特許第5956118号(P5956118)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東海旅客鉄道株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5956118-予測ダイヤ作成装置 図000002
  • 特許5956118-予測ダイヤ作成装置 図000003
  • 特許5956118-予測ダイヤ作成装置 図000004
  • 特許5956118-予測ダイヤ作成装置 図000005
  • 特許5956118-予測ダイヤ作成装置 図000006
  • 特許5956118-予測ダイヤ作成装置 図000007
  • 特許5956118-予測ダイヤ作成装置 図000008
  • 特許5956118-予測ダイヤ作成装置 図000009
  • 特許5956118-予測ダイヤ作成装置 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5956118
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】予測ダイヤ作成装置
(51)【国際特許分類】
   B61L 27/00 20060101AFI20160707BHJP
   G06Q 50/30 20120101ALI20160707BHJP
【FI】
   B61L27/00 H
   G06Q50/30
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-122059(P2011-122059)
(22)【出願日】2011年5月31日
(65)【公開番号】特開2012-250547(P2012-250547A)
(43)【公開日】2012年12月20日
【審査請求日】2014年4月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】深見 研一
(72)【発明者】
【氏名】近 成人
(72)【発明者】
【氏名】笠野 祐司
(72)【発明者】
【氏名】畑中 透
【審査官】 岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−072333(JP,A)
【文献】 特開平08−295238(JP,A)
【文献】 特開平07−285440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 27/00
G06Q 50/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基本ダイヤと少なくとも各種運行列車の車両性能および地上設備に関する基礎データとに基づき交通機関を運用するための予測ダイヤを作成する作成手段と、前記作成手段によって作成された予測ダイヤを表示する表示手段と、前記作成手段によって作成された予測ダイヤに対する修正入力を入力可能な入力手段と、を備え、前記作成手段が、前記入力手段に入力された修正入力に基づいて予測ダイヤを修正する予測ダイヤ作成装置であって、
前記作成手段によって作成された予測ダイヤにおいて複数の列車の進路が交差する地点である進路交差点を列車が通過してから次の列車が同一方向または反対方向に通過するまでの間隔を前記進路交差点ごとに算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された列車の通過間隔が所定値未満である前記進路交差点をユーザの判断が必要な箇所であるユーザ判断必要箇所として特定する特定手段と、を備え、
前記表示手段は、前記特定手段によって特定された進路交差点を示す情報を前記予測ダイヤ上に表示し、
前記作成手段は、前記ユーザ判断必要箇所をユーザが選択する選択入力を前記入力手段が受け付けた場合に、その受け付けた前記ユーザ判断必要箇所に関して運行列車の入出の順序を指定する入出順序指定の代表パターンを算出し、
前記表示手段は、前記作成手段によって算出された前記入出順序指定の代表パターンを表示し、
前記作成手段は、前記表示手段によって表示された代表パターンのうち所望の代表パターンをユーザが選択する選択入力を前記入力手段が受け付けた場合に、その受け付けた所望の代表パターンに基づき入出順序が反映された予測ダイヤを算出し、
前記表示手段は、前記作成手段によって算出された入出順序が反映された予測ダイヤを表示するとともに、前記ユーザ判断必要箇所を前記入出順序が反映された予測ダイヤ上に表示し、
さらに、
前記作成手段は、前記ユーザ判断必要箇所で交差する列車スジを前記表示手段に表示された前記予測ダイヤ上でユーザが順に選択する選択入力を前記入力手段が受け付けた場合に、その受け付けた前記ユーザ判断必要箇所に関する運行列車の入出の順序を指定する入出順序指定の代表パターンを算出し、その算出された代表パターンに基づき入出順序が反映された予測ダイヤを算出し、
