9は、移動型X線診断装置1の移動に関する各種処理及びX線画像の撮影に関する各種処理の制御を実行する。例えば、装置本体9は、装置本体9の上面に配置された操作部から転送された操作者の指示に従って高電圧発生部を制御し、X線管4に供給する電圧を調整することで、患者に対して照射されるX線量やON/OFFを制御する。また、例えば、装置本体9は、操作者の指示に従ってX線可動絞り5を制御し、X線可動絞り5が有する可動制限羽根の開度を調整することで、患者に対して照射されるX線の照射野を制御する。
【0014】
また、装置本体9は、操作者の指示に従って、画像データ生成処理や、画像処理、あるいは解析処理などを制御する。また、装置本体9は、操作者の指示を受け付けるためのGUIや記憶部が記憶する画像などを、表示部のディスプレイに表示するように制御する。以下、移動型X線診断装置1を用いたX線画像の撮影の流れの一例を説明する。例えば、移動型X線診断装置1は、待機時には病院の各フロアの廊下などに置かれ、バッテリの蓄電容量に応じて充電される。そして、使用時には、移動型X線診断装置1は、専用の鍵などによりロックが解除され、操作者がハンドル8を操作するとともに、駆動ボタン(或いは、圧力センサなど)により後輪7を駆動させることで病室などに移動される。
【0015】
そして、病室に移動すると、操作者は、
図1の(B)に示すように、長手方向を軸に支柱2を回転させて、X線管4及びX線可動絞り5を装置本体9の前方に向ける。そして、操作者は、アーム3を伸ばし、患者の撮影部位にX線が照射される位置にX線管4を配置する。ここで、操作者は、X線可動絞り5に備えられたスイッチやつまみなどを用いて、撮影部位が照射野に入るように調節する。なお、画像記録媒体としては、FPD(Flat Panel Detector)や、カセッテなどが患者の撮像部位とベッドとの間にセットされる。
【0016】
上述したように、移動型X線診断装置1は、使用時に患者のいる病室に移動され、撮影部位に対してX線管4の位置及び照射野が調整されるが、第1の実施形態に係る移動型X線診断装置1は、それら撮影にかかる操作性を向上するように構成される。具体的には、第1の実施形態に係る移動型X線診断装置1は、X線可動絞り5の操作性を向上させることで、撮影にかかる操作性を向上させる。
【0017】
以下、撮影にかかる操作性の向上に関する構成の説明に先立ち、従来技術において撮影にかかる操作性が低下する場合について説明する。
図2Aは、従来技術に係るX線管4及びX線可動絞り5の一例を示す図である。なお、
図2Aは、X線管4及びX線可動絞り5を支柱2とは逆の方向から見た場合の図を示す。
図2Aに示すように、従来技術に係るX線可動絞り5においては、可動制限羽根の開度を調節するためのつまみや、照光スイッチ等が設けられる。すなわち、操作者は、可動制限羽根によって調整されたX線の照射野を照光する照光ランプを点灯させた状態で2つのつまみを回転させることで、視覚的にX線の照射野を確認しながら、X線管4の位置や可動制限羽根の開度を調節することができる。
【0018】
例えば、操作者は、
図2Aに示す絞りハンドル10を握りながらX線管4の位置や向きを調整する。さらに、操作者は、X線可動絞り5に設けられたつまみにより可動制限羽根の開度を調節する。ここで、従来技術に係る絞りハンドル10は、
図2Aに示すように、X線可動絞り5の前面(つまみやスイッチなどが配置された面)側の側面にそれぞれ配置される。したがって、X線可動絞り5の前面に対して正対して操作する場合には、ハンドル10を握りながらのX線管4の調整や、X線可動絞り5の前面に設けられたつまみによる可動制限羽根の開度の調整などを行い易く、操作性がよい。しかしながら、X線可動絞り5の前面と同一方向を向いて操作する場合には、ハンドル10までの距離が遠かったり、つまみを視認しながら操作できなかったりする場合があり、操作性が低下する。
【0019】
図2Bは、従来技術に係るX線可動絞り5の操作の状態の一例を示す図である。上述したように、移動型X線診断装置は、病室などに移動して用いられるため、X線画像を撮影するための充分なスペースがあるとは限らず、
図2Bに示すような狭いスペースで操作することが求められる場合がある。例えば、
図2Bに示すように、患者が寝ているベッドと病室の壁などが近く(或いは、患者に繋がれた各種機器などが配置されており)、ベッドに対して移動型X線診断装置を配置した側とは反対側に充分なスペースがないため、X線可動絞り5の前面に対して正対して操作することが困難である場合などがある。
【0020】
