【実施例】
【0016】
以下に、遊技機の球発射装置にかかる実施例につき、図面を参照して説明する。
(実施例1)
本例の遊技機10の球発射装置1は、
図1、
図2に示すごとく、ベース部材2と、ベース部材2の一方面201に配設されたコア3と、コア3における間隙部30に回転可能に配置されたロータ5と、ベース部材2の他方面202に対向してロータ5に設けられた打球槌6と、コア3に外装され、マグネットワイヤ43を巻き付けたボビン42によって構成されるコイル4とを備えている。
図3に示すごとく、ベース部材2には、コイル4の一部を収容する収容部21が形成されている。収容部21は、打球槌6の可動範囲に対向する位置において、打球槌6に接触しない範囲内で、他方面202側に突出している。
【0017】
以下に、本例の遊技機10の球発射装置1につき、
図1〜
図5を参照して詳説する。
本例の遊技機10は、遊技球としてのパチンコ球を、遊技領域へ発射させてパチンコ遊技を行うパチンコ遊技機である。本例の球発射装置1は、コイル4への通電によって生じる磁気吸引力(磁力)を利用して遊技球を打球するものである。
図3に示すごとく、ベース部材2は、コア3から発せられる熱を放熱しやすくするために、アルミニウムのダイキャスト品によって形成されている。コア3は、その一方の表面を、ベース部材2の一方面201に密着させて、ベース部材2にネジで固定される。ベース部材2は、コア3及びコイル4の一方側におけるカバーの機能を兼ねることになる。
【0018】
同図に示すごとく、コア3及びコイル4は、ベース部材2にビス等によって取り付けられるカバー部材26によって覆われる。コア3及びコイル4は、一方側がベース部材2によって覆われ、他方側がカバー部材26によって覆われる。なお、
図2においては、カバー部材26を二点鎖線で示す。
ベース部材2は、金属材料から形成する以外にも、ガラス入り樹脂を射出成形して形成することができる。この場合には、ベース部材2の放熱効果及び強度を維持しつつ、寸法精度の安定化及びコストダウンを図ることができる。
【0019】
図5に示すごとく、コア3及びコイル4が配設された、ベース部材2の一方面201は、遊技機10の前面方向(遊技者に対向する側)に向けて配置され、打球槌6が配置された、ベース部材2の他方面202は、遊技機10の裏面方向に向けて配置される。
図1に示すごとく、ベース部材2の他方面202には、発射させる遊技球を発射位置(打球位置)に着座させ、発射された遊技球を所定方向へと誘導するための発射レール23と、原位置601にある打球槌6の先端部が接触する原位置ストッパー24Aと、打球位置602に回動した打球槌6の先端部が接触する打球位置ストッパー24Bとが配設されている。
【0020】
打球位置ストッパー24Bは発射レール23の上方位置に配設されている。打球位置ストッパー24Bには、発射レール23に着座された遊技球の上側部分と当接して、発射レール23とともに遊技球の発射位置への着座を安定させるための発射球受け突部244が形成されている。また、打球位置ストッパー24Bには、後述する整流器7から送り出されてくる遊技球を、発射レール23の発射位置に速やかに安定して着座させるための発射球受け壁部243が形成されている。なお、
図1において、発射位置に着座された遊技球を符号Rで示す。
【0021】
図2に示すごとく、ベース部材2は、打球槌6の可動範囲における下部に、遊技機10の前面側から打球槌6における打球部61の周辺のメンテナンスを可能にするための切欠部22を有している。また、切欠部22の前面側には、通常時において、切欠部22から遊技球等が打球槌6側に向けて侵入することを防止するための着脱(開閉)可能な保護カバー221が設けられている。メンテナンス時においては、保護カバー221を適宜開放することによって、内部に設けられる打球部61等をメンテナンスすることができる。
【0022】
図2、
図3に示すごとく、コア3は、複数の電磁鋼板をベース部材2の厚み方向に積層して形成されている。本例のコア3は、左右に配置された一対の左右コア部33と、一対の左右コア部33よりも長く、一対の左右コア部33の各上端に繋がった長コア部31と、長コア部31に対して平行な状態で、間隙部30を中間位置に設けて一対の左右コア部33の各下端に繋がった一対の短コア部32とを有している。
【0023】
