特許第5956282号(P5956282)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5956282
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】端子取付構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/42 20060101AFI20160714BHJP
【FI】
   H01R13/42 B
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-178092(P2012-178092)
(22)【出願日】2012年8月10日
(65)【公開番号】特開2014-35981(P2014-35981A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2015年7月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】古屋 宏恭
(72)【発明者】
【氏名】長岡 保貴
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 紀夫
【審査官】 前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭62−009648(JP,Y1)
【文献】 実開昭55−027832(JP,U)
【文献】 実公平04−049830(JP,Y2)
【文献】 実開昭57−195775(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子を端子収容部に取り付ける端子取付構造において、
前記端子が、細長い板状の接続部と、前記接続部の幅方向両端から同方向に立設した一対の羽部と、前記接続部に形成されるとともに前記一対の羽部の間に形成された係止孔と、を有し、かつ、前記一対の羽部の間が全体に亘って開放されており、
前記端子収容部が、前記端子を収容する筒部と、前記係止孔に係止するとともに前記一対の羽部の間に位置付けられるランスと、を有し
前記端子収容部が、互いの間に前記ランスを位置付けるとともに前記一対の羽部の間に位置付けられる一対のランス保護壁をさらに有している
ことを特徴とする端子取付構造。
【請求項2】
前記一対のランス保護壁に、前記端子を正規位置に案内するテーパーが形成されている
ことを特徴とする請求項に記載の端子取付構造。
【請求項3】
前記一対の羽部が前記筒部の内面に沿って前記筒部内に挿入される
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の端子取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱部を有する端子を端子収容部に取り付ける端子取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図6は、従来の放熱部付きの端子(特許文献1を参照。)を示す斜視図である。また、図7は、図6に示された端子が用いられた端子取付構造の断面図である。
【0003】
図6に示す端子302は、自動車用ワイヤハーネスを構成する電線303の端末に電気接続されるものである。この端子302は、細長い板状の接続部321と、接続部321の幅方向両端から同方向に立設した一対の放熱部322と、接続部321に貫通形成された係止孔323と、電線303の芯線をかしめる一対の芯線かしめ片324と、電線303の絶縁被覆部分をかしめる一対の絶縁被覆かしめ片325と、を有している。
【0004】
上記接続部321は、ヒュージブルリンク等の電子部品又は端子302とは別の端子と電気接続される部分である。上記一対の放熱部322は、電線303及び端子302が発する熱を放熱する部分である。これら一対の放熱部322は、その中間部が内向きに直角に折り曲げられている。また、一対の放熱部322の先端部間にはわずかな隙間Kが形成されている。上記係止孔323は、図7に示すランス342が係止する孔である。
【0005】
図7に示す端子取付構造301は、上述した端子302を端子収容部304に取り付ける構造である。また、図7においては、端子302と電気接続される電線303の図示を省略している。端子収容部304は、端子302を収容する筒部341と、端子302の係止孔323に係止するランス342と、を有している。また、この端子収容部304は、自動車用電気接続箱に用いられる合成樹脂製のフレーム307に設けられている。この端子取付構造301においては、ランス342の先端部が係止孔323に係止することにより、端子302が端子収容部304に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】意匠登録第968944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した端子取付構造301においては、以下に示す問題があった。すなわち、ランス342を係止孔323に係止させるに当たっては、図示例のように係止させるよりも、接続部321の放熱部322が立設した側からランス342を係止孔323に係止させるほうが筒部341の内寸Hを小さくすることができる。しかしながら、上述したように、一対の放熱部322は、その中間部が内向きに直角に折り曲げられており、該一対の放熱部322の先端部間にはわずかな隙間Kしかないので、一対の放熱部322の先端部間にランス342を通すことができなかった。このため、端子取付構造301においては接続部321の放熱部322が立設した側と反対側からランス342を係止孔323に係止させざるを得ず、筒部341の内寸Hが大きくなってしまうという問題があった。
【0008】
したがって、本発明は、端子収容部の小型化を図ることができる端子取付構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために請求項1に記載された発明は、端子を端子収容部に取り付ける端子取付構造において、前記端子が、細長い板状の接続部と、前記接続部の幅方向両端から同方向に立設した一対の羽部と、前記接続部に形成されるとともに前記一対の羽部の間に形成された係止孔と、を有し、かつ、前記一対の羽部の間が全体に亘って開放されており、前記端子収容部が、前記端子を収容する筒部と、前記係止孔に係止するとともに前記一対の羽部の間に位置付けられるランスと、を有し、前記端子収容部が、互いの間に前記ランスを位置付けるとともに前記一対の羽部の間に位置付けられる一対のランス保護壁をさらに有していることを特徴とする端子取付構造である。
【0011】
