(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被処理物を燃焼させる加圧流動炉に被処理物を供給する被処理物の供給装置と、該加圧流動炉から排出される燃焼排ガスによって回動されるタービンとタービンの回動に伴って回動され前記加圧流動炉に燃焼空気を供給するコンプレッサーを内装する過給機と、起動時に前記過給機のコンプレッサー吸込側への流路から分岐してコンプレッサー吐出側の流路との間に配置されたバイパス流路を介して前記加圧流動炉に空気を供給すると共に、前記過給機のコンプレッサーに空気を供給し、前記タービンに供給される燃焼排ガスが所定の温度となり、前記加圧流動炉が昇温完了した後は停止する起動用ブロワと、前記加圧流動炉から排出される燃焼排ガス中の未燃焼ガス濃度を測定する第一濃度計と酸素濃度を測定する第二濃度計を備えた加圧流動炉システムの運転方法であって、
前記被処理物の供給装置の定量フィーダの停止を条件に起動用ブロワを再起動し、前記起動用ブロワを再起動後に供給装置の投入ポンプを停止させて被処理物の加圧流動炉への供給を停止し、前記起動用ブロワから前記過給機のコンプレッサーに空気を供給し、
前記コンプレッサーから加圧流動炉に供給される燃焼空気が定格容量の50%未満、前記未燃焼ガス濃度が所定の設定値以上、又は前記起動用ブロワから排出された圧縮空気の圧力がコンプレッサーから排出された燃焼空気の圧力より高くなった場合、の少なくとも1つに該当した場合に、前記バイパス流路を開放して、前記バイパス流路を介して起動用ブロワから加圧流動炉に空気を供給する
ことを特徴とする加圧流動炉システムの運転方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1,2に記載された燃焼空気管に燃焼空気を供給する供給装置は通常に使用する1基であり、その供給装置に作動不良が生じた場合、バックアップ機構がないため燃焼室への燃焼空気の供給は中断され燃焼室に残留した被処理物は不完全燃焼し、機外に不完全燃焼に起因する一酸化炭素、ダイオキシン等の有害物質が設備の外に排出される虞があった。
また、過給式流動設備においては、被処理物の燃焼排ガスを利用して、燃焼空気を供給しているため、被処理物の供給手段に作動不要が生じた場合や、設備の立ち下げ時に被処理物の供給装置が停止する場合には、燃焼排ガスの急激な量低下でタービンの駆動力が減少することで、コンプレッサーによる供給すべき燃焼空気の搬送力が急激に減少するので、炉内へ供給される燃焼空気が減少し、加圧流動内に残留する被処理物が不完全燃焼し、一酸化炭素、ダイオキシン等の有害物質が設備の外に排出される虞があった。
【0005】
そこで、本発明の主たる課題は、かかる問題点を解消することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決した本発明及び作用効果は次のとおりである。
すなわち、第1発明は、被処理物を燃焼させる加圧流動炉に被処理物を供給する被処理物の供給装置と、該加圧流動炉から排出される燃焼排ガスによって回動されるタービンとタービンの回動に伴って回動され前記加圧流動炉に燃焼空気を供給するコンプレッサーを内装する過給機と、起動時に
前記過給機のコンプレッサー吸込側への流路から分岐してコンプレッサー吐出側の流路との間に配置されたバイパス流路を介して前記加圧流動炉に空気を供給すると共に、前記過給機のコンプレッサーに空気を供給し
、前記タービンに供給される燃焼排ガスが所定の温度となり、前記加圧流動炉が昇温完了した後は停止する起動用ブロワと、前記加圧流動炉から排出される燃焼排ガス中の未燃焼ガス濃度を測定する第一濃度計と酸素濃度を測定する第二濃度計を備えた加圧流動炉システムの運転方法であって、
