特許第5956303号(P5956303)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5956303
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】温風暖房機
(51)【国際特許分類】
   F24H 3/04 20060101AFI20160714BHJP
【FI】
   F24H3/04 305A
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-229369(P2012-229369)
(22)【出願日】2012年10月17日
(65)【公開番号】特開2014-81142(P2014-81142A)
(43)【公開日】2014年5月8日
【審査請求日】2015年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】野沢 寛
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 雄二
【審査官】 渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−223348(JP,A)
【文献】 特開2000−283561(JP,A)
【文献】 特開2004−003841(JP,A)
【文献】 特開平04−316959(JP,A)
【文献】 特開2007−333339(JP,A)
【文献】 特開平05−223347(JP,A)
【文献】 特開平05−039956(JP,A)
【文献】 特開平06−117697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 3/00− 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温風吹出口を有する本体と、気化させた燃料を燃焼するバーナと、該バーナの燃焼により発生した熱を温風吹出口から吹き出させる送風ファンと、前記温風吹出口を開閉するシャッタと、該シャッタを開閉するシャッタモータと、暖房運転を制御する制御部とを備え、前記制御部は、運転開始時に室内が所定温度以下の時、点火動作が開始される前に事前にシャッタの開動作を行う温風暖房機に於いて、前記制御部は、運転開始時に室内が所定温度以下の時、その室内温度に応じて事前に行うシャッタの開動作の動作回数を設定することを特徴とする温風暖房機。
【請求項2】
前記制御部は、事前に行うシャッタの開動作の動作時間を計時し、その動作時間が所定時間を越えたシャッタの開動作の動作回数を記憶し、その記憶した回数が所定回数以上になったらシャッタエラーと判断して運転を停止することを特徴とする請求項1記載の温風暖房機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、温風を吹き出して室内を暖房する温風暖房機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種のものでは、例えば図5に示すように、1は温風吹出口で、本体2の前面パネル3に設けたグリル4により形成され、前面パネル3とグリル4の間で昇降するようにシャッタ5が設けられている。
6はシャッタ5を昇降させるシャッタモータで、そのシャッタモータ6のモータ軸にクランク7の一端が取り付けられ、該クランク7の他端にはシャッタ5の上部に設けた横長穴に係合するローラ8が取り付けられている。
【0003】
前記シャッタ5は両側の昇降ガイド9に沿って昇降し、シャッタ5の開状態(上限位置)と閉状態(下限位置)はセンサ(図示せず)により検出される。
10はバーナで、燃焼用ファン11により吸い込まれる燃焼用空気と電磁ポンプ(図示せず)により供給される燃料とを予熱された気化器12内で混合してガス化し燃焼させるもので、バーナ10の上部は燃焼筒13で覆われているものである。
【0004】
前記燃焼ガスは燃焼筒13の上部開口14より上方に流れ、送風ファン15によりバーナ10の燃焼によって発生した熱を送風と共に温風として温風吹出口1より吹き出させるものである。
16は操作部17に設けられ暖房運転のオン・オフを行う運転スイッチ、18は暖房運転の制御を行う制御部19を備えた制御基板で、前記制御部19は、室温検知手段(図示せず)が検知する室温が設定温度になるように暖房運転の制御を行うものである。
【0005】
そして運転スイッチ16がON操作されて運転が開始されると、送風ファン15を動作させるとともにシャッタ5により温風吹出口1を閉塞させ、点火後に、シャッタ5の閉塞を解除して温風吹出口1を開放させ、また運転スイッチ16がOOF操作されて運転が停止されると、送風ファン15の動作を継続させるとともにシャッタ5により温風吹出口1を閉塞させ、消火後に所定時間の間、シャッタ5の閉塞を解除して温風吹出口1を開放させてから、所定時間経過後に送風ファン15の動作を停止させる。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−283561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところでこの従来のものでは、運転スイッチ16がON操作されてバーナ10の気化器12に設けられたヒータ(図示せず)に通電を開始して予熱し、気化器12の温度が点火可能な所定温度まで上昇したら、制御部19がシャッタモータ6に通電してシャッタ5の開放動作を行い、電磁ポンプを駆動して気化器12に燃料を供給すると共に燃焼用ファン11を駆動して気化器12に燃焼用空気を供給し、気化器12内で混合してガス化した予混合気を点火手段(図示せず)にて点火して運転を開始していたが、室温が低い場合、シャッタモータ6の起動特性が低下して、制御部19がシャッタモータ6に通電してもすぐにシャッタモータ6が動作せず、制御部19がシャッタモータ6に通電してから所定時間経過してもシャッタ5が所定位置まで開ききらず、制御部19がシャッタの動作エラーと判断して運転を停止することがあった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、温風吹出口を有する本体と、気化させた燃料を燃焼するバーナと、該バーナの燃焼により発生した熱を温風吹出口から吹き出させる送風ファンと、前記温風吹出口を開閉するシャッタと、該シャッタを開閉するシャッタモータと、暖房運転を制御する制御部とを備えた温風暖房機に於いて、前記制御部は、運転開始時に室内が所定温度以下の時、点火動作が開始される前に事前にシャッタの開動作を行うものである。
