特許第5956084号(P5956084)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5956084
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】液体を利用するエネルギー変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02N 1/00 20060101AFI20160707BHJP
   H02N 3/00 20060101ALI20160707BHJP
【FI】
   H02N1/00
   H02N3/00 Z
【請求項の数】18
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-545357(P2015-545357)
(86)(22)【出願日】2013年11月27日
(65)【公表番号】特表2016-500249(P2016-500249A)
(43)【公表日】2016年1月7日
(86)【国際出願番号】KR2013010818
(87)【国際公開番号】WO2014084581
(87)【国際公開日】20140605
【審査請求日】2015年5月28日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0136970
(32)【優先日】2012年11月29日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】599028364
【氏名又は名称】電子部品研究院
【氏名又は名称原語表記】KOREA ELECTRONICS TECHNOLOGY INSTITUTE
(74)【代理人】
【識別番号】100077838
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 憲保
(74)【代理人】
【識別番号】100129023
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敬
(72)【発明者】
【氏名】クォン,スン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨン フン
(72)【発明者】
【氏名】オ,ミン ソク
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジワン
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ビョンウク
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨン サン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジュン ウ
【審査官】 小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−039995(JP,A)
【文献】 特表2012−523809(JP,A)
【文献】 特表2009−528558(JP,A)
【文献】 特開2015−198149(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/069894(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/081256(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 1/00
H02N 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を利用するエネルギー変換装置であって、
イオン性液体または水が貯蔵された凹部を有する第1電極基板と;
前記第1電極基板に対向し、前記凹部に対応する凸部を有する第2電極基板と;を含み、
前記電極基板間の間隙は、外部の物理力によって変化し、
前記イオン性液体または水に接触する前記第2電極基板の面は、前記間隙の変化に従って電気エネルギーを発生するエネルギー変換層を含むことを特徴とするエネルギー変換装置。
【請求項2】
前記エネルギー変換層は、無機物層、有機物層および有機物と無機物の混合物層のうち少なくともいずれか一つの層を含むことを特徴とする請求項1に記載のエネルギー変換装置。
【請求項3】
前記エネルギー変換層上に、前記間隙の変化に従って前記イオン性液体または水との接触面、接触角または接触面積の変化を容易にするように、疎水性物質層が積層されていることを特徴とする請求項2に記載のエネルギー変換装置。
【請求項4】
前記イオン性液体は、NaCl、LiCl、NaNO、NaSiO、AlCl−NaCl、LiCl−KCl、KCl、Na、NaOH HSO、CHCOOH、HF、CuSO、エチレングリコール、プロピレングリコールおよびAgClのうち少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする請求項1に記載のエネルギー変換装置。
【請求項5】
液体を利用するエネルギー変換装置であって、
伝導性液体が貯蔵された凹部を有する第1電極基板と;
前記第1電極基板に対向し、前記凹部に対応する凸部を有する第2電極基板;を含み、
前記電極基板間の間隙は、外部の物理力によって変化し、
前記伝導性液体に接触する前記第2電極基板の面は、前記間隙の変化に従って電気エネルギーを発生するエネルギー変換層を含むことを特徴とするエネルギー変換装置。
【請求項6】
前記エネルギー変換層は、無機物層、有機物層および有機物と無機物の混合物層のうち少なくともいずれか一つの層を含むことを特徴とする請求項5に記載のエネルギー変換装置。
【請求項7】
前記エネルギー変換層上に、前記間隙の変化に従って前記伝導性液体との接触面、接触角または接触面積の変化を容易にするように、親水性物質層が積層されていることを特徴とする請求項6に記載のエネルギー変換装置。
【請求項8】
