特許第5956472号(P5956472)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5956472ボルスタを有するフレキシブルなマルチパネル滅菌アセンブリ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5956472
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】ボルスタを有するフレキシブルなマルチパネル滅菌アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/26 20060101AFI20160714BHJP
   A61L 2/07 20060101ALI20160714BHJP
   A61B 50/30 20160101ALI20160714BHJP
   B65D 81/20 20060101ALI20160714BHJP
【FI】
   A61L2/26
   A61L2/07
   A61B50/30
   B65D81/20 K
【請求項の数】17
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2013-552313(P2013-552313)
(86)(22)【出願日】2012年2月3日
(65)【公表番号】特表2014-510567(P2014-510567A)
(43)【公表日】2014年5月1日
(86)【国際出願番号】IB2012050496
(87)【国際公開番号】WO2012104811
(87)【国際公開日】20120809
【審査請求日】2015年1月19日
(31)【優先権主張番号】61/439,683
(32)【優先日】2011年2月4日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/364,636
(32)【優先日】2012年2月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514300557
【氏名又は名称】アヴェント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブリッカー、エリック・ティー
(72)【発明者】
【氏名】ファーマー、ジェフリー・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ゲイナー、メリッサ・アール
(72)【発明者】
【氏名】ジェンキンス、ショーン・イー
(72)【発明者】
【氏名】パンペリン、マーク・ティー
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァルツ、コリーナ
(72)【発明者】
【氏名】スミス、タラ・デニス
(72)【発明者】
【氏名】ターンボウ、キャサリン・ジェイ
【審査官】 金 公彦
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−520511(JP,A)
【文献】 特表2009−502675(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00− 2/28
A61L 11/00−12/14
B65D 67/00−79/02
B65D 81/18−81/30
B65D 81/38
A61B 34/00−90/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使い捨て式のフレキシブルなマルチパネル滅菌アセンブリであって、
細菌または他の汚染物質の通過を阻止するバリア性を有する透過性シート材料を含んでなり、第1の面、前記第1の面の反対側の第2の面、所定の折り線を概ね画定する第1の端部、前記第1の端部の反対側に位置する第2の端部、前記所定の折り線に対して概ね垂直な第1の縁部、前記所定の折り線の概ね反対側に位置する第2の縁部、前記所定の折り線に対して概ね垂直な第3の縁部、前記第1の縁部から前記第3の縁部までの距離である幅、前記第1の端部から前記第2の端部までの距離である長さ、前記長さ方向についての中間点にて前記第1の縁部及び前記第3の縁部の間に延在する中間線、前記中間線及び前記所定の折り線の間に延在する物品配置領域及び、前記中間線及び前記第2の縁部の間に延在する物品被覆領域を有するバリアパネルと、
前記バリアパネルの前記第1の縁部及び前記第3の縁部またはその近傍の少なくとも一部に配置されたバリアパネルボルスタと、
前記バリアパネルの前記所定の折り線及び前記中間線の間における前記第1の縁部またはその近傍あるいは前記第3の縁部またはその近傍の所定位置において前記バリアパネルに結合され、前記バリアパネルの前記物品配置領域を画定し、かつ前記バリアパネルを前記中間線またはその近傍で折り返して前記第2の端部を前記第1の端部に近接させた後に前記バリアパネルの前記第1及び第3の縁部を互いにまたは前記物品被覆領域の一部に対して結合させるべく構成されたパネル結合手段と、
透過性シート材料を含んでなり、前記バリアパネルに隣接配置され、前記所定の折り線に概ね隣接する近位端部、前記近位端部の反対側に位置する遠位端部、前記近位端部から前記遠位端部まで延在する少なくとも第1の保護パネル縁部及び第2の保護パネル縁部、前記第1の保護パネル縁部から前記第2の保護パネル縁部までの距離である保護パネル幅及び、前記近位端部から前記遠位端部までの距離である保護パネル長さを有し、かつパッケージを形成すべく前記バリアパネルを前記中間線またはその近傍で折り返して前記バリアパネルの前記第2の端部を前記バリアパネルの前記第1の端部に近接させ前記バリアパネルの前記第1及び第3の縁部を互いにまたは前記物品配置領域に対して結合させた後に、折り畳まれた前記バリアパネルの少なくとも前記第1及び第3の縁部を覆うべく前記所定の折り線またはその近傍で折り返すべく構成された折り畳み保護パネルとを含み、
前記バリアパネルボルスタは前記バリアパネルに結合され、前記バリアパネルボルスタによって、前記バリアパネルの前記縁部またはその近傍において前記バリアパネルの坪量を少なくとも5パーセント増加させ、
前記バリアパネルボルスタによって、前記バリアパネルの展開時に該バリアパネルの展開された前記第1及び第3の縁部が折り畳み方向に折れ戻ることを防止するようにしたことを特徴とするアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載の滅菌アセンブリであって、
前記バリアパネルボルスタによって、長時間の蒸気滅菌後の前記バリアパネルの展開時に展開された前記バリアパネルが折り畳み方向に折れ戻ることを防止するようにしたことを特徴とするアセンブリ。
【請求項3】
請求項1に記載の滅菌アセンブリであって、
前記バリアパネルが第4の縁部をさらに有することを特徴とするアセンブリ。
【請求項4】
請求項3に記載の滅菌アセンブリであって、
前記バリアパネルが第5の縁部をさらに有することを特徴とするアセンブリ。
【請求項5】
請求項1に記載の滅菌アセンブリであって、
前記バリアパネルボルスタが、前記バリアパネルの前記物品被覆領域における前記第1及び第3の縁部またはその近傍に配置されることを特徴とするアセンブリ。
【請求項6】
請求項1に記載の滅菌アセンブリであって、
前記バリアパネルボルスタを前記バリアパネルに結合させることによって、前記バリアパネルの前記縁部またはその近傍における前記バリアパネルの剛性を、前記バリアパネルボルスタ及び前記バリアパネルを互いに組み合わせたが互いに結合させていない場合と比べて少なくとも5パーセント高めたことを特徴とするアセンブリ。
【請求項7】
請求項1に記載の滅菌アセンブリであって、
前記バリアパネルの前記第2の端部に設けられた少なくとも1つのプルタブをさらに含むことを特徴とするアセンブリ。
【請求項8】
請求項1に記載の滅菌アセンブリであって、
前記物品配置領域内に配置される別個の補強要素をさらに含み、前記補強要素によって、被滅菌物品を配置する領域を画定するようにしたことを特徴とするアセンブリ。
【請求項9】
請求項1に記載の滅菌アセンブリであって、
前記バリアパネルボルスタが前記物品配置領域まで延在しており、前記バリアパネルボルスタによって前記物品配置領域の補強を提供し、かつ被滅菌物品の配置領域を画定するようにしたことを特徴とするアセンブリ。
【請求項10】
請求項1に記載の滅菌アセンブリであって、
パッケージを形成すべく該アセンブリを適切に折り畳む方法に関する情報を提供する標識または説明を該アセンブリ上にさらに含むことを特徴とするアセンブリ。
【請求項11】
請求項1に記載の滅菌アセンブリであって、
該アセンブリを折り畳んでパッケージを形成し、かつ滅菌した後に、該アセンブリを適切に展開する方法に関する情報を提供する標識または説明を該アセンブリ上にさらに含むことを特徴とするアセンブリ。
【請求項12】
使い捨て式のフレキシブルなマルチパネル滅菌アセンブリであって、
細菌または他の汚染物質の通過を阻止するバリア性を有する、少なくとも2つのパネル縁部を画定するバリア材料シートを含んでなり、パッケージを形成すべく被滅菌物品の周りに折り畳むことができるように構成されたバリアパネルと、
前記バリアパネルの前記少なくとも2つのパネル縁部またはその近傍の少なくとも一部に配置されたバリアパネルボルスタと、
前記バリアパネルの一部に配置され、前記バリアパネルの1以上の前記パネル縁部を前記被滅菌物品の周りに折り畳み形態で固定することができるように構成されたバリアパネル結合手段と、
前記バリアパネルから延設され、前記バリアパネルに概ね隣接する近位端部及び、前記近位端部の概ね反対側に位置し前記バリアパネルを折り畳み形態にした後に前記バリアパネルの前記1以上のパネル縁部を覆う遠位端部を有する折り畳み保護パネルとを含み、
前記バリアパネルボルスタは前記バリアパネルに結合され、前記バリアパネルボルスタによって、前記バリアパネルの前記縁部またはその近傍において前記バリアパネルの坪量を少なくとも5パーセント増加させ、
前記バリアパネルボルスタによって、前記バリアパネルの展開時に該バリアパネルの展開された前記パネル縁部が折り畳み方向に折れ戻ることを防止するようにしたことを特徴とするアセンブリ。
【請求項13】
請求項12に記載の滅菌アセンブリであって、
前記バリアパネルボルスタによって、長時間の蒸気滅菌後の前記バリアパネルの展開時に該バリアパネルの展開された前記パネル縁部が折り畳み方向に折れ戻ることを防止するようにしたことを特徴とするアセンブリ。
【請求項14】
請求項13に記載の滅菌アセンブリであって、
前記バリアパネルボルスタを前記バリアパネルに結合させることによって、前記バリアパネルの前記縁部またはその近傍における前記バリアパネルの剛性を、前記バリアパネルボルスタ及び前記バリアパネルを互いに組み合わせたが互いに結合させていない場合と比べて少なくとも5パーセント高めたことを特徴とするアセンブリ。
【請求項15】
請求項12に記載の滅菌アセンブリであって、
前記バリアパネルボルスタによって前記バリアパネルに対する補強を提供し、かつ被滅菌物品の配置領域を画定するようにしたことを特徴とするアセンブリ。
【請求項16】
請求項12に記載の滅菌アセンブリであって、
前記バリアパネルボルスタが、繊維ウェブ、織物ウェブ、フィルム及びそれらの組み合わせから選択される材料の1以上の層を含むことを特徴とするアセンブリ。
【請求項17】
請求項12に記載の滅菌アセンブリであって、
該アセンブリを折り畳んでパッケージを形成し、かつ滅菌した後に、該アセンブリを適切に展開する方法に関する情報を提供する標識または説明を該アセンブリ上にさらに含むことを特徴とするアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2011年2月4日出願の米国特許仮出願第61/439,683号に基づく優先権を主張するものである。
【0002】
(技術分野)
本発明は、概して、滅菌すべき物品(被滅菌物品)を包み、前記物品を使用するときまで無菌状態で保存するのに用いられる使い捨て式ラップに関する。
【背景技術】
【0003】
ガウン、シーツ、ドレープ、医療器具などの手術または他の無菌手技中に必要とされる様々な製品は、病院や診療所などでの通常業務において日常的に使用される。前記製品が無菌状態で予め包装されていない場合、病院や診療所等は前記製品を使用前にクリーニングする必要がある。さらに、前記製品が使い捨て式ではなく2回以上使用される場合、前記製品を消毒するかまたは別の方法で次回の使用のために準備する必要がある。いずれにしても、前記製品が使用前に滅菌されていることが必須である。
【0004】
関連する材料の体積に起因して、前記製品をその後の使用のために滅菌して保存する必要がある場合が多い。したがって、前記製品をクリーニングまたは洗濯した後に滅菌布で包み、次回の使用のために無菌状態で保存する方法が開発されてきた。使い捨て式の滅菌布は、一般的に、所定の長方形状に切断された滅菌ラップとして販売されている。
【0005】
従来の使い捨て式滅菌ラップを使用して行う滅菌トレイまたは同様の物品の従来の包装は、多くの場合、包装される物品よりも大幅に大きい面積を有する材料を含み、余分な角部と重ね合わせプライ(overlapping plies)を折り返して滅菌トレイの頂部に集めて互いに結合させるように構成されている。