請求項に記載された発明は、請求項に記載された発明において、前記一対のランス保護壁に、前記端子を正規位置に案内するテーパーが形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項に記載された発明は、請求項1または請求項2に記載された発明において、前記一対の羽部が前記筒部の内面に沿って前記筒部内に挿入されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載された発明によれば、前記端子が、細長い板状の接続部と、前記接続部の幅方向両端から同方向に立設した一対の羽部と、前記接続部に形成されるとともに前記一対の羽部の間に形成された係止孔と、を有し、かつ、前記一対の羽部の間が全体に亘って開放されており、前記端子収容部が、前記端子を収容する筒部と、前記係止孔に係止するとともに前記一対の羽部の間に位置付けられるランスと、を有しているので、筒部の内寸を羽部の高さ程度にすることができ、端子収容部の小型化を図ることができる端子取付構造を提供することができる。
また、前記端子収容部が、互いの間に前記ランスを位置付けるとともに前記一対の羽部の間に位置付けられる一対のランス保護壁をさらに有しているので、端子を筒部内に挿入する際に端子がランスに衝突してランスを破壊することを防止できる。
【0016】
請求項に記載された発明によれば、前記一対のランス保護壁に、前記端子を正規位置に案内するテーパーが形成されているので、端子を筒部内にスムーズに挿入することができる。
【0017】
請求項に記載された発明によれば、前記一対の羽部が前記筒部の内面に沿って前記筒部内に挿入されるので、端子を筒部内にスムーズに挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態にかかる端子取付構造を示す斜視図である。
図2図1に示された端子取付構造に用いられる端子の斜視図である。
図3図1中のA−A線に沿った断面図である。
図4図1中のB−B線に沿った断面図である。
図5図1中のC−C線に沿った断面図である。
図6】従来の端子を示す斜視図である。
図7図6に示された端子が用いられた端子取付構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態にかかる「端子取付構造」及び該端子取付構造に用いられる「端子」を図1〜5を参照して説明する。
【0020】
端子取付構造1は、図3,4に示すように、端子2を端子収容部4に取り付ける構造である。端子2は、図2に示すように、自動車用ワイヤハーネスを構成する電線3の端末に電気接続されるものである。なお、図3,4においては、端子2と電気接続される電線3の図示を省略している。端子収容部4は、自動車用電気接続箱に用いられるフレーム7に設けられている。このフレーム7は、合成樹脂で構成されており、端子収容部4のほか、バスバを取り付けるバスバ収容部5や、ヒュージブルリンクを取り付ける部品収容部6などが設けられている。また、図1及び図3〜5においては、フレーム7の全体ではなく一部を示している。
【0021】
上記端子2は、金属板にプレス加工等が施されて得られるものである。この端子2は、細長い板状の接続部21と、接続部21の幅方向両端から同方向に立設した一対の羽部22と、接続部21に形成されるとともに一対の羽部22の間に貫通形成された係止孔23と、電線3の芯線をかしめる一対の芯線かしめ片24と、電線3の絶縁被覆部分をかしめる一対の絶縁被覆かしめ片25と、を有している。
【0022】
上記接続部21は、その先端部が、部品収容部6に取り付けられるヒュージブルリンクと電気接続される。上記一対の羽部22は、電線3及び端子2が発する熱を放熱するために設けられている部分である。これら一対の羽部22は、接続部21に対して垂直に立設している。また、一対の羽部22の間は、全体に亘って開放されている。上記係止孔23は、端子収容部4のランス42の先端部が係止する孔である。
【0023】
上記端子収容部4は、図1,5に示すように、端子2を収容する筒部41と、端子2の係止孔23に係止するとともに一対の羽部22の間に位置付けられるランス42と、互いの間にランス42を位置付けるとともに一対の羽部22の間に位置付けられる一対のランス保護壁43と、を有している。
【0024】
上記筒部41は、角筒状に形成されている。また、図3に示すように、筒部41の一端部は部品収容部6に連通している。また、筒部41の他端部は、端子2が挿入される端子挿入口となっている。
【0025】
上記一対のランス保護壁43には、図3,4に示すように、端子2を正規位置に案内するテーパー44が形成されている。このテーパー44は、ランス保護壁43における前記端子挿入口側の端部に形成されており、前記端子挿入口側から部品収容部6側に向かうにしたがって筒部41のランス保護壁43が連なった内面から離れる方向に傾斜している。
【0026】
上記端子2を端子収容部4に取り付ける際は、予め、一対の芯線かしめ片24で電線3の芯線をかしめるとともに一対の絶縁被覆かしめ片25で電線3の絶縁被覆部分をかしめて電線3の端末に端子2を取り付けておく。そして、この端子2を接続部21側から筒部41内に挿入する。このようにして端子2を筒部41内に挿入することにより、端子2の係止孔23にランス42の先端部が係止して、端子2が端子収容部4に取り付けられる。また、係止孔23にランス42が係止した状態で、接続部21の先端部は部品収容部6内に位置付けられる。
【0027】
また、端子2は、筒部41内に挿入される際に、接続部21の先端部がランス保護壁43のテーパー44を摺動することで正規位置にスムーズに案内される。このことにより、接続部21の先端部がランス42に衝突することが回避され、ランス42の破損が防止される。さらに、端子2は、一対の羽部22が筒部41の内面に沿って筒部41内に挿入されることにより、筒部41内にスムーズに挿入される。すなわち、一対の羽部22は、端子2を筒部41内に挿入する際のガイドをなす。
【0028】
また、端子2を筒部41内に上下逆方向に挿入した場合は、挿入の途中で接続部21の先端部がランス保護壁43のテーパー44に突き当たり、それ以上挿入することができないので、端子2の誤挿入を防止することができる。この場合も、ランス保護壁43によって接続部21の先端部がランス42に衝突することが回避され、ランス42の破損が防止される。
【0029】
以上説明したように、端子取付構造1によれば、一対の羽部22間にランス42を位置付けることができるので、図4に示すように、筒部41の内寸を羽部22の高さ程度にすることができ、端子収容部4の小型化を図ることができる。
【0030】
また、上述した実施形態では、端子取付構造1が自動車用電気接続箱に適用される例を説明したが、端子取付構造1は、自動車用電気接続箱以外の電子機器やコネクタ等にも適用することができる。
【0031】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 端子取付構造
2 端子
4 端子収容部
21 接続部
22 羽部
23 係止孔
41 筒部
42 ランス
43 ランス保護壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7