かかる場合には、
図2Bに示すように、X線可動絞り5の背面(つまみやスイッチなどが配置された面に対向する面)側から操作することとなる。その結果、操作者(特に、身長の低い女性など)は、遠い位置にある絞りハンドル10を操作したり、つまみ、スイッチなどを視認することなく操作したりすることとなり、操作性が低下する。また、絞りハンドル10が遠い位置にあるため、収納時などにおいて手前側にあるケーブルなどを掴んで操作してしまう場合などがある。
【0021】
このような課題に対して、X線可動絞り5の前面及び背面から容易に握ることができるハンドルをX線管4に配置した従来技術が知られている。しかしながら、かかる従来技術では、ハンドルを握りながらX線可動絞り5の調整を行うことが難しく、操作性が低下する。
図3は、従来技術に係る課題の一例を説明するための図である。上述したように、移動型X線診断装置は、狭い病室内で使用されることも多く、病室内での装置の置き場が限られる場合も多々発生する。例えば、
図3に示すように、患者が寝ているベッドの脇に、移動型X線診断装置を図示のように置かざるを得ず、さらに、撮影部位を撮影するために、X線可動絞り5を回転させて
図3に示すように配置する場合、ハンドルがX線管4に配置されていると、X線可動絞り5の回転操作などの操作性が低下してしまう。
【0022】
その他、X線可動絞り5にリング状のハンドルを配置する従来技術などが知られているが、かかる従来技術においても、リング状のハンドルがX線可動絞り5の周囲を囲むように大きくなってしまい、収納時の妨げになったり、操作者に対して使用時に圧迫感を感じさせたりする場合がある。また、リング状のハンドルがX線可動絞り5の周囲を囲んでいると、X線可動絞り5の側面に配置されたつまみや、スイッチなどの視認性が低下して、その結果、操作性が低下することとなる。
【0023】
このように、従来技術においては、撮影にかかる操作性が低下する場合がある。そこで、本願に係る移動型X線診断装置1は、X線可動絞り5の操作性を向上させることで、撮影にかかる操作性を向上させる。以下、
図4A〜
図4Eを用いて、第1の実施形態に係るX線可動絞り5の構成を説明する。
図4A〜
図4Eは、第1の実施形態に係るX線可動絞り5の構成の一例を示す図である。ここで、
図4Aは、第1の実施形態に係るX線可動絞り5の斜視図である。また、
図4Bは、
図4Aのつまみ51が示された面を正面とした場合のX線可動絞り5の側面図である。また、
図4Cは、
図4Aのつまみ51が示された面を正面とした場合のX線可動絞り5の正面図である。また、
図4Dは、
図4Aのつまみ51が示された面を正面とした場合のX線可動絞り5の背面図である。また、
図4Eは、
図4Aのつまみ51が示された面を正面とした場合のX線可動絞り5の底面図である。
【0024】
第1の実施形態に係るX線可動絞り5は、撮影にかかる操作性が向上されるように絞りハンドルが配置される。具体的には、第1の実施形態に係る絞りハンドルは、X線可動絞り5における当該X線可動絞り5の回転軸に対して少なくとも3箇所に、X線可動絞り5を操作するための把持部分が位置するようにX線可動絞り5と接続される。より具体的には、絞りハンドルは、X線可動絞り5においてX線の照射野を調節する機構を調整する調整部(例えば、つまみ51など)が配置された調整部側と、X線可動絞り5において調整部側の反対側とにX線可動絞り5を操作する把持部分が位置するようにX線可動絞り5と接続される。例えば、
図4Aに示すように、絞りハンドル20は、つまみ51を含む調整部側の面及び反対側の面に直交する2面それぞれにおいて、調整部側から反対側まで把持部分が位置するようにX線可動絞り5と接続される。
【0025】
すなわち、絞りハンドル20は、
図4Bに示すように、X線可動絞り5の側面において、つまみ51が配置された正面側から反対側にかけて操作者によって把持されて操作される把持部分が配置される。ここで、絞りハンドル20は、
図4Bに示す側面に対向する側面においても、
図4Bと同様に、正面側から反対側にかけて操作者によって操作される把持部分が配置される。これにより、第1の実施形態にかかる移動型X線診断装置1は、X線可動絞り5に対して、正面側、背面側、左右の側面側からのいずれからも絞りハンドル20を容易に把持することができ、撮影時のX線管4の位置決めの操作性を向上させることができる。
【0026】