【0006】
従来の使い捨て式滅菌ラップは、平坦な特徴のない材料シートであり、場合によっては、強度または吸収性を高めるための1以上の追加的な材料層を含み得る。この平坦な特徴のない構造は、前記平坦な材料シートで物品を包装する作業をする人に対して、物品の包装方法に関する情報やガイダンスは提供しない。
【0007】
従来の使い捨て式滅菌ラップは、しばしば、安価な比較的不透過性の材料(例えば紙など)から作製される。前記材料の性質は一般的に、包装されたトレイまたは物品の無菌性を確実にするための折り畳み技術及びラッピング構造に対して影響を与える。
【0008】
例えば、特許文献1に、物品の簡便な二重包装を可能にする2つの同様なサイズの重畳パネルを形成すべく1枚以上の滅菌ラップシート(例えば、2枚の別個のシートまたは折り畳んだ1枚シート)を互いに結合させることにより形成された複数プライ型の滅菌ラップが開示されている。別の例としては、特許文献2に、1枚の滅菌ラップ材料シートから形成された2プライ型滅菌ラップであり、該ラップを折り畳むことにより、互いに結合される2枚の同様なサイズの重畳パネルが形成されるラップが開示されている。さらなる別の例としては、特許文献3に、第1のメインパネルと、それよりも小さい第2のパネルとを含む滅菌ラップ材料が開示されている。前記第2のパネルは、前記第1のメインパネルを補強するため及び/または追加的な吸収性を高めるために、前記第1のメインパネル内に完全に含まれるように前記第1のメインパネルの中央位置に重ね合わされ結合される。
【0009】
概して言えば、上記の例及び別の例では、従来の使い捨て式滅菌ラップの大型シートは一般的に、1つまたは2つの標準的な折り畳み技術を用いてオーバーラッピング材料の大きな広がりを形成するために使用される。これらの従来技術及び結果として得られる折り畳み構造は、包装または解包の過程中に過度な量の材料を折り畳んだり広げたりする必要がある。トレイまたは同様の物品を迅速にかつ確実に包装するためには、経験とある程度の技能を必要とする。スケジューリング及びコスト圧力の理由で、いくつかの手技に必要とされる医療機器はすぐに使い回すことが必要とされており、前回の手技の使用から数時間以内に使用するために、必要な処理及び滅菌を行って再使用できるようにしなければならない。ターンアラウンド(使い回し)時間をさらに短縮するために、包装の完全性を確実にしながら、物品をより素早く包装する必要性が高まっている。また、滅菌された物品の無菌性を保ちつつ、滅菌された物品を迅速に解包する必要性が高まっている。
【0010】
従来の使い捨て式滅菌ラップの大きなシートと、標準的な折り畳み技術との組み合わせは、特に滅菌ラップが滅菌過程中に硬くなるかまたはこわばる材料から形成される場合に、滅菌後の物品の解包時に利点を提供する。例えば、長時間のまたは強力な熱滅菌処理において、特定の熱可塑性ポリマーから作製された不織材料から構成される滅菌ラップを使用する場合、前記不織材料に、被包装物品またはトレイの形状が転写または刻印される。そのため、前記物品またはトレイを解包するときは、滅菌ラップが平坦になるように、該ラップに刻印されたしわ、折れ目または他の変形を除去する必要がある。滅菌ラップが平坦にならないと、滅菌ラップの他の部分を展開するときに、滅菌ラップの展開された側部が被滅菌物品またはトレイに向かって折れ戻るおそれがある。この場合、物品またはトレイの滅菌性が損なわれることとなる。大きな面積及び正方形の形状を有する材料シートと、標準的な折り畳み技術との組み合わせは一般的に、滅菌ラップの解包時に、展開された滅菌ラップが折り畳み方向に折れ戻ることを防止する。
【0011】
しかし、従来の滅菌ラップの大きなシートの寸法を減少させた場合、滅菌ラップの展開された側部が、滅菌ラップの他の部分を展開するときに滅菌された物品またはトレイに向かって折れ戻るという問題が生じる。さらに、この問題は、(例えばシートに用いられる材料の量を減らすために)滅菌ラップの形状を正方形以外の形状に変更した場合は増幅される。しかしながら、従来の使い捨て式滅菌ラップの大型シートを標準的な折り畳み方法で使用すると、折り重ね材料の大きな広がりと、多数の折り畳まれた部分が提供されるので、包装及び解包の過程の間に過剰量の材料の使用及び操作が必要となり、それにより、作業が困難なものとなったり、包装及び解包の過程のスピードが遅くなったり、材料が無駄になったりする。
【0012】
したがって、器具トレイまたは物品の滅菌過程のために必要な滅菌布の量を減らすことができる、使い易いアセンブリ、パッケージまたはシステムに対する満たされていない要求が存在する。また、器具トレイまたは物品の解包の作業を簡略化することができ、かつ解包時に滅菌布が折り畳み方向に折れ戻る可能性を減少させるかまたはなくすることができるアセンブリ、パッケージまたはシステムに対する満たされていない要求が存在する。解包時に滅菌布が折り畳み方向に折れ戻る可能性を減少させるかまたはなくすることができるとともに、滅菌布の量を減少させることができ、長時間のまたは強力な熱滅菌過程において使用することができ、かつ被滅菌物品の解包作業を簡略化することができるアセンブリ、パッケージまたはシステムが求められていることは特に明らかである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第5,635,134号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2001/0036519号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0163654号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の問題は、使い捨て式のフレキシブルなマルチパネル滅菌アセンブリを包含する本発明によって解決される。本発明の使い捨て式のフレキシブルなマルチパネル滅菌アセンブリは、バリア性を有する透過性シート材料を含んでなるバリアパネルと、前記バリアパネルの展開時に展開された前記バリアパネルが折り畳み方向に折れ戻ることを防止するためのバリアパネルボルスタと、前記バリアパネルをパッケージ形態で固定するためのパネル結合手段と、折り畳み保護パネルとを含む。
【0015】
前記バリアパネルは、第1の面、前記第1の面の反対側の第2の面、所定の折り線を概ね画定する第1の端部、前記第1の端部の反対側に位置する第2の端部、前記所定の折り線に対して概ね垂直な第1の縁部、前記所定の折り線の概ね反対側に位置する第2の縁部及び、前記所定の折り線に対して概ね垂直な第3の縁部を有する。望ましくは、前記バリアパネルは、前記所定の折り線の概ね反対側に位置し、前記第2の縁部と協働して先端部または頂点を形成する第4の縁部を有する。より望ましくは、前記バリアパネルは、非正方形または非長方形の形状を画定すべく、前記第2の端部が前記第1の端部よりも狭くなるように前記第2の縁部に向かって集まる第4の縁部及び第5の縁部を有する。
【0016】
前記バリアパネルは、前記第1の縁部から前記第3の縁部までの距離である幅及び、前記第1の端部から前記第2の端部までの距離である長さを有する。本発明の一態様では、前記バリアパネルは、前記長さ方向についての中間点にて前記第1の縁部及び前記第3の縁部の間に延在する中間線、前記中間線及び前記所定の折り線の間に延在する物品配置領域及び、前記中間線及び前記第2の縁部の間に延在する物品被覆領域を有する。本発明の一態様によれば、物品配置領域の表面積は、バリアパネルの全表面積の約25〜49%であり得る。例えば、物品配置領域の表面積は、バリアパネルの全表面積の約35〜45%であり得る。
【0017】
バリアパネルボルスタが、前記バリアパネルの前記第1の縁部及び前記第3の縁部またはその近傍に配置され、前記縁部から内向きに延在し、かつ前記バリアパネル上に積層される。前記バリアパネルボルスタは、特に長時間の蒸気または熱滅菌後の前記バリアパネルの展開時に、該バリアパネルの前記第1及び第3の縁部が折り畳み方向に折れ戻ること(すなわち展開される前の位置に向かって折り返されて戻ること)を防止することができる。前記バリアパネルボルスタは、前記バリアパネルの前記物品被覆領域の前記第1及び第3の縁部またはその近傍に配置され得る。前記バリアパネルボルスタは、前記バリアパネルに対して補強を提供することができる。前記バリアパネルボルスタは、前記バリアパネルの前記物品配置領域まで延在して設けてもよい。例えば、前記バリアパネルボルスタは、前記バリアパネルの前記物品配置領域に対して補強を提供し、かつ被滅菌物品の配置領域を画定することができる。本発明の一態様では、前記バリアパネルボルスタは、前記バリアパネルの前記縁部またはその近傍において、前記バリアパネルの坪量を5パーセント以上増加させる。例えば、前記バリアパネルボルスタは、前記バリアパネルの前記縁部またはその近傍において、前記バリアパネルの坪量を約10〜75パーセント以上増加させることができる。本発明の別の態様では、前記バリアパネルボルスタを前記バリアパネルに結合させることにより、前記バリアパネルの縁部またはその近傍における前記バリアパネルの剛性を、前記バリアパネルボルスタを前記バリアパネルに結合させていない場合の合計剛性よりも約5パーセント以上高めることができる。例えば、前記バリアパネルボルスタを前記バリアパネルに結合させることにより、前記バリアパネルの縁部またはその近傍における前記バリアパネルの剛性を、前記バリアパネルボルスタを前記バリアパネルに結合させていない場合の合計剛性よりも約10〜75パーセント高めることができる。前記バリアパネルボルスタは、繊維ウェブ、織物、フィルム及びそれらの組み合わせから選択される1以上の材料または材料層であり得る。例えば、前記バリアパネルボルスタは、前記バリアパネルに接着剤、熱結合、超音波結合または他の技術によって結合された不織材料の1または複数の層であり得る。
【0018】
本発明のマルチパネル滅菌アセンブリは、前記所定の折り線と前記バリアパネルの前記中間線との間に設けられたパネル結合手段を含む。前記パネル結合手段は、前記バリアパネルの前記第1の縁部またはその近傍あるいは前記第3の縁部またはその近傍に設けられることが望ましい。望ましくは、前記パネル結合手段は、前記バリアパネルの前記第1の縁部またはその近傍及び第3の縁部またはその近傍に設けられ、パッケージを形成すべく前記バリアパネルを被滅菌物品の周りに折り畳んだ後に前記バリアパネルを該パネル自体に対して結合させるのに使用され得る。本発明の一態様では、前記パネル結合手段は、前記バリアパネルの前記第1及び第3の縁部の極近傍に設けられるか、あるいは、前記バリアパネルの前記第1及び前記第3の縁部から延出して設けられる。前記パネル結合手段は、接着テープ、両面接着テープ、開裂可能な剥離テープ、積層型剥離テープ、粘性材料、フックアンドループ式締結システム、機械式締結システム(これらに限定しないが、留め具(snap)、クリップ、マグネット、留め金(catch)、スロットアンドタブ型締結システム)及びそれらの組み合わせであり得る。本発明の一態様によれば、前記パネル結合手段は、所定の位置で、前記バリアパネルに結合される。前記所定の位置は、前記所定の折り線の近傍であり得る。前記パネル結合手段は、前記バリアパネルの前記物品配置領域を画定し、かつバリアパネルを前記中間線またはその近傍で折り畳んで前記バリアパネルの前記第2の端部を前記第1の端部に近接させた後に、前記バリアパネルの前記第1及び前記第3の縁部を互いにまたは前記物品被覆領域の一部に対して結合させることができるように構成されている。
【0019】
本発明のマルチパネル滅菌アセンブリは、前記バリアパネルに隣接配置された折り畳み保護パネルをさらに含む。すなわち、前記折り畳み保護パネルは、前記バリアパネルから延設されていることが望ましい。前記折り畳み保護パネルが別個の部材である場合、前記折り畳み保護パネルは前記バリアパネルに直接隣接して隣り合わせに設けることが望ましい。前記折り畳み保護パネルは、前記所定の折り線に概ね隣接する近位端部と、前記近位端部の反対側に位置する遠位端部と、前記近位端部から前記遠位端部まで延在する少なくとも第1の保護パネル縁部及び第2の保護パネル縁部とを有する。本発明によれば、前記折り畳み保護パネルは、前記遠位端部または該遠位端部に沿って位置する少なくとも第3の保護パネル縁部を有することもできる。前記折り畳み保護パネルは、バリア性を有するように構成され得る。例えば、前記折り畳み保護パネルは、前記バリアパネルと同一の材料から形成され得る。別の例では、前記折り畳み保護パネルは、前記バリアパネルと同一の部材から形成され得る。
【0020】
本発明の一態様では、前記折り畳み保護パネルは、前記第1の保護パネル縁部から前記第2の保護パネル縁部までの距離である保護パネル幅、前記近位端部から前記遠位端部までの距離である保護パネル長さを有する。また、前記折り畳み保護パネルは、パッケージを形成すべく前記バリアパネルを前記中間線またはその近傍で折り返して前記バリアパネルの前記第2の端部を前記バリアパネルの前記第1の端部に近接させ前記第1及び第3の端部を互いにまたは前記物品配置領域に対して結合させた後に、折り畳まれた前記バリアパネルの少なくとも前記第1及び第3の縁部を覆うべく前記所定の折り線またはその近傍で折り返すことができるように構成されている。
【0021】
