(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5956469
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】吊り下げ式商品ディスプレイシステム
(51)【国際特許分類】
B65D 73/00 20060101AFI20160714BHJP
B65D 33/14 20060101ALI20160714BHJP
B65D 33/00 20060101ALI20160714BHJP
A47F 7/02 20060101ALI20160714BHJP
G09F 1/08 20060101ALN20160714BHJP
【FI】
B65D73/00 D
B65D33/14 Z
B65D33/00 C
B65D73/00 B
A47F7/02 Z
!G09F1/08 H
!G09F1/08 J
【請求項の数】16
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-550967(P2013-550967)
(86)(22)【出願日】2012年1月6日
(65)【公表番号】特表2014-509287(P2014-509287A)
(43)【公表日】2014年4月17日
(86)【国際出願番号】IB2012050088
(87)【国際公開番号】WO2012104737
(87)【国際公開日】20120809
【審査請求日】2014年12月8日
(31)【優先権主張番号】13/017,398
(32)【優先日】2011年1月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514300557
【氏名又は名称】アヴェント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リアン、コア・ティー
【審査官】
神山 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第05593025(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 73/00
A47F 7/02
B65D 33/00
B65D 33/14
G09F 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品のためのディスプレイ用具であって、
折り目によって互いから分けられた上部パネル、中間パネル及び下部パネル、並びに上縁部を有するブランクシートと、
ディスプレイされる商品を保持するための、前記上部パネルに設けられたタブ部と、
前記上部パネルに設けられた、前記ディスプレイ用具の吊り下げのための手段とを含み、
前記下部パネルと前記中間パネルとが折り目に沿ったスロットによって分けられており、
前記上縁部を前記下部パネルと前記中間パネルとの間に設けられたスロットに挿通し、前記下部パネルを前記上部パネルの上に折り返すことができるように構成したことを特徴とするディスプレイ用具。
【請求項2】
前記商品が、前記タブ部に取り付けられるように構成された袋にパッケージングされていることを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ用具。
【請求項3】
前記袋が、その上端部に、前記タブ部を受容するように構成されたスリットを有することを特徴とする請求項2に記載のディスプレイ用具。
【請求項4】
前記タブ部が、2つのタブを含むことを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ用具。
【請求項5】
商品のためのディスプレイ用具であって、
折り目によって互いから分けられた上部パネル、中間パネル及び下部パネル、並びに上縁部を有するブランクシートと、
ディスプレイされる商品を保持するための、前記上部パネルに設けられたタブ部と、
前記上部パネルに設けられた、前記ディスプレイ用具の吊り下げのための手段とを含み、
前記商品を前記上部パネルと前記中間パネルとの間に設けられたスロットに挿通しかつ前記タブ部に取り付けることができるように構成したことを特徴とするディスプレイ用具。
【請求項6】
前記上縁部を前記下部パネルと前記中間パネルとの間に設けられたスロットに挿通し、前記下部パネルを前記上部パネルの上に折り返すことができるように構成したことを特徴とする請求項5に記載のディスプレイ用具。
【請求項7】