前記親水性物質層は、ポリアクリル酸(PAA)、アクリルアミド、無水マレイン酸共重合体、メタクリル酸塩、エタクリレート、アミン作用性重合体、アミン−官能基を有する重合体、ポリスチレンスルホン酸塩(PSS)、ビニル酸、ビニルアルコールまたは−NH、−CO−、アミノ基−NH、水酸基−OHおよびカルボキシル基−COOHの官能基のうち少なくともいずれか一つを含む物質を含むことを特徴とする請求項7に記載のエネルギー変換装置。
【請求項9】
前記伝導性液体は、比抵抗範囲が1μΩcm〜1000μΩcmであり、比誘電率(K)が5以下であることを特徴とする請求項5に記載のエネルギー変換装置。
【請求項10】
前記エネルギー変換層は、
メタクリル酸ポリメチル(PMMA)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ4ビニルフェノール(PVP)またはポリエーテルスルホン(PES)、ポリ(アクリル酸4−メトキシフェニル)(PMPA)、ポリ(アクリル酸フェニル)(PPA)、ポリ(メタクリル酸2、2、2−トリフルオロエチル)(PTFMA)、シアノエチルプルラン(CYEPL)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ(パラバン酸)樹脂(PPA)、ポリ(t−ブチルスチレン)(PTBS)、ポリチエニレンビニレン(PTV)、酢酸ポリビニル(PVA)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(Rメチルスチレン)(PAMS)、ポリ(ビニルアルコール)−コ−ポリ(酢酸ビニル)−コ−ポリ(イタコン酸)(PVAIA)、ポリオレフィン、ポリアクリル酸エステル、パリレン−C、ポリイミド、オクタデシルトリクロロシラン(OTS)、ポリ(トリアリールアミン)(PTTA)、ポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT)、橋かけポリ−4−ビニルフェノール(cross−linked PVP)、ポリ(ペルフルオロアルケニルビニルエーテル)、ナイロン−6、n−オクタデシルホスホン酸(ODPA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、シリコーン、ポリウレタン、ラテックス、酢酸セルロース、ポリ(メタクリル酸ヒドロキシエチル)(PHEMA)、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、およびポリグリコリド−コ−ラクチド(PGLA)のうち少なくともいずれか一つの物質を含む有機物層;を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のエネルギー変換装置。
【請求項11】
前記エネルギー変換層は、
酸化シリコン(SiO)、酸化チタン(TiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化タンタル(Ta)、五酸化タンタル(Tantalum Pentoxide)、酸化亜鉛(ZnO)、五酸化タンタル(Ta)、酸化イットリウム(Y)、酸化セリウム(CeO)、二酸化チタン(TiO)、チタン酸バリウム(BaTiO)、バリウムジルコネートチタネート(BZT)、二酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化ランタン(La)、ハフニウムシリケート(HfSiO)、ランタンアルミネート(LaAlO)、窒化ケイ素(Si)、灰チタン物質として、ストロンチウムチタネート(SrTiO)、バリウムストロンチウムチタネート(BST)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸カルシウム銅(CCTO)、酸化ハフニウム(HfO)、アパタイト(A10(MO(X))、水酸化燐灰石(Ca10(PO(OH))、リン酸三灰石(Ca(PO)、NaO−CaO−SiO、およびバイオガラス(CaO−SiO−P)のうち少なくともいずれか一つの物質を含む無機物層を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のエネルギー変換装置。
【請求項12】
前記第1電極基板と前記第2電極基板の間に配置された非伝導性ガスであって、空気、酸素、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノンおよびラドンのうち少なくともいずれか一つよりなる前記非伝導性ガス;をさらに含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のエネルギー変換装置。
【請求項13】
前記第1電極基板は、複数個の凹領域を持つ前記凹部を有し、前記第2電極基板は、複数個の凸領域を持つ前記凸部を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のエネルギー変換装置。
【請求項14】
前記エネルギー変換層は、前記液体と接触する前記接触面を広げるためにその中に形成された構造物を持つことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のエネルギー変換装置。
【請求項15】
前記第1電極基板または前記第2電極基板は、電極を含み、
前記電極は、ITO、IGO、クロム、アルミニウム、IZO(Indium Zinc Oxide)、IGZO(Indium Gallium Zinc Oxide)、ZnO、ZnOおよびTiOのうち少なくともいずれか一つを含む無機電極であるか、白金、金、銀、アルミニウム、鉄および銅のうち少なくともいずれか一つを含む金属電極であるか、PEDOT(polyethylenedioxythiophene)、炭素ナノチューブ(CNT)、グラフェン、ポリアセチレン、ポリチオフェン(PT)、ポリピロール、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、ポリ硫黄窒化物、ステンレススチール、クロムを10%以上含有する鉄合金、SUS304、SUS316、SUS316L、Co−Cr合金、Ti合金、ニチノール(Ni−Ti)およびポリパラフェニレンビニレンのうち少なくともいずれか一つを含む有機電極であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のエネルギー変換装置。
