【実施例】
【0039】
(実施例1)
水酸化第二銅53.58部、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム1部、リグニンスルホン酸ナトリウム4部、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム5部、DLリンゴ酸10部、硫酸アンモニウム26.42部を衝撃式粉砕機で混合粉砕し、水和剤を得た。
本水和剤の粉末X線回折ピークは回折強度の強い順に23.8°、16.7°、34.1°、39.8°、53.3°、22.8°、20.5°、38.1°に認められた。500倍希釈液をキュウリ葉面に十分散布し、希釈液乾燥物を集め、粉末X線回折ピークを確認した結果、16.7°、34.1°、39.8°、53.3°、22.8°、20.5°、38.1°の回折ピークは消失した。35.8°、21.1°、33.4°に新たな回折ピークが出現した。
【0040】
(実施例2)
水酸化第二銅53.58部、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム1部、リグニンスルホン酸ナトリウム4部、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム5部、DLリンゴ酸10部、コハク酸アンモニウム26.42部を衝撃式粉砕機で混合粉砕し、水和剤を得た。
本水和剤の粉末X線回折ピークは回折強度の強い順に41.4°、23.8°、34.1°、16.8°、39.8°、53.4°に認められた。500倍希釈液をキュウリ葉面に十分散布し、希釈液乾燥物を集め、粉末X線回折ピークを確認した結果、41.4°の回折ピークは消失し、23.8°の回折ピークの回折強度は3/4以下(65%以下)になった。
【0041】
(実施例3)
水酸化第二銅53.58部、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム1部、リグニンスルホン酸ナトリウム4部、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム5部、クエン酸一水和物5部、クエン酸三ナトリウム二水和物2.5部、クエン酸二水素アンモニウム28.92部を衝撃式粉砕機で混合粉砕し、水和剤を得た。
本水和剤の粉末X線回折ピークは回折強度の強い順に22.8°、39.0°、16.8°、34.1°、39.8°、53.4°に認められた。500倍希釈液をキュウリ葉面に十分散布し、希釈液乾燥物を集め、粉末X線回折ピークを確認した結果、39.0°のピークは消失し、22.84°、16.8°、34.1°、39.8°、53.4°の回折ピークの回折強度は3/4以下(50%以下)になった。
【0042】
(実施例4)
水酸化第二銅53.58部、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム1部、リグニンスルホン酸ナトリウム4部、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム5部、DLリンゴ酸5部、DLリンゴ酸二ナトリウム0.5水和物2.5部、硫酸アンモニウム28.92部を衝撃式粉砕機で混合粉砕し、水和剤を得た。
本水和剤の粉末X線回折ピークは回折強度の強い順に16.6°、23.7°、33.9°、22.7°、39.7°、20.3°、53.3°、20.1°に認められた。500倍希釈液をキュウリ葉面に十分散布し、希釈液乾燥物を集め、粉末X線回折ピークを確認した結果、22.7°、53.3°、20.1°のピークは消失し、16.6°、23.7°、33.9°、39.7°、20.3°の回折ピークの回折強度は3/4以下(30%以下)になった。26.5°、23.4°、27.8°に新たな回折ピークが出現した。
【0043】
(実施例5)
水酸化第二銅53.58部、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム1部、リグニンスルホン酸ナトリウム4部、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム5部、クエン酸三ナトリウム二水和物10部、硫酸アンモニウム26.42部を衝撃式粉砕機で混合粉砕し、水和剤を得た。