コア3は、互いに平行に配置された長コア部31及び一対の短コア部32と、互いに平行に配置された一対の左右コア部33とによって、一対の短コア部32の間に間隙部30を有する略四角環形状に折れ曲がって略C形状に形成されている。また、コア3は、間隙部30が下側に位置する状態で、横長状にベース部材2に密着してビスで固定されている。なお、長コア部31の長さ寸法と、一対の短コア部32及び間隙部30を合わせた長さ寸法とは、略同一になっている。
本例のコイル4は、2つに分割されたボビン42に、マグネットワイヤ43をそれぞれ巻き付けて、ほぼ同じ形状、構造を有する一対の分割コイル41として形成されている。各分割コイル41は、ロータ5に近い位置に配設されており、コア3に発生させる磁力を、損失を抑えつつ適切にロータ5に作用させることができる。
【0024】
一対の分割コイル41は、一対の短コア部32のほぼ全長に亘ってそれぞれ外装されている。各分割コイル41は、間隙部30の幅よりも若干小さな幅で形成されており、間隙部30から挿入して、各短コア部32に外装できるようになっている。ここで、間隙部30、各短コア部32及び各分割コア41の各寸法は、分割コイル41が短コア部32のほぼ全長に亘って外装されるように決定されている。
一方の分割コイル41におけるマグネットワイヤ43は、他方の分割コイル41におけるマグネットワイヤ43に架け渡されている。他方の分割コイル41のボビン42には、マグネットワイヤ43を球発射装置1の外部の制御装置に接続するためのコネクタ421が設けられている。
【0025】
このコネクタ421は、分割コイル41が、コア3及びベース部材2に対して不適切な向きで組み付けられないように利用することができる。本例では、カバー部材26に、コネクタ421を配置する配置穴261を設けている。そして、コネクタ421がこの配置穴261に配置されることにより、各分割コイル41を、コア3及びベース部材2に対して適切な向きで組み付けることができる。
なお、分割コイル41の組付の向きを規制するために、コネクタ421及び配置穴261を用いる以外にも、ボビン42とカバー部材26とに互いに係合する部分を設けることもできる。
【0026】
図1、
図3に示すごとく、ベース部材2は、分割コイル41の配設位置に対応する部分が、打球槌6が配置されたベース部材2の他方面202において、収容部21として突出している。収容部21は、打球槌6の回転中心部である回転軸部53に配設されたロータ5に対する左右両側の位置において、他方面202から外方へ向けて突出して形成されている。収容部21は、ベース部材2の一方面201側に凹部211を形成して陥没させることにより、他方面202側に突出している。収容部21は、ベース部材2の一方面201に密着させて固定したコア3に対して外装された各分割コイル41が、ベース部材2の他方面202に突出する量に応じて、ベース部材2の他方面202に突出している。
また、
図4に示すごとく、ベース部材2においては、収容部21と連続して、ロータ5の周辺部分(後述する軸受54B)を収容するためのロータ収容部212も形成されている。
【0027】
図3に示すごとく、収容部21の表面がベース部材2の他方面202から突出する量Hは、遊技球の略半球分の高さとなっている。また、収容部21がベース部材2の他方面202に突出する上面213は、ベース部材2から離れるに連れて下方へ傾斜して形成されている。これにより、遊技球が収容部21の上に載置されてしまうことを防止することができる。収容部21の上面213は、傾斜させて形成する以外にも、角部をR形状にして形成することもできる。
【0028】
図2、
図4に示すごとく、ロータ5は、複数の電磁鋼板をベース部材2の厚み方向に積層して形成されている。ロータ5は、周方向の互いに対向する位置に形成された一対の小径部分51と、周方向の残りの部分に形成された一対の大径部分52とを有している。一対の大径部分52は、小径部分51よりも突出する一対の突部52として形成されており、これによりロータ5が略小判形状になるように形成されている。
ロータ5は、打球槌6が原位置601にあるときには、一対の小径部分51がコア3の一対の短コア部32に対向している。そして、打球槌6を打球位置602に回転させるときには、一対の分割コイル41に通電を行う。これにより、コア3に磁路が形成され、コア3の短コア部32の端部321に、磁気吸引されたロータ5の一対の大径部分52が対向する(同図において二点鎖線で示す。)。