前記表示手段は、前記作成手段によって算出された入出順序が反映された予測ダイヤを表示すること
を特徴とする予測ダイヤ作成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の予測ダイヤ作成装置において、
前記表示手段は、前記特定手段によって特定された進路交差点を示す情報を強調表示することを特徴とする予測ダイヤ作成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の予測ダイヤ作成装置において、
前記表示手段は、前記特定手段によって特定された進路交差点に関する詳細情報を前記進路交差点を示す情報として表示することを特徴とする予測ダイヤ作成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予測ダイヤにおいて複数の列車の進路が交差する地点である進路交差点におけるユーザ判断の負担を軽減するとともに、手動介入数を削減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、列車の運行状況を表示するとともに、列車の進路を制御する列車運行管理システムが知られている。
この種の列車運行管理システムは、列車の進路を制御する自動進路制御装置などを備え、大都市圏の高密度運転線区や新幹線等において、列車運行管理の高効率化、旅客サービスの向上等を図っている。
【0003】
自動進路制御装置は、各駅に設置された信号機や転轍機などの被制御設備を制御して列車の進路を構成する装置であり、予測ダイヤスジをモニタに表示させ、自動進路制御またはオペレータの手動操作で進路制御を行うことができる。
【0004】
例えば、特許文献1には、自動進路制御の一部として、列車運行の乱れなどからダイヤに矛盾が生じて自動制御では判断不可となった場合に指令員に対してどのような制御をするのかの問いかけが進路制御処理の内部で出力され、出力された問いかけに対して指令員が直感的に判断することができるように、問いかけに対して対応可能な全ての制御予定進路について、当該制御予定進路を個々に表示する技術について開示されている。
【0005】
なお、上述の自動進路制御においては、出発列車の順序関係を規定しており、ユーザである指令員が直接的に得られる出発列車の順序関係の情報が存在する。このため、運転整理時における判断材料としてユーザが得られる情報は、同一方向に関してはユーザの技量に左右されず同一である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−111309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の自動進路制御においては、表示される予測ダイヤスジにおいて、現時点の計算結果における入出順序の結果(入→出、出→入など)について規定されているだけであり、例えば手動介入の必要箇所を判断するといった運転整理時における種々の判断がユーザの技量に委ねられる。また、計算結果だけが表示されるため、その内容の適否の判断がユーザの技量に委ねられる。このように、運転整理時における種々の判断および計算結果の適否の判断がユーザの技量に委ねられるため、ユーザ判断の負担が大きく、ユーザによる手動介入数が多くなるという問題があった。
【0008】
なお、このような問題は列車の運行管理に限定されず、例えばバスなど列車以外の交通機関における運行管理においても同様に生じ得る。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、予測ダイヤにおいて複数の列車の進路が交差する地点である進路交差点におけるユーザ判断の負担を軽減するとともに、手動介入数を削減する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた本発明の予測ダイヤ作成装置においては、まず、算出手段が、前記作成手段によって作成された予測ダイヤにおいて複数の列車の進路が交差する地点である進路交差点を列車が通過してから次の列車が同一方向または反対方向に通過するまでの間隔を前記進路交差点ごとに算出する。続いて、特定手段が、前記算出手段によって算出された列車の通過間隔が所定値未満である前記進路交差点をユーザの判断が必要な箇所であるユーザ判断必要箇所として特定する。さらに、前記表示手段が、前記特定手段によって特定された進路交差点を示す情報を前記予測ダイヤ上に表示する。前記ユーザ判断必要箇所をユーザが選択する選択入力を前記入力手段が受け付けた場合に、前記作成手段が、その受け付けた前記ユーザ判断必要箇所に関して運行列車の入出の順序を指定する入出順序指定の代表パターンを算出する。そして、前記表示手段が、前記作成手段によって算出された前記入出順序指定の代表パターンを表示する。前記表示手段によって表示された代表パターンのうち所望の代表パターンをユーザが選択する選択入力を前記入力手段が受け付けた場合に、前記作成手段が、その受け付けた所望の代表パターンに基づき入出順序が反映された予測ダイヤを算出する。そして、前記表示手段が、前記作成手段によって算出された入出順序が反映された予測ダイヤを表示するとともに、前記ユーザ判断必要箇所を前記入出順序が反映された予測ダイヤ上に表示する。
