(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5956284
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】スタッフ同期制御回路及びスタッフ同期制御方法
(51)【国際特許分類】
H04L 7/00 20060101AFI20160714BHJP
H04L 7/033 20060101ALI20160714BHJP
H04J 3/07 20060101ALI20160714BHJP
【FI】
H04L7/00 500
H04L7/033
H04J3/07
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-180219(P2012-180219)
(22)【出願日】2012年8月15日
(65)【公開番号】特開2014-39142(P2014-39142A)
(43)【公開日】2014年2月27日
【審査請求日】2015年7月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】599161890
【氏名又は名称】NECネットワーク・センサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】大坪 博文
【審査官】
阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−204666(JP,A)
【文献】
特開平06−021928(JP,A)
【文献】
特開昭62−024736(JP,A)
【文献】
特開昭62−291230(JP,A)
【文献】
特開平03−244237(JP,A)
【文献】
特開平06−334621(JP,A)
【文献】
特開平11−331117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 7
H04J 3
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低次群入力信号より第1のクロックを抽出する第1のビット同期回路と、
高次群入力信号から第2のクロックを抽出する第2のビット同期回路と、
前記第1のクロックを逓倍し、前記第1のクロックの周波数のn倍(nは2以上の整数)の周波数の逓倍クロックを生成する逓倍回路と、
前記低次群入力信号に含まれる低次群データを保持するメモリと、
前記第1のクロックに同期した書き込みクロックを用いて、前記メモリへの前記低次群データの書き込みを制御する書き込みカウンタと、
クロック制御信号に基づいて前記第2のクロックを制御して前記第2のクロックに同期した読み出しクロックを生成し、前記読み出しクロックを用いて、前記メモリからの前記低次群データの読み出しを制御する読み出しカウンタと、
前記逓倍クロックと前記読み出しクロックの位相を比較し、前記低次群入力信号のデータについてのデータ・スタッフ要求及び前記低次群入力信号のクロックについてのクロック・スタッフ要求を発生する位相比較器と、
前記データ・スタッフ要求及び前記クロック・スタッフ要求に基づいて、前記クロック制御信号及び前記データ・スタッフ要求についての情報を含むスタッフ情報を生成するスタッフ情報生成回路と、
前記メモリから読み出された前記低次群データ及び前記スタッフ情報を多重化してhビット(hは整数)の多重化フレームを構成し、前記第2のクロックに同期して出力する多重化部と、
を備えることを特徴とするスタッフ同期制御送信装置。
【請求項2】
前記位相比較器は、前記逓倍クロックの周波数と前記読み出しクロックの周波数の大小の関係に基づいて、前記クロック・スタッフ要求を発生し、前記クロック・スタッフ要求の発生回数に基づいて、前記データ・スタッフ要求を発生する
ことを特徴とする請求項1に記載のスタッフ同期制御送信装置。
【請求項3】
前記位相比較器は、
前記逓倍クロックをカウントするm進カウンタ(m=n×h)と、
前記第2のクロックをカウントし、キャリーを出力するk進カウンタ(kは2以上の整数)と、
前記キャリーが発生したとき、前記m進カウンタのカウント値を保持するラッチと、
前記保持されたカウント値がmに等しいとき、クロック・負スタッフパルスを出力し、前記保持されたカウント値が0に等しいとき、クロック・正スタッフパルスを出力する第1のコンパレータと、
前記クロック・負スタッフパルスでカウントダウンし、前記クロック・正スタッフパルスでカウントアップするアップダウンカウンタと、
前記アップダウンカウンタのカウント値が−nより小さいとき、データ・負スタッフパルスを出力し、前記アップダウンカウンタのカウント値がnより大きいとき、クロック・正スタッフパルスを出力する第2のコンパレータを備える
ことを特徴とする請求項2に記載のスタッフ同期制御送信装置。
【請求項4】
高次群入力信号から、低次群データ及びスタッフ情報を分離する分離部と、
前記高次群入力信号から第2のクロックを抽出する第2のビット同期回路と、
前記スタッフ情報に基づいて、低次群出力信号のデータについてのデータ・スタッフ要求及び前記低次群出力信号のクロックについてのクロック・スタッフ要求を発生するスタッフ情報抽出回路と、
前記低次群データを保持するメモリと、
前記第2のクロックに前記クロック・スタッフ要求に基づくスタッフ制御を行った書き込みクロックを用いて、前記メモリへの前記低次群データの書き込みを制御する書き込みカウンタと、
第1のクロックに同期した読み出しクロックを用いて、前記メモリからの前記低次群データの読み出しを制御する読み出しカウンタと、
