(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
計画航路で定められた始点と終点との間を設定される間隔で複数に区切った途中通過点である経由点の位置と前記経由点を通過する時刻との組が前記経由点ごとに複数作成され、その作成された複数の前記組のデータからなる経由点データと、海上の現在の船舶の位置である船位とに基づいて航路偏差を演算する航路偏差演算部と、
前記航路偏差をなくすように舵角指令値を演算する航路保持制御部と、
前記経由点データと前記船位とに基づいて、前記船位を指令航路上に写像して求める仮想的な位置としての前記指令航路上における現在位置を通過する時刻である目標時刻を演算する目標時間演算部と、
前記目標時刻と、現在の時刻との時間偏差を演算する時間偏差演算部と、
前記時間偏差と、前記経由点データとに基づいて前記時間偏差をなくすように速度指令値を演算し、前記速度指令値に基づいて制御指令を出す速度制御部と、
を備え、
前記速度制御部は、
前記時間偏差から速度修正量を求め、該速度修正量と、前の前記経由点の位置から次の前記経由点の位置まで航走する速度である目標平均速度とに基づいて、プロペラの回転数及び翼角を演算し、前記回転数及び前記翼角に基づいて速度制御を行う
ことを特徴とする航路保持制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0014】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における各船舶の経由点の通過時刻を説明する概略図である。
図1に示すように、ある海域で、A船1、B船2、C船3、及びD船4が、同一グループとして航走している。ここでいう同一グループとは、同一海域上を同一の目的で航走する船舶のグループである。例えば、無人水上航走体USV(Unmanned surface vehicle)等で海洋調査等を行うようなグループのことである。水上を航走するため、各船舶の可能稼働範囲は2次元である。そのため、時間制御により互いの衝突を回避する制御が必要となる。
なお、上記で説明した同一グループは一例を示すものであり、これに限定されるものではない。例えば、外部からの管制として経由点とその通過時刻とを指定する方法で航行を管理されている複数の船舶を同一のグループとしてもよい。具体的には、東京湾口のような管制海域内において、通過点とその時刻とを指定することにより、安全な航行管制が行われている複数の船舶を同一のグループとしてもよい。
【0015】
図1に示すように、A船1及びC船3は、同一の経由点11を通過することに計画航路上で計画されており、A船1が経由点11を1時15分に通過し、C船3が経由点11を1時30分に通過することとなっている。
また、A船1及びD船4は、同一の経由点12を通過することに計画航路上で計画されており、A船1が経由点12を2時00分に通過し、D船4が経由点12を2時15分に通過することとなっている。
また、B船2及びC船3は、同一の経由点13を通過することに計画航路上で計画されており、B船2が経由点13を0時30分に通過し、C船3が経由点13を0時45分に通過することとなっている。
また、B船2及びD船4は、同一の経由点14を通過することに計画航路上で計画されており、B船2が経由点14を1時15分に通過し、D船4が経由点14を1時30分に通過することとなっている。
【0016】
このように、各経由点ごとの位置と時刻が定められた計画航路に基づいてA船1、B船2、C船3、及びD船4が航走すれば、各船舶同士が衝突することはない。そのため、各船舶の衝突を回避することが可能となる。本発明の実施の形態1においては、後述するように、各船舶の経由点11〜14を通過する目標時刻を制御する。
ここで、各経由点は、計画航路で定められた始点から終点までの間に船舶が海上を通過する途中の通過地点のことであり、例えば、一定間隔で予め定められるものである。具体的には、始点から終点までの間を所定の間隔で分割し、その分割した各地点をそれぞれ経由点とするものである。
なお、航路保持における経由点は、一定間隔で設定されるものに限定されるものではない。例えば、開けた海域であって、直進が続く場合、経由点がまばらに設定されてもよい。また、例えば、海峡のように頻繁に変針を行う海域の場合、経由点が短い間隔で指定されてもよい。