【請求項16】
前記第1電極基板および前記第2電極基板のうち少なくともいずれか一つは、金属基板、ガラス基板、セラミック基板または高分子素材の基板であり、
前記高分子素材の基板は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアリレート(PAR)、メタクリル酸ポリメチル(PMMA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリカーボネート(PC)および繊維強化プラスチック(FRP)のうち少なくともいずれか一つを含むプラスチック基板またはフィルムであり、
前記セラミック基板は、アルミナ(Al)、酸化ベリリウム(BeO)、窒化アルミニウム(AlN)、炭化ケイ素、ムライトおよびシリコンのうち少なくともいずれか一つを含むセラミック材料を利用した基板であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のエネルギー変換装置。
【請求項17】
前記第1電極基板と前記第2電極基板との間の間隔を支持する連結部をさらに含み、前記連結部の形状は、外部の物理力が除去されれば原形状に復元されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のエネルギー変換装置。
【請求項18】
前記連結部の前記形状は、矩形形状、三角形状、逆三角形状、円形状、楕円形状および円柱形状のうち少なくとも一つであり、
前記エネルギー変換装置の形状は、アレイ形態で連結され得るように前記エネルギー変換装置用の前記連結部に従った、三角形状、矩形形状、五角形状、六角形状、円形状、格子形状または蜂の巣形状であることを特徴とする請求項17に記載のエネルギー変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を利用するエネルギー変換装置に関し、より詳細には、電気湿潤(electrowetting)現象の反対現象を応用して機械的エネルギーを電気エネルギーに変換する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の液体を利用して機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換する技術は、誘電物質と当接している液体金属の接触面積を時間が経つにつれて変化させて、誘電物質の下方に位置する電極に電気静電容量を発生させる原理を利用する。
【0003】
従来の液体を利用するエネルギー変換方法及び装置は、米国特許第7,898,096号明細書(特許文献1)に開示されている。
【0004】
図1は、従来の液体を利用するエネルギー変換装置の概念図である。図1を参照すると、従来の液体を利用するエネルギー変換装置は、細長い形状のチャネルの壁に一定のパターンで電極を形成し、電極の上部には、誘電物質層を形成する。また、チャネルの内部には、小さい水玉形状の伝導性液体と非伝導性液体を注入し、このような水玉形状の伝導性液体に外部電源から電圧を印加して伝導性液体を分極させる。
【0005】
この状態でチャネルと連結されている所定の部分(図示せず)に物理的な圧力を加えるようにすれば、分極された水玉形状の伝導性液体は、チャネルに沿って移動するようになり、この過程で一定のパターンで形成されている多数の電極は、移動する多数の伝導性液滴と接触する面積が時間が経つにつれて継続的に変化するようになり、その結果、電気静電容量が変化し、電気エネルギーが生成される。
【0006】
しかし、従来の液体を利用するエネルギー変換方法及び装置は、実用化のためには多様な問題点を持っていた。
【0007】
まず、細長いチャネル内で滴形態の液体金属が移動し、外部の力が消えれば、さらに元々の位置に戻る、可逆的な動きが難しくて、潤滑層が別に必要であるという限界があり、チャネル目詰まり現象が発生やすくて、動作が不可能な場合が発生する。
【0008】
また、従来の液体を利用するエネルギー変換方法及び装置は、細長いチャネル構造を採用していて、対向する二つの電極がチャネルの壁に一定の形状にパターン化されなければならないし、このような構造によって、装置の構成が複雑になり、電気エネルギーを生産するモジュールのサイズが大きくなって、大量生産やコスト低減にも限界が多かった。
【0009】
また、他の問題点としては、水銀またはガリンスタン(galinstan)のような液体金属を使用して人体及び環境に有害であり、このような伝導性液体を分極させるためには、外部から別途の電源を印加する必要であるという限界がある。
【0010】
また、従来の液体を利用するエネルギー変換方法及び装置は、チャネル構造で可逆的な動きを継続的に具現しなければならない点と、混ざらない異なる2種類の液体を使用しなければならないので、制御が困難であるという不都合がある。
【0011】
また、従来の液体を利用するエネルギー変換方法及び装置は、圧電体を利用して、外部の物理的な力によって装置が損傷されるという問題点がある。
【0012】
また、従来の液体を利用するエネルギー変換方法及び装置は、大面積で発電する場合、素子の具現が難しくて、価格が非常に高くなるという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第7,898,096号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、電極に接触する液体との接触面を変化させて電気エネルギーを生成する、流体を利用するエネルギー変換方法及び装置を提供することにある。
【0015】
また、本発明の他の目的は、エネルギー変換層を利用して、構造が簡単で且つ故障が少ない効率的なエネルギー変換方法及び装置を提供することにある。
【0016】
