特許第5956463号(P5956463)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5956463身体組織から電子生理学的データを分析しマッピングするシステム、電子生理学的データを分析するシステムの作動方法及び心臓組織から測定されるデータを分析するカテーテルシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5956463
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】身体組織から電子生理学的データを分析しマッピングするシステム、電子生理学的データを分析するシステムの作動方法及び心臓組織から測定されるデータを分析するカテーテルシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0402 20060101AFI20160714BHJP
   A61B 5/0492 20060101ALI20160714BHJP
   A61B 5/0478 20060101ALI20160714BHJP
   A61B 5/0408 20060101ALI20160714BHJP
   A61B 5/044 20060101ALI20160714BHJP
   A61B 90/00 20160101ALI20160714BHJP
   A61B 17/00 20060101ALI20160714BHJP
【FI】
   A61B5/04 310M
   A61B5/04 300J
   A61B5/04 314G
   A61B90/00
   A61B17/00
【請求項の数】21
【全頁数】48
(21)【出願番号】特願2013-547540(P2013-547540)
(86)(22)【出願日】2011年12月20日
(65)【公表番号】特表2014-506171(P2014-506171A)
(43)【公表日】2014年3月13日
(86)【国際出願番号】US2011066100
(87)【国際公開番号】WO2012092016
(87)【国際公開日】20120705
【審査請求日】2013年7月16日
(31)【優先権主張番号】61/428,549
(32)【優先日】2010年12月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506257180
【氏名又は名称】セント・ジュード・メディカル・エイトリアル・フィブリレーション・ディヴィジョン・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アフォンソ バルティノ エックス.
(72)【発明者】
【氏名】シー ジャジェン
(72)【発明者】
【氏名】キム スティーブン ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】デノ ディー. カーティス
(72)【発明者】
【氏名】モーガン デニス ジェー.
【審査官】 樋熊 政一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−061789(JP,A)
【文献】 特表2009−539566(JP,A)
【文献】 特表2009−509571(JP,A)
【文献】 特表2010−528683(JP,A)
【文献】 特表2008−515493(JP,A)
【文献】 特表平11−506647(JP,A)
【文献】 特表2009−537249(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/058372(WO,A1)
【文献】 特表平11−511666(JP,A)
【文献】 特表平08−505547(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/016886(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/04−5/053
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体組織から電子生理学的(EP)データを分析しマッピングするシステムであって、前記EPデータは、前記身体組織の近傍に位置決め可能な医療装置の遠位端部に沿って配置された複数のセンサにより測定され、前記システムが、
電子制御ユニット(ECU)を備え、前記ECUユニットが、
前記複数のセンサから前記EPデータを取得すること、
前記複数のセンサからセンサの位置を特定すること、
前記複数のセンサからの前記EPデータに基づいて、前記複数のセンサのそれぞれを直近の脱分極波が通過したときからの経過時間量を含むメトリックを計算すること、及び
前記センサの前記位置に基づくとともに、前記メトリック及び前記EPデータに基づいてマップを生成すること、及び
前記ECUが、整合フィルタを前記EPデータ及び前記メトリックの値のうちの1つ又は複数に適用して、前記組織上の前記脱分極波に関連付けられる前面のパターンであって前記組織を横切る電気ベクトル群であるパターンを識別するように構成される、
身体組織から電子生理学的(EP)データを分析しマッピングするシステム。
【請求項2】
前記複数のセンサが、既知の空間構成で配置され、前記ECUが、前記既知の空間構成を使用して、前記メトリックを計算するようにさらに構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数のセンサがEPデータを同時に測定する、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ECUが、
前記身体の前記組織を表す解剖学的モデルを生成すること、及び
前記マップを前記解剖学的モデルに関連付けて、表示装置に表示すること、
を行うようにさらに構成される、請求項1〜3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記ECUが前記既知の空間構成、前記EPデータ及び前記EPデータに対応するタイミングデータを使用して、前記組織上の前記脱分極波に関連付けられる前記前面のパターンを識別し、
前記タイミングデータは、前記EPデータが収集されるときを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記メトリックを計算することが、前記センサに関連付けられた値を生成し、前記値が、前記センサが直前の脱分極を検出したときから経過した時間量を示す、請求項1〜5のいずれかに記載。
【請求項7】
前記メトリックを計算することが、前記センサが脱分極に関連付けられた値を生成し、前記値が、前記センサが脱分極を検出した時間量を表す、請求項1〜5のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
前記メトリックが、複数のセンサのセットのうちの少なくとも1つが脱分極を検出する時間量の和を示す、請求項1〜7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
前記マップが前記識別された前記脱分極波に関連付けられる前記前面のパターンに基づき、前記マップが、次に連続する心拍で更新される、請求項5に記載のシステム。
【請求項10】
前記ECUが、前記メトリックに基づく微分メトリックを計算するように構成され、前記微分メトリックが、前記脱分極波が第1のセンサから第2のセンサに移動する時間に関する前記第1のセンサと前記第2のセンサとの間の伝導速度の微分値を含む、請求項1〜9のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
前記ECUが、少なくとも2つのメトリックからの値を正規化し、前記少なくとも2つのメトリックを加重し、前記少なくとも2つのメトリックの前記値を結合して、複合メトリックを形成するようにさらに構成される、請求項1〜10のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
前記ECUが、前記複数のセンサにより測定される電圧振幅及び伝導速度のうちの1つ又は複数を表す三次元画像を生成するようにさらに構成される、請求項1〜11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
電子生理学的(EP)データを分析するシステムの作動方法であって、
前記システムが医療装置の遠位端部に配置された複数のセンサからEPデータを取得するステップと、
前記システムが医療装置の遠位端部に配置された複数のセンサから取得したEPデータを前記複数のセンサから電子制御ユニット(ECU)に送信するステップと、
前記システムが前記複数のセンサからセンサの位置を特定するステップと、
前記システムが前記EPデータ及び前記センサの前記位置のうちの1つ又は複数に基づいて、前記複数のセンサの各1つにおける直近の活性化から経過した時間量を含むメトリックを計算するステップと、
前記システムが前記センサの前記位置に基づくとともに、前記メトリック及び前記EPデータのうちの1つ又は複数に基づいてマップを生成するステップと、を備え、
前記システムが整合フィルタを前記EPデータ及び前記メトリックの値のうちの1つ又は複数に適用して、脱分極波に関連付けられる前面のパターンであって、前記前面は前記組織を横切る電気ベクトル群であるパターンを識別するステップと、
を含む電子生理学的(EP)データを分析するシステムの作動方法。
【請求項14】
前記EPデータが測定される身体組織を表す解剖学的モデルを生成すること、及び
前記マップを前記解剖学的モデルに関連付けて、表示装置に表示すること、
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記メトリックに基づいて微分メトリックを計算することをさらに含み、前記微分メトリックが、前記脱分極波が第1のセンサから第2のセンサに移動する時間に関する前記第1のセンサと前記第2のセンサとの間の伝導速度の微分値を含む、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記センサの活性化時間と包囲状の前記複数のセンサのうちの1つの活性化時間とを比較するステップと、
包囲状の前記複数のセンサから、前記センサの活性化時間に最も近い活性化時間を備える一つのセンサを選択するステップと、
前記センサと前記センサの活性化時間に最も近い活性化時間を備える選択された包囲状の前記一つのセンサとの間に形成される経路を特定するステップと、
特定された経路に基づいて前記脱分極波に関連付けられる前記前面のパターンを表示するステップと、
をさらに含む、請求項13〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記EPデータ及び前記センサの前記位置のうちの1つ又は複数に基づいて第2のメトリックを計算するステップと、
前記身体組織に対応する関心部位を識別するステップであって、前記関心部位を前記第2のメトリックの値に対する前記メトリックの値の変化に基づいて識別する、識別するステップと、
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
心臓組織から測定されるデータを分析するカテーテルシステムであって、
心臓組織の近傍に位置決め可能な遠位端部を有するカテーテルと、
前記カテーテルの前記遠位端部に配置される複数の電極であって、前記心臓組織からの電子生理学的(EP)データを測定する、複数の電極と、
電子制御ユニット(ECU)と、
を備え、前記ECUが、
前記複数の電極のうちの電極から前記EPデータを取得すること、
前記電極の位置を特定すること、
前記電極からの前記EPデータに基づいてメトリックを計算すること、及び
前記電極からの前記位置に基づくとともに、前記メトリック及び前記EPデータのうちの1つ又は複数に基づいてマップを生成すること、
を行うように構成され、
前記メトリックは、前記電極から取得されるEPデータに基づく絶対活性化時間メトリック及び割合細分化指標メトリックを含み、前記絶対活性化時間は、前記複数の電極の各1つにおいて直近の活性化から経過した時間量であり、前記割合細分化指標メトリックは、単一のサイトにおける単一の電極によって得られる電位図が1つの時間枠中において脱分極に費やした相対時間量である、カテーテルシステム。
【請求項19】
前記複数の電極のうちの少なくとも3つが、リング電極、前記リング電極から離間されたスポット電極、及び心臓アブレーションを実行する先端電極を備え、前記リング電極及び前記スポット電極を既知の空間構成に構成することにより、前記ECUが前記先端電極の位置を特定することができる、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記ECUが、前記マップの部分を少なくとも部分的に透明にし、関係する心臓組織から離れたセンサにより測定されるデータから生成される前記マップの部分ほど、前記関係する心臓組織の近くのセンサにより測定されるデータから生成される前記マップの部分よりも透明に見える、請求項18又は19に記載のシステム。
【請求項21】
前記ECUにより計算される前記メトリックが、前記電極からの前記EPデータに基づくとともに、心臓生体構造メトリックに基づく、請求項18〜20のいずれかに記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2010年12月30日に出願されたNo.61/428,529である米国仮出願に基づき利益を主張するものであり、その全内容が参照によりここに記載されたように組み込まれる。
【0002】
発明の背景
a.発明の分野
本開示は、例えば、診断、治療、及び/又はアブレーション処置のためにカテーテル等の医療装置を利用するシステムに関する。より詳細には、本開示は、空間電子生理学的パターンの測定、分類、分析、及びマッピングを行うとともに、不整脈治療をガイドするシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
b.背景技術
人間の心筋は、心腔を含む多くの心臓表面及び心室を横切る電流を定期的に経験する。心臓の各収縮直前に、心筋は、電流が心臓及び身体全体を通して拡散する際、「脱分極」し「再分極」すると言える。健康な心臓では、心臓の表面及び心室は、脱分極波の整然な進行を経験する。例えば、異所性心房頻脈、心房細動、及び心房粗動を含む心房不整脈を経験しているような不健康な心臓では、脱分極波の進行はそのような整然としたものではないおそれがある。不整脈は、瘢痕組織又は高速で均一な脱分極の他の障害物により永続するおそれがある。これらの障害物により、脱分極波は心臓のある部分の周囲の回路を繰り返すおそれがある。心房不整脈は、不規則な心拍、同期房室収縮の消失、及び血流停止を含め、様々な危険な状態を生み出し、これらはすべて、様々な病気を引き起こし、死さえも生じさせるおそれがある。
【0004】
例えば、電子生理学的(EP)カテーテル等の医療装置は、様々な診断及び/又は治療医療処置において使用され、そのような心臓の不整脈を修正する。通常、処置では、カテーテルは患者の血管系を通して、例えば、患者の心臓まで操作され、マッピング、アブレーション、診断、及び/又は他の機能の実行に使用し得る1つ又は複数の電極を担持する。意図される箇所にくると、治療としては、無線周波(RF)アブレーション、冷凍アブレーション、レーザ、化学物質、高強度集束超音波等を挙げることができる。アブレーションカテーテルは、そのようなアブレーションエネルギーを心臓組織に与えて、心臓組織に損傷を作り出す。この損傷は望ましくない電気経路を妨げ、それにより、不整脈を生じさせる漂遊電気信号を制限又は回避する。容易に理解されるように、そのような治療では、操作中、治療箇所への、治療箇所からの、且つ治療箇所でのカテーテルの精密な制御が要求され、それは必然的に、ユーザの熟練レベルに応じ得る。
【0005】
しかし、アブレーション処置前又はアブレーション処置中、ユーザは、これらの望ましくない電気経路及び不整脈の「突発的発生」(ブレイクアウト)領域を測定して診断しなければならない。これらの領域の識別補助に使用される電位図は、電極を心臓組織の表面に直接、又はその近傍に配置することにより得られることが多い、電位の経時変化の任意の記録である。電位図を得るために、従来の技法は、電位変化を記録するポイント毎の方法を含む。次に、これらの電位変化を解剖学的構造の対応するモデルにマッピングし得る。換言すれば、これらの方法では、1つ又は複数のカテーテルを関心部位の周囲でナビゲートし、スポット毎に電位図及び空間位置特定データを収集し、次に、収集されたデータをそれに従ってマッピングすることにより、心電図マップを作成することができる。
【0006】
脱分極波が、カテーテルからの信号において検出され、局所活性化時間(LAT)及びピークツーピーク(PP)電圧マップ等のマップが作成される。労力を必要とし、且つ時間がかかることに加えて、これらの方法は、マッピングされた電位図が1回のみの脱分極によるものであると想定する。その結果、コンプレックス不整脈では一般に生じる追加の脱分極が表現されない。さらに、データ取得の順次性により、次に、関心のある各電位図を固定基準参照と時間的に位置合わせしなければならない。
【0007】
