(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5956072
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】ミストサウナ装置
(51)【国際特許分類】
A61H 33/10 20060101AFI20160707BHJP
【FI】
A61H33/10 A
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-524609(P2015-524609)
(86)(22)【出願日】2013年6月28日
(65)【公表番号】特表2015-523174(P2015-523174A)
(43)【公表日】2015年8月13日
(86)【国際出願番号】CN2013078257
(87)【国際公開番号】WO2014019434
(87)【国際公開日】20140206
【審査請求日】2015年1月28日
(31)【優先権主張番号】201210270407.7
(32)【優先日】2012年7月30日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】508123423
【氏名又は名称】広東松下環境系統有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】翁 叶帆
(72)【発明者】
【氏名】藤井 聡
【審査官】
山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−339817(JP,A)
【文献】
特開平11−197553(JP,A)
【文献】
特開平11−023019(JP,A)
【文献】
特開平11−300135(JP,A)
【文献】
特開2011−019790(JP,A)
【文献】
特開2011−092484(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第101112344(CN,A)
【文献】
韓国登録特許第10−0755003(KR,B1)
【文献】
特開2011−200611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風装置と、前記送風装置により送り出された空気を加熱する加熱装置と、前記加熱装置の下流側に設けられ空気を加湿する加湿装置と、を備え、
前記加湿装置は、水を貯水する貯水部と、前記貯水部の上部に配置されて前記貯水部に貯水された水を吸い上げて噴霧する加湿部と、前記加湿部と連結される回転軸を有するモータとを備え、
前記加湿部は、第一の筒と、第二の筒と、前記第一の筒の下部開口と前記第二の筒の上部開口とを連結する連結筒とを有する回転体であり、前記第一の筒の直径は前記第二の筒より大きく、前記連結筒は、前記第一の筒と前記第二の筒とを連通するように傾斜面を有し、
前記加湿部は、前記モータの前記回転軸と連結する軸固定部を有し、前記回転体の中心に配置された中空軸と、前記回転体の内側に設けられ、前記第一の筒、前記第二の筒、および前記連結筒と、前記中空軸とを連結し、前記中空軸の軸方向に沿って延在しかつ前記中空軸の回転方向に複数設けられたリブとを備え、
前記第二の筒の底部には、前記貯水部の水を吸い上げる複数の吸い上げ穴が設けられ、前記第一の筒の周囲には、吸い上げられた水を外側へ噴霧する複数の噴霧穴が設けられ、
前記加湿部において、前記第一の筒と、前記第二の筒と、前記連結筒と、前記中空軸と、前記複数のリブとが一体成形されていることを特徴とするミストサウナ装置。
【請求項2】
前記第二の筒の前記底部は円盤形状を有し、前記複数の吸い上げ穴は、前記中空軸の周囲に環状に配置され、隣接する吸い上げ穴の間を区切るように前記リブが上方に向かって延在していることを特徴とする請求項1に記載のミストサウナ装置。
【請求項3】
前記リブの高さが前記第一の筒と前記連結筒と前記第二の筒とを有する前記加湿部の高さの半分以下であることを特徴とする請求項2に記載のミストサウナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はサウナ装置に関わり、特にミストサウナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術の加湿装置の加湿部は、例えば、中国特許ZL201120109027.6のように、主に加湿部本体及び加湿部駆動装置に連結する加湿部カバーという二部分に分けられている。
