(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2に記載される構造は、支柱側壁にタッピングスクリューもしくはネジで固定するものであり、支持板部42や起立壁2が当接可能なように平面である必要があった。
【0007】
本発明は、支柱外形の自由度を高くした場合に簡単に施工できる支柱構造体、及びその施工方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、本発明について説明する。ここではわかりやすさのため、図面の参照符号を括弧書きで付記するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0009】
請求項1に記載の発明は、支柱(30)と、支柱の一端部に取付けられる取付部材(2
0)と、支柱が取付部材を介して取付けられるベース(10)と、を備えた支柱構造体(
1)であって、取付部材は、支柱の長手方向と直交する方向外側に延びた領域を有し、該
外側に延びた領域で、取付部材がベースに固定可能とされ、
取付部材(20)のうち、支柱(30)が取付けられる側と反対側には、支柱から離れる方向に突出する突起(21b、21e)が形成されており、取付部材の突起がベースに形成される開口(13b)に係合可能とされる支柱構造体である。
【0011】
請求項
2に記載の発明は、請求項
1に記載の支柱構造体(1)において、ベースの開口(13b)は、ベースの面から立設する複数の立設片(13c)により形成される溝状であり、立設片の端部には前記溝幅を狭めるように突出する端片(13d)を備えており、取付部材(20)の突起は、
前記取付部材の1つの端部に設けられた第一突起(21b)
と、その反対側の端部に設けられた第二突起(21e)
と、を有して構成され、第一突起は、垂下部(21c)及び該垂下部の下端から突出する第1係合部(21d)を具備し、第二突起(21e)は、垂下部(21f)及び該垂下部の下端から突出して傾斜部を含む第2係合部(21g)を備えて
おり、第1係合部及び第2係合部が端片に係合可能とされる。
【0012】
請求項
3に記載の発明は、請求項1
又は2に記載の支柱構造体(1)において、取付部材(20)が、支柱(30)の一端面に取付けられる取付板(21)と、支柱の端面に設けられた固定部(30a)に取付板を螺合する螺合部材(22)と、を有するものである。
【0013】
請求項
4に記載の発明は、請求項
3に記載の支柱構造体(1)において、突起(21b、21e)は取付板(21)に設けられ、螺合部材(22)は、第一突起(21b)と前記第二突起(21e)との間で取付板をベースに固定する。
【0014】
請求項
5に記載の発明は、請求項
1乃至
4のいずれかに記載の支柱構造体(1)において、ベース(10)が、一対のレール材(12)により形成されるレール(11)と、該レールの間に配置される複数の台座(13)と、を有しており、台座に支柱(30)が取り付けられ、ベースの開口(13b)はレール材が伸びる方向に沿って形成されている。
【0015】
請求項
6に記載の発明は、請求項1乃至
5のいずれかに記載の支柱構造体(1)において、支柱(30)は、支柱本体(31)と、該支柱本体の外周を囲んで配置される外装材(32)と、を備えており、取付部材(20)は支柱本体に取り付けられる。
【0016】
請求項
7に記載の発明は、一対のレール材(12)を地面に敷設する工程と、一対のレール材に台座(13)を取り付ける工程と、支柱(30)に支柱端部より大きい面積を有する
請求項1乃至6のいずれかに記載の取付部材(20)を固定する工程と、取付部材を台座に上方から固定する工程と、を含む支柱構造体の施工方法である。
【0017】
請求項
8に記載の発明は、請求項
7に記載の支柱構造体の施工方法において、取付部材(20)の一端部を台座(13)に引っ掛けた状態で回転させ、取付部材の他端部を台座(13)に固定する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、支柱の端面に固定部が設けられ、この固定部に取り付けられた取付部材により支柱がベースに立設されるので、支柱の断面形状を問わず該支柱をベースに連結することが可能となる。これにより支柱の形状の設計自由度が向上し、施工も容易になる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。ただし、本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。
