(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5956087
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】ガスタービン装置の操作方法及び様式
(51)【国際特許分類】
F02C 7/22 20060101AFI20160707BHJP
F02C 3/10 20060101ALI20160707BHJP
F02C 3/22 20060101ALI20160707BHJP
F02C 3/30 20060101ALI20160707BHJP
F02C 6/18 20060101ALI20160707BHJP
【FI】
F02C7/22 D
F02C3/10
F02C3/22
F02C3/30 C
F02C6/18 A
F02C7/22 A
F02C7/22 B
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-546422(P2015-546422)
(86)(22)【出願日】2013年12月27日
(65)【公表番号】特表2016-506488(P2016-506488A)
(43)【公表日】2016年3月3日
(86)【国際出願番号】RU2013001176
(87)【国際公開番号】WO2015069137
(87)【国際公開日】20150514
【審査請求日】2014年11月13日
(31)【優先権主張番号】2013149403
(32)【優先日】2013年11月7日
(33)【優先権主張国】RU
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514289654
【氏名又は名称】オトクリトエ アクツィオネルノエ オブシチェストヴォ “ガスプロム”
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100121153
【弁理士】
【氏名又は名称】守屋 嘉高
(74)【代理人】
【識別番号】100178445
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 淳二
(74)【代理人】
【識別番号】100133639
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 卓哉
(74)【代理人】
【識別番号】100188994
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 裕介
(72)【発明者】
【氏名】アクシュチン オレグ エフゲニエヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】エリセーエフ ユーリー セルゲーエヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】イシコフ アレクサンドル ガヴリロヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】カザリアン バラズダト アマヤコヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】クリューチコフ ミハイル ウラジーミロヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】ペトロフ ビタリー シルヴェストロヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】ストルヤレフスキー アナトリー ヤコヴレヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】フェドルチェンコ ディミトリー ゲンナジーヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】フロップツォフ ヴァレリー ゲンナジエヴィチ
【審査官】
瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2012/060739(WO,A1)
【文献】
米国特許第05628183(US,A)
【文献】
