(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
相手端子が挿入されることにより、相手端子と電気的に導通する接続端子の一種として、相手端子が挿入される端子挿入部の中にバネ接触部を設けたものがある。バネ接触部は、その一端が自由端とされて相手端子の挿入方向に沿って設けられており、相手端子が端子挿入部の中に挿入されることでバネ接触部が弾性変形し、その弾性力でバネ接触部が相手端子に接触して導通するようになっている(特許文献1〜4参照)。
【0003】
図12及び
図13は、この種の接続端子の従来例を示す。
図12及び
図13に示すように、接続端子200は、板状の相手端子201が内部に挿入される筒部202と、この筒部202より延設され、筒部202内に配置されたバネ接触部203と、電線Wに接続される電線接続部204とを有する。これらは導電性の板材を所定形状に成形して折り曲げ加工することにより形成されている。なお電線接続部204は加締部204a、204bを有する。当該接続端子200が、コネクタ210の端子収容室211に収容された状態で、当該接続端子200の筒部202内に相手端子201が挿入される。
【0004】
筒部202の天板部202aには、筒部202の内側に突出する突部205が設けられ、 筒部202の底板部202bには、底板部202bより筒部202の内側の方向に切り起こして形成され、相手端子201の挿入を許容する方向(端子挿入方向の直交方向)へのバネ接触部203の変位を規制する位置規制部206が設けられている。突部205は、相手端子201の挿入方向へ沿って延設され、相手端子201の上面と接触する。バネ接触部203には、突部205に向かって突出し、相手端子201の下面と接触するインデント207と、バネ接触部203の自由端(後端)の左右両側からそれぞれ垂下される一対の補助バネ部208とが設けられている。各補助バネ部208は、下端が筒部202の底板部202bに当接可能である。
【0005】
筒部202内に相手端子201を挿入すると、先ずバネ接触部203が撓んで補助バネ部208の下端が筒部202の底板部202bに当接した後、バネ接触部203及び補助バネ部208の両方が弾性変形する。そのためバネ接触部203と相手端子201間の接触荷重を大きくすることができる。従って、バネ接触部203に補助バネ部208のバネ力が付加されるため、バネ接触部203自体のバネ圧が低下する構造であっても、相手端子201との接触圧自体を低下させることはない。これにより、接続端子200の小型化及び板厚の薄肉化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1〜
図6は本発明の第1実施形態を示す。
【0019】
図1は、本発明の第1実施形態に係る接続端子の斜視図である。
図2は、本発明の第1実施形態に係る接続端子の断面図である。
図3は、本発明の第1実施形態に係る接続端子の一部破断斜視図である。
図4(a)、
図4(b)は、本発明の第1実施形態に係る接続端子を示し、
図4(a)は斜め前方から見た接続端子の一部破断斜視図、
図4(b)は斜め後方から見た接続端子の一部破断斜視図である。
図5は、本発明の第1実施形態に係る、接続端子を形成する導電性板材の平面図(接続端子の展開図)である。
図6は、本発明の第1実施形態に係る接続端子の断面図であり、相手端子との接続状態を説明する図である。
【0020】
本実施形態の接続端子1は、板状の相手端子2が内部に挿入される筒部3と、この筒部3の底板部3cより延設され、筒部3内に配置されたバネ接触部4と、図示しない電線に接続される電線加締部5とを有している。バネ接触部4は、筒部3の前端側から筒部3の内部に向かう方向に折り曲げられることで筒部3内に配置されている。
図5に示す導電性の板材1Aを所定形状に成形して折り曲げ加工することにより、接続端子1は形成されている。
【0021】
筒部3は、天板部3a、左右一対の側板部3b、及び底板部3cにより、中空の四角筒状に形成されている。左右一対の側板部3bには、補助バネ部6がそれぞれ延設されている。つまり、一対の補助バネ部6は、筒部3のバネ接触部4と離隔する部分である各側板部3bを切り欠く等により折り曲げ可能に形成されている。一対の補助バネ部6は、筒部3の後端側より筒部3の内部に向かってほぼ180度折り曲げられている。各補助バネ部6は折り曲げられた係止部61を有し、係止部61は、後述するアーム部42の下方に配置されている。バネ接触部4の弾性変形時に、バネ接触部4のアーム部42が各補助バネ部6の係止部61に当接し、各補助バネ部6はバネ接触部4の弾性変形に追従して弾性変形する。
【0022】
天板部3aは、上下に2枚重なった状態で設けられている。下側の天板部3aには、相手端子2の上面2aと接触する一対の突部31が形成されている。
【0023】
