特許第5956411号(P5956411)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5956411
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】形状計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/24 20060101AFI20160714BHJP
   G01B 11/02 20060101ALI20160714BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20160714BHJP
【FI】
   G01B11/24 K
   G01B11/24 A
   G01B11/02 H
   G06T1/00 315
【請求項の数】10
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-234580(P2013-234580)
(22)【出願日】2013年11月13日
(65)【公開番号】特開2014-211428(P2014-211428A)
(43)【公開日】2014年11月13日
【審査請求日】2015年9月1日
(31)【優先権主張番号】特願2013-76190(P2013-76190)
(32)【優先日】2013年4月1日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100118049
【弁理士】
【氏名又は名称】西谷 浩治
(72)【発明者】
【氏名】高橋 英二
(72)【発明者】
【氏名】片山 亮
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 知多佳
(72)【発明者】
【氏名】迫田 尚和
【審査官】 神谷 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−68607(JP,A)
【文献】 特開2011−104648(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/082075(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00−11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物の3次元形状を計測する形状計測装置であって、
所定の搬送方向に搬送される前記測定対象物に対し、前記搬送方向と交差する方向に光切断線を照射する照射部と、
前記光切断線が照射された測定対象物を撮像し、原画像データを取得する撮像部と、
前記光切断線と交差する1水平ラインの原画像データが前記撮像部から入力される都度、前記光切断線の位置を検出する位置検出部と、
前記位置検出部により検出された各水平ラインの光切断線の位置を1次元で配列して1次元配列データを生成し、前記原画像データに埋め込み、合成画像データを生成する画像合成部と、
前記画像合成部によりされた前記合成画像データを送信する送信部と、
前記合成画像データを受信し、前記原画像データに埋め込まれた前記1次元配列データに基づいて、前記測定対象物の3次元形状データを算出する形状算出部とを備える形状計測装置。
【請求項2】
前記位置検出部は、各水平ラインの輝度のピークの位置を前記光切断線の位置として検出する請求項1記載の形状計測装置。
【請求項3】
前記画像合成部は、前記原画像データの端部の1ラインに前記1次元配列データを埋め込む請求項1又は2記載の形状計測装置。
【請求項4】
前記照射部は、複数の前記光切断線を前記測定対象物に照射し、
前記画像合成部は、各光切断線に対応して予め設定された前記原画像データ内の複数の領域から、各光切断線に対応する1次元配列データを同時に算出し、各1次元配列データを、各光切断線に対応して予め定められた前記原画像データの端部の1ラインに埋め込む請求項1〜3のいずれかに記載の形状計測装置。
【請求項5】
前記照射部は2本の光切断線を照射し、
前記画像合成部は、2本の光切断線の位置の差分を算出し、当該差分に基づいて前記1次元配列データを算出する請求項4記載の形状計測装置。
【請求項6】
前記測定対象物は、第1色で自発光した高温状態の物体であり、
前記照射部は、前記1色とは異なる第2色で光切断線を照射し、
前記撮像部は、前記第1色〜第2色のそれぞれに感度を持つカラーの撮像素子により構成され、
前記位置検出部及び画像合成部は、前記撮像部により撮像された前記原画像データの前記第1色〜第2色の画像成分のそれぞれに対して個別に処理を行う請求項1〜5のいずれかに記載の形状計測装置。
【請求項7】
前記位置検出部は、前記第1色の画像成分を構成する1水平ラインの原画像データが入力される都度、当該1水平ラインの輝度の代表値を算出すると共に、前記第2色の画像成分を構成する1水平ラインの原画像データが入力される都度、前記光切断線の位置を検出し、
前記画像合成部は、両画像成分の処理結果に基づいて前記1次元配列データを生成する請求項6記載の形状計測装置。
【請求項8】
前記照射部は、前記撮像部の光軸に対して交差する方向から、前記第1色及び前記第2色とは異なる第3色で前記測定対象物を更に照射し、
前記撮像部は、前記第1色〜第3色のそれぞれに感度を持つカラーの撮像素子により構成され、
前記位置検出部は、第3色の画像成分から前記測定対象物の疵の大きさを検知する請求項6又は7記載の形状計測装置。
【請求項9】
前記位置検出部は、前記第3色の画像成分を構成する1水平ラインの原画像データが入力される都度、当該1水平ラインに含まれる前記測定対象物の疵を示す画素の数をカウントし、
前記画像合成部は、前記疵を示す画素のカウント値に基づいて前記1次元配列データを生成する請求項8記載の形状計測装置。
【請求項10】
前記画像合成部は、前記第1色の画像成分の各水平ラインで算出された輝度の代表値から前記測定対象物の両端を検出し、前記両端から前記測定対象物の幅方向の中心位置を求め、前記中心位置と前記原画像データの垂直方向の中心線とのずれをオフセットとして求め、前記オフセットに基づいて前記光切断線の中心位置が前記中心線に位置するように前記光切断線を示す1次元配列データを補正する請求項6〜9のいずれかに記載の形状計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は測定対象物の3次元形状計測する形状計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
移動中の条鋼材に光切断線を照射し、光切断線が照射された条鋼材を撮像装置で撮像し、条鋼材表面の3次元形状を計測し、圧延ラインにて製造された条鋼材を評価することが行われている。この評価においては、条鋼材を撮像装置で連続撮像する都度、撮像した箇所の条鋼材の3次元形状をリアルタイムで計算することが要望されている。
【0003】
例えば、条鋼材の1本毎の3次元形状データをグラフ化して表示することや、良否判定検査を測定直後に行うことが要望されている。
【0004】