【0029】
図1に示すごとく、本例の球発射装置1は、打球槌6によって打球する遊技球を斜め上方へ発射させるよう構成されている。本例の打球槌6は、金属部材からなるアーム部60に対して、樹脂からなる打球部61をモールド成形して形成されている。この打球部61のモールド成形を行う際には、パーティングラインが打球部61の打球面62に位置しないようにする。これにより、打球部61を成形した後に、打球部61の調整加工をすることが不要になり、打球の精度を向上させ、打球状態を安定化させることができる。
【0030】
なお、本例の打球槌6においては、打球部61の部分が、アーム部60の部分に対して、厚み方向(前後方向)において、若干突出するように(膨らむような形状で)形成されている。このことを踏まえて、ベース部材2の収容部21は、打球部61の可動範囲(可動軌跡)を避けるように形成されている。収容部21は、アーム部60の可動範囲(可動軌跡)に対向する位置に形成されている。
【0031】
図4に示すごとく、ロータ5は、軸受54A,54Bによってベース部材2に回転自在に配設された、打球槌6の回転軸部53に対して設けられている。軸受54A,54Bはドーナツ状のベアリング部材で形成されており、ロータ5を間に挟んで回転軸部53の両側に配置されている。回転軸部53は、ロータ5の中心に偏心形状で形成された貫通穴と同じ断面形状を有しており、この貫通穴に圧入することにより、ロータ5に一体的に固着されている。また、ロータ5と一方の軸受54Aとの間にはバネ(付勢部材)56が配置されている。なお、
図4は、カバー部材26を取り外した状態で示す。
【0032】
また、一方の軸受54Aには、その外周部に、外方へ向けて突出する鍔部541が形成されている。一方の軸受54Aの鍔部541は、ビスによってベース部材2に固定されるプレート57と当接するようになっている。そして、バネ56の付勢力によって、一方の軸受54Aの鍔部541がプレート57に当接することにより、一方の軸受54Aの固定位置が維持される。
【0033】
また、他方の軸受54Bは、その一方の面がロータ収容部212の内面に当接し、かつ、他方の面が回転軸部53の外周に形成される凸部531と当接する。ロータ5がバネ56の付勢力によってベース部材2の他方面202の方向(球発射装置1の背面方向)に向けて付勢されることにより、回転軸部53の全体が一方面201から他方面202の方向に向けて付勢される。これにより、ロータ5及び一対の軸受54A,54Bのすべての当接が付与される方向へバネ56の付勢力を付加することができる。
バネ56を用いた構成により、ベース部材2に対する回転軸部53の前後方向(軸方向)の配置位置を適切に決定することができる。そのため、打球槌6の回転を安定させることができ、球発射装置1の球発射精度を向上させることができる。また、バネ56によって、各軸受54A,54Bとして設けられるベアリング内部の部材接触を確実に行うことができ、回転軸部53の回転動作をより安定させることができる。
【0034】
なお、打球槌6の打球回動駆動時は、バネ56はロータ5と一体的に回動する。また、回転軸部53において、ベース部材2の他方面202側に突出する部分には、カラー58を介してナット59を締め付けることにより、打球槌6が固定されている。
樹脂からなる打球部61の打球面62は、所定の広さを有する面形状に形成されている。この打球面62には、球を打撃する瞬間に、その衝撃により若干の凹みが形成される。カラー58の高さ(厚み)寸法を適宜変更することにより、打球面62に形成される上記凹みの形成範囲を、遊技機10における前後方向において適宜微調整することができる。
【0035】
これにより、凹みによって、打球面62が遊技球を打球する際に発生する反発力の向きを、遊技機10における前後方向において若干微調整することができる。そのため、打球槌6によって発射される遊技球の、遊技機10の前後方向に対する飛びの向きを、若干微調整することができる。そして、球発射装置1が取り付けられる遊技機10の仕様、目的、環境等に合わせて、適宜、球飛びの精度を微調整することができる。
【0036】