図1に示すように、加湿部本体が水霧発生盤421とノズル51から構成される。動力モータ411が加湿部駆動装置に相当する。水霧発生盤421と動力モータ411とを接続する伝動部413(加湿部カバーに相当)は、ねじにより連結される。水霧発生盤421とノズル51と動力モータ411が高速で運転する場合、水霧発生盤421とノズル51と動力モータ411が回転する時、それらの回転が互いにアンバランスとなり、振動が発生して、結合箇所の接続が不安定になる。
【0003】
本発明に記載のサウナ装置は、浴室内の空気が循環送風装置によりサウナ装置内に吸込まれ、加熱装置により加熱されてから、加湿装置を通じて空気に水滴を付着させることにより、高温高湿の空気を形成するという作動原理である。
【発明の概要】
【0004】
本発明は上記従来技術のような課題を解決するため、2つの回転体の回転のアンバランスによる振動の発生を低減させるミストサウナ装置の加湿部駆動装置を提供する。
【0005】
上記目的を実現するために、本発明は、室内の空気を循環させる循環送風装置と、空気を加熱する加熱装置と、前記加熱装置の下流側に設けられ空気を加湿する加湿装置と、を備えるミストサウナ装置において、前記加湿装置は、下部に水を貯水する貯水部が設けられるとともに、上部に前記貯水部に貯水された水を吸い上げ噴霧する加湿部が設けられており、前記加湿部は、上部に開口を持つ第一の筒と下部に開口を持つ第二の筒から構成された回転体であり、前記第一の筒の直径は前記第二の筒より大きく、前記第一の筒と前記第二の筒は連通され、前記第一の筒と前記第二の筒は上部に向かい広がる傾斜を有した円錐形状とするものであり、前記第一の筒の表面全周に複数の穴が設けられ、前記加湿部には加湿部駆動装置に連結された軸固定部が一体成形されることを特徴とするミストサウナ装置を提供する。
【0006】
前記軸固定部は、加湿部に一体成形された中空軸に設けられ、前記加湿部駆動装置との連結位置が前記第一の筒の上部の中心に位置する。
【0007】
前記軸固定部は、前記第二の筒の底部に設けられ、前記加湿部駆動装置との連結位置が前記第二の筒の底部の中心に位置する。
【0008】
前記加湿部の底部は、円盤形状に設置され、前記軸の外周と底部の円盤外周との間に複数の穴が設けられ、前記複数の穴が軸を中心にリング状に設置される。
【0009】
前記複数の穴の両側にはリブが設けられ、前記第一の筒、第二の筒と軸は、複数の前記リブにより連結された。
【0010】
前記リブの高さが第一の筒と第二の筒からなる加湿部の高さの半分以下である。
【0011】
本発明の効果は、第一の筒、第二の筒と軸固定部の2つの回転体の回転のアンバランスによる振動の発生を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2A】
図2Aは本発明の異なる角度から見た全体の立体概略図
【
図2B】
図2Bは本発明の異なる角度から見た全体の立体概略図
【
図3】
図3は本発明に係る第一実施例の加湿部の立体概略図の一
【
図4】
図4は本発明に係る第一実施例の加湿部の立体概略図の二
【
図5】
図5は本発明に係る第一実施例の加湿部の縦断面図
【
図6A】
図6Aは本発明に係る第一実施例の加湿部と加湿部駆動装置との連結の概略図
【
図6B】
図6Bは本発明に係る第一実施例の加湿部と加湿部駆動装置との連結の縦断面図
【
図7】
図7は本発明に係る第二実施例の加湿部と加湿部駆動装置との連結の縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
図2A、
図2Bは本発明の異なる角度から見た全体の立体概略図である。図に示すように、本発明のミストサウナ装置10は、室内の空気を循環させる循環送風装置11である遠心送風機と、空気を加熱する加熱装置12であるPCTヒーターと、前記加熱装置12の空気を循環させる流れに対して下流側に設けられ空気を加湿する加湿装置20と、を備える。加湿装置20は、下部に水を貯水する貯水部21が設けられるとともに、上部に前記貯水部21に貯水された水を吸い上げ噴霧する加湿部22が設けられる。前記加湿部22は、上部に開口31を持つ第一の筒30と下部に開口(図に示せず)を持つ第二の筒40から構成された回転体であり、第一の筒30の直径は第二の筒40より大きい。第一の筒30と第二の筒40は内部で連通されるものであり、上部に向かい外方へ広がる傾斜を有した略円錐形状とする。
【0014】
図3、
図4は本発明に係る第一実施例の加湿部の立体概略図である、
図5は本発明に係る第一実施例の加湿部の縦断面図である、
図6Aは本発明に係る第一実施例の加湿部と加湿部駆動装置との連結の概略図である、