バネ接触部4は、底板部3cの前端側より内側に切り起こされて片持ち梁状に形成されている。バネ接触部4は、後端側に向かって折り返され、筒部3の天板部3aに向かって傾斜している。バネ接触部4には、相手端子2の下面2bと接触するインデント41(接触箇所)と、インデント41の近傍より左右両側へそれぞれ突設されて、側板部3bの開口32に挿入される左右一対のアーム部42とが設けられている。バネ接触部4の弾性変形時に、アーム部42は、側板部3bの開口32内にて所定距離だけ移動可能であり、アーム部42が開口32の縁部で停止することによって、相手端子2の挿入を許容する方向(端子挿入方向の直交方向)へのバネ接触部4の変位が規制される。
【0024】
電線加締部5は、電線(図示略)の導体を圧着する導体加締片51と、電線の被覆部に加締め付けることで電線を固定する被覆加締片52とを備える。
【0025】
上記構成において、相手端子2を筒部3内に挿入すると、バネ接触部4のインデント41が相手端子2と接触して押圧される。すると、バネ接触部4が弾性変形すると共に、筒部3より延設された補助バネ部6がバネ接触部4の弾性変形に追従して弾性変形することによって相手端子2の挿入を許容し、バネ接触部4及び補助バネ部6の弾性復帰力を接触荷重としてバネ接触部4と相手端子2が電気的に接続される。
【0026】
以上説明したように、接続端子1は、筒部3内にバネ接触部4を有すると共に、筒部3より延設され、バネ接触部4の弾性変形に追従して弾性変形する補助バネ部6を有する。従って、バネ接触部4と補助バネ部6の双方の弾性復帰力を接触荷重とするため、接続端子1の小型化等を図っても相手端子2との間の接触荷重を大きくできる。そして、補助バネ部6は、バネ接触部4ではなく筒部3より延設して設けられているため、バネ接触部4に延設箇所がなく、接続端子1の加工性・製造性が向上する。しかも、バネ接触部4と補助バネ部6は、互いの弾性変形が相互に影響し合わないため、一方のバネ性能の低下が他方のバネ性能の低下につながらず、信頼性・耐久性が高い。以上より、接続端子1を小型化しても、又、接続端子1を形成する導電性板材の板厚を薄くして軽量化を図っても、相手端子2との間の接触荷重を大きくできる。そのため、バネ接触部4と相手端子2と間で良好な導通状態を確保できる。また、加工性・製造性が良く、しかも、信頼性・耐久性が高い接続端子1とすることができる。
【0027】
補助バネ部6は、バネ接触部4
の幅方向の両側で左右対称の位置に一対となって設けられている。従って、バネ接触部4の弾性変形時に、左右対称に配置された一対の補助バネ部6によりバネ接触部4を幅方向の両側で支えることができるので、幅広の相手端子2が挿入された場合であっても、バネ接触部4と相手端子2の接触面において、相手端子2の幅方向で均一の接触荷重を得ることができる。すなわち、バネ接触部4と相手端子2間にて安定した状態で接触荷重を得ることができ、バネ接触部4と相手端子2と間で良好な導通状態を確保でき、信頼性・耐久性が高い接続端子1とすることができる。
【0028】
筒部3の側板部3bを一部切り欠いて補助バネ部6を形成しているので、補助バネ部6のバネ長さ寸法の設定が容易である。また、従来のように補助バネ部をバネ接触部の自由端より形成したものと比べて、加工性や製造性が良い。
【0029】
各補助バネ部6がバネ接触部4の弾性変形方向と平行な側板部3bから延設されると共に、途中で曲げられているので、各補助バネ部6はバネ接触部4からの荷重に対して強く、バネ接触部4と相手端子2間でより大きな接触荷重が得ることができる。
【0030】
第1実施形態では、筒部3の長さを比較的短く設定した場合を例示したが、本発明は、接続端子を形成する導電性板材の板厚を薄くした場合も同様の効果が得られる。
【0031】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
【0032】
図7〜
図10は、本発明の第2実施形態を示す。
図7は、本発明の第2実施形態に係る接続端子及びそれに接続される相手端子の斜視図である。
図8は、本発明の第2実施形態に係る接続端子を示し、斜め後方から見た接続端子の一部破断斜視図(接続端子の幅方向中央を断面視した斜視図)である。
図9は、本発明の第2実施形態に係る接続端子の断面図である。
図10は、本発明の第2実施形態に係る接続端子の断面図であり、相手端子との接続状態を説明する図である。
【0033】
図7に示すように、本実施形態に係る接続端子101は、中空の角筒状に形成された筒部112と、この筒部112の後端から延出した電線加締部113とを備えている。この接続端子101は、銅などの導電性を有する金属板をプレス加工することで成形される。
【0034】
筒部112には、その先端側から相手端子115のタブ片116が挿入される。これにより、接続端子101に相手端子115が接続され、これらの接続端子101と相手端子115とが導通される。
【0035】
電線加締部113は、電線(図示略)の導体を圧着する導体加締片113aと、電線の被覆部に加締め付けることで電線を固定する被覆加締片113bとを備える。