特許文献1には、測定対象物の周囲にスリット光を照射する投光器を複数配置し、隣接する投光器同士のスリット光が測定対象物の表面で重ならないように、隣接する投光器の配置位置を変える技術が開示されている。
【0005】
特許文献2には、異形棒鋼に径方向に広がりを有する平行光線を照射し、異形棒鋼により遮光された異形棒鋼のシルエット像を撮像し、得られたシルエット像から異形棒鋼の軸方向の径の変化を検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−255125号公報
【特許文献2】特開平5−187825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1は、投光器の配置に関する発明であり、測定対象物の3次元形状をリアルタイムで処理することを考慮した記載が全くなされていない。また、特許文献2では、異形棒鋼のシルエット像から外形やフシ高さ等の特徴量(評価値)を計算することや、軸方向における異形棒鋼の径の変化を検知することは開示されているが、測定対象物の測定結果をリアルタイムで処理することが全く記載されていない。
【0008】
本発明の目的は、測定対象物の3次元形状をリアルタイムで計算することができる形状計測装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の一態様による形状計測装置は、測定対象物の3次元形状を計測する形状計測装置であって、所定の搬送方向に搬送される前記測定対象物に対し、前記搬送方向と交差する方向に光切断線を照射する照射部と、前記光切断線が照射された測定対象物を撮像し、原画像データを取得する撮像部と、前記光切断線と交差する1水平ラインの原画像データが前記撮像部から入力される都度、前記光切断線の位置を検出する位置検出部と、前記位置検出部により検出された各水平ラインの光切断線の位置を1次元で配列して1次元配列データを生成し、前記原画像データに埋め込み、合成画像データを生成する画像合成部と、前記画像合成部によりされた前記合成画像データを送信する送信部と、前記合成画像データを受信し、前記原画像データに埋め込まれた前記1次元配列データに基づいて、前記測定対象物の3次元形状データを算出する形状算出部とを備える。
【0010】
この構成によれば、位置検出部は、1水平ラインの原画像データが撮像部から入力される都度、光切断線の位置を検出している。そのため、位置検出部は、1枚の原画像データの取得が終了するのとほぼ同時にその原画像データの各水平ラインにおける光切断線の位置を検出する処理を終了させることができる。
【0011】
また、形状算出部は、送信部から送信された原画像データに対して光切断線の位置を検出する処理を実行する必要がなくなる。これにより、形状計測装置は、測定対象物の3次元形状データをリアルタイムに算出することができる。
【0012】
また、原画像データに1次元配列データが埋め込まれた合成画像データがリアルタイム送信されるため、原画像データのリアルタイムなライブ表示を実現しながら、一方で、3次元形状データの算出結果をリアルタイムで表示することができる。
【0013】
(2)前記位置検出部は、各水平ラインの輝度のピークの位置を前記光切断線の位置として検出してもよい。
【0014】
この構成によれば、光切断線の位置を正確に求めることができる。
【0015】
(3)前記画像合成部は、前記原画像データの端部の1ラインに前記1次元配列データを埋め込んでもよい。
【0016】
この構成によれば、原画像データに含まれる光切断線の情報を毀損することなく、原画像データに1次元配列データを埋め込むことができる。
【0017】
(4)前記照射部は、複数の前記光切断線を前記測定対象物に照射し、前記画像合成部は、各光切断線に対応して予め設定された前記原画像データ内の複数の領域から、各光切断線に対応する1次元配列データを同時に算出し、各1次元配列データを、各光切断線に対応して予め定められた前記原画像データの端部の1ラインに埋め込んでもよい。
【0018】
この構成によれば、複数の1次元配列データを生成した場合においても、原画像データに含まれる光切断線の情報を毀損することなく、原画像データに複数の1次元配列データを埋め込むことができる。
【0019】
(5)前記照射部は2本の光切断線を照射し、前記画像合成部は、2本の光切断線の位置の差分を算出し、当該差分に基づいて前記1次元配列データを算出してもよい。
【0020】
2本光切断線の差分をとることで、測定対象物の前後方向の振動の影響が除去された1次元配列データを生成することができる。よって、測定対象物が前後方向に振動したとしても、測定対象物の3次形状データを正確に求めることができる。
【0021】
(6)前記測定対象物は、第1色で自発光した高温状態の物体であり、前記照射部は、前記1色とは異なる第2色で光切断線を照射し、前記撮像部は、前記第1色〜第2色のそれぞれに感度を持つカラーの撮像素子により構成され、前記位置検出部及び画像合成部は、前記撮像部により撮像された前記原画像データの前記第1色〜第2色の画像成分のそれぞれに対して個別に処理を行ってもよい。
【0022】
この構成によれば、第1色の画像成分から測定対象物の幅の情報を求め、第2色の画像成分から測定対象物の光切断線を検出することができる。
【0023】
(7)前記位置検出部は、前記第1色の画像成分を構成する1水平ラインの原画像データが入力される都度、当該1水平ラインの輝度の代表値を算出すると共に、前記第2色の画像成分を構成する1水平ラインの原画像データが入力される都度、前記光切断線の位置を検出し、前記画像合成部は、両画像成分の処理結果に基づいて前記1次元配列データを生成してもよい。
【0024】
この構成によれば、原画像データを取得する処理が終了するのとほぼ同時に、第1色の画像成分の各水平ラインの輝度の代表値を求める処理と、第2色の画像成分の各水平ラインから光切断線の位置を求める処理とを終了させることができる。
【0025】
(8)前記照射部は、前記撮像部の光軸に対して交差する方向から、前記第1色及び前記第2色とは異なる第3色で前記測定対象物を更に照射し、前記撮像部は、前記第1色〜第3色のそれぞれに感度を持つカラーの撮像素子により構成され、前記位置検出部は、第3色の画像成分から前記測定対象物の疵の大きさを検知してもよい。
【0026】
この構成によれば、第3色の画像成分から測定対象物の疵を検出することができる。また、照射部は第3色を撮像部の光軸と交差する方向から測定対象物に照射しているため、撮像部は測定対象物の疵を正確に撮像できる。
【0027】
(9)前記位置検出部は、前記第3色の画像成分を構成する1水平ラインの原画像データが入力される都度、当該1水平ラインに含まれる前記測定対象物の疵を示す画素の数をカウントし、前記画像合成部は、前記疵を示す画素のカウント値に基づいて前記1次元配列データを生成してもよい。
【0028】
この構成によれば、原画像データを取得する処理が終了するのとほぼ同時に、第3色の画像成分の各水平ラインから測定対象物の疵を示す画素数をカウントする処理を終了させることができる。
【0029】