前記被処理物の供給装置
の定量フィーダの停止を条件に起動用ブロワを再起動
し、
前記起動用ブロワを再起動後に供給装置の投入ポンプを停止させて被処理物の加圧流動炉への供給を停止し、前記起動用ブロワから前記過給機のコンプレッサーに空気を供給
し、
前記コンプレッサーから加圧流動炉に供給される燃焼空気が定格容量の50%未満、前記未燃焼ガス濃度が所定の設定値以上、又は前記起動用ブロワから排出された圧縮空気の圧力がコンプレッサーから排出された燃焼空気の圧力より高くなった場合、の少なくとも1つに該当した場合に、前記バイパス流路を開放して、前記バイパス流路を介して起動用ブロワから加圧流動炉に空気を供給することを特徴とする。
【0007】
(作用効果)
被処理物の供給装置
の定量フィーダの停止を条件に起動用ブロワを再起動
し、
前記起動用ブロワを再起動後に供給装置の投入ポンプを停止させて被処理物の加圧流動炉への供給を停止し、前記起動用ブロワから前記過給機のコンプレッサーに空気を供給するので、加圧流動炉の燃焼排ガスの発生量にかかわらず、加圧流動炉に残留した被処理物の燃焼に必要な燃焼空気を供給でき、残留した被処理物を完全燃焼でき、被処理物の不完全燃焼に起因する有害物質の発生を抑制することができる。
【0008】
【0009】
コンプレッサーから加圧流動炉に供給される燃焼空気が定格容量の50%未満、未燃焼ガス濃度が所定の設定値以上、又は前記起動用ブロワから排出された圧縮空気の圧力が前記コンプレッサーから排出された燃焼空気の圧力より高くなった場合、の少なくとも1つに該当した場合、過給機のコンプレッサーを介することなく起動用ブロワから加圧流動炉に直接的に空気を供給するので、無駄な送風動力を費やさずに加圧流動炉に残留した被処理物を最後まで完全燃焼することができる。
【0010】
第
2発明は、第
1発明の構成に加え、前記第一濃度計の測定値が一定値又は所定の設定値より下降した後に、前記起動用ブロワの駆動を停止することを特徴とする。
【0011】
(作用効果)
第一濃度計の測定値が一定値又は下降した後に、起動用ブロワの駆動を停止するので、加圧流動炉システムのシステム外に有害物質の排出を防止することができる。
【0012】
第
3発明は、第
2発明の構成に加え、前記第二濃度計の測定値が空気中の酸素濃度と略同一値となった後に、前記起動用ブロワの駆動を停止することを特徴とする。
【0013】
(作用効果)
第二濃度計の測定値が空気中の酸素濃度と略同一値となった後に、起動用ブロワの駆動を停止するので加圧流動炉システムの有害物質の排出防止性能をより向上させることができる。
【0014】
第
4発明は、第1
〜3のいずれか1項に記載の発明の構成に加え、前記第一濃度計が一酸化炭素濃度計又はダイオキシン濃度計であることを特徴とする。
【0015】
(作用効果)
被処理物の不完全燃焼に起因して発生する一酸化炭素、ダイオキシンの濃度を確実に測定することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上の発明によれば、被処理物の供給が停止した場合でも、加圧流動炉内の被処理物を不完全燃焼させることなく処理することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の本実施形態について添付図面を参照しつつ詳説する。なお、理解を容易にするため、便宜的に方向を示して説明しているが、これらにより構成が限定されるものではない。
【0019】
加圧流動炉システム1は、