前記クロック・スタッフ要求に基づいて、前記書き込みクロックの位相を調整し、第3のクロックを出力する位相調整回路と、
前記第3のクロックを逓倍し、前記第3のクロックの周波数のn倍の周波数の逓倍クロックを生成するPLLと、
前記逓倍クロックをn分周して前記第1のクロックを生成する分周器と、
を備えることを特徴とするスタッフ同期制御受信装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかに記載のスタッフ同期制御送信装置と、
請求項4記載のスタッフ同期制御受信装置と、
を備えることを特徴とするスタッフ同期制御システム。
【請求項6】
低次群入力信号より第1のクロックを抽出し、
高次群入力信号から第2のクロックを抽出し、
前記第1のクロックを逓倍し、前記第1のクロックの周波数のn倍(nは2以上の整数)の周波数の逓倍クロックを生成し、
前記低次群入力信号に含まれる低次群データをメモリに保持し、
前記第1のクロックに同期した書き込みクロックを用いて、前記メモリへの前記低次群データの書き込みを制御し、
クロック制御信号に基づいて前記第2のクロックを制御して前記第2のクロックに同期した読み出しクロックを生成し、前記読み出しクロックを用いて、前記メモリからの前記低次群データの読み出しを制御し、
前記逓倍クロックと前記読み出しクロックの位相を比較し、前記低次群入力信号のデータについてのデータ・スタッフ要求及び前記低次群入力信号のクロックについてのクロック・スタッフ要求を発生し、
前記データ・スタッフ要求及び前記クロック・スタッフ要求に基づいて、前記クロック制御信号及び前記データ・スタッフ要求についての情報を含むスタッフ情報を生成し、
前記メモリから読み出された前記低次群データ及び前記スタッフ情報を多重化してhビット(hは整数)の多重化フレームを構成し、前記第2のクロックに同期して出力する
ことを特徴とするスタッフ同期制御送信方法。
【請求項7】
高次群入力信号から、低次群データ及びスタッフ情報を分離し、
前記高次群入力信号から第2のクロックを抽出し、
前記スタッフ情報に基づいて、低次群出力信号のデータについてのデータ・スタッフ要求及び前記低次群出力信号のクロックについてのクロック・スタッフ要求を発生し、
前記低次群データをメモリに保持し、
前記第2のクロックに前記クロック・スタッフ要求に基づくスタッフ制御を行った書き込みクロックを用いて、前記メモリへの前記低次群データの書き込みを制御し、
第1のクロックに同期した読み出しクロックを用いて、前記メモリからの前記低次群データの読み出しを制御し、
前記クロック・スタッフ要求に基づいて、前記書き込みクロックの位相を調整し、第3のクロックを出力し、
前記第3のクロックを逓倍し、前記第3のクロックの周波数のn倍の周波数の逓倍クロックを生成し、
前記逓倍クロックをn分周して前記第1のクロックを生成する
ことを特徴とするスタッフ同期制御受信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタッフ同期制御回路及びスタッフ同期制御方法に関し、特にスタッフによるジッタを抑圧し、高次側及び低次側のそれぞれのクロックの周波数が満たすべき大小関係が任意となるスタッフ同期制御回路及びスタッフ同期制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
送信装置からの信号を中継装置で中継し、受信装置へ伝送する通信システムがある。このような通信システムでは、各々の通信装置が伝送用クロックの発振源を備えることがある。このとき、中継装置において、前段の送信装置から受け取った受信信号と、後段の受信装置へ送り出す送信信号とが同期しない状態となる可能性がある。
【0003】
こうした非同期状態での信号伝送を実現する手段として、「スタッフ同期方式」が知られている。「スタッフ同期方式」とは、受信信号の信号速度と送信信号の信号速度との差分に応じて、「スタッフパルス」と呼ばれるダミー信号を出力信号に挿入し、速度差の埋め合わせを行うものである。
【0004】
スタッフ同期は、具体的には次のような手順で行われる。まず、受信信号に含まれる受信データは、一旦メモリに蓄積される。そして、蓄積されたデータは、入力信号が同期している受信クロックより少し速い、送信先と共通の伝送用クロックで読み出される。そして、データは、伝送用クロックに同期して出力信号として送信される。この制御により、入力信号と出力信号とが、同一速度の信号に変換される。受信クロックと伝送用クロックの周波数の差分は、必要に応じて、スタッフパルスが出力信号に挿入されることにより埋め合わされる。
【0005】
スタッフ同期制御を用いた伝送システムは、例えば、特許文献1、2に記載されている。特許文献2に記載のスタッフ同期制御を用いた伝送システムの構成を
図6に示す。
【0006】
送信側において、ビット同期回路61は、低次群入力信号よりクロックCLK1を抽出する。メモリ62は、低次群入力信号に含まれる低次群入力データを記憶する。
【0007】
書き込みカウンタ63は、クロックCLK1から書き込みクロックWCLK_Tを生成し、メモリ62への低次群入力データDTの書き込みを行う。読み出しカウンタ64は、クロックCLK2’から生成された読み出しクロックRCLK_Tを用いて、メモリ62からの低次群データDTの読み出しを行う。
【0008】
位相比較器65は、書き込みクロックWCLK_Tと読み出しクロックRCLK_Tの位相を比較し、クロック供給禁止信号CSTP及びスタッフ要求SRQを出力する。
【0009】