(10)前記画像合成部は、前記第1色の画像成分の各水平ラインで算出された輝度の代表値から前記測定対象物の両端を検出し、前記両端から前記測定対象物の幅方向の中心位置を求め、前記中心位置と前記原画像データの垂直方向の中心線とのずれをオフセットとして求め、前記オフセットに基づいて前記光切断線の中心位置が前記中心線に位置するように前記光切断線を示す1次元配列データを補正してもよい。
【0030】
この構成によれば、光切断線の中心位置を原画像データの中心線に一致させる処理が画像合成部により行われている。そのため、形状算出部はより高速に測定対象物の3次元形状データを算出することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、形状算出部は、送信部から送信された原画像データに対して光切断線の位置を検出する処理を実行する必要がなくなる。これにより、形状計測装置は、測定対象物の3次元形状データをリアルタイムに算出することができる。また、原画像データに1次元配列データが埋め込まれた合成画像データがリアルタイムで送信されるため、原画像データのリアルタイムなライブ表示を実現しながら、一方で、3次元形状データの算出結果をリアルタイムで表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】条鋼を製造する条鋼圧延ラインの全体図である。
図2】本発明の実施の形態1による形状計測装置の構成を模式的に示した図である。
図3図2に示す撮像ユニット及び処理装置の詳細な構成を示すブロック図である。
図4】撮像部が撮像する原画像データの一例を示す模式図である。
図5】1次元配列データが埋め込まれた原画像データを示した模式図である。
図6】本発明の実施の形態2において、撮像部が撮像する原画像データの一例を示す模式図である。
図7】(A)はカラーの原画像データの一例を示した図であり、(B)は原画像データに含まれる赤画像成分を示した図であり、(C)は原画像データに含まれる緑画像成分を示した図である。
図8】本発明の実施の形態1における形状計測装置の処理を示すフローチャートである。
図9】本発明の実施の形態6による形状計測装置10の構成の一例を示した図である。
図10】(A)はカラーの原画像データの一例を示した図であり、(B)は原画像データに含まれる赤画像成分を示した図であり、(C)は原画像データに含まれる緑画像成分を示した図であり、(D)は原画像データに含まれる青画像成分を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(実施の形態1)
図1は、条鋼を製造する条鋼圧延ライン1の全体図である。図1に示すように、条鋼圧延ライン1は、条鋼材Wを製造するものである。なお、条鋼圧延ライン1が製造する条鋼材Wは、棒材であってもよく線材であってもよい。
【0034】
条鋼圧延ライン1は、上流側から下流側に向けて順に、ビレットなどの鋼片を加熱する加熱炉2、粗圧延装置3、中間列圧延装置4、仕上げ圧延装置5、及び冷却装置6(水冷帯)が順番に設置されている。
【0035】
粗圧延装置3、中間列圧延装置4、及び仕上げ圧延装置5は、それぞれ複数の圧延スタンド8を備えていて、圧延スタンド8には条鋼材Wを圧延するための圧延ロール7が設けられている。
【0036】
条鋼圧延ライン1においては、まず、加熱炉2内に条鋼の元となるビレット(鋼片)を導入して加熱し、加熱したビレットをデスケーリングする。そして、デスケーリングした鋼片を粗圧延装置3で所定の大きさに粗圧延する。粗圧延装置3の圧延ロール7はHV配列となっており、圧下方向が交互に変更されながら圧延される。中間列圧延装置4や仕上げ圧延装置5では、各圧延ロール7によって断面形状が楕円から丸状になるように圧延されて、最終的に目標とする形状(例えば、丸形状)に圧延される。丸形状に圧延された条鋼材Wは、冷却装置6にて冷却されて、線材であれば巻き取り装置9によって巻き取られ、棒鋼材であれば、デバイディングシャー(図示せず)により所定の長さに切断される。
【0037】
加えて、本発明の条鋼圧延ライン1には、圧延中の条鋼材Wの形状や断面幅寸法(材幅と呼ぶこともある)を検出するために、形状計測装置10が設置されている。形状計測装置10は、例えば、仕上げ圧延装置5の出側に設けられているが、設置場所は限定されるものではない。
【0038】
図2は、本発明の実施の形態1による形状計測装置10の構成を模式的に示した図である。形状計測装置10は、2個の照射部101、102、撮像ユニット104、及び処理装置105を備えている。照射部101は、圧延方向に沿って搬送される条鋼材W(測定対象物の一例)の表面に対し、条鋼材Wの幅方向(移送方向に略直角方向)に光切断線を照射する。照射部102は、照射部101に対して圧延方向の下流側に設けられ、照射部101と同様、条鋼材Wに対して光切断線を照射する。
【0039】
照射部101、102は、レーザ光源及びシリンドリカルレンズ等を備えている。レーザ光源は、スポット状のレーザ光を照射する。シリンドリカルレンズは、レーザ光源が照射したスポット光を、シート状のレーザ光に拡げて条鋼材Wに導く。
【0040】
光切断線は、例えば、条鋼材Wの幅と同程度の幅を有する。レーザ光の波長としては、例えば波長532nm程度の緑の波長帯のレーザ光が採用される。但し、これは一例であり、青の波長帯のレーザ光が採用されてもよい。
【0041】
撮像ユニット104は、撮像部103を備えている。撮像部103は、光切断線が照射された条鋼材Wの表面を撮像する。撮像部103は、例えば、CCDやCMOS等のカメラにより構成され、所定のフレームレートで条鋼材Wを撮像する。
【0042】
照射部101、102及び撮像部103は、照射部101、102の光軸Z1と撮像部103の光軸Z2との挟み角がαとなるように配置されている。これにより、条鋼材Wに照射される光切断線が条鋼材Wの形状に応じて彎曲し、条鋼材Wの3次元形状データを算出することができる。
【0043】
撮像部103に取り付けられた撮像レンズとしては、例えばテレセントリックレンズが採用されている。これにより、条鋼材Wが前後に多少移動する、或いは上下に多少ぶれたとしても、条鋼材Wのサイズを変動させることなく被写体を撮像できる。
【0044】
処理装置105は、例えば、パーソナルコンピュータにより構成され、撮像部103により撮像された原画像データを取り込んで、条鋼材Wの3次元形状を算出する。
【0045】
図3は、図2に示す撮像ユニット104及び処理装置105の詳細な構成を示すブロック図である。撮像ユニット104は、撮像部103、撮像制御部301、位置検出部302、画像合成部303、及び通信部304を備えている。以下の説明では、照射部101のみ点灯させ、照射部102は消灯しているものとして説明する。したがって、条鋼材Wには1本の光切断線が照射されている。
【0046】
撮像部103は、所定のフレームレートで条鋼材Wを撮像し、得られた原画像データを位置検出部302に出力する。ここで、撮像部103は、例えば、モノクロの撮像素子を備えており、モノクロの原画像データを取得する。また、撮像部103は、1枚の原画像データを撮像すると、例えば、左上の頂点の画素から右下の頂点の画素に向けてラスタ走査するように1画素単位で原画像データを位置検出部302に出力する。