図1に示すように、汚泥等の被処理物を貯留する貯留装置10と、貯留装置10から供給された被処理物を燃焼する加圧流動炉20と、加圧流動炉20から排出された燃焼排ガスによって加圧流動炉20に供給する燃焼空気を加熱する空気予熱器40と、燃焼排ガス中の粉塵等を除去する集塵機50と、燃焼排ガスによって駆動され加圧流動炉20に燃焼空気を供給する過給機60と、過給機60から排出された燃焼排ガスによって排煙処理塔80に供給する白煙防止用空気を加熱する白煙防止用予熱器70と、燃焼排ガス内の不純物を除去する排煙処理塔80を備えている。
【0020】
(貯留装置)
貯留装置10に貯留される被処理物は、主に含水率を70〜85%質量に脱水処理された下水汚泥であり、被処理物には、燃焼可能な有機物が含有されている。なお、被処理物は、含水有機物であれば下水汚泥に制限されることはなく、バイオマス、都市ゴミ等であっても良い。
【0021】
貯留装置10の下部には、所定量の被処理物を加圧流動炉20に供給する定量フィーダ11が配置され、定量フィーダ11の下流側には、被処理物を加圧流動炉20に圧送する投入ポンプ12が設けられている。なお、投入ポンプ12としては、一軸ネジ式ポンプ、ピストンポンプ等が使用できる。本発明における供給装置とは、定量フィーダ11、または、投入ポンプ12のいずれであっても良く、定量フィーダ11と投入ポンプ12が一体となっていてもよい。
【0022】
(加圧流動炉)
加圧流動炉20は、流動媒体として所定の粒径を有する、流動砂等の固体粒子が炉内の下部に充填された燃焼炉であり、炉内に供給される燃焼空気によって流動層(以下、砂層という。)の流動状態を維持しつつ、外部から供給される被処理物および必要に応じて供給される補助燃料を燃焼させるものである。
図1、
図2に示すように、一側の側壁の下部には、加圧流動炉20の内部に充填された粒径約400〜600μmの流動砂を加熱する補助燃料燃焼装置21が配置され、補助燃料燃焼装置21の上側近傍の部位には、始動時に流動砂を加熱する始動用バーナ22が配置され、始動用バーナ22の上側の部位には、被処理物の供給口13Bが設けられている。
また、加圧流動炉20の上部には、燃焼排ガスを冷却するためのウォータガン23が配置され、必要に応じ冷却水を炉内に噴霧することができる
【0023】
補助燃料燃焼装置21は、加圧流動炉20に充填された流動砂を加熱するために、分散管(燃焼空気供給管)24の上側に、燃焼空気供給管24と同様に複数本の補助燃料燃焼装置21が並列して配置されている。補助燃料燃焼装置21は、炉外に設置された補助燃料供給装置29から都市ガスや重油等の補助燃料が供給されている。なお、補助燃料燃焼装置21として、ガスガンやオイルガンを使用することもできる。
【0024】
始動用バーナ22は、始動時に流動砂の上面を加熱するために、加圧流動炉20の中心部に向かって立下がり傾斜して配置されている。なお、補助燃料燃焼装置21と同様に、始動用バーナ22には、炉外の補助燃料供給装置29から補助燃料が供給されている。また、始動用バーナ22の燃焼空気は、配管96を介して起動用ブロワ65の発生した送風空気により賄われる。
【0025】
加圧流動炉20の他側の側壁の下部には、加圧流動炉20の内部に、流動床流動及び燃焼に用いられる酸素供給を行う燃焼空気を供給する燃焼空気供給管24が配置されている。加圧流動炉20の上部の細径化された側壁には、補助燃料、被処理物等の燃焼によって発生した燃焼ガスや、砂ろ過水、被処理物に内在する水等が加熱されることで生じた水蒸気などを炉外に排出する排出口90Aが形成されている。なお、本発明では、燃焼ガス、又は燃焼ガスと水蒸気が混合したガスを燃焼排ガスという。
【0026】
燃焼空気供給管24は、補助燃料燃焼装置21から供給された補助燃料に均等に燃焼空気を供給するために、補助燃料燃焼装置21の下側に配置される。