【0010】
このような本発明によれば、手動介入が本当に必要な箇所に絞り込むことができるとともに、予め手動介入するのではなく、必要なタイミングでの入力が可能となり、複数の列車の進路が交差する地点である進路交差点におけるユーザ判断の負担を軽減するとともに、手動介入数を削減することができる。
【0011】
また、従来技術においては、予測ダイヤの計算結果のみが表示されるため、その内容の適否の判断がユーザの技量に委ねられていた。これに対して本発明によれば、計算結果からアルゴリズムによる計算過程をユーザが予想しやすくなり、ユーザ判断の負担を軽減することができる。
【0012】
また、本発明によれば、予測ダイヤ計算のアルゴリズムの検証が容易となり、将来的にアルゴリズムが複雑化しても対応可能となる。
また、特許文献1に記載の技術においては、自動制御では判断不可となった場合に指令員に対して問いかけが出力される。これに対して本発明によれば、問いかけを出力しないので、ユーザが他の課題に専念することができ、ユーザ判断の負担を軽減することができる。
【0013】
また、本発明によれば、ユーザ判断の緊急度が高い進路交差点を特定して予測ダイヤ上に示すので、ユーザ判断を行うに際してその優先順位が把握しやすく、ユーザ判断の負担を軽減することができる。
【0014】
この場合、表示手段が、特定手段によって特定された進路交差点を示す情報を強調表示することが考えられる。
なお、強調表示の具体例としては、太線にすることや、色付けをすること、その箇所にマークを表示することなどが挙げられる。
【0015】
このような本発明によれば、特定手段によって特定された進路交差点を容易に認識することができる。なお、強調表示することで表示自体を大きなものとする必要がないので、特定手段によって特定された進路交差点を容易に認識できる一方、表示手段に表示される他の情報を視認する際には、上述の強調表示された進路交差点がそれほど邪魔にはならない。したがって、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0016】
また、表示手段が、特定手段によって特定された進路交差点に関する詳細情報を進路交差点を示す情報として表示することが考えられる。
このことにより、進路交差点におけるユーザ判断の負担を更に軽減するとともに、手動介入数を更に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】列車運行管理システム100の概略構成図
図2】列車進路制御処理(1)のフローチャート
図3】(a)ターミナル駅における進入・進出パターンの説明図、(b)ターミナル駅における進出・進入パターンの説明図
図4】(a)中間駅における進出・出庫パターンの説明図、(b)中間駅における出庫進出パターンの説明図、(c)中間駅における進出入庫パターンの説明図、(d)中間駅における入庫進出パターンの説明図
図5】列車進路制御処理(2)のフローチャート
図6】列車進路制御処理(2)の説明図
図7】入出順序指定の入力方法の説明図(1)
図8】入出順序指定の入力方法の説明図(2)
図9】入出順序指定の入力方法の説明図(3)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施形態を図面とともに説明する。なお、本発明は下記実施形態に限定されるものではなく、様々な態様にて実施することが可能である。また、本実施形態では、本発明を列車の運行管理を適用した例であるが、本発明は例えばバスなど列車以外の交通機関における運行管理に適用可能である。
【0019】
図1に示す列車運行管理システム100は、列車の運行状況を表示するとともに列車の進路を制御するシステムであり、MAP(運行表示系計算機)やPRC(進路制御系計算機)、EDP(情報処理系計算機)などによって構成される。
【0020】
以下に、本発明の特徴を有するPRCについて説明する。
なお、列車運行管理システム100のPRC以外の構成については公知技術に従うのでここではその詳細な説明は省略する。
【0021】
[1.PRCの説明]
PRCは、周知のコンピュータであり、CPU、ROM、RAM、入出力回路であるI/Oおよびこれらの構成を接続するバスライン、入力操作からの信号の処理を行なう信号処理回路、表示部1を制御するための信号出力回路等を備えている。CPUは、ROMおよびRAMに記憶された制御プログラムおよびデータにより制御を行なう。ROMは、プログラム格納領域とデータ記憶領域とを有している。プログラム格納領域には制御プログラムが格納され、データ記憶領域には制御プログラムの動作に必要なデータが格納されている。また、制御プログラムは、RAM上にてワークメモリを作業領域とする形で動作する。また、制御部3は、後述する列車進路制御処理(1)や列車進路制御処理(2)などの各種処理を実行する。