前記下部パネルを前記上部パネルの上に折り返した後に該上部パネルに付着させることができるように構成したことを特徴とする請求項6に記載のディスプレイ用具。
【請求項8】
前記タブ部が、2つのタブを含むことを特徴とする請求項5に記載のディスプレイ用具。
【請求項9】
商品をディスプレイするための三つ折りディスプレイシステムであって、
板紙またはプラスチックを含む板材でできているブランクシートを含み、該ブランクシートが、正面及び裏面を有しかつ、上部パネル、中間パネル、下部パネルの3つの部分に分割されており、前記3つのパネルが、折り目に沿って互いから区別または分割されており、
前記中間パネルと前記下部パネルとが第1のスロットによって分けられており、
前記第1のスロットが、前記ブランクシートを折り返すときに前記上部パネルの上縁部を挿通させるのに十分な大きさを持つことを特徴とするシステム。
【請求項10】
前記中間パネルと前記上部パネルとの間に、ディスプレイされる商品を挿通するための第2のスロットをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記ブランクシートが、別々の部片をそれぞれの縁部において結合して製作したものであることを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
上側タブ及び下側タブを有するタブ部をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記両タブが、前記ブランクシートから切り起こしたものであり、1本の線に沿って共通のヒンジまたは折り目を有することを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記両タブが、互いから所定距離離間して配置されていることを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記商品が、上端部にスリットを有するプラスチック製の袋に入れられており、
前記ブランクシート上で前記袋を保持するために、前記袋を前記第2のスロットに挿通しかつ前記スリットに前記タブ部を差し込むことができるように構成されており、
前記袋の下側部分を前記ディスプレイから切り離す際に役立つように、前記袋が折り線またはミシン目をさらに有していることを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
商品をディスプレイする方法であって、
前記商品を保持する袋の上側部分を、3つのパネルでできているブランクシートの第1のパネルと第2のパネルとの間に設けられたスロットに挿通するステップと、
前記袋の上側部分に設けられたスリットに、前記ブランクシートの前記第1のパネル上に設けられたタブ部を差し込むことによって、前記袋を前記タブ部に取り付けるステップと、
前記第1のパネルの上縁部を、前記第2のパネルと第3のパネルとの間に設けられたスロットに挿通し、前記第2のパネルを前記第1のパネルに接触させるステップと、
前記第3のパネルを前記第1のパネルの裏面に接触するように折り返すステップとを含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容易に触れられるように商品をパッケージング及びディスプレイするためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
数多くの製品を保持しかつ消費者及び利用者に向けて陳列(ディスプレイ)するために、これまで、様々なディスプレイ用具が利用されてきた。宝石、ボタン、歯ブラシ、ボルト及びナット、並びに他のより小さいサイズの製品などの様々な製品を消費者に見せるために、ディスプレイカード(display card)が利用されてきた。陳列される製品の種類にかかわらず、理想的には、ディスプレイカード及び製品は、組立てが比較的容易であるべきであり、ディスプレイカードは、審美的に魅力がありかつ容易に触れられるように物品を陳列するべきである。従来知られているディスプレイカードは、物品を自身に固定するための部材を有する概ね平面状の外面部と、陳列棚や陳列棒などの支持部材に係合するためのフックまたは開口部とを含み得る。ディスプレイカードに支持される物品の種類に応じて、上記固定用部材は様々な形態をとり得る。
【0003】