加圧流動炉20の側壁には、炉内温度を測定するための温度センサ(図示省略)が高さ方向にそって所定間隔で複数設置されている。設置個所は、砂層およびフリーボード部であり、それぞれ2箇所から3箇所、計4〜6箇所となる。温度センサとしては、熱電対等を使用することが出来る。ここで、フリーボード部とは、加圧流動層燃焼炉11の内部において砂層の上層部を指す。これら温度センサは、それぞれの設置位置における炉内温度を示す電気信号を制御装置100に出力する。
【0027】
(空気予熱器)
空気予熱器40は、加圧流動炉20の後段に設置され、加圧流動炉20から排出された燃焼排ガスと燃焼空気とを間接的に熱交換することにより、燃焼空気を所定の温度まで昇温する機器である。
空気予熱器40は、
図1、
図3に示すように、一側の側壁の上部には、加圧流動炉20からの燃焼排ガスの供給口90Bが形成され、供給口90Bの下側近傍部位には、燃焼空気を空気予熱器40から排出する排出口91Aが形成されている。また、燃焼排ガスの供給口90Bは、配管90を介して加圧流動炉20の排出口90Aに接続され、燃焼空気の排出口91Aは、配管91を介して加圧流動炉20の燃焼空気供給管24の後部に接続されている。
【0028】
空気予熱器40の他側の下部には、燃焼排ガスを機器外に排出する排出口92Aが形成され、排出口92Aの上側近傍の部位には、燃焼空気を機器内に供給する供給口95Bが形成されている。空気予熱器としては、シェルアンドチューブ式熱交換器が好ましい。
【0029】
(集塵機)
集塵機50は、空気予熱器40の後段に設けられており、空気予熱器40から送出される燃焼排ガスに含まれるダスト、細粒化された流動砂等の不純物を除去する機器である。
集塵機50に内装されるフィルタとしては、例えばセラミックフィルタやバグフィルタを用いることができ、集塵機50は、一側の側壁の下部には、燃焼排ガスを機器内に供給する供給口92Bが形成され、上部には、不純物等が取除かれた清浄な燃焼排ガスを機器外に排出する排出口93Aが形成されている。また、燃焼排ガスの供給口92Bは、配管92を介して空気予熱器40の燃焼排ガスの排出口92Aに接続されている。
【0030】
集塵機50内には、下部に形成された供給口92Bと上部に形成された排出口93Aの上下方向に間の部位にバフィルタ(図示省略)が内装されている。フィルタで取除かれた燃焼排ガス中の不純物等は、集塵機50内の底部に一時的に貯留された後、定期的に外部に排出される。
【0031】
(過給機)
過給機60は、集塵機50の後段に設けられており、集塵機50から送出される燃焼排ガスによって回動されるタービン61と、タービン61の回動を伝達する軸63と、該タービンと同軸に固着されて軸63によって回動を伝達されることによって圧縮空気を生成するコンプレッサー62とから構成されている。生成された圧縮空気は、燃焼空気として加圧流動炉20へ供給される。
過給機60のタービン61側の側壁の下部(軸63と直交する部位)には、集塵機50によって不純物が除去された清浄な燃焼排ガスを機器内に供給する供給口93Bが形成され、タービン61側の側壁の下流側(軸63と平行する部位)には、燃焼排ガスを機器外に排出する排出口97Aが形成されている。また、清浄な燃焼排ガスの供給口93Bは、配管93を介して集塵機50の排出口93Aに接続されている。
【0032】
過給機60のコンプレッサー62側の側壁の上流側(軸63と平行する部位)には、空気を機器内に吸気する供給口67Bが形成され、タービン61側の側壁の上側(軸63と直交する部位)には、吸気された空気を0.05〜0.3MPaに昇圧した圧縮空気を機器外に排出する排出口94Aが形成されている。また、空気の供給口67Bは、配管16、67を介して、空気を吸気する。また、配管66、67を介して始動時に加圧流動炉20に燃焼空気を供給する起動用ブロワ65とも接続される。一方、圧縮空気の排出口94Aは、配管94、95を介して空気予熱器40の供給口95Bと、配管94、96を介して加圧流動炉20の始動用バーナ22の後部に接続されている。また、圧縮空気の排出口に接続された配管94、または95には、コンプレッサー62から排出された圧縮空気(燃焼空気)の圧力を測定する第1の圧力センサ111が備えられている。ここで測定された圧力は制御装置100に出力され、ダンパ68Cの開閉制御などに利用される。