また、本発明のさらに他の目的は、フレキシブル素子の具現が可能であり、素子の構造を簡単ながらも、大面積への適用を容易にするエネルギー変換方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記目的を達成するために、液体を利用するエネルギー変換装置は、イオン性液体または水が貯蔵された凹部を有する第1電極基板と;第1電極基板に対向し、凹部に対応する凸部を有する第2電極基板と;を含み、電極基板間の間隙は、外部の物理力によって変化し、イオン性液体または水に接触する第2電極基板の面は、間隙の変化に従って電気エネルギーを発生するエネルギー変換層を含むことを特徴とする。
【0018】
好ましくは、エネルギー変換層は、無機物層、有機物層および有機物と無機物の混合物層のうち少なくともいずれか一つの層を含むことを特徴とする。
【0019】
好ましくは、エネルギー変換層上に、間隙の変化に従ってイオン性液体または水との接触面、接触角または接触面積の変化を容易にするように、疎水性物質層が積層されていることを特徴とする。
【0020】
好ましくは、イオン性液体は、NaCl、LiCl、NaNO、NaSiO、AlCl−NaCl、LiCl−KCl、KCl、Na、NaOH HSO、CHCOOH、HF、CuSO、エチレングリコール、プロピレングリコールおよびAgClのうち少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする。
【0021】
また、液体を利用するエネルギー変換装置は、伝導性液体が貯蔵された凹部を有する第1電極基板と;第1電極基板に対向し、凹部に対応する凸部を有する第2電極基板と;を含み、電極基板間の間隙は、外部の物理力によって変化し、伝導性液体に接触する第2電極基板の面は、間隙の変化に従って電気エネルギーを発生するエネルギー変換層を含むことを特徴とする。
【0022】
好ましくは、エネルギー変換層は、無機物層、有機物層および有機物と無機物の混合物層のうち少なくともいずれか一つの層を含むことを特徴とする。
【0023】
好ましくは、エネルギー変換層上に、間隙の変化に従って伝導性液体との接触面、接触角または接触面積の変化を容易にするように、親水性物質層が積層されていることを特徴とする。
【0024】
好ましくは、親水性物質層は、ポリアクリル酸(PAA)、アクリルアミド、無水マレイン酸共重合体、メタクリル酸塩、エタクリレート、アミン作用性重合体、アミン−官能基を有する重合体、ポリスチレンスルホン酸塩(PSS)、ビニル酸、ビニルアルコールまたは−NH、−CO−、アミノ基−NH2、水酸基−OHおよびカルボキシル基−COOHの官能基のうち少なくともいずれか一つを含む物質を含むことを特徴とする。
【0025】
好ましくは、伝導性液体は、比抵抗範囲が1μΩcm〜1000μΩcmであり、比誘電率(K)が5以下であることを特徴とする。
【0026】
好ましくは、エネルギー変換層は、メタクリル酸ポリメチル(PMMA)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ4ビニルフェノール(PVP)またはポリエーテルスルホン(PES)、ポリ(アクリル酸4−メトキシフェニル)(PMPA)、ポリ(アクリル酸フェニル)(PPA)、ポリ(メタクリル酸2、2、2−トリフルオロエチル)(PTFMA)、シアノエチルプルラン(CYEPL)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ(パラバン酸)樹脂(PPA)、ポリ(t−ブチルスチレン)(PTBS)、ポリチエニレンビニレン(PTV)、酢酸ポリビニル(PVA)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(Rメチルスチレン)(PAMS)、ポリ(ビニルアルコール)−コ−ポリ(酢酸ビニル)−コ−ポリ(イタコン酸)(PVAIA)、ポリオレフィン、ポリアクリレートアクリル酸エステル、パリレン−C、ポリイミド、オクタデシルトリクロロシラン(OTS)、ポリ(トリアリールアミン)(PTTA)、ポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT)、橋かけポリ−4−ビニルフェノール(cross−linked PVP)、ポリ(ペルフルオロアルケニルビニルエーテル)、ナイロン−6、n−オクタデシルホスホン酸(ODPA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、シリコーン、ポリウレタン、ラテックス、酢酸セルロース、ポリ(メタクリル酸ヒドロキシエチル)(PHEMA)、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、およびポリグリコリド−コ−ラクチド(PGLA)のうち少なくともいずれか一つの物質を含む有機物層;を含むことを特徴とする。
【0027】
好ましくは、エネルギー変換層は、酸化シリコン(SiO)、酸化チタン(TiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化タンタル(Ta)、五酸化タンタル(Tantalum Pentoxide)、酸化亜鉛(ZnO)、五酸化タンタル(Ta)、酸化イットリウム(Y)、酸化セリウム(CeO)、二酸化チタン(TiO)、チタン酸バリウム(BaTiO)、バリウムジルコネートチタネート(BZT)、二酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化ランタン(La)、ハフニウムシリケート(HfSiO)、ランタンアルミネート(LaAlO)、窒化ケイ素(Si)、灰チタン物質として、ストロンチウムチタネート(SrTiO)、バリウムストロンチウムチタネート(BST)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸カルシウム銅(CCTO)、酸化ハフニウム(HfO)、アパタイト(A10(MO(X))、水酸化燐灰石(Ca10(PO(OH))、リン酸三灰石(Ca(PO)、NaO−CaO−SiO、およびバイオガラス(CaO−SiO−P)のうち少なくともいずれか一つの物質を含む無機物層を含むことを特徴とする。
【0028】