ディスプレイカードに加えて、製品を保持しかつ消費者に向けて陳列するために、袋または小袋も利用されてきた。或る場合には、袋または小袋は、支持部材の上で陳列されるパッケージの一部である。例えば、米国特許第2,850,160号明細書(特許文献1)には、パッケージであって、製品を保持するための透明な内袋または容器と、パッケージ入りの製品をパッケージ越しに直接見ることを可能にする窓とを含むものが開示されている。パッケージを吊り下げ用の棒などに通したり吊り下げて陳列したりするために、舌片に孔を開けてもよい。米国特許第5,184,724号明細書(特許文献2)にも、同様に、小さな物品が中に入った軟質の透明な小袋と、それを支持するためのパッケージが開示されている。このパッケージには開口部が設けられており、該開口部を通して小袋の一部が見えるので、消費者は小袋の中の物品を見ることができる。米国特許第5,915,564号明細書(特許文献3)は、パッケージから取り外す前に物品に触れることができるような、個々の物品を保持するためのボール紙パッケージを提供する。特許文献3のボール紙パッケージには、パッケージ組立て用のスロット及びタブが設けられているが、1パッケージに1物品しか入っていない。加えて、米国特許第6,186,934号明細書(特許文献4)には、ハンガーを含む吊り下げ式袋が開示されている。このハンガーは、吊り下げ用の棒を受容するように寸法が決められておりかつパッケージのヘッダー部の内部に設けられたフックであり、それによってパッケージがよりコンパクトなものになっている。上記の陳列用小袋では、小袋または袋は各々、ディスプレイカードの一部として接合または別な方法で形成されている。従って、上記の小袋または袋はディスプレイカードそのものと別々に使用されることは意図されていない。加えて、複数の製品陳列用小袋は、各吊り下げ式パッケージとともに使用されるものとは考えられていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第2,850,160号明細書
【特許文献2】米国特許第5,184,724号明細書
【特許文献3】米国特許第5,915,564号明細書
【特許文献4】米国特許第6,186,934号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで特に関心があるのは、頻繁に使用される物品を供給するために病院内に配置することができるディスプレイである。これらの物品は、例えば個々の病室で用いられることができ、1回のシフト当たり1回または2回、すなわち4〜8時間毎に用いられることができる。このような物品の例は、毎回の使用後に廃棄される身繕い用具である。別の例は、この場合もやはり毎回の使用後に廃棄される口腔衛生製品の包装容器である。そのような物品を調達するのに病院職員が費やす時間を減らすために、これらの供給の準備が常にできていることが必要である。必要な物品を使用のたびに離れた備品室で探していたのでは、病院職員の時間をかなり無駄にすることになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書においては、使用されることになる物品を収容する1若しくは複数の小袋または袋を保持する吊り下げ可能なディスプレイシステムが開示される。上記物品は、例えばポリエチレンなどのビニール袋の如きリサイクル可能な材料でできた袋に入れられている。
【0007】
最も広い実施形態では、開示されるディスプレイは、上部パネル、中間パネル及び下部パネル並びに上縁部を有するブランクシート(blank)から製造される。これらのパネルは、折り目によって互いから区別される。上部パネルには、ディスプレイされることになる商品を保持するためのタブ部が設けられる。上部パネルには、ディスプレイ用具を吊り下げるための手段も同様に設けられることが望ましい。袋は、該袋をタブ部に掛けてブランクシートに取り付けるためのスリットを有する。袋は、上部パネルと中間パネルとの間においてブランクシートの裏面から挿通され、タブ部に取り付けられる。タブ部に掛けて袋を比較的しっかりと保持するために、袋がタブ部に取り付けられた後、下部パネルと中間パネルとの間において上部パネルの上縁部が挿通され、上部パネルの上に下部パネルが折り返される。その後、上部パネルに設けられたスロットまたはフックを用いて、ディスプレイを吊り下げることができる。
【0008】
袋の上側部分がディスプレイに付着した状態のままで、物品を収容している袋の下側部分をディスプレイから取り外すことができるように、袋を引き離すことを可能にするミシン目線または脆弱線を袋に設けることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ブランクシートの正面図。このブランクシートから吊り下げ式商品ディスプレイシステムを製作することができる。ブランクシートは、上部パネル、中間パネル及び下部パネルを有し、各パネルは、折り目及び任意選択でスロットによって分けられている。このブランクシートは、ディスプレイされる商品のための容器(例えば袋)を受け入れるために外向きに折り曲げられるタブを有している。