【0009】
また、前記制御部は、運転開始時に室内が所定温度以下の時、その室内温度に応じて事前に行うシャッタの開動作の動作回数を設定するものである。
【0010】
また、請求項では、前記制御部は、事前に行うシャッタの開動作の動作時間を計時し、その動作時間が所定時間を越えたシャッタの開動作の動作回数を記憶し、その記憶した回数が所定回数以上になったらシャッタエラーと判断して運転を停止するものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明の請求項1によれば、運転開始時に室内が所定温度以下の時、点火動作が開始される前に事前にシャッタの開動作を行うので、室温が低くてシャッタモータの起動特性が低下していても、点火動作が開始された時にスムーズにシャッタが閉塞状態から開放状態となり、低温によるシャッタモータの起動特性の低下が原因のシャッタエラーの発生を防止できるものである。
【0012】
また、室温が低いほど事前シャッタ開閉数Nを多くするので、点火動作が開始されるまでに何回かシャッタが開動作され、それにより室温が低くとも点火動作が開始された時にスムーズにシャッタが閉塞状態から開放状態となり、低温によるシャッタモータの起動特性の低下が原因のシャッタエラーの発生を防止できるものである。
【0013】
また、請求項によれば、事前シャッタ開動作が所定時間以内に行われない状態が2回以上発生した時は点火動作が開始される前にシャッタエラーと判断して運転を停止するので、より安全性を高くすることが出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】この発明の一実施形態のシャッタが閉じた状態を示す外観斜視図。
図2】同シャッタが開いた状態を示す外観斜視図。
図3】同シャッタ部分の概略斜視図。
図4】同運転開始時のフローチャート図。
図5】従来の温風暖房機の略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本実施形態の作動について図4のフローチャート図に基づいて説明する。
尚、この1実施形態の温風暖房機は、符号1〜19の構成は前述の従来例と同様である。
まず、制御部19は、運転スイッチ16がON操作されたかを確認し(S1)、運転スイッチ16がON操作されたのを確認すると、次に室温検知手段が検知する室温が所定の温度、本実施例では−5℃以下かを確認し(S2)、−5℃より高ければ通常の点火動作に進み(S16)、−5℃以下であれば次に室温検知手段が検知する室温が所定の温度、本実施例では−15℃以下かを確認する。(S3)
【0016】
そして室温検知手段が検知する室温が−15℃より高ければ事前シャッタ開閉数Nを一回に設定し(S4)、−15℃以下であれば事前シャッタ開閉数Nを二回に設定する。(S5)
【0017】
そして運転スイッチ16がON操作されてから所定時間が経過したら(S6)、制御部19は事前シャッタ開閉動作を行い、シャッタモータ6に通電を行う。(S7)
その時、制御部19はシャッタモータ6に通電を行ってからシャッタ5が所定の位置まで開放されるまでの時間を計時してそれが所定時間内か否かを判断し(S8)、その時間が所定時間より長い時は開閉不良回数nに1を加算し(S9)、次にその開閉不良回数nが2回以上かを確認し(S10)、2回未満の時は(S7)に戻り、2回以上の時はシャッタエラーと判断して運転を停止して(S11)、シャッタエラー表示を行うものである。(S12)
【0018】
また、(S8)でシャッタモータ6に通電を行ってからシャッタ5が所定の位置まで開放されるまでの時間が所定時間内の時は、次に気化器温度が点火温度にまで達したかを確認し(S13)、気化器温度が点火温度にまで達していない時は、シャッタ開閉数が設定した事前シャッタ開閉数Nに達したかを判断し(S14)、事前シャッタ開閉数Nに達していない時は(S7)に戻り、事前シャッタ開閉数Nに達している時は事前シャッタ開閉動作を終了して(S15)、通常の点火動作に進むものである。(S16)
【0019】
このように、室温が所定の温度以下の時に運転スイッチ16がON操作された時、運転スイッチ16がON操作されてから点火動作が開始されるまでの間に、シャッタ開閉動作を事前に行うので、室温が低くてシャッタモータ6の起動特性が低下していても、点火動作が開始された時にスムーズにシャッタ5が閉塞状態から開放状態となり、低温によるシャッタモータ6の起動特性の低下が原因のシャッタエラーの発生を防止できるものである。
【0020】
又、室温が低いほど事前シャッタ開閉数Nを多くするので、点火動作が開始されるまでに何回かシャッタ5が開閉され、それにより室温が低くとも点火動作が開始された時にスムーズにシャッタ5が閉塞状態から開放状態となり、低温によるシャッタモータ6の起動特性の低下が原因のシャッタエラーの発生を防止できるものである。
【0021】
又、事前シャッタ開閉が所定時間以内に行われない状態が2回以上発生した時は点火動作が開始される前にシャッタエラーと判断して運転を停止するので、より安全性を高くすることが出来るものである。
【符号の説明】
【0022】
1 温風吹出口
2 本体
5 シャッタ
6 シャッタモータ
10 バーナ
15 送風ファン
19 制御部
図1
図2
図3
図4
図5