したがって、従来の技法及び結果として生成されるマップに欠点がないわけではない。さらなる例として、作成されることが多い1つのマップは、CFE(コンプレックス細分化心房電位図)マップである。1種のCFEマップは、1〜8秒期間にわたる平均周期長又は活性化間隔を記録する。この種のCFEマップの主な制限は、特異性の欠如である。任意の所与の電位図はCFE電位を示すが、コンプレックス細分化活動の基本原因は明らかではない。そして、コンプレックス細分化活動の存在は、影に潜んだ伝導の異方性を示唆し、この種のCFEマップは、基本的な前面伝播パターンに関連する直接的な情報をもたらさない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明者等はここで、多くの電位図を同時に取得する改良されたシステム及び方法並びに従来のシステムでの欠陥のうちの1つ又は複数を最小化し、且つ/又はなくす、ユーザが電子生理学的パターンを閲覧し、様々な不整脈の基本原因を特定することができる空間マップをユーザに提供することができるシステムの必要性を認識した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
電子生理学(EP)データに基づいて心臓不整脈の発生源を識別することが、特に、診断、治療、及び適応処置を患者に対して実行するシステムにとって望ましい。EPデータは、例えば、洞律動、心房粗動、及び心房細動等の固有調律からのものであり得る。EPデータは、例えば、ペーシング及び誘発性不整脈等の相互作用からのものであり得る。本開示は、空間的及び時間的EPパターンの測定、分類、分析、及びマッピングを行うシステム及び方法を提供する。収集されたEPデータの分析に基づいて、開示されるシステム及び方法は、不整脈発生源候補を強調表示することにより不整脈治療をガイドもする。
【0010】
一実施形態では、開示されるシステムは、医療装置の遠位端部に沿って配置された複数のセンサを使用することにより、患者の身体組織からデータを測定することができる。上述したように、測定し得るデータの例示的な1タイプは、EPデータである。さらに、医療装置は、患者の身体組織の近傍、組織に沿って、当接して、又は内部に位置決め可能であり得る。システムと併用し得るセンサの一例は、電極である。高密度のセンサを医療装置の遠位端部に沿って配置して、組織領域から時間に関して電圧(すなわち、電位図)を同時に測定し得る。センサは互いの近傍に位置決めし得、センサは時間期間にわたってデータを記録し得るため、開示されるシステムは、かなり多数の比較的空間及び時間分析を実行することができる。
【0011】
本システムは、複数のセンサにより測定されるデータを収集して分析する電子制御ユニット(ECU)を備えることもできる。ECUは、それ自体がいくつかの下位構成要素を備え得、システムの一部として多くの機能を実行することができる。例えば、ECUは、組織に沿って位置決めされた複数のセンサから測定データを取得し得る。電場又は磁場に基づくインピーダンス技法を使用して、ECUは、各センサの三次元位置座標を特定することもできる。さらに、ECUは、医療装置が組織近傍に位置決めされる前、複数のセンサの空間配置を「知り」得る。代替では、ECUは、各三次元位置座標間の距離を計算することにより、センサの空間配置を特定し得る。したがって、ECUは、センサの位置及び空間配置、各センサの電圧、並びにそれらの電圧が測定された時間を知り得る。この入力データに基づいて、ECUは、様々なメトリック、微分メトリック、及び複合メトリックを計算し得る。計算メトリックのいくつかの例は、限定ではなく、絶対活性化時間(AAT)、割合細分化指標(PFI:percentage fractionation index)、連続空間指標(CSI:continuous spatial index)、伝導速度、脱分極振幅の空間勾配、一貫性メトリック、及び活性化方向を含み得る。さらに、ECUは、これらの計算メトリックの結果に基づいて組織内の関心部位を強調表示することもできる。自動又は半自動(コンピュータ支援)インテリジェント計算アルゴリズムを使用するとともに、信号処理方法(例えば、ヒルベルト変換)を使用して、開示されるシステム及び方法を適用して、複数のセンサにわたる波形パターン(例えば、ローター、集束心拍(focus beat)、平坦、分散)を特徴付けることができる。
【0012】
一実施形態では、システムを動作させて、データを分析する方法を以下において説明し得る。医療装置の遠位端部に位置決めされた複数のセンサのうちの少なくとも1つは、患者の身体組織からデータを測定する。次に、測定データは、複数のセンサのうちの少なくとも1つからECUに送信し得る。システム、又はいくつかの実施形態では、ECUは、次に、複数のセンサの位置又は少なくとも1つのセンサの位置を特定し得る。システムは、1つ又は複数のセンサの位置に基づいて少なくとも1つのメトリックを計算することもできる。概して、メトリックは、例示であって限定するものではないが、EPデータ等のデータの数量である。センサの位置及び計算メトリック又は測定データのいずれかに基づいて、システムは次に、表示するマップを生成し得る。これら及び他のメトリック、微分、及びそれらの組み合わせを計算した後、システムは、これらのメトリックの空間マップを生成し得る。いくつかの実施形態では、これらのマップを組織を表す幾何学解剖学的モデルに重ね得る。これらの空間マップは、連続する各心拍で、ユーザの裁量で、又は連続して更新されるように構成し得る。
【0013】
開示されるシステム及び方法の別の態様は、EPデータ又はメトリック値の空間分布に基づいて脱分極前面パターンを識別することを含む。そうするために、ECUは、例示的な一実施形態では、様々な整合空間フィルタを編纂されたEPデータ値に適用するように構成し得る。
【0014】
開示されるシステム及び方法のさらに別の態様は、電位図電圧ベクトル又は伝導速度ベクトルのいずれかを表す三次元視覚的エイドを作成することを含む。この種の三次元表示は、幾何学解剖学的モデルに重ねてもよく、又は同様にグラフィカル形式で表示してもよい。
【0015】
一般に、空間EPパターンの測定、分類、分析、及びマッピングを行い、不整脈治療をガイドする開示されるシステム及び方法は、かつてない程、より空間的に有意である。本システム及び方法は、より単純な診断情報を医師に提供する。さらに、本明細書に記載のメトリック及びマップは単なる例示である。本開示の上記及び他の態様、特徴、詳細、有用性、及び利点は、以下の説明及び特許請求の範囲を読み、添付図面を見ることから明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本教示による診断及び治療医療処置のうちの少なくとも一方を実行するシステムの概略線図である。
図2図2は、空間構成に配置された医療装置の例示的な実施形態の遠位端部の等角図である。
図3図3は、バスケット構成に配置された医療装置の別の例示的な実施形態の遠位端部の等角図である。
図4a-4b】図4a及び4bは、行列様構成に配置された医療装置の例示的な実施形態の遠位端部の等角図及び側面図のそれぞれである。
図5図5は、医療装置が無線周波(RF)アブレーションカテーテルである医療装置の例示的な実施形態の遠位端部の上面図である。
図6図6は、図1に示されるシステムの視覚化・ナビゲーション・マッピングサブシステムの例示的な実施形態の概略線図である。
図7図7は、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)が表示された図1に示されるシステムの表示装置の例示的な実施形態の表現である。
図8a図8aは、螺旋構成に配置された遠位端部を有する医療装置に搭載されたセンサの位置決め座標の概略表現である。
図8b】8bは、螺旋構成に配置された遠位端部を有する医療装置に搭載されたセンサに対応する未処理位置決めデータの概略表現であり、未処理位置決めデータは、医療装置のセンサの歪んだ螺旋配置を示す1つ又は複数の不正確性を含む。
図8c図8cは、図8bに示される未処理位置決め座標に対応する補正位置決め座標の概略表現である。
図8d図8dは、図8cに示される補正位置決め座標に対応する高密度グリッドの概略表現である。
図9図9は、図1に示されるシステムの表示装置に表示し得るグラフィック形態の絶対活性化時間(AAT)メトリックを示す電位図及び動的マップの例示的な表現である。
図10a図10aは、図1に示されるシステムの表示装置に表示し得る、測定すべき組織に近づきつつある医療装置の遠位端部の表現を示す電位図及びマップの例示的な表現である。
図10b図10bは、関連付けられた幾何学解剖学モデルに対する、心臓の方向及び速度を示す伝導速度メトリックを示す電位図及びマップの例示的な表現である。
図11図11は、センサの構成、組織から取得されるEPデータ、センサを示す電位図を示す例示的なグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の部分である。
図12図12は、システムが、測定された組織上の脱分極前面を識別するために使用する例示的な前面パターンのいくつかのカテゴリを示す表である。
図13図13は、3つの異なる方向で測定されたミリボルト(mV)単位の電圧を表す例示的な三次元グラフである。
図14a図14aは、電子生理学的データを測定中の医療装置の遠位端部が、身体から組織に近づく際、電子制御ユニット(ECU)により表示されるデータの増分を示す電位図及びマップの例示的な表現である。
図14b図14bは、電子生理学的データを測定中の医療装置の遠位端部が、身体から組織に近づく際、電子制御ユニット(ECU)により表示されるデータの増分を示す電位図及びマップの例示的な表現である。
図14c図14cは、電子生理学的データを測定中の医療装置の遠位端部が、身体から組織に近づく際、電子制御ユニット(ECU)により表示されるデータの増分を示す電位図及びマップの例示的な表現である。
図14d図14dは、電子生理学的データを測定中の医療装置の遠位端部が、身体から組織に近づく際、電子制御ユニット(ECU)により表示されるデータの増分を示す電位図及びマップの例示的な表現である。
図15図15は、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)が表示された、図1に示されるシステムの表示装置の別の例示的な表現である。
図16図16は、方向及び大きさの重要性が表示された、ベクトルの場を表示する表面マップの例示的な表現である。
図17図17は、システムが空間的電子生理学的パターンの測定、分析、及びマッピングを行い得る方法の一実施形態を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明の詳細な説明
同様の参照番号が様々な図の同一の構成要素を識別するために使用される図面をこれより参照すると、図1は、身体14の組織12上で、又は組織12に対して1つ又は複数の診断及び/又は治療機能を実行するシステム10の例示的な一実施形態を示す。例示的な実施形態では、組織12は、人の身体14内の心臓及び心臓組織を含む。しかし、システム10が、人間及び非人間の身体内の様々な他の組織に関連して適用し得、したがって、本開示が、心臓組織及び/又は人の身体のみに関連してシステム10の使用を限定する意図がないことを理解されたい。
【0018】
システム10は、医療装置16と、身体内構造の視覚化、ナビゲーション、及び/又はマッピングのためのサブシステム18(以下、「視覚化・ナビゲーション・マッピングサブシステム18」又は「サブシステム18」と呼ぶ)とを含み得る。
【0019】
図1の例示的な実施形態では、医療装置16は、例えば、電子生理学的カテーテル等のカテーテルを含む。他の例示的な実施形態では、医療装置16は、限定ではなく例として、シース又はカテーテル導入器等のカテーテル以外の形態をとってもよく、又は電子生理学的カテーテル以外のカテーテルであってもよい。明確にし説明することだけを目的として、以下の説明は、医療装置16がカテーテル(カテーテル16)を含むシステム10の実施形態に限定される。
【0020】
カテーテル16は、組織12等の身体内組織の検査、診断、及び/又は処置を行うために提供される。カテーテル16は、ケーブルコネクタ又は境界面20と、ハンドル22と、近位端部26及び遠位端部28を有するシャフト24(本明細書で使用する場合、「近位」はハンドル22の近傍のカテーテル16の端部に向かう方向を指し、「遠位」はハンドル22から離れる方向を指す)と、限定ではなく例として、複数の電極30(すなわち、30、30、・・・、30)等の、シャフト24の遠位端部28又はその近傍においてカテーテル16のシャフト24内又はシャフト24上に搭載される1つ又は複数のセンサと、を含み得る。
【0021】
例示的な実施形態では、各電極30は、組織12に対応する電子生理学的(EP)データを取得するとともに、そのデータの三次元(3D)位置を示す信号(以下、「位置決めデータ」と呼ぶ)を生成するように構成される。別の例示的な実施形態では、カテーテル16は、電極30と、1つ又は複数の位置決めセンサ(例えば、電極30以外の電極又は磁気センサ(例えば、コイル))との組み合わせを含み得る。そのような一実施形態では、電極30は、組織12に関連するEPデータを取得するように構成され、その一方で、位置決めセンサは、位置決めセンサの3D位置を示す位置決めデータを生成するように構成され、位置決めデータは、後述するように、各電極30の3D位置の特定に使用し得る。他の実施形態では、カテーテル16は、他の従来の構成要素、限定ではなく例として、操縦ワイヤ及びアクチュエータ、灌注ルーメン、灌注口、圧力センサ、接触センサ、温度センサ、追加の電極及び対応する導体又はリード、並びに/或いはアブレーション要素(例えば、アブレーション電極、高強度集束超音波アブレーション要素等)等をさらに含み得る。
【0022】
コネクタ20は、機械的及び電気的接続を1つ又は複数のケーブル32に提供し、ケーブル32は、例えば、視覚化・ナビゲーション・マッピングサブシステム18から、カテーテル16に搭載された1つ又は複数の電極30又は位置決めセンサに延びる。他の実施形態では、コネクタ20は、機械的、電気的、及び/又は流体的接続をケーブルに提供することもでき、ケーブルは、システム10内の他の構成要素、例えば、アブレーションシステム及び流体源(カテーテル16が灌注カテーテルを含む場合)等から延びる。コネクタ20は、当該技術分野において従来通りであり、カテーテル16の近位端部26に配置される。
【0023】
ハンドル22は、ユーザがカテーテル16を保持する位置を提供し、身体14内でシャフト24を操縦又は案内する手段をさらに提供し得る。例えば、ハンドル22は、カテーテル16を通ってシャフト24の遠位端部28まで延び、シャフト24を操縦する1つ又は複数の操縦ワイヤを操作する手段を含み得る。ハンドル22も当該技術分野において従来通りであり、ハンドル22の構造が様々であり得ることが理解されるだろう。他の実施形態では、カテーテル16の制御は、ロボット制御で駆動若しくは制御さることにより、又は磁気に基づく誘導システムにより駆動され制御されることによるように、自動化し得る。したがって、手動又は自動的に制御されるカテーテルは両方とも、本開示の趣旨及び範囲内にある。
【0024】
シャフト24は、身体14内を移動するように構成された細長く管状の可撓性を有する部材である。シャフト24は、限定ではなく例として、電極30、他の電極、又はシャフト24に搭載された位置決めセンサ、関連付けられた導体、及び恐らくは、信号処理又は調整に使用される追加の電子回路を支持する。シャフト24は、流体(灌注流体、極低温アブレーション流体、及び体液)、薬剤、及び/又は外科器具若しくは外科機器の輸送、送達、及び/又は除去を行えるようにもする。シャフト24は、ポリウレタン等の従来の材料から作り得、電気導体、流体、又は外科器具を収容し、且つ/又は輸送するように構成された1つ又は複数のルーメンを画定する。シャフト24は、従来の導入器を通して血管又は身体14内の他の構造に導入し得る。次に、当該技術分野で周知の手段を使用して、シャフト24を、身体14を通して組織12等の所望の位置に操縦又は案内し得る。
【0025】
シャフト24の遠位端部28は、EPデータ及び位置決めデータを取得する電極30又は他のセンサを含むカテーテル16の主要部分であり得る。上述したように、一実施形態では、電極30は、EPデータ及び位置決めデータの両方を取得するように構成し得る。別の実施形態では、さらに詳細に後述するように、電極30は、EPデータを取得するように構成し得、その一方で、1つ又は複数の位置決めセンサは、位置決めデータを取得するように構成し得、次に、位置決めデータを使用して、電極30の各位置を特定し得る。位置決めデータが電極30により取得されるか、それとも位置決めセンサにより取得されるかに関係なく、遠位端部28は、組織12からのEPデータの効率的な取得、測定、収集等に役立ついくつかの構成で配置し得る。
【0026】
一実施形態では、図2に示されるように、遠位端部28は螺旋構成に配置し得る。この実施形態では、螺旋構成は概して平坦であり得、組織12からのEPデータの単極又は双極測定を行うために高密度の電極30を含み得る。単極測定は一般に、各電極で受信される電圧を表し得る。しかし、双極測定は一般に、任意の電極対間の電位を表し得る。そして、当業者には認識されるように、双極測定は単極測定から計算し得る。さらに、電極30は、電極30の間隔が既知のように、既知の螺旋構成で遠位端部28内又は遠位端部28に沿って配置し得る。ループ52等のループの直径は、実施形態毎に異なり得る。例示的な一実施形態では、最外ループの直径は20mmである。代替の実施形態では、螺旋構成は複数の螺旋ループを含み得る。