【
図2】ブランクシートの正面図。このブランクシートから吊り下げ式商品ディスプレイシステムを製作することができる。ブランクシートは、上部パネル、中間パネル及び下部パネルを有し、各パネルは、折り目及び任意選択でスロットによって分けられている。このブランクシートは、ディスプレイされる商品のための容器を受け入れるために外向きに折り曲げられ、その後、より大きな保持力を得るためにブランクシート内にロックすることができる別のタブを有している。
【
図3】ディスプレイされることになる商品を保持するためのポリマー製の袋の図。この袋は、該袋をブランクシート上のタブに取り付けるためのスリットと、望ましくは、ディスプレイから取り外すために袋の下側部分及び上側部分を互いから切り離すための脆弱線とを有している。
【
図4】上部パネルと中間パネルとの間に設けられたスロットに挿通された後に、タブに取り付けられている袋の図。タブは、2枚一緒に抓まれ、袋に設けられたスリットに差し込まれている。
【
図5】袋をタブに掛けて保持するために、タブをスリットに差し込み、タブを元の位置に向けて後ろへ動かした後のブランクシートに掛けられた袋の図。
【
図6】中間パネルと下部パネルとの間に設けられたスロットに上部パネルの上縁部を挿通しているときのタブを側面から見た図。タブは、(
図5において見られるように)平らなままであり、その後、タブが当たる中間パネルによって、適所に保持される。
【
図7】中間パネルと下部パネルとの間に設けられたスロットに上部パネルの上縁部を挿通しているときのブランクシートの別の図。下部パネルを下向きに折り返して上部パネルの裏面に重ねるステップの途中が示されている。
【
図8】完成したアセンブリの図。ブランクシートに取り付けられている複数の袋が示されている。最終的なディスプレイの形態をとるようにブランクシートを折り、吊り下げ用のスロットが見える状態にした。
【
図9A】間隔及び概ね矩形の形状を示す別のタブ配置の図の1つ。
【
図9B】間隔及び概ね矩形の形状を示す別のタブ配置の図の1つ。
【
図9C】間隔及び概ね矩形の形状を示す別のタブ配置の図の1つ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、図面を参照する。図面中において、本発明の様々な構成要素に符号を付し、当業者が本発明を実施及び使用できるように本発明について説明する。以下の説明は、本発明の原理の単なる例示でしかなく、係属中の特許請求の範囲を狭めるものと見なされるべきではないことを理解されたい。当業者であれば分かるように、本明細書で述べられている様々な実施形態の態様は、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなしに、置き換えたり変更したりすることができる。
【0011】
図面を見てみると、
図1は、開示される吊り下げ式商品ディスプレイシステムの概略的な実施形態を示している。本システムはブランクシート10から製作され、ブランクシート10は、比較的固い板紙、プラスチックまたは同等の素材であって、本システムが吊り下げられるときに商品を支持するために十分な強度を持つものでできている。ブランクシート10は、正面13及び裏面15を有し、上部パネル12、中間パネル14、下部パネル16の3つの部分に分割されている。これらのパネルは、折り目に沿って互いから区別または分割されている。折り目A−Aが下部パネル16と中間パネル14とを分割し、折り目B−Bが中間パネル14と上部パネル12とを分割している。折り目A−Aに沿って下側または第1のスロット22が設けられていることが望ましく、下側または第1のスロット22は、ブランクシート10を折り返すときにブランクシート10の上縁部18を挿通させるのに十分な大きさを持つ。中間パネル14と上部パネル12との間に、折り目B−Bに沿って、別の(上側または第2の)スロット24が配置されていることが望ましい。この上部スロット24は、吊り下げられることになる商品のためのものであり、以下でより詳しく説明する。スロットは、商品袋または他のパネルを挿通させるのに十分な幅があればそれでよいので、ただのスリットであってよいということにも留意されたい。
【0012】