本発明によれば、前記バリアパネルは、少なくとも1つの通気性不織布材料層を含んで構成され得る。前記通気性不織材料は、スパンボンド極細繊維層、メルトブローン細繊維層及びスパンボンド極細繊維層を含んでなる積層体であることが望ましい。バリアパネルの透過度は、フレーザー通気度の観点から特徴付けられ、25〜500立方フィート/分(CFM)(0.7〜14.2m/分)の範囲であり得る。例えば、バリアパネルの透過度は、25〜400立方フィート/分(0.7〜11.3m/分)の範囲であり得る。さらなる別の例では、バリアパネルの透過度は、25〜300立方フィート/分(0.7〜8.5m/分)の範囲であり得る。
【0022】
本発明の滅菌アセンブリは、少なくとも1つのプルタブをさらに含む。前記プルタブは、前記バリアパネルと一体的に設けてもよいし、前記バリアパネルの第2の端部に取り付けてもよい。前記プルタブは、前記バリアパネルと同一の材料から作製してもよいし、前記バリアパネルとは異なる1以上の材料から作製してもよい。前記プルタブは、滅菌された物品をユーザが無菌的に解包することを可能にする機能を提供する。すなわち、フレキシブルなマルチパネル滅菌アセンブリによって包装された物品を解包するとき、ユーザは、前記プルタブを使用することによって、存在する滅菌野に手で触れたり、包装が解けてバリアパネルの滅菌物品接触面が露出したりすることを防ぐことができる。
【0023】
本発明の滅菌アセンブリは、1以上の別個の補強要素をさらに含み得る。前記補強要素は、被滅菌物品の配置領域を画定する物品配置領域内に配置されることが望ましい。前記補強要素は、繊維ウェブ、不透過性フィルム、透過性または多孔質フィルム、有孔フィルム、発泡体、ホイル及びそれらの組み合わせから選択される1以上の材料層を含み得る。
【0024】
本発明の一態様によれば、本発明の滅菌アセンブリは、パッケージを形成すべく該アセンブリを適切に折り畳む方法に関する情報を提供する標識(indicia)または説明(instruction)を該アセンブリ上にさらに含むことができる。その代わりに及び/またはそれに加えて、本発明の滅菌アセンブリは、該アセンブリを折り畳んでパッケージを形成し、かつ滅菌した後に、該アセンブリを適切に展開する方法に関する情報を提供する標識または説明を該アセンブリ上に含むことができる。
【0025】
本発明の一態様では、バリア材料シート(例えばバリア繊維)から形成され、かつ少なくとも2つのパネル縁部を有するバリアパネルを含む使い捨て式マルチパネル滅菌アセンブリが提供される。前記バリアパネルは、パッケージを形成すべく、被滅菌物品の周りに折り畳むことができるように構成されている。バリアパネルボルスタが、前記バリアパネルの少なくとも2つのパネル縁部またはその近傍の少なくとも一部に配置される。バリアパッケージ結合手段が、前記バリアパネルの1以上の前記パネル縁部を被滅菌物品の周りに折り畳み形態で固定するために、前記バリアパネルの一部に配置される。前記バリアパッケージ結合手段は、前記1以上のパネル縁部を折り畳み形態で固定することができるように構成されている。本発明のマルチパネル滅菌アセンブリは、前記バリアパネルから延設された折り畳み保護パネルをさらに含む。前記折り畳み保護パネルは、前記バリアパネルに概ね隣接する近位端部と、前記近位端部の反対側に位置し前記バリアパネルを折り畳み形態にした後に前記バリアパネルの前記1以上の縁部を覆う遠位端部とを有する。前記バリアパネルボルスタは、前記バリアパネルの展開時に、該バリアパネルの展開された前記縁部が折り畳み方向に折れ戻ることを防止する。
【0026】
前記バリアパネルボルスタは、前記バリアパネルに対して補強を提供し、及び/または被滅菌物品の配置位置を画定することができる。前記バリアパネルボルスタは、前記バリアパネルの前記縁部またはその近傍において、前記バリアパネルの坪量を5パーセント以上増加させることができる。その代わりに及び/またはそれに加えて、前記バリアパネルボルスタを前記バリアパネルに結合させることによって、前記バリアパネルの縁部またはその近傍における前記バリアパネルの剛性を、前記バリアパネルボルスタを前記バリアパネルに結合させていない場合の合計剛性よりも、少なくとも約5パーセント以上高めることができる。前記バリアパネルボルスタは、上述したように、1以上の材料または材料層であり得る。
【0027】
前記バリアパネル結合手段は、パッケージを形成すべく前記バリアパネルを被滅菌物品の周りに折り畳んだ後に前記バリアパネルを該パネル自体に対して結合させるのに使用される。前記パネル結合手段は、接着テープ、両面接着テープ、開裂可能な剥離テープ、積層型剥離テープ、粘性材料、フックアンドループ式締結システム、機械式締結システム(これらに限定しないが、留め具(snap)、クリップ、マグネット、留め金(catch)、スロットアンドタブ型締結システム)及びそれらの組み合わせであり得る。
【0028】
本発明の上記の及び他の特徴並びに利点は、添付図面を参照しつつ、以下の説明及び特許請求の範囲の記載を読むことによって、当業者により明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明は、添付図面を参照しつつ、本発明の詳細な説明を読むことにより、より良く理解できるであろう。添付図面において、同様の参照符号は同様の構成要素を示す。
【0030】
図1】例示的な従来の滅菌ラップシステムを示す図である。
図2】例示的な従来の滅菌ラップシステムを示す図である。
図3】例示的な従来の滅菌ラップシステムを示す図である。
図4】従来の封筒折り方式を用いて行う、例示的な従来の滅菌ラップシステムの例示的な折り畳み手順を説明するための図である。
図5】従来の四角折り方式を用いて行う、例示的な従来の滅菌ラップシステムの例示的な折り畳み手順を説明するための図である。
図6】バリアパネルボルスタを有する例示的な使い捨て式マルチパネル滅菌アセンブリを示す図である。
図7A】バリアパネルボルスタを有する例示的な使い捨て式マルチパネル滅菌アセンブリを示す図である。
図7B】バリアパネルボルスタ及び一体型プルタブを有する例示的な使い捨て式マルチパネル滅菌アセンブリを示す図である。
図7C図7Bの例示的な使い捨て式マルチパネル滅菌アセンブリの細部を強調して示す図であり、任意的なバリアパネルボルスタが示されている。
図8A】バリアパネルボルスタを有する例示的な使い捨て式マルチパネル滅菌アセンブリを示す図である。
図8B図8Aの例示的な使い捨て式マルチパネル滅菌アセンブリの反対側の面を示す図であり、任意的なバリアパネルボルスタが示されている。
図8C】バリアパネルボルスタを有する例示的な使い捨て式マルチパネル滅菌アセンブリを示す図である。
図8D】滅菌アセンブリの展開中の様子を示す図であり、前記アセンブリの一部が平らに展開されることを妨げる、刻印されたしわ、折れ目、または他の変形を強調表示している。
図8E】滅菌アセンブリの展開中の様子を示す図であり、前記アセンブリの他の部分を展開するときに、前記アセンブリの部分的に展開された側部の滅菌された物品またはトレイの方向への折れ戻りを引き起こす、刻印されたしわ、折れ目、または他の変形を強調表示している。
図9】バリアパネルボルスタを有する例示的な使い捨て式のフレキシブルなマルチパネル滅菌アセンブリの例示的な折り畳み手順を説明するための図である。
図10】例示的な使い捨て式のフレキシブルなマルチパネル滅菌アセンブリを示す図であり、例示的なバリアパネルボルスタ及び補強要素を示している。
図11】例示的な補強要素を示す図である。
図12】バリアパネルボルスタを有する例示的な使い捨て式のフレキシブルなマルチパネル滅菌アセンブリの例示的な構成要素を示す分解斜視図である。
図13】バリアパネルボルスタを有する例示的な使い捨て式のフレキシブルなマルチパネル滅菌アセンブリの例示的な構成要素を示す分解断面図である。
図14】バリアパネルボルスタを有していない例示的な使い捨て式のフレキシブルなマルチパネル滅菌アセンブリの斜視図である。
図15】バリアパネルボルスタを有している例示的な使い捨て式のフレキシブルなマルチパネル滅菌アセンブリの斜視図である。
図16】バリアパネルボルスタを有していない例示的な使い捨て式のフレキシブルなマルチパネル滅菌アセンブリの斜視図である。
図17】バリアパネルボルスタを有している例示的な使い捨て式のフレキシブルなマルチパネル滅菌アセンブリの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
定義
【0032】
本明細書で使用するとき、「使い捨て式」なる用語は、1回使用しただけで廃棄される非常に安価な経済的な製品を指す。「使い捨て式」の製品は、一般的に、単回使用を目的としている。「単回使用」なる用語は、1回だけ使用することを意図しており、使用後に再使用、再生、貯蔵または修理することを意図していない製品を指す。これらの製品は、汚染または感染の可能性を減少させるという利点を臨床現場に提供する。加えて、これらの製品は、再処理及び再使用するために集めたり組み立てたりする必要がないので、作業の流れを向上させることができる。
【0033】
本明細書で使用するとき、「滅菌アセンブリ」なる用語は、滅菌前に、未滅菌の物品または被包装物を包み込むか、前記物品の周りに折り畳まれるか、または前記物品を別の方法で取り囲む、布及び/またはフレキシブルな材料から成るフレキシブルな物品を指す。滅菌アセンブリは、包装、折り畳み、取り扱い、強度、滅菌、滅菌後の貯蔵及び/または解包ための利点をもたらす特別な物理的性質、機能特性及び/または構造を提供する複数のパネル及び/または部分を有する。
【0034】
本明細書で使用するとき、「不織ウェブ」なる用語は、個々の繊維または細繊維が、規則的な繰り返し形態ではない形態で交絡された構造を有するウェブを指す。不織布ウェブは、従来、例えばメルトブローン法、スパンボンド法、及びボンデッドカーデッドウェブ法などの当業者に公知の様々な方法によって形成されてきた。
【0035】
本明細書で使用するとき、「スパンボンドウェブ」なる用語は、溶融した熱可塑性プラスチック材料をスピナレット(紡糸口金)の通常は円形の断面形状を有する複数の微細なキャピラリから細繊維として押し出した後、押し出された細繊維の直径を例えば引出液体を用いるかまたは用いない引き出し延伸機構または他の公知のスパンボンディング機構により急激に縮径させることにより作製された小径の繊維及び/または細繊維のウェブを指す。スパンボンド不織ウェブの作製については、例えば、米国特許第4,340,563号(Appel他)、米国特許第3,692,618号(Dorschner他)、米国特許第3,338,992号(Kinney)、米国特許第3,341,394号(Kinney)、米国特許第3,276,944号(Levy)、米国特許第3,502,538号(Peterson)、米国特許第3,502,763号(Hartman)、米国特許第3,542,615号(Dobo他)及びカナダ国特許第803,714号(Harmon)に記載されている。
【0036】
本明細書で使用するとき、「メルトブローン繊維」なる用語は、溶融した熱可塑性プラスチック材料を、通常は円形の断面形状を有する複数の微細なダイキャピラリから溶融繊維として高速ガス(例えば空気)流の中に押し出し、前記高速ガス流によって前記溶融繊維の直径をマイクロ繊維の直径の程度まで縮径させることによって作製された繊維を意味する。その後、メルトブローン繊維が前記高速ガス流によって運ばれて収集面上に堆積することより、ランダムに分散したメルトブローン繊維のウェブが形成される。このメルトブローンプロセスは公知であり、「NRL Report 4364, "Manufacture of Super-Fine Organic Fibers" by V.A. Wendt, E.L. Boone, and C.D. Fluharty」、「NRL Report 5265, "An Improved device for the Formation of Super-Fine Thermoplastic Fibers" by K.D. Lawrence, R.T. Lukas, and J.A. Young」及び1974年11月19日にBuntin他に付与された米国特許第3,849,241号などの様々な特許文献及び出版物に記載されている。
【0037】
本明細書で使用するとき、「超音波結合」なる用語は、Bornslaegerに付与された米国特許第4,374,888号に記載されているように、例えば、超音波ホーンとアンビルローラとの間に繊維布を通すことにより行われる処理を意味する(前記特許文献の内容は参照により本明細書に援用されるものとする)。
【0038】
本明細書で使用するとき、「点結合」なる用語は、複数の別個の結合点において、1以上の繊維層を互いに結合させることを意味する。例えば、熱点結合は一般的に、互いに結合させる繊維布またはウェブを、例えば加熱されたカレンダーローラ及びアンビルローラなどの加熱されたローラアセンブリ間に通す過程を含む。カレンダーローラは一般的に、布全体がその全表面にわたって結合されないように特定の方法でパターン形成されている。アンビルローラは一般的に、平坦である。その結果、カレンダーローラの様々なパターンが、機能的及び/または美観的な理由で開発されてきた。点結合パターンの例の1つは、Henson及びPenningsに付与された米国特許第3,855,046号に教示されているような、約200結合点/平方インチ(31結合点/平方cm)の結合面積を30%有するHansen Penningsすなわち「H&P」パターンである。別の例は、米国意匠特許第239,566号(Vogt)に示されている。一般的に、結合領域の割合は、繊維積層ウェブの表面積の約5〜30%である。スポット結合は、各層に含まれている繊維及び/または細繊維を該繊維の通気性または手触りを損なうことなく互いに結合させることによって、互いに積層された層を一体的に保持するとともに、各層に対して完全性を付与する。