【0021】
図1は、1つの実施形態にかかる支柱構造体1を正面から見た図である。本実施形態の支柱構造体1は、庭や敷地の境界部分に設けられるフェンスである。また、
図2には支柱構造体1の一部を斜視図で表した。
図1からわかるように本実施形態の支柱構造体1では、
図1にIaで表した地面の上に設置されたベース10から立設するように複数の支柱30が並べられるように配列される。ここで複数の支柱30はそれぞれ取付部材20を介してベース10に固定されている。
また、支柱構造体1は、
図1にIbで示した位置にまでコンクリートで埋められ、その下部構造はコンクリートに覆われることにより隠蔽されている。これにより、支柱30に具備された複数の外装材32のみが人の目に触れるように突出して表れ、フェンスとして機能している。
以下、
図1、
図2、及び適宜示す各図を参照しつつ、支柱構造体1について説明する。
【0022】
支柱構造体1は、ベース10、取付部材20、及び支柱30を有して構成されている。
【0023】
ベース10は、複数の支柱30を立設して保持する機能を有するとともに、支柱30が並べられるべき方向を規定する部材である。従ってベース10は支柱30が並べられるべき方向に沿って延びる長尺の部材である。本実施形態のベース10は
図2からわかるようにレール11及び台座13を備えている。
【0024】
レール11は、長尺である2つのレール材12が所定の間隔を有して平行に延びるように構成された部材である。従って本実施形態ではレール11が支柱30が並べられるべき方向に沿って延び、支柱30の配列方向を規定している。レール11が延びる方向の具体的な形態は、支柱30の配列形態により適宜決定することができ、直線状、曲線状、又はその組み合わせ等、必要な形状とすることが可能である。
【0025】
また、レール11を構成する2つのレール材12のうち、互いに対向する面には長手方向に連続する突出した凸部12aが形成されている。この凸部12aは、次に説明する台座13に設けられたレール固定溝13aに係合され、2つのレール材12の間に台座13を保持する機能を有する。
【0026】
台座13は、全体としてブロック状の部材であり、レール材12間に配置され、2つのレール材12を渡すようにそれぞれに固定される。台座13はレール11に沿って所定の間隔で複数配置される。後で説明するように、台座13には取付部材20を介して支柱30が固定されるので、台座13は支柱30が取り付けられるべき位置に配置される。
【0027】
各台座13はつぎのような形状を有している。
図3に台座13の斜視図を示した。台座13は全体として中空の直方体ブロック状である。中空であることにより部材に用いられる材料の量を減らすことが可能とされている。
台座13のうち、レール材12に対向して配置される面には、レール材12に固定されるための溝であるレール固定溝13aが設けられている。従って、レール固定溝13aはレール材12と同じ方向に延びるように形成されている。
【0028】
また、台座13のうち、支柱30が立設される側の面が、支柱30を固定するための開口部を形成する溝である支柱固定溝13bが複数設けられている。支柱固定溝13bが延びる方向は特に限定されることはないが、レール固定溝13aと同じ方向であることが好ましい。これにより例えば押し出し成形により台座13を作製することができ、生産性の観点から利点がある。
支柱固定溝13bは複数の立設片13cが並べられその間隙が支柱固定溝13bを形成している。また立設片13cの先端部には支柱固定溝13bを狭める方向に突出する突起である端片13dが設けられている。
【0029】
図1、
図2に戻って取付部材20について説明する。また、
図4には、取付部材20及び後に説明する支柱30の分解斜視図を示した。
図2、
図4からわかるように、取付部材20は、取付板21及び螺合部材22を有している。
図5には取付板21の斜視図を示した。
【0030】
取付板21は板状の部材であり、その板面を貫通する孔21aが設けられている。孔21aの数や配置は特に限定されることはないが、支柱30に設けられた固定部30a(
図6参照)の位置に対応するように配置されている。
また、取付板21には、板状の端部のうち、1つの端部とその反対側の端部が曲げられたように垂下された突起である第一突起21b及び第二突起21eが設けられている。