【0022】
また、PRCは、外部の表示部に接続され、予測ダイヤなどの各種情報を表示可能である。
また、PRCは、外部の入力部に接続され、入力部から各種情報をユーザによって入力可能である。
【0023】
なお、PRCは、表示部、入力部、作成手段、算出手段、特定手段に該当する。
また、PRCは、外部の記憶媒体に接続され、施策目標とする予測ダイヤを作成するために必要なデータファイルとして基本ダイヤを示すデータおよび地上設備や車両性能等のデータを記憶媒体から取得可能である。
【0024】
また、PRCは、列車運行管理システム100のデータネットワークに接続され、列車運行管理システム100の各種構成要素と通信を行う機能を有する。
[2.列車進路制御処理(1)の説明]
次に、PRCが実行する列車進路制御処理(1)について図2のフローチャートおよび図3図4を参照して説明する。
【0025】
本処理は、PRCが通電状態にある際に本処理を実行する旨の指示によって実行される。
まず、最初のステップS110では、ダイヤ予測処理の前半部分の処理を実行する。ここでは、所定時間ずつ進めながら、施策目標とする予測ダイヤを作成する。
【0026】
続いて、入出順序逆転条件までの余裕時分を算出する(S120)。ここで余裕時分とは、予測ダイヤにおいて列車の進路が交差する進路交差点を列車が通過してから次の列車が同一方向または反対方向に通過するまでの間隔を云う。なお、余裕時分の算出処理については、進路交差点ごとに実行する。
【0027】
なお、進路交差点としては、例えば東海道新幹線における東京駅や新大阪駅などのターミナル駅における進入・進出パターン(図3(a)参照)、ターミナル駅における進出・進入パターン(図3(b)参照)、東海道新幹線における三島駅などの中間駅における進出・出庫パターン(図4(a)参照)、中間駅における出庫・進出パターン(図4(b)参照)、中間駅における進出・入庫パターン(図4(c)参照)、中間駅における入庫・進出パターン(図4(d)参照)が挙げられる。ターミナル駅における進出・進入パターンにおいては、番線の線表示があり、列車線が垂直になる。また、このパターンでは、判断箇所の抽出は容易だが、判断箇所の個数が多くなる。また、中間駅における進出・入庫パターンおよび中間駅における入庫・進出パターンにおいては、同一方向の列車間で交差障害が発生するので判断箇所の抽出が困難である。
【0028】
続いて、ダイヤ予測処理の後半部分の処理を実行する(S130)。具体的には、S120の処理を実行することによって生じた予測ダイヤの修正や、予測ダイヤの外部の記憶媒体への記憶などを実行する。
【0029】
そして、本処理を終了する。
[3.列車進路制御処理(2)の説明]
次に、PRCが実行する列車進路制御処理(2)について図5のフローチャートおよび図6図9を参照して説明する。
【0030】
本処理は、列車進路制御処理(1)の終了後に続けて実行される。
まず、最初のステップS210では、予測ダイヤ表示処理の前半部分の処理を実行する。具体的には、列車進路制御処理(1)で作成した予測ダイヤを外部の表示部に表示させる。
【0031】
続いて、進路交差点における列車の入出順序を指定する入力の有無を判断する(S220)。なお、入出順序指定入力については後述する。進路交差点における列車の入出順序を指定する入力がある場合には(S220:YES)、その入力に基づいて指定された箇所に表示されるマーク(ユーザ判断必要箇所を示すマーク、後述)から、入出順序の指定がなされた旨のマークへ変更し(S230)、後述するS260に移行する。
【0032】
一方、進路交差点における列車の入出順序を指定する入力がない場合には(S220:NO)、入出順序逆転条件までの余裕時分が表示範囲内であるか否かを進路交差点ごとに判断する(S240)。ここでは、判断レベルが「低」、「中」、「高」の何れかである場合には前記余裕時分が表示範囲内であると判断し、判断レベルが「なし」である場合には前記余裕時分が表示範囲内ではないと判断する。入出順序逆転条件までの余裕時分が表示範囲内である場合には(S240:YES)、余裕時分が表示範囲内である進路交差点をユーザ判断が必要な箇所(ユーザ判断必要箇所)としてマークをS210で表示した予測ダイヤ上に重ねて表示し(S250)、後述するS260に移行する。なお、S250では、予測ダイヤ図のユーザ判断必要箇所のマークにカーソルを合わせると、このユーザ判断必要箇所に関する詳細情報が表示される。なお、詳細情報としては、余裕時分を示す情報や余裕時分に対応する判断レベル、入出順序を示す情報などが挙げられる(図6参照)。これは、予測ダイヤ図内にユーザ判断必要箇所の詳細情報を常時表示させてもよいが、このようにすると予測ダイヤの視認性が損なわれることによる措置である。また、予測ダイヤの視認性を損なわず、判断レベルの高さを直感的に把握するため、判断レベル「高」を赤色、判断レベル「中」を橙色、判断レベル「低」を青色でそれぞれ表示する。