【0017】
ところで、海上には様々な外乱が存在する。例えば、船舶は外乱の一つである海気象の影響により船舶の航走に影響が出てくる。具体的には、船舶は、風速、風向き、波パワースペクトル、波高、波周期、及び波向き等の影響を受けることにより、時刻通りに経由点11〜14を通過することができなくなる場合が生じる。
【0018】
そこで、本発明の実施の形態1においては、そのような外乱の影響を受けた場合であっても、後述する航路保持制御装置51を用いることで、各船舶の衝突を回避する。
【0019】
図2は、本発明の実施の形態1における航路保持制御装置51の機能ブロック図である。
図2に示すように、航路保持制御装置51は、経由点データである船舶の位置と時刻、船舶の船位、及び時刻を入力して、船舶に搭載されたプロペラを制御するための速度指令値及びその船舶の舵を制御するための舵角指令値を出力する。ここで、速度指令値とは、例えば、プロペラの回転数や翼角のことである。すなわち、航路保持制御装置51は、経由点データ、船位、及び時刻に基づいて、舵角指令値及び速度指令値を演算し、その演算結果に基づいて船舶を駆動制御するものである。
【0020】
航路保持制御装置51は、現在位置演算部61、航路偏差演算部62、航路保持制御部63、目標時間演算部64、時間偏差演算部65、及び速度制御部66等を備えている。
現在位置演算部61は、経由点データの一つである位置と、船位とに基づいて、計画航路で作成されている指令航路上における現在位置を演算するものである。
航路偏差演算部62は、指令航路上における現在位置と、船位とに基づいて、外乱等で生じた航路の偏差である航路偏差を演算するものである。
航路保持制御部63は、航路偏差演算部62で求めた航路偏差に基づいて舵角指令値を求め、その求めた舵角指令値に基づいて船舶の舵を制御するものである。
目標時間演算部64は、経由点データと、船位と、に基づいて、経由点によって得られる指令航路上における現在位置を通過する時刻である目標時刻を演算するものである。
なお、通常、船舶は指令航路上にはなく、指令航路と、GPS等で計測される船位とは偏差が生じるものである。
詳細については後述するが、指令航路上における現在位置とは、船位を各経由点を通過するように定めた航路上へ写像して求めるものである。すなわち、船位を航路上に投影させたものであって、ある時刻のときの船舶の仮想的な位置のことであり、GPS等で計測される船位とは異なるものである。
時間偏差演算部65は、目標時間演算部64で求めた船舶の指令航路上での目標時刻及び現在の時刻に基づいて、目標時刻と現在の時刻との時間の偏差である時間偏差を演算するものである。
速度制御部66は、経由点データの位置と時刻、時間偏差演算部65で求めた時間偏差に基づいて速度指令値、例えば、プロペラの回転数や翼角を求め、求めた速度指令値に基づいて船舶のプロペラを制御するものである。
【0021】
図3は、本発明の実施の形態1における航路偏差の計画航路に対する幾何的関係を説明する図である。
図3に示すように、船舶の海上における位置と時刻とを(位置;時刻)という形式で表現することとする。
例えば、
図3に示すように、A船1の現在位置の船位と時刻は(x,y;t)である。また、前の経由点の位置と時刻は、(x
n-1,y
n-1;t
n-1)であり、次の経由点の位置と時刻は、(x
n,y
n;t
n)であり、指令航路上における現在位置の位置と時刻は(x
s,y
s;t
s)である。つまり、各経由点の位置と時刻との組から経由点データが形成される。
なお、t
sは指令航路上における現在位置(x
s,y
s)を通過する時刻の目標値であるとする。
【0022】
ここで、船位(x,y)より計画航路に対して下ろした垂線とこの計画航路との交点が指令航路上における現在位置(x
s,y
s)であるとする。
なお、指令航路上における現在位置(x
s,y
s)は、前の経由点の位置(x
n-1,y
n-1)と、次の経由点の位置(x
n,y
n)とを結んだ線分上にあるものとする。
また、A船1の現在位置から指令航路上における現在位置までの距離を航路偏差Δsと表すこととする。
また、A船1の現在時刻tと、目標時刻t
sとの差を時間偏差Δtと表すこととする。
ここで、目標時刻t
sとは、指令航路上における現在位置(x
s,y
s)を通過する目標時刻である。例えば、