本水和剤の粉末X線回折ピークは回折強度の強い順に23.8°、16.8°、34.1°、39.8°、53.4°、20.3°、20.5°、29.3°に認められた。500倍希釈液をキュウリ葉面に十分散布し、希釈液乾燥物を集め、粉末X線回折ピークを確認した結果、53.4°、20.5°、29.3°のピークは消失し、23.8°、16.8°、34.1°、39.8°、20.5°の回折ピークの回折強度は3/4以下(50%以下)になった。22.4°、22.5°、38.2°に新たな回折ピークが出現した。
【0044】
(実施例6)
水酸化第二銅53.58部、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム1部、リグニンスルホン酸ナトリウム4部、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム5部、クエン酸一水和物5部、クエン酸三ナトリウム二水和物2.5部、硫酸アンモニウム28.92部を衝撃式粉砕機で混合粉砕し、水和剤を得た。
本水和剤の粉末X線回折ピークは回折強度の強い順に16.8°、23.9°、34.2°、39.9°、53.5°、20.5°、22.9°に認められた。500倍希釈液をキュウリ葉面に十分散布し、希釈液乾燥物を集め、粉末X線回折ピークを確認した結果、16.8°、23.9°、34.2°、39.9°、53.5°、20.5°、22.9°のピークは消失した。28.9°、21.4°、35.8°に新たな回折ピークが出現した。
【0045】
(実施例7)
水酸化第二銅53.58部、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム1部、リグニンスルホン酸ナトリウム4部、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム5部、DLリンゴ酸二ナトリウム0.5水和物5部、硫酸アンモニウム31.42部を衝撃式粉砕機で混合粉砕し、水和剤を得た。
本水和剤の粉末X線回折ピークは回折強度の強い順に16.7°、23.8°、34.1°、22.7°、39.7°、20.4°、53.3°、20.3°に認められた。500倍希釈液をキュウリ葉面に十分散布し、希釈液乾燥物を集め、粉末X線回折ピークを確認した結果、16.7°、23.8°、34.1°、22.7°、39.7°、20.4°、53.3°、20.3°のピークは消失し、26.7°、23.1°、28.1°に新たな回折ピークが出現した。
【0046】
(実施例8)
水酸化第二銅53.58部、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム1部、リグニンスルホン酸ナトリウム4部、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム5部、硫酸アンモニウム36.42部を衝撃式粉砕機で混合粉砕し、水和剤を得た。
本水和剤の粉末X線回折ピークは回折強度の強い順に23.8°、16.7°、34.1°、39.8°、53.3°、22.8°、20.5°、38.1°に認められた。500倍希釈液をキュウリ葉面に十分散布し、希釈液乾燥物を集め、粉末X線回折ピークを確認した結果、16.7°、34.1°、39.8°、53.3°、22.8°、20.5°、38.1°の回折ピークは消失した。35.8°、21.1°、33.4°に新たな回折ピークが出現した。
【0047】
(実施例9)
水酸化第二銅53.58部、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム1部、リグニンスルホン酸ナトリウム4部、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム5部、コハク酸アンモニウム36.42部を衝撃式粉砕機で混合粉砕し、水和剤を得た。
本水和剤の粉末X線回折ピークは回折強度の強い順に41.4°、23.8°、34.1°、16.8°、39.8°、53.4°に認められた。500倍希釈液をキュウリ葉面に十分散布し、希釈液乾燥物を集め、粉末X線回折ピークを確認した結果、41.4°の回折ピークは消失し、23.8°の回折ピークの回折強度は3/4以下(65%以下)になった。
【0048】
(実施例10)
水酸化第二銅53.58部、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム1部、リグニンスルホン酸ナトリウム4部、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム5部、(+)酒石酸アンモニウム36.42部を衝撃式粉砕機で混合粉砕し、水和剤を得た。