スタッフ情報生成回路66は、書き込みクロックWCLK_Tと読み出しクロックRCLK_Tの位相関係を位相比較器65で監視しながら、スタッフ情報信号STFを生成する。
【0010】
読み出しクロック制御回路67は、読み出しカウンタ64によるメモリ62からの低次群データDTの読み出しを制御する。具体的には、読み出しクロック制御回路67は、クロック供給禁止信号CSTPが入力されたタイミングで、CLK2からパルスを除去し、CLK2の一部のクロックを欠落させたクロックCLK2’を生成する。読み出しカウンタ64は、CLK2’から読み出しクロックRCLK_Tを生成する。なお、メモリ62からの読み出しの許可・禁止を制御するイネーブル信号等を用いる場合は、RCLK_TとしてCLK2’をそのまま使用することもできる。
【0011】
多重化部68は、メモリ62から読み出された、複数の低次群データを多重化して最終的な伝送信号を合成し、クロック源69が発生するクロックCLK2に同期して送信する。
【0012】
受信側では、分離部70が、伝送されてきた伝送信号を入力し、フレーム同期等の終端機能を果たした後、複数の低次群データDT、クロックCLK2、及びスタッフ制御情報信号STFを分離する。
【0013】
書き込みクロック制御回路71は、低次群データDTよりスタッフパルスの除去を行うために、メモリ73の書き込みカウンタ72を制御する。具体的には、書き込みクロック制御回路71は、後述のクロック供給禁止信号CSTPが入力されたタイミングで、CLK2からスタッフパルスを除去し、CLK2の一部のクロックを欠落させたクロックCLK2’を生成する。なお、メモリ73への書き込みの許可・禁止を制御するイネーブル信号等を用いる場合は、WCLK_RとしてCLK2’をそのまま使用することもできる。
【0014】
書き込みカウンタ72は、スタッフパルスの除去を行うためのデスタッフ用メモリであるメモリ73への低次群データDTの書き込み制御を行う。書き込みカウンタ72は、CLK2’から生成した書き込みクロックWCLK_Rを用いて、低次群データDTを入力データとして、メモリ73に書き込む。
【0015】
読み出しカウンタ74は、デスタッフクロックDSCLKから生成した読み出しクロックRCLK_Rを用いて、メモリ73からの低次群データDTの読み出しを行う。
【0016】
スタッフ情報抽出回路75は、分離されたスタッフ制御情報STFを基に、クロック供給禁止信号CSTPを生成する。
【0017】
位相比較器76、電圧制御発振器(Voltage Controlled Oscillator。VCO)77、及び読み出しカウンタ74は、位相同期ループPLL(Phase Locked Loop)を構成する。このPLLは、書き込みクロックWCLK_Rの分周信号を入力し、その平均周波数に等しい周波数を持つデスタッフクロックDSCLKを再生する。WCLK_Rの平均周波数は、低次群入力信号が同期していたクロックCLK1の周波数f1に等しいので、DSCLKの周波数もf1に等しくなる。
【0018】
上記のPLLを構成するために、位相比較器76は、書き込みクロックWCLK_Rと読み出しクロックRCLK_Rの位相を比較し、位相差信号を出力する。VCO77は、位相差信号に応じた周波数のクロックを出力する。
【0019】
次に、
図6の伝送システムの動作について説明する。
【0020】
送信側では、多重化される低次群入力データDTは、抽出されたCLK1に同期した書き込みクロックWCLK_Tを用いて、メモリ62に順次書き込まれる。同時に、書き込みクロックWCLK_Tと読み出しクロックRCLK_Tとの位相差、すなわちCLK1とCLK2の位相差は位相比較器65で比較される。WCLK_TとRCLK_Tに、あるしきい値以上の位相差が生じると、位相比較器65はスタッフ要求SRQを発生する。
【0021】
スタッフ要求SRQが発生するとき、クロック制御回路67にはクロック供給禁止信号CSTPが入力されて、読み出しカウンタ64へのクロック供給が禁止される。そして、メモリ62からの低次群データDTの読み出しが停止し、代わりに、多重化フレームにはスタッフパルスが挿入される。
【0022】
多重化部68では、スタッフ要求信号SRQに基づいてスタッフ情報生成回路6で生成されたスタッフ情報STF、及びメモリ62から読み出された低次群データDTを多重化し、伝送信号として受信側に送る。
【0023】
受信側では、分離部70により、伝送信号が、低次群データDT、クロックCLK2、スタッフ情報信号STFに分離される。
【0024】
低次群データDTはメモリ73に書き込まれる。メモリ73への低次群データDTの書き込みは、書き込みカウンタ72で制御される。すなわち、伝送信号から分離されたスタッフ情報信号STFを受ける毎に、スタッフ情報抽出回路75からクロック制御回路71にクロック供給禁止信号CSTPが出力される。これにより、書き込みカウンタ72への書き込みクロックWCLK_Rの供給が禁止される。
【0025】
このように、スタッフパルスが到来しても、そのタイミングで書き込みカウンタ72への書き込みクロックWCLK_Rの供給が禁止されるので、スタッフパルスはメモリ73には書き込まれない。すなわち、スタッフパルスは受信側にて除去される。
【0026】
このとき、書き込みカウンタ72への書き込みクロックWCLK_Rは、スタッフパルスのところで欠落する。この欠落が発生することにより、WCLK_Rの平均周波数は、送信側の低次群入力信号のクロックCLK1の周波数f1と一致する。
【0027】