【0033】
(起動用ブロワ)
起動用ブロワ65は、加圧流動炉システム1の始動時に、加圧流動炉20の始動用バーナ22及び燃焼空気供給管24に燃焼空気を供給する機器である。また、起動用ブロワ65は、貯留装置10からの被処理物の供給の中断等によって、加圧流動炉20で発生する水蒸気が低減し、過給機60のタービン61の回転数が低回転になり、コンプレッサー62による外気の吸気が低減した場合に、強制的にコンプレッサー62に配管66,67を介して外気を供給する機能を併せ持っている。
起動用ブロワ65は、配管66、68、96を介して加圧流動炉20に配置された始動用バーナ22の後部に接続され、配管66、68、95を介して空気予熱器40の燃焼空気の供給口95Bに接続され、配管66、67を介して過給機60のコンプレッサー62の供給口67Bに接続されている。なお、配管66には、起動用ブロワ65の吐出圧を測定する第2の圧力センサ112が備えられている。ここで測定された圧力は制御装置100に出力され、ダンパ68Cの開閉制御などに利用される。
【0034】
配管68の中間部には、バイパス流路である配管68の、起動用送風機65から見て配管67との接続点から遠い部位の連通を行うダンパ68Cと、配管68と配管94の接続部側の気体の逆流を防止する逆止弁68Dが配置されている。ダンパ68Cは、加圧流動炉20の始動時(始動用バーナ22の着火時)から加圧流動炉20の昇温が完了するまで配管68を連通し、加圧流動炉20の昇温完了後に、配管68を遮断する。すなわち、加圧流動炉20の始動時から焼却炉の昇温が完了するまでは、起動用ブロワ65から加圧流動炉20の始動用バーナ22、空気予熱器40を介して加圧流動炉20の燃焼空気供給管24に燃焼空気を供給し、且つ閉じられていない空気流路である配管67を介して過給機60のコンプレッサー62側にも燃焼空気を供給し、焼却炉の昇温完了後は、ダンパ68Cの閉鎖により、過給機60のコンプレッサー62から空気予熱器40を介して加圧流動炉20の燃焼空気供給管24に燃焼空気を供給する。
【0035】
(白煙防止用予熱器)
白煙防止用予熱器70は、煙突87から外部に排出される燃焼排ガスの白煙を防止するために、過給機60から排出された燃焼排ガスと白煙防止ファンから供給される白煙防止用空気とを間接的に熱交換する機器である。熱交換により、燃焼排ガスは冷却されるとともに白煙防止用空気は昇温される。白煙防止用予熱器70によって熱交換され冷却された燃焼排ガスは、後段の排煙処理塔80に送出される。白煙防止用予熱器70としてシェルアンドチューブ式熱交換器やプレート式熱交換器等を用いることができる。
【0036】
(排煙処理塔)
排煙処理塔80は、機器外に燃焼排ガスに含まれる不純物等の排出を防止する機器であり、排煙処理塔80の上部には煙突87が配置されている。
排煙処理塔80は、
図1、