好ましくは、第1電極基板と第2電極基板の間に配置された非伝導性ガスであって、空気、酸素、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノンおよびラドンのうち少なくともいずれか一つよりなる非伝導性ガス;をさらに含むことを特徴とする。
【0029】
好ましくは、第1電極基板は、複数個の凹領域を持つ凹部を有し、第2電極基板は、複数個の凸領域を持つ凸部を有することを特徴とする。
【0030】
好ましくは、エネルギー変換層は、液体と接触する接触面を広げるためにその中に形成された構造物を持つことを特徴とする。
【0031】
好ましくは、第1電極基板または第2電極基板は、電極を含み、電極は、ITO、IGO、クロム、アルミニウム、IZO(Indium Zinc Oxide)、IGZO(Indium Gallium Zinc Oxide)、ZnO、ZnOおよびTiOのうち少なくともいずれか一つを含む無機電極であるか、白金、金、銀、アルミニウム、鉄および銅のうち少なくともいずれか一つを含む金属電極であるか、PEDOT(polyethylenedioxythiophene)、炭素ナノチューブ(CNT)、グラフェン、ポリアセチレン、ポリチオフェン(PT)、ポリピロール、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、ポリ硫黄窒化物、ステンレススチール、クロムを10%以上含有する鉄合金、SUS304、SUS316、SUS316L、Co−Cr合金、Ti合金、ニチノール(Ni−Ti)およびポリパラフェニレンビニレンのうち少なくともいずれか一つを含む有機電極であることを特徴とする。
【0032】
好ましくは、第1電極基板および第2電極基板のうち少なくともいずれか一つは、金属基板、ガラス基板、セラミック基板または高分子素材の基板であり、上記高分子素材の基板は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアリレート(PAR)、メタクリル酸ポリメチル(PMMA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリカーボネート(PC)および繊維強化プラスチック(FRP)のうち少なくともいずれか一つを含むプラスチック基板またはフィルムであり、上記セラミック基板は、アルミナ(Al)、酸化ベリリウム(BeO)、窒化アルミニウム(AlN)、炭化ケイ素、ムライトおよびシリコンのうち少なくともいずれか一つを含むセラミック材料を利用した基板であることを特徴とする。
【0033】
好ましくは、第1電極基板と第2電極基板との間の間隔を支持する連結部を更に含み、連結部の形状は、外部の物理力が除去されれば原形状に復元されることを特徴とする。
【0034】
好ましくは、連結部の形状は、矩形、三角形、逆三角形、円形、楕円形および円柱形のうち少なくとも一つの形状であり、エネルギー変換装置の形状は、アレイ形態で連結され得るように、エネルギー変換装置用の連結部に従った、三角形状、矩形形状、五角形状、六角形状、円形状、格子形状または蜂の巣形状であることを特徴とする。
【0035】
その他、実施形態の具体的な事項は、詳細な説明及び図面に含まれている。
【発明の効果】
【0036】
本発明は、一対の電極の間で液体との接触面を変化させ、それによる液体との接触面の変化を活用して電気エネルギーを生成し、チャネル目詰まり現象を防止し、潤滑層、あるいはチャネル上に複雑にパターニングされた電極を不要にすることによって、装置の単純化、製造コストの節減とともに、故障が少ないエネルギー変換装置を具現するという効果がある。
【0037】
また、本発明は、別途の外部電源を印加すること無しに効率的に電気エネルギーに変換が可能であるという長所がある。
【0038】
また、本発明は、イオン性液体または水を使用することによって、人体及び環境に有害な問題点を解決する効果がある。
【0039】
また、本発明は、フレキシブル素子の具現を可能にし、素子の構造を簡単にして、大面積への適用を容易にするという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】従来の液体を利用するエネルギー変換装置のブロック図である。
図2】本発明の一実施形態によるエネルギー変換装置の概略図である。
図3】本発明の一実施形態によるエネルギー変換装置のエネルギー変換層を詳しく示すブロック図である。
図4a】本発明の一実施形態による液体との接触面の変化を利用するエネルギー変換装置のエネルギー変換層の実施形態を示す側面図である。
図4b】本発明の一実施形態による液体との接触面の変化を利用するエネルギー変換装置のエネルギー変換層の実施形態を示す側面図である。
図4c】本発明の一実施形態による液体との接触面の変化を利用するエネルギー変換装置のエネルギー変換層の実施形態を示す側面図である。
図4d】本発明の一実施形態による液体との接触面の変化を利用するエネルギー変換装置のエネルギー変換層の実施形態を示す側面図である。
図5】本発明の他の実施形態による液体との接触面の変化を利用するエネルギー変換装置の構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
発明の利点及び特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述されている実施形態を参照すれば明確になる。しかし、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる形態で具現され、但し、本実施形態は、本発明の開示が完全になるようにし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範疇によって定義されるだけである。一方、本明細書で使用された用語は、実施形態を説明するためのものであって、本発明を制限しようとするものではない。
【0042】
図2は、本発明の一実施形態による液体を利用するエネルギー変換装置の概略図である。図2を参照すると、本発明の一実施形態による液体を利用するエネルギー変換装置は、イオン性液体または水260が貯蔵された凹部を有する第1電極基板210と;第1電極基板210に対向し、前記凹部に対応する凸部を有する第2電極基板220とを含む。