そして、書き込みクロックWCLK_Rの分周信号は、デスタッフクロックDSCLKの再生用のPLLを構成する位相比較器76の入力となる。読み出しクロックRCLK_Rは、デスタッフクロックDSCLKから生成される。VCO77は、書き込みクロックWCLK_Rと読み出しクロックRCLK_Rの位相差出力で制御されて、周波数f1のデスタッフクロックDSCLKを生成する。
【0028】
メモリ73からの低次群データDTの読み出しは、読み出しカウンタ74で制御される。すなわち、デスタッフクロックDSCLKから生成された周波数f1の読み出しクロックRCLK_Rにより、メモリ73から低次群データDTが読み出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】特開平3−244237号公報 (第3−5頁、第4図)
【特許文献2】特開平6−334621号公報 (第2−3頁、
図17)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
スタッフ同期制御、すなわち、スタッフパルスの挿入は、低次群の1フレームに1回の割合で行われる。そのため、高次群側のクロックの周波数は所定の値より高い必要がある。すなわち、k(kは1以上の整数)を1フレームのビット数、h(hは1以上の整数)を低次群のフレームのビット数とすると、低次群のデータレートを規定するクロックCLK1の周波数f1が、クロックCLK2の周波数f2との関係は、f2>f1/h×kでなければならない。
【0031】
f1とf2とが上記の関係を満たすためには、発振器の周波数に関する課題もある。一般に、発振器の発振周波数には所定の精度があり、常に理想的な周波数に等しいとは限らない。また、発振器によって、精度自体にも差が存在する。例えば、クロックCLK1、CLK2が装置外部からのクロックである場合には、装置により周波数精度に差があったり、温度特性や経年変化により発振源の周波数度精度が変化したりする。従って、f1とf2の精度によって、f1とf2が上記の関係を満たさない可能性がある。つまり、f2>f1/h×kであり、スタッフパルスの挿入が可能な場合だけでなく、f2<f1/h×kでスタッフパルスの挿入が不可能な場合もある。当然ながら、f2≒f1/h×kで、スタッフ制御が不要である場合もある。このように、f1とf2の精度によってスタッフ制御が不可能となるため、f1とf2の精度には所定の条件を満たす必要があるという課題がある。
【0032】
クロックCLK2が装置内の発振器で発生されるものであって、その周波数f2を自由に決定できる場合は、f1とf2とが上記の関係を満たすように設定することは容易である。しかし、周波数を可変にするためには、汎用の固定の発振周波数の発振器が使用できなくなるというデメリットがある。
【0033】
ところで、スタッフ同期制御が行われるときは、一定周期でスタッフパルスが必ず発生する。そのため、一定周期毎に、スタッフパルスが挿入されるときのジッタ、すなわちスタッフジッタが発生するという課題がある。
【0034】
スタッフ同期制御には、位相比較時にクロックCLK2に対して、+側に位相差が発生した場合には正スタッフ要求を、−側に位相差が発生した場合には負スタッフ要求を発生する制御もある。しかし、f1とf2の精度が非常に近い場合には、スタッフ要求の発生頻度が低いため、スタッフパルスの検出が行われる周期が長くなる。受信側では、PLL回路でクロックを再生して、メモリを通してデータを出力している。PLL回路は、急激な周波数変化を吸収する特性を持っている。そのため、繰り返し周期が長いスタッフジッタは充分な抑圧ができず、出力信号に残ってしまう。このような出力信号は、回線品質を低下させる原因となる。
(発明の目的)
本発明は上記のような技術的課題に鑑みて行われたもので、スタッフによるジッタを抑制し、高次側と低次側のそれぞれのクロックの周波数が満たすべき大小関係が任意であるスタッフ同期制御回路及びスタッフ同期制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0035】
本発明のスタッフ同期制御送信装置は、低次群入力信号より第1のクロックを抽出する第1のビット同期回路と、高次群入力信号から第2のクロックを抽出する第2のビット同期回路と、第1のクロックを逓倍し、第1のクロックの周波数のn倍(nは2以上の整数)の周波数の逓倍クロックを生成する逓倍回路と、低次群入力信号に含まれる低次群データを保持するメモリと、第1のクロックに同期した書き込みクロックを用いて、メモリへの低次群データの書き込みを制御する書き込みカウンタと、クロック制御信号に基づいて第2のクロックを制御して第2のクロックに同期した読み出しクロックを生成し、読み出しクロックを用いて、メモリからの低次群データの読み出しを制御する読み出しカウンタと、逓倍クロックと読み出しクロックの位相を比較し、低次群入力信号のデータについてのデータ・スタッフ要求及び低次群入力信号のクロックについてのクロック・スタッフ要求を発生する位相比較器と、データ・スタッフ要求及びクロック・スタッフ要求に基づいて、クロック制御信号及びデータ・スタッフ要求についての情報を含むスタッフ情報を生成するスタッフ情報生成回路と、メモリから読み出された低次群データ及びスタッフ情報を多重化してhビット(hは整数)の多重化フレームを構成し、第2のクロックに同期して出力する多重化部と、を備えることを特徴とする。
【0036】