図1に示すごとく、打球槌6の原位置601においては、打球部61が、打球槌6における回転軸部53に対して略水平方向に位置する。打球槌6は、一対の分割コイル41におけるマグネットワイヤ43が通電され、ロータ5の一対の突部52がコア3の一対の短コア部32の端部321に引き寄せられることにより、上方へ回動して遊技球を打球する打球位置602に移動する。また、打球槌6の可動範囲は、打球槌6の打球部61が回転軸部53に対して略水平方向(水平方向よりも若干下方)に位置する回転位置(原位置601)から、打球槌6の打球部61が90°未満(詳しくは、45°〜60°)の角度で回転して、回転軸部53に対して斜め上方に位置する回転位置(打球位置602)まで形成されている。
【0037】
原位置ストッパー24A及び打球位置ストッパー24Bは、打球槌6の先端部が当接する、ゴム等の衝撃吸収部材241を用いて構成されている。衝撃吸収部材241は、カバー242によって覆われて、ベース部材2に取り付けられている。各ストッパー24A,24Bは、衝撃吸収部材241の片側面をベース部材2で支持することにより、その取付精度を安定させることができる。
【0038】
図5に示すごとく、遊技機10の本体枠11には、遊技領域121を形成する遊技盤12が取り付けてあり、本体枠11の前面側には、打球供給皿141及び補助球受皿142を設けた球皿パネル14が開閉可能に配設してある。本体枠11には、打球供給皿141が遊技球によって満タン状態になったとき、遊技球を補助球受皿142へ流下させるオーバーフロー流路が形成してある。
本例の球発射装置1は、遊技機10の左右方向における略中央位置の下方部に配設してあり、この位置から左斜め上方に向けて遊技球を発射させるよう構成してある。
【0039】
本体枠11には、球発射装置1から発射される遊技球を遊技盤12に向けて導くための発射球案内レール110が、球発射装置1から左斜め上方に向けて形成してある。また、発射球案内レール110の上方端部から延長した位置には、遊技球を遊技盤12の前面に形成された遊技領域121に向けて導くための球ガイド(外レール)122が円弧状に形成されている。そして、球ガイド122の内方位置には、遊技盤12の前面に遊技領域121を区画形成するために設けられた内レール123が、球ガイド122の円弧形状に相似の形状で配設されている。発射された遊技球は、球ガイド122と内レール123との間の領域を通って遊技領域121へと導かれる。
また、発射球案内レール110と球ガイド122との間には、球発射装置1から発射された後、遊技領域121に到達せずに球発射装置1の側に戻ってくるファール球(遊技球)を、ファール球回収流路へ回収するための入口部15が形成されている。ファール球回収流路は、ファール球を打球供給皿141へ戻すよう構成されている。
【0040】
本例の球発射装置1は、打球槌6とコア3及びコイル4との位置関係の工夫、並びにベース部材2の形成状態の工夫により、装置全体の薄型化を図ったものである。
具体的には、ベース部材2の一方面201に、コイル4を外装したコア3を配設し、ベース部材2の他方面202に、ロータ5に設けられた打球槌6を配置している。また、ベース部材2の厚み方向(前後方向)において、コア3及びコイル4の配置位置と、打球槌6の配置位置とをできるだけ接近させている。
【0041】
そして、ベース部材2の形状は、コイル4の一部分を収容する収容部21を、打球槌6が位置する他方面202側に突出させている。また、この収容部21は、打球槌6(特にはアーム部60)に接触しない範囲内で、打球槌6(特にはアーム部60)の可動範囲に対向する位置に形成している。これにより、打球槌6との干渉を避けて収容部21を形成して、球発射装置1全体の厚み方向(前後方向)の薄型化を図ることができる。そのため、遊技機10において、球発射装置1を配設するスペースを小さくすることができ、遊技機10に対する球発射装置1の設置の自由度を向上させることができる。
【0042】
また、球発射装置1においては、比較的厚みを有するコア3及びコイル4が遊技機10の前面方向であるベース部材2の一方面201に配設されていることにより、遊技機10の裏面方向であるベース部材2の他方面202における突出寸法を抑えることができる。これにより、球発射装置1が、遊技ホールにおいて遊技機10が設置される島設備内部の球受部等に干渉してしまうことを効果的に防止することができる。