図6Bは本発明に係る第一実施例の加湿部と加湿部駆動装置との連結の縦断面図である。図に示すように、第一の筒30と第二の筒40は傾斜斜面が設けられた連結部50により連結される。前記加湿部22に中空の軸60が一体に成形される。前記軸60に加湿部駆動装置70であるDCモータに連結された軸固定部61が設けられる。前記軸固定部61は、前記加湿部駆動装置70の回転軸80に連結される位置が、第一の筒30の上部の中心に位置する。加湿部駆動装置70の回転軸80に突出部801が設けられる。前記軸固定部61は、前記軸60に設けられる係止凹部611と、前記係止凹部611から下向きに延設する延長部612と、を含む。連結を行う場合、まず、前記回転軸80の突出部801を前記係止凹部611に係合して、次は、工具で第二の筒40の底部44から軸60を貫通して、前記延長部612の下端にナット63をねじることにより、加湿部駆動装置70と加湿部22とは確実に連結されることになる。
【0015】
加湿部駆動装置70の回転軸80の振動は回転軸80の長さが長いほど激しくなるため、加湿部駆動装置70と加湿部22とを接続するための軸固定部61が加湿部22の上部に設けられることにより、回転軸80を短く設置でき、加湿部駆動装置70の回転時の振動が加湿部22に伝わりにくくなる。
【0016】
前記加湿部22の底部44は円盤形状に設置される。前記軸60の外周と底部44の円盤外周との間に複数の穴42が設けられ、前記複数の穴42が軸60を中心にリング状に設置される。
【0017】
ミストサウナ装置10が作動する場合、循環送風装置11である遠心送風機により、室内の空気が加熱装置12であるPTCヒーターに接触して加熱され、空気内の水分含量すなわち飽和水蒸気量を増加させ、高速で自転する加湿装置20により、多くの加湿量を得る。そして、加湿装置20の作動方式は次の通りである。加湿部22が軸60により高速で自転する場合、加湿部22の下部に設けられた貯水部21に貯水された水は、第二の筒40の内のリブ43からの押し進めを受けるので、加湿部22下部における、径が小さいので貯水部21の貯水に対する回転抵抗が少ない第二の筒40の上部に向かい傾斜した内壁面に沿って吸い上げられることが容易にできる。それから、内部で連通した上部の第一の筒30の内壁面に送水する。第一の筒30には内部と外部とを連通する穴32が設けられる。前記穴32により微細な水滴が生じ、外へ噴霧することとなる。一方、微細な水滴とされなかった水滴はミストサウナ装置10の風路の内壁面に付着し、重力の作用により風路の内壁面に沿って下側へ流れ、最後に、加湿装置20の下部に設けられる貯水部21に導かれて流れ、再び第二の筒40より吸い上げられることが可能である。
【0018】
前記複数の穴42の両側にはリブ43が設けられ、前記第一の筒30、第二の筒40と中空の軸60とは、複数の前記リブ43により連結される。リブ43の固定作用により、強固な加湿部22を形成することができる。本発明の提供するミストサウナ装置において、加湿部駆動装置70により高速で回転する加湿部22は、回転による外周側に作用する遠心力を受けるが、加湿部の軸60と外周とがリブ43で連結されることにより、遠心力による加湿部を変形させる力がリブ43により吸収されることができるようになる。加湿部22が変形しにくくなり、安定な加湿力を得る。
【0019】
加湿部22の第一の筒30、第二の筒40と軸60とを連結するリブ43の高さは、第一の筒30と第二の筒40からなる加湿部22の高さの半分以下である。回転運動により貯水部21から吸い上げられた水は、加湿部22底面の穴42を通してリブ43とリブ43との間の、リブ43と軸60により区切られた複数の区画に上昇することとなるが、区画が小さいため、上昇する場合、水膜状態を形成せずに回転して上昇することになる。リブ43の高さが加湿部22の高さの半分以下であるので、リブ43より上方に上昇した回転の加湿部22の内壁の水は、水膜状態で第一の筒30の上方に分布しており、加湿部22内壁全体を旋回しながら上昇し、加湿部22の穴32から外部へ噴射することになる。穴32から外部へ噴射する水滴が微細で蒸発しやすくなり、加湿量が多い。
【0020】
図6は本発明に係る第二実施例の加湿装置の縦断面図である。図に示すように、加湿部駆動装置70に中実軸の回転軸80が設けられ、加湿部22に一体成形された軸固定部25は第二の筒40の底部44の中心に位置する。軸固定部25は加湿部駆動装置70の回転軸80に連結するとともに、第二の筒40の底部44の中心に係合する。加湿部駆動装置70の回転軸80に突出部801’が設けられ、前記軸固定部61が前記第二の筒40に設けられる凸リブ613である。連結する場合、まず、前記回転軸80の突出部801’を前記凸リブ613の間に係合して、次は、第二の筒40の底部44の下端にナット63’をねじる。このように加湿部駆動装置70と加湿部22は確実に連結されることになる。
【0021】
加湿部22は加湿部駆動手段70に連結された軸固定部61が設けられる一体成形の構成であるため、部品の組み合わせによる回転バランスの崩れを抑制でき、高速で回転しても大きな振動が生じない。