図1に示すように、経由点11の場合、1時15分である。
なお、船位(x,y)は、船舶に搭載されるGPS(Global Positioning System)等から取得される緯度及び経度を平面座標系に変換したものである。
また、船位xが緯度の場合、船位yは経度であり、船位xが経度の場合、船位yは緯度であり、船位xや船位yは緯度や経度のどちらでもよい。
また、ここではA船1の場合について説明するが、他船であっても同様に制御が実行される。
【0023】
次に、航路偏差Δs及び時間偏差Δtの算出方法について、後述する式(1)〜式(5)を用いて説明する。
前の経由点の位置、次の経由点の位置、及び現在の船位に基づいて求める航路偏差Δs、並びに、前の経由点の位置と時刻、次の経由点の位置と時刻、現在の船位、及び現在の時刻に基づいて求める時間偏差Δtは以下の式(1)〜式(5)で与えられる。
【0029】
式(1)は、船位(x,y)と、前の経由点の位置(x
n-1,y
n-1)と、次の経由点の位置(x
n,y
n)とに基づいて指令航路上における現在位置のx座標であるx
sを求めるものである。
式(2)は、船位(x,y)と、前の経由点の位置(x
n-1,y
n-1)と、次の経由点の位置(x
n,y
n)とに基づいて指令航路上における現在位置のy座標であるy
sを求めるものである。
式(3)は、前の経由点の位置と時刻(x
n-1,y
n-1;t
n-1)と、次の経由点の位置と時刻(x
n,y
n;t
n)と、指令航路上における現在位置のx座標であるx
sと、指令航路上における現在位置のy座標であるy
sとに基づいて目標時刻t
sを求めるものである。
式(4)は、船位(x,y)と、指令航路上における現在位置のx座標であるx
sと、指令航路上における現在位置のy座標であるy
sとに基づいて航路偏差Δsを求めるものである。
式(5)は、A船1の現在位置の時刻tと、目標時刻t
sとに基づいて時間偏差Δtを求めるものである。
【0030】
図4は、本発明の実施の形態1における航路保持制御装置51で処理されるデータを示す機能ブロック図である。
現在位置演算部61は、
図3で説明した前の経由点の位置(x
n-1,y
n-1)、次の経由点の位置(x
n,y
n)、及び船位(x,y)に基づいて指令航路上における現在位置(x
s,y
s)を演算し、演算結果を目標時間演算部64に供給する。
【0031】
目標時間演算部64は、
図3で説明した前の経由点の位置(x
n-1,y
n-1)、次の経由点の位置(x
n,y
n)、前の経由点の時刻(t
n-1)、次の経由点の時刻(t
n)、及び指令航路上における現在位置(x
s,y
s)に基づいて目標時刻(t
s)を演算し、演算結果を時間偏差演算部65に供給する。
【0032】
時間偏差演算部65は、目標時刻(t
s)と現在の時刻(t)に基づいて式(5)を用いて時間偏差Δtを演算し、演算結果を速度制御部66に供給する。
なお、時刻(t)は、例えば、GPS等から取得したデータである。また、時刻(t)の取得方法はこれに限定されない。
【0033】
速度制御部66は、前の経由点の位置(x
n-1,y
n-1)、次の経由点の位置(x
n,y
n)、前の経由点の時刻(t
n-1)、次の経由点の時刻(t
n)、及び時間偏差Δtに基づいて速度指令値を演算する。なお、速度制御部66の詳細については後述する。
【0034】
航路偏差演算部62は、指令航路上における現在位置(x
s,y
s)及び船位(x,y)に基づいて式(4)を用いて航路偏差Δsを演算し、演算結果を航路保持制御部63に供給する。
【0035】
航路保持制御部63は、航路偏差Δsに基づいて舵角指令値を演算する。具体的には航路偏差Δsがなくなるように舵を制御するための舵角を演算する。
【0036】
図5は、本発明の実施の形態1における速度制御部66の詳細構成を説明する機能ブロック図である。
図5に示すように、速度制御部66は、速度修正量演算部71、目標平均速度演算部72、及び速度指令値決定部73等を備えている。
【0037】
速度修正量演算部71は、時間偏差Δtに基づいて速度修正量を演算するものであり、その演算結果を速度指令値決定部73に供給する。
ここで、速度修正量とは、経由点を通過する際の時間偏差Δtをなくすための速度の操作量のことである。
【0038】
目標平均速度演算部72は、前の経由点の位置(x