本発明のスタッフ同期制御送信方法は、低次群入力信号より第1のクロックを抽出し、高次群入力信号から第2のクロックを抽出し、第1のクロックを逓倍し、第1のクロックの周波数のn倍(nは2以上の整数)の周波数の逓倍クロックを生成し、低次群入力信号に含まれる低次群データをメモリに保持し、第1のクロックに同期した書き込みクロックを用いて、メモリへの低次群データの書き込みを制御し、クロック制御信号に基づいて第2のクロックを制御して第2のクロックに同期した読み出しクロックを生成し、読み出しクロックを用いて、メモリからの低次群データの読み出しを制御し、逓倍クロックと読み出しクロックの位相を比較し、低次群入力信号のデータについてのデータ・スタッフ要求及び低次群入力信号のクロックについてのクロック・スタッフ要求を発生し、データ・スタッフ要求及びクロック・スタッフ要求に基づいて、クロック制御信号及びデータ・スタッフ要求についての情報を含むスタッフ情報を生成し、メモリから読み出された低次群データ及びスタッフ情報を多重化してhビット(hは整数)の多重化フレームを構成し、第2のクロックに同期して出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0037】
本発明のスタッフ同期制御回路及びスタッフ同期制御方法では、スタッフ同期のために位相差が比較される、基準となるクロックは、逓倍回路により逓倍される。そして、スタッフ同期制御の対象となるクロックは、逓倍されたクロックと位相が比較され、スタッフ同期制御される。そのため、スタッフパルスの検出周期が短くなる。従って、デスタッフ時のピークジッタが減少するという効果がある。
【0038】
また、正のスタッフ要求及び負のスタッフ要求の両方の制御を行うことができる。そのため、高次側と低次側のそれぞれのクロックの周波数が満たすべき大小関係は任意となるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明の実施形態のスタッフ同期制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態の位相比較器の内部構成の例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態の多重化フレームの構成を示す図である。
【
図4A】本発明の実施形態のスタッフ同期制御システムにおいて、スタッフ要求が発生しないときのタイミングチャートである。
【
図4B】本発明の実施形態のスタッフ同期制御システムにおいて、クロック・正スタッフ要求が発生するときのタイミングチャートである。
【
図4C】本発明の実施形態のスタッフ同期制御システムにおいて、クロック・負スタッフ要求が発生するときのタイミングチャートである。
【
図5A】本発明の実施形態のスタッフ同期制御システムにおいて、データ・正スタッフ要求が発生するときのタイミングチャートである。
【
図5B】本発明の実施形態のスタッフ同期制御システムにおいて、データ・負スタッフ要求が発生するときのタイミングチャートである。
【
図6】特許文献2に記載のスタッフ同期制御を用いた伝送システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
次に本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0041】
本発明のスタッフ同期制御は、クロックのスタッフとデータのスタッフを個別に検出する位相比較器を用いることを特徴とする。スタッフ同期のために位相差が比較される、基準となるクロックは、逓倍回路により周波数がn倍(nは1以上の整数)のn倍クロックに変換される。スタッフ同期制御の対象となるクロックは、n倍クロックと位相が比較され、スタッフ同期制御される。そのため、スタッフパルスの検出周期が短くなる。従って、デスタッフ時のピークジッタが1/nに少なり、安定したデスタッフクロック再生が可能となる。
(実施形態の構成)
図1は、本発明の実施形態のスタッフ同期制御システムの構成を示すブロック図である。本実施形態のスタッフ同期制御システムは、送信装置10、中継装置20、受信装置30を含む。
【0042】
以下に、送信装置10、中継装置20、受信装置30の構成について説明する。
(1)送信装置の構成
送信装置10は、ビット同期回路11、逓倍回路12、メモリ13、書き込みカウンタ14、読み出しカウンタ15、位相比較器16、スタッフ情報生成回路17、多重化部18、ビット同期回路19を備える。
【0043】
ビット同期回路11は、低次群入力信号よりクロックCLK1を抽出する。逓倍回路12は、ビット同期回路18より抽出されたクロックCLK1をn倍に逓倍し、逓倍クロックCLK1’を出力する。
【0044】
メモリ13は低次群入力データを保持する。書き込みカウンタ14は、クロックCLK1から生成した書き込みクロックWCLK_Tを用いて、メモリ13へ低次群入力データDTを書き込む。
【0045】
ビット同期回路19は、高次群入力信号よりクロックCLK2を抽出する。読み出しカウンタ15は、後述のクロック供給禁止信号CSTPに従って、クロックCLK2から、読み出しクロックRCLK_Tを生成する。
そして、読み出しカウンタ15は、読み出しクロックRCLK_Tを用いて、メモリ13から低次群入力データDTを読み出す。また、読み出しカウンタ15は、入力したクロックCLK2を位相比較器16へ出力する。クロックCLK2は、ビット同期回路19から位相比較器16へ直接入力されてもよい。
【0046】
位相比較器16は、逓倍回路12で逓倍された逓倍クロックCLK1’と読み出しカウンタ15からのクロックCLK2の位相を比較し、スタッフ要求信号SRQを生成する。スタッフ要求信号SRQは、スタッフパルス信号の発生を要求する信号である。後述のように、スタッフパルス信号には4種類の信号がある。