【0027】
高密度の電極30を螺旋構成又は任意のカテーテル16の遠位端部28に配置することには多くの利点がある。電極30の分布が高密度であり、電極30の可能な単極及び双極の比較が多いため、螺旋構成は、組織12での電気的活動を表す高精細(HD)表面マップの作成に理想的であり得る。
【0028】
別の実施形態では、図3に示されるように、遠位端部28はバスケット構成に配置し得る。バスケット構成又は概して円筒形アレイの電極30を有する同様の構成は、高密度の電極30を含み得る。一実施形態では、電極30は、一般にEPデータを測定するために組織12に接触する必要がない非接触型電極であり得る。別の実施形態では、電極30は接触型電極及び非接触型電極の両方を含み得る。
【0029】
そのような非接触型電極は、単極分析に使用し得る。単極電位図の形態は、衝突前面(当該技術分野で既知のQRS群内の「R」波の存在)、短半径リエントリー前面(正弦波形の存在)、及びソース前面(脱分極開始時の電位図の「QS」形態)に関してより多くの情報を提供し得るため、単極EPデータの分析に有利であり得る。一般に、脱分極前面は、身体14の組織12を横切る電気ベクトル群である。より詳細に後述するように、脱分極前面のパターン、サイズ、振幅、速度等は変化し得る。そして、脱分極前面によっては、比較的整然としたものもあれば、比較的又は全体的に無秩序であるものもある。
【0030】
しかし、別の実施形態では、双極EPデータがよりよい空間位置特定データ、よりよい脱分極波方向指標、及びよりよい交流(AC)電気雑音除去を提供し得る。双極EPデータを用いる場合、一対の電極30(一般に「極」又は「双極子」と呼ばれる)を離間し得るが、身体14の他の離れた部分で生じる電場に対して一緒に比較的近くに位置決めし得る。したがって、電極30が互いの近傍に位置決めされ、離れた電場から同様の影響を受けるため、離れた電場からの影響を無効化し得る。
【0031】
図4a及び図4bに示される遠位端部28のさらに別の実施形態では、高密度の電極30を有する行列様構成を提供してもよい。図4aは、行列様構成の等角図を示し、その一方で、図4bは側面図を示す。行列様構成は、並べて配置された、いくつかのスプライン72を有してもよく、各スプライン72は少なくとも1つの電極30を搭載する。スプラインが長いほど、多数の電極30を含み得、行列様構成全体を通して一貫した電極密度を維持する。
【0032】
図4a及び図4bに示される実施形態では、まるで図4aに見られるようなわずかなスクープを有するかのように、行列様構成をカップ形にし得る。別の実施形態(図示せず)では、行列様構成はいかなるスクープ様特徴も有さず、ほぼ平ら又は平坦であり得る。両実施形態が組織12からのデータ測定に役立ち得るが、図4aに示される行列様構成が特に、少なくともいくつかの非接触型測定の取得に使用され得る。行列様構成の別の可能な用途は、不整脈の診断及び心膜腔での心外膜の直接アブレーションに役立つことである。
【0033】
一実施形態では、行列様構成は、遠位端部28の他の構成と共に、挿入、操作、又は身体14から除去するために、流線形の外形に畳むことができる。追加又は代替では、データを収集していない場合、又は処置を実行していない場合、遠位端部28を少なくとも部分的にシャフト24内に隠して、シャフト24内で移送し得る。シャフト24は、遠位端部28よりも流線形の度合いを高め得、それにより、遠位端部28を組織12に運ぶとともに、組織12から離れるように運ぶためのよりよい輸送媒体を提供し得る。意図される箇所にくると、遠位端部28をシャフト24から展開して、意図される処置を実行し得る。同様に、処置が実行された後、遠位端部28を少なくとも部分的にシャフト24内に再び隠して、身体14から取り出し得る。
【0034】
行列様構成を流線形外形に畳むことが可能な、又は完全若しくは部分的に展開することが可能な例示的な一方法は、最も内側のスプライン72をシャフト24に遠位端部28のポイント74において係留しながら、外側スプライン72をシャフト24内で穏やかに並進移動させることである。さらに、機能を高めるために、ジョイント76をポイント74の近傍に組み込み、柔軟性を提供するか、又は遠位端部28を選択的に偏向させ得、それにより、遠位端部28を組織12によりよく届けられるようにする。
【0035】
高密度電極カテーテルの別の例示的な実施形態を図5に示す。この実施形態では、遠位端部28は、アブレーション先端80を備え、無線周波(RF)アブレーション処置の増強によく適し得る。より詳細には、この装置により、高速位置決めフィードバックの提供が可能であり得、アブレーション処置が実行されている間、HD表面マップに更新を行えるようにもし得る。
【0036】
引き続き図5を参照すると、後述するように、視覚化・ナビゲーション・マッピングサブシステム18が電場に基づくシステムである例示的な実施形態では、遠位端部28は、一連のスポット又はボタン電極30の近傍であるが、それでも離間されて位置決めされる近位リング電極30を含み得る。近位リング電極30及びスポット電極30は、EPデータ及び位置決めデータの両方の取得に使用し得る。遠位リング電極30を、スポット電極30からさらに遠位に離間してシャフト24内又はシャフト24上に配置し得、それにより、EPデータの双極測定をスポット電極30と遠位リング電極30との間で行うことができる。最後に、遠位端部28は、限定ではなく例として、RFアブレーション治療等のアブレーション治療を実行するアブレーション電極82をさらに含む。
【0037】
視覚化・ナビゲーション・マッピングサブシステム18は、さらに詳細に後述するように、図6に示される電極30の位置と同様に、近位リング電極30(又はその幾何学的中心)、スポット電極30、及び遠位リング電極30(又はその幾何学的中心)の位置を特定し得る。これらの位置及び/又は遠位端部28の既知の構成(例えば、様々な電極の間隔)に基づいて、アブレーション電極82の位置を特定することもでき、特定の実施形態では、幾何学解剖学的モデルに投影し得る。
【0038】
例えば、図5に示されるように、少なくとも3つの非共直線電極を組み込むことにより、遠位端部28を中心とした回転情報(「向き」と呼ばれる)を計算し得る。したがって、自由度6(位置に3及び向きに3)を、カテーテル16のアブレーション先端80に対して特定し得る。遠位端部28の位置及び向きを知ることにより、カテーテル自体に対して座標系を位置合わせするのとは対照的に、座標を身体座標系にはるかに簡単に位置合わせすることができる。
【0039】
視覚化・ナビゲーション・マッピングサブシステム18が磁場に基づくシステムを備える別の実施形態では、遠位端部28は少なくとも1つの磁場センサ−例えば、磁気コイル(図示せず)を含み得る。2つ以上の磁場センサがアブレーション電極82の近傍に配置される場合、様々な位置及び向きから位置合わせ変換を解くことにより直交座標を特定する必要なく、全部で自由度6の磁気的且つ空間的座標の位置合わせを達成することができる。そのような構成のさらなる利点は、自立式であり得るため、高度なずれ検出及び動的場スケーリングの導出を含み得る。
【0040】
図5に示される遠位端部28のさらに別の実施形態では、遠位リング電極30を省くことができ、スポット電極30を遠位リング電極30の位置に配置し得る。その結果スポット電極30はアブレーション電極82により近くなり、アブレーション電極82のより近傍の位置決め座標を提供する。そしてこれは、アブレーション電極82の位置のより正確で精密な計算を提供し得る。さらに、まるで遠位リング電極30が所定の場所にまだあるかのように、スポット電極30及び近位リング電極30からの平均信号をやはり使用して、双極EPデータを得ることができる。
【0041】
図1及び図6を参照して、視覚化・ナビゲーション・マッピングサブシステム18についてこれより説明する。視覚化・ナビゲーション・マッピングサブシステム18は、身体内構造及び/又は医療装置の視覚化、ナビゲーション、及び/又はマッピングのために提供される。例示的な実施形態では、サブシステム18は、2つの主な方法でシステム10の機能に貢献し得る。第1に、サブシステム18は、システム10に、組織12の少なくとも一部を表す幾何学解剖学的モデルを提供し得る。第2に、サブシステム18は、システム10の一部として実行される分析のためにEPデータを測定する際、電極30(又は一般にセンサ)の位置座標(x,y,z)を特定し得る手段を提供し得る。特定の実施形態では、電極30に対して固定された位置決めセンサ(例えば、電場又は磁場に基づく)を使用して、位置座標を特定する。位置決めセンサは、サブシステム18に、電極30の位置座標を特定するのに十分な位置決めデータを提供する。他の実施形態では、位置座標は、例えば、電極30により測定される電圧を使用することにより、電極30それ自体から特定し得る。
【0042】
視覚化・ナビゲーション・マッピングサブシステム18は、例えば、St.Jude Medical.,Inc.から市販されており、開示が参照により本明細書に援用される「Method and Apparatus for Catheter Navigation and Location and Mapping in the Heart」という名称の米国特許第7,263,397号明細書を参照して一般に示されるENSITE NAVX(商標)システム又はNAVX(商標)ソフトウェアのバージョンを実行するENSITE VELOCITY(商標)システム等の電場に基づくシステムを利用し得る。
【0043】
他の例示的な実施形態では、サブシステム18は、電場に基づくシステム以外のシステムを利用し得る。例えば、サブシステム18は、Biosense Websterから市販されており、「Intrabody Measurement」という名称の米国特許第6,498,944号明細書、「Medical Diagnosis,Treatment and Imaging Systems」という名称の同第6,788,967号明細書、及び「System and Method for Determining the Location and Orientation of an Invasive Medical Instrument」という名称の同第6,690,963号明細書のうちの1つ又は複数を参照して一般に示されるようなCARTO(商標)システム等の磁場に基づくシステムを備え得、これらの開示を参照により本明細書に援用する。
【0044】
さらに別の例示的な実施形態では、サブシステム18は、MediGuide Ltd.から市販されており、「Medical Positioning System」という名称の米国特許第6,233,476号明細書、「System for Determining the Position and Orientation of a Catheter」という名称の同第7,197,354号明細書、及び「Medical Imaging and Navigation System」という名称の同第7,386,339号明細書のうちの1つ又は複数を参照して一般に示されるGMPSシステム等の磁場に基づくシステムを含み得、これらの開示を参照により本明細書に援用する。
【0045】
さらなる例示的な実施形態では、サブシステム18は、限定ではなく例として、これもまたBiosense Websterから市販されており、「Hybrid Magnetic−Based and Impedance Based Position Sensing」という名称の米国特許第7,536,218号明細書を参照して一般に示されるCARTO 3(商標)システム等の電場及び磁場の組み合わせに基づくシステムを利用し得、この開示を参照により本明細書に援用する。さらに他の例示的な実施形態では、サブシステム18は、限定ではなく例として、蛍光透視、コンピュータ断層撮影(CT)、及び磁気共鳴撮像(MRI)に基づくシステム等の他の市販のシステムを備え得、又は併せて使用し得る。
【0046】
上述したように、サブシステム18が電場に基づくシステムを備える例示的な実施形態では、カテーテル16は、EPデータを取得するとともに、カテーテルの位置及び/又は向き情報(位置決めデータ)を示す信号を生成するように構成された複数の電極30を含む。サブシステム18は、電極30の位置を示す位置決めデータがEPデータの合間に測定されるように、限定ではなく例として、時分割多重化又は他の同様の技法を使用し得る。したがって、電極30の位置特定に使用される電場をEPデータの測定の合間に活性化させ得、電極30は、EPデータ及びサブシステム18からの電場の両方を、異なる時間にではあるが測定するように構成し得る。
【0047】
しかし、電極30が位置決めデータを生成するように構成されないことがある他の例示的な実施形態では、カテーテル16は、電極30に加えて1つ又は複数の位置決めセンサを含み得る。そのような一実施形態では、カテーテル16は、位置決め電極の3D位置又は場所を示す信号を生成するように構成された1つ又は複数の位置決め電極を含み得る。位置決め電極の位置を、カテーテル16の既知の構成(例えば、位置決め電極と電極30との既知の間隔)と共に使用して、各電極30の位置又は場所を特定することができる。
【0048】
或いは、別の例示的な実施形態では、電場に基づくシステムを備えるのではなく、サブシステム18は磁場に基づくシステムを備える。そのような実施形態では、カテーテル16は、低強度磁場の1つ又は複数の特徴を検出するように構成された1つ又は複数の磁気センサ(例えば、コイル)を含み得る。検出された特徴を使用して、例えば、磁気センサの3D位置又は場所を特定し得、次に、この3D位置又は場所をカテーテル16の既知の構成と共に使用して、各電極30の位置又は場所を特定し得る。
【0049】
明確にし説明することだけを目的として、サブシステム18について、例えば、上述したENSITE NAVX(商標)又はVELOCITY(商標)システム等の電場に基づくシステムを備えるものとして以下において説明する。さらに、以下の説明は、電極30がEPデータを取得するとともに、位置決めデータを生成するように構成されるシステム10の実施形態に限定される。しかし、上記に鑑みて、本開示が、サブシステム18が電場に基づくシステムを備えるか、又は電極30が二重目的又は機能を果たす実施形態に限定されることを意味しないことが理解されるだろう。したがって、サブシステム18が電場に基づくシステム以外であり、カテーテル16が、電極30に加えて位置決めセンサを含む実施形態も、本開示の趣旨及び範囲内に留まる。
【0050】
図1及び図6を参照すると、例示的な実施形態では、サブシステム18は、電子制御ユニット(ECU)100及び表示装置102を含み得る。或いは、ECU100及び表示装置102のうちの一方又は両方はサブシステム18とは別個で区別できるが、サブシステム18に電気的に接続されるか、又はサブシステム18と通信するように構成し得る。サブシステム18はなおさらに、構成要素の中でも特に、複数のパッチ電極104を含み得る。「腹部パッチ」と呼ばれるパッチ電極104を除き、パッチ電極104は、例えば、カテーテル16の位置及び向きの特定並びにカテーテル16の案内に使用される電気信号を生成するために提供される。カテーテル16は、有線又は無線接続を用いてECU100又はサブシステム18に結合し得る。無線接続は、例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi−Fi、又は他の任意の無線通信プロトコルを含み得、有線接続よりも高い柔軟性を有し得る。
【0051】
一実施形態では、パッチ電極104は、身体14の表面に直交して配置され、身体14内に軸固有電場を生成するために使用される。例えば、パッチ電極104X1、104X2を第1の(x)軸に沿って配置し得る。パッチ電極104Y1、104Y2を第2の(y)軸に沿って配置し得、パッチ電極104Z1、104Z2を第3の(z)軸に沿って配置し得る。これらのパッチは一対又は双極子として動作し得る。追加又は代替として、パッチは、軸外で対になってもよく、又は一続きで対になってもよく、例えば、104X1は104Y1と対になり、次に104Y2、104Z1、104Z2と対になる。さらに、複数のパッチを、例えば、患者下の1つの軸上に配置し得る。各パッチ電極104は、多重化スイッチ106に結合し得る。例示的な実施形態では、ECU100は、適切なソフトウェアを通して、制御信号をスイッチ106に提供し、それにより、電極104の対を信号生成器108に順次結合するように構成される。電極104の各対の励起は、身体14内且つ組織12等の関心部位に電場を生成する。腹部パッチ104を基準とした非励起電極104の電圧レベルがフィルタリングされて変換され、基準値として使用するためにECU100に提供される。
【0052】
電極30がECU100に電気的に結合された状態で、電極30は、パッチ電極104が励起した場合に身体14内(例えば、心臓内)に生成される電場内に配置される。電極30は、パッチ電極104間の各位置と、組織12に対する電極30の各位置とに依存する電圧を受ける。電極30とパッチ電極104との間で行われる電圧測定比較を使用して、組織12に対する各電極30の位置を特定することができる。したがって、ECU100は、各電極30の位置座標(x,y,z)を特定するように構成される。さらに、組織12に近づくか、又は離れる電極30の移動(例えば、心腔内)が、組織12の幾何学的形状に関する情報を生成する。
【0053】