【0043】
また、第1電極基板210と第2電極基板間220との間の間隙は、外部の物理力によって変化し、イオン性液体または水260に接触する第2電極基板220の面は、前記間隙の変化に従って電気エネルギーを発生するエネルギー変換層230、240をさらに含む。
【0044】
本発明の一実施形態による液体を利用するエネルギー変換装置は、エネルギー変換層においてイオン性液体または水260との接触面、接触角および接触面積のうち少なくとも一つの変化に従って、第1電極基板210と第2電極基板220に含まれた電極の電気静電容量が変化し、電気エネルギーを発生する。
【0045】
図3は、本発明の一実施形態によるエネルギー変換装置のエネルギー変換層を詳しく示すブロック図である。図3を参照すると、本発明の一実施形態によるエネルギー変換装置では、第1電極基板210または第2電極基板220は、イオン性液体または水260に接触するが、接触し得る面に電極211、221が形成され、電極221上に無機物層230、有機物層240及び疎水性物質層250が順に積層されている。
【0046】
すなわち、エネルギー変換層が形成された第1電極基板210と第2電極基板220において、基板間隙の変化に従ってイオン性液体または水260との接触面、接触角および接触面積のうち少なくとも一つが変化し、この変化を通じて電気エネルギーが発生する。
【0047】
エネルギー変換層は、イオン性液体または水260との接触面、接触角および接触面積のうち少なくとも一つが変化する面に、すなわち第2電極基板220上のイオン性液体または水260に浸漬され得る面に形成される。図3では、下部面に形成された例示だけを図示しているが、側面部に形成されてもよく、下部面及び側面部を両方共に取り囲むように形成されることができる。
【0048】
本発明の好ましい一実施形態によれば、エネルギー変換層は、無機物層230、有機物層240および有機物と無機物の混合物層のうち少なくとも一つの層を含むように構成される。好ましくは、このようなエネルギー変換層の形成には、パターニングや蒸着、またはスピンコーティングのような方法を利用することができる。
【0049】
また、好ましくは、エネルギー変換層は、無機物層230と有機物層240が順に積層される。無機物層230と有機物層240は、第1電極基板210または第2電極基板220上に積層されることに順序は構わないが、隣接して積層されなければならない。
【0050】
好ましくは、無機物層230と有機物層240は、第1電極基板210または第2電極基板220上に積層されるとき、繰り返し重畳されることができる。すなわち、エネルギー変換層は、無機物層230と有機物層240の積層形態を繰り返して形成することができる。
【0051】
好ましくは、無機物層230または有機物層240は、前記イオン性液体または水260との接触面を広げるための構造物が形成されるように蒸着される。
【0052】
図4a〜図4dは、本発明の一実施形態による液体との接触面の変化を利用するエネルギー変換装置のエネルギー変換層の実施形態を示す側面図である。図4a〜図4dを参照すると、本発明の一実施形態による液体との接触面の変化を利用するエネルギー変換装置のエネルギー変換層は、第2電極基板410に含まれた電極420上に無機物層430が蒸着される。有機物層440は、無機物層430上に凹凸形状(図4a)、尖った突起形状(図4b)、半球形状(図4c)、球体の穴形状(図4d)の微細構造物が形成されるように積層される。好ましくは、有機物層440と無機物層430の手順が変わってもよく、構造物が形成されるように積層されるものが必ず有機物層440である必要はない。
【0053】
好ましくは、構造物が形成されるように積層された有機物層440上に、前記構造物の形状が維持されるように疎水性物質層450が積層される。
【0054】
このような構造物の形状は、電極基板とイオン性液体または水との間の接触面積の変化がさらに大きくなるので、電気エネルギーの発生効率を高める効果がある。
【0055】
さらに図3を参照すると、好ましくは、液体との接触面の変化を利用する複数個のエネルギー変換装置がアレイ形態で連結される。前述したように、電極基板とイオン性液体または水との間の接触面積の変化がさらに大きくなるように、電気エネルギーの発生効率を高めるためである。
【0056】
本発明の好ましい一実施形態によれば、疎水性物質層250は、エネルギー変換層230、240上に、イオン性液体または水260と電極基板210、220との間の接触面、接触角および接触面積のうち少なくとも一つの変化を容易にするように、積層される。
【0057】
好ましくは、疎水性物質層250は、エネルギー変換層が形成されていない第1電極基板210または第2電極基板220上に積層されることができる。
【0058】
本発明の好ましい一実施形態によれば、エネルギー変換層は、メタクリル酸ポリメチル(PMMA)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ4ビニルフェノール(PVP)またはポリエーテルスルホン(PES)、ポリ(アクリル酸4−メトキシフェニル)(PMPA)、ポリ(アクリル酸フェニル)(PPA)、ポリ(メタクリル酸2、2、2−トリフルオロエチル)(PTFMA)、シアノエチルプルラン(CYEPL)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ(パラバン酸)樹脂(PPA)、ポリ(t−ブチルスチレン)(PTBS)、ポリチエニレンビニレン(PTV)、酢酸ポリビニル(PVA)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(Rメチルスチレン)(PAMS)、ポリ(ビニルアルコール)−コ−ポリ(酢酸ビニル)−コ−ポリ(イタコン酸)(PVAIA)、ポリオレフィン、ポリアクリル酸エステル、パリレン−C、ポリイミド、オクタデシルトリクロロシラン(OTS)、ポリ(トリアリールアミン)(PTTA)、ポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT)、橋かけポリ−4−ビニルフェノール(cross−linked