【0039】
本発明の詳細な説明
【0040】
図面に示す及び/または本明細書で説明する本発明の様々な実施形態を説明するにおいて、特定の専門用語は明瞭さのために使用される。しかし、本発明は、そのように選択された特定の専門用語に限定されることを意図しておらず、各特定の要素は、同様の機能を達成するために同様の方法で作用する全ての技術的な均等物を包含することを理解されたい。
【0041】
ここで図1を参照すると、物品の簡便な二重包装を可能にする2つの同様なサイズの重畳パネル14、16を形成すべく1以上の滅菌ラップシート12を互いに結合させることにより形成された複数プライ構造を有する例示的な従来の使い捨て式滅菌ラップ10が示されている。1枚のシートを折り畳んで複数プライ型構造を形成することもできるが、2枚の別個のシートがより一般的に使用される。
【0042】
図2は、特許文献2に概ね開示されたような例示的な従来の使い捨て式滅菌ラップ20を示す。この従来の使い捨て式滅菌ラップ20は、1枚の滅菌ラップ材料シート22から形成された2プライ型滅菌ラップであり、該ラップを折り畳むことにより、互いに結合される2枚の同様なサイズの重畳パネル24、26が形成される。
【0043】
図3は、特許文献3に概ね開示されたような従来の使い捨て式滅菌ラップ30のさらなる別の例を示す。この従来の使い捨て式滅菌ラップ30は、第1のパネル(メインパネル)32と、メインパネル32よりも大幅に小さい第2のパネル34とを含む。第2のパネル34は、メインパネル32を補強するため及び/または追加的な吸収性を提供するために、メインパネル32の中央位置36に重ね合わされ結合される。
【0044】
概して言えば、上記の例及び別の例では、従来の使い捨て式滅菌ラップの大きなシートは一般的に、1つまたは2つの標準的な折り畳み技術を用いてオーバーラッピング材料の大きな広がりを形成するために使用される。これらの標準的な技術及び結果として得られる折り畳み構造は、包装または解包過程中に過度な量の材料を折り畳んだり広げたりする必要がある。また、トレイまたは同様の物品を確実に包装するためには、経験と最低限の技能レベルを必要とする。
【0045】
図4A図4Eは、従来の滅菌ラップを使用して行う物品包装の例示的な手順を示す。図4Aに示すように、正方形または略長方形のラップ40を平らに広げ、その中央領域44に被包装物品42を、封筒折り(envelope fold)と一般的に呼ばれる方式で、ラップ40の向きに対して概ね斜めになるように配置する。図4Bを参照して、ラップ40の第1の端部46を、物品42の基部で上側へ折り返し、物品42の上側に持ってくる。概して言えば、この最初の折り返しで物品を実質的に覆うことができる材料を提供するために、滅菌ラップの面積は十分に大きくあるべきである。折り返された第1の端部46を後側に折り返して、小さな尾部48を形成する。この一連の手順を、残りの第2の端部50及び第3の端部52について繰り返す。重ねて言うが、第2の端部50が第3の端部52によって完全にまたは部分的に覆われるように第2の端部50及び第3の端部52を実質的に覆うことができる材料を提供するために、滅菌ラップの面積は十分に大きくあるべきである。それらの上に第4の端部54を折り重ねた後にテープで留めることにより、包装パッケージが形成される。
【0046】
図5A図5Eは、従来の滅菌ラップを使用して行う物品包装の例示的な手順を示す。図5Aに示すように、正方形または略長方形のラップ60を平らに広げ、その中央領域64に被包装物品62を、四角折り(square fold)と一般的に呼ばれる方式で、ラップ60の方向に対して概ね平行になるように配置する。図5Bを参照して、ラップ60の下側端部66を、物品62の基部で上側へ折り返し、物品62の上側に持ってくる。概して言えば、最初の折り返しで物品を実質的に覆うことができる材料を提供するために、滅菌ラップの面積は十分に大きくあるべきである。折り返された下側端部66を後側に折り返して、小さな尾部68を形成する。この一連の手順を、残りの上側端部70及び左側端部72について繰り返す。重ねて言うが、上側端部70が左側端部72によって完全にまたは部分的に覆われるように上側端部70及び左側端部72を実質的に覆うことができる材料を提供するために、滅菌ラップの面積は十分に大きくあるべきである。それらの上に右側端部74を折り重ねた後にテープで留めることにより、包装パッケージが形成される。
【0047】
25.4cm(10インチ)×50.8cm(20インチ)×高さ12.7cm(5インチ)の寸法を有する一般的な滅菌トレイは、一般的に、包装及び滅菌過程のためには一辺114.3cm(45インチ)の正方形の滅菌布を必要とする。このような大きなサイズは、物品が覆われたこと及び滅菌布の一部が下がったままになったり跳ね返ったりしないことをトレイの準備者が確信するために、滅菌布の角部をトレイの頂部を越えた位置まで折り返すことができるようにするために必要とされる。一辺114.3cm(45インチ)の正方形の滅菌布の使用は、約4,516平方cm(700平方インチ)の表面積を有するトレイを包装するのに約13,064平方cm(2025平方インチ)の材料が使用されることを意味する。言い換えれば、この従来の方法は、1平方インチの手術器具トレイを包装するのに、約3平方インチの材料を必要とする。
【0048】
本発明は、上記に概述した問題を解決することができ、かつ滅菌布の寸法を減少させたとき、すなわち前記滅菌布の解包時に前記滅菌布が折り畳み方向に折れ戻ったときに発見される問題を解決することができる、使い捨て式のマルチパネル滅菌アセンブリ用の一体型締結システムを包含する。例示的なマルチパネル滅菌アセンブリ100が図6に示されている。
【0049】
このマルチパネル滅菌アセンブリは、バリア性を有する透過性シート材料104(例えばバリア布)から成るバリアパネル102と、バリアパネル102をパッケージ形態で固定するためのパネル結合手段106と、折り畳み保護パネル108とを含む。概して言えば、「バリアパネル」は、マルチパネル滅菌アセンブリの一部であり、滅菌効果をもたらすために滅菌ガスを通過させることができる透過性と、滅菌後の被包装物を無菌状態に維持することができるバリア性とを有する材料から形成されている。また、バリアパネルは、被滅菌物品を受容した後に前記物品を包み込んでパッケージを形成することができるように、十分なフレキシブルなまたは応従性を有するべきである。概して言えば、バリアパネルはバリア布であり得る。「折り畳み保護パネル」は、マルチパネル滅菌アセンブリの一部であり、バリアパネルの折り畳まれた縁部の少なくとも一部を覆って保護することができる材料から形成されている。折り畳み保護パネルは、マルチパネル滅菌アセンブリの一番端に位置するパネルまたは部分であり、被滅菌物品を取り囲むバリアパネルとマルチパネル滅菌アセンブリの折り畳まれていないまたは包装されていない第1の部分とにより形成されたパッケージの周りに折り畳まれるかまたは包装される。
【0050】
バリアパネルは、第1の面110と、第1の面110の反対側の第2の面112と、所定の折り線116に概ね隣接する第1の端部114と、第1の端部114の反対側に位置する第2の端部118と、所定の折り線116に対して概ね垂直な第1の縁部120と、所定の折り線116の概ね反対側に位置する第2の縁部122と、所定の折り線116に対して概ね垂直な第3の縁部124とを有する。「所定の折り線」は、バリアパネルの第1の縁部114によって概ね画定された線または領域である。概して言えば、所定の折り線は、バリアパネルと折り畳み保護パネルとの間の境界から、バリアパネル102の中心または中間線に向かってオフセットされている。所定の折り線116は、バリアパネル102の第1の端部114における、被滅菌物品を配置するための望ましい位置を画定する。前記オフセットは、折り畳みの完了後に被滅菌物品をバリアパネルによって完全に包み込むことができる十分な量のバリアパネルを提供する役割を果たす。所定の折り線116は、前記境界から約13〜51mm(約0.5〜2インチ)オフセットされ得る。所定の折り線116は、約25mm(約1インチ)オフセットされることが望ましい。所定の折り線は、シーム(seam)の形態であり得、例えば、ステッチドシーム(stitched seam)、超音波結合シーム、接着結合シーム、熱機械的結合シーム(例えば、バーシールシーム)、またはそれらの組み合わせであり得、バリアパネル及び折り畳み保護パネルを形成すべく層またはプライを互いに結合させることにより形成されるか、あるいはバリアパネル及び折り畳み保護パネルが互いに別個の部材である場合は前記両部材を互いに結合させることにより形成され得る。その代わりに及び/またはそれに加えて、所定の折り線は、印刷することにより形成されるか、熱機械的結合ライン(例えば、バーシール結合ライン)、パターンまたは他の印を刻印することにより形成されるか、あるいは折り目または他の適切なマークにより形成され得る。所定の折り線は、断続的な線または印であり得、バリアパネル上に直接的に形成されるか、あるいは補強要素が存在する場合は補強要素上に形成され得る。
【0051】
上述したように、所定の折り線116の重要な機能は、包装され最終的には被滅菌物品の配置位置を画定するのを助けることである。すなわち、包装される被滅菌物品は、所定の折り線の片側だけに隣接配置するべきである。後述するが、所定の折り線の別の機能は、所定の折り線のどちら側が物品の配置に適切な側であるかをユーザに知らせることである。所定の折り線116のさらなる別の機能は、被滅菌物品を包装するときに、ユーザのための境界線、基準線または境界を画定するのを助けることである。すなわち、被滅菌物品の包装時に、バリアパネルの一部を被滅菌物品の上側に持ってくるときに、バリアパネルの一部が所定の折り線116を大幅に横切ったり超えたりしないようにするべきである。滅菌バリアの中央に物品を配置する従来の滅菌ラップシステムとは対照的に、本発明のマルチパネル滅菌アセンブリは、バリアパネルの境界または縁部の近傍に位置する所定の折り線において物品を配置する必要がある。このことは、最初はユーザの直観に反するものであり、従来の滅菌ラップシステムと大きく異なる点である。
【0052】
図6に示すバリアパネル102は正方形状を有しているが、バリアパネル102は長方形状であってもよく、また、非正方形または非長方形を画定するための追加的な縁部を有することが望ましくあり得る。前記縁部の一部は、弓形または非線形であってもよい。その代わりに及び/またはそれに加えて、第1の縁部120及び第3の縁部124が互いに非平行になるように前記両縁部が互いに近づくかまたは遠ざかるようにすることにより、台形状のバリアパネル102を画定することができる。また、互いに反対側に位置する縁部の他の組み合わせを互いに近づくかまたは遠ざかるようにすることも考えられる。
【0053】
例えば、図7Aを参照して、バリアパネルは、非正方形または非長方形の形状を画定するための第4の縁部126を有し得る。この例示的な形態では、2つの縁部122及び126が所定の折り線116の概ね反対側に位置しており、両縁部が互いに交わって頂点を形成している。したがって、バリアパネル102は、第1の面110と、第1の面110の反対側の第2の面112と、所定の折り線116を概ね画定する第1の端部114と、第1の端部114の反対側に位置する第2の端部118と、所定の折り線116に対して概ね垂直な第1の縁部120と、所定の折り線116の概ね反対側に位置する第2の縁部122と、所定の折り線116に対して概ね垂直な第3の縁部124と、第2の縁部122及び第3の縁部124の間に位置する第4の縁部126とを有する。
【0054】
図8A及び図8Bを参照して、バリアパネル102は、非正方形または非長方形の形状を画定する第4の縁部126及び第5の縁部128を有し得る。例えば、第4の縁部126及び第5の縁部128は、バリアパネルの第2の端部118がバリアパネルの第1の端部114よりも幅が狭くなるように第2の縁部122に向かうに従って互いに接近する。したがって、バリアパネル102は、第1の面110と、第1の面110の反対側の第2の面112と、所定の折り線116を概ね画定する第1の端部114と、第1の端部114の反対側に位置する第2の端部118と、所定の折り線116に対して概ね垂直な第1の縁部120と、所定の折り線116に対して概ね平行な第2の縁部122と、所定の折り線116に対して概ね垂直な第3の縁部124と、第2の縁部122及び第3の縁部124の間に位置する第4の縁部126と、第1の縁部120及び第2の縁部122の間に位置する第5の縁部126とを有する。バリアパネルは、第1の端部114における第1の縁部120から第3の縁部124までの距離である第1の幅W1(所定の折り線116に沿って測定することが好ましい)と、第4の縁部126から第5の縁部128までの距離である第2の幅W2(第4の縁部126及び第2の縁部122が交わる点と、第5の縁部128及び第2の縁部122が交わる点との間で測定することが好ましい)を有する。また、バリアパネルは、第1の端部114(所定の折り線116の位置)から第2の端部(第2の縁部122の位置)までの距離である長さLを有する。また、バリアパネルは、長さ「L」方向についての中間点にて、第1の縁部120と第3の縁部124との間(いくつかの実施形態では、第4の縁部126と第5の縁部128との間)に延在する中間線「M」を有する。この中間線Mにより、バリアパネル102に、所定の折り線116から中間線Mまで延在する物品配置領域130と、中間線Mから第2の縁部122まで延在する物品被覆領域132が画定される。当然ながら、さらなる縁部が追加されること、縁部が曲線状であること、または縁部が曲線部分を含むことも考えられる。