特開2005−002928(JP,A)
【文献】
特開2009−235972(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 1/00− 9/58
F23R 3/00− 7/00
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービン(GT)内で、SMH燃焼生成物を膨張させ、ガスタービン装置(GTU)に供給された蒸気を蒸発又は再加熱することにより過熱を防止する、燃焼室内に圧縮空気及び蒸気/メタン/水素(SMH)混合物を供給するために提供されるガスタービン装置(GTU)の操作方法であって、
流入する天然ガスが高圧(HP)蒸気と混合されてメタン系蒸気/ガスの混合物が生成され、前記メタン系蒸気/ガスの混合物は、熱交換器中の前記燃焼生成物流により加熱され、かつ、ガスタービン装置(GTU)の燃焼室内に供給される蒸気/メタン/水素(SMH)混合物を生成するためにメタンを転化する触媒反応器に供給されるものであり、
熱交換処理温度は、補助動力のガスタービン排出口で抽出された蒸気/メタン/水素(SMH)混合物の燃焼生成物流中の補助燃料燃焼により上昇するが、蒸気/メタン/水素(SMH)混合物は、燃焼室に供給される前に、その蒸気の同時分縮及び凝縮物の生成により、200−240℃まで過熱防止され、前記凝縮物は、分離され、蒸発され、メタン系蒸気/ガスの混合物の生成及び補助動力のガスタービンを通過させる低圧(LP)蒸気の生成の際に消費されるものであることを特徴とするガスタービン装置の操作方法。
【請求項2】
メタン又は天然ガスか、蒸気/メタン/水素(SMH)混合物かが、蒸気/メタン/水素(SMH)燃焼生成物流で燃焼された燃料として使用されることを特徴とする請求項1に記載のガスタービン装置の操作方法。
【請求項3】
熱交換器内で、メタン系蒸気/ガスの混合物が、600−640℃まで加熱されることを特徴とする請求項1に記載のガスタービン装置の操作方法。
【請求項4】
ガスタービン装置(GTU)が、空気圧縮機と、燃焼室と、メタン転化のために、触媒反応器の注入口に、加熱側で、接続された熱交換器により、蒸気/メタン/水素(SMH)混合物の製造装置と接続されたガスタービン(GT)と、熱交換器の下流側に加熱側に設置され、その蒸気排出口で、天然ガスを供給する混合器の注入口に接続された蒸気発生器とを含むガス発生トレーンの燃焼室で燃焼される圧縮空気及び蒸気/メタン/水素(SMH)混合物を生成するための装置から構成されるガスタービン装置(GTU)であって、
前記触媒反応器の排出口は、加熱側で、ガス発生燃焼室に接続され、前記蒸気発生器注入口は、復水源に接続され;
GTの下流側に設置されたガス発生トレーンは、負荷の下での補助動力のガスタービンと、蒸気/メタン/水素(SMH)混合物燃焼生成物用の再燃焼装置とを含み、前記蒸気/メタン/水素(SMH)混合物燃焼生成物用の再燃焼装置の排出口は熱交換器注入口と接続され、再燃焼装置の注入口は補助動力のガスタービンの排出口と接続され、補助動力のガスタービンの低圧(LP)蒸気注入口は蒸気発生器排出口と接続されることを特徴とするガスタービン装置。
【請求項5】
前記蒸気発生器が、再燃焼装置及び熱交換器に、並列に配置されることを特徴とする請求項4に記載のガスタービン装置。
【請求項6】
触媒反応器排出口で過熱防止された前記蒸気/メタン/水素(SMH)混合物が、復水の添加源であることを特徴とする請求項4又は5に記載のガスタービン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
提案される技術は、電気発生の操作結果のため、又は車両及び長距離ガスパイプライン圧縮機として使用されるガスタービン装置(GTU)に関し、特に、発電及び輸送目的のために適用され、燃料消費及び排出ガス熱回収がより低いことによって特徴付けられるガスタービン装置(GTU)の操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天然ガスをガスタービン燃料として用いることは、蒸気タービン(ST)及び蒸気混合天然ガス燃焼法の組み合わせにより、ガスタービン(GT)装置の効率を高める技術の発展に寄与した。
【0003】