PVP)、ポリ(ペルフルオロアルケニルビニルエーテル)、ナイロン−6、n−オクタデシルホスホン酸(ODPA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、シリコーン、ポリウレタン、ラテックス、酢酸セルロース、ポリ(メタクリル酸ヒドロキシエチル)(PHEMA)、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、およびポリグリコリド−コ−ラクチド(PGLA)のうち少なくともいずれか一つの物質を含む有機物層240;及び酸化シリコン(SiO)、酸化チタン(TiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化タンタル(Ta)、五酸化タンタル(Tantalum Pentoxide)、酸化亜鉛(ZnO)、五酸化タンタル(Ta)、酸化イットリウム(Y)、酸化セリウム(CeO)、二酸化チタン(TiO)、チタン酸バリウム(BaTiO)、バリウムジルコネートチタネート(BZT)、二酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化ランタン(La)、ハフニウムシリケート(HfSiO)、ランタンアルミネート(LaAlO)、窒化ケイ素(Si)、灰チタン物質として、ストロンチウムチタネート(SrTiO)、バリウムストロンチウムチタネート(BST)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸カルシウム銅(CCTO)、酸化ハフニウム(HfO)、アパタイト(A10(MO(X))、水酸化燐灰石(Ca10(PO(OH))、リン酸三灰石(Ca(PO)、NaO−CaO−SiO、およびバイオガラス(CaO−SiO−P)のうち少なくともいずれか一つの物質を含む無機物層230を含むように構成される。
【0059】
好ましくは、有機物層240は、比誘電率(K)が4以下の物質を使用することができ、無機物層230は、比誘電率(K)が5以上の物質を使用することができる。
【0060】
本発明の好ましい一実施形態によれば、疎水性物質層250は、シラン系物質、フルオロ重合体物質、卜リクロロシラン、トリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリクロロシラン、(ベンジルオキシ)アルキルトリメトキシシラン(BSM−22)、(ベンジルオキシ)アルキルトリクロロシラン(BTS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、オクタデシルトリクロロシラン(OTS)、オクタデシルトリメトキシシラン(OTMS)、ジビニルテトラメチルジシロキサン−ビス(ベンゾシクロブテン)(BCB)のうち少なくともいずれか一つの物質またはこれら物質の混合物よりなる。
【0061】
本発明の好ましい一実施形態によれば、第2電極基板220または第1電極基板210に使用される電極はITO、IGO、クロム、アルミニウム、IZO(Indium Zinc Oxide)、IGZO(Indium Gallium Zinc Oxide)、ZnO、ZnOおよびTiOのうち少なくともいずれか一つを含む無機電極であるか、白金、金、銀、アルミニウム、鉄および銅のうち少なくともいずれか一つを含む金属電極であるか、PEDOT(polyethylenedioxythiophene)、炭素ナノチューブ(CNT)、グラフェン、ポリアセチレン、ポリチオフェン(PT)、ポリピロール、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、ポリ硫黄窒化物、ステンレススチール、クロムを10%以上含有する鉄合金、SUS304、SUS316、SUS316L、Co−Cr合金、Ti合金、ニチノール(Ni−Ti)およびポリパラフェニレンビニレンのうち少なくともいずれか一つを含む有機電極である。
【0062】
また、本発明の好ましい一実施形態によれば、第2電極基板220または第1電極基板210は、金属基板、ガラス基板または高分子素材の基板である。ここで、高分子素材の基板は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアリレート(PAR)、メタクリル酸ポリメチル(PMMA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリカーボネート(PC)および繊維強化プラスチック(FRP)のうち少なくともいずれか一つを含むプラスチック基板またはフィルムである。また、前記セラミック基板は、アルミナ(Al)、酸化ベリリウム(BeO)、窒化アルミニウム(AlN)、炭化ケイ素、ムライトおよびシリコンのうち少なくともいずれか一つを含むセラミック材料を利用した基板である。
【0063】
本発明の好ましい一実施形態によれば、イオン性液体260は、NaCl、LiCl、NaNO、NaSiO、AlCl−NaCl、LiCl−KCl、KCl、Na、NaOH HSO、CHCOOH、HF、CuSO、エチレングリコール、プロピレングリコールおよびAgClのうち少なくともいずれか一つを含む。
【0064】
本発明の好ましい一実施形態によれば、第1電極基板210と第2電極基板220との間の空間は、非伝導性ガスで満たされるように構成される。一般的には、第1電極基板210と第2電極基板220との間の空間は、一般の空気環境でも可能である。
【0065】
本発明の好ましい一実施形態によれば、非伝導性ガスは、空気、酸素、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノンおよびラドンのうち少なくともいずれか一つよりなる。
【0066】
本発明の好ましい一実施形態によれば、連結部270は、前記第1電極基板と前記第2電極基板との間の間隔を支持する。また、連結部270は、外部の物理的な力によってその形状が変化するが、外部の物理力が除去されれば原形状に戻る復元力あるいは柔軟性を有する。
【0067】