【0055】
図6を再び参照して、バリアパネル102は、第1の縁部120から第3の縁部124までの距離である幅「W」と、第1の端部114から第2の端部118までの距離である長さ「L」とを有し得る。本発明の一態様によれば、バリアパネルは、長さL方向についての中間点にて、第1の縁部120と第3の縁部124との間に延在する中間線Mを有する。この中間線Mにより、バリアパネル120に、所定の折り線116から中間線Mまで延在する物品配置領域130と、中間線Mから第2の縁部124まで延在する物品被覆領域132とが画定される。概して言えば、物品配置領域は、バリアパネルにおける、トレイまたは他の被滅菌物品が最初に配置される部分である。滅菌ラップを形成するバリア材料の中央部分にトレイまたは他の被滅菌物品が配置される従来の滅菌ラップとは異なり、物品配置領域はバリアパネルの第1の端部と中間線との間に位置している。バリアパネル上におけるこの非対称的な配置は、直観的なものではない。物品被覆領域は、物品を物品配置領域に配置した後に物品の上側へ折り返されるバリアパネルの部分である。
【0056】
本発明の一態様では、図示した様々な形態のバリアパネルは、約30〜127cm(約12〜50インチ)の幅を有し得る。望ましくは、バリアパネルは、約46〜102cm(約18〜40インチ)の幅を有し得る。より望ましくは、バリアパネルは、約51〜76cm(約20〜30インチ)の幅を有し得る。また、バリアパネルは、約18〜127cm(約7〜50インチ)の長さを有し得る。望ましくは、バリアパネルは、約39〜102cm(約15〜40インチ)の長さを有し得る。より望ましくは、バリアパネルは、約64〜76cm(約25〜30インチ)の長さを有し得る。
【0057】
本発明の一態様によれば、物品配置領域130の表面積は、バリアパネル102の全表面積の約25〜49%であり得る。例えば、物品配置領域130の表面積は、バリアパネル102の全表面積の約35〜45%であり得る。物品を適切に被覆するための追加的な表面積を提供するためにバリアパネルの物品被覆領域は物品配置領域よりも大きくあるべきなので、このことは重要である。
【0058】
本発明のマルチパネル滅菌アセンブリの重要な部品は、特に、強力な蒸気または熱滅菌後のバリアパネルの展開時に該バリアパネルの展開された前記パネル縁部が折り畳み方向に折れ戻ること(すなわち展開される前の位置に向かって折り返されて戻ること)を防止するためのバリアパネルボルスタ(bolster)である。バリアパネルボルスタが存在しない場合、バリアパネルの展開された側縁部が、被滅菌物品の方向へ折れ戻る(折り返されて戻る)。ここで図8D及び図8Eを参照すると、特定の状況下で跡や「刻印」が形成され得る材料、例えば特定の熱可塑性ポリマーから作製された不織材料などから構成される滅菌ラップまたは滅菌アセンブリに対して長時間のまたは強力な蒸気または熱滅菌処理を施した場合、被包装物品またはトレイ(被包物)の形状が前記不織材料に転写または刻印され得る。前記物品またはトレイ200の解包中に、滅菌ラップを平らにするために、解包中に、図8Dにおいて「F」で示される刻印されたしわ、折れ目または他の変形を除去する必要がある。滅菌ラップが平らにならないと、滅菌ラップの他の部分を展開するときに、滅菌ラップの部分的に展開された側部が被滅菌物品またはトレイ200の方向に折れ戻るおそれがある。この現象は、物品またはトレイ200の滅菌性を損なわせる。通常、折り畳み及び展開をより容易にし、滅菌後の解包/展開中に平らにすることができるように、滅菌ラップの材料は、より柔らかく、よりフレキシブルに、より応従的にすることが求められている。しかしながら、予期せぬことに、滅菌アセンブリを補強し、該アセンブリの側部の質量及び/または剛性を高めることにより、滅菌ラップの他の部分を展開するときに、滅菌ラップの部分的に展開された側部が被滅菌物品またはトレイの方向に折れ戻る可能性を大幅に低減させるかまたは除去することができることが見出された。
【0059】
図6図8Cを参照して、バリアパネル102は、バリアパネルの第1の縁部120及び第3の縁部またはその近傍に配置されたバリアパネルボルスタ400を含む。バリアパネルボルスタ400は、特に長時間の蒸気または熱滅菌後のバリアパネルの展開時に該バリアパネルの展開された前記第1及び第3の縁部が折り畳み方向に折れ戻ること(すなわち展開される前の位置に向かって折り返されて戻ること)を防止する。バリアパネルボルスタ400は、バリアパネル102の物品被覆領域132の第1及び第3の縁部120、124またはその近傍に配置され、前記縁部120、124から内側に向かって延在し、かつバリアパネル102上に積層されている。概して言えば、図6図7A図7B図8Aに示すように、バリアパネルボルスタ400は、バリアパネル102の第1の面110上に配置される。その代わりに及び/またはそれに加えて、図7Cに示すように、バリアパネルボルスタ400は、バリアパネル102の第2の面112に配置してもよい。バリアパネルボルスタ400は、バリアパネル102に対する補強を提供するように構成することもできる。これに関して、バリアパネルボルスタ400は、補強要素302の代わりに使用することもできる。または、バリアパネルボルスタ400は、図10A図10Dに示すように、補強要素302と併用することもできる。
【0060】
また、図6図7A図7B図8Aに示すように、物品被覆領域132内に設けられるバリアパネルボルスタ400は、バリアパネル102の物品配置領域130まで延在するようにしてもよい。あるいは、図8Cに示すように、バリアパネルボルスタ400は、バリアパネル102の物品被覆領域132内だけに設けられるようにしてもよい。バリアパネルボルスタは、物品被覆領域におけるバリアパネルに対する補強を提供し、かつ被滅菌物品を受容する領域を画定することができる。
【0061】
本発明の一態様では、バリアパネルボルスタは、バリアパネルの縁部またはその近傍において、バリアパネルの坪量を約5パーセント以上増加させる。例えば、バリアパネルボルスタは、バリアパネルの縁部またはその近傍において、バリアパネルの坪量を約10〜75パーセント増加させることができる。別の例では、バリアパネルボルスタは、バリアパネルの縁部またはその近傍において、バリアパネルの坪量を約15〜50パーセント増加させることができる。さらなる別の例では、バリアパネルボルスタは、バリアパネルの縁部またはその近傍において、バリアパネルの坪量を約20〜40パーセント増加させることができる。本明細書で使用するとき、「坪量」は、特定の単位面積あたりの材料の重量を指す。坪量は、通常、比較的薄くて平坦なシート様材料、例えば、布、フィルム、紙、ウェブなどに用いられる。本明細書で説明した材料の坪量は、基本的に、連邦試験基準第191A号の方法5041(Method 5041 of Federal Test Method Standard No. 191A)に従って求められる。坪量はまた、試験方法ASTM D 3776−96またはTAPPI試験方法T−220を用いて求めることもできる。坪量は、単位面積あたりの重量の単位(例えば、1平方メートルあたりのグラム、または1平方ヤードあたりのオンス)で表される。これらの単位は、それぞれ、「gsm」または「osy」と略される。
【0062】
本発明の別の態様では、ボルスタをバリアパネルに結合させることにより、バリアパネルの縁部またはその近傍におけるバリアパネルの剛性を、ボルスタ及びバリアパネルを互いに重ね合せたが互いに結合させていない場合と比べて約5パーセント高めることができる。つまり、バリアパネル及びボルスタを例えば超音波結合、熱結合、バーシーリング、接着結合などの結合技術によって互いに結合させた場合、バリアパネル及びボルスタを互いに組み合わせるかまたは重ね合わせたが互いに結合させていない場合と比べて、剛性を約5パーセント高めることができる。例えば、ボルスタをバリアパネルに結合させることにより、バリアパネルの縁部またはその近傍におけるバリアパネルの剛性を、バリアパネル及びボルスタを互いに組み合わせるかまたは重ね合わせたが互いに結合させていない場合と比べて約10〜75パーセント高めることができる。別の例では、ボルスタをバリアパネルに結合させることにより、バリアパネルの縁部またはその近傍におけるバリアパネルの剛性を、バリアパネル及びボルスタを互いに組み合わせるかまたは重ね合わせたが互いに結合させていない場合と比べて約15〜50パーセント高めることができる。さらなる別の例では、ボルスタをバリアパネルに結合させることにより、バリアパネルの縁部またはその近傍におけるバリアパネルの剛性を、バリアパネル及びボルスタを互いに組み合わせるかまたは重ね合わせたが互いに結合させていない場合と比べて約20〜40パーセント高めることができる。前記剛性は、ドレープ剛性(drape stiffness)と特徴付けることができる。ドレープ剛性は、Testing Machines社(Amityville, Long Island, N.Y. 11701)から入手可能な剛性試験機を使用し、ASTM標準試験方法D1388−64に従って、オプションA(片持ち梁試験)に記載された方法を用いて容易に測定することができる。その代わりに及び/またはそれに加えて、剛性は、カワバタ曲げ剛性、ガーレー剛性、または他の剛性の測定値として特徴付けることができる。
【0063】
バリアパネルボルスタは、繊維ウェブ、不透過性フィルム、透過性または多孔質フィルム、有孔フィルム、発泡体、及びそれらの組み合わせから選択される材料の1以上の層を含み得る。例えば、繊維ウェブには、織ウェブ及び不織ウェブが含まれ得る。織ウェブには、天然材料、合成材料、またはそれらの混合物が含まれ得る。例として、天然材料は、綿糸の織物であり得、合成材料は、ポリプロピレン、ポリエステルまたはナイロン糸などの織物であり得る。不織ウェブには、例えば、スパンボンド、メルトブローン、カーデッドウェブ、湿潤形成されたウェブ、エアレイドされたウェブ、またはそれらの積層体(例えば、スパンボンド/メルトブローン/スパンボンド)が含まれ得る。また、そのような不織布ウェブには、天然材料、合成材料またはそれらの混合物が含まれ得る。前記バリアパネルボルスタには、透過性フィルム、不透過性フィルムまたはそれらの積層体から選択される材料の1以上の層が含まれ得る。透過性フィルムは、有孔性または微細孔性であり得る。有孔性フィルムは、機械的穿孔、真空穿孔、または他の商業的に利用可能な技術によって形成することができる。微小孔フィルム及び他の同様のフィルムは、米国特許第5,695,868号、米国特許第5,698,481号、米国特許第5,855,999号、及び米国特許第6,277,479号に概略的に説明されているようにして作製することができる(これらの特許文献の内容は参照により本明細書に援用されるものとする)。不透過性フィルムは、単層または共押し出しされたものであり得、ポリエチレン、ポリプロピレン、それらのコポリマー、ビニル、金属箔などのフィルム材料から構成することからできる。前記フィルムは、上述した繊維ウェブに積層させてもよいことに留意されたい。
【0064】
例えば、バリアパネルボルスタは、接着剤、熱結合、超音波結合または他の技術あるいはそれらの組み合わせによってバリアパネルに結合された、不織材料の1または複数の層であり得る。例えば、各バリアパネルボルスタは、例えば1層のメルトブローン繊維とそれを上下から挟む2層のスパンボンド繊維とからなる積層体(一般的に「SMS」材料と呼ばれる)などの不織材料層であり得る。各層は、バリアパネルの第1及び第3の縁部から延在しているかまたは前記縁部に隣接している。バリアパネルボルスタは、前記縁部またはその近傍から数インチ延在しているか、またはバリアパネルの裂け、破断、圧力切断などに対する補強を助けるために前記縁部からそれ以上延在している。例えば、バリアパネルの第1及び第3の縁部またはその近傍から内向きに延在している各バリアパネルボルスタは、バリアパネルの幅Wの約10〜40パーセントの幅を有している。望ましくは、バリアパネルの第1及び第3の縁部またはその近傍から内向きに延在している各バリアパネルボルスタは、バリアパネルの幅Wの約20〜40パーセントの幅を有している。さらに望ましくは、バリアパネルの第1及び第3の縁部またはその近傍から内向きに延在している各バリアパネルボルスタは、バリアパネルの幅Wの約30〜40パーセントの幅を有している。
【0065】