あるいは、3つのパネル12、14、16は、同じブランクシートから製作されていない別々の部片であってもよい。その場合、これらのパネルをそれぞれの縁部において結合することにより、
図1に示されているような三つ折りブランクシートを製作することができる。結合は、例えば、各パネルに取り付けられたヒンジ、フックアンドループ結合部または当業者に既知の他の手段によるものであってよい。3つのパネルは、尚も互いに接触するように折ることができること及び、袋または他のパネルを挿通するために分離可能であることが重要である。
【0013】
上部パネル12は、商品を固定するために用いられる少なくとも1つのタブ部30を有する。
図1に示されているように、タブ部30は、2つのタブすなわち上側タブ32及び下側タブ34を有する。これらは、ブランクシート10から切り起こしたものであり、線C−Cに沿って共通のヒンジまたは折り目を有するが、共通のヒンジは必須ではなく、タブ32、34は互いから或る距離だけ離れていてよい。この態様については、以下で、より詳細に説明する。吊り下げられる商品60はプラスチック製の袋50に入れられており、袋50はその上側部分または上端部54に開口またはスリット52を有している(
図3)。商品60を使用するために取り外すことができるように、完成した吊り下げ式ディスプレイにおいて商品60が収容されている袋50の下側部分56を袋50の上端部54から切り離す際に役立つような折り線またはミシン目58を袋50に設けることも望ましい。
【0014】
ディスプレイを組み立てる際、ブランクシート10の裏面15から、プラスチック製の袋50の上端部54をスロット24に挿通する(
図4)。タブ32、34をブランクシート10から離れる方向に(すなわち、図面を見る者の方に向かって)両者が合わさるまで折り曲げ、その後、タブ32、34を袋50のスリット52に差し込む。その後、タブ32、34をブランクシート10に実質的にぴったりと付く元の位置に向けて押すかまたは戻るに任せ、斯くして袋50をブランクシート10に押し付けて保持する(
図5)。上記したように、1枚のブランクシート10につき2つ以上のタブ部30を設けることができ、各タブ部30は1若しくは複数の袋50を保持することができる。
【0015】
望ましい数の袋50をタブ32、34に取り付け終わったら、中間パネル14をタブ部30の上に(すなわち、正面側に)上向きに折り返すことができる。中間パネル14と下部パネル16との間に設けられたスロット22にブランクシート10の上縁部18を挿通し、折り目A−Aに沿って折り返すことができる(
図6)。最後に、折り目B−Bに沿って折り返すことによって、下部パネル16は上部パネル12の裏面に接触するように下に下げられる(
図7)。このようにして、中間パネル14がタブ32、34を適所に保持し、タブは今度は袋50を適所に保持する。必要に応じて、任意の適切な方法で、下部パネル16を上部パネル12の裏面に付着させることができる。
【0016】
完成したディスプレイを吊り下げるための手段を上部パネル12に設けることもできる。ディスプレイを吊り下げる1つの便利な方法は、
図1に示されているような吊り下げ用スロット42、44を用いることであり、スロット42、44は、典型的なディスプレイホルダを受け入れるように設計されている。あるいは、ディスプレイを適切な掛け釘や棒などから吊り下げることができるように、上縁部18において、ブランクシート10からフックを切り起こしたり、ブランクシート10にフックを付加したりすることができる。
【0017】
ブランクシート10は、任意の適切な可撓性材料で作られたものであってよい。適切な材料には、プラスチック、ボール紙及び、望ましくは、固体漂白硫酸塩(solid bleached sulfate:SBS)板、上質板紙が含まれる。ディスプレイされることになる物品に応じて、ブランクシート10の大きさを変えることができる。一実施形態では、患者の病室において口腔ケアのために使用されることになる物品を収容するためにディスプレイを用いることができ、この場合、適切な清掃、吸引及び洗浄用品が袋50に供給されることになる。8時間のシフト毎に少なくとも1回口腔衛生が行われることが望ましいので、1日に複数のキット(例えば袋)が必要であり、各袋には、各口腔清掃に必要とされる物品の全てが収容される。例えば1人の患者のまる1週間のケアのための適切な数の口腔ケアキット(袋)を備えるようにディスプレイを製作することができる。こうすることで、それぞれの患者のための物品の迅速な補給を確実にし、病院職員が用品を探す手間を最小限にすることになる。1週間分の用品が入ったディスプレイを便利な場所で病室の壁に貼り付け、設置した日を記すことができる。例えば、口腔ケア用ディスプレイの場合、ブランクシート10は、長さが約20〜40cm、望ましくは約30cmで、幅が約10〜30cm、望ましくは約19cmであり得る。パネル間のスロットは、幅が約0.3〜0.8cm、望ましくは約0.6cmであり得る。ブランクシート10は、正の数ないし約4mmの厚さを有し得る。