図4に示すように、一側の側壁の下部には、白煙防止用予熱器70から排出された燃焼排ガスを機器内に供給する供給口98Bが形成され、煙突87の一側の側壁の下部には、白煙防止用予熱器70から排ガスと熱交換され温まって排出された白煙防止用空気を煙突87内に供給する供給口99Bが形成されている。また、燃焼排ガスの供給口98Bは、配管98を介して白煙防止用予熱器70の下部に形成された燃焼排ガスの排出口98Aに接続され、白煙防止用空気の供給口99Bは、配管99を介して白煙防止用予熱器70の上部に形成された白煙防止用空気の排出99Aに接続されている。白煙防止用予熱器70の白煙防止用空気は、白煙防止用空気送風機101により配管103を介して白煙防止用予熱器70に供給され、間接的に燃焼排ガスと熱交換されて、排出口99Aから暖められて排出される。煙突87では、湿潤で空気中凝結して霧状になりがちな出口の燃焼排ガスに、暖められて乾いた白煙防止用空気を供給口99Bで混合して、燃焼排ガスの相対湿度を低下させることで白煙防止を図る。
【0037】
排煙処理塔80の他側の側壁の上部には、外部から供給される水を機器内に噴霧する噴霧管84が配置され、中間部と、下部には、それぞれ、循環ポンプ83を介して排煙処理塔80の底部に貯留された苛性ソーダが含有された苛性ソーダ水を機器内に噴霧する噴霧管85が配置されている。また、排煙処理塔80に貯留された苛性ソーダ水は、図示しない苛性ソーダポンプを介して図示しない苛性ソーダタンクから供給され、常時適正量に維持されている。
【0038】
排煙処理塔80に供給された燃焼排ガスは、不純物等を除去されたのち白煙防止用空気と混合され、煙突87から外部に排出される。
【0039】
(燃焼空気の補助供給装置)
燃焼空気の補助供給装置は、被処理物の供給装置である定量フィーダ11の駆動状態を操作するスイッチ11Cと、起動用ブロワ65の駆動状態を操作するスイッチ65Cと、バイパス流路である配管68の連通を行なうダンパ68Cと、空気予熱器40などで熱を回収され温度低下した燃焼排ガスに含まれる一酸化炭素、酸素の容量を測定する一酸化炭素濃度計(第一濃度計)98C、酸素濃度計(第二濃度計)98Dと、入力状態に対応して出力状態を制御する制御装置100により構成される。
【0040】
本実施形態に於いては、貯留装置10の定量フィーダ11には、定量フィーダ11の駆動状態を操作するスイッチ11Cが実装され、起動用ブロワ65には、起動用ブロワ65の駆動状態を操作するスイッチ65Cが実装されている。また、燃焼排ガスに含まれる一酸化炭素、酸素含有量を測定するために、白煙防止用予熱器70と排煙処理塔80を接続し、比較的低温のとされた燃焼排ガスを流す配管98に、一酸化炭素濃度計98Cと酸素濃度計98Dを配置している。さらに、ダンパ68Cは、電動アクチュエータを備え制御装置100の出力信号によって開閉する。
【0041】
スイッチ11Cと、一酸化炭素濃度計98Cと、酸素濃度計98Dは、
図5に示すように、制御装置100の入力側に信号線を介して接続され、制御装置100の出力側には、信号線を介してスイッチ65Cと、ダンパ68Cが接続されている。
【0042】
(運転方法)
次に被処理物の供給が停止した場合における燃焼空気の補助供給装置を用いた運転方法について説明する。
スイッチ11Cが開放されたと制御装置100に信号が入力(定量フィーダ11の駆動が停止)された場合、
図6に示すように、加圧流動炉20内に残留した不完全燃焼される被処理物から発生する一酸化炭素等の有害物質を低減するために、制御装置100から起動用ブロワ65の運転信号が出力されスイッチ65Cが接続されることで起動用ブロワ65を駆動させ、コンプレッサー62、空気予熱器40等を介して加圧流動炉20の燃焼空気供給管24に燃焼空気を供給する。上述の通り起動用ブロワ65の起動条件を、定量フィーダ11の駆動停止としているが、たとえば、一酸化炭素濃度計98Cの測定値が所定の設定値以上となった場合、コンプレッサー62から排出される燃焼空気が、定格容量の50%未満となった場合などを追加の起動条件として加えることもできる。なお、本実施例では、定量フィーダ11の駆動が停止後、起動用ブロワ65の運転信号を出力するが、例えば制御装置100にタイマーなどを設け、定量フィーダ11の駆動が停止から一定時間経過後、起動用ブロワ65に運転信号が出力することもできる。