【0047】
撮像制御部301は、撮像部103に制御信号を送信し、撮像部103に撮像動作を行わせる。制御信号としては、例えば、撮像部103が所定のフレームレートで条鋼材Wを撮像するための信号が含まれる。
【0048】
位置検出部302は、光切断線と交差する1水平ラインの原画像データが撮像部103から入力される都度、光切断線の位置を検出する。
【0049】
図4は、撮像部103が撮像する原画像データの一例を示す模式図である。図4に示すように原画像データには、光切断線L1が含まれている。光切断線L1は、条鋼材Wの表面形状に応じて彎曲した形状を持っている。原画像データは、例えば、左上の頂点が原点とされ、垂直方向にV軸が設定され、水平方向にH軸が設定され、各画素の位置がH座標とV座標とによって規定される2次元の画像データである。
【0050】
図4の例では、位置検出部302は、まず、V=0の1水平ラインの原画像データを取得し、次に、V=1の1水平ラインの原画像データを取得するというようにして、1水平ラインの原画像データを取得する。1水平ラインとは、原画像データの水平方向の1ラインの画像データを指す。
【0051】
ここで、位置検出部302は、V=i(iは1水平ラインを特定するためのインデックス)の1水平ラインの原画像データの取得する処理と、取得済みのV=i−1の1水平ラインの原画像データから光切断線の位置を検出する処理とを並行して行う。そのため、位置検出部302は、1枚の原画像データの取得が終了するのとほぼ同時にその原画像データの各水平ラインにおける光切断線の位置を検出する処理を終了させることができる。
【0052】
ここで、位置検出部302は、原画像データを構成する各水平ラインにおいて輝度のピーク位置を検出し、その位置を光切断線L1の位置とする。具体的には、位置検出部302は、原画像データにおいて、V=0の1水平ラインにおいて、輝度のピークの位置を検出し、次に、V=1の1水平ラインラインにおいて、輝度のピークの位置を検出するというようにして、原画像データを構成する各水平ラインの輝度のピークの位置を検出する。
【0053】
ここで、位置検出部302は、輝度のピークの位置をピクセルレベルで検出してもよいし、サブピクセルレベルで検出してもよい。
【0054】
図3に戻り、画像合成部303は、位置検出部302により検出された各水平ラインの光切断線L1の位置を1次元で配列して1次元配列データを生成し、原画像データに埋め込み、合成画像データを生成する。
【0055】
例えば、位置検出部302が、V=0、1、2、・・・の各水平ラインの輝度のピークの位置として、それぞれ、H=a(0)、a(1)、a(2)、・・・を検出したとする。この場合、画像合成部303は、a(0)、a(1)、a(2)、・・・のデータ群をV軸方向に沿って配列し、1次元配列データを生成する。
【0056】
そして、画像合成部303は、この1次元配列データを原画像データの端部の1ラインに埋め込み、合成画像データを生成する。なお、原画像データにおいて光切断線L1が存在しない領域が存在する。この領域において、位置検出部302は、光切断線の位置を検出しない。具体的には、位置検出部302は、1水平ラインにおいて輝度が閾値以下であれば、その1水平ラインには光切断線L1が表れていないと判定する。この場合、画像合成部303は、位置検出部302により光切断線L1が検出されなかった水平ラインの1次元配列データについては、値を0とすればよい。
【0057】
図5は、1次元配列データが埋め込まれた原画像データ400を示した模式図である。図5の例では、光切断線L1の位置を示す1次元配列データは、原画像データ400の右端401の1ラインに埋め込まれている。ここで、右端401の1ラインとは、水平方向の座標が最大であって、垂直方向と平行な1ラインを指す。このように、1次元配列データは、右端401の1ラインに投影されて、原画像データに埋め込まれている。
【0058】
具体的には、右端401の1ラインの画素位置をP(Hn、0)、P(Hn、1)、P(Hn、2)、・・・とすると、1次元配列データを構成する、a(0)、a(1)、a(2)、・・・は、それぞれ、P(Hn、0)、P(Hn、1)、P(Hn、2)、・・・に格納される。但し、Hnは原画像データ400において、水平方向の右端の座標を示す。
【0059】
なお、図5の例では、右端401の1ラインに1次元配列データは埋め込まれていたが、本発明はこれに限定されず、左端402の1ラインに埋め込まれてもよいし、上端の1ラインに埋め込まれてもよいし、下端の1ラインに埋め込まれてもよい。すなわち、1次元配列データは、原画像データにおいて、光切断線L1が表れないことが明白な所定の位置に埋め込まれればよい。
【0060】
従来の形状計測装置では、撮像ユニット104は、原画像データを取得する処理と、光切断線L1の位置を検出する処理とを並行して行っていなかった。そのため、図4に示すように、撮像ユニット104は、撮像部103により撮像された原画像データをそのまま、処理装置105に送信し、光切断線L1の位置を検出する処理を処理装置105に委ねていた。
【0061】
その結果、従来の形状計測装置は、撮像ユニット104から処理装置105への原画像データの送信が終了した後でなければ、光切断線L1の位置を検出する処理を開始することができなかった。そのため、従来の形状計測装置10は、条鋼材Wの3次元形状データをリアルタイムに算出することが困難であった。
【0062】
そこで、本実施の形態では、撮像ユニット104は、1枚の原画像データを取得する処理と、光切断線L1の位置を検出する処理とを並行して実行する。そのため、処理装置105は、撮像ユニット104から送信された原画像データに対して光切断線L1の位置を検出する処理を実行する必要がなくなる。これにより、形状計測装置10は、条鋼材Wの3次元形状データをリアルタイムに算出することができる。
【0063】
また、原画像データに1次元配列データが埋め込まれた合成画像データがリアルタイムで送信されるため、原画像データのリアルタイムなライブ表示を実現しながら、一方で、3次元形状データの算出結果をリアルタイムで表示することができる。
【0064】
図3に戻り、通信部304は、例えば、GigEやCameraLinkといった通信規格に準拠した通信回路により構成されている。そして、通信部304は、画像合成部303によりされた合成画像データを処理装置105に送信する。ここで、通信部304は、撮像部103のフレームレートと同程度の通信速度で、合成画像データを処理装置105に送信する。
【0065】
処理装置105は、通信部311、形状算出部312、保存部313、及び表示部314を備える。通信部311は、撮像ユニット104から送信された原画像データを受信する。
【0066】
形状算出部312は、通信部311により受信された原画像データに埋め込まれた1次元配列データを用いて、三角測量の原理を用いて条鋼材Wの3次元形状データを算出する。ここで、形状算出部312は、1枚の原画像データを取得すると、次に1枚の原画像データを取得するまでの期間内に、取得した1枚の原画像データに埋め込まれた1次元配列データから1ライン分の3次元形状データを算出する。そのため、形状算出部312は、リアルタイムで条鋼材Wの3次元形状データを算出することができる。