また、提案される技術は、GT/ST供給目的のために使用される炭化水素ガス・蒸気・混合物の化学変換による消費電力及び放出の有意な減少を特徴とする新たなGTUの様式を対象とする。
【0004】
当技術の現状は、圧縮機流路内への水噴射を提供するコンバインドサイクルガスタービン(CCGT)装置と、熱回収蒸気発生器(HRSG)内のGT排出ガス熱回収と、直接接触式復水器内のGT作動媒体からの蒸気及び1.05−1.1の過剰空気を含む燃焼室内で燃焼した燃料の凝縮の効率を高める方法を含む。独立型操作方法の場合、GT注入口での作動媒体温度は、HRSGから完成した燃料(completed combustion)/燃焼室の1つ及びGTと組み合わせたSTの再生した浮き水に供給される蒸気又はCCGTサイクル配置内の蒸気発生器からの蒸気によって制御される(特許文献1)。
【0005】
上述の方法を実行するために、CCGT装置は、主燃焼空気圧縮機と、GTと組み合わされたSTと、蒸気凝縮のための直接接触式復水器と、CCGT装置の独立運転を確実にする蒸気発生器とを含む。
【0006】
前記方法及び装置の欠点は、組み合わされたST及びGTの使用が、完全なCCGT作動機構をより複雑で、高価なものとすることである。また、当技術の現状は、高度な熱回収及び排出削減のための包括的システムを備えたGTUの操作方法及び様式を含む(特許文献2)。かかる装置の操作方法は、空気圧縮のために提供され、燃焼室と、液体燃料の場合、1.02−1.05及び1.05−1.10の燃焼帯の空気過剰係数の減少を有する燃焼室内のガス燃料燃焼と、GT内の燃焼生成物の膨張と、タービンの下流の燃焼後の未燃の燃料と、圧縮機及び燃焼室内への水噴射とを供給する。
【0007】
特許文献3に記載されるガスタービン装置(GTU)様式は、GTU空気/ガス回路内に直列に接続されるガス供給管を有する圧縮機及び燃焼室と、圧縮機及び発電機に機械的に結合されたガスタービン(GT)と、熱媒体注入口及び排出口管を有する加圧型エコノマイザーと、前記発電機に機械的に結合された燃焼生成物ターボ膨張器(ターボエキスパンダ)と、冷凍機、注入口/排出口燃料ラインを有する回復燃料ヒータ及び加熱導管内の供給ガスとを含む。以下の装置トレーンは、ガス回路内のGTの下流側に設置される:エコノマイザー又は蒸気発生器、表面復水器又は接触面復水器及び乾燥器、表面ガス−水式熱交換、消音器及びターボエキスパンダの下流側に設置された排気筒。圧縮機は、フィルターを通過させる吸気口と、表面空気−水熱交換器又は接触表面空気−水熱交換器と、空気回路注入口に沿って直列に配設される消音器とに連結される。
【0008】
また、上述の操作方法及び装置は、過剰空気の欠如及びGT流路での作動媒体の流速の減少による低効率によって特徴付けられる。
【0009】
当技術の現状からわかるように、コンバインドサイクルガスタービン(CCGT)装置の操作は、いわゆるSTIG(蒸気噴射ガスタービン)サイクルに基づき、蒸気がGT燃焼室に直接噴射される。このサイクルの間に、排出熱交換器により生成されるあらゆる蒸気は、GT燃焼室に供給され、その後、生成される蒸気/ガスの混合物が、GT内で膨張し、排出熱交換器を通過させた後に、大気中に、放出される。
【0010】
タービン流路中への蒸気噴射により、タービンの上流側のガス温度を上昇させることなく、出力を60−70%増加させ、効率を約25%(rel.)増加させることが可能となる。STIGサイクルの欠点は、循環水を完全に失うことである。
【0011】
提案している技術のプロトタイプは、GT内で燃焼生成物を膨張させ、蒸発又は高圧の(HP)蒸気の再加熱により、燃焼生成物を過熱防止し、燃焼生成物内に含まれる低圧の(LP)蒸気を凝縮し、GTUに供給されるHP蒸気の結果として得られる復水を蒸発させ、再加熱させる燃焼室内の圧縮空気及びメタン系蒸気/ガスの混合物を供給するために提供されるガスタービン装置(GTU)の操作方法(特許文献4)であり、前記GTUでは、流入する天然ガスは、前記HP蒸気と逐次に混合され、メタン系蒸気/ガスの混合物の燃焼生成物により第1熱交換器内で加熱され、その後、第2の熱交換器内で加熱され、前記メタン系蒸気/ガス混合のガスを生成する触媒反応器を通過させ、第2の触媒反応器を通過させ、燃焼室に供給される。メタン触媒転換産物は、アークを形成させることにより、1−5%又は20%を超える水素含有量を特徴とするメタン系ガスを生じる。