本水和剤の粉末X線回折ピークは回折強度の強い順に42.7°、23.9°、34.2°、39.9°、16.8°、53.3°に認められた。500倍希釈液をキュウリ葉面に十分散布し、希釈液乾燥物を集め、粉末X線回折ピークを確認した結果、42.7°の回折ピークは消失し、23.9°、34.2°、39.9°、53.3°の回折ピークの回折強度は3/4以下(70%以下)になった。
【0049】
(実施例11)
水酸化第二銅53.58部、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム1部、リグニンスルホン酸ナトリウム4部、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム5部、クエン酸二水素アンモニウム36.42部を衝撃式粉砕機で混合粉砕し、水和剤を得た。
本水和剤の粉末X線回折ピークは回折強度の強い順に22.8°、39.0°、16.8°、34.1°、39.8°、53.4°に認められた。500倍希釈液をキュウリ葉面に十分散布し、希釈液乾燥物を集め、粉末X線回折ピークを確認した結果、39.0°のピークは消失し、22.8°、16.8°、34.1°、39.8°、53.4°の回折ピークの回折強度は3/4以下(50%以下)になった。
【0050】
(比較例1)
水酸化第二銅53.58部、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム1部、リグニンスルホン酸ナトリウム4部、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム5部、DLリンゴ酸10部、クレー26.42部を衝撃式粉砕機で混合粉砕し、水和剤を得た。
本水和剤の粉末X線回折ピークは回折強度の強い順に23.8°、26.6°、16.7°、39.7°、53.3°、35.9°に認められた。本水和剤の500倍希釈液をキュウリ葉面に十分散布し、希釈液乾燥物を集め粉末X線回折ピークを確認した結果、本水和剤の粉末X線回折ピークに比較して、消失した回折ピーク及び3/4以下に回折強度が低下した回折ピークは認められなかった。
【0051】
(比較例2)
水酸化第二銅53.58部、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム1部、リグニンスルホン酸ナトリウム4部、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム5部、クエン酸一水和物5部、クエン酸三ナトリウム二水和物2.5部、クレー28.92部を衝撃式粉砕機で混合粉砕し、水和剤を得た。
本水和剤の粉末X線回折ピークは回折強度の強い順に23.8°、26.6°、16.7°、39.7°、53.3°、35.9°に認められた。本水和剤の500倍希釈液をキュウリ葉面に十分散布し、希釈液乾燥物を集め粉末X線回折ピークを確認した結果、本水和剤の粉末X線回折ピークに比較して、消失した回折ピーク及び3/4以下に回折強度が低下した回折ピークは認められなかった。
【0052】
(比較例3)
水酸化第二銅53.58部、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム1部、リグニンスルホン酸ナトリウム4部、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム5部、DLリンゴ酸5部、DLリンゴ酸二ナトリウム0.5水和物2.5部、クレー28.92部を衝撃式粉砕機で混合粉砕し、水和剤を得た。
本水和剤の粉末X線回折ピークは回折強度の強い順に23.8°、26.6°、16.7°、39.7°、53.3°、35.9°に認められた。本水和剤の500倍希釈液をキュウリ葉面に十分散布し、希釈液乾燥物を集め粉末X線回折ピークを確認した結果、本水和剤の粉末X線回折ピークに比較して、消失した回折ピーク及び3/4以下に回折強度が低下した回折ピークは認められなかった。
【0053】
(比較例4)
水酸化第二銅53.58部、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム1部、リグニンスルホン酸ナトリウム4部、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム5部、クエン酸三ナトリウム二水和物10部、クレー26.42部を衝撃式粉砕機で混合粉砕し、水和剤を得た。
本水和剤の粉末X線回折ピークは回折強度の強い順に23.8°、26.6°、16.7°、39.7°、53.3°、35.9°に認められた。本水和剤の500倍希釈液をキュウリ葉面に十分散布し、希釈液乾燥物を集め粉末X線回折ピークを確認した結果、本水和剤の粉末X線回折ピークに比較して、消失した回折ピーク及び3/4以下に回折強度が低下した回折ピークは認められなかった。