組織12の幾何学的形状に関する情報を使用して、例えば、解剖学的構造のモデル及び/又はマップを生成し得(さらに詳細に後述するように)、モデル及び/又はマップは、例えば、表示装置102等の表示装置に表示し得る。電極30から受信する情報を使用して、電極30の位置及び向き並びに/或いは組織12に対するカテーテル16の先端を表示装置102に表示することもできる。したがって、特に、ECU100は、表示装置102の表示信号を生成するとともに、表示装置102上にグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を作成する手段を提供し得る。本開示においてGUI又は表示装置102に表示されている物体と言及されるいくつかの場合、これは実際には、これらの物体の表現がGUI又は表示装置102に表示されていることを意味し得ることに留意されたい。
【0054】
例示的な実施形態では、ECU100は、上述される機能及び後述される機能のうちのいくつか又はすべてを実行するように構成されるが、別の例示的な実施形態では、ECU100がサブシステム18とは別個であり区別でき、サブシステム18が、本明細書に記載される機能のいくつか又はすべてを実行するように構成された別のECUを有してもよいことにも留意されたい。そのような実施形態では、そのECUは、ECU100に電気的に結合することができ、且つECU100と通信するように構成することができる。しかし、明確にし説明することだけを目的として、以下の説明は、ECU100がサブシステム18とシステム10とで共有され、本明細書に記載の機能を実行するように構成される実施形態に限定される。さらに、「ユニット」と呼ぶにもかかわらず、ECU100は、本明細書に記載される例示的な機能を達成するいくつかの、又は相当数の構成要素(例えば、複数のユニット、複数のコンピュータ等)を含み得る。いくつかの実施形態では、本開示は、異なる位置にある構成要素を含むものとしてECU100を考える。
【0055】
ECU100は、例えば、プログラマブルマイクロプロセッサ若しくはマイクロコントローラを含み得、又は特定用途向け集積回路(ASIC)を備え得る。ECU100は中央演算処理装置(CPU)及び入/出力(I/O)インタフェースを含み得、I/Oインタフェースを通して、ECU100は、例えば、パッチ電極104及び位置決めセンサ30により生成される信号を含む複数の入力信号を受信し得る。ECU100は、例えば、表示装置102及びスイッチ106の制御に使用される信号を含む複数の出力信号を生成することもできる。ECU100は、適切なプログラミング命令又はコードを用いて、上述される機能及びさらに詳細に後述される機能等の様々な機能を実行するように構成し得る。したがって、一実施形態では、ECU100には、本明細書に記載される機能を実行するコンピュータ可読記憶媒体110に符号化された1つ又は複数のコンピュータプログラムがプログラムされる。
【0056】
上記に加えて、ECU100は、スイッチ106を含むがこれに限定されないシステム10の様々な構成要素を制御する手段をさらに提供し得る。動作に際して、ECU100は、制御スイッチ106への信号を生成し、それにより、パッチ電極104を選択的に励起させる。ECU100は、電圧レベルの変化を反映する位置決めデータをカテーテル16から受信するとともに、非励起パッチ電極104から位置決めデータを受信する。ECU100は、パッチ電極104及び電極30により生成された未処理位置決めデータを使用し、既知又は後に開発される技法を使用して、呼吸、心臓活動、及び他のアーチファクトを説明するようにデータを補正する。次に、ECU100が、電極30のそれぞれに対応する位置座標(例えば、(x,y,z))を含む補正データを、限定ではなく例として、解剖学的構造の幾何学解剖学的モデルの作成又はECU100により生成若しくは取得された組織12のマップ、モデル、若しくは画像に重ね得るカテーテル16の表現の作成等のいくつかの方法で使用し得る。
【0057】
ECU100は、図7に示されるように、組織12の幾何学解剖学的モデル120を構築して、表示装置102に表示するように構成し得る。ECU100は、GUI122を生成するようにも構成し得、GUI122を通して、ユーザは、特に、幾何学解剖学的モデル120を閲覧し得る。ECU100は、電極30若しくは遠位端部28の他のセンサから、又は別のカテーテルから取得される位置決めデータを使用して、幾何学解剖学的モデル120を構築し得る。一実施形態では、データポイントの集まりの形態の位置決めデータは、カテーテル16の遠位端部28を組織12の表面に沿って掃引することにより、組織12の表面から取得し得る。データポイントのこの集まりから、ECU100は幾何学解剖学的モデル120を構築し得る。幾何学解剖学的モデル120を構築する一方法は、「Multiple Shell Construction to Emulate Chamber Contraction with a Mapping System」という名称の米国特許出願第12/347,216号明細書に記載されており、この出願を参照により本明細書に援用する。さらに、解剖学的モデル120は、3Dモデル又は二次元(2D)モデルを含み得る。さらに詳細に後述するように、特に、幾何学解剖学的モデル120と共に、例えば、EPデータ、カテーテル16及び/又は電極30の画像、EPデータに基づくメトリック値、HD表面マップ、並びにHD複合表面マップ等の様々な情報を表示装置102及び表示装置102に表示されるGUI122に表示し得る。
【0058】
ECU100により生成されるデータ及び画像を表示するために、表示装置102は、当該技術分野で周知の1つ又は複数の従来のコンピュータモニタ他の表示装置を備え得る。表示装置102が、エイリアシングを回避するハードウェアを使用することが望ましい。エイリアシングを回避するために、表示装置102がリフレッシュされるレートは少なくとも、ECU100が、例えば、HD表面マップ等の様々な視覚的エイドを連続して計算可能な周波数と同じ速度であるべきである。
【0059】
図7に示されるように、例示的な実施形態では、ECU100は、ワールドビュー上部胴体124を表示装置102に生成し得る。ワールドビュー上部胴体124は、完全に回転可能であり得、心臓が表示、アクセス、又は操作されている視点−ひいては遠位端部28が配置されている場所を閲覧者に通知又は思い出させるように機能し得る。例えば、ワールドビュー上部胴体124は、閲覧者が、ワールドビュー上部胴体124の胸部126が示されているか、それとも後部が示されているかに基づいて、左心室から右心室を識別するのに役立ち得る。他に、同様のアイコンを同じ目的で使用し得る。
【0060】
上述したように、カテーテル16の遠位端部28に配置された複数の電極30は、EPデータを取得するように構成される。各電極30により収集されるデータは同時に収集し得る。一実施形態では、EPデータは少なくとも1つの電位図を含み得る。電位図は、ある時間期間にわたってある位置(例えば、組織12に沿ったポイント)で測定される電圧を示す。高密度の電極30を遠位端部28に配置することにより、ECU100は、同じ時間期間中に組織12内の隣接位置から測定される電位図セットを取得し得る。遠位端部28上の隣接する電極30の位置は、集合的に「領域」と呼び得る。
【0061】
ECU100は、電位図が測定された時間、電位図が測定された位置、及び電極30の間隔を取得することもできる。タイミングデータに関して、ECU100は、タイミングデータを追跡し、保持し、又は測定される各電極30の電圧に関連付け得る。さらに、電圧を測定する際の各電極30の3D位置座標を、例えば、上述したように、視覚化・ナビゲーション・マッピングサブシステム18により特定し得る。ECU100は、特に、電極30がEPデータを測定している場合、電極30の位置座標を連続して取得するように構成し得る。ECU100は各遠位端部28の構成の電極30の空間分布(例えば、行列様、螺旋、バスケット等)を知り得るため、ECU100は、電極30の位置座標から、遠位端部28のどの構成が患者内で展開されているかを認識し得る。さらに、電極30は既知の螺旋構成で精密且つ戦略的に配置し得るため、ECU100は電極30の間隔を知り得る。したがって、遠位端部28が変形しない場合、サブシステム18からの座標位置を取得して、電極30の間隔を解く必要なく、様々な分析に電極30の既知の間隔を使用し得る。
【0062】
ECU100は、既知の電極30の空間構成に加えて、各電極30に対応する電圧、タイミング、及び位置データを有した状態で、後述するように、多くの比較的な時間及び空間分析を実行し得る。これらの分析のうちのいくつかは、組織12からの活性化パターンを表すHD表面マップの作成に繋がり、これは部分的に、シャフト24の遠位端部28での高密度の電極30により可能である。高密度の電極を遠位端部28に提供することにより、システム10により生成されるHD表面マップの正確性及び分解能が向上する。
【0063】
さらに、高密度の電極30を有する遠位端部28の特に有利な一態様は、ECU100による双極比較に適したEPデータを測定するロバスト性である。双極比較は、所与の時点での2つの離間された極(すなわち、電極30)間の電圧差を示す。しかし、すべての双極構成が、組織12を横切るすべての脱分極波を捕捉するわけではない。例えば、遠位端部28にわたって離間される一対の電極30に平行する脱分極波が、その対の電極30に同時に近づいて通過する場合、その対の電極30の双極比較は、平行脱分極波により電圧にいかなる差も示さない。しかし、高密度の電極を用いる場合、一対の電極30(すなわち、2つの極又は双極構成の双極子)に平行する波は、遠位端部28上の電極30の他の対(すなわち、2つの極又は双極構成の双極子)に必ずしも平行するわけではない。したがって、遠位端部28は、高密度の電極30がより広範囲の前面パターンを捕捉するため、双極EPデータを比較するよりロバストな方法を提供する。
【0064】
一実施形態では、双極比較を遠位端部28の電極30の対から行い得、対は、角度的に互いから離間される。遠位端部28に角度的に離間された電極対を有することにより、遠位端部28の向きに関わりなく、前面方向の特定を容易に提供する。センサの空間分布を使用して、最適な双極電位図を計算し得るため、前面方向及び他の特定が可能である。例えば、各センサを近傍のすべてのセンサと対にし得、次に、ECU100は、最も負の双極電位図を適応的に選択し得る。近傍は、静的にカテーテルモデルに基づいて、又は動的にENSITE NAVX(商標)インピーダンスを用いて画定し得る。最適な双極電位図は、定義による従来の双極電位図を含み、したがって、最適な双極電位図がさらに診断情報さえも提供し得る。事前定義された関数(最負、最正)を受ける最適な双極EPデータは、電場の変化の影響をより受けやすいことがある。したがって、この向上したEP信号は、さらによい心臓活性化検出に役立ち得る。
【0065】
高密度の電極30を遠位端部28に有することの別の利点は、集中した不整脈及び/又はそれに関連する症状、副次的影響、又は兆候が検出される可能性がより高いことである。例えば、他の脱分極前面パターンと比較した場合に比較的小さい短半径エントリー脱分極前面パターンは、従来のカテーテル又は比較的間隔が離れて離間された複数の電極を有するカテーテルであっても気付けいないことがある。他方、最小脱分極前面パターンの大きささえも考慮に入れることにより、遠位端部28における電極30は空間的に分布して、最小脱分極前面パターンでさえも測定し得る。
【0066】
高密度の電極30により測定されるEPデータの捕捉又は収集に関して、一実施形態では、ECU100は、データをリアルタイム又は準リアルタイムで連続して記録し分析するようにプログラムし得る。別の実施形態では、ユーザは、ユーザ入力装置を通して、ECU100が電極30から測定されるデータを捕捉し得る時間窓(例えば、200ms、20秒等)を指定し得る。ユーザ入力装置は、限定ではなく例として、マウス、キーボード、及び/又はタッチスクリーン等を含み得る。一実施形態では、電極30が組織12に沿って電圧を連続して測定し得、ECU100が、電極30からのそのような電圧を選択的に捕捉又は記録し得ることに留意されたい。さらに別の実施形態では、電極30は、ECU100からのサンプリングレート又はコマンドに従って電圧を測定する。シャフト24の遠位端部28が、所望のように組織12の近傍又は組織12に沿って位置決めされると、ユーザは、時間窓のトリガを促すことができる。ユーザは、例えば、特定の心臓信号又はタイマ切れに対応するように、時間窓のトリガを構成し得る。説明のために、トリガは、不整脈の突発的発生及び消失の前、その間、及びその後にECU100が電極30からのデータを記録するように設定することができる。特定の心臓信号の直前に発生するデータを捕捉する可能な一方法は、データ(後に取得し得る)をある時間量にわたって記憶するデータバッファを使用することである。
【0067】
上述したように、ECU100は、特定の心臓信号を認識して、時間窓をトリガするように構成し得る。そのために、電極30は、組織12の近傍に位置決めされている場合、EPデータを連続して測定し得る。これは、ユーザが時間窓のトリガを促していない場合であっても当てはまり得る。例えば、ECU100は、組織12の近傍で予期される電圧範囲内の連続測定に基づいて、遠位端部28が身体14内部の組織12の近傍にあることを認識し得る。又はECU100は、例えば、ECU100が電源「投入」される場合、電極30からの電圧を連続して監視するように構成し得る。いずれの場合であっても、ECU100は、EPデータを連続して取得し、EPデータのパターン及び特徴を連続して評価し得る。例えば、ECU100は、整合フィルタを、特定の所定の電極30(例えば、互いに隣接する電極30)から記録された電位図に連続して適用するようにプログラムし得る。
【0068】
特定の不整脈に関連付けられていることが分かっている波形パターンの存在を検出するには、整合フィルタを使用して、いくつかのこれらの既知の波形パターンを、電極30により取得された電位図の波形と比較し得る。例えば、以前の経験に基づいて、特定の不整脈に関連付けられたピークツーピーク(PP)電圧が既知であり得る。ユーザがシステム10にデータの記録を促す前であっても、ECU100は、特定の不整脈のPP電圧を電極30からの電位図と比較し得る。ユーザがシステム10に促すと、ECU100は、ECU100が次に既知の波形パターンを「見る」場合、指定された時間窓にわたって電極30からのEPデータを記憶し得る。
【0069】
例示的な一例では、EPデータが取得される際、又はEPデータが取得された後、取得された未処理データの特徴の等化、フィルタリング、又は一般に強調を行うアナログ又はデジタル信号処理及び調整機器一式を使用し得る。場合によっては、システム10が、後述するように、様々な勾配メトリックを計算することが望ましいことがある。しかし、勾配はそれ自体に雑音が多く、密にサンプリングされたクリーンなデータを必要とする。遠位端部28に配置される高密度の電極30が、勾配の取得に役立つが、多くの場合、未処理データ信号を精製する必要がある。
【0070】
データ信号を等化することにより、特にデータ信号の特定の位相において、続く信号処理ステップはよりロバストになり得る。例えば、そのような一等化は、信頼性の高い大きな振幅の信号が、組織12のいくつかの部分の周囲で回路を繰り返す反復性リエントリー不整脈から発せられる場合に適切であり得る。例えば、不整脈が突発的に発生する場合、関心のある時間間隔は、突発的発生の直前の間隔であり得る。したがって、その特定の時間間隔に対して経験的又は適応的調整を行い得る。さらなる例として、不整脈消失の場合、関心のある時間間隔は、消失の直後に続く間隔であり得る。同様に、同様の調整を行い得る。
【0071】
電位図中の弱活性化データを増幅する必要もあり得る。一実施形態では、電位図信号の利得を時間と共に変更して、弱信号を強調し得る。別の実施形態では、電位図信号の調整を時間と共に変更して、増大するか、それとも低減するかにかかわらず、振幅の高速変化の強調に役立て得る。そうすることにより、信号強度を均質化し得、活性化のタイミングがより確実に特定される。一実施形態では、これは、乗算器のような演算を適用することにより達成し得る。さらに、信号が状態可変フィルタを使用して信号が増大又は縮小する可能性が最も高い場合、追加のハイパスフィルタリングを適用し得る。
【0072】
システム10及び/又はECU100が生成する出力をさらに向上させるために、ユーザ、システム10、及び/又はサブシステム18は、幾何学解剖学的モデル120により表される組織12の特定の位置を特徴付け得る。解剖学的モデル120が、視覚化・ナビゲーション・マッピングサブシステム18により作成又は取得されると、通常、不整脈を助長しやすいか、又は過去において助長すると識別されている特定の位置(以下、「関心部位」)にフラグを付し得る。組織12の関心部位の特徴付けは、必ずしも自動化する必要はないが、システム10又はサブシステム18は、通常、特定の導電性特徴に関連付けられた組織12のいくつかの構造的特徴を認識し得る。
【0073】