【0067】
保存部313は、例えば、ハードディスクや、EEPROM等の不揮発性の記憶装置により構成され、形状算出部312により算出された3次元形状データを保存する。また、保存部313は、通信部311により受信された原画像データを記憶する。
【0068】
表示部314は、例えば、液晶ディスプレイにより構成され、形状算出部312により算出された3次元形状データを表示したり、保存部313に記憶されている原画像データを表示したりする。ここで、表示部314は、形状算出部312が1ラインの3次元形状データを算出する都度、その算出結果を表示する。これにより、ユーザは、3次元形状データの算出結果をリアルタイムで確認することができる。また、表示部314は、通信部311が合成画像データを受信する都度、その合成画像データを表示する。そのため、条鋼材Wの測定結果がリアルタイムに表示部314に表示される。
【0069】
図8は、本発明の実施の形態1における形状計測装置10の処理を示すフローチャートである。まず、撮像部103は、光切断線L1が照射された搬送状態にある条鋼材Wを撮像し、1枚の原画像データを取得する(S701)。なお、撮像部103は、取得した原画像データを1画素ずつ位置検出部302に出力する。
【0070】
次に、位置検出部302は、1水平ラインの原画像データが入力されると(S702)、その1水平ラインに含まれている光切断線L1の位置を検出する(S703)。そして、位置検出部302は、1枚の原画像データの全ての1水平ラインの入力が終了していなければ(S704でNO)、処理をS702に戻し、次に入力される1水平ラインに対して光切断線L1の位置を検出する。一方、位置検出部302は、1枚の原画像データを構成する全水平ラインの原画像データの入力が完了した場合(S704でYES)、処理をS705に進める。
【0071】
S705において、画像合成部303は、位置検出部302により検出された光切断線の位置を垂直方向に配列して1次元配列データを生成する(S705)。
【0072】
次に、画像合成部303は、図5に示すように、1次元配列データを原画像データの右端401の1ラインに埋め込み、合成画像データを生成する(S706)。次に、通信部
304は、合成画像データを処理装置105に送信する(S707)。
【0073】
次に、計測終了の指示がユーザにより入力されると(S708でYES)、処理が終了される。一方、計測終了の指示がユーザにより入力されない場合(S708でNO)、処理がS701に戻され、撮像部103により次の1枚の原画像データが取得され、S702以降の処理が継続される。
【0074】
S711において、通信部311が1枚の原画像データを受信すると(S711でYES)、形状算出部312は、受信された原画像データに埋め込まれた1次元配列データから1ライン分の3次元形状データを算出し(S712)、保存部313に保存する(S713)。そして、処理がS711に戻される。
【0075】
一方、計測が終了され、通信部311が原画像データを受信することができなかった場合(S711でNO)、処理が終了される。ここで、通信部311は、1枚の原画像データを取得してから次の原画像データを取得するまでの期間が規定値を超えた場合、S711でNOと判定すればよい。
【0076】
(実施の形態2)
実施の形態2による形状計測装置10は、条鋼材Wに対して2本の光切断線を照射することを特徴とする。なお、本実施の形態において実施の形態1と同じものは説明を省略する。
【0077】
本実施の形態において、図2に示すように照射部101に加えて照射部102も条鋼材Wに光切断線を照射する。以下、照射部101が照射する光切断線をL1とし、照射部102が照射する光切断線をL2として説明する。撮像部103は、光切断線L1、L2を同時に撮像する。これにより、1枚の原画像データには、2本の光切断線L1、L2が含まれることになる。これを実現するために、照射部101及び照射部102の圧延方向の間隔は、撮像部103の画角内に2本の光切断線L1、L2が含まれる間隔に設定されている。
【0078】
図6は、本発明の実施の形態2において、撮像部103が撮像する原画像データの一例を示す模式図である。図6に示すように1枚の原画像データには2本の光切断線L1、L2が含まれている。
【0079】
本実施の形態では、位置検出部302は、各水平ラインにおいて光切断線の位置を2箇所検出する。具体的には、図6に示すように、原画像データ400は、水平方向の中心線430に対して2つの領域410、420に予め分けられている。領域410は光切断線L1に対応する領域であり、領域420は光切断線L2に対応する領域である。
【0080】
そして、領域410、420には、それぞれ、左上の頂点に原点が設定されている。また、領域410、420のそれぞれにおいて、条鋼材Wの形状が同じであれば、水平方向の同じ座標に光切断線L1、L2が表れるように、照射部101、102の間隔が設定されている。つまり、光切断線L1、L2が、形状を同じとする条鋼材Wの2箇所に照射されたとすると、光切断線L1と光切断線L2との水平方向の差分が0となるように、照射部101、102の間隔が設定されている。
【0081】
画像合成部303は、光切断線L1の位置を示す1次元配列データと光切断線L2の位置を示す1次元配列データとを生成する。ここで、画像合成部303は、領域410に表れる光切断線を光切断線L1、領域420に表れる光切断線を光切断線L2として、2つの1次元配列データを生成すればよい。
【0082】
そして、画像合成部303は、光切断線L1の1次元配列データを原画像データ400の左端402の1ラインに埋め込み、光切断線L2の1次元配列データを原画像データ400の右端401の1ラインに埋め込み、合成画像データを生成する。
【0083】
以降の処理は実施の形態1と同じであるため、説明を省略する。このように実施の形態2によれば、2本の光切断線のそれぞれに対応する1次元配列データが生成されて原画像データに埋め込まれる。そのため、2本の光切断線を使用した場合においても1次元配列データをリアルタイムで送信することができる。
【0084】
なお、上記説明では、2本の光切断線を照射するとしたが、本発明はこれに限定されず、3本以上の光切断線を照射してもよい。この場合、3本の光切断線のそれぞれに対応する1次元配列データを、原画像データにおいて光切断線が表れていない領域に埋め込めばよい。画像合成部303は、3つの1次元配列データを原画像データの例えば、左端、右端、及び、上端の1ラインに埋め込めばよい。こうすることで、原画像データに表れる光切断線の情報を消失させることなく、合成画像データを生成することができる。
【0085】