n-1,y
n-1)、次の経由点の位置(x
n,y
n)、前の経由点の時刻(t
n-1)、及び次の経由点の時刻(t
n)に基づいて目標値としての目標平均速度を演算するものであり、その演算結果を速度指令値決定部73に供給する。
ここで、目標平均速度とは、速度制御において目標値とする平均速度である。
目標平均速度は、式(6)で表せられる。
【0040】
なお、ここでは、経由点の位置データと、通過時刻とが与えられた場合における目標平均速度を求める一例について説明したが、これに限定されるものではない。
【0041】
速度指令値決定部73は、速度修正量演算部71及び目標平均速度演算部72から供給されたデータに基づいて目標速度を求め、速度指令値としての回転数や翼角を求める。
具体的には、時間偏差をなくすように目標平均速度を補正した目標速度を求める。
例えば、目標平均速度が6ノットであり、速度修正量が−1ノットである場合、補正した速度は5ノットである。この場合には、今の目標平均速度では予定した時刻(t
n)よりも早く次の経由点に到達してしまうので、速度を減少させるように調整する。具体的には、速度を減少させるようにプロペラの回転数や翼角を定める。
また、例えば、目標平均速度が4ノットであり、速度修正量が+1.5ノットである場合、補正した速度は5.5ノットである。この場合には、今の目標平均速度では予定した時刻(t
n)よりも遅れて次の経由点に到達してしまうので、速度を増加させるように調整する。具体的には、速度を増加させるようにプロペラの回転数や翼角を定める。
【0042】
例えば、予め速度に対する回転数と翼角(ピッチ角)とのテーブルが作成されており、速度指令値決定部73で決定された速度から、回転数や翼角が同時に求まるようになっている。
また、レジャー用の船舶を用いる場合、固定ピッチであるため、この場合には回転数の制御だけでよい。
また、タグボートや掃海艇等の船舶を用いる場合、可変ピッチであるため、この場合には回転数と翼角の制御となる。具体的には、可変ピッチプロペラは、エンジンを一定速度で回転させたまま、翼角を制御するだけで前進、停止、後進、全速、及び微速を制御するものである。例えば、全速前進時、翼角は20度で設定され、微速前進時、翼角は10度で設定され、全速後進時、翼角は−15度で設定される。
なお、上記で説明した回転数や翼角の求め方は一例を示すものであり、これに限定されるものではない。
【0043】
なお、上記の説明においては、プロペラや舵により船舶を制御する一例について説明したが、これに限定されるものではない。
例えば、図示しないポンプで吸引した液体、例えば、海水や淡水を船尾に設けられたノズルから後方へ向かって噴流として吹き出すウォータージェット推進器で推進力を得てもよい。この場合における船位の制御は、例えば、ウォータージェット推進器に設けられ、噴流の吹き出し方向を変えるステアリングノズルで行えばよい。このように、ウォータージェット推進器と、ステアリングノズルと、が設けられる船舶として、例えば、高速客船や軍艦等がある。
【0044】
また、例えば、上記で説明したようなプロペラや舵に加え、船底から略鉛直方向に空気圧を与える空気排出器としてのファンが設けられた船舶であってもよい。このような船舶としては、例えば、エア・クッション・ビークル(Air Cushion Vehicle)、略してACVがある。ACVは、一般に、船底周囲にゴムのスカートが設けられ、ファンを使って下向きに空気を吹き込ませることにより、スカート内に閉じ込められた空気で船体を持ち上げさせるものである。
【0045】
このように、本発明の実施の形態1においては、時間偏差Δtがなくなるように速度の指令値を制御する。これにより、時間偏差を無くすことができるため、各経由点を計画通りの時刻で通過できるのである。
【0046】
図6は、本発明の実施の形態1における速度指令値演算処理の詳細を説明するフローチャートである。
(ステップS11)
航路保持制御装置51は、指令航路上の現在位置(x
s、y
s)を計算する。
【0047】
(ステップS12)
航路保持制御装置51は、目標時刻t
sを計算する。
【0048】
(ステップS13)
航路保持制御装置51は、時間偏差Δtを計算する。
【0049】
(ステップS14)
航路保持制御装置51は、速度修正量を計算する。
【0050】