【0012】
上述の方法で操作される装置は、以下の様式を有する:空気圧縮機と、燃焼室と、蒸気/ガスの混合物熱交換器を有するタービンとから成るガス発生トレーンであって、下流側に設置された前記蒸気/ガスの混合物熱交換器は、その加熱側が、メタン触媒反応器の注入口に連結され、加熱側にあるメタン触媒反応器の排出口は燃焼室に連結される。下流の熱交換器の加熱側は、蒸気/ガスの混合ヘッダ入口に連結された蒸気回路を有する蒸気発生器である。ヘッダ入口は、天然ガス源及びその排出口と、加熱側にある熱交換器の注入口とに連結される。
【0013】
特許文献4から分かるようにGTUの操作方法及び様式は、消費される燃料の高エネルギー効率を達成せずに、上述の技術の欠点を部分的に解消するだけである。他の欠点は、その性能に対する、タービン上流にある作動媒体のパラメータの効果により、装置出力の上昇を制限することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】露国特許出願第2005−102152号明細書2006年7月10日
【特許文献2】露国特許出願第2000−131473号明細書2003年1月20日
【特許文献3】露国特許出願第2000−131473号明細書
【特許文献4】露国特許第2467187号明細書2012年11月20日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
提案される操作方法の開発の際に、解決された技術的課題は、GTUの操作により、上述の欠点を排除し、消費されるエネルギー及び排出物の最大限の減少を達成することが可能であることである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述の装置様式を開発することに関連した解決された課題は、より簡便な様式を特徴とする新たな型のGTUを製造すると共に、GTUガス発生器でのメタン/水素又は蒸気/メタン/水素(SMH)の混合物の生成に伴う天然ガスの蒸気触媒転換に使用される排出ガス熱の化学的再生から生じる高出力及び高効率を得ることである。
【0017】
GTUのプロトタイプに対して提案される様式の開発から達成される技術的結果は、排出された燃焼生成物エネルギーのより完全な回収により性能を増強することである。
【発明の効果】
【0018】
提案されるGTUの操作方法の開発の際に達成される有利な効果は、4−8倍まで温度とNOx排出とを減少させ、14.8%まで天然ガスの消費を減少させ、効率を3.41%(abs.)上昇させることである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、GTUの操作方法及び様式の概略図を示す。前記図からわかるように、GTUは、空気(2)を圧縮するための圧縮機(1)、SMH混合物(4)を燃焼させ、燃焼生成物(5)を排出させるための燃焼室(3)、燃焼生成物(5)を膨張させ、排出口でLP燃焼生成物(7)を生成するGT(6)、負荷(9)の下での補助
動力(ancillary power)
のガスタービン(8)及び燃料(11)による再燃焼装置(10)から構成されるガス発生トレーンを含む。
【発明を実施するための形態】
【0020】
装置操作に関する課題は、GT内で
SMH燃焼生成物を膨張させ、GTUに供給される蒸気を蒸発又は再加熱することにより過熱防止する燃焼室内の圧縮空気及びSMH混合物を供給するために提供される既知のGTUの操作方法であって、ここで、GTUでは、流入する天然ガス
が高圧(HP)蒸気と混合されてメタン系蒸気/ガスの混合物が生成され、前記メタン系蒸気/ガスの混合物は、熱交換器中の前記燃焼生成物流により加熱され、かつ、ガスタービン装置(GTU)の燃焼室内に供給される蒸気/メタン/水素(SMH)混合物を生成するためにメタンを転化する触媒反応器に供給される方法に基づいて解決された。提案する方法によると、熱交換処理温度は、
補助動力のガスタービン排出口で抽出された蒸気/メタン/水素(SMH)混合物の燃焼生成物流中の補助燃料燃焼により上昇するが、蒸気/メタン/水素(SMH)混合物は、燃焼室に供給される前に、その蒸気の同時分縮及び凝縮物の生成により、200−240℃まで過熱防止され、前記凝縮物は、分離され、蒸発され、メタン系蒸気/ガスの混合物の生成及び前記補助動力のガスタービンを通過させる低圧(LP)蒸気の生成の際に消費される。