【0047】
スタッフ情報生成回路17は、位相比較器16で生成されたスタッフ要求信号SRQに従って、スタッフ情報STF及びクロック供給禁止信号CSTPを生成する。スタッフ情報STFは、4種類のスタッフパルス信号のそれぞれについての発生の有無を示す情報を含む。
【0048】
多重化部18は、複数の低次群データDTを多重化して高次群出力信号である最終的な伝送信号を合成し、ビット同期回路19が抽出したクロックCLK2に同期して送信する。
【0049】
図2に、位相比較器16の内部構成の例を示す。
【0050】
位相比較器16は、m進カウンタ161(mは2以上の整数)、k進カウンタ162(kは2以上の整数)、DFF(D-Flip/Flop)163、コンパレータ164、アップダウンカウンタ165、コンパレータ166を備える。
【0051】
m進カウンタ161は、逓倍クロックCLK1’をカウントする。k進カウンタ162は、クロックCLK2をカウントする。DFF163は、m進カウンタ161のカウント値をラッチする。
【0052】
コンパレータ164は、m進カウンタ161のカウント結果を判定し、クロック・正スタッフ要求パルスCPS又はクロック・負スタッフ要求パルスCNSを出力する。
【0053】
アップダウンカウンタ165は、クロック・正スタッフ要求パルスCPS及びクロック・負スタッフ要求パルスCNSの個数をカウントする。
【0054】
コンパレータ166は、アップダウンカウンタ165のカウント結果とn(nは、逓倍回路12の逓倍率である。)の大小関係を判定し、データ・正スタッフ要求パルスDPS又はデータ・負スタッフ要求パルスDNSを出力する。
(2)中継装置の構成
中継装置20は、中継部21、クロック源22を備える。
【0055】
中継部21は伝送信号の中継を行う。すなわち、送信装置10からの高次群信号を受信装置30へ出力する。また、中継部21は、高次群信号を送信装置10へ入力する。クロック源22は、中継部21が出力する伝送信号が同期するクロックCLK2を発生する。
(3)受信装置の構成
受信装置30は、分離部31、ビット同期回路32、スタッフ情報抽出回路33、メモリ34、書き込みカウンタ35、読み出しカウンタ36、位相調整回路37、PLL38、分周器39を備える。
【0056】
分離部31は、伝送されてきた高次群信号を入力し、フレーム同期等の終端機能を果たした後、複数の低次群データDTとスタッフ制御情報STFを分離する。ビット同期回路32は、高次群入力信号よりクロックCLK2を抽出する。
【0057】
書き込みカウンタ35は、後述のデスタッフ制御信号DSTFに基づいて、クロックCLK2から、書き込みクロックWCLK_Rを生成する。
【0058】
そして、書き込みカウンタ35は、書き込みクロックWCLK_Rを用いて、低次群データDTを入力データとして、デスタッフ用のメモリ34への書き込み制御を行う。また、書き込みカウンタ35は、入力したクロックCLK2を位相調整回路37へ出力する。クロックCLK2は、ビット同期回路32から位相調整回路37へ直接入力されてもよい。
【0059】
メモリ34は、低次群データDTが、書き込みクロックWCLK_Rで書き込まれ、読み出しクロックRCLK_Rで読み出される。
【0060】
読み出しカウンタ36は、クロックCLK1から生成した読み出しクロックRCLK_Rを用いて、メモリ34からの低次群データDTの読み出し制御を行う。
【0061】
スタッフ情報抽出回路33は、分離されたスタッフ制御情報STFを基に、デスタッフ制御信号DSTF、及びクロック・スタッフ要求信号CPS、CNSを生成する。
【0062】
位相調整回路37は、スタッフ情報抽出回路33で生成されたクロック・スタッフ要求信号CPS、CNSにより、書き込みカウンタ35からのクロックCLK2の位相調整を行う。PLL36は、位相調整が行われたクロックCLK2”を入力し、その平均周波数のn倍に等しい周波数を持つクロックCLK1’を再生する。
【0063】
分周器39は、PLL36で再生されたクロックCLK1’をn分周する。
【0064】
図3に、本実施形態において用いられる多重化フレームの構成の例を示す。
【0065】
多重化フレームには、先頭から順に、フレーム同期符号F、各スタッフ要求に対するスタッフ情報STF、低次群データDTが配置される。多重化フレームには、その後に、2つのビット領域が確保される。1つ目の領域は、データ・負スタッフ要求パルスDNSの発生時にダミーデータが挿入されるビット領域Dである。2つ目の領域は、データ・正スタッフ要求パルスDPSの発生時に低次群データが挿入されるビット領域Iである。
(実施形態の動作)
次に、本実施形態の動作について説明する。
(1)送信装置の動作
多重化される低次群入力データDTは、ビット同期回路11により抽出されたクロックCLK1に同期した書き込みクロックWCLK_Tを用いて、メモリ13に順次書き込まれる。クロックCLK1は、逓倍回路12により周波数がn倍され、逓倍クロックCLK1’となる。
【0066】
高次群側では、中継装置20からの高次群入力信号から、ビット同期回路19により抽出されたクロックCLK2に同期した読み出しクロックRCLK_Tを用いて、メモリ13から低次群データDTが読み出される。
【0067】
メモリ13の書き込み、読み出しは、書き込みカウンタ14及び読み出しカウンタ15で制御される。
【0068】