熟練レベルに応じて、ユーザは、機能特徴(例えば、導電性)に影響することが分かっている特定の解剖学的特徴を有する特定の位置を認識し、ユーザ入力装置を使用して印を付け得る。例えば、ユーザは、伝導を制限することが分かっている位置、低脱分極振幅を助長することが分かっている位置、特定の伝導路を示すことが分かっている位置、又は低伝導速度を助長することが分かっている位置を識別し得る。これらの位置は、例えば、特定の壁厚、解剖学的束、平滑性、筋肉の多さ、及び開口部等の特定の解剖学的特徴を有し得る。説明のために、ユーザは、静脈と付属器官とが一緒になって心壁の共通部分を形成する突起部又は接合部に印を付け得る。そのような位置及び/又は解剖学的特徴を識別するために、例えば、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴撮像(MRI)、及び超音波等の画像診断法を使用することもできる。
【0074】
この情報が提供される場合、システム10は、この情報を一歩先に有利に利用し得る。例えば、ECU100は、この情報に基づいて心臓生体構造メトリックを生成し得、次に、これらの位置で通常を超える量のEPデータを取得するようにユーザに後に促し得る。ECU100は、これらの潜在的な関心部位から取得されるEPデータから、例えば、一貫性メトリック等の様々なメトリックを計算する場合にも、これらの心臓生体構造メトリックを考慮し得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、組織12の特徴、EPデータ、位置決めデータ、及び/又は他の形態の入力が収集された後、HD表面モデルを構築して、幾何学解剖学的モデル120に位置合わせし得る。図8aに示されるような電極30の既知の空間構成は、未処理測定データの任意の不正確性を補正するためのモデル140として使用し得る。図8aに示される例では、電極30、ひいてはカテーテル16の遠位端部28は、螺旋構成に配置されていることが分かっている。しかし、図8bは、未処理測定データからサブシステム18により計算された位置座標を示す。したがって、遠位端部28が、図8bにおける歪んだ位置決め座標で表されるように変形しないことが分かっているため、未処理測定データの不正確性が存在する可能性が高い。
【0076】
ECU100は、相関アルゴリズムを適用して、図8aに示されるモデル140からの既知の座標及び/又は図8bに示される測定位置座標に基づいて、相関付けられた位置座標を取得し得る。相関アルゴリズムの一例は、最小二乗近似アルゴリズムであり、これは、図8cに表されるように、データ142の補正済み3Dアフィン変換セットを生成し得る。電極30を用いて測定されたEPデータ値は、補正済み位置座標に相関付けることもできる。次に、図8dは、ECU100がアフィン変換データセット142を以下に補間して、HDグリッド144を取得し得るかを示す。ECU100は、アフィン変換データセット142の補正済み位置座標及び各補正済み位置座標に関連付けられたEPデータ値の両方を補間し得る。補間されると、HDグリッド144はより精製されたデータポイントセットを提供し、このセットは、メトリック値を計算する際、並びに表面マップ及び複合マップを表示する際に使用される。
【0077】
近似プロセスからのデータは、EPデータから計算されるセンサ位置を検証する追加の情報を提供する。データが事前定義された許容値を超える場合、測定された座標は信頼できないものとして見なされ、したがって、補正座標は続くデータ分析に使用すべきではない。近似アルゴリズムは、カテーテルの遠位端部が機械的変形を有するか否かを検出するためにも使用することができる。例えば、螺旋構成の内部ループ及び外部ループは、2D平面に沿って位置合わせするように設計し得る。内部ループ上のセンサの分布は、近似アルゴリズムを使用して外部ループ上のセンサの分布と位置合わせし得る。内部ループにより制限される2D平面の法線が、外部ループの相手方と大きく異なる場合、カテーテルは変形し得る。
【0078】
ECU100は、表示装置102で閲覧可能なHD表面マップを作成する際、HDグリッド144を使用し得る。さらに高密度のデータポイントを用いる場合、さらに高分解能のHD表面マップが可能である。HDグリッド144又はHD表面マップのいずれかで補間されるデータポイントは、「頂点」と呼び得る。
【0079】
HD表面マップ作成の一態様は、ECU100が補正され補間された位置座標を使用することを含む。別の態様は、ECU100が、補間された位置座標に関連付けられた補間されたEPデータ値を使用することを含む。ECU100は、HDグリッド144からの頂点を使用して、HDグリッド144を幾何学解剖学的モデル120上の既知の形状及びポイントに関連付け得る。関連付けは、限定ではなく例として、位置合わせ、近似、一致、又は他の様式での重ね合わせを含み得る。HDグリッド144が幾何学解剖学的モデル120に関連付けられ、様々なEPデータ又は結果として生成されるその計算メトリック値は、後述するように、マップの形態で表示され、HDグリッド144は、より適切にはHD表面マップと呼ばれ得る。HD表面マップの内容は、ユーザの関心に依存し得る。HD表面マップはまた、連続して、又は少なくともECU100が可能な限り高速で再計算し得る。
【0080】
代替の実施形態では、HDグリッド144及びHD表面マップは、先に幾何学解剖学的モデル120を構築せずに構築し得る。換言すれば、幾何学解剖学的モデル120又はその部分は本質的に、HDグリッド144及びHD表面マップと同時に構築し得る。
【0081】
HD表面マップは、特に、マップの異なる位置で表現されている値又は属性の差を反映し得る。マップがこれらの差を反映し得る例示的な一方法は、配色である。例えば、ECU100は、計算メトリックからの結果値の範囲を考慮する配色で構成し得る。計算メトリック値の範囲に応じて、ECU100は、各値又は下位範囲の値に適切な色(例えば、紫〜白)を割り当てるように構成し得る。代替では、ユーザは、カラーで表示すべき値の範囲及び/又は規模を決定し得る。配色は、1つのメトリックからであれ、多くのメトリックからであれ関係なく、マップにわたりある範囲の値を強調表示するのに役立つことができる。さらに、HD表面マップの色分け部分は、特定の属性の空間的バリエーションを伝達し得る。これらの特定の属性のうちのいくつかは、例えば、後述するメトリックの結果値、未処理EPデータ等を含み得る。さらに、色分けマップは、マップが動的であり、最近又は最新の測定EPデータ又はその微分に基づくように連続して更新し得る。
【0082】
HD表面マップの内容に関して、ECU100は、1つ又は複数のメトリック、微分メトリック、及び複合メトリック(全体的に「メトリック」)を計算し、それらのメトリックの値をHD表面マップ又はHD「複合」表面マップに表示するように構成し得る。メトリックは一般に、EPデータの様々な定量化であり、結果メトリック値のマップはこれらの定量化を空間的に示す。さらに、メトリックは、1つ又は複数の電極30から取得されるEPデータの定量化を指し得る。
【0083】
EPデータに基づく特定のメトリックは当該技術分野において周知である。これらは、例えば、局所活性化時間(LAT)、脱分極振幅電圧(例えば、ピークツーピーク振幅(PP))、コンプレックス細分化電位図(CFE)活動、優位周波数(DF)、及び高速フーリエ変換(FFT)比を含む。LATメトリックは、静止した基準電極が脱分極前面を受ける時間と、1つ又は複数の移動電極(組織12上又は周囲で掃引される電極)が脱分極前面を受ける時間との時間差を表す。PPメトリックは、脱分極波中に組織12上の特定のポイントが受ける最高ピーク電圧と最低谷電圧との変化量を表す。CFEメトリックは、「System and Method for Three−Dimensional Mapping of Electrophysiology Information」という名称の米国特許第8,038,625号明細書に記載されており、この発明を参照により本明細書に援用する。DFメトリックは、心臓信号の所与の間隔の電力スペクトル分析で最も優位な周波数を表す。
【0084】
上述したように、システム10は、EPデータを同時に測定可能な高密度の電極30により、これら及び他のメトリックについてEPデータを取得するに当たり特に効率的である。さらに、遠位端部28の電極30は、組織12からのEPデータを同時に測定することができるため、システム10は、異なる時点で異なる位置から測定された信号の時間的位置合わせを行う必要がない。このため、システム10は、大きな時間的及び空間的能力を提供する。さらに、これらの能力により、ECU100は、当該技術分野で既知のメトリック及び/又は後述するメトリックを使用して、より高度なメトリックを導出し、メトリックを結合し、且つ/又はコンプレックス不整脈を分析し得る。
【0085】
例示的な実施形態では、ECU100は、電極30により収集されたEPデータに少なくとも部分的に基づいて、追加のメトリックの値を計算するように構成し得る。これらのメトリックは、限定ではなく例として少数を挙げれば、絶対活性化時間(AAT)、割合細分化指標(PFI)、連続空間指標(CSI)、伝導速度ベクトル、脱分極振幅の空間勾配、一貫性メトリック、及び2つ以上のメトリックの結合に基づくメトリックを含み得る。そして、これらのメトリックのそれぞれについて後述する。以下のメトリックは遠位端部28上の電極30を参照して説明し得るが、ECU100は、EPデータ及び位置座標が補間された後、HDグリッド144の頂点間でも同じ計算を実行することができる。
【0086】
これらの例示的なメトリックの説明に進む前に、いくつかの用語についてより詳細に説明すべきである。用語「脱分極」の変形は様々な意味を有し得る。いくつかの例示的な実施形態では、電極30が配備された(及び電極30に関連付けられた電位図が取得された)組織12の位置は、脱分極波が通過している際、「脱分極」していると言うことができる。波が通過した後、組織12及び電極30のこれらの位置は、「脱分極」したか、又は「活性化」したと言うことができる。
【0087】
図9を参照して、AATメトリックについて説明する。AATメトリックの値は、経過時間150により集合的に示されるように、電極30のうちの1つ又は複数に対して計算される。AAT値は、各電極30での最新活性化から経過した時間量を示す。脱分極波は、異なる時間に異なる電極30(組織12に沿った位置に位置決めされる)を「活性化」又は「脱分極」する。換言すれば、特定の電極のAAT値は、最新の脱分極波が特定の電極を通過してから経過した時間量を示す。時点152の前後で発生している脱分極群は、図9に示される電位図波において複数の電極に対して示される。経過時間150は、GUI122上又はより一般的には、表示装置102上の自動カーソル154の位置を参照して測定し得る。カーソル154の位置は時点に対応する。代替の実施形態では、カーソル154の位置は自動化されない。ユーザは、GUI122上のカーソル154を選択し、電位図に関して移動させ得る。カーソル154を左側に動かすことは、より早い時点に対応し、その一方で、カーソル154を右側に動かすことは、より遅い時点に対応する。カーソル154の位置に応じて、各電極30のAATメトリック値は、これらの値の対応する空間マップと共に変化する。
【0088】
図9に示される動的マップは、遠位端部28における電極30から捕捉された各双極電位図に計算されたAATを示す。この実施形態では、遠位端部28は螺旋構成であり、20個の電極30を有し、各電極30はそれ自体のAATを有するが、対応する電位図波のうちの10のみが示される。20個の電極30のAATは経過時間150に示される。各電極30は、例えば、「30AA」等の識別子を有し得、識別子は、各電極30を、この実施形態では遠位端部28に配置された他の19個の電極30から区別する。示される経過時間150に基づいて、電極30OOは(−6)ミリ秒のAATを有する。電極30GGは(−34)ミリ秒のAATを有する。したがって、脱分極波は、カーソル154の位置に対応する時点よりも6ミリ秒先に電極30OOを通過した。そして、脱分極波は、カーソル154の位置に対応する同じ時点よりも34ミリ秒先に電極30GGを通過した。
【0089】
LAT及びPPマップ等の従来のマップとは異なり、動的AATマップでは、ユーザは、特定の不整脈での複数の脱分極前面エビデントを識別し分析することが可能であり得る。図9の動的AATマップは、凡例156を用いて色分けして、活性化から経過した時間を示し、各色領域158は異なる時間範囲に対応する。マップ表示の左部160から右部162への比較的平らな前面を当業者は認識するだろう。特に、マップの左部160は、−20〜−30ミリ秒の範囲の活性化時間を示し、その一方で、マップの右部162は、−0〜−10ミリ秒の範囲の活性化時間を示す。
【0090】
さらに、上述したように、カーソル154は、ユーザにより決定されるか、それともECU100により自動的に決定されるかに関係なく、関心のある現在時間を表し得る。カーソル154が位置を変更すると、マップの色を変更して、心臓前面方向を示し得る。各電極30のそれぞれから、任意の発生源からの脱分極波が通過する場合、各電極30のそれぞれのAATをゼロにリセットし得る。したがって、通常のEP前面活動では、電極30のAAT値は、比較的整然とした進行でリセットし得る。しかし、不整脈の状態では、電極30に関連付けられたAAT値のリセットは整然とはしないことがある。
【0091】
ECU100が値を計算し得る別のメトリックは、割合細分化指標又はPFIである。PFIは、1箇所で1つの電極により取得し得る電位図が時間枠中に脱分極に費やした相対時間量を表し得る。一実施形態では、ECU100は関心のある時間枠を決定し得る。例えば、ECU100は、組織12から測定される電圧が不整脈の特徴を示す場合、電極30からEPデータの捕捉を開始し得る。別の実施形態では、ユーザが時間枠を指定することができる。PFIについては、下部閲覧ペイン164に表示される電位図を参照して説明することができる。例えば、電極30GGに対応する「EGM30GG」と記された電位図を再び参照すると、PFIは、この電位図が関心のある時間枠中に脱分極に費やした時間量に基づいて計算することができる。ここでは、X軸に沿った単位が1200Hzサンプル数であり、1200Hzは1000ミリ秒に等しく、2400Hzは2000ミリ秒に等しいため、時間枠は2000ミリ秒として示される。電位図EGM30GGは、この時間枠中で6つの脱分極を受け、そのうちの1つは時間152の近傍に示される。各脱分極が60ミリ秒間隔で発生すると仮定される場合、電位図は、この2000ミリ秒時間枠中、360ミリ秒を脱分極に費やす。PFIは、百分率として、又はミリ秒単位で表し得る。したがって、時間枠中のこの電位図のPFIは、360ミリ秒として、又は代替では、全体評価時間枠の18%として表し得る。
【0092】
組織12の一片のPFI値は、他の電位図のPFI値と比較する場合に特に有用になる。ECU100又はユーザは、測定PFI値及び計算PFI値を、例えば、組織12から測定された他の電位図から計算されたPFI値、不整脈の状態が存在しない組織12上の位置から測定されるPFI値、又は健康な状態で組織から測定されるPFI値と比較し得る。要するに、組織12の関心部位は、組織12の健康な部位よりも多数の脱分極前面を受ける可能性が高い。したがって、組織12の関心部位は、不整脈を伴わない位置よりも大きな割合の脱分極時間を費やす可能性も高い。したがって、PFI値が高いほど、そのPFI値が計算された位置が不整脈を受けている可能性が高い。
【0093】
したがって、健康な心臓組織のPFI値が20%よりもはるかに低い場合、これは、電位図EGM30GGが計算された位置が関心部位であることを示し得る。平均で、健康な組織は心拍毎に60ミリ秒を脱分極に費やし得、平均で、健康な組織は分毎に80回の心拍を経験し得る。これは、健康な組織が、2000ミリ秒時間枠中に脱分極に約160ミリ秒
【数1】
を費やすことを示唆する。EGM30GGを用いるこの例では、通常の脱分極時間量のほぼ2倍を費やすため、電位図EGM30GGが関心部位から測定された可能性が高い。ユーザは、様々な理由で、健康な組織が脱分極に費やす時間、健康なPFI値等のデフォルト値を制御し得る。
【0094】
ECU100が計算し得るさらに別のメトリックは連続空間指標又はCSIである。CSIは、PFIと同様であり、セットのうちの少なくとも1つの電位図が時間窓中に脱分極に費やす時間量の和である。例示的な一実施形態では、セットは、カテーテル16の遠位端部28に沿って配置された電極30から取得される電位図により定義し得る。他の実施形態では、セットは電位図の何らかの他の組み合わせを含み得る。例えば、特に、組織12上のいくつかの隣接する位置が関心部位であると疑われる場合、セットは、それらの位置に沿った遠位端部28の位置決めから測定される電位図を含み得る。さらなる例として、セットは、遠位端部28から測定される電位図のうちのいくつかのみを含み得る。さらに他の実施形態では、セットは、多くのカテーテルからの1つ又は複数の電極を含み得る。
【0095】
CSIメトリックは、後述する特定の種類の前面パターンの識別において特に有用であり得る。例えば、通常の平坦な脱分極前面を経験する電位図のセットは、比較的低いCSI割合値を有する。これは特に、多くの電極30がおおよそ同時に脱分極波を経験するように、電位図を測定する電極30が位置合わせされる場合に当てはまり得る。しかし他方、概して円形の前面パターンを経験している電位図セットからの少なくとも1つの電位図(又は電極)は、常に脱分極することになる。したがって、この後者の電位図セットはほぼ100%のCSI値を有し得る。したがって、PFIのように、高CSI値は関心部位を示唆する。
【0096】