【0021】
また、この方法は、メタン又は天然ガスか、触媒反応器から抽出されるSMH混合物かが、SMH燃焼生成物流中で燃焼する燃料として使用される場合があるという事実によって、特徴付けられる。この方法の他の特徴は、熱交換器内のメタン系蒸気/ガスの混合物が、600−640℃まで加熱されることである。
【0022】
様式に関する前記技術的結果は、空気圧縮機と、燃焼室と、メタン転化のための触媒反応器の注入口に加熱側で連結される熱交換器によりSMH混合物製造装置に連結されるGTとを含むガス発生トレーンの燃焼室内で燃焼するSMH混合物を生成するための装置からなるGTUであって、加熱側にある前記触媒反応器の排出口は、ガス発生燃焼室に連結されるGTUの使用によって達成される。加熱側にある熱交換器の下流側に設置され、天然ガスを供給する混合器の注入口と排出口で連結される蒸気発生器が提供される。蒸気発生器の注入口は、復水源に連結される。提案される配置によると、GTの下流側に設置されたガス発生トレーンは、負荷下の補助
動力のガスタービンと、排出口で熱交換器の注入口と連結され、その注入口で補助
動力のガスタービンの排出口と連結されるSMH混合物燃焼生成物のための再燃焼装置とを含み、補助
動力のガスタービンのLP蒸気注入口は、蒸気発生器の排出口に連結される。
【0023】
また、装置様式は、蒸気発生器が、再燃焼装置及び熱交換器に、並列に配置されるという事実により特徴付けられる。
【0024】
装置様式の他の特徴は、触媒反応器の排出口で、過熱防止されるSMH混合物は、復水の添加源であることである。
【0025】
提案されるGTUの操作方法は、消費電力だけでなく、燃焼の際の放出の有意な減少をもたらす燃焼生成物の熱回収による、より高い水素含有量によって特徴付けられるSMH混合物を生成するために提供される。
【0026】
典型的な高効率のガスタービン装置のための熱回収は、発電での複雑なサイクルGTU、気体ポンピング及び輸送部門の適用による再発電の必要性と、より高効率及び競争力の必要性とから生じる。
【0027】
GTU及び、CO
2トラップを有する蒸気/ガスサイクルの従来の配置とは異なり、化学的再生を備えた装置は、ガスタービンにより発生される大量の電力を用いた、GTUための燃料となるメタン/水素又は蒸気/メタン/水素の混合物の形成をもたらす天然ガスの蒸気触媒転換(改質)のための排出ガス熱を使用するために提供される。
【0028】
GT廃熱により化学剤を製造する際、GT廃熱回収のもっとも高い熱量効率が達成される場合があり、その燃料は、ガスタービンサイクル内で消費される高温の作動媒体を発生させる。これらの剤のうちの1つは、有害な燃焼生成物を含まないだけでなく、より高いタービン効率を提供する水素であり、高い空気過剰係数(水素/空気の混合物の場合、λ=9.8以下)を特徴とする非常に希薄な燃焼混合物により操作することが可能である。燃焼室内の有意な空気過剰は、排出ガス温度の大幅な減少及び検出限界にほぼ対応する信じられないほど低いNOx排出を可能にする。同時に、作動媒体の質量流量の増加は、タービンの容量増大をもたらす。また、復旧対象となることを含むGTUのための燃料ガスとして、高い水素含有量(50%以下)を有するメタン/水素の混合物を使用することは、性能を実質的に向上させることができるだけでなく、大幅に、排出を減少させることができる。提案される技術的解決法によると、天然ガスは、メタン触媒蒸気転換により水素を強化し、その吸熱性は熱入力を必要とする。ガスタービンから排出された燃焼生成物からの熱の除去は、メタン/水素の混合物に沿って燃焼室に供給される残渣によりメタン転化で部分的に使用される蒸気を生成するためと、触媒反応器に供給されるSMH混合物を加熱するために達成される。これは、最大限にGTからの燃焼生成物の排出のエネルギーを使用することを可能とする。GTU熱交換プロセスの温度を上昇させることは、高い水素含有量を有するSMH混合物の高出力に寄与し、これは、実質的には、より完全な燃料燃焼により、排出を大幅に減少する。
【0029】