また、4本の光切断線を照射し、4つの1次元配列データが生成された場合は、これら4つの1次元配列データをそれぞれ原画像データの左端、右端、上端、下端に埋め込めばよい。また、5本以上の光切断線を照射した場合は、5本目の光切断線に対応する1次元配列データは1本目の1次元配列データが埋め込まれた1ラインに隣接する内側の1ラインに埋め込み、6本目の光切断線に対応する1次元配列データは2本目の1次元配列データが埋め込まれた1ラインに隣接する内側の1ラインに埋め込むというようにして、1次元配列データをサイクリックに原画像データに埋め込めばよい。
【0086】
(実施の形態3)
実施の形態3による形状計測装置10は、条鋼材Wの前後方向の振動が光切断線に与える影響を除去することを特徴とする。図2に示すように、条鋼材Wは前後方向に振動することがある。ここで、前後方向とは、光軸Z1と平行な方向である。
【0087】
本実施の形態では、実施の形態2と同様、2本の光切断線L1、L2を条鋼材Wに照射する。また、図6に示すように、位置検出部302は、実施の形態2と同様、領域410、420の各々の座標系で光切断線L1、L2の位置を検出する。
【0088】
条鋼材Wが前後方向に振動すると、光切断線L1、L2はそれぞれ同じ量だけ、水平方向に平行移動する。したがって、光切断線L1、L2の差分をとると、条鋼材Wの前後方向の振動が除去された値(基本的には0)が得られる。一方、光切断線L1が表す形状と光切断線L2が表す形状とが異なる場合、光切断線L1、L2の差分をとると、0以外の値が出力される。
【0089】
したがって、本実施の形態では、画像合成部303は、光切断線L1と光切断線L2との差分をとり、その差分結果を表す1次元配列データを生成し、原画像データに埋め込む。例えば、V=0、1、2、・・・における光切断線L1の位置がa1(0)、a1(1)、a1(2)、・・・で表され、V=0、1、2、・・・における光切断線L2の位置がa2(0)、a2(1)、a2(2)、・・・で表されたとする。この場合、画像合成部303は、例えば、Δa(0)=a1(0)−a2(0)、Δa(1)=a1(1)−a2(1)、Δa(2)=a1(2)−a2(2)、・・・からなるデータ群を求め、このデータ群を1次元配列データとして生成する。
【0090】
但し、Δa(0)、Δa(1)、Δa(2)、・・・からなるデータ群は、光切断線L1、L2の相対的な形状の情報しか含んでおらず、条鋼材W自身の形状を示す情報を含んでいない。そこで、画像合成部303は、a3(0)=a1(0)+Δa(0)、a1(1)+Δa(1)、a1(2)+Δa(2)、・・・からなるデータ群を1次元配列データとして生成してもよい。
【0091】
このように、光切断線L1、L2の差分をとることで、条鋼材Wの前後方向の振動の影響が除去された1次元配列データを生成することができる。よって、形状算出部312は、条鋼材Wが前後方向に振動したとしても、条鋼材Wの3次形状データを正確に求めることができる。
【0092】
(実施の形態4)
実施の形態4による形状計測装置10は、条鋼材Wの上下方向の振動の影響を除去することを特徴とする。図2に示すように、条鋼材Wは上下方向に振動することがある。ここで、上下方向とは圧延方向に対する条鋼材Wのロール方向の振動を表す。条鋼材Wが上下方向に振動すると、図7(A)に示すように光切断線L1が垂直方向にずれてしまう。そこで、この垂直方向のずれを除去するために、本実施の形態では、撮像部103としてカラーの撮像素子を備えるものを採用する。ここで、カラーの撮像素子としては、R,G,Bの色フィルタを備える画素が例えばベイヤー配列されたものを採用することができる。本実施の形態では、赤が第1色の一例であり、Gが第2色の一例に相当する。
【0093】
また、照射部101、102は、実施の形態1と同様、緑のレーザ光を照射する。また、条鋼材Wは圧延工程にあり、赤色で自発光しているものとする。なお、以下の説明では、照射部101のみが照射し、照射部102は消灯しているものとする。
【0094】
本実施の形態では、条鋼材Wの幅を検出するために原画像データの赤画像成分(第1色の画像成分)を用い、条鋼材Wの3次元形状データを算出するために原画像データの緑画像成分(第2色の画像成分)を用いる。
【0095】
図7(A)はカラーの原画像データ500の一例を示した図であり、(B)は原画像データ500に含まれる赤画像成分600を示した図であり、(C)は原画像データ500に含まれる緑画像成分700を示した図である。赤で自発光している条鋼材Wに緑色の光切断線を照射し、撮像部103で撮像すると、条鋼材Wを示す赤の領域501と背景の領域502とを含む原画像データ500が得られる。また、領域501には、緑色の光切断線L1が表れている。
【0096】
したがって、赤画像成分600には、条鋼材Wが存在していることを赤で示す帯状の領域501が含まれる。一方、緑画像成分700には緑の光切断線L1が含まれる。
【0097】
そのため、赤画像成分600からは条鋼材Wの幅を検出し、緑画像成分700からは条鋼材Wの3次元形状データを求めることができる。
【0098】
しかしながら、従来の形状計測装置では、原画像データ500が、そのまま、処理装置105に送信されていたため、条鋼材Wの幅の検出が処理装置105側で行われ、リアルタイム処理が困難であった。
【0099】
そこで、本実施の形態では、撮像ユニット104側で、条鋼材Wの幅の検出を行う。具体的には、位置検出部302は、赤画像成分600を構成する1水平ラインの原画像データが撮像部103から入力される都度、当該1水平ラインの輝度の代表値を算出する。また、位置検出部302は、緑画像成分700を構成する1水平ラインの原画像データが入力される都度、光切断線L1の位置を検出する。ここで、輝度の代表値としては、1水平ラインにおける輝度の積算値や平均値が採用される。
【0100】
ここで、位置検出部302は、V=iの1水平ラインの赤画像成分を取得する処理と、取得済みのV=i−1の1水平ラインの赤画像成分の輝度度の代表値を算出する処理とを並行して行う。
【0101】
同時に、位置検出部302は、V=iの1水平ラインの緑画像成分を取得する処理と、取得済みのV=i−1の1水平ラインの緑画像成分から光切断線L1の位置を検出する処理とを並行して行う。そのため、1枚の原画像データの取得が終了するのとほぼ同時に、輝度の代表値を算出する処理と、その原画像データの各水平ラインにおける光切断線L1の位置を検出する処理とを終了させることができる。
【0102】
画像合成部303は、各水平ラインにおいて算出された輝度の代表値を垂直方向に配列して赤の1次元配列データを生成し、図7(B)に示すように、赤画像成分600の右端601の1ラインに埋め込み、合成赤画像成分を生成する。
【0103】
また、画像合成部303は、各水平ラインにおいて算出された光切断線L1の位置を垂直方向に配列して緑の1次元配列データを生成し、図7(C)に示すように、緑画像成分700の右端701の1ラインに埋め込み、合成緑画像成分を生成する。
【0104】
通信部304は、合成赤画像成分、合成緑画像成分、及び青画像成分を含む原画像データを処理装置105に送信する。
【0105】