ここで、第1の実施形態に係る移動型X線診断装置1においては、絞りハンドル20の把持部分のいずれの場所においても、X線管4の位置決め操作を可能にするためのロック解除が行なえるように構成される。通常、移動型X線診断装置においては、絞りハンドルを把持して、X線管の位置決めを行う場合には、ロック解除ボタンを押下することで、支柱に沿った上下スライドや、アームの伸縮の調整などにかかったロックを解除する。すなわち、移動型X線診断装置においては、上述した操作が無意識のうちに行われてしまわないように、各操作にロックがかかっている。
【0027】
そこで、例えば、第1の実施形態に係る移動型X線診断装置1は、
図4Cに示すように、絞りハンドル20の把持部分に沿って、X線管4の位置決め操作を可能にするためのロック解除部53を備える。ここで、ロック解除部53は、絞りハンドル20の内側に沿って配置され、操作者によって操作されることにより、上述した種々の操作(例えば、支柱に沿った上下スライドや、アームの伸縮の調整など)にかかったロックを解除する。一例を挙げると、操作者が絞りハンドル20を把持する場合に、ロック解除部53も同時に把持することで、ロックが解除するように制御される。これにより、操作者は、絞りハンドル20のいずれの場所を把持する場合であってもロックを解除することが可能である。なお、X線可動絞り5の回転を固定するロックを解除するためのスイッチは、例えば、スイッチ群52などに配置されているが、ロック解除部53にX線可動絞り5の回転を固定するロックを解除するためロック解除機能を備えさせる場合であってもよい。
【0028】
また、第1の実施形態に係る移動型X線診断装置1においては、操作者がX線可動絞り5の背面側にいる場合であっても、つまみなどを視認しながら操作することができるように構成される。すなわち、X線可動絞り5は、
図4Dに示すように、背面側につまみ54などを含む調整部やスイッチ群55がさらに配置される。これにより、操作者はより正確にX線可動絞り5を操作することができ、操作性をさらに向上させることを可能にする。
【0029】
上述したように、第1の実施形態に係る移動型X線診断装置1においては、種々の構成により、X線可動絞り5の操作性を向上させることで、X線画像の撮影にかかる操作性を向上させることを可能にする。すなわち、移動型X線診断装置1は、
図4Eに示すように、左右の側面において正面側から背面側まで把持部分が配置された絞りハンドル20と、絞りハンドル20に沿って配置されたロック解除部53と、正面側及び背面側それぞれに配置されたつまみ51及びつまみ54とにより、撮影にかかる操作性を向上させることを可能にする。なお、つまみ54を含む背面側の調整部が配置されない場合であってもよい。かかる場合には、操作者は絞りハンドル20を回転操作して、自身がいる方につまみ51を含む調整部を向けることで対応可能である。
【0030】
ここで、
図4A〜
図4Eに示す絞りハンドル20の例は、あくまでも一例であり、その他、種々の形状をとることができる。以下、
図5A〜
図5C及び
図6A〜
図6Cを用いて第1の実施形態に係る変形例を説明する。
図5A〜
図5Cは、第1の実施形態に係る絞りハンドル20の第1の変形例を示す図である。ここで、
図5Aは、第1の変形例に係るX線可動絞り5の斜視図である。また、
図5Bは、
図5Aのつまみ51が示された面を正面とした場合のX線可動絞り5の側面図である。また、
図5Cは、
図5Aのつまみ51が示された面を正面とした場合のX線可動絞り5の正面図である。
【0031】
例えば、第1の変形例に係る絞りハンドル20aは、
図5Aに示すように、つまみ51などを含む調整部側の面及び反対側の面それぞれが把持部分によって囲まれるように形成される。すなわち、第1の変形例にかかる絞りハンドル20aは、
図5Bに示すように、側面において正面側と背面側とで把持部分が繋がっておらず、
図5Cに示すように、正面側で把持部分が繋がっている。そして、ロック解除部53が、絞りハンドル20aに沿って配置される。なお、図示していないが、背面側でも
図5Cと同様に、絞りハンドル20aの把持部分が繋がっている。
【0032】
次に、
図6A〜
図6Cを用いて、第2の変形例を説明する。
図6A〜
図6Cは、第1の実施形態に係る絞りハンドルの第2の変形例を示す図である。ここで、
図6Aは、第2の変形例に係るX線可動絞り5の斜視図である。また、
図6Bは、
図6Aのつまみ51が示された面を正面とした場合のX線可動絞り5の側面図である。また、
図6Cは、
図6Aのつまみ51が示された面を正面とした場合のX線可動絞り5の正面図である。
【0033】
例えば、第2の変形例に係る絞りハンドル20bは、