また、打球槌6が位置する他方面202側に突出するコイル4の一部を収容部21によって覆うことにより、遊技球等からコイル4を保護することができる。
さらに、収容部21が、ベース部材2の他方面202側に突出して、打球槌6とベース部材2の他方面202との間に形成される隙間に配置される。これにより、この隙間内へ遊技球が入り、打球槌6上に不要に載置されてしまうことを防止することができる。
【0043】
本例のコア3は、間隙部30が下側に配置した略C形状を有するように形成されている。また、コア3は、長尺側の辺部が左右方向に伸びる略四角環形状で配設されている。これにより、球発射装置1における、特に磁力を発生させる駆動源部分の上下方向の寸法をさらに小さくすることができ、装置全体を小型化することができる。また、コア3をベース部材2の一方面201に密着させて配設することにより、装置全体の薄型化をさらに促進させることができる。これに併せて、コア3に発生する熱を、ベース部材2を通じて放熱させることもできる。
【0044】
それ故、本例の遊技機10の球発射装置1によれば、装置全体の薄型化及び小型化を図ることができ、遊技機10に対する設置の自由度を向上させることができる。
【0045】
ここで、球発射装置1へ遊技球を1球ずつ送り出す整流器7についての具体的な構造を示す。
図6に示すごとく、整流器7は、ソレノイド(電動式駆動源)73の駆動を受けて回動軸721の回りに回動することによって遊技球を受け取って送り出す球送り部材72を有している。球送り部材72には、ソレノイド73が励磁されたときに磁気吸引される金属板722が、回動軸721の中心と、球送り部材72に形成された球送出部の中心とを結ぶ仮想ラインLに対して、所定の距離離れた位置に、平行又は平行に近い傾斜角度で設けられている。整流器7は、前後に分割された2つのケース部を組み合わせて形成されるハウジング71内に、ソレノイド73を配置するとともに球送り部材72を回動可能に配置して構成されている。
【0046】
球送り部材72は、回動軸721に対して金属板722が配置された側とは反対側にウェイト部723を有している。このウェイト部723を設けたことにより、球送り部材72が、ソレノイド73を励磁して回動した位置から、この励磁を解除したときの原位置へ戻りやすくすることができる。これにより、球送り部材72を速やかに原位置へ復帰させることができる。
また、ウェイト部723を設けることにより、球送り部材72自体の質量を若干重くすることができる。そのため、振動等によって球送り部材72が無用に揺動することを軽減させることができ、無用な遊技球の送り出しを防止することができる。
【0047】
図7、
図8に示すごとく、整流器7のハウジング71において、球送り部材72における球出口725の周辺には、遊技の不正を行うために遊技球に取り付けた不正糸を切断することができる金属製の不正防止板74を設けることができる。この不正防止板74には、不正糸を切断するために整流器7の外方に向けて斜めに切り開いて形成された切断部741が形成されている。切断部741は、外方に向けて斜めに切り開かれた部分の開き間隔が奥(根元)へ行くほど狭くなるV溝形状を有している。そして、不正糸を取り付けた遊技球が発射された際には、外方に向けて斜めに切り開かれた切断部741に不正糸を引っ掛けて、その引っ掛かった不正糸をV溝形状の奥へと誘導して切断することができる。
【0048】
なお、切断部741において不正糸を引っ掛けるための開放端部、及び切断部741が設けられる球出口725の周辺部には、奥側へ向けて傾斜するテーパー形状の案内部を形成することができる。これにより、不正糸が引っ掛かる間口を拡大させるとともに、引っ掛けた不正糸を奥側へと適切に誘導し切断することができる。
また、不正防止板74は、整流器7内へ遊技球Rを入球させるためにハウジング71に形成された球入口724の周辺に設けることもできる。
【0049】
また、不正防止板74は、次のようにしてハウジング71に固定することができる。不正防止板74には、ハウジング71に形成されたソレノイド配置部711に嵌め込む嵌込部742と、ハウジング71に形成されたネジ穴713にビス止めするためのビス止め用穴743と、ハウジング71に形成された掛止穴714に掛止される被掛止突起744とが形成されている。そして、ソレノイド配置部711に嵌込部742を嵌め込むとともに、掛止穴714に被掛止突起744を掛止し、また、ビス止め用穴743に相通したビスをネジ穴713に螺合するとともにソレノイド配置部711に嵌め込まれた嵌込部742をソレノイド73によって押さえ付けて、不正防止板74をハウジング71に固定することができる。
