【実施例】
【0019】
実施例1:
ホスホロチオ酸オリゴヌクレオチドは、本発明の方法に従って、1,3,5−トリメチルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジンを実質的に含有しないN−メチルイミダゾールのキャッピング剤を使用しながら、合成することができる。
【0020】
図2を参照すると、CPG固体支持体に結合している第一の塩基であるシチジンヌクレオチドは、活性部位がすべて保護されているので最初は不活性である。次の塩基を付加させるために、5’−ヒドロキシル基を保護しているジメトキシトリチル(DMT)基を除去しなければならない(デブロッキング工程)。DCM(ジクロロメタン)中(またはトルエン中)の3%DCA(ジクロロ酢酸)を添加することで、DMT基が除去され、5’−ヒドロキシル基が反応部位になることが可能になる。
【0021】
次の塩基モノマーは、活性化される(活性化工程)まで付加することはできない。活性化は、5−エチルチオテトラゾールのようなテトラゾール系アクチベーターなどのアクチベーターをカラムに添加することによって行われる。前述した塩基の活性な5’−ヒドロキシル基と、新たに活性化されたリンとが結合して、この2つの塩基が一緒に緩く結合する。これによって、不安定なホスファイト結合が形成される。次いで、この反応カラムをアセトニトリルで洗浄して、過剰のアクチベーター、未結合のホスホロアミダイト、および副生物を除去する。DMTで保護されたヌクレオチド(ホスホロアミダイト)は4種類あり、
図3に示されている。
【0022】
反応しなかった第1の塩基はいずれも、
図4に示すようにNMI(N−メチルイミダゾール)でキャッピングする(キャッピング工程)。これらの反応しなかった塩基は、合成サイクルにおいてさらに役割を果たすことはない。左側の塩基(固体の支持体にすでに結合されている)は、活性化工程で塩基に結合しなかった。未反応の5’−ヒドロキシルは、アセチル化によるさらなる反応でブロッキングされる。
【0023】
活性化工程で、次の所望の塩基を、前の塩基に付加し、不安定なホスファイト結合を形成する。この結合を安定化するために、水およびピリジンに溶かした希ヨウ素酸化溶液を反応カラムに添加する。不安定なホスファイト(phosphite)結合を酸化して、より安定なホスフェイト(phosphate)結合を形成する(酸化工程)。
【0024】
Sigma Aldrich(シグマ アルドリッチ社)のウェブサイト(SIAL.COM)から取得した1,3,5−トリメチルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジンの
1H NMRスペクトルを
図5に示す。1,3,5−トリメチルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジンのGCMSプロファイルを
図8〜10に示す。1,3,5−トリメチルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジンの同定されたGCMSピークを下記の表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
NMI(N−メチルイミダゾール)の総イオンカウント数を示すGCMSクロマトグラムを
図6に示す。不純物ピークが目に見えるように拡大したスケールで総イオンカウント数を示したGCMSクロマトグラムを
図7に示す。データは、Shimadzu(島津製作所) GCMS 2010で収集した。
【0027】
1,3,5−トリメチルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジンとそのシッフ塩基の平衡式を
図11に示す。この式は、「Infrared and NMR Spectroscopic Studies of Hexhydro−1,3,5−Trialkyltriazines(ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアルキルトリアジンの赤外線およびNMRスペクトルの研究)」、Chemia Stosowana(1973年)、17巻(3号)、359〜66頁から抜粋した。
【0028】
図12は、1,3,5−トリメチルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジンのオリゴマー化生成物を示す図である。
【0029】
実施例2:
手順に従って、表2および3に記載の材料を用いて、DNAを合成する。
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
上記の説明は本発明の例示にすぎないと理解されたい。当業者は、本発明から逸脱することなく様々な代替形態および修正形態を考案することができる。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲内に入るような代替形態、修正形態、および変形形態をすべて包含するよう意図されている。
[本発明の態様]
1.オリゴヌクレオチドまたはホスホロチオ酸オリゴヌクレオチドを製造する方法であって、次の工程:
(a)所定量のブロッキングされたヌクレオチドを準備すること;
(b)前記ブロッキングされたヌクレオチドをデブロッキングして、デブロッキングされたヌクレオチドを生成すること;
(c)前記デブロッキングされたヌクレオチドを活性化すること;
(d)前記デブロッキングされたヌクレオチドとホスホロアミダイトをカップリングして、ホスファイトオリゴマーを生成すること;
(e)所定量の無水酢酸、および1,3,5−トリメチルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジンを実質的に含有しない所定量のN−メチルイミダゾールと反応させることにより、前記デブロッキングされたヌクレオチドのうちカップリングしなかったものをキャッピングすること;
(f)前記ホスファイトオリゴマーを酸化してオリゴヌクレオチドを生成し、または前記ホスファイトオリゴマーを硫化してホスホロチオ酸オリゴヌクレオチドを生成すること;及び
(g)任意的に(b)から(f)の工程を反復すること;
を含む、前記方法。
2.前記のブロッキングされたヌクレオチドがブロッキング基を含み、前記デブロッキングが、トルエンまたはジクロロメタン中、所定量のジクロロ酢酸と接触させることによって実施される、1に記載の方法。
3.前記のデブロッキングされたヌクレオチドの活性化が、所定量のアクチベーターとの接触によって実施される、1に記載の方法。
4.前記N−メチルイミダゾールが、N−メチルイミダゾールの重量を基準にして約10ppm以下の含有量の1,3,5−トリメチルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジンを有する、1に記載の方法。
5.前記ホスファイトオリゴマーを酸化し、かかる酸化が、水およびピリジン中、所定量のヨウ素と接触させることによって実施される、1に記載の方法。
6.(b)から(f)の工程を、所望のオリゴヌクレオチド長またはホスホロチオ酸オリゴヌクレオチド長に達するまで反復する、1に記載の方法。
7.前記のブロッキングされたヌクレオチドがヘテロ環式核酸塩基のなかから選択される、1に記載の方法。
8.最初に使用する前記のブロッキングされたヌクレオチドが、支持体に共有結合している、1に記載の方法。
9.ヒドロキシル部位を有するヌクレオチドを、所定量の無水酢酸、および1,3,5−トリメチルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジンを実質的に含有しない所定量のN−メチルイミダゾールと反応させることによりキャッピングすることを含む方法。