(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5956077
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】ローターおよびハウジングを備えた流体力学的機械
(51)【国際特許分類】
F01D 25/24 20060101AFI20160707BHJP
F01D 25/16 20060101ALI20160707BHJP
F01D 25/30 20060101ALI20160707BHJP
F01D 9/02 20060101ALI20160707BHJP
F01D 5/14 20060101ALI20160707BHJP
【FI】
F01D25/24 T
F01D25/24 Z
F01D25/16 B
F01D25/30 B
F01D9/02 101
F01D5/14
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-527827(P2015-527827)
(86)(22)【出願日】2013年7月24日
(65)【公表番号】特表2015-526639(P2015-526639A)
(43)【公表日】2015年9月10日
(86)【国際出願番号】EP2013065585
(87)【国際公開番号】WO2014029580
(87)【国際公開日】20140227
【審査請求日】2015年4月6日
(31)【優先権主張番号】12181150.9
(32)【優先日】2012年8月21日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508008865
【氏名又は名称】シーメンス アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】マルセル・ザイラー
【審査官】
米澤 篤
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2009/0148271(US,A1)
【文献】
特開2006−342798(JP,A)
【文献】
特開平6−193403(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0056904(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 25/24
F01D 5/14
F01D 9/02
F01D 25/16
F01D 25/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能にマウントされかつローターブレードを備えたローター(3)と、このローター(3)の周りに配置されたケーシングと、を備えたターボ機械であって、
前記ケーシングは、ガイドベーンと、前記ローター(3)をマウントするための第1のベアリング(13)および第2のベアリング(14)と、を備え、前記ローター(3)は、流れ方向に見たとき、第1のローターブレード列と、第2のローターブレード列と、最後から2番目のローターブレード列と、最後のローターブレード列と、を有し、かつ、前記ケーシングは、第1のガイドベーン列と、第2のガイドベーン列と、最後から2番目のガイドベーン列と、最後のガイドベーン列と、を有し、
前記第2のベアリング(14)は、前記流れ方向において、前記最後から2番目のローターブレード列と前記最後のローターブレード列との間に配置され、
前記第2のベアリング(14)は、ベアリングケーシング(17)と、ガイドベーンとして形成されたベアリングサポート(19)と、を有し、
エネルギーおよび信号を交換するためのデバイスが、ガイドベーンとして形成された前記ベアリングサポート(19)内に設けられる、ターボ機械。
【請求項2】
前記流れ方向に見たとき、ディフューザーが前記最後のローターブレード列の下流に配置される、請求項1に記載のターボ機械。
【請求項3】
前記ターボ機械は蒸気タービン(1)である、請求項1または2に記載のターボ機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転可能にマウントされかつローターブレードを備えたローターと、このローターの周りに配置されたケーシングとを備えたターボ機械、特に蒸気タービンに関し、ケーシングは、ガイドベーンと、ローターをマウントするための第1のベアリングおよび第2のベアリングとを備える。
【背景技術】
【0002】
相対的に長いターボ機械は、電力の共同供給源において採用されるデバイスの一つである。そうしたターボ機械の一例は、主として、ローターおよびローターの周りに配置されたケーシングを有する蒸気タービンである。この例では、ローターは、数メートルとなることがありかつ数トンの重量を持つことがあるコンポーネントである。概して、ローターは、二つのベアリング上に回転可能にマウントされ、運転中、50Hzあるいは60Hzあるいはそれ以上の比較的高い回転速度に達することがある。そうした高い回転周波数は、ローターの重量および長さと一緒に、安全な運転が可能であるように正確な製造を必要とする。そうしたローターの最大長さは、タービンセクションスプールの剛性が制限されるという事実によって制限され、ローター動的特性との関連で延長することができない。さらに、ローターの最大長さは、ベアリング場所のポジションならびにベアリングケーシングが支持される様式に強く依存する。
【0003】
公知のターボ機械において、現在のタービンセクションスプールはシャフト端にマウントされる。このために、ベアリングは、頻繁に蒸気スペース内に配置される必要がある。さらに、そうしたベアリングは、ベアリングケーシングが、ベース上で支持されたディフューザーとストラットを介して接続されるように設計される必要がある。このタイプの構造はまた、スターベアリングと呼ばれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ローター動的特性に関して改善されたターボ機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1に記載のターボ機械によって達成される。
【0006】