形状算出部312は、図7(B)に示すように、合成赤画像成分に含まれる赤の1次元配列データから条鋼材Wの端部602、602を検出し、端部602、602から条鋼材Wの幅方向(垂直方向)の中心位置603を求める。ここで、形状算出部312は、例えば、赤の1次元配列データに含まれる輝度の代表値を微分し、微分値が所定の閾値より大きい位置を端部602、602として求めればよい。
【0106】
そして、形状算出部312は、合成赤画像成分(原画像データ500)の垂直方向の中心線604と中心位置603との垂直方向の差分をオフセット605として求める。
【0107】
また、形状算出部312は、合成緑画像成分に含まれる緑の1次元配列データ、つまり、光切断線L1の位置を示すデータにオフセット605を加算し、光切断線L1の中心位置702が中心線604に位置するように緑の1次元配列データを垂直方向にずらす。
【0108】
そして、形状算出部312は、垂直方向にずらした緑の1次元配列データから三角測量の原理を用いて条鋼材Wの1ライン分の3次元形状データを算出する。
【0109】
このように、本実施の形態によれば、光切断線L1の中心位置702が緑画像成分(原画像データ500)の中心線604に位置するように、光切断線L1が補正されるため、条鋼材Wが上下方向に振動することによる影響が測定結果に表れることを防止することができる。
【0110】
また、撮像ユニット104は、1枚の原画像データの取得が終了するのとほぼ同時に、輝度の代表値を算出する処理と、その原画像データの各水平ラインにおける光切断線L1の位置を検出する処理とを終了させている。そのため、処理装置105は、条鋼材Wの上下方向の振動の影響が除去された3次元形状データをリアルタイムに算出することができる。
【0111】
なお、上記説明では、緑画像成分を用いて光切断線L1の位置を検出したが、本発明はこれに限定されず、青画像成分を用いて光切断線L1の位置を検出してもよい。この場合、画像合成部303は、青画像成分の右端の1ラインに光切断線L1の位置を示す1次元配列データを埋め込めばよい。
【0112】
なお、本実施の形態では、光切断線L1のみ用いたが、光切断線L2も用いて、実施の形態3と同様に上下方向の振動による影響を光切断線から除去してもよい。具体的には、画像合成部303は、緑画像成分に表れる光切断線L1と光切断線L2との差分を求め、その差分から実施の形態3の手法を用いて1次元配列データを生成し、緑画像成分の端部に埋め込めばよい。この変形例は、実施の形態5にも適用可能である。
【0113】
(実施の形態5)
実施の形態5は、実施の形態4において、条鋼材Wの上下方向の振動による影響を光切断線L1から除去する処理を撮像ユニット104側で行うことを特徴とする。本実施の形態において、赤画像成分600から各水平ラインの輝度の代表値と、緑画像成分700から光切断線L1の位置とを求めるまでの処理は実施の形態4と同じである。
【0114】
本実施の形態において、画像合成部303は、図7(B)に示すように、各水平ラインにおいて算出された輝度の代表値から条鋼材Wの端部602、602を検出し、端部602、602から条鋼材Wの幅方向(垂直方向)の中心位置603を求める。ここで、画像合成部303は、例えば各水平ラインの輝度の代表値を微分し、微分した値が所定の閾値より大きい位置を端部602、602として求めればよい。
【0115】
そして、画像合成部303は、原画像データ500の垂直方向の中心線604と中心位置603との垂直方向の差分をオフセット605として求める。
【0116】
また、画像合成部303は、図7(C)に示すように緑画像成分700から検出された光切断線L1の位置を示すデータにオフセット605を加算し、光切断線L1の中心位置702が中心線604に位置するように光切断線L1を垂直方向にずらす。
【0117】
そして、画像合成部303は、垂直方向にオフセット605分だけずらした光切断線L1から1次元配列データを生成し、緑画像成分700に埋め込み、赤、緑、及び青の画像成分からなる合成画像データを処理装置105に送信する。
【0118】
一方、形状算出部312は、この合成画像データに含まれる1次元配列データに含まれる光切断線L1の位置を示すデータから三角測量の原理を用いて条鋼材Wの1ライン分の3次元形状データを算出する。
【0119】
このように、本実施の形態では、光切断線L1の中心位置702を原画像データ500の中心線604に一致させる処理が撮像ユニット104側で行われている。そのため、処理装置105はより高速に条鋼材Wの3次元形状データを算出することができる。
【0120】
なお、上記説明では、緑画像成分700を用いて光切断線L1の位置を検出したが、本発明はこれに限定されず、青画像成分を用いて光切断線L1の位置を検出してもよい。
【0121】
(実施の形態6)
実施の形態6による形状計測装置10は、実施の形態4の形状計測装置10において、条鋼材Wに更に青(第3の色)の光を照射し、原画像データに含まれる青画像成分(第3色の画像成分)を用いて条鋼材Wに含まれる疵を検知することを特徴とする。
【0122】
図9は、本発明の実施の形態6による形状計測装置10の構成の一例を示した図である。照射部101、102は、圧延方向に並んで配置されている。図2では、照射部101、102は共に光切断線を照射したが、図9では、照射部101は青のスポット光を照射するものとし、照射部102は緑の光切断線を照射するものとする。ここで、青のスポット光の条鋼材Wにおける照射領域901は少なくとも条鋼材Wの幅方向のサイズよりも大きなサイズを持つ。
【0123】
撮像部103は、青のスポット光による照射領域901と緑の光切断線L1とを同時に撮像する。これにより、照射領域901の光像と光切断線L1の光像とが圧延方向に並んで撮像された1枚の画像データが得られる。これを実現するために、照射領域901と光切断線L1とが撮像部103の画角内に収まるように照射部101、102が配置されている。
【0124】
本実施の形態において、照射部101は、例えば、青のレーザ光を出力するレーザ光源と、レーザ光源から出力された青のレーザ光を照射領域901のサイズに広げて条鋼材Wに導く光学系で構成されている。但し、これは一例であり、レーザ光源に代えてLED等のレーザ光源以外の光源が照射部101の光源として採用されてもよい。照射部102の構成の詳細は図2に示す照射部102と同じである。照射部101、102は、光軸Z1が圧延方向と直行するように配置されている。
【0125】
また、照射部101は、光軸Z1と撮像部103の光軸Z2との挟み角がαとなるように配置されている。これにより、条鋼材Wには撮像部103の光軸Z2に対して交差する方向に青のスポット光が照射される。その結果、撮像部103は条鋼材Wに含まれる疵を精度よく撮像できる。
【0126】
図10(A)はカラーの原画像データ500の一例を示した図であり、(B)は原画像データ500に含まれる赤画像成分600を示した図であり、(C)は原画像データ500に含まれる緑画像成分700を示した図であり、(D)は原画像データ500に含まれる青画像成分800を示した図である。本実施の形態では、赤で自発光している条鋼材Wに緑色の光切断線に加えて、青のスポット光を照射している。そのため、原画像データ500には、条鋼材Wを示す赤の領域501と背景の領域502とを含む原画像データ500が得られる。また、領域501には、緑の光切断線L1に加えて青の疵を示す画素から構成される疵領域503が表れている。