各バリアパネルボルスタは、バリアパネルと直接接触する一部の表面においてのみバリアパネルに結合され得る。あるいは、バリアパネルボルスタは、バリアパネルに直接接触する表面全体に渡ってバリアパネルに結合され得る。例えば、バリアパネルボルスタ、特にバリアパネルボルスタにおけるバリアパネルの縁部よりも内側の部分は、接着剤のスプレー法またはスロットコート塗布法を用いて表面の全体または表面の一部に渦巻きパターンで塗布された接着剤によって、バリアパネルに対して結合される。バリアパネルボルスタにおけるバリアパネルの縁部よりも内側の部分の結合は、別個の接着剤を、ボルスタ上に、ストライプ、ラインまたはスウォッチのパターンでバリアパネルの第1及び第3の縁部に対して概ね平行な方向に塗布することにより実現することができる。バリアパネルの縁部のすぐ近傍に隣接するバリアパネルボルスタの部分は、上述したように接着剤を用いて、または超音波結合、熱結合、圧力結合または他の技術を用いて結合させることができる。接着剤を用いる場合、接着剤は滅菌条件に耐えることができるものであるべきである。また、バリアパネルボルスタの重量及び/または剛性を増加させることができる接着剤が望ましいと考えられる。
【0066】
本発明のマルチパネル滅菌アセンブリ100は、第1の面110上に設けられ、かつ所定の折り線116とバリアパネルの中間線Mとの間に位置するパネル結合手段106を含む。パネル結合手段106は、バリアパネルの第1の縁部120及び/または第3の縁部124またはその近傍に設けることが望ましい。パネル結合手段106は、バリアパネルの第1の縁部120及び第3の縁部124の両縁部またはその近傍に図示されているが、一方の縁部またはその近傍だけに設けてもよい。図6図7A図7B及び図8Aに示すように、パネル結合手段106は、バリアパネルボルスタ400上に配置されるか、またはボルスタ400に対して結合される。
【0067】
図6図7A及び図7Bに示すように、パネル結合手段106は、バリアパネルの第1の縁部120及び第3の縁部124から延出するように設けられている。その代わりに及び/またはそれに加えて、図8A及び図9Aに示すように、パネル結合手段106は、第1の縁部及び/または第3の縁部の近傍に設けてもよい。パネル結合手段は、1つの大きな要素または複数の個別の要素であり得る。例示的なパネル結合手段には、これらに限定しないが、接着テープ、両面接着テープ、層間剥離可能リリーステープ、層状リリーステープ、粘性材料、フックアンドループ式締結システム、機械式締結システム(これらに限定しないが、スナップ、クリップ、磁石、キャッチ、スロット、タブなど)、及びそれらの組み合わせが含まれる。例えば、パネル結合手段は、バリアパネルに対して、縫合、超音波結合、熱機械的結合若しくは接着、または接着結合された少なくとも1つの端部または部分を有する、1以上の接着テープであり得る。パネル結合手段は、バリアパネル上に配置され、バリアパネルの1以上の縁部をバリアパネル自体に対して結合させるのに用いられるバリアパネル結合手段であることが望ましい。バリアパネル結合手段は、各面の接着剤の接着強度または粘着強度が互いに同じかまたは異なる両面テープであり得ることが分かっている。その代わりに及び/またはそれに加えて、パネル結合手段は、分離可能または剥離可能な接着材料(例えば、分離可能な紙、分離可能な積層体、分離可能な発泡体、剥離可能な紙、剥離可能なリリース構造体、剥離可能な発泡体、あるいは他の剥離可能または分離可能な積層体)の間に中央層が挟まれた両面テープ構造を有し得る。例示的な分離可能または剥離可能な材料は、例えば、1997年12月30日にCaudal他に付与された米国特許第5,702,555号、1982年1月12日にFryeに付与された米国特許第4,310,127号、1972年7月11日にSorrellに付与された米国特許第3,675,844号、及び1940年6月25日にHumphnerに付与された米国特許第2,205,956号に開示されている(これらの特許文献の内容は参照により本明細書に援用されるものとする)。
【0068】
本発明の一態様では、パネル結合手段106は、おむつ、失禁用品及び同様の製品においてよく使用される様々な種類の接着締結タブまたテープ留めシステムの形態であり得る。例示的なテープ留めシステムは、例えば、1983年10月18日にLareに付与された米国特許第4,410,325号に見ることができる(これらの特許文献の内容は参照により本明細書に援用されるものとする)。このシステムは、物品(例えば、衣服の一部)に対して結合される第1の端部または部分を有し、かつ自身の上に折り返して重ねることができる接着締結タブまたはテープ留めシステム(ここでは「テープ」と呼ぶ)を用いている。使用時は、前記テープを折り畳まれた状態から展開し、前記テープの少なくとも第2の端部または部分において接着面を露出させる。前記テープの前記少なくとも第2の端部または部分は、その後、物品(衣服)における互いに離間している2つの部分を所望の形態で固定するために物品の別の部分(例えば衣服の第2の部分)に対して接着される。概して言えば、テープ式パネル結合手段106の第1の端部はバリアパネルの第1の縁部120またはその近傍に固定結合されており、テープ式パネル結合手段106の第2の端部は前記第1の端部の上に折り返して重ねられる。追加的なパネル結合手段106を、バリアパネルの第3の縁部124またはその近傍に同様の方式で結合させてもよい。使用時は、テープ式パネル結合手段106を折り畳まれた状態から展開し、テープ式パネル結合手段106の少なくとも第2の端部において接着面を露出させる。バリアパネルの第1の縁部120及び/または第3の縁部124に設けられたパネル結合手段の露出された接着面は、バリアパネルを被滅菌物品の周りに折り畳んだ後に前記第1及び第3の縁部を互いに及び/またはバリアパネルの他の部分に対して結合させるのに用いられる。このような構造では、任意的な結合領域305を用いてもよい。例示的な任意的な結合領域305が、図8B及び図9Bに破線で示されている。パネル結合手段として接着性材料または粘着性材料を用いる実施形態では、結合領域305は、折り畳まれたバリアパネルが閉じているべきときに「ポン(pop)」と開いたり解放されたりしないようにより強固に結合させるための適切な接着面を提供する、適用されたフィルム、不織布のより強固に結合された部分、別個の材料部材、コーティングまたは同様のものであり得る。結合領域305は、パネル結合手段を結合させるための適切な位置をユーザに知らせるように構成され得る。このような構造では、結合領域305は、ユーザに対しての表示(色、テクスチャ、英数字など)と組み合わせられるか、または前記表示を含み得る。さらに重要なことには、結合領域305は、無菌で解包できることを保つため、バリア布が裂けたり破れたりするのを避けるべくせん断力に対する十分なレベルの強度を提供するため、及び/または剥離力に対する十分なまたは制御されたレベルの強度を提供するためにパネル結合手段106の結合の解除に要する力が注意深く制御されるように適切な表面を提供するように構成され得る。
【0069】
別の例示的なテープ留めシステムは、例えば、1986年4月29日にRosch他に付与された米国特許第4,585,450号に見ることができる(この特許文献の内容は参照により本明細書に援用されるものとする)。このシステムは、補助的テープ要素及び主要テープ要素を含む接着締結タブまたはテープ留めシステム(ここでは「テープ」と呼ぶ)を用いる。前記テープは、物品(例えば、衣服の一部)に固定結合される第1の端部または部分と、補助的テープ要素及び主要テープ要素を含む第2の端部または部分とを有する。使用時は、主要テープ要素の接着面を露出させる。主要テープ要素の接着面は、その後、前記物品の異なる部分(例えば、衣服の第2の部分)に接着結合され、それにより、衣服における互いに離間している2つの部分を所望の形態で固定する。主要テープ要素と補助的テープ要素との間の接着結合は、前記両要素間の結合を必要に応じて何度でも確実に解除することができるように、主要テープ要素と衣服すなわち物品の第2の部分との間の接着結合よりも結合強度が低い。
【0070】
概して言えば、パネル結合手段106の第1の端部すなわち第1の側部は、バリアパネルの第1の縁部120またはその近傍に固定され、テープ式パネル結合手段106の第2の端部すなわち第2の側部は、前記第1の端部上に折り返して重ねられるか、または剥離要素によって被覆される。追加的なパネル結合手段106を、バリアパネルの第3の縁部124またはその近傍に同様の方式で固定してもよい。使用時は、パネル結合手段106の主要テープ要素を展開するか(折り畳み状態を解除するか)、または剥離要素を除去することにより、少なくともパネル結合手段106の第2の端部すなわち第2の側部において接着面を露出させる。主要テープ要素の露出された接着面は、バリアパネルを被滅菌物品の周りに折り畳んだ後に、バリアパネルの第1の縁部120及び/または第3の縁部124を互いにまたはバリアパネルの他の部分に対して結合させるのに用いられる。このような構造では、主要テープ要素と補助的テープ要素との間の接着結合は、前記両要素間の結合を必要に応じて何度でも確実に解除することができるように、主要テープ要素とバリアパネルの接着結合部分との間の接着結合よりも結合強度が低い。いくつかの態様では、主要テープ要素は、結合領域としての役割を果たす。つまり、主要テープ要素をバリアパネルに対して接着結合させてバリアパネルを折り畳み形態で固定した後、主要テープ要素は、無菌で解包できることを保つため、バリア布が裂けたり破れたりするのを避けるべくせん断力に対する十分なレベルの強度を提供するため、及び/または剥離力に対する十分なまたは制御されたレベルの強度を提供するために主要テープ要素と補助的テープ要素との間の接着結合の解除に要する力が注意深く制御されるように適切な表面を提供することができる。別の態様では、作業者が滅菌前に被包装物を調べるために包装されたバリアパネルを再び開いた後に、マルチパネル滅菌アセンブリを破壊しなくてもパネル結合手段をバリアパネルに再結合させることができるように、前述したようなまたは主要テープ要素の形態の結合領域305が用いられ得る。
【0071】
別の例では、パネル結合手段は、一本の布(例えば不織布)であり得、その一端または部分がバリアパネルに対して縫合されるか、超音波結合されるか、熱機械的結合若しくは接着されるか、または接着結合されており、かつ、その一端及び他端にフックアンドループ式締結システムの各要素が設けられている。バリア布自体が、例えばベルクロ・インダストリーズBV社(Velcro Industries B.V.)製のベルクロ(VELCRO(登録商標)ブランドの締結機構として入手可能なものなどのフックアンドループ式締結システムのループ要素として機能することも考えられる。例えばNestegardに付与された米国特許第5,315,740号に記載されている、低コストのループ材料(例えば不織ウェブなど)に対して係合可能な小型フックなどの別の例示的なフックシステムを用いることもできる。
【0072】
パネル結合手段の様々な要素または部品を、任意の関連する基材層とともに、例えば成形法や共押出し法などにより一体的に形成することも考えられる。例えば、フック基材層及びフック要素を実質的に同一のポリマー材料から共押出しすることにより、個々のフック要素をフック基材層と同時にかつ一体的に形成することもできる。
【0073】
本発明の一態様では、図6及び図9Aに示すように、バリアパネル102の物品配置領域130を物品被覆領域132に対して識別または区別するために、パネル結合手段106は所定の位置140でバリアパネル102の第1の面110に結合されている。また、所定の位置140に設けられたパネル結合手段106の位置は、物品配置領域130内における物品の配置に最適な領域をユーザに知らせる。このことは、本アセンブリ上に設けられた標識、及び/または、本アセンブリ上に設けられたか、または本アセンブリに備え付けられたか、または作業場またはラッピングステーションに掲示された説明によって強調することができる。
【0074】
図8A及び図9Aを参照して、パネル結合手段106は、幅よりも大きい長さを有する両面テープであることが望ましい。例えば、パネル結合手段は、その幅の2倍以上の長さを有する両面テープであり得る。別の例では、パネル結合手段は、その幅の4倍〜8倍の長さを有する両面テープであり得る。その代わりに及び/またはそれに加えて、パネル結合手段の形状は、第1の縁部120及び第3の縁部124に沿ってまたは前記両縁部の近傍に配置された一連の正方形のテープであり得る。パネル結合手段106における所定の折り線116に最も近い部分は、折り線116から約7.62cm(3インチ)未満の距離で離間していることが望ましい。また、パネル結合手段106における所定の折り線116に最も近い部分は、折り線116から約5.08cm(2インチ)未満の距離で離間していることがより望ましい。例えば、パネル結合手段106における所定の折り線116に最も近い部分は、折り線116から約1.27〜2.54cm(1/2〜1インチ)の距離で離間している。
【0075】