本発明によれば、剛性に関して、最適なベアリングポジションは、均等に荷重が作用するシャフトの場合に、Besselポイントと呼ばれる箇所に存在することが判明した。このBesselポイントは、計算の結果、シャフト端からシャフト長さの約22%に位置する。本発明は、したがって、ローター動的特性が基本的に改善されるように少なくとも一つのベアリングを変位させることを提案する。このために、ベアリングが、流れ方向に見たとき、ガイドベーンステージの上流に配置されることが提案される。したがってベアリングがローターの端部に別個のコンポーネントとして配置されないことが、むしろ、それがターボ機械のブレード経路内に統合されることが提案される。このために、ベアリングがローターブレードステージの上流に配置されることがまず提案される。とりわけ、本発明は、ベアリングケーシングが、今後、付加的なベアリングサポートを伴わずにガイドベーンステージによって支持できるという利点を提供する。
【0007】
有利な改良は従属請求項に開示されている。
【0008】
したがって、最後のローターブレードステージの上流に第2のベアリングを配置することが提案される。これは、ベアリングが最後のローターブレードステージの上流に配置されるようにベアリングが流れダクト内に配置されることを意味する。
【0009】
さらに有利な実施形態では、ベアリングケーシングは、ガイドベーンとして形成されたベアリングサポート上に配置される。これは、ベアリングサポートが熱力学的機能、特にガイドベーンの熱力学的機能を満たすことを意味する。これは、それがガイドベーンステージによって予め決定された流体力学的プロファイルに従うようにベアリングサポートが形成されることを意味する。流路内に変位させられたベアリングは、ベアリングサポートがまたガイドベーンとして形成されるので、したがってまた、ローター動的特性に加えて、熱力学的特性を満たすことができる。
【0010】
ディフューザーは、好ましくは、最後のローターブレードステージの下流に配置される。今後、ディフューザーは、有利なことには、もはや、流路内に分裂的ベアリングサポートを持たず、したがって、より目標とする様式で圧力リカバリーを実現できる。
【0011】
有利なことに、ガイドベーンとして形成されたベアリングサポートは、エネルギーおよび信号を交換するためのデバイスを有するように設計される。
【0012】
本発明は、ガイドベーンステージに統合されたベアリングが、今後、僅かな軸方向設置スペースしか必要とせず、しかも復水器に関してより小さな分離を可能とするという点をもたらす。ベアリングはガイドベーンステージによって支持されるので、ベアリングサポート(これは材料および製造コストにつながるであろうし、しかも復水器への排出流れを妨害するであろう)は必要とされない。さらに、タービンセクションスプールの剛性は実質的に増大し、著しく改善されたローター動的特性をもたらす。これは、さらに効率を改善するために、半径方向クリアランスの低減を可能とし得る。
【0013】
さらに、本発明は、より大きな排出流断面を実現でき、かつ、より長いブレード経路を使用できるという利点をもたらす。
【0014】
例示的実施形態を参照して本発明について、さらに詳しく説明する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、蒸気タービン1として設計されたターボ機械の実施形態を示している。この蒸気タービン1は、主として、それが回転軸線2の周りで回転できるようにマウントされたローター3を備えるが、このローターには、第1のローターブレードステージ5、第2のローターブレードステージ6、そして第3のローターブレードステージ7がローター表面4上に配置される。蒸気タービン1は、さらに、回転可能にマウントされたローター3の周りに配置されたケーシング(詳しくは図示していない)を備える。第1のガイドベーンステージ8、第2のガイドベーンステージ9、そして第3のガイドベーンステージ10がケーシング上に配置される。
【0017】
流路11は、第1のローターブレードステージ5、第2のローターブレードステージ6、そして第3のローターブレードステージ7と、第1のガイドベーンステージ8、第2のガイドベーンステージ9、そして第3のガイドベーンステージ10との間に形成されるが、この流路を経て運転中に蒸気が流れる。ローター3は、第1のベアリング13および第2のベアリング14によって、ベース12上にマウントされる。第1のベアリング13は、ローター3の第1の端部15に配置される。第2のベアリング14は、第2の端部16に配置される。
【0018】
このコンテクストにおいて、第2のベアリング14は、第3のローターブレードステージ7、すなわち最後のローターブレードステージの上流で流路11内に配置される。ベアリングは、第2のベアリング14の周りに配置されたベアリングケーシング17を備える。ガイドベーンとして形成されたベアリングサポート19はベアリングケーシング上に配置される。ガイドベーンとして形成されたベアリングサポート19は流路11内に配置されるので、ガイドベーンとして形成されたこのベアリングサポート19は、流路11内の蒸気のエネルギーの変換に関与する。
【0019】
ディフューザー20(その中で流路11の蒸気の圧力リカバリーが生じる)は、第3のローターブレードステージ7の下流に配置される。
【0020】
代替実施形態では、ガイドベーンとして形成されたベアリングサポート19はまた、第2のベアリング14によって、第2のローターブレードステージ6の上流に、あるいは流路11における、さらに上流にさえ配置可能である。
【0021】
エネルギーおよび信号を交換するためのデバイス21は、ガイドベーンとして形成されたベアリングサポート19内に設けられる。
【0022】
ローター(3)は、流れ方向に見たとき、第1のローターブレード列と、第2のローターブレード列と、最後から2番目のローターブレード列と、最後のローターブレード列とを有する。
ケーシングは、流れ方向に見たとき、第1のガイドベーン列と、第2のガイドベーン列と、最後から2番目のガイドベーン列と、最後のガイドベーン列とを有する。
第2のベアリングは、最後から2番目のローターブレード列と最後のローターブレード列との間に配置される。
【符号の説明】
【0023】
1 蒸気タービン
2 回転軸線
3 ローター
4 ローター表面
5 第1のローターブレードステージ
6 第2のローターブレードステージ
7 第3のローターブレードステージ
8 第1のガイドベーンステージ
9 第2のガイドベーンステージ
10 第3のガイドベーンステージ
11 流路
12 ベース
13 第1のベアリング
14 第2のベアリング
15 第1の端部
16 第2の端部
17 ベアリングケーシング
19 ベアリングサポート
20 ディフューザー
21 デバイス