ECU100は、伝導速度メトリックを計算することもできる。このメトリックの値はマッピングして、組織12内の基本的な脱分極前面の方向及び伝導速度を表す2Dベクトルを示し得る。各電極30は、所望であれば、計算され表示される脱分極前面速度方向及び速度を有することができる。さらに、ECU100は、一実施形態では、遠位端部28が組織12の十分近くに位置決めされるとすぐに、伝導速度メトリックのマップを生成するように構成し得る。組織12への遠位端部28の近接性を特定するために、ECU100は、例えば、ENSITE CONTACT(商標)技術及び電極30と図7のモデル120等の幾何学解剖学的モデルとの距離を利用し得る。
【0097】
しかし、遠位端部28が組織12の十分な近傍にない場合、電極30は高品質EPデータ又は十分量の高品質EPデータを取得する位置にないため、ECU100は伝導速度メトリック値の表示を回避し得る。図10aは、いかなる伝導速度ベクトルもない遠位端部28の表現180を示す。表現180は、遠端端部28が組織12に近づいているが、高品質データを測定するには離れすぎている場合に表示し得る。遠位端部28が組織12に近づいて移動すると、伝導速度メトリックからの結果値を、図10bに示されるように、HD表面マップ182の形態で幾何学解剖学的モデル120に空間的にマッピングし得る。より詳細には、前面の速度及び方向を示すインジケータを、後述するように、幾何学解剖学的モデル120に重ね得る。遠位端部28が組織12の十分な近傍にいくまで伝導速度ベクトルの更新又は表示を行わないようにすることは、システム10全体を通しての高品質制御の多くの方策のうちの単なる1つである。
【0098】
いずれの場合でも、ECU100は、電極30の座標位置及び脱電極波が電極30を通過する時間を使用して、伝導速度メトリックを計算し得る。遠位端部28が変形していない場合、ECU100は、伝導速度の計算に電極30の座標位置を必要とせず、その代わり、既知の空間構成に配置された電極30の既知の間隔を使用し得る。脱電極波のピークが電極30を通過する時間は、当該技術分野で既知の信号処理技法を利用することにより、対応する電位図から特定し得る。
【0099】
システム10は、近傍の電極30の活性化時間を比較することにより、前面が遠位端部28上の特定の電極30を通貨する方向を特定することができる。この特定の結果は、マッピングされる場合、図11に示される右上レンダリングウィンドウ186上の矢印184のように見える。システム10のこの能力は、少なくとも部分的に、ECU100により取得される電位図の高空間密度に起因し得る。
【0100】
例えば、5つの周囲電極30の中央に位置決めされた電極30の活性化時間を、5つの周囲電極30の活性化時間と比較し得る。次に、システム10は、中央に位置決めされた電極30の活性化時間に最も近い活性化時間を有する周囲電極30を識別することにより、前面が向かっている経路を特定し得る。前面は、特定された経路に沿って、(周囲電極30及び中央に位置決めされた電極30のうちの)後の活性化時間を有する電極30に向かって移動する可能性が高い。螺旋構成での遠位端部28の最外ループ上の電極30に関して、そのような特定を行う前に、付近の位置からデータを取得する必要があり得る。
【0101】
別の例では、ECU100は、脱分極波が第1の電極(e)から第2の電極(e)に移動する速度を計算し得る。eとeとの間の速度は、3D座標系内のベクトルにより公式化することができる。次に、方向は、
【数2】
として定義され、式中、
【数3】
は、eとeとの間で測定される心臓伝導速度である。図11では、右上レンダリングウィンドウ186上の矢印184は、1スナップショットでの心臓活動の方向を表す。矢印は、空間内で群化することができる(例えば、四分円毎又はカテーテル全体)。これらの矢印184は、上述したAATカラーマッピングに一致する。
【0102】
代替では、ECU100は、以下の式:
【数4】
を使用して、脱分極波がeからeに移動する速度を計算し得、ECU100は、第1の電極(e)と第2の電極(e)との距離を、脱分極波が第1の電極(e)を通過する第1の時間
【数5】
と脱分極波が第2の電極(e)が通過する第2の時間
【数6】
との差で除算し得る。測定領域のすべての隣接する電極30に対してこのメトリックを計算することにより、ECU100は、脱分極波が組織12上の複数のポイント間を移動する速度を特定することができる。代替の実施形態では、伝導速度値は、活性化時間の時間勾配から計算することもできる。
【0103】
さらに他のメトリックは、空間及び時間勾配を含み得る。勾配はそれ自体、雑音が多く、密なサンプリング及びクリーンなデータを必要とする。したがって、勾配を計算する能力は大方、遠位端部28に配置される高密度の電極30により可能である。空間勾配は、空間範囲にわたりスカラー量に急激な変化がある位置を識別することを目的とし、その一方で、時間勾配は、所与の時間にわたりスカラー量に急激な変化がある位置を識別することを目的とする。
【0104】
2D時間勾配の一例は、時間に対する伝導速度メトリックの微分を計算することを含む。測定領域の一結果値は、
【数7】
により一般に示され、式中、tは時間変化を表し、v1,2は第1の電極位置と第2の電極位置との間の伝導速度を表す。この結果値は、一方は第1の電極位置にあり、一方は第2の電極位置にある2つの電極30間を移動する脱分極波の加速又は減速を表し得る。他の大半のメトリックと同様に、ECU100は、HDグリッド144のすべての補間データに対してこの微分メトリックを計算し、次に、幾何学解剖学的モデル120に関連付けられたHD表面マップの形態で結果値を表示して、表示装置102に表示するように構成し得る。高い変化率を示す部位は関心部位であり得る。例えば、この部位は、組織を有する組織12の部分を表し得る。同様の計算を使用して、空間勾配を計算することもできる。
【0105】
特に重要な2つの勾配としては、脱分極PP(ピークツーピーク)振幅及び活性化時間の空間勾配が挙げられる。脱分極PP振幅の空間勾配は、脱分極PP振幅メトリック又は最適な双極電位図に由来する。脱分極PP振幅メトリックは、電極30のうちの1つ等の電極が、各脱分極中に組織12の位置において測定するPP振幅を示し得る。このメトリックの結果値の空間的なマッピングは、複数の電極30に基づく領域でのPP振幅の空間分布を示すことができる。例示的な一実施形態では、ECU100は一貫して、表示装置102上のHD表面マップを、閾値フィルタ未満の新しい各PP振幅で更新し得る。
【0106】
さらに、脱分極PP振幅の空間勾配のマッピングは、順次脱分極波での各電極30(又はHDグリッド144の頂点)でのPP振幅の変化も示し得る。比較的一環したPP脱分極振幅を経験している組織12の部位は、PP脱分極振幅の空間勾配がマッピングされる場合、勾配があったとしても最小の値を示す。これとは対照的に、PP脱分極振幅の大きな変化を経験している組織12の部位は、HD表面マップにおいて高い値を示す。これらの異種の部位は関心部位であり得る。同様の勾配メトリックを活性化時間及び組織12の他の特徴に関して計算し得る。
【0107】
ECU100が計算するように構成し得る別のメトリックは一貫性メトリックである。一貫性メトリックは一般に、一次メトリックからの結果データが一貫するか否かを示す。一貫性メトリックを計算し得る多くのメトリックが存在する。一貫性メトリックは、電位図脱分極及び心臓前面の静止特徴を特定するために使用し得る。このメトリックは、いくつかの実施形態では、以下に示される標準偏差(std):
【数8】
から計算し得、式中、「S」は一次メトリックから計算される各結果値の自然対数値を表し、
【数9】
は計算された結果値の自然対数値の平均であり、「N」は計算された尺度値の数である。この一貫性メトリックを表現する別の方法は、相対標準偏差を用いるものであり、これは、stdをlog値の平均で除算したものとして定義され、一貫性分析に使用することもできる。相対標準偏差は、stdよりも異なる測定を比較するのにより有意味であり、且つより精密であり得る。
【0108】
さらに、一貫性メトリックは、空間的群化又は時間的群化により計算し得る。例えば、「S」、
【数10】
及び「N」が得られる計算結果値セットは、瞬間に測定されたPP脱分極振幅メトリック値であり得る。したがって、計算される標準偏差は、PP脱分極振幅メトリックが計算された空間領域にわたる値の偏差を表す。別の例では、「S」、
【数11】
及び「N」が得られるスカラー値セットは、遠位端部28上の特定の一電極30からの一連の時系列PP脱分極振幅メトリック値を含み得る。したがって、計算される標準偏差は、ある時間期間にわたる1つの電極30により、ひいては組織12内の位置で生成される値の偏差を表す。さらなる例では、空間的群化及び時間的群化の組み合わせを結合し得る。
【0109】
【数12】
を時間tでのM個のセンサのメトリック値を表す列ベクトルとする。ECU100は、システムを異なる時間で、例えば、t,・・・,tでサンプリングし得る。N個すべてのサンプルを結合すると、M×N行列:
【数13】
がもたらされる。ECU100は、主成分分析を行列に適用し得る。行列の固有値は、測定の経時安定性を示し得る。理想的には、行列のランクは1であるため、最初の固有値は非ゼロである。ECU100は、最初の固有値をその他の固有値の和と比較し得る。最初の固有値が優位なほど、測定の一貫性は高い。
【0110】
より一般には、低一貫性を有する結果メトリック値をもたらすEPデータは、関心部位を示し得る。低一貫性を有する結果メトリック値は、EPデータの少なくとも1つの側面が連続する各脱分極波に伴って変化し得ることを示唆する。例えば、一貫性メトリックは、電極30のセットからの一連のLATメトリック値に基づいて計算し得る。結果として生成されるLAT値が高い一貫性を有する場合、又は換言すれば、低標準偏差を有する場合、これは、LAT値が脱分極波毎にほぼ一貫したままであることを意味する。しかし、結果LAT値が低一貫性を有する場合、又は換言すれば、高標準偏差を有する場合、これは、LAT値が脱分極毎に変動していることを意味する。したがって、ユーザは、低一貫性結果データを提供する関心部位をさらに調べたいことがある。
【0111】
一実施形態では、一貫性メトリックは、特に、一貫性メトリックが各電極30の位置で計算される場合、幾何学解剖学的モデル120に関連付けられるHD表面マップとして計算し得る。別の実施形態では、一貫性メトリックは、HD表面マップ近傍に出現する追加の凡例又は統計として示し得る。
【0112】
システム10の別の態様は、組織12の同じ部位から計算された2つ以上のメトリックをアルゴリアズム的に結合して、複合マップを形成する能力に関する。上記メトリックのすべては、たとえ単独であっても、関心部位の位置特定に非常に有用であり得る。しかし、特定の状況下では、これらのメトリックのうちの2つ以上を組み合わせて、複合マップを形成することがはるかに有価値であり得る。複合マップは、いくつかの実施形態では、2つ以上のメトリックからの結果データの組み合わせから生成され、メトリックがどこを互いに補強するか、どこが大方一致するかを示し得る。例えば、2つの勾配は、それぞれのベクトルが、(a)活性化の速度及び方向において大方一致し、(b)突発的発生部位の近傍で振幅の上昇率において大方一致する場合、互いに相互に補強し得る。いくつかの実施形態では、複合メトリックの結果値には、幾何学解剖学的モデル120を関連付け得る。他の実施形態では、結果値は、他の計算の確実性、一貫性、又は有効性の指標として機能し得る。
【0113】
多種多様なメトリックを結合して、組織12に関するさらなる洞察を提供することができる。例えば、高い振幅変化率を有するいくつかの空間勾配を結合することにより、不整脈開始箇所及び終了箇所を予測し得、その理由は、これらの組み合わせは振幅が急速に増大(不整脈の突発的な発生又は局所発生源)又は急速に縮小(不整脈消失、中断、又は遮断)している領域を目立たせるためである。さらなる例として、活性化振幅の空間分布と脱分極の時間パターンとを組み合わせることは、リエントリー又は異所性不整脈箇所の識別に役立ち得る。さらに別の例は、振幅の少なくとも2つの高空間勾配を結合して、不整脈の開始及び終了を示すことを含む。さらに他の例は、初期活性化時間と最低電圧とを組み合わせ、且つLATとPPメトリックとを組み合わせて、電位図振幅を脱分極の時間勾配と組み合わせることを含む。
【0114】
スカラーメトリックを複合マップに組み合わせる可能な一方法は、データを正規化し、データを加重し、データを結合して、複合マップを形成することである。これは、一次メトリックからの結果データ値が異なる単位である場合であっても行うことができる。ECU100のユーザは、少なくとも2つのメトリックからの結果データ値の範囲(例えば、低〜高)を選択し得る。これらの範囲に基づいて、メトリックからの結果データ値は、0(0.0)〜1(1.0)の値に対応するように正規化し得る。同様に、ECU100のユーザは、重みを各メトリックに割り当て、影響の適切なブレンドを達成し得る。次に、正規化された値は、以下の式:
C=W×M+W×M
により結合し得、式中、Cは新しい複合値を表し、W1,2は各メトリックに割り当てられた重みを表し、M1,2は一次メトリックのスカラーを表す。
【0115】
最も基本的な形態で、2つの一次メトリックスのドット積をとることにより、同様の結合をベクトルメトリックと行うことができる。ドット積の低値又は負の値は、実質的な不一致及び不整脈の突発的発生、消失、又は転位に関わる箇所の信頼性のなさを示し得る。
【0116】
メトリック結合においていくつかのメトリックを他のメトリックよりも重く加重する実施と同様に、ECU100は、いくつかのEPデータを他のEPデータよりも重く加重し得る。マッピングされたデータ値は、例えば、様々な解剖学的構造又は機能解剖学的構造の近接性により加重し得る。これは、マッピングされたデータ値が個々のメトリックから計算されるか、微分メトリックから計算されるか、それともメトリックの結合から計算されるかに関係なく当てはまり得る。さらなる例として、接触型マッピングカテーテルの場合、ECU100は、どの電極30が組織12の十分な近傍にあるかに関するデータを受信し得る。ECU100は、組織12の十分な近傍にある電極30を、組織12の十分な近傍にない電極30よりも重く加重し得る。しかし、重みは合計で1であるべきである。メトリックを加重することにより、ECU100は、十分に信頼できるデータのみが組織12のマッピング、表現、及び分析に使用されることを保証する。
【0117】
システム10のさらなる態様として、EPデータを使用して、組織12上の脱分極前面パターンを識別することもできる。ECU100は、特にコンプレックス不整脈を有する心臓活性化中に存在し得る複数の前面パターンを識別するように構成することさえも可能である。前面パターンの識別は、ユーザを組織12に沿った関心部位に導くことができるため、重要であり得る。脱分極前面は、いくつかの場合、発生源により近い位置よりもはやく、前面の発生源から遠く離れた組織12のいくつかの位置に到達し得る(例えば、短絡効果により)。組織12上のポイントが2つの前面を経験するこれらの場合のうちのいくつかでは、まるで2つ以上の脱分極発生源があるかのように見え得る。
【0118】
他の場合、脱分極前面の2つ以上の発生源が実際に存在し得る。通常の脱分極波は、洞房結節、房室結節、ヒス束、又はプルキンエ繊維のいずれかの細胞から発生する。典型的ではないが、心筋も、脱分極波に変化する電気インパルスを生成することが可能である。したがって、2つ以上の脱分極波が組織12を横切り得る。不整脈の突発的発生箇所を識別することにより、ユーザは、この位置を治療の標的とすることができる。
【0119】
図12に示されるように、いくつかの例示的な前面パターンは、限定ではなく例として、平坦190、分裂192、衝突194、集束196、短半径エントリー/リエントリー198、及びCFE200を含み得る。追加のパターン(図示せず)は、限定ではなく例として、旋回前面及びローター前面を含み得る。前面パターンを分類するために、ECU100は、遠位端部28の既知の空間電極30の構成と、遠位端部28の位置座標と、電位図と、タイミングデータとをアルゴリズム的に結合し得る。
【0120】
前面パターン認識は、整合フィルタを使用して実施し得る。アルゴリズムは2D座標系で説明されるが、線形変換を使用して3D座標系に拡張することができる。{(x,y),・・・(x,y)}を製造仕様において定義されるいくつかのn個のセンサの座標とする。
【数14】
をECU100において測定されるn個のセンサの座標とする。
【数15】
をm個のパターンとし、
【数16】
はj番目のパターンのi番目のセンサの心臓方向を表す。
【数17】
をECU100において測定されるセンサの心臓活性化方向とする。整合プロセスは以下のように実施することができる。
・両座標が同じ中心を有することを確かめて、平均化により{(x,y),・・・(x,y)}及び
【数18】
の中心を見つける。
・同じ尺度を有するように{(x,y),・・・(x,y)}及び
【数19】
をリスケーリングする。シフト及びスケーリングの後、唯一の自由度は回転角度αである。
【数20】
を、
【数21】
のシフト及び尺度を変更した後の座標とする。
・αから開始し、t番目のステップでδαだけ増分する。
【数22】
においてα+tδαだけ座標を回転させる。
・モデル(x,y)での対応する座標
【数23】
を見つける。
・測定パターンとk番目の事前定義パターンとの差の和
【数24】
を計算する。
・最小の
【数25】
を有するパターンを選択する。
【0121】