図6を再び参照して、マルチパネル滅菌アセンブリ100の折り畳み保護パネル108が、バリアパネル102に隣接配置されている。つまり、折り畳み保護パネル108は、バリアパネル102と並んですなわち隣り合って設けられている。概して言えば、折り畳み保護パネル108は、任意の適切な材料であり得るが、透過性のシート材料から形成することが望ましい。本発明によれば、折り畳み保護パネルは、所定の折り線116の概ね近傍に位置する近位端部142と、近位端部142の概ね反対側に位置する遠位端部144と、近位端部142から遠位端部144まで延在する少なくとも第1の保護パネル縁部146及び第2の保護パネル縁部148とを有する。本発明によれば、折り畳み保護パネルは、追加的な縁部を有することができる。例えば、図7Aを参照して、折り畳み保護パネルは、遠位端部144または該端部に沿って位置する少なくとも第3の保護パネル縁部150を有することができる。図8Aを参照して、さらなる別の例では、折り畳み保護パネルは、遠位端部144または該端部に沿って位置する少なくとも第3の保護パネル縁部150と、第4の保護パネル縁部152と、第5の保護パネル縁部154とを有することができる。
【0076】
概して言えば、折り畳み保護パネルは、スパンボンド不織材料の軽量積層体、または、スパンボンド不織材料及びメルトブローン不織材料の軽量積層体などの軽量材料であり得る。したがって、折り畳み保護パネルは、バリアパネルを形成する材料のような高いレベルのバリア性を提供する必要はない。あるいは、折り畳み保護パネルは、バリア性を有するように構成され得る。例えば、折り畳み保護パネルは、バリアパネルと同じ材料から形成してもよい。折り畳み保護パネルは、スパンボンド不織材料の単一層であることが考えられる。
【0077】
本発明の一態様では、折り畳み保護パネルは、第1の保護パネル縁部から第2の保護パネル縁部までの距離である幅と、近位端部から遠位端部までの距離である長さを有することが望ましい。折り畳み保護パネルは、約30〜127cm(12〜50インチ)の幅を有し得る。望ましくは、折り畳み保護パネルは、約46〜102cm(18〜40インチ)の幅を有し得る。より望ましくは、折り畳み保護パネルは、約51〜76cm(20〜30インチ)の幅を有し得る。また、折り畳み保護パネルは、約15〜76cm(6〜30インチ)の長さを有し得る。望ましくは、折り畳み保護パネルは、約20〜51cm(8〜20インチ)の長さを有し得る。より望ましくは、折り畳み保護パネルは、約30〜38cm(12〜15インチ)の長さを有し得る。
【0078】
使用時は、パネル結合手段106は、バリアパネル102を中間線Mまたはその近傍で折り返してバリアパネルの第2の端部118をバリアパネルの第1の端部114に近接させた後に、バリアパネルの第1の縁部120及び第3の縁部124を物品被覆領域132の一部に対して結合させるのに用いられる。いくつかの実施形態では、パネル結合手段106は、バリアパネルの第1の縁部120及び第3の縁部124を互いに結合させるのに用いられ得る。
【0079】
本発明の一態様では、パネル結合手段がバリアパネルの個々の縁部をバリアパネルの物品被覆領域または前記縁部自体に対して結合させるときの接着力または結合力は、バリアパネルを物品の周りに結合させて、滅菌の前後に通常の取り扱いに耐えることができる頑丈なパッケージを形成するのに十分な力であることが重要である。パネル結合手段をバリアパネルボルスタ400上に配置するかまたはボルスタ400に対して結合させる場合、パネル結合手段がバリアパネルの個々の縁部をバリアパネルの物品被覆領域または前記縁部自体に対して結合させるときの接着力または結合力は、バリアパネルボルスタのバリアパネルに対する接着力または結合力よりも小さく、かつバリアパネルを物品の周りに結合させて、滅菌の前後に通常の取り扱いに耐えることができる頑丈なパッケージを形成するのに十分な力であることが重要である。
【0080】
例示的な構造、特に、パネル結合手段によって十分に高いレベルの係合せん断力が提供される構造では、前記締結係合は、パネル結合手段とそれに結合するバリアパネルの他の部分との間で、約5グラム重(gmf)(約0.012lbf)の最小値以上の剥離力値を提供する。さらなる構造では、前記締結係合は、向上した利点を提供するために、約6〜50mgfの剥離力値を提供する。望ましい構造では、前記締結係合は、パネル結合手段とそれに結合するバリアパネルの他の部分との間で、約10〜30mgfの剥離力値を提供する。より望ましくは、剥離力値は、約15〜20mgfであり得る。概して言えば、向上した利益をさらに提供するために、剥離力は、約100mgf以下、望ましくは約75mgf以下であるべきである。剥離力が上記の値を超える場合、滅菌された物品を無菌状態で収容しているパッケージの解包が困難になる。
【0081】
約102mm×25mm(4インチ×1インチ)の寸法を有するパネル結合手段については、パネル結合手段とそれに結合されるバリアパネルの他の部分との間の結合力は、望ましくは約5000gmfを超えるせん断力値をさらに提供することができる。概して言えば、パネル結合手段とそれに結合するバリアパネルの他の部分との間の結合領域におけるせん断力に対する抵抗は、1平方インチあたり約750gmf以上であるべきである。前記せん断力は、約1000gmf/平方インチ以上であることが望ましく、約2000gmf/平方インチ以上であることがより望ましい。前記せん断力は、約2500gmf/平方インチ以上であることがさらにより望ましい。さらなる態様では、前記せん断力は、最大で、約4400gmf/平方インチまたはそれ以上であり得る。あるいは、向上した性能を提供するために、前記せん断力は、約3900gmf/平方インチ以下であり、任意選択で、約3500gmf/平方インチ以下である。
【0082】
剥離力値は、実施例の節において後述する方法を用いて求めることができる。あるいは、剥離力値は、1991年9月15日に認可され、1991年11月に公表された標準的方法ASTM D−5170に従って求めることもできる。
【0083】
せん断力値は、実施例の節において後述する方法を用いて求めることができる。あるいは、せん断力値は、1991年9月15日に認可され、1991年11月に公表された標準的方法ASTM D−5170に従って求めることもできる。試験片は、パネル結合手段と、バリアパネルにおけるパネル結合手段に結合される部分とから構成される。試験片の長さ及び幅は一般的に、剥離力値のための後述する試験を実施するために採用される長さ及び幅に対応する。試験時は、試験片は、その長さ方向が、物品の通常使用時に前記物品に用いられるパネル結合手段(例えば、両面テープファスナー)に対してせん断力が一般的に加えられる方向に対して垂直をなすように配置される。試験片の「幅」は、試験片の長さに対して垂直をなす。つまり、図8A及び図9Aに示したような幅よりも大きい長さを有する試験片については、せん断力は一般的に、試験片の幅を横切る方向(すなわち、長さに対して垂直な方向)に加えられる。
【0084】
パネル結合手段がバリアパネルの各縁部をバリアパネルの物品被覆領域または前記縁部自体に対して結合させるときの接着力または結合力は、本アセンブリを構成するときに、バリアパネルまたは本アセンブリの要素(例えば、バリアパネルボルスタ)上にパネル結合手段を結合させるのに用いられる結合の剥離強度よりも小さくあるべきであることは容易に理解できるであろう。例えば、約10cm×2.5cm(約4インチ×1インチ)の寸法を有するパネル結合手段については、前記アセンブリを構成するときにパネル結合手段をその下側のバリアパネルに結合させるのに用いられる結合(例えば、接着、機械的、熱機械的、超音波など)の剥離強度は、約400gmfよりも大きくあるべきである。望ましくは、本アセンブリを構成するときに、バリアパネル上にパネル結合手段を結合させるのに用いられる結合の剥離強度は、パネル結合手段とバリアパネルとの結合領域において約400gmf/平方インチよりも大きくあるべきである。例えば、前記結合強度は、1000gmf/平方インチよりも大きくあり得、さらには4000gmf/平方インチよりも大きくあり得る。パネル結合手段をバリアパネルボルスタ400上に配置するかまたはボルスタ400に対して結合させる場合、パネル結合手段がバリアパネルの個々の縁部をバリアパネルの物品被覆領域または前記縁部自体に対して結合させるときの接着力または結合力は、バリアパネルボルスタとバリアパネルとの間の結合力よりも小さいことが重要である。
【0085】
ここで図9A〜9Eを参照すると(そして、図8Aをさらに参照すると)、マルチパネル滅菌アセンブリの例示的な折り畳み手順が示されている。図9Aは、バリアパネル102から構成されるマルチパネル滅菌アセンブリ100を示す。バリアパネル102は、折り畳み保護パネル108と、第1の表面110に設けられたパネル結合手段106と協働して物品200の周りに折り畳まれ、パッケージ(図9Eに示すようなパッケージ202)を形成することができる。バリアパネル102は、物品202を接触して覆うフレキシブルなマルチパネル滅菌アセンブリ110の一部である。物品200は、パネル結合手段106によってバリアパネル102の第1の表面110上に概ね画定された物品配置領域130に配置される。
【0086】
図9Bに概略的に示すように、バリアパネル102の第2の端部118を中間線Mで上側に折り返して第1の端部114の上側に持ってきて、バリアパネル102の物品被覆領域132が物品200の上側に延在するようにする。図9Bに示すように、第2の端部118におけるバリアパネルの幅は、第1の端部114におけるバリアパネルの幅よりも小さい。このような構成は、第2の端部118を第1の端部114の上側に持ってきた後にパネル結合手段106へのアクセスを可能にする第4の縁部126及び第5の縁部128の構造を提供するので、(図7A及び図7Bに示すようにパネル結合手段106が縁部から外側に延出しているのではなく)図8A及び図9Aに示すようにパネル結合手段106がバリアパネル上に直接的に設けられた場合は重要である。
【0087】
本発明のいくつかの実施形態では、プルタブまたはテイル300が第2の端部118から延在している。プルタブまたはテイル300は、包装されたパッケージを展開または解包する最初のステップのときにアクセスすることができるように配置されている。プルタブまたはテイル300は、バリアパネルの第2の端部118から延出しているか、またはバリアパネル102の第2の面112において第2の端部118に結合していることが望ましい。図7Bを簡単に参照すると、プルタブまたはテイル300がバリアパネルと一体化された構造が示されている。図7Cは、バリアパネル102の第2の面112上に設けられたプルタブまたはテイル300を示している。プルタブまたはテイル300が包装時にバタつかないようにかつ適切な位置に位置するように、プルタブまたはテイル300の遠位端(すなわち自由端)は、弱性接着剤または接着性タブ若しくはステッカーによってバリアパネルに結合されることが望ましい。
【0088】
図9Cは、(第2の端部118を第1の端部114の上側に持ってきた後に)バリアパネル102の第3の縁部124を第2の端部118上に折り重ねた状態を示す。必ずしもスケール通りに示していないが、バリアパネル102の第3の縁部124は、折り返した後は、本アセンブリの中央まで延びていない。
【0089】
図9Dは、バリアパネル102の第1の縁部120を第2の端部118上に折り重ねた状態を示す。必ずしもスケール通りに示していないが、バリアパネル102の第1の縁部120は、折り畳まれた後は、本アセンブリの中央まで延びていない。したがって、第3の縁部124と第1の縁部120とが互いに重なり合わないことは明らかである。図4及び図5に概略的に示したような、縁部同士が互いに重なり合う従来の滅菌ラップとは異なり、バリアパネル102の縁部120及び124は、所定の距離を隔てて互いに離間している。この差異は、バリアパネル102の折り畳まれた縁部120及び124を物品の周囲の適所に保持するためのパネル結合手段106の重要性を強調する。さらに、これらの縁部が概ね露出されることは、折り畳み保護パネル108の重要性を強調する。
【0090】
ここで図9Eを参照すると、折り畳み保護パネル108を所定の折り線116で折り返し、その遠位端部144をバリアパネルの第2の端部の上側に持ってくる。いくつかの実施形態では、バリアパネル材料における第1の縁部120及び第3の縁部124に隣接する部分を目で見ることができる。この構造では、バリアパネル102の実際の縁部120及び124は完全に覆われているので、前記パッケージの通常の取り扱い時に、前記縁部自体が誤って引っ張られて広げられたり、破れたりすることはない。折り畳み保護パネルは一般的に、滅菌ラップに使用される従来のテープを用いて形態固定される。折り畳み保護パネルは、バリアパネルを被滅菌物品の周りに折り畳んでパッケージを形成した後に、バリアパネルの縁部を覆うことが望ましい。折り畳み保護パネルでバリアパネルの縁部を覆うことにより、作業者が折り畳まれたバリアパネルを誤って開く(解包する)ことを防止する。加えて、折り畳み保護パネルは、バリアパネルの縁部を、鉤裂き、引っ張り、またはパネル結合手段の結合解除を引き起こす剥離力を前記縁部に付与する他の現象から保護する。つまり、マルチパネル滅菌アセンブリのこの構造は、パッケージを形成すべくバリアパネルを被滅菌物品の周りに折り畳んだ後に、折り畳み保護パネルによってバリアパネルの露出した縁部を保護する。
【0091】