【0043】
一酸化炭素濃度計98Cの測定値に変動が無く、酸素濃度計98Dの測定値が18vol%以上から大気中の酸素濃度と等価な21vol%となった場合、制御装置100から起動用ブロワ65の停止信号が出力されスイッチ65Cが開放されることで起動用ブロワ65の駆動を停止する。また、一酸化炭素濃度計98Cと、酸素濃度計98Dの実装位置は、配管98に制限されることはなく、熱対策を施すことによって、配管90、92、93、97に配置することもできる。
【0044】
(他の運転方法)
次に、加圧流動炉システム1を立ち下げる場合の運転方法を以下に示す。
図7に示すように、供給装置である貯留装置10の定量フィーダ11と投入ポンプ12の駆動を停止し、貯留装置10から加圧流動炉20内への被処理物の供給を停止する。被処理物の供給が停止されることによって、加圧流動炉20内から排出される燃焼排ガスは低減し、過給機60のタービン61の回動が徐々に低速となり、コンプレッサー62から排出される燃焼空気の流量、圧力ともに徐々に低減する。一方、起動用ブロワ65は、被処理物の供給装置の停止を受け、再起動される。起動用ブロワ65から供給される燃焼空気は、
コンプレッサー62、空気予熱器40等を介して加圧流動炉20の燃焼空気供給管24に燃焼空気を供給する。
【0045】
次に、以下の条件のうち、少なくとも1つの条件を満たした場合、バイパス流路である配管68が開放され、起動用ブロワ65から供給される燃焼空気は、配管68を介して燃焼空気供給管24に供給される。第1の条件は、コンプレッサー62から排出される燃焼空気が、定格容量の50%未満となった場合である。第2の条件は、燃焼排ガス中に含まれる一酸化炭素、ダイオキシンなどの未燃焼ガス濃度が予め設定した値を超えた場合である。未燃焼ガス濃度は、燃焼排ガスライン上に適宜設けられた測定装置によって測定すれば良い。第3の条件は、起動用ブロワ65から吐出された燃焼空気の圧力が、コンプレッサー62から排出される燃焼空気の圧力より高くなった場合である。なお、起動用ブロワの65の吐出圧力は、第2の圧力センサ112で測定し、コンプレッサー62から排出される燃焼空気の圧力は第1の圧力センサ111で測定すればよく、これらのセンサから出力された値を制御装置100で。これらの条件のうち少なくとも1つを満たした場合に、起動用ブロワ65から供給される燃焼空気は、配管66、68、95、空気予熱器40、配管91を介して燃焼空気供給管24の後部に供給される。なお、配管66に配置されている仕切弁66Cは、制御装置100から出力される起動用ブロワ65を運転する運転信号にインターロックされて開放され配管66は連通し、配管68に配置されているダンパ68Cは、制御装置100の出力信号により開閉され、上記3条件のうち少なくとも1つを満たした場合に、開放され配管68は連通する。これによって、加圧流動炉20内に残留した被処理物を完全燃焼させることができる。
【0046】
次に、加圧流動炉20内に残留した被処理物を完全燃焼し、一酸化炭素濃度計98Cの測定値が予め設定した値より低下し、酸素濃度計98Dが大気中の酸素濃度と等価な21%以上となった後に、起動用ブロワ65の駆動を停止する。なお、配管66に配置されている仕切弁66Cは、制御装置100から出力される起動用ブロワ65を停止する停止信号にインターロックされて閉鎖され配管66は閉塞し、配管68に配置されているダンパ68Cは、制御装置100からの起動用ブロワ65の停止信号によって閉鎖され配管68は閉塞する。
【0047】
次に、加圧流動炉システム1が運転中に被処理物の供給を停止した場合の運転方法について説明する。