第一突起21bは垂下された垂下部21cと該垂下部21cの先端に設けられた突起状の第一係合部21dを有している。一方、第二突起21eは垂下された垂下部21fと該垂下部21fの先端に設けられた突起状の第二係合部21gを有している。第二係合部21gには、垂下部21fの先端に向けて細くなるように形成された傾斜部21hが設けられている。
第一突起21b及び第二突起21eは上記した台座13の支柱固定溝13b内に挿入できるように形成されている。従って、第一突起21b及び第二突起21eの間隔は、複数の支柱固定溝13bのうちのいずれか2つの間隔と同じである。そして第一係合部21d及び第二係合部21gが台座13の端片13dに係合する。
【0031】
また、取付板21のうち、第一突起21b及び第二突起21e間に配置されている面、すなわち後述するように支柱30の端面が接する面の面積は、支柱30の端面において該端面の外周により囲まれる面積よりも大きいことが好ましい。これにより安定してベース10と支柱30とを連結することができる。
すなわち、取付板21は、支柱30の長手方向と直交する方向外側に延びた領域を有し、この外側に延びた領域に第一突起21b及び第二突起21eを備えている。
【0032】
螺合部材22は本実施形態ではネジであり、取付板21の孔21aを貫通し、支柱30に設けられた固定部30a(
図6参照)に螺合する。
【0033】
次に支柱30について説明する。
図1、
図2、及び
図4に支柱30の一部が表れている。また、
図6には
図2にVI−VIで示した線に沿って切断した図を示し、ここには支柱30の断面形状が表れている。支柱30は支柱本体31と外装材32とを有して構成されている。
【0034】
支柱本体31は
図6に表われた所定の断面を有して延びる長尺の部材で、
図1、
図2、
図4ではその一部が外装材32により隠蔽されているが、
図6からわかるように支柱本体31は支柱構造体1の上部に至るまで延びている。本発明の支柱構造体1は、複数の支柱30を所定の方向に配列するためのものである。
【0035】
本実施形態では支柱本体31は
図6に表れた断面を有してその長手方向に延びているので、支柱本体31の端面も
図6に表れた断面と同様の形状を有している。従って支柱本体31はその少なくとも1つの端面において、上記した取付部材20を固定するための固定部30aを備えている。本実施形態で固定部30aはタッピングホールである。これにより支柱本体31は、後述するようにその断面形状とは関係なく端面で取付部材20に固定することが可能となる。従って、支柱本体31の断面形状は特に限定されることなく適宜好みの断面形状を選択することが可能である。上記固定部を有していれば中空であるか中実であるかも限定されない。ただし、軽量化や使用される材料の量の観点から中空であることが好ましい。
ここで、当該端面は、端面の外周で囲まれた面積が、上記した取付板21のうち、第一突起21b及び第二突起21eに挟まれ、支柱30の端面が接触する面の面積よりも小さいことが好ましい。
【0036】
外装材32は、支柱本体31の長手方向外周面を囲むように配置され、支柱本体31に保持される長尺の部材であり、本実施形態で支柱構造体1を設置した状態で支柱構造体1の外観を形成する。従って外装材32はデザインの観点から具備される部材であり、形状や色彩は限定されることはない。
【0037】
以上のような各構成部材が次のように組み合わされることにより支柱構造体1が構成されている。すなわち、
図2からわかるように、レール11を構成する2つのレール材12間に所定の間隔を有して複数の台座13が取り付けられている。このとき、レール材12の凸部12aが台座13のレール固定溝13a(
図3参照)に挿入されることにより台座13をレール11に保持できる。台座13はさらに不図示のネジによりレール材12に固定されてもよい。
一方、
図4に示したように、支柱本体31の端面に取付部材20の取付板21が接触され、取付部材20の螺合部材22が取付板21の孔21aを貫通して支柱本体31の端面に設けられた固定部30aに螺合している。これにより取付部材20が支柱30の端面に固定されている。
ここで、支柱30の端面における該端面の外周に囲まれる面積よりも、取付板21のうち支柱30の端面が接触する面の面積が大きく形成されている。また、取付板21は、支柱30の長手方向と直交する方向外側に延びた領域を有し、この外側に延びた領域に第一突起21b及び第二突起21eを備えている。
【0038】