【0033】
一方、入出順序逆転条件までの余裕時分が表示範囲内ではない場合には(S240:NO)、後述するS260に移行する。
S260では、予測ダイヤ表示処理の残りの処理を実行する。具体的には、S220〜S250の処理を実行することによって生じた予測ダイヤの表示内容の変更や、予測ダイヤの外部の記憶媒体への記憶、予測ダイヤの外部への通信などを実行する。
【0034】
そして、本処理を終了する。
なお、入出順序指定入力は外部の入力部を介して次の(1)〜(3)のように行われる。
【0035】
(1)予測ダイヤ上でユーザ判断必要箇所のマークがクリックされたら(図7(a)参照)、入出順序指定の代表パターンを算出して表示し(図7(b)参照)、所望のパターンがクリックされたら、入出順序が反映された予測ダイヤを算出して表示するとともに予測ダイヤ上にユーザ判断必要箇所のマークを表示する(図7(c)および図7(d)参照)。
【0036】
(3)また、予測ダイヤ上で入力済みのユーザ判断必要箇所のマークがクリックされたら(図9(a)参照)、入力済みの入出順序指定の代表パターンの取消および変更可能な入出順序指定の代表パターンを表示し(図9(b)参照)、取消がクリックされたら、入出順序指定が取り消された予測ダイヤを算出して表示するとともに予測ダイヤ上にユーザ判断必要箇所のマークを表示し(図9(c)参照)、一方、所望のパターンがクリックされたら、入出順序が反映された予測ダイヤを算出して表示するとともに予測ダイヤ上にユーザ判断必要箇所のマークを表示するようにしてもよい(図9(d)参照)。
【0037】
[4.実施形態の効果]
(1−1)このように本実施形態のPRCによれば、予測ダイヤにおいて複数の列車の進路が交差する地点である進路交差点を列車が通過してから次の列車が同一方向または反対方向に通過するまでの間隔(余裕時分)を進路交差点ごとに算出し、算出された余裕時分に基づき余裕度合いを判断し、余裕度合いがあまりない進路交差点を示す情報を予測ダイヤ上に表示する。このことにより、手動介入が本当に必要な箇所に絞り込むことができるとともに、予め手動介入するのではなく、必要なタイミングでの入力が可能となり、複数の列車の進路が交差する地点である進路交差点におけるユーザ判断の負担を軽減するとともに、手動介入数を削減することができる。
【0038】
(1−2)また、従来技術においては、予測ダイヤの計算結果だけが表示されるため、その内容の適否の判断がユーザの技量に委ねられていた。これに対して本実施形態のPRCによれば、予測ダイヤの計算結果からアルゴリズムによる計算過程をユーザが予想しやすくなり、ユーザ判断の負担を軽減することができる。
【0039】
(1−3)また、予測ダイヤ計算のアルゴリズムの検証が容易となり、将来的にアルゴリズムが複雑化しても対応可能となる。
(1−4)また、特許文献1に記載の技術においては、自動制御では判断不可となった場合に指令員に対して問いかけが出力される。これに対して本実施形態のPRCによれば、問いかけを出力しないので、ユーザが他の課題に専念することができ、ユーザ判断の負担を軽減することができる。
【0040】
(1−5)また、本実施形態のPRCによれば、ユーザ判断の緊急度が高い進路交差点を特定して予測ダイヤ上に示すので、ユーザ判断を行うに際してその優先順位が把握しやすく、ユーザ判断の負担を軽減することができる。
【0041】
(2)また、本実施形態のPRCによれば、余裕時分が表示範囲内である進路交差点をユーザ判断必要箇所としてマークを表示するなど強調表示するので、当該進路交差点を容易に認識することができる。なお、太線や色付けで強調表示するようにしてもよい。強調表示することで表示自体を大きなものとする必要がないので、特定された進路交差点を容易に認識できる一方、表示される他の情報を視認する際には、上述の強調表示された進路交差点がそれほど邪魔にはならない。したがって、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0042】
(3)また、本実施形態のPRCによれば、予測ダイヤ図のユーザ判断必要箇所のマークにカーソルを合わせると、このユーザ判断必要箇所に関する詳細情報(余裕時分、判断レベル、入出順序)が表示されるので、当該進路交差点におけるユーザ判断の負担を更に軽減するとともに、手動介入数を更に削減することができる。
【符号の説明】
【0043】
100…コムトラックシステム
図1
図2
図3
図4
図5
図8
図9
図6
図7