図8に示すように、貯留装置10の定量フィーダ11の駆動が停止した後に起動用ブロワ65を起動することによって、加圧流動炉20内に残留した被処理物を完全燃焼させ、被処理物の不完全燃焼によって発生する一酸化炭素等の有害物質の発生を防止することができる停止方法である。
【0048】
定量フィーダ11の駆動が停止した後に、起動用ブロワ65を起動し、起動用ブロワ65からコンプレッサー62に燃焼空気を供給する。定量フィーダ11は、スイッチ11Cを開放することで電力が遮断され駆動が停止するが、スイッチ11Cが開放された信号を制御装置100に入力させる。起動用ブロワ65から排出される燃焼空気は、配管66、67を介してコンプレッサー62に供給され、回動するコンプレッサー62により昇圧された後、配管94、96、95、空気予熱器40、配管91を介して燃焼空気供給管24の後部に供給される。なお、配管66に配置されている仕切弁66Cは、制御装置100から出力される起動用ブロワ65を運転する運転信号にインターロックされて開放され配管66は連通する。
【0049】
定量フィーダ11の駆動が停止した後に、起動用ブロワ65を起動し、起動用ブロワ65からコンプレッサー62に燃焼空気を供給することにより、例えば、コンプレッサー62から燃焼空気供給管24に供給される燃焼空気が低減した場合にあっても、起動用ブロワ65から供給される燃焼空気によって過給機60内に残留した被処理物は完全燃焼し、被処理物の不完全燃焼によって発生する一酸化炭素等の有害物質の発生を防止できる。
【0050】
次に、貯留装置10の投入ポンプ12の駆動を停止し、投入ポンプ12から加圧流動炉20内への被処理物の供給を停止する。被処理物の供給が停止されることによって、加圧流動炉20内から排出される燃焼排ガスは低減し、過給機60のタービン61の回動が徐々に低速となり、コンプレッサー62から排出される燃焼空気が徐々に低減する。
【0051】
次に、以下の条件のうち、少なくとも1つの条件を満たした場合、起動用ブロワ65から供給される燃焼空気は、バイパス流路である配管68が開放され、配管68を介して燃焼空気供給管24に供給される。第1の条件は、コンプレッサー62から排出される燃焼空気が、定格容量の50%未満となった場合である。第2の条件は、燃焼排ガス中に含まれる一酸化炭素、ダイオキシンなどの未燃焼ガス濃度が予め設定した値を超えた場合である。未燃焼ガス濃度は、燃焼排ガスライン上に適宜設けられた測定装置によって測定すれば良い。第3の条件は、起動用ブロワ65の吐出圧力が、コンプレッサー62から排出される燃焼空気の圧力より高くなった場合である。これらの条件のうち、少なくとも1つを満たした場合に、起動用ブロワ65から供給される燃焼空気は、配管66、68、95、空気予熱器40、配管91を介して燃焼空気供給管24の後部に供給される。なお、配管66に配置されている仕切弁66Cは、制御装置100から出力される起動用ブロワ65を運転する運転信号にインターロックされて開放され配管66は連通し、配管68に配置されているダンパ68Cは、制御装置100の出力信号により開閉され、上記3条件のうち少なくとも1つを満たした場合に、配管68は連通する。これによって、加圧流動炉20内に残留した被処理物を完全燃焼させることができる。
【0052】
次に、加圧流動炉20内に残留した被処理物を完全燃焼した後に、起動用ブロワ65の駆動を停止する。なお、配管66に配置されている仕切弁66Cは、制御装置100から出力される起動用ブロワ65を停止する停止信号にインターロックされて閉鎖され配管66は閉塞し、配管68に配置されているダンパ68Cは、制御装置100からの起動用ブロワ65の停止信号によって閉鎖され配管68は閉塞する。