【0018】
それぞれのパネルは、互いに同じ大きさである必要はない。例えば、上部パネルには、完成したディスプレイを吊り下げるための手段を設けることが望ましいので、上部パネルを中間パネル及び下部パネルよりも大きくすることができる。下部パネル及び中間パネルは、ほぼ同じ長さであることが望ましく、長さが約7〜10cmであり、例えば口腔ケア用ディスプレイの場合には長さが約8.25cmであることが望ましい。
【0019】
ここで
図2を見ると、袋50を保持するための別のタイプのタブが示されており、このタブは、より大きな保持強度を与えることができる。この別のタブ部70は、ブランクシート10から切り起こしたタブ74を有する。ブランクシート10に切り込みを入れて形成した、タブ74の前縁部76が収まる大きさのスリット72も設けられている。任意選択で、タブ74をスリット72に差し込むのに役立つような折り目D−Dをタブ74に設けることもできる。タブ74は、縁部76のそれぞれの端にウイング部78を有することが望ましい。ウイング部78は、タブ74がスリット72に差し込まれたら、スリット72内にとどまることになる。これにより、
図1の実施形態において見られるようなタブを適所に保持するために中間パネル14を上部パネル12に押し付けるだけの場合よりも、大きな保持力が与えられることになると考えられる。この別の実施形態では、
図1の実施形態と同じ方法で裏面から袋50をスロット24に挿通し、別のタブ74を袋50のスリット52に差し込み、この別のタブ74をさらにスリット72に差し込む。最後に、中間パネル14と下部パネル16との間に設けられたスロット22にブランクシート10の上縁部18を挿通し、下部パネル16を上部パネル12の裏面に接触するように下に下げることができる。
【0020】
図4に示されているように、ブランクシート10の裏面15から、上部パネル12と中間パネル14との間に設けられたスロット24に袋50を挿通する。袋は上側部分54にスリット52を有しており、スリット52にはタブ32、34が差し込まれる。スリット52に差し込む前に、タブ32、34を一緒に、すなわち、ブランクシート10に対して垂直に曲げているので、タブ32、34はスリット52を通り抜けることになる。1組のタブ32、34につき複数の袋を設けることができ、タブ32、34を複数組設けることができる。
図4は、2組のタブ32、34を有するブランクシート10を示している。
【0021】
スロット24に袋50を挿通し、タブ32、34をスリット52に差し込んだ後、タブ32、34を最初の位置に戻す。すなわち、タブ32、34をブランクシート10にぴったりと付ける。この位置は、
図5に示されている。タブ32、34をブランクシート10の方に戻し、タブ32、34を平らにすることによって袋を所定位置に「ロック」することで、タブは大きすぎてスリット52を逆向きに通過できなくなる。しかし、この時点で袋50を下向きに引っ張ると、タブ32、34を再びブランクシート10に対して垂直な位置へ動かすことになり、袋50をタブ32、34から抜き取ることができる。
【0022】
図6に示されているように、ブランクシート10に袋50を固定する方法の次のステップは、上部パネル12の上縁部18を下部スロット22に挿通することである。これは、タブ32、34が実質的にブランクシート10にぴったりと付いたままであることを確認しながら行うべきである。
図6は、上部パネル12を下部スロット22に挿通しているときのタブ32、34が見られるように側面から見た方法の図である。
【0023】
図7は、上部パネル12の上縁部18を下部スロット22に完全に挿通させることにより、上部パネル12及び中間パネル14が互いに接触して平になっている状態を示している。下部パネル16を上部パネル12の裏面に接するように下向きに曲げている途中が示されている。この位置において、中間パネル14は上部パネル12に接触して実質的に平らな状態にタブ32、34を維持しているので、袋50は正しい位置に保たれている。
【0024】
図8は完成したディスプレイを示している。この