SMH混合物から蒸気の特定の部分を分離することは、高い水素含有量(50%以下)を有するSMH混合物の燃焼を促進し、これにより、GTU性能を向上させ、著しく、排出を減少させることを目的とするものである。ユニットプロセスで回収するための復水の特定部分を除去することは、余剰蒸気源として機能する。
【0030】
様式に関して、GTU内の補助
動力のガスタービンの適用の有用性は、再燃焼装置に並列に設置され、HP蒸気排出口により、混合器注入口と連結され、LP蒸気排出口により、補助
動力のガスタービン注入口に連結された蒸気発生器によって生成される過剰な蒸気系作動媒体を備えた補助的なタービン回路に供電することによる、装置容量の大幅な増加によって、規定される。また、再燃焼装置を備えた装置を装備することは、実質的に、メタン触媒転換により生成されたSMH混合物の出力を増加させることに寄与し、その吸熱性は熱入力を必要とする。
【0031】
蒸気発生器の注入口は、触媒反応器排出口で過熱防止されるSMH混合物が、過剰な復水源として機能するように、SMH混合物からの復水を除去するために使用される触媒反応器に連結され、蒸気発生器の再加熱後、HP及びLP蒸気を生成する。
【0032】
天然ガス(13)に基づくSMH混合物(4)を製造する装置は、メタン系蒸気/ガスの混合物を製造する混合器(14)と、その排出口で加熱されたメタン系蒸気/ガスの混合物(16)を発生させる熱交換器(15)と、SMH混合物(4)及び復水(18)を発生させるメタン転化のための触媒反応器(17)と、HP蒸気(20)及び過熱防止された燃焼生成物(22)の抽出物を有するHP蒸気(21)を製造する蒸気発生器(19)とを含む。
【0033】
GTUが、提案された操作方法を実施するために設計された。
【0034】
GTU様式の例は、以下の通りである。以下で示される図のように、GTUは、燃焼室(3)内で、燃焼させたSMH混合物(4)を発生する装置(12)と、空気(2)を圧縮させるための圧縮機(1)、燃焼室(3)及びGT(6)を含むガス発生トレーンとを含み、GT(6)の下流には、負荷(9)下の補助
動力のガスタービン(8)及び直列に設置されたSMH混合物(4)の供給燃料(11)再燃焼装置(10)がある。再燃焼装置(10)は、その排出口で、熱交換器(15)の注入口(15)と連結され、その注入口で、補助
動力のガスタービン(8)の排出口と連結される。
【0035】
発電機、長距離ガスパイプラインでの天然ガス圧縮機又は車両駆動は、補助
動力のガスタービン(8)のための負荷(9)として機能する。
【0036】
SMH混合物(4)を生成する装置(12)は、熱交換器(15)によるGTUガス発生器に機能的に連結され、天然ガス(13)を供給した混合器(14)と、触媒反応器(17)の注入口に加熱側で連結された熱交換器(15)とを含み、その排出口は、加熱側で、ガス発生器の燃焼室(3)に連結される。SMH混合物(4)の出力を増加させ、その安定化を確保するために、触媒反応器(17)は、同じ触媒を充填した2個の反応器に分割することができる。
【0037】
HP蒸気排出口(20)で、混合器(14)の注入口と連結され、LP蒸気排出口(21)で、補助
動力のガスタービン(8)注入口と連結された蒸気発生器(19)は、再燃焼装置(10)及びその加熱側にある熱交換器(15)と並列に設置される。
【0038】
蒸気発生器(19)の注入口は、過熱防止されたSMH混合物(4)から復水(18)を除去するために、その一端で、触媒反応器(17)と連結され、他端で、熱交換器(15)の排出口と連結された。よって、触媒反応器(17)の排出口で、過熱防止されたSMH混合物は、HP蒸気(20)及びLP蒸気(21)を生成する蒸気発生器(19)のために、過剰な復水源(18)として機能する。
【実施例1】
【0039】
GTUの操作方法に関しては、提案された技術的解決法の例が、以下に挙げられる。
【0040】
負荷(9)下での補助
動力のガスタービン(8)が、SMH混合物(4)を生成するための装置(12)での燃料燃焼によって作動される。このために、ガス発生器の燃焼室(3)には、同時に、触媒反応器(17)からSMH混合物(4)と、圧縮機(1)から空気(2)とが供給される。燃焼室(3)からの燃焼生成物(5)はGT(6)に供給され、ここで、それらは、膨張中、負荷(9)下の補助