【0036】
図8及び
図9に示すように、接続端子101の筒部112は、底部を構成する底板部132と、この底板部132の幅方向の両側縁部から垂直に立ち上がる一対の側板部133と、これらの側板部133における底板部132と反対側の縁部同士にわたって設けられた天板部134とを有し、筒部112は正面視矩形状に形成されている。天板部134は、一方の側板部133の上縁部から他方の側板部133側へ延在されている。この筒部112は、その内部が収容空間135とされており、電線加締部113と反対側の前端側が、相手端子115のタブ片116が挿抜される挿入口136とされている。挿入口136を通じて、収容空間135に相手端子115を挿入可能とされている。
【0037】
筒部112の収容空間135において、上方側に、接点部140が設けられている。この接点部140は、他方の側板部133の上縁部から一方の側板部133へ天板部134に重なるように延在されている。この接点部140には、収容空間135の内側へ向かって突設する二つの接点141,142が、タブ片116の挿入方向に沿って間隔をあけて配列されている。
【0038】
筒部112には、収容空間135内における底板部132の近傍に、バネ接触部145が設けられている。このバネ接触部145は、筒部112の前端側で底板部132と連結されており、タブ片116の挿入方向に沿って挿入方向へ延在されている。このバネ接触部145は、接続端子101を折り曲げ加工する際に、底板部132の前端側に延びる金属片を折り曲げることで形成されている。このバネ接触部145は、その自由端145aが、筒部112の内側へ向かって延ばされており、バネ接触部145は収容空間135に配置されている。バネ接触部145の自由端145aの近傍部分には、筒部112の内側へ突出する接点146が設けられている。バネ接触部145の接点146の両側部には、筒部112の内側から、筒部112の両側側面で外側の方向へ突出するアーム部147が形成されている。
【0039】
筒部112を構成する一対の側板部133にはそれぞれ、補助バネ部151が形成されている。これにより、一対の側板部133において、接続端子101のバネ接触部145の両側に対応する位置に、一対の補助バネ部151が設けられた構造とされている。これらの補助バネ部151は、タブ片116の挿入方向前方側、すなわち筒部112の後端側に基端151aを有しており、補助バネ部151は基端151aを介して側板部133に連結されている。補助バネ部151は、その自由端151bが、筒部112の内側へ向かいつつ挿入口136へ向かって延在されている。
【0040】
補助バネ部151は、その自由端151bが下方へ屈曲されて折り返されており、この折り返された部分に凹状の係止部151cが形成されている。この自由端151bに形成された係止部151cには、バネ接触部145のアーム部147が挿入されて係止されており、補助バネ部151が、バネ接触部145を支える構造となっている。この補助バネ部151は、打ち抜き加工によって側板部133に一体に形成されたもので、補助バネ部151の周囲には隙間が形成されている。この隙間の存在により、側板部133の位置する略平面内で補助バネ部151が弾性変形できるようになっている。
【0041】
次に、上記構造の接続端子101に相手端子115を接続する場合について説明する。
【0042】
接続端子101の筒部112の挿入口136から、相手端子115のタブ片116が近接されて収容空間135内へ挿入されると、タブ片116の先端部は、接点部140の接点141及びバネ接触部145の接点146に接触する。
【0043】
さらにタブ片116が収容空間135内に挿し込まれると、
図10に示すように、タブ片116によってバネ接触部145が下方(
図8に示す矢印Aの方向)へ押し下げられて弾性変形して撓む。また、バネ接触部145のアーム部147が補助バネ部151の係止部151cに係止されているため、バネ接触部145が下方へ押し下げられると、補助バネ部151が下方(
図8に示す矢印Bの方向)へ押し下げられ、弾性変形して撓む。また、この状態でタブ片116は、接点部140の接点142にも接触した状態となる。すなわち、タブ片116は、接点部140の接点141,142、及びバネ接触部145の接点146と接触した接続状態となる。
【0044】
この接続状態において、弾性変形されているバネ接触部145の接点146は、バネ接触部145の弾性力によってタブ片116に押し付けられる。また、バネ接触部145には、弾性変形されている両側の補助バネ部151の弾性力が付勢される。これにより、バネ接触部145の接点146は、バネ接触部145自体の弾性力とともに、バネ接触部145の両側で、バネ接触部145を支える位置に配置されている補助バネ部151の弾性力による、タブ片116へ押し付けられることとなる。
【0045】