図8では、2組のタブ32、34(図では見えない)があり、各タブは複数の袋50を保持している。この図では上部パネル12が見えないが、中間パネル14が上部パネル12に接触し、タブ32、34をブランクシート10(または上部パネル12)に押し付けて適所に保持するように、ブランクシート10が折られている。下部パネル16を上部パネル12の裏面に接触するように下向きに折り返すことにより、ディスプレイを完成させた。完成したユニットのディスプレイまたは保管に便利であるように、完成したディスプレイを吊り下げるための手段(この場合にはスロット42、44)を設けることができる。
【0025】
上記したように、下部パネル16を上部パネル12の裏面に接触するように下向きに折り返すと、ディスプレイのアセンブリが完成する。大部分の用途には、パネルをこの位置で保持する追加的手段は必要ないと考えられる。しかし、さらに大きな保持力が望ましい用途もあり得る。そのような場合、補助的な付着手段を用いればよい。例えば、糊、ステープル、フックアンドループファスナ、テープまたは他の既知の締結体により、最終的な位置で下部パネルを上部パネルに付着させることができる。こうすれば、商品を収容する複数の袋のうちの1つを利用者が取り外したときに、ディスプレイがバラバラにならない。
【0026】
ここで
図9を見ると、本発明の実施に際して用いることができる一連のタブ32、34が示されている。
図9Aは、タブ32、34が同じ大きさでありかつ互いから短い距離だけ離れているような概ね矩形のタブ部を示している。
図9Bは、タブ32、34の大きさが互いに異なり、この場合もやはり互いから短い距離だけ離れているタブ部を示している。
図9Cは、タブ32、34の大きさが互いに異なるが、両タブ間の距離が離れていないものを示している。これらのタブ部のうちの任意のものを本発明の実施に際して用いることができる。加えて、タブ32、34は互いに異なる形状、例えば、円形、楕円形、または「M」字形、「V」字形、「U」字形、「W」字形などであってよい。両タブが或る距離だけ離れている場合には、2本の折り目またはヒンジ線が必要である(
図9A及び
図9Bに破線で示されている)。両タブが離れていない場合には(
図9C)、折り目またはヒンジ線が1本あれば十分である。両タブが或る距離だけ離れている場合には、1本のヒンジ線を有する場合よりも幾分か大きな保持力を有すると考えられる。ヒンジ線が1本しかない場合には、ブランクシート10とブランクシート10から切り起こしたタブと間の付着力が非常に小さくなる(
図9Cを参照)ので、商品に中程度の引張力が及ぼされる用途において、ヒンジ線が2本の場合よりもブランクシート10から引き剥がしやすくなるであろう。
【0027】
さらに、ディスプレイ上に中身の表示やその他の広告情報を提供することもできる。ディスプレイが完成した時点で、中間パネル14の裏面15は外側に向くので最も人目を引くパネルとなり、従って、このパネル14に適切な識別及び/または価格(例えばSKU)情報を表示することができる。上部パネル12の正面も部分的に(上側部分)目に見えることになるので、これも同様に表示のための適切なパネルとなるであろう。
【0028】
上記で開示した製品に加えて、商品をディスプレイする方法も本発明に含まれる。該方法には、商品が入れられた袋の上側部分を、3つのパネルでできているブランクシートの第1のパネルと第2のパネルとの間に設けられたスロットに挿通するステップが含まれる。袋の上側部分に設けられたスリットにタブ部を差し込むことによって、第1のパネル上のタブ部に袋を取り付ける。その後、第2のパネルと第3のパネルとの間に設けられたスロットに上部パネルの上縁部を挿通して第2のパネルを第1のパネルに接触させることにより、タブを適所に保持する。最後に、第3のパネルを第1のパネルの裏面の上に下向きに折り返す。
【0029】
本明細書及び特許請求の範囲において、「含む」なる語は、包括的すなわち非限定(open-ended)であり、追加の未列挙要素、組成物成分または方法のステップを除外するものではない。
【0030】
これまで、本発明についてその特定の実施形態に関して詳細に説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなしに、本明細書に開示されている形態に様々な改変、修正及び他の変更を加えることができることは、当業者に明らかである。従って、添付の特許請求の範囲は、そこに含まれる全てのそのような修正形態、改変形態及び他の変更形態を網羅することが意図されている。