また、ベース10と取付部材20とは、取付部材20の取付板21の第一突起21b及び第二突起21e(
図5参照)が、ベース10の台座13に備えられる支柱固定溝13b内に挿入されており、これにより少なくとも仮固定及び位置決めがされている。さらに不図示のネジにより取付板21と台座13とが固定されもよい。
【0039】
以上のように組み合わさた構造により、
図1、
図2のような支柱構造体1とされている。このような支柱構造体1によれば、複数の支柱30の配列がベース10により規定されているので、容易に精度よく複数の支柱30を配列することが可能である。
また、支柱30とベース10との連結が支柱30の端面により行われているので、支柱30の断面形状によらず、いずれの断面形状であっても同様に支柱30をベース10に連結することが可能である。従来においては、支柱とベースとの連結が支柱の長手方向の外周面で行われていたので、支柱の断面形状によってはベースとの連結ができない、又は困難なことがあり、支柱として採用することができる断面形状に制約があった。これに対して本発明によればこのような不具合を解消することができ、支柱の形状の設計自由度を高めることが可能となった。
【0040】
次に、支柱構造体1の施工方法について説明する。
所定の長さ方向に延びるように成形されたレール11を、設置すべき場所に載置する。次に
図7に示したように、レール11の端部から2つのレール材12間に台座13を摺動させるようにして挿入する。このときレール材12の凸部12aを台座13のレール固定溝13a内に差し込むように配置する。そしてそのまま摺動させて支柱30を配置すべき位置にまで台座13を移動させる。台座13を配置させるべき位置に移動したらネジによりレール材12と台座13とを固定してもよい。
全ての台座13がレール11に取り付けられることによりベース10が形成される。ベース10が形成された後、これを地面に対して固定するため、アンカーが打たれる。
【0041】
一方、複数の支柱30のそれぞれには
図4に示したように、取付板21を螺合部材22により取り付ける。これは支柱30の端面に取付板21を接触し、ネジ22を取付板21の孔21aを貫通して支柱30の端面に設けられた固定部30aに螺合することにより行うことができる。
【0042】
準備したベース10に、取付部材20を取り付けた支柱30を取り付ける。その際には
図8に示したように、支柱30のうち取付部材20を取り付けた側の端部を台座13に上から被せるように近づける。そして初めに取付板21の第一突起21bを支柱固定溝13bに差し込む。次に、
図9に矢印IXで示したように回転するように、取付板21の第二突起21eを台座13の支柱固定溝13bに差し込む。これにより少なくとも支柱30がベース10に仮に固定され、簡易に仮固定及び位置決めをすることができる。この際、第二突起21eにはその先端に傾斜部21hが設けられているので、当該挿入が円滑に行われる。
その後、ネジ等により取付板21と台座13とを固定することにより強固な固定となる。
【0043】
全ての支柱30を台座13に固定することにより、複数の支柱30が所望の配列で立設した形状となる。そして最終的に
図1にIbに示した位置までコンクリートで埋めて支柱構造体1が地面に固定される。
【0044】
このように、本実施形態によれば、支柱30の位置決め及び配置が非常に容易になる。その結果、支柱の設計の自由度を高めることができることに加え、支柱の配置精度や施工の迅速化を図ることが可能となる。
【0045】
以上説明した実施形態にかかる支柱構造体は1つの例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。例えば次のような事項を挙げることができる。
本実施形態ではベース10はレール11と台座13とを有して構成されていたがこれに限定されることはなく、例えばベースが台座13を支柱の配列方向に延ばしたように形成された部材であってもよい。
また本実施形態では、支柱本体31に外装材32が配置された形態であったが、支柱自体が装飾的機能を有し、フェンスの分野におけるいわゆる枕木を形成してもよい。
【0046】
以上説明した実施形態では、支柱構造体1の1つの例としてフェンスを例示したが、支柱構造体を適用することができる構造体はこれに限定されることなく、他の支柱構造体に適用することもできる。例えば支柱が板状であることにより塀構造とされてもよく、支柱に電灯や表札ががつけられた玄関回りの構造体としてもよい。