本発明の好ましい一実施形態によれば、連結部270の形状は、矩形形状、三角形状、逆三角形状、円形状、楕円形状および円柱形状のうち少なくとも一つである。
【0068】
したがって、本発明の好ましい一実施形態によるエネルギー変換装置は、連結部270によってアレイ形態で連結され得る。すなわち、前記エネルギー変換装置の形状は、連結部270に従った、三角形状、矩形形状、五角形状、六角形状、円形状、格子形状または蜂の巣形状である。
【0069】
また、好ましくは、連結部270の形状は、矩形、三角形、逆三角形、円形、楕円形、円柱形よるなることができ、エネルギー変換装置単位セル(上板+下板+隔壁+液体+ガス)の形状は、三角形状、四角形状、五角形状、六角形状、円形状、格子形状、蜂の巣形状が可能である。
【0070】
図5は、本発明の他の実施形態による液体を利用するエネルギー変換装置の構造図である。図5を参照すると、本発明の他の実施形態による液体を利用するエネルギー変換装置は、伝導性液体560が貯蔵された凹部を有する第1電極基板510と;第1電極基板510に対向し、前記凹部に対応する凸部を有する第2電極基板520と;前記電極基板間の間隙の変化が可能になるように弾性を持って前記電極基板を連結する連結部(図示せず)と;を含むように構成される。
【0071】
また、伝導性液体560に接触する第1電極基板510の面または第2電極基板520の面のうち少なくとも一つに形成されたエネルギー変換層であって、間隙の変化に従って電気エネルギーを発生するエネルギー変換層をさらに含む。
【0072】
本発明の他の実施形態による液体を利用するエネルギー変換装置は、エネルギー変換層において、伝導性液体560との接触面、接触角および接触面積のうち少なくとも一つの変化に従って、第1電極基板510と第2電極基板520に含まれた電極の電気静電容量が変化し、電気エネルギーを発生する。
【0073】
本発明の好ましい一実施形態によれば、伝導性液体660は、水銀、リチウム、ガリウム、カリウム、NaK、ビスマス、スズ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金などを使用することができ、比抵抗範囲が1μΩcm〜1000μΩcmであり、比誘電率(K)が5以下であることが好ましい。
【0074】
本発明の好ましい一実施形態によれば、親水性物質層650は、エネルギー変換層630、640上に、伝導性液体660が電極基板610、620との接触面の変化が容易になるように積層される。
【0075】
本発明の好ましい一実施形態によれば、親水性物質層650は、ポリアクリル酸(PAA)、アクリルアミド、無水マレイン酸共重合体、メタクリル酸塩、エタクリレート、アミン作用性重合体、アミン−官能基を有する重合体、ポリスチレンスルホン酸塩(PSS)、ビニル酸、ビニルアルコール、または−NH、−CO−、アミノ基−NH、水酸基−OH、カルボキシル基−COOHのうち少なくともいずれか一つの官能基を含む物質よりなる。
【0076】
その他、伝導性液体を利用する前記実施形態において、第1電極基板610または第2電極基板620を構成する電極であるか、基板の素材、無機物層630、有機物層640の特徴と構造、本発明のエネルギー変換装置を複数個使用することなどに関連した技術的事項は、先立ってイオン性液体または水を使用した実施形態あるいは図2図3及び図4a〜図4bで説明された内容によって構成されることができ、詳しい内容を省略する。
【0077】
本発明は、前述したように、異種の液体を2種類以上使用する従来に比べてチャネル内の目詰まり現象、混じり現象を防止することができ、また、潤滑層を必要としない。
【0078】
また、従来の技術は、電極絶縁膜の構造を1層の自己集合分子単層(self assembly molecular monolayer)と1層の誘電層または2層以上の不導体層またはこれらの多様な組合を制限しているが、本発明は、エネルギー変換効率を最適するための構造を提案する。すなわち、第1電極基板または第2電極基板のうち液体との接触面、接触角、接触面積のうち少なくともいずれか一つが変化する一方の基板に(積層手順によって)電極/無機物層/有機物層/(疎水性物質層、親水性物質層のうち液体の種類によって選択される)または電極/有機物層/無機物層/(疎水性物質層、親水性物質層のうち液体の種類によって選択される)の構成を有するようにし、第1電極基板及び第2電極基板の両方に(積層手順によって)電極/無機物層/有機物層/(疎水性物質層、親水性物質層のうち液体の種類によって選択される)または電極/有機物層/無機物層/(疎水性物質層、親水性物質層のうち液体の種類によって選択される)の構成を有するように変更されることができる。
【0079】
なお、従来の技術は、伝導性液体を利用するに際して分極のための外部電源の印加を必要としたが、本発明では、エネルギー変換層がイオン性液体を分極する役目を行い、外部電源の印加が不要である。
【0080】
また、本発明は、特に車道及び人道用エネルギー変換装置においてその利用可能性が非常に高くて、水またはイオン性液体を収納できる形態の下部装置と上部装置との間には、弾性体を位置させて、外部から物理的な力が加えられたとき、上部装置の一部が下部装置の液体に接触しながら接触角と接触面積の変化をもたらし、これにより、機械的エネルギーを電気エネルギーに変換する結果をもたらす。
【0081】
以上では、本発明の好ましい実施形態及び応用例について図示して説明したが、本発明は、前述した特定の実施形態及び応用例に限定されず、請求範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなく、当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって多様な変形実施が可能なことはもちろん、このような変形実施は、本発明の技術的思想や見込みから個別的に理解されるべきものではない。
【符号の説明】
【0082】
210 第1電極基板
220 第2電極基板
230 無機物層
240 有機物層
250 疎水性物質層
260 イオン性液体または水
270 連結部
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図5