同時に、位相比較器16が、逓倍クロックCLK1’とCLK2の位相を比較する。位相比較器24は、CLK1’とCLK2の位相差により、クロック・正スタッフ要求パルスCPS、又はクロック・負スタッフ要求パルスCNSを発生する。さらに、位相比較器24は、発生したクロック・正スタッフ要求パルスCPS、クロック・負スタッフ要求パルスCNSの個数に従って、データ・正スタッフ要求パルスDPS、又はデータ・負スタッフ要求パルスDNSを発生する。
【0069】
図2を参照して、位相比較器16の動作を詳細に説明する。クロックCLK1は、逓倍回路12により、周波数がn倍の逓倍クロックCLK1’に逓倍される。逓倍クロックCLK1’はm進カウンタ161に入力される。
【0070】
m進カウンタ161は、逓倍クロックCLK1’によりカウントアップする。ここで、係数mは、m=n×hである。ここで、nは逓倍回路12の逓倍率、hは多重化フレームに多重される低次群データのビット数である。m進カウンタ161は、多重化フレームの1フレームの期間を1周期として、計測を行う。従って、m進カウンタ161が計測を行う期間(以降、単に「計測期間」という。)は、多重化フレームの1フレームの期間に等しい。
【0071】
k進カウンタ162は、クロックCLK2によりカウントアップし、カウント値が(k−1)に達すると、キャリーCO(Ripple Carry Output)を出力する。キャリーCOは、DFF164のラッチ用クロックとなる。
【0072】
キャリーCOが発生すると、m進カウンタ161のカウント値がDFF163によりラッチされる。ラッチされたカウント値(以降、「計測値」という。)Qは、コンパレータ164によって、所定の値と比較される。
【0073】
クロックCLK1’の周波数f1’とCLK2の周波数f2の精度に依存して、f1’×k/hとf2の大小関係が変化する。そして、f1’ ×k/hとf2の大小関係に依存して、計測値Qの値が変化する。以下に、f1’ ×k/hとf2の大小関係によって場合分けして、コンパレータ164の動作を説明する。
1)f1’ ×k/h≒f2の場合
図4Aに示すように、クロックCLK1’、CLK2の周波数f1’、f2に精度の差がない場合、すなわちf1×k/h =f1’×k/m =f2の場合、m進カウンタ161の計測結果Qは0となる。この場合、コンパレータ164からスタッフ要求パルスは出力されない。あるいは、f1’×k/hとf2にの差によって生じる位相差が計測期間においてCLK1’の±1クロック以内である場合も、m進カウンタ161の計測結果Qは0となり、スタッフ要求パルスは出力されない。
2)f1’ ×k/h>f2の場合
図4Bに示すように、f1’、f2の精度に差があり、f1’、f2が、f1’×k/h>f2の関係、すなわちf1×k/h =f1’×k/m >f2にある場合、f1’の+1クロックの位相差が生じると、計測結果Qは1となる。
【0074】
この場合、m進カウンタ161の計測結果が0より大きいので、コンパレータ164はQ>0と判定し、クロック・正スタッフ要求パルスCPSを出力する。
【0075】
クロック・正スタッフ要求パルスCPSが出力された場合、m進カウンタ161が1クロック分だけカウントが停止されることにより補正が行われる。その結果、次の計測結果の判定を正しく行うことができる。
3)f1’ ×k/h<f2の場合
図4Cに示すように、f1’、f2の精度に差があり、f1’×k/h<f2の関係、すなわちf1×k/h =f1’×k/m <f2にある場合、f1’の−1クロックの位相差が生じると、計測結果Qはm−1となる。
【0076】
この場合、計測結果Qがmより小さいので、コンパレータ41はQ<mと判定し、クロック・負スタッフ要求パルスCNSを出力する。
【0077】
クロック・負スタッフ要求パルスCNSが出力された場合、m進カウンタ161が1クロックで+2カウントすることにより補正が行われる。その結果、次の計測結果の判定を正しく行うことができる。
【0078】
コンパレータ164が発生したクロック・正スタッフ要求パルスCPS及びクロック・負スタッフ要求パルスCNSの個数は、アップダウンカウンタ165でカウントされる。アップダウンカウンタ165は、クロック・正スタッフ要求パルスCPSによってカウントアップし、クロック・負スタッフ要求パルスCNSによってカウントダウンする。
【0079】
図5Aに示すように、クロック・正スタッフ要求パルスCPSが累計n個発生した場合は、コンパレータ166によりQ=+nと判定され、データ・正スタッフ要求パルスDPSが発生する。
【0080】
図5Bに示すように、クロック・負スタッフ要求パルスCNSが累計n個発生した場合は、コンパレータ166によりQ=−nと判定され、データ・負スタッフ要求パルスDNSが発生する。
【0081】
データ・正スタッフ要求パルスDPSが発生した場合は、多重化フレームの低次群データ挿入ビット位置Iに、メモリ13から読み出された低次群データDTが多重される。
【0082】
データ・負スタッフ要求パルスDNSが発生した場合は、多重化フレームのダミーデータ挿入ビット位置Dに、ダミーデータが挿入される。
【0083】
位相比較器16の以上の動作により、データ・正スタッフ要求パルスDPS、又はデータ・負スタッフ要求パルスDNSが発生する。このとき、送信装置10は以下のように動作する。
1)データ・正スタッフ要求パルスDPSが発生した場合
この場合は、読み出しカウンタ15が制御され、メモリ13から低次群データDTが読み出され、多重化フレームの低次群データ挿入ビット位置Iに挿入される。
【0084】