【0054】
(比較例5)
水酸化第二銅76.8部、ラウリル硫酸ナトリウム2部、ポリオキシエチレンスチリルエーテル0.5部、高級アルコール硫酸エステル金属塩1部、ホワイトカーボン1部、クレー18.7部を衝撃式粉砕機で混合粉砕し、水和剤を得た。
本水和剤の粉末X線回折ピークは回折強度の強い順に23.6°、33.9°、16.6°、39.6°、53.2°、26.4°に認められた。本水和剤のイオン交換水5倍希釈液のpHを測定した結果、6.7であった。また、本水和剤の500倍希釈液をキュウリ葉面に十分散布し、希釈液乾燥物を集め粉末X線回折ピークを確認した結果、本水和剤の粉末X線回折ピークに比較して、消失した回折ピーク及び3/4以下に回折強度が低下した回折ピークは認められなかった。
【0055】
(試験例1;キュウリべと病に対する防除効果試験)
キュウリ(品種:相模半白、1〜2葉期)の葉面に、所定量の薬剤をスプレーガンを用いて均一に散布した。1日放置後、薬剤散布した葉面にPseudoperonospora cubensis(シュードペロノポスポラ・クベンシス:キュウリべと病菌;1×10
5分生子個/mL)をハンドスプレーで噴霧接種し、24℃の湿室(相対湿度100%、暗黒条件)に24時間置き、その後24℃の温室内で発病させ、接種6日後に第1本葉の発病面積率を調査し、無処理区との対比から防除価(%)を算出した。
【0056】
(試験例2;キュウリうどんこ病に対する防除効果試験)
キュウリ(品種:相模半白、1〜2葉期)葉面に、所定量の薬剤をスプレーガンを用いて均一に散布した。1日放置後、葉面にSphaerotheca fuliginea(スファエロセカ・フリギネア:キュウリうどんこ病菌;1×10
5分生子個/mL)をハンドスプレーで噴霧接種し、20℃の温室内で発病させ、接種10日後に第1本葉の発病面積率を調査し、無処理区との対比から防除価(%)を算出した。
【0057】
試験例1及び2の結果を表1に示した。この結果、本発明に係る農園芸用水和性殺菌剤は、比較例で示したような通常の水酸化第二銅で防除できることが知られているキュウリべと病菌だけでなく、比較例で示したような通常の水酸化第二銅では防除効果が低いことが知られているキュウリうどんこ病菌に対しても高い防除効果を奏することが示された。
【0058】
【表1】
【0059】
(試験例3;懸垂性測定)
25℃の恒温水槽中に3度硬水250mLの入った250mL容の有栓シリンダーを設置した。供試の各々の試料500mgを該シリンダー内に入れた。次に、2秒に1回の割合でシリンダーの倒立を繰り返し、水中で供試の顆粒剤が完全に崩壊、分散するまでのシリンダーの倒立回数を、水中崩壊性と水中分散性の尺度として表した。次いでこのシリンダーを25℃の恒温水槽中に静置し、静置の最初の時から15分後にシリンダー中央部の水性分散液から各々25mLの試料をサンプリングして、75℃の湯浴中で乾燥させ、採取乾燥物量を測定し、懸垂率(%)を求めた。なお、懸垂率(%)は下記の式より求めた。
【0060】
懸垂率(%)=[(B×10)/A]×100
但し、AとBは次の意味を有する。
A:最初にシリンダーに入れた供試の試料重量
B:サンプリング採取した試料(25mL)を乾燥させた採取乾燥物の重量
【0061】
供試薬剤は、製造直後の薬剤と、当該薬剤をアルミ袋に入れ、ヒートシールを施して密封し、54℃で28日間保存したものを用いた。
【0062】
この結果を表2に示した。この結果、本発明に係る農園芸用水和性殺菌剤は製造直後、長期保存後のいずれにおいても高い懸垂性(薬剤が均一に水に溶解・分散する性質)を有することが示された。
【0063】
【表2】
【0064】
本発明を要約すれば次のとおりである。
【0065】
本発明は、水酸化第二銅を含有し、植物病害に対する防除効果が増強された農園芸用殺菌剤及び該剤を用いて植物病害を防除する方法を提供することを目的とする。
【0066】
そして、水酸化第二銅を配合してなる農薬水和性組成物であって、該組成物の粉末X線回折(CuKα:1.5412Å)における5強線(回折強度の強い順に5番目までの回折ピーク)のうち、該組成物を水に分散させた希釈液を対象植物に散布後、葉面で乾燥した希釈液乾燥物の粉末X線回折では1以上の回折ピークが消失する、または2以上の回折ピークの回折強度が3/4以下に低下することにより特徴付けられる農園芸用水和性殺菌剤により上記課題を解決する。