図6Aに示すように、X線可動絞り5が把持部分によって囲まれるように形成される。すなわち、第2の変形例にかかる絞りハンドル20bは、
図6Bに示すように、側面において正面側と背面側とで把持部分が繋がっており、かつ、
図6Cに示すように、正面側で把持部分が繋がっている。なお、図示していないが、もう一方の側面においても
図6Bと同様に絞りハンドル20bの把持部分が繋がっている。そして、ロック解除部53が、絞りハンドル20aに沿って配置される。なお、図示していないが、背面側でも
図6Cと同様に、絞りハンドル20bの把持部分が繋がっている。
【0034】
上述したように、第1の実施形態に係る移動型X線診断装置1は、絞りハンドルとして種々の形状を有することが可能である。従って、第1の実施形態に係る移動型X線診断装置1は、種々の状況に応じて最適な絞りハンドルを提供することができる。
図7は、第1の実施形態に係る移動式X線診断装置1の利用例を示す図である。なお、
図7においては、
図4Aに示す絞りハンドル20を備えた移動式X線診断相装置1を利用する場合を一例に挙げて説明する。
【0035】
例えば、第1の実施形態に係る移動式X線診断装置1においては、利用時の状況として、
図7に示すように、患者が寝ているベッドと病室の壁などが近く(或いは、患者に繋がれた各種機器などが配置されており)、ベッドに対して移動型X線診断装置1を配置した側とは反対側に充分なスペースがないため、X線可動絞り5の前面に対して正対して操作することが困難である場合などであっても、操作性を向上させることができる。すなわち、移動式X線診断装置1においては、
図7に示すように、操作者に対して近い位置に絞りハンドル20を備え、つまみや、スイッチなどを視認させることができる。従って、移動式X線診断装置1は、操作者に対して無理な体勢でX線可動絞り5を操作させたり、つまみ、スイッチなどを視認することなく操作させたりすることがなくなり、操作性を向上させることを可能にする。また、移動式X線診断装置1においては、操作者に対して近い位置に絞りハンドル20を備えることにより、収納時などにおいて手前側にあるケーブルなどを掴んで操作してしまうことを抑止することができる。
【0036】
上述したように、第1の実施形態によれば、X線管4が、X線を発生させる。X線可動絞り5が、X線管4によって発生されたX線の照射野を調節する機構を有する。絞りハンドル20が、X線可動絞り5における当該X線可動絞り5の回転軸に対して少なくとも3箇所に、X線可動絞り5を操作するための把持部分が位置するようにX線可動絞り5と接続される。従って、第1の実施形態に係る移動型X線診断装置1は、X線可動絞り5に連結された絞りハンドルをいずれの位置からも同様に把持することができ、X線可動絞り5の操作性を向上させて撮影にかかる操作性を向上させることを可能にする。
【0037】
また、第1の実施形態によれば、絞りハンドル20は、機構を調整する調整部(例えば、つまみ51など)が配置された調整部側の面及びX線可動絞り5において調整部側の反対側の面に直交する2面それぞれにおいて、調整部側から反対側まで把持部分が位置するようにX線可動絞り5と接続される。従って、第1の実施形態に係る移動型X線診断装置1は、つまみなどの調整部の視認性を低下させることなく、撮影にかかる操作性を向上させることを可能にする。
【0038】
また、第1の実施形態によれば、絞りハンドル20aは、機構を調整する調整部が配置された調整部側の面及びX線可動絞り5において調整部側の反対側の面それぞれが把持部分によって囲まれるようにX線可動絞り5と接続される。また、第1の実施形態によれば、絞りハンドル20bは、X線可動絞り5が把持部分によって囲まれるように形成される。従って、第1の実施形態に係る移動型X線診断装置1は、X線可動絞り5の操作性を向上させる絞りハンドルとして、種々のバリエーションの絞りハンドルを備えることを可能にする。
【0039】
また、第1の実施形態によれば、ロック解除部53は、絞りハンドル20(20a及び20b)の把持部分に沿って配置され、X線管4の位置決め操作を可能にする。従って、第1の実施形態に係る移動型X線診断装置1は、把持する部分を気にすることなく、絞りハンドル20(20a及び20b)で操作することができ、撮影にかかる操作性をさらに向上させることを可能にする。
【0040】
また、第1の実施形態によれば、X線可動絞り5は、背面側につまみ54などを含む調整部がさらに配置される。従って、第1の実施形態に係る移動型X線診断装置1は、より正確にX線可動絞り5を操作させることができ、操作性をさらに向上させることを可能にする。