すなわち、位相比較器16は、データ・正スタッフ要求パルスDPSの発生を、スタッフ要求信号SRQを用いて、スタッフ情報生成回路17に知らせる。このとき、スタッフ情報生成回路17は、クロック供給禁止信号CSTPを生成しない。従って、読み出しカウンタは、多重化フレームの低次群データ挿入ビット位置Iへの多重化タイミングにおいても、メモリ13へ読み出しクロックRCLK_Tを出力し、低次群データDTを読み出す。読み出された低次群データDTは、多重化フレームの低次群データ挿入ビット位置Iに挿入される。
2)データ・負スタッフ要求パルスDNSが発生した場合
この場合は、メモリ13から低次群データDTが読み出されず、代わりにダミーデータが多重化フレームのダミーデータ挿入ビット位置Dに挿入される。
【0085】
すなわち、位相比較器16は、データ・負スタッフ要求パルスDNSの発生を、スタッフ要求信号SRQを用いて、スタッフ情報生成回路17に知らせる。このとき、スタッフ情報生成回路17は、クロック供給禁止信号CSTPを生成する。このとき、読み出しカウンタは、多重化フレームのダミーデータ挿入ビット位置Dへの多重化タイミングに、メモリ13への読み出しクロックRCLK_Tの出力を停止する。従って、多重化フレームのダミーデータ挿入ビット位置Dへの多重化タイミングでは、メモリ13から低次群データDTは読み出されない。そして、低次群データDTの代わりに、ダミーデータが多重化フレームのダミーデータ挿入ビット位置Dに挿入される。
3)データ・スタッフ要求パルスDPS、DNSともに発生しなかった場合
読み出しカウンタは、多重化フレームのダミーデータ挿入ビット位置Dへの多重化タイミングでは、メモリ13への読み出しクロックRCLK_Tを出力する。読み出しカウンタは、多重化フレームの低次群データ挿入ビット位置Iへの多重化タイミングでは停止する。従って、多重化フレームのダミーデータ挿入ビット位置Dへは、読み出された低次群データDTが挿入される。
【0086】
位相比較器16が、上記のクロック・スタッフ要求パルスCPS又はCNS、若しくは2種類のデータ・スタッフ要求パルスDPS又はDNSを発生したとき、スタッフ情報生成回路17によりスタッフ情報STFが生成される。スタッフ情報STFは、スタッフ要求パルスCPS、CNS、DPS、又はDNSのそれぞれが発生したか否かを示す情報を含む。
【0087】
多重化部18は、スタッフ情報STF、メモリ13から読み出された低次群データDTを多重化し、高次群信号として、クロックCLK2に同期して受信側に送る。
(受信装置の動作)
受信側では、ビット同期回路32が、中継装置20からの高次群入力信号からクロックCLK2を抽出する。分離部31は、高次群入力信号から、低次群データDT及びスタッフ情報STFを分離した後、低次群データDTをメモリ32に書き込む。
【0088】
スタッフ情報抽出回路33は、スタッフ情報STFから、送信装置10がスタッフ要求パルスDPS、DNS、CPS、又はCNSを発生したことを検知する。
【0089】
データ・スタッフ要求パルスDPS又はDNSの発生が検知されると、スタッフ情報抽出回路33は以下のように動作する。
1)データ・正スタッフ要求パルスDPSの発生が検知された場合
スタッフ情報抽出回路33は、デスタッフ制御信号DSTFを用いて、書き込みカウンタ35に対して、メモリ34への書き込みクロックWCLK_Rの出力を許可する。従って、多重化フレームの低次群データ挿入ビット位置Iのデータは、メモリ34に書き込まれる。
2)データ・負スタッフ要求パルスDNSの発生が検知された場合
スタッフ情報抽出回路33は、デスタッフ制御信号DSTFを用いて、書き込みカウンタ35に対して、メモリ34への書き込みクロックWCLK_Rの出力を禁止する。従って、多重化フレームのダミーデータ挿入ビット位置Dのダミーデータはメモリ34に書き込まれない。
すなわち、ダミービットは除去される。
【0090】
高次群入力信号から抽出されたクロックCLK2は、位相調整回路37を経由して、PLL38へ入力される。そして、PLL38により、クロックCLK2から、クロックCLK2の平均周波数のn倍に等しいクロックCLK1’が再生される。
さらに、スタッフ情報抽出回路33からクロック・スタッフ要求パルスCPS又はCNSを受けた場合は、クロックCLK1’は位相調整回路37により位相制御される。
【0091】
クロック・スタッフ要求パルスCPS又はCNSが入力されると、スタッフ情報抽出回路33は以下のように動作する。
1)クロック・正スタッフ要求パルスCPSが入力された場合
PLL38の出力が帰還される際にクロックCLK1’の−1クロック分の位相が制御される。
2)クロック・負スタッフ要求パルスCNSが入力された場合
PLL38の出力が帰還される際に、クロックCLK1’の+1クロック分の位相が制御される。
【0092】
再生されたクロックCLK1’は、分周器39によりn分周され、最終的にクロックCLK1が再生される。読み出しカウンタ33は、クロックCLK1から読み出しクロックRCLK_Rを生成し、メモリ34から低次群データDTを読み出す。
【0093】
以上のように、本実施形態のスタッフ同期制御システムは、スタッフ同期のために位相差が比較される、基準となるクロックは、逓倍回路により逓倍される。そして、スタッフ同期制御の対象となるクロックは、n倍クロックと位相が比較され、スタッフ同期制御される。そのため、スタッフパルスの検出周期が短くなる。従って、デスタッフ時のピークジッタが1/nに少なり、安定したデスタッフクロック再生が可能となるという効果がある。
【0094】
また、正のスタッフ要求及び負のスタッフ要求の両方の制御を行うことができる。従って、複数の通信装置のそれぞれで使用される発振器の発振周波数が満たすべき大小関係が任意となるという効果もある。