(ステップS15)
航路保持制御装置51は、目標平均速度を計算する。
【0051】
(ステップS16)
航路保持制御装置51は、速度指令値を決定し、処理は終了する。
【0052】
なお、ステップS11〜ステップS14の処理と、ステップS15の処理とが並列に実行されてもよい。また、ステップS11〜ステップS15の処理が順に逐次実行されてもどちらでもよい。いずれにしても、ステップS14の結果と、ステップS15の結果とを用いてステップS16の処理が実行されればよい。
換言すれば、上記のステップS11〜ステップS16は一例を示すものであり、速度指令値が求まれば、その処理の順番については特に限定されるものではない。
【0053】
図7は、本発明の実施の形態1における舵角指令値演算処理の詳細を説明するフローチャートである。
(ステップS31)
航路保持制御装置51は、航路偏差Δsを計算する。
【0054】
(ステップS32)
航路保持制御装置51は、舵角指令値を決定し、処理は終了する。
【0055】
なお、ステップS11〜ステップS16の処理と、ステップS31〜ステップS32の処理は、並列に実行されても、順に逐次実行されてもどちらでもよい。いずれにしても、航路保持制御装置は、これらの処理で求められた舵角指令値及び速度指令値に基づいて、船舶の航走を制御する。
【0056】
このように、時間偏差から求めた速度修正量と、目標平均速度と、に基づいて速度制御を行うことにより、経由点の通過時刻を指定通りにすることができるので、各船舶の衝突回避を保証することができる。
【0057】
以上のように、本実施の形態1においては、計画航路で定められた始点と終点との間を設定される間隔で複数に区切った途中通過点である経由点の位置と経由点を通過する時刻との組が経由点ごとに複数作成され、その作成された複数の組のデータからなる経由点データと、海上の現在の船舶の位置である船位とに基づいて航路偏差を演算する航路偏差演算部62と、航路偏差をなくすように舵角指令値を演算する航路保持制御部63と、経由点データと船位とに基づいて、船位を指令航路上に写像して求める仮想的な位置としての指令航路上における現在位置を通過する時刻である目標時刻を演算する目標時間演算部64と、目標時刻と、現在の時刻との時間偏差を演算する時間偏差演算部65と、時間偏差と、経由点データとに基づいて時間偏差をなくすように速度指令値を演算し、速度指令値に基づいて制御指令を出す速度制御部66と、を備え、速度制御部66は、時間偏差から速度修正量を求め、該速度修正量と、前の前記経由点の位置から次の前記経由点の位置まで航走する速度である目標平均速度とに基づいて、プロペラの回転数及び翼角を演算し、回転数及び翼角に基づいて速度制御を行うことにより、経由点の通過時刻を指定通りにすることができるので、各船舶の衝突回避を保証することができる。
【0058】
実施の形態2.
図8は、本発明の実施の形態2における地球規模での各船舶の移動状態を説明する概略図である。
なお、
図8に示す一例は概略図であり、その縮尺は正確ではないものとする。
また、本実施の形態2において、特に記述しない項目については実施の形態1と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
【0059】
グループ101は、矢印111の方向に航走する船舶の群である。一方、グループ102は、矢印112の方向に航走する船舶の群である。このような状況においても、各船舶に搭載されている航路保持制御装置51は、時間偏差から求めた速度修正量と、目標平均速度と、に基づいて速度制御を行う。具体的には、各船舶に搭載される航路保持制御装置51は、互いの船舶にある経由点データを送受信可能な通信部を備えている。そのため、航路保持制御装置51は、他船舶の経由点データに基づいて舵角指令値及び速度指令値を求めることが可能となり、その結果に基づいて舵やプロペラを制御することができる。
これにより、経由点の通過時刻を指定通りにすることができるので、各船舶の衝突回避を保証することができる。
【0060】
以上のように、本発明の実施の形態2においては、経由点データを送受信する通信部を更に備え、速度制御部66は、通信部から受信した前記経由点データに基づいて、速度制御を行うことにより、経由点の通過時刻を指定通りにすることができるので、各船舶の衝突回避を保証することができる。