このように、上記実施形態に係る接続端子101では、収容空間135へ挿入された相手端子115のタブ片116側へ向かう弾性力を付勢する補助バネ部151を、一対の側板部133のそれぞれに対して、バネ接触部145の両側でバネ接触部145を支える位置に設けている。そのため、バネ接触部145は、それ自体の弾性力とともに、補助バネ部151の弾性力によって相手端子115のタブ片116へ押し付けられることとなる。しかも、筒部112、特に筒部112のうち、一対の側板部133のそれぞれに対して、バネ接触部145の両側でバネ接触部145を支える位置に補助バネ部151を設けているので、バネ接触部145の両側に対して、バランス良く補助バネ部151の弾性力を付勢することができる。これにより、バネ接触部145が安定的かつ大きな荷重で相手端子115のタブ片116へ接触されることとなり、接続端子101と相手端子115とが高い信頼性で導通接続される。
【0046】
したがって、小型化を図るために長さを短くしたり、板厚を薄くしたりしたとしても、バネ接触部145の弾性力が一対の補助バネ部151で十分に補われるので、相手端子115のタブ片116との接続時におけるバネ接触部145の撓み量、接触荷重及び弾性限界値などが小型化前と同等に維持され、バネ接触部145と相手端子115の間での接触力を十分に確保することができる。よって、バネ接触部145と相手端子115の間での良好な導通状態を確保しつつ、接続端子101の小型化を図ることができる。
【0047】
しかも、筒部112の互いに対向する一対の側板部133に補助バネ部151を一体に形成したので、コストアップを招くことなく相手端子115のタブ片116へのバネ接触部145の接触力を高めることができる。
【0048】
また、補助バネ部151の自由端151b側の係止部151cにバネ接触部145のアーム部147を係止させる構成とすることで、容易に補助バネ部151の弾性力をバネ接触部145に付勢することができる。
【0049】
ここで、参考例と本実施形態とを比較し、本発明の更なる優位性を説明する。
【0050】
図11は、参考例に係る接続端子の断面図である。
図11に示すように、参考例に係る接続端子111では、補助バネ部151が設けられていない。この接続端子111では、収容空間135へタブ片116が挿入されると、接点部140の接点141,142及びバネ接触部145の接点146が接触した接続状態となる。
【0051】
この接続状態において、弾性変形されているバネ接触部145の接点146は、弾性力によってタブ片116に押し付けられ、接続端子111と相手端子115とが導通される。
【0052】
ところで、補助バネ部151が設けられていない参考例に係る接続端子111では、小型化のためにバネ接触部145の長さを短くしたり、板厚を薄くしたりすると、バネ接触部145の弾性力が弱くなり、相手端子115のタブ片116との安定した接触荷重が得られなくなるおそれがある。すると、相手端子115との接触不良が生じて良好な導通状態が得られなくなる。
【0053】
また、バネ接触部145の弾性力を補うために、接続端子111において、相手端子115のタブ片116の挿入方向である長さ方向に沿って、補助バネをバネ接触部145に設けることが考えられる。しかし、補助バネを長さ方向に沿って設けた構造では、接続端子111の長さを短くして小型化を図ることが困難である。また、板厚を薄くして接続端子111の小型化を図ると、バネ接触部145及び補助バネの両方の弾性力が弱まることから、補助バネの弾性力でバネ接触部145の弾性力を十分に補えなくなる。
【0054】
これに対して、本実施形態に係る接続端子101では、バネ接触部145の両側でバネ接触部145を支えるよう、筒部112に補助バネ部151を設けたので、バネ接触部145の弾性力を弱めることなく全体の長さを短くして小型化することができ、さらに、補助バネ部151を小型化することができる。しかも、板厚を薄くして小型化を図ることでバネ接触部145及び補助バネ部151の弾性力が弱まったとしても、バネ接触部145に対して、一対の補助バネ部151の弾性力が付勢することが可能であり、バネ接触部145の弾性力を十分に補うことができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの実施形態は本発明の理解を容易にするために記載された単なる例示に過ぎず、本発明は当該実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。本発明の技術的範囲は、上記実施形態で開示した具体的な技術事項に限らず、そこから容易に導きうる様々な変形、変更、代替技術なども含むものである。
【0056】
本出願は、2013年5月16日に出願された日本国特許願第2013−104268号に基づく優先権、及び2013年11月7日に出願された日本国特許願第2013−231121号に基づく優先権を主張しており、この2つの出願の全内容が参照により本明細書に組み込まれる。