この方法は、最適パターンをリアルタイムでいかに特定するかの単なる一例である。そしてさらに、δαは、計算コストの性能をトレードオフするために調整することができる。
【0122】
この入力が取得され編纂される(例えば、行列又はデータベースに)と、ECU100は、各隣接電極30間の比較タイミング差を連続して記録し、いくつかのフィルタをこの編纂データに適用し得る。フィルタは、これらの編纂データから前面パターンに対応するパターンを探し得、それらの前面パターンのうちのいくつかを図12に示す。これらのフィルタは、いくつかの実施形態では、整合空間フィルタであることができ、様々な方向、向き、サイズ等での編纂からパターンを認識するように構成し得る。フィルタをこの入力データセットに使用することにより、ECU100は、組織12を横切って移動する様々な脱分極前面パターンを識別し分類することができる。
【0123】
様々な計算メトリック及び前面パターン分類を使用して、ECU100は、後述するように、心房細動を持続させている疑いがある解剖学的箇所を識別し、表示装置102上で強調表示し得る。さらに、ECU100は、そのような視覚的エイドを2D及び3Dの両方で計算して表示し得る。3Dでの視覚的エイドは、損傷した組織12の部位に対して特に有用であり得る。
【0124】
例示的な実施形態では、図5に示されるアブレーション先端80のスポット電極30及び遠位リング電極30は、四面体様構成にあると言うことができ、遠位リング電極30は幾何学的重心で表される。この四面体様構成では、アブレーション先端80の局所双極電位図信号を3D空間に解像することができる。必ずしも直交する必要がないこの電極データセットから、線形変換により、アブレーション先端80に基づいて、図13に示されるように、双極ベクトル電位図を3D直交座標枠に配置し得る。代替の実施形態では、アブレーション先端80の電極の向き及び位置も分かるため、3Dベクトル電位図を幾何学解剖学的モデル120に関連付け得る。同様の結果を得るために、他の構成を使用することもできる。
【0125】
図13の3Dグラフを参照すると、アブレーション先端80からの四面体様電極構成の電位大きさ(ミリボルト(mV)単位で測定される)が、3つの異なる方向(v1、v2、及びv3)に関して示される。3Dベクトル電位図は、等電期間中、原点210の近傍で時間を費やし、脱分極及び再分極で様々な方向に飛び出す。1つのループ212は、異所性心拍の結果であり、その脱分極方向は主に負v2の方向である。別のループ214は、代わりに主に正v1の方向において脱分極方向を有する安定したベースライン心臓リズムを示す。通常心拍及び異所性心拍からデータを取得するために、アブレーション先端80は、不整脈及び非不整脈の両状態が発生するまで、組織12内又は組織12上の位置に残し得る。
【0126】
優位ループに加えて、他の偏向が存在し得る。偏向216等のいくつかの偏向は、遠距離場脱分極又は近距離場再分極により生じ得る。低振幅細分化活動が、偏向218等の、等電ポイント周囲の小さく不規則な偏向として見える。ローター前面の中心近傍の位置から生じるようなさらに他のデータが、この種のグラフでは、等電ポイントの周囲を「回る」回転起動として現れ得る。
【0127】
システム10のさらに他の態様は、表示装置102と、低品質のデータがユーザ又はECU100により使用されることの回避とに関する。
【0128】
ECU100は、図10a及び図10bを参照して説明した品質制御方策への追加又は代替として、メトリックが高品質EPデータに基づいて計算されるように、遠位端部28が組織12の十分な近傍に来るまで表現180の表示を制限する、別の例示的な品質制御特徴を含み得る。したがって、図14aに示されるように、ECU100は、幾何学解剖学的モデル120に関連して、組織12の十分な近傍に位置決めされた遠位端部28の部分のみを表示し得る。さらに、遠位端部28が、高品質EPデータを測定するのに十分な、組織12の近傍にない場合、遠位端部28の部分230は全体的に透明又は半透明であり得る。遠位端部28が組織12に近づくと、図14bに示されるように、部分230の透明度は低くなり得る。十分に近い部分230のみを表示し、且つ/又は透明性を使用することにより、遠位端部28が組織12の十分な近傍にあるか否かをユーザに通知することができる。
【0129】
図14bに示される実施形態は、関心範囲外にある値を示すために選び得る範囲外カラー232を示す。これは、追加又は代替として、一定指標値の輪郭線を幾何学解剖学的モデル120に関連付けるために有用であり得る。輪郭線は、異なる値を表示している部位間の境界を強調表示することができる。活性化時間マッピングの場合、例えば、これらの輪郭線は等時線234と呼ばれる。同様に、数値236を幾何学解剖学的モデル120に重ねて、凡例238を参照せずに特定のカラー及び/又は無色領域内に表示されるデータ値の識別に役立てることが有用であり得る。追加又は代替として、凡例238は、表示されている様々な色に対応する値の範囲を示し得る。ECU100は、表示装置102に、マーカ、ラベル、又は注釈の包含も示し得、これらのうちのいくつかは、例えば、以前のアブレーション箇所又は電子生理学的処置に関連する解剖学的若しくは機能的位置の追跡に役立つように、ユーザが書くことができる。さらなる例としては、遮断箇所、低伝導箇所、低電圧箇所、及び細分化箇所の印を含み得る。
【0130】
遠位端部28が組織12に近づくと、ECU100はより信頼性の高いEPデータを使用して、より多くの計算を実行し、ユーザにより多くの情報を提供することができる。図14cは、組織12を横切る脱分極伝導の大まかな方向及び速度の大きさを示すベクトル240の形態の表現を示す。ベクトル240は、1つの電極30、電極30のサブセット、遠位端部28上のすべての電極30、又は多くのカテーテルの遠位端部からの電極30の前面を表し得る。伝導速度の大きな前面ほど、大きなベクトル240を用いて示すことができるが、小さな伝導速度を有する前面は、より小さなベクトル240を用いて示すことができる。遠位端部28が組織12に近づくと、ECU100は、比較的タイミング及び各隣接電極30間の電圧差に基づいてメトリックを計算することにより、ベクトル240を生成し得る。図14dは、追加のEPデータが組織12により近い遠位端部28の位置から測定されるにつれて、ECU100がいかに、可能な前面パターン242に関連するさらに詳細を提供し得るかを示す。
【0131】
上述したように、ECU100は、低品質データが表示装置102に達しないようにするように構成し得る。そのような実施形態では、ECU100は、低品質データに基づいて判断が下されないようにする。その代わり、ECU100は、ユーザに、必要な場合に追加の良好なデータを取得するように促す。同様に、メトリック計算において、ECU100は、特定の信頼度閾値未満のデータを使用しないように構成し得る。例えば、近接性データを受信すると、ECU100は、組織12から遠すぎる距離から取得されたデータを破棄し得る。このモードでは、表示装置102は、すべてのEPデータの適格なサブセットからのデータのみを表示する。
【0132】
これも上述したように、いくつかの実施形態では、ベクトル240又は前面242等の解剖学的モデル120及びHD表面マップは、続く参照信号トリガ毎に更新し得る。他の実施形態では、解剖学的モデル120及びHD表面マップは、即座にリフレッシュし得、又はシステム10が可能な限り高速でリフレッシュし得る。
【0133】
表示装置102の物理的画面は頻繁にリフレッシュし得るが、視覚的エイド(例えば、HD表面マップ、マーカ、ラベル、注釈等)が、時間期間にわたって表示装置102に永続し得る。ユーザは、ユーザ入力装置を通して、視覚的エイドが永続し得るか否か及びどれくらい永続し得るかを制御し得る。いくつかの実施形態では、視覚的エイドは、遠位端部28が組織12の部位から離れて移動した後であってさえも可視状態のままであり得る。しかし、他の実施形態では、視覚的エイドは、遠位端部28が組織12の特定の部位内に留まっている間のみ、表示装置102に永続し得る。さらに別の実施形態では、ユーザは、視覚的エイドが、遠位端部28が組織12から離れて移動した後、一定量の時間にわたって解剖学的モデル120において可視状態のままであるようにシステム10を構成し得る。さらに別の実施形態は、遠位端部28が組織12の位置から離れて移動した後、特定の視覚的エイドのみを維持することを含み得る。例えば、データ領域は空間的にカタログ化されるため、ユーザが書いた注釈のみを表示装置102に残すことが有用であり得る。さらなる例として、図10b及び図12のように、計算された伝導ベクトル及び前面パターン分類のみが表示装置102に残り得る。
【0134】
システム10は、特に、組織12からの電位図、メトリック、HD表面マップ、及び一般にEPデータが同じ幾何学解剖学的モデル120にカタログ化される実施形態では、従来の順次活性化マッピングシステムと異なる。例えば、1つの違いは、領域取得が遠位端部28を用いて行われるため、変遷される複数のHD表面マップの性質は非同期であることができる。換言すれば、従来の同期手順とは異なり、システム10は、異なる心臓位相中に測定される活性化時間の領域取得が絶対的に指標付けられる固定される基準を必要としない。したがって、すべての活性化データを基準に位置合わせする必要がわるわけではない。その代わり、各領域取得は、その領域内の相対タイミング差に関する情報を含み得る。
【0135】
コンプレックス不整脈では、多くの場合、上述したように、多くの脱分極が発生するため、異なる領域からの複数のHD表面マップを非同期でカタログ化し得る。例えば、心房細動中、病理学的電位図は往々にして分離電位、拡張中期電位、及び低電圧細分化脱分極活動を含む。領域毎の活性化パターンは非同期であり得るため、領域EPデータ取得が空間的にカタログ化される際、ECU100はいかなる領域の重複も回避し得る。その結果、領域境界を表示すること、又はブロックの線を表示することさえも(すなわち、2つの隣接するサンプリング領域を少なくとも50ミリ秒の遅延で隔てる)望ましいことがある。
【0136】
例示であって限定するものではないが、AATマッピング及び前面パターンマッピング等の様々なHD表面マップに関して、心拍バッファを提供し得、ユーザは、ある心拍から次の心拍へ等々でマップがいかに変化するかを閲覧することができる。前面マッピングを用いて説明すると、ユーザは、EPデータをサンプリングする時間枠を選択し得る。例示的な一実施形態では、時間枠は、例えば、10秒であり得る。次に、ECU100は、このデータをいくつかのアルゴリズムに入力し、計算前面パターンが生成され、これは、例えば、図10bにおいて2Dベクトル182のマップ等のHD表面マップとして表示し得る。この10秒の時間枠中に生じるいくつかの心拍に対してそのようなパターンを計算した後、ユーザは、心拍のこの10秒シーケンスを表示装置102で閲覧することができる。ユーザは、この時間枠中、ある心拍から次の心拍に発生する変化、サイクル、傾向等に気づき得る。ECU100は、この閲覧可能なシーケンスをユーザが加速又は減速する選択肢を提供し得る。ECU100は、ユーザが順次的に次の心拍の閲覧に進みたい都度、ユーザが表示装置102と対話する選択肢を提供することもできる。例えば、各連続シーケンスに進む前に、GUI122は、ユーザ入力装置を介してシーケンスを進めることをユーザに促すことができる。さらに、遠位端部28に配置された高密度の電極30により、心拍毎にHD表面マップ全体を更新し得る。さらに、この特徴は、脱分極路に影響する特徴が治療により影響を受け得るため、アブレーション治療が実行中である場合に特に有用であり得る。
【0137】
システム10の別の態様は、例えば、治療送達及びペースマッピングを含むアブレーションの直接配置又はより確定的な診断手順に役立ち得る情報を表示装置102上でユーザに提供することを含む。治療送達は、例えば、アブレーション処置等の処置を含み得、ペースマッピングは、特定の不整脈により生成される心臓活性化シーケンスの再生成を含み得る。これらのような手動介入では、取得されるEPデータは、治療送達機器又はペーシング機器からのものであり得る。システム10は、治療送達機器又はペーシング機器に基づいて様々な計算メトリック、複合マップ、他の視覚的エイド、及び高品質制御特徴(例えば、透明性)を利用して、処置を通してのユーザのガイドに役立ち得る。
【0138】
ユーザは、不整脈、心腔、及び臨床状況に適切なアブレーション又は確定的診断標的基準を選択し得、この基準は、例えば、適切な閾値、マップタイプ、及び複合指標を含み得る。伝導パターン及び電位図振幅、又は活性化時間を説明するある分野の多くの矢印は、必要であれば、幾何学解剖学的モデル120上の突発的発生又は他の標的箇所のより特定のグラフィックス表示に簡潔化し得る。突発的発生の状況を例として使用すると、1つの複合矢印を、突発的発生時間に関連付けられた平均方向及び振幅から導出し得る。データの密度、その信号品質、及び振幅勾配と活性化時間勾配との一致性に依存する加重平均を導入することにより、データの不確実性を考慮し得る。この複合矢印の尾部は、標的宛先を組み込み得、幾何学解剖学的モデル120の一方又は両方の勾配が大きな大きさを有する場所に重ね得る。これは、例えば、勾配大きさ重心を計算するか、又は最大勾配大きさのポイントを見つけることにより達成し得る。矢印の方向は、優位脱分極前面方向及び/又は電位図振幅増大方向を示し得る。
【0139】
代替の実施形態では、標的箇所は、近傍の心臓表面の着色又はテクスチャリング等の他の視覚的手掛かりにより示し得る。この複合標的矢印は、心拍単位の頻度で更新し得る。これは特に、アブレーション後、新しいEPデータを測定し、処理し、既存の複合標的矢印及び/又は他のHD表面マップに組み込み得るため、アブレーションが処置の中間に実行される場合に有用であり得る。他方、複合標的矢印は、ユーザの裁量で更新し得る。さらに、ユーザは、標的矢印を静止させて、比較及び他の評価に役立て得る。
【0140】
例示的な実施形態では、遠位端部28のアブレーション先端80は、表示装置102のガイダンス特徴に特に利用法を見つけ得る。図15は、投影260として幾何学解剖学的モデル120に重ねられる2つのアブレーション先端80、特にアブレーション先端電極の位置を示す。代替の実施形態では、投影260は、スポット電極30及び遠位リング電極30の四面体様構成の重心を表すことができる。さらに、四面体様構成の重心は、図13に示される3Dマップに表現されるポイントとして機能することもできる。いずれの場合でも、標的矢印262の表示は、例えば、最近の活性化の平均方向及び振幅を示し得る。矢印262は必ずしも明示的な標的を伝える必要がなくてもよく、双極信号セット自体が振幅勾配に依存し、フィルタリングを介して伝導速度に依存するため、矢印262のサイズは標的への近接性を与え得る。
【0141】
システム10のガイダンス特徴の別の利点は、例えば、自動初期瘢痕配置又は診断マッピングにも役立ち得ることである。アブレーション先端80を有する遠位端部28は、観測又はマップ生成を通して、理想的な位置の周囲を移動し得、アブレーション又はペーシングの値を強調表示し得る。例えば、ECU100は、計算メトリックの結果に基づいて組織の部位を識別し得る。識別された組織のサイズ及び位置に応じて、ECU100は位置を強調表示し、矯正及び/又は予防的処置を強調する。この特徴は、マッピング、プランニング、初期アブレーション治療送達、又はより確定的な診断テストを支援し得る。さらに、その間常に、HD表面マップ、矢印262、及び視覚的エイド全般は、遠位端部28により測定されるEPデータに基づいて更新し得る。
【0142】
上述した利点に加えて、システム10は、左心房(LA)でのマクロリエントリーリズムを理解するに当たって有用であり得る。多くの患者は、肺静脈分離(PVI)を含む電子生理学的処置後にこのリズムを発生させやすい。上述したように、システム10及び遠位端部28は、心房細動を持続している組織12内の解剖学的箇所の強調表示に役立ち得る。さらに、システム10は、臨床的価値の局所的基質分析を潜在的に提供し得る。
【0143】
組織12の様々な分析を実行した後、システム10は、様々な種類の作業生産物を将来使用するために保存するという選択肢をユーザに提供することもできる。例えば、システム10では、ユーザは、一連のEPデータを保存し、名称を動的マップに割り当て、マップを記憶し、マップを検索して、別個の不整脈及び処置進行の展開を追跡することが可能であり得る。システム10は、処置中又は処置後に、GUI122を通してそのような選択肢をユーザに提示することができる。次に、ユーザは、ユーザ入力装置を利用して、データ、マップ等をECU100、何らかのリムーバブルコンピュータ可読記憶媒体、サーバ、又は順次検索される他の任意の記憶装置に保存することができる。
【0144】
システム10の構造に加えて、本開示の別の例示的な態様が、EPデータの空間パターンを測定し、分類し、分析し、マッピングするとともに、不整脈治療をガイドする方法であることが理解されるであろう。ECU100により実行され、実施され、極めて詳細に上述した方法論及びその構成ステップが、本開示のこの態様に等しく適用されることがさらに理解されるであろう。したがって、上述されたECU100により実行又は実施される方法論の説明を全体的には繰り返されず、むしろ、いくつかの例示的なステップが繰り返される。
【0145】