【0050】
図7に示すごとく、整流器7のハウジング71には、ソレノイド73を固定するためのリブ715が形成されている。そして、ソレノイド73は、リブ715に当接させ、このリブ715に形成されたビス止め用開口部716にビスを相通して、このビスをソレノイド73のケースに形成されたネジ穴に螺合して、ハウジング71に固定することができる。なお、ハウジング71(一方のケース部)におけるビス止め用開口部716の上方部は、ビス止めの際に用いる工具が挿入できるように切り欠かれて形成されている。そして、この切り欠き部は、ハウジング71を構成する他方のケース部に形成された塞ぎ部によって、2つのケース部が組み付けられた際に塞がれる。
また、リブ715は、不正防止板74が固定される側のケース部(後ろ側に配設される一方のケース部)に一体的に形成することができる。これにより、ソレノイド73と不正防止板74とを、一方のケース部に予めまとめて配設することができ、整流器7の組立時の製造工程を簡略化することができる。
【0051】
(実施例2)
本例は、打球槌6の形成状態及び配置位置が上記実施例1とは異なる例を示す。
図9に示すごとく、本例の球発射装置1は、打球槌6の原位置601において、打球槌6の打球部61を回転軸部53に対する下方位置に配置し、打球槌6を打球位置602に回転させて、斜め上方へ遊技球を打球するよう構成されている。
本例の打球部61は、打球槌6の先端部分において屈曲形成されている。打球槌6において、打球部61が形成されたアーム部63と反対側の部分には、バランスウェイト部64が形成されている。このバランスウェイト部64を形成することにより、打球槌6の原位置601を、打球部61が回転軸部53の下方位置よりも上に持ち上がった位置になるように設定することができる。
【0052】
原位置ストッパー24Aは、打球槌6の先端側部分を斜め上方から受け止める状態に形成されており、打球位置ストッパー24Bは、バランスウェイト部を斜め上方から受け止める状態に形成されている。
本例においては、コア3及びコイル4が配設された、ベース部材2の一方面201は、遊技機10の裏面側に配置され、打球槌6が配置された、ベース部材2の他方面202は、遊技機10の前面側(遊技者に対向する側)に配置される。本例においても、上記実施例1と同様に、ベース部材2に収容部21が形成されている。
本例においても、その他の構成は上記実施例1と同様であり、球発射装置1単体としての薄型化、上下方向の寸法の小型化等、上記実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
【0053】
(変形例)
なお、コア3は、上記のようなC形状に一体化されたもの以外にも、2つ以上に分割されたものを連結して形成することができる。コア3は、C形状とする以外にも、間隙部30の形成及び磁路の形成が可能であればどのような形状にすることもでき、例えばE形状等の形状に形成することができる。
コア3に外装するコイル4は、複数に分割せず、1つの状態で用いることもできる。この場合には、コイル4は、コア3の長コア部31に外装することができる。また、コイル4は、3つ以上に分割したものを用いることもできる。
【0054】
コア3は、長コア部31を下側に配置し、間隙部30を間に形成する一対の短コア部32を上側に配置して、ベース部材2に配設することもできる。また、間隙部30は、一対の左右コア部のいずれかに形成することもできる。
また、収容部21は、打球槌6における打球部61の可動範囲に対向する位置であれば、打球部61に接触しない範囲内で任意の突出量で突出させて形成することができる。
【0055】
ロータ5と回転軸部53とは、磁性粉と樹脂との混合材料を用いて、圧粉磁心として金型成形等によって一体成形することもできる。この場合には、ロータ5及び回転軸部53の成形精度をより向上させることができる。また、ロータ5及び回転軸部53を製造する際の2次加工工程等を省略化、簡略化することができ、低コスト化を図ることができる。
また、ロータ5は磁石から構成することもできる。