動力のガスタービン(8)にさらに供給するLP燃焼生成物(7)を生成する。
【0041】
SMH混合物(4)を生成するための装置(12)は、排出ガス熱エネルギーにより作動され、これにより、熱交換処理温度が、補助
動力のガスタービン(8)の排出口で抽出されたLP SMH混合物(7)燃焼生成物流内の再燃焼装置(10)内の燃料(11)の再燃焼によって、上昇する。
【0042】
燃料(11)の酸化により、下流側に設けられた熱交換器(15)に供給されるLP燃焼生成物(7)流がより高温となる。メタンか、天然ガス又はSMH混合物かは、再燃焼装置(10)内で燃焼される燃料(11)として使用される。
【0043】
SMH混合物(4)を生成するために、天然ガス(13)が、蒸気発生器(19)により生成されるHP蒸気(20)と混合するために、混合器(14)に供給される。その後、混合器(14)によって生成されるメタン系蒸気/ガスの混合物は、熱交換器(15)に供給され、上述の通り、その加熱流は、再燃焼装置(10)から除去されるLP SMH混合物(7)の再加熱された燃焼生成物流である。
【0044】
メタン系蒸気/ガスの混合物は、メタン転化のために、触媒反応器(17)に、排出口で、供給されるメタン系蒸気/ガスの混合物(16)流を生成するために、熱交換器(15)内で、600−640℃まで加熱される。熱交換器(15)内で過熱防止された燃焼生成物流が、蒸気発生器(19)に供給される。熱交換器(15)内で過熱防止された燃焼生成物流は、HP蒸気(20)及びLP蒸気(21)を蒸発させ、再加熱することによる後冷却のために提供される蒸気発生器(19)に供給され、これにより、IIP蒸気が混合器(14)に供給され、LP蒸気(21)が負荷(9)の下での補助
動力のガスタービン(8)を通過する。蒸気発生器(19)内で冷却され、少量のNOxを含有する低温の燃焼生成物(22)が、大気中に、排出された。
【0045】
メタン転化プロセスの結果、触媒反応器(17)は、以下の例で、示される予め設定されたパラメータを有するSMH混合物(4)を生成する。
【0046】
触媒反応器(17)の排出口では、SMH混合物(4)は、混合物(4)に含有される蒸気の同時分縮と、蒸気発生器(19)の過剰な給水源として、その後、使用される復水(18)の形成により、事前に、反応器(17)に内蔵されるガス−水式熱交換器(図面で省略される)で、200−240℃までに過熱防止される。このために、復水(18)がSMH混合物(4)及び触媒反応器(17)から分離され、抽出され、その後、蒸気発生器(19)に供給され、ここで、復水(18)が混合器(14)に供給されたHP蒸気(20)及び負荷(9)下の補助
動力のガスタービン(8)を通過するLP蒸気(21)を生成するSMH混合物(4)燃焼生成物により放出される熱により蒸発する。
【0047】
よって、SMH混合物(4)を生成する装置(12)は、同時に、ガス発生器のために、補助
動力のガスタービン(8)を作動させるHP蒸気(20)及びLP蒸気(21)のための燃料を発生する。また、装置(12)は、大気中の低温及び少量のNOx燃料生成物(22)を分離及び排出するために、使用される。以下の表は、触媒反応器(17)から抽出されたSMH混合物の組成及び熱的特性を示す。
【0048】
【表1】
【0049】
乾性ガスに関して、触媒反応器(17)の排出口でのSMH混合物に含有される水素濃度は、40%近い。
【0050】
SMH混合物(4)及びHP蒸気(20)流の圧力は、GT(6)注入口圧力にできるだけ近い2.0−8.0MPaに維持される。装置(12)内の触媒反応器(17)は、2個の反応器に分けることができ、これにより、メタン系蒸気/ガスの混合物(16)中のメタンは、第1及び第2の触媒反応器内で、熱を供給せずに、以下の金属に基づく、単一型触媒を用いて、交互に変換される、ニッケル、鉄、プラチナ、パラジウム、イリジウム又はそれらの化合物。熱中性子を吸収する重金属の耐火性化合物を含有する触媒の分割されたブリケットは、溶解の機械的効果に対して保護される。分割されたブリケットフレームの断面は、歯車形状である。
【0051】
触媒反応器(17)の性能を向上させるために、流入する天然ガス(13)は、脱硫目的のために、前処理される。