【0041】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、X線可動絞り5の近辺のいずれの位置からもX線可動絞り5を容易に操作することができる絞りハンドルについて説明した。第2の実施形態では、撮影が終了したのち、支柱2側の少し離れた位置からX線管4及びX線可動絞り5を操作する場合の絞りハンドルについて説明する。
【0042】
以下、
図8A〜
図8Eを用いて、第2の実施形態に係るX線可動絞り5の構成を説明する。
図8A〜
図8Eは、第2の実施形態に係るX線可動絞り5の構成の一例を示す図である。ここで、
図8Aは、第2の実施形態に係るX線可動絞り5の斜視図である。また、
図8Bは、
図8Aのつまみ51が示された面を正面とした場合のX線可動絞り5の側面図である。また、
図8Cは、
図8Aのつまみ51が示された面を正面とした場合のX線可動絞り5の正面図である。また、
図8Dは、
図8Aのつまみ51が示された面を正面とした場合のX線可動絞り5の背面図である。また、
図8Eは、
図8Aのつまみ51が示された面を正面とした場合のX線可動絞り5の底面図である。
【0043】
第2の実施形態に係るX線可動絞り5は、支柱2側の少し離れた位置からX線管4及びX線可動絞り5を操作することが可能となるような絞りハンドルが配置される。具体的には、第2の実施形態に係る絞りハンドル20cは、つまみ51などを含む調整部側の面及び反対側の面に直交する2面それぞれにおいて、調整部側から反対側の面を所定の距離を超えた位置まで把持部分が配置され、かつ、反対側において当該所定の距離を超えた位置間に把持部分が配置されるようにX線可動絞り5と接続される。
【0044】
すなわち、絞りハンドル20cは、
図8Aに示すように、X線可動絞り5の側面と連結し、背面側に把持部分が伸びる。そして、絞りハンドル20cは、
図8Bに示すように、背面から所定の距離離れた位置で、背面と平行方向に曲がる。絞りハンドル20cは、
図8Cに示すように、反対側の側面においても同様に把持部分が背面側に伸びる。そして、絞りハンドル20cは、
図8Dに示すように、把持部分がX線可動絞り5の背面側で繋がるように形成される。
【0045】
すなわち、絞りハンドル20cは、
図8Eに示すように、X線可動絞り5の両側面でX線可動絞り5と連結され、背面で繋がるように形成される。なお、ロック解除部53は、
図8Eに示すように、絞りハンドル20cの内側に設置される。また、第2の実施形態に係るX線可動絞り5では、背面側につまみ54などの調整部が配置されない。すなわち、仮に背面側に調整部が配置されたとしても、絞りハンドル20cの背面側の把持部分が視認性を低下させてしまう場合があるためである。
【0046】
図8A〜
図8Eに示すX線可動絞りはあくまでも一例であり、実施形態はこれに限定されるものではない。すなわち。支柱2側の少し離れた位置からX線管4及びX線可動絞り5を操作する場合の絞りハンドルについては、その他種々の形態を有することが可能である。
図9A〜
図9Cは、第2の実施形態に係るX線可動絞りの変形例を示す図である。ここで、
図9Aは、つまみ51が示された面を正面とした場合の変形例に係るX線可動絞り5の側面図である。また、
図9Bは、つまみ51が示された面を正面とした場合の変形例に係るX線可動絞り5の背面図である。また、
図9Cは、つまみ51が示された面を正面とした場合の変形例に係るX線可動絞り5の底面図である。
【0047】
変形例に係るX線可動絞り5は、つまみ51などを含む調整部側の面及び反対側の面に直交する2面それぞれにおいて、調整部側に把持部分が配置され、かつ、反対側において当該所定の距離を超えた位置間に把持部分が配置されるようにX線可動絞り5と接続される。例えば、絞りハンドル20dは、
図9Aに示すように、X線可動絞り5の側面において、つまみ51を有する調整部側の面に把持部分が配置される。また、絞りハンドル20dは、
図9Aに示すように、背面側から突出するように把持部分が配置される。
【0048】
すなわち、絞りハンドル20dは、
図9B及び
図9Cに示すように、X線可動絞り5の両側面でX線可動絞り5と連結された把持部分と、背面でX線可動絞り5と連結された把持部分とを有する。ここで、ロック解除部53は、
図9B及び
図9Cに示すように、絞りハンドル20dが有する把持部分それぞれの内側に設置される。
【0049】