一般に、ECU100は、主に視覚化・ナビゲーション・マッピングサブシステム18及び遠位端部28の電極30の両方から来る様々な基本入力データを取得し得る。様々なタイプの入力データは、限定ではなく例として、遠位端部28の特定の構成、遠位端部28の既知の電極間隔、電極30の座標位置、電極30からのEPデータ、EPデータに対応するタイミングデータ、及び幾何学解剖学的モデル120を含み得る。
【0146】
次に、ECU100は、入力データをHDグリッド144に補間し、いくつかのスカラーメトリックを計算し得る。結果メトリック値を補間し計算した後、これらの値を、幾何学解剖学的モデル120に関連付け、スカラー場としてHDにマッピングし得る。これらのHDスカラー表面マップは、例えば、電位図電圧、PP電圧振幅、LAT、CFE活動、及びECU100又はユーザにより評価される組織12の特徴を含み得る。
【0147】
ECU100は、2D空間微分フィルタ、3D時間微分フィルタ、又は3D空間微分フィルタも入力データ及び/又は結果スカラーメトリック値に適用して、微分データ値をさらに取得し得る。例えば、フィルタを適用した後、この微分データは、ECU100又はユーザにより評価される組織12の2D及び3D電位図電圧ベクトル、2D及び3D伝導速度、2D振幅勾配、CFE勾配、並びに2D特徴を含み得る。
【0148】
微分データから、ECU100は、例えば、図16に示されるように、HDベクトル表面マップを生成し得る。HDベクトル表面マップは、例えば、伝導速度、活性化振幅、CFE活動、及び組織12の特徴の勾配マップを含み得る。一実施形態では、勾配マップは、データのスカラー場での最大変化率の方向を指す多くのスカラーを有するベクトル場を含み得る。そのような矢印の大きさは変化率に対応し得る。
【0149】
上述したように、ECU100は、スカラー及びベクトル結果メトリックデータ値の両方を使用して、HD表面マップを生成することができる。別の実施形態では、ECU100は、これらのデータ値を使用して、HD複合マップとして表示される複合メトリックをさらに計算し得る。本発明を用いなければHDスカラー表面マップとして個々にマッピングされ得る異なるメトリックからのスカラー値は、値を正規化し、各メトリックを所望のように加重し、値を結合することにより結合し得る。本発明を用いなければHDベクトル表面マップとして個々にマッピングされ得る異なるメトリックからのベクトル値を組み合わせる一方法は、2つの個々のメトリックのドット積を計算することである。
【0150】
ECU100の別の態様は、HDスカラー表面マップ又は複合マップのいずれかの生成に使用される結果データ値に基づいて脱分極前面パターンを識別することを含む。ECU100は、一実施形態では、整合空間フィルタセットを使用して、行列、データベース等に記憶された多くの方向、向き、及びサイズの結果データ値パターンを探索し得る。
【0151】
HD表面マップを通して表示されるデータの多くは極めて重要であるが、重要ではないデータの他の部分をフィルタリングして除去することが望ましいことがある。したがって、ユーザの裁量で、ECU100は、2D空間勾配フィルタを、HDスカラー表面マップ又は複合マップのいずれかの生成に使用される結果データ値に適用するように構成し得る。2D空間勾配フィルタは、勾配等の極めて重要な空間特徴を検出する、短い空間尺度を有する整合空間フィルタであり得る。例えば、2D空間勾配フィルタをデータ値又はスカラーマップ自体に適用して、短距離にわたり大きな変化(例えば、電位図電圧又はLAT)を示している空間マップ上の部位のみを強調表示し得る。一実施形態では、ユーザは、フィルタの適用から返すべき変化率を指定し得る。
【0152】
同様に、ECU100は、2D空間「ブリッジ」フィルタを、HDスカラー表面マップ又は複合マップの生成に使用される結果データ値に適用することもできる。2D空間ブリッジフィルタは、大きな空間尺度を有する整合空間フィルタであり得る。2D空間ブリッジフィルタは、データ値内のブリッジ又は峡部等の空間特徴を検出することを目的とし得る。2D空間ブリッジフィルタが見つけ得るパターンのタイプの基本的な例は、以下:
【数26】
により示される。
【0153】
したがって、2D空間ブリッジフィルタは、EPデータにおいて特定のタイプのパターンを検出するに当たり有用であり得る。これらのタイプのデータは、例えば、高電圧部位に囲まれた低電圧部位及び固定解剖学的ブロック(低伝導速度)で囲まれた低電圧を含み得る。2D空間ブリッジフィルタは、他のフィルタと組み合わせて使用される場合、さらにより有用であり得る。
【0154】
ECU100が説明されたメトリック、マップ、及び複合マップを2つ以上の方法で取得し得ることに留意されたい。例えば、さらに上述したように伝導速度メトリックを計算するのとは対照的に、ECU100は、2D空間微分フィルタをLATマップに適用して、伝導速度マップを取得してもよい。さらなる例として、2D空間微分マップを伝導速度マップに適用することにより、伝導速度の勾配も生成し得る。
【0155】
図17を参照して、システム10の一実施形態を以下のように概ね説明する。ステップ270において、医療装置の遠位端部に配置された複数のセンサのうちの少なくとも1つがEPデータを測定し得る。いくつかの実施形態では、1つのみのセンサがEPデータを測定し得る。しかし、他の実施形態では、2つ以上又はさらには遠位端部上のすべてのセンサがEPデータを測定し得る。さらなる実施形態では、多くの医療装置からのセンサがEPデータを同時に測定し得る。
【0156】
ステップ272において、ECUは、センサのうちの少なくとも1つから送信されるEPデータを取得し得る。そのために、センサは、ECUに動作可能且つ電気的に結合し得る。さらに、ECUは、いくつかの場合では、センサにより測定されるEPデータを連続して取得し得る。
【0157】
ECUがEPデータを取得すると、システム10は、ステップ274において、医療装置の遠位端部に配置された複数のセンサのうちの1つ又は複数の位置を特定し得る。上述したように、システム10は、視覚化・ナビゲーション・マッピングサブシステムを使用して、センサの位置特定に役立ち得る。システム10がEPデータ値を、EPデータが測定された特定の位置に関連付け得ることを含むいくつかの理由により重要である。
【0158】
ステップ276において、システム10は、EPデータ及び/又はEPデータを測定したセンサの位置に基づいて1つ又は複数のメトリックを計算し得る。例えば、システムは、センサの間隔及びそれらのセンサでのEPデータ値の両方に基づいていくつかのメトリックを計算する。他のメトリックは、1つ又は複数のセンサから取得されるEPデータ値のみに基づく。いずれの場合でも、メトリックは、上に開示された例示的なメトリックのうちの任意の1つであり得、又は上述したメトリックの結合又は微分であり得る。
【0159】
ステップ278において、システム10は、EPデータを測定したセンサのうちの少なくとも1つの位置に基づくとともに、センサにより測定されたEPデータ又はステップ276において計算されたメトリックのいずれかに基づいてマップを生成するように構成し得る。要するに、システム10は、センサがデータを測定した位置にEPデータ値又は計算されたメトリック値を表示し得る。多くのセンサがEPデータを測定する場合、システム10は、EPデータが測定された物体を横切るか、又は物体全体にわたるEPデータ又はメトリック値の空間変動を示すマップを生成し得る。
【0160】
上記で簡潔に述べたが、システム10に関して上記でより詳細に説明する追加機能もまた、本発明の方法の一部であってもよいことが理解されよう。したがって、その手法に関して明示的に説明されていない機能の範囲まで、上述のそれらの機能の説明は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0161】
さらに、上述のようにシステム10、特にECU100は、既に説明したように、当技術分野で公知の従来の処理装置であり、関連付けられたメモリに記憶された予めプログラムされた命令を実行可能な全ての装置や、本明細書に開示された機能を実施する全ての装置を含むことができることを理解すべきである。本明細書に開示される方法は、本発明の実施形態の方法ステップを含むがこれらに限定されないが、好ましい実施形態では、プログラムされ得られたソフトウェアは、関連付けられたメモリに格納された状態にあり、ここで説明するように、そのような方法を実施するための手段を構成しうることが企図される。本発明の実施は、ソフトウェアとして、上記実施形態の説明に鑑みれば、当業者によるプログラミングスキルのルーチンアプリケーション以上のものを必要としないであろう。このようなシステムは、さらに、ソフトウェアが格納され、まだストレージおよび動的生成されたデータ及び/又は信号の処理を可能にすることができるように、両方のROM、RAM、不揮発性および揮発性(変更)メモリの組み合わせを有するタイプのものであってもよい。
【0162】
本開示の多数の実施形態をある程度の具体性を持って上記のとおり記載したが、当業者であれば添付されたクレームで規定される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく開示された実施形態に対して種々の変更を加えることができる。すべての方向の参照(例えば、時計回りに、水平方向、垂直方向、上、下、下、上、右方向、左方向、右、左、下方向、上方向、下側、上側、および反時計回り)は、読者の本発明についての理解を助けるべく、識別目的で使用されているに過ぎず、特に本発明の位置、方向又は使用に関して制限を与えるものではない。結合に関する参照(例えば、取り付けられる、結合される、接続されるなど)は、広義に解釈されるべきであり、要素の接続部の中間部材や、要素間の相対運動の中間部材を包含している。このように、結合に関する参照は、必ずしも直接的に結合される2つの要素や互いに固定された2つの要素を必ずしも推論するものではない。なお、上記の説明に含まれるまたは添付図面に示されるすべての事項は例示にすぎず、限定するものとして解釈されるべきでないことが意図される。細部又は構造の変更は、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の趣旨から逸脱することなく行うことができる。また、本開示は、以下の開示を含むことができる。
(項目1)
身体組織から電子生理学的(EP)データを分析しマッピングするシステムであって、前記EPデータは、前記身体組織の近傍に位置決め可能な医療装置の遠位端部に沿って配置された複数のセンサにより測定され、前記システムが、
電子制御ユニット(ECU)を備え、前記ECUユニットが、
前記複数のセンサから前記EPデータを取得すること、
前記複数のセンサからセンサの位置を特定すること、及び
前記複数のセンサからの前記EPデータに基づいてメトリックを計算すること、
を行うように構成される、身体組織から電子生理学的(EP)データを分析しマッピングするシステム。
(項目2)
前記ECUが、前記センサの前記位置に基づくとともに、前記メトリック及び前記EPデータに基づいてマップを生成するようにさらに構成される、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記複数のセンサが、既知の空間構成で配置され、前記ECUが、前記既知の空間構成を使用して、前記メトリックを計算するようにさらに構成される、項目2に記載のシステム。
(項目4)
前記複数のセンサがEPデータを同時に測定する、項目3に記載のシステム。
(項目5)
前記ECUが、
前記身体の前記組織を表す解剖学的モデルを生成すること、及び
前記マップを前記解剖学的モデルに関連付けて、表示装置に表示すること、
を行うようにさらに構成される、項目2に記載のシステム。
(項目6)
タイミングデータが前記EPデータに関連付けられ、前記ECUが前記既知の空間構成、前記EPデータ、及び前記タイミングデータを使用して、前記身体の前記組織上のEPパターンを識別する、項目4に記載のシステム。
(項目7)
前記メトリックを計算することが、前記センサに関連付けられた値を生成し、前記値が、前記センサが最後に脱分極されてから経過した時間量を示す、項目2に記載。
(項目8)
前記メトリックを計算することが、前記センサに関連付けられた値を生成し、前記値が、前記センサが脱分極に費やした時間量を表す、項目2に記載のシステム。
(項目9)
前記メトリックが、複数のセンサのセットのうちの少なくとも1つが脱分極している時間量の和を示す、項目2に記載のシステム。
(項目10)
前記マップが前記識別されたEPパターンに基づき、前記マップが、連続心拍と共に更新される、項目6に記載のシステム。
(項目11)
前記ECUが、前記メトリックに基づく微分メトリックを計算するように構成され、前記微分メトリックが、前記メトリックの値が距離に関連して変化している少なくとも1つのレートを示す、項目2に記載のシステム。
(項目12)
前記ECUが、少なくとも2つのメトリックからの値を正規化し、前記少なくとも2つのメトリックを加重し、前記少なくとも2つのメトリックの前記値を結合して、複合メトリックを形成するようにさらに構成される、項目2に記載のシステム。
(項目13)
前記ECUが、整合フィルタを前記EPデータ及び前記メトリックの値のうちの1つ又は複数に適用して、前記身体の前記組織のEPパターンを識別するようにさらに構成される、項目2に記載のシステム。
(項目14)
前記ECUが、前記複数のセンサにより測定される電圧振幅及び伝導速度のうちの1つ又は複数を表す三次元画像を生成するようにさらに構成される、項目2に記載のシステム。
(項目15)
電子生理学的(EP)データを分析する方法であって、
医療装置の遠位端部に配置された複数のセンサを用いてEPデータを測定するステップと、
前記EPデータを前記複数のセンサから電子制御ユニット(ECU)に送信するステップと、
前記複数のセンサからセンサの位置を特定するステップと、
前記EPデータ及び前記センサの前記位置のうちの1つ又は複数に基づいてメトリックを計算するステップと、
前記センサの前記位置に基づくとともに、前記メトリック及び前記EPデータのうちの1つ又は複数に基づいてマップを生成するステップと、
を含む電子生理学的(EP)データを分析する方法。
(項目16)
前記EPデータが測定される身体組織を表す解剖学的モデルを生成すること、及び
前記マップを前記解剖学的モデルに関連付けて、表示装置に表示すること、
をさらに含む、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記メトリックに基づいて微分メトリックを計算することをさらに含み、前記微分メトリックが、前記メトリックの値が距離に関係して変化している少なくとも1つのレートを示す、項目15に記載の方法。
(項目18)
整合フィルタを前記EPデータ及び前記メトリックの値のうちの1つ又は複数に適用して、前記組織のEPパターンを識別することをさらに含む、項目15に記載の方法。
(項目19)
前記複数のセンサの隣接対間の電位を比較するステップと、
前記複数のセンサの前記隣接対のうち、最大電位を有する前記隣接対を選択するステップと、
前記複数のセンサの前記隣接対のうちの前記選択された隣接対により形成される経路を特定するステップと、
特定された経路に基づいてEPパターンを表示するステップと、
をさらに含む、項目15に記載の方法。
(項目20)
前記EPデータ及び前記センサの前記位置のうちの1つ又は複数に基づいて第2のメトリックを計算するステップと、
前記身体組織に対応する関心部位を識別するステップであって、前記関心部位は、前記メトリックと前記第2のメトリックとの一致に基づく、識別するステップと、
をさらに含む、項目16に記載の方法。
(項目21)
心臓組織から測定されるデータを分析するカテーテルシステムであって、
心臓組織の近傍に位置決め可能な遠位端部を有するカテーテルと、
前記カテーテルの前記遠位端部に配置される複数の電極であって、前記心臓組織からの電子生理学的(EP)データを測定する、複数の電極と、
電子制御ユニット(ECU)と、
を備え、前記ECUが、
前記複数の電極のうちの電極から前記EPデータを取得すること、
前記電極の位置を特定すること、
前記電極からの前記EPデータに基づいてメトリックを計算すること、及び
前記電極からの前記位置に基づくとともに、前記メトリック及び前記EPデータのうちの1つ又は複数に基づいてマップを生成すること、
を行うように構成されるカテーテルシステム。
(項目22)
前記複数の電極のうちの少なくとも3つが、リング電極、前記リング電極から離間されたスポット電極、及び心臓アブレーションを実行する先端電極を備え、前記リング電極及び前記スポット電極を既知の空間構成に構成することにより、前記ECUが前記先端電極の位置を特定することができる、項目21に記載のシステム。
(項目23)
前記ECUが、前記マップの部分を少なくとも部分的に透明にし、関係する心臓組織から離れたセンサにより測定されるデータから生成される前記マップの部分ほど、前記関係する心臓組織の近くのセンサにより測定されるデータから生成される前記マップの部分よりも透明に見える、項目21に記載のシステム。
(項目24)
前記ECUにより計算される前記メトリックが、前記電極からの前記EPデータに基づくとともに、心臓生体構造メトリックに基づく、項目21に記載のシステム。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7
図8a
図8b
図8c
図8d
図9
図10a
図10b
図11
図12
図13
図14a
図14b
図14c
図14d
図15
図16
図17