【0127】
そこで、本実施の形態では、位置検出部302は、赤画像成分600を構成する1水平ラインの原画像データが撮像部103から入力される都度、当該1水平ラインの輝度の代表値を算出する。
【0128】
また、位置検出部302は、緑画像成分700を構成する1水平ラインの原画像データが入力される都度、光切断線L1の位置を検出する。
【0129】
更に、本実施の形態では、位置検出部302は、青画像成分800を構成する1水平ラインの原画像データが入力される都度、当該1水平ラインにおいて疵を示す画素を抽出し、抽出した画素の個数をカウントする。
【0130】
ここで、位置検出部302は、青画像成分800を構成する1水平ラインに含まれる各画素につき、輝度値が第1閾値以上且つ第2閾値(>第1閾値)以下の正常範囲内であるかを判定し、正常範囲内であれば、該当する画素は疵を示す画素と判定し、正常範囲外であれば、該当する画素は疵を示す画素ではないと判定する。ここで、第1閾値としては、疵以外を表す正常画素の輝度値として想定される下限値が採用され、第2閾値としては正常画素の輝度値として想定される上限値が採用される。
【0131】
例えば、図10(D)に示すV=iの1水平ライン800iにおいて、疵領域503内に位置する画素数が5個であったとすると、位置検出部302は、水平ライン800iにける疵を示す画素数を5とカウントする。
【0132】
ここで、位置検出部302は、V=iの1水平ラインの赤画像成分を取得する処理と、取得済みのV=i−1の1水平ラインの赤画像成分の輝度度の代表値を算出する処理とを並行して行う。
【0133】
同時に、位置検出部302は、V=iの1水平ラインの緑画像成分を取得する処理と、取得済みのV=i−1の1水平ラインの緑画像成分から光切断線L1の位置を検出する処理とを並行して行う。
【0134】
同時に、位置検出部302は、V=iの1水平ラインの青画像成分を取得する処理と、取得済みのV=i−1の1水平ラインの青画像成分から疵を示す画素をカウントする処理とを並行して行う。
【0135】
そのため、1枚の原画像データの取得が終了するのとほぼ同時に、輝度の代表値を算出する処理と、その原画像データの各水平ラインにおける光切断線L1の位置を検出する処理と、その原画像データの各水平ラインにおける疵を示す画素をカウントする処理とを終了させることができる。
【0136】
画像合成部303は、実施の形態4と同様、赤の1次元配列データを生成し、図10(B)に示すように、赤画像成分600の右端601の1ラインに埋め込み、合成赤画像成分を生成する。
【0137】
また、画像合成部303は、実施の形態4と同様、各水平ラインにおいて算出された光切断線L1の位置を垂直方向に配列して緑の1次元配列データを生成し、図10(C)に示すように、緑画像成分700の右端701の1ラインに埋め込み、合成緑画像成分を生成する。
【0138】
更に、本実施の形態では、画像合成部303は、各水平ラインにおいて算出された疵を示す画素のカウント値を垂直方向に配列して青の1次元配列データを生成し、図10(D)に示すように、青画像成分800の右端801の1ラインに埋め込み、合成青画像成分を生成する。
【0139】
通信部304は、合成赤画像成分、合成緑画像成分、及び合成青画像成分を含む原画像データを処理装置105に送信する。
【0140】
形状算出部312は、実施の形態4と同様、図10(B)に示す赤の1次元配列データから条鋼材Wの端部602、602を検出し、条鋼材Wの幅方向の中心位置603を求める。そして、形状算出部312は、合成赤画像成分の中心線604と中心位置603との垂直方向の差分をオフセット605として求める。
【0141】
また、形状算出部312は、実施の形態4と同様、合成緑画像成分に含まれる緑の1次元配列データにオフセット605を加算し、光切断線L1の中心位置702が中心線604に位置するように緑の1次元配列データを垂直方向にずらす。そして、形状算出部312は、垂直方向にずらされた緑の1次元配列データから1ライン分の3次元形状データを算出し、表示部314に表示させると共に保存部313に保存する。
【0142】
また、形状算出部312は、合成青画像成分に含まれる青の1次元配列データに含まれるカウント値から疵領域503の面積を算出する。ここで、形状算出部312は、青の1次元配列データにおいて、1以上のカウント値が連続して存在している箇所には1固まりの疵領域503が存在していると判定して、疵領域503別に面積を算出してもよい。或いは、形状算出部312は、1つの青の1次元配列データに含まれているカウント値の合計値を疵領域503の面積として算出してもよい。この場合、疵領域503が複数存在する場合であっても、疵領域503を区別することなく、1枚の合成青画像成分に対して1つの疵領域503の面積が求められる。そして、形状算出部312は、疵領域503の面積を表示部314に表示させると共に保存部313に保存する。これにより、処理装置105が1枚の原画像データを取得する都度、疵領域503の面積が表示部314に表示され、ユーザは条鋼材Wに含まれる疵がどの程度の面積であるかをリアルタイムに認識できる。
【0143】
ここで、形状算出部312は、疵領域503の面積が規定値よりも大きい場合、表示部314にアラームを表示する等して、条鋼材Wに大きな疵が含まれていることをオペレータに報知してもよい。これにより、オペレータは条鋼材Wの製造を直ちに中止し、大量の不良品が製造されることを未然に防止できる。
【0144】
なお、本実施の形態では、条鋼材Wに表れる疵については位置まで知る必要はなく、条鋼材Wにどの程度の疵が含まれているかが分かれば充分である。そのため、青の1次元配列データに含まれるカウント値の合計値を疵領域503の面積として算出している。
【0145】
このように、実施の形態6では、条鋼材Wに青色の光を照射しているため、原画像データに含まれる青画像成分から条鋼材Wに含まれる疵の大きさを検出できる。
【0146】
なお、実施の形態6では、条鋼材Wに照射するスポット光として青を採用したが、これは一例であり、緑を採用してもよい。この場合、条鋼材Wに対して青の光切断線を照射すればよい。
【0147】
また、実施の形態6において、条鋼材Wに照射するスポット光として青、条鋼材Wに照射する光切断線として緑を採用したが、これは一例であり、自発光している条鋼材Wの色である赤系の色とは異なる色であればどのような色が採用されてもよい。この場合、撮像部103としては、赤に加えて、条鋼材Wに照射したスポット光の色と条鋼材Wに照射した光切断線の色に感度を持つものが採用されればよい。
【符号の説明】
【0148】
101、102 照射部
103 撮像部
104 撮像ユニット
105 処理装置
301 撮像制御部
302 位置検出部
303 画像合成部
304 通信部
311 通信部
312 形状算出部
313 保存部
314 表示部
図1
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