上述したように、第2の実施形態によれば、絞りハンドル20cは、つまみ51を含む調整部側の面及び反対側の面に直交する2面それぞれにおいて、調整部側から反対側の面を所定の距離を超えた位置まで把持部分が配置され、かつ、反対側において当該所定の距離を超えた位置間に把持部分が配置されるように形成される。従って、第2の実施形態に係る移動型X線診断装置1は、離れた位置からも容易に絞りハンドルを操作することを可能にする。
【0050】
例えば、狭い病室などで移動型X線診断装置を使用している際に、X線画像を撮影した後の収納にかかる操作において、X線可動絞り5から離れた位置にいる場合であっても、X線管4及びX線可動絞り5を素早く収納することが可能である。従来の移動型X線診断装置では、絞りハンドルに手が届かないために、X線管4に高電圧を供給するためのケーブルを引くことによりX線管4及びX線可動絞り5を収納する場合があった。第2の実施形態に係る移動型X線診断装置1では、このような誤った操作を行なうことを抑止して、より安全に操作させることを可能にする。
【0051】
(第3の実施形態)
さて、これまで第1及び第2の実施形態について説明したが、上述した第1及び第2の実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0052】
上述した第1及び第2の実施形態では、ロック解除部53が絞りハンドルの把持部分に沿って配置される場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、絞りハンドルの把持部分に複数のロック解除ボタンが配置される場合であってもよい。
【0053】
すなわち、第3の実施形態にかかる移動型X線診断装置1では、絞りハンドルの把持部分の任意の位置に、X線管4の位置決め操作を可能にするためのロック解除ボタンを配置することができる。
図10A〜
図10Cは、第3の実施形態に係るロック解除ボタンの配置の一例を示す図である。ここで、
図10Aは、つまみ51を備える面を正面とした場合の正面図である。また、
図10Bは、つまみ51を備える面を正面とした場合の背面図である。また、
図10Cは、つまみ51を備える面を正面とした場合の側面図である。
【0054】
例えば、第3の実施形態に係るロック解除ボタンにおいては、
図10Aに示すように、絞りハンドルの正面側にロック解除ボタン53aが備えられ、
図10Bに示すように、絞りハンドルの背面側にロック解除ボタン53bが備えられ、
図10Cに示すように、絞りハンドルの側面側にロック解除ボタン53cが備えられる場合であってもよい。なお、かかる場合には、
図10Cの反対側の側面においてもロック解除ボタン53cは配置されることとなる。これにより、操作者が絞りハンドル20のいずれの場所を把持した場合であっても、どれかのロック解除ボタンでロック解除操作を行なうことができ、操作性を向上させることを可能にする。
【0055】
また、上述した第1及び第2の実施形態では、支柱2を有する移動型X線診断装置1を一例に挙げて説明したが、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、支柱を有さない移動型X線診断装置に本願の絞りハンドルや、ロック解除部などを適用する場合であってもよい。
【0056】
また、上述した第1及び第2の実施形態では、X線可動絞り5につまみ51などの調整部が配置される場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではなく、X線可動絞り5には例えばモニタなどが備えられる場合であってもよい。
【0057】
また、上述した第1及び第2の実施形態において、説明した構成はあくまでも一例であり、本願にかかる移動型X線診断装置1は、種々の構成を有することができる。例えば、
図1に示す装置本体9や、X線管4、X線可動絞り5などの形状は、任意の形状であってよい。また、装置本体9に備えられるものとして説明した構成は、任意に配置を変えることができる。例えば、装置本体9に備えられるものとした高電圧発生部は、X線管4を含むボックス内に配置する場合であってもよい。
【0058】
また、上述した第2の実施形態においては説明した絞りハンドルはあくまでも一例であり、任意の形状に変化させることができる。例えば、
図6A〜
図6Cに示す絞りハンドル20bに背面方向に伸びる把持部分を追加する場合であってもよい。
【0059】
以上説明したとおり、第1、第2及び第3の実施形態によれば、本実施形態の移動型X線診断装置は、撮影にかかる操作性を向上させることを可能にする。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。