トレイまたは物品を包装し滅菌した後のマルチパネル滅菌アセンブリを解包する手順は、包装するときの手順の概ね逆である。例えば、折り畳み保護パネルの従来のテープ式固定を解除し、折り畳み保護パネルを引き戻すと、プルタブ300並びに第1の縁部120及び第3の縁部124の一部が露出して図9Dに概略的に示すような構造になる。第1の縁部120を掴んで上方または側方へ引っ張ってパネル結合手段による結合を解除した後、図9Cに示すように平らに展開する。第3の縁部124を掴んで上方または側方へ引っ張ってパネル結合手段による結合を解除した後、図9Bに示すように平らに展開する。プルタブ300を、接着タブまたはステッカーによりバリアパネルに結合された位置で掴んだ後、前記タブまたはステッカーを引っ張り上げてプルタブ300及びバリアパネルの第2の端部118を物品200から引き離す。重要なのは、バリアパネルボルスタ400により、バリアパネルの第1の縁部120及び第3の縁部124を概ね平坦な展開構造に保ち、それにより前記縁部が物品200の方向に折れ戻ることを防止することができることである。
【0092】
本発明によれば、バリアパネルは、少なくとも1つの通気性不織材料層から構成される。通気性不織材料層は、スパンボンド細繊維層、メルトブローン繊維層及びスパンボンド細繊維層から構成される積層体(スパンボンド・メルトブローン・スパンボンド材料とも呼ばれる)であることが望ましい。これらの層の作製方法は既知であり、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第4,041,203号(Brock他)に記載されている(この特許文献の内容は参照により本明細書に援用されるものとする)。前記特許文献(Brock他)の前記材料は、スパンボンド層、メルトブローン層、スパンボンド層の3層の積層体であり、一般に、頭文字をとって「SMS」と呼ばれている。SMSの2つの外側層は、ランダムパターンで堆積させ互いに結合させた押出ポリオレフィン繊維または細繊維から作製されたスパンボンド材料である。内側層は、一般的に、スパンボンド層の繊維よりも小径の押出ポリオレフィン繊維から作製されたメルトブローン層である。その結果、メルトブローン層は、その極細繊維構造に起因して、細菌または他の汚染物質の通過を阻止するが滅菌物質の通過を可能にする向上したバリア性を提供する。一方で、2つの外側のスパンボンド層は、積層体全体における強度要素の大部分を提供する。前記積層体は、積層体の表面上で実質的に規則的に繰り返されることが好ましい断続的な結合パターンを用いて作製され得る。前記結合パターンは、積層体の表面積の約5〜50%を占めるように選択される。前記結合パターンは、積層体の表面積の約10〜30%を占めることが望ましい。前記材料の他の組み合わせまたは変形例も考えられる。非限定的な例として、内側層が2つのメルトブローン層を含むようにすることもでき、そのような材料は「SMMS」と呼ばれる。
【0093】
バリアパネルがSMS材料から構成されるかまたはSMS材料を含む場合、SMS材料の坪量は、約33〜100グラム/平方メートル(gsm)(1〜3オンス/平方ヤード(osy))であり得る。例えば、SMS材料の坪量は、40〜67gsm(1.2〜2osy)であり得る。別の例では、SMS材料の坪量は、47〜60gsm(1.4〜1.8osy)であり得る。坪量は、ASTM D3776−07に従って求めることができる。SMS材料の複数のプライまたは層は、約67〜167gsm(2〜5osy)の範囲の坪量を提供するのに使用され得る。
【0094】
バリアパネルの透過度は、フレーザー通気度の観点から特徴付けられ、25〜500立方フィート/分(CFM)(0.7〜14.2m/分)の範囲であり得る。例えば、バリアパネルの透過度は、50〜400立方フィート/分(1.4〜11.3m/分)の範囲であり得る。さらなる別の例では、バリアパネルの透過度は、100〜300立方フィート/分(2.8〜8.5m/分)の範囲であり得る。水の0.5インチの圧力降下(125Pa)で、材料表面の1平方フィートの面積を通過する空気の透過度を立方フィート/分の単位で表すフレーザー通気度は、フレーザー・プレシジョン・インスツルメント社(Frazier Precision Instrument Company)から入手可能なフレーザー通気度試験機を用いて測定され、連邦試験方法5450、基準第191A号(Federal Test Method 5450, Standard No. 191A)に従って求められる。バリアパネルが約33〜87gsm(1〜2.6osy)の坪量を有するSMS材料から構成されるかまたは該SMS材料を含む場合、バリアパネルの透過度は、ISO 9237:1995に概ね従って測定すると、約20〜75立方フィート/分(0.6〜2.1m/分)の範囲であり得る(38cmのヘッドを用いて、125Paの試験圧力で、自動化された通気度測定機によって測定した。例示的な通気度測定機は、スイス国のTEXTEST AG社から入手可能なTEXTEST FX 3300である)。SMS材料の複数のプライまたは層を用いて約67〜167gsm(2〜5osy)の範囲の坪量を提供するようにした場合、ISO 9237:1995に概ね従って測定すると、バリアパネルの通気度は、約10〜30立方フィート/分(0.3〜0.8m/分)の範囲であり得る。
【0095】
上述したように、フレキシブルなマルチパネル滅菌アセンブリ100は、バリアパネル102の第2の端部118から延出する少なくとも1つのプルタブ300を含み得る。プルタブ300は、バリアパネルと同一の材料から作製してもよいし、バリアパネルとは異なる1以上の材料から作製してもよい。プルタブは、フレキシブルなマルチパネル滅菌アセンブリを折り畳むことによって形成された滅菌されたパッケージを解包するときに作業者が把持することができる要素である。作業者がプルタブを掴むことによって、バリアパネルにおける折り畳まれていない物品接触部分により形成された滅菌野を損なうことなく、被滅菌物品を収容しているパッケージを解包することができる。プルタブ300は、バリアパネルに取り付けられるか、またはバリアパネルと一体的に構成される。本発明の一態様では、バリアパネルにおけるプルタブ300に隣接する縁部またはその近傍は、十分な強度、剛性または支持を提供するために、縫合シーム、超音波シーム、接着結合シーム、熱機械的結合シーム(例えば、バーシールシーム)またはそれらの組み合わせなどのシームを用いて互いに結合される。このことにより、解包中にプルタブ300に力が加えられたときにバリアパネルが折れたり曲がったりすることが減少するかまたはなくなる。このことは、解包時の無菌性を維持するために重要である。例えば、図7Bに示した第2の縁部122及び第4の縁部126を部分的にまたは実質的に結合させることによって、前記構造が提供される。別の例では、図8Aに示した第2の縁部122を部分的にまたは実質的に結合させることによって、前記の望ましい構造が提供される。さらなる別の例では、図8Aに示した第2の縁部122及び/または第4の縁部126及び第5の縁部128を部分的にまたは実質的に結合させることによって、前記の望ましい構造が提供される。
【0096】
本発明の一実施形態では、本発明の滅菌アセンブリは、物品配置領域に、1以上の別個の補強要素をさらに含む。前記補強要素は、バリアパネルの補強に加えて、被滅菌物品を配置するための領域を画定する。上述したように、バリアパネルを補強するため、及び/または被滅菌物品の配置領域を画定するために、バリアパネルボルスタを物品配置領域まで延在させて設けてもよい。したがって、バリアパネルボルスタが、バリアパネルの展開時に該バリアパネルの展開された縁部が折り畳み方向に折れ戻るのを防止する役割に加えて、補強要素としての役割を果たすことが望まれる場合、以下の説明はバリアパネルボルスタに適用することもできる。前記補強要素は、繊維ウェブ、不透過性フィルム、透過性または多孔質フィルム、有孔フィルム、発泡体及びそれらの組み合わせから選択される材料の1以上の層を含み得る。例えば、繊維ウェブには、織ウェブ及び不織ウェブが含まれ得る。織ウェブには、天然材料、合成材料、またはそれらの混合物が含まれ得る。例として、天然材料は、綿糸の織物であり得、合成材料は、ポリプロピレン、ポリエステルまたはナイロン糸などの織物であり得る。不織ウェブには、例えば、スパンボンド、メルトブローン、カーデッドウェブ、湿潤形成されたウェブ、エアレイドされたウェブ、またはそれらの積層体(例えば、スパンボンド/メルトブローン/スパンボンド)が含まれ得る。また、そのような不織布ウェブには、天然材料、合成材料またはそれらの混合物が含まれ得る。前記補強要素には、透過性フィルム、不透過性フィルムまたはそれらの積層体から選択される材料の1以上の層を含まれる。透過性フィルムは、有孔性または微細孔性であり得る。有孔性フィルムは、機械的穿孔、真空穿孔、または他の商業的に利用可能な技術によって形成することができる。
【0097】
補強要素は、バリアパネルにおける別個の領域であり、被包装物品がバリアパネル材料に対して力を集中させる可能性のある位置において、バリアパネルが圧力切断、圧力穿孔、裂けなどによって損傷する可能性を減少させるための追加的な材料または処理を含む領域であり得る。補強要素は、バリアパネル材料よりも透過度が低くあるべきであり、適切な滅菌及び滅菌ガスの除去を依然として可能にしつつも、高温空気流または他の滅菌ガスに対して不透過性でさえあるべきである。フレーザー通気度の観点から特徴付けられるように、滅菌パッケージウェブの通気度が約25立方フィート/分(cfm)(0.7m/分)よりも大きい場合に、許容可能な滅菌及び滅菌ガスの除去が行われることが分かっている。したがって、滅菌パッケージ全体が適切な通気度(約25cfmよりも大きい通気度)を有する限りは、不透過性または滅菌パッケージ材料よりも通気度が低い補強要素材料も許容可能である。不透過性または低透過性の補強要素材料が望ましい場合、滅菌パッケージ全体の透過度は、補強要素によって覆われる領域を変えることにより変更することができる。滅菌パッケージウェブは、全体として、少なくとも約25cfmの透過度を維持することが望ましい。
【0098】
補強要素はまた、バリアパネル102の物品配置領域130を画定するように構成され得る。その代わりにまたはそれに加えて、補強要素は、パネル結合手段と協働して、バリアパネル102の物品配置領域130を画定するように構成され得る。例えば、補強要素を、物品配置領域内に不連続形状の形態で配置してもよい。図10Aないし図10Dは、バリアパネル102、パネル結合手段106及び折り畳み保護パネル108から構成され、補強要素302をさらに含む例示的なフレキシブルなマルチパネル滅菌アセンブリ100を示している。
【0099】
図10Aは、バリアパネル102の物品配置領域内における互いに離間した位置に配置された4つの補強要素302を有するフレキシブルなマルチパネル滅菌アセンブリ100を示す。4つの補強要素302は、物品配置領域130内における滅菌トレイまたは同様の物品の角部に対応する位置に配置されている。図10Bは、バリアパネル102の物品配置領域内における互いに離間した位置に、所定の折り線116からそれに概ね対向するバリアパネル102の第4の縁部126及び第5の縁部128まで延在するように配置された2つの補強要素302を有するフレキシブルなマルチパネル滅菌アセンブリ100を示す。2つの補強要素302は、物品配置領域130内における滅菌トレイまたは同様の物品の角部に対応する位置に配置されている。図10Cは、バリアパネル102の物品配置領域内で互いに離間した、かつ第1の縁部120及び第3の縁部124またはその近傍に設けられた2つのパネル結合手段106間の位置に、所定の折り線116と概ね平行に配置された2つの補強要素302を有するフレキシブルなマルチパネル滅菌アセンブリ100を示す。2つの補強要素302は、物品配置領域130内における滅菌トレイまたは同様の物品の角部に対応する位置に配置されている。図10Dは、バリアパネル102及び折り畳み保護パネル108における互いに離間した位置に配置された2つの補強要素302を有するフレキシブルなマルチパネル滅菌アセンブリ100を示す。2つの補強要素302は、折り畳み保護パネル108の遠位端部144からバリアパネル102の第4の端部126及び第5の端部128まで、概ね平行に延在している。2つの補強要素302は、物品配置領域130内における滅菌トレイまたは同様の物品の角部に対応する位置に配置されている。図10A図10Dには、バリアパネルの底部から延出するプルタブまたはテイル300が示されていることに留意されたい。この図示は、単に、プルタブまたはテイル300が含まれ得ることを示すことを目的としたものであり、これが特に好適な構成だというわけではない。
【0100】
当然ながら、補強要素は、様々な形状、寸法及び他の形態を有し得る。図11A及び図11Bは、例示的な補強要素302を示す。図11Aは、略三角形の形状を有する補強要素を示す。図11Bは、複数の三角形要素を互いに重ね合わせて構成した例示的な補強要素302を示す。その代わりに及び/またはそれに加えて、図11Bに示した補強要素302は、単一の材料片から作製することもできる。例えばH字パターンやX字パターンなどの他の形状または形態も考えられる。
【0101】
本発明の一態様では、本発明の使い捨て式のフレキシブルなマルチパネル滅菌アセンブリの構造は、2つの主要材料片に基づき得る。ここで図12を参照すると、例示的な使い捨て式のフレキシブルなマルチパネル滅菌アセンブリ100の分解図が示されており、第1の材料層304、第2の材料層306及び第3の材料層308が示されている。この構造では、第1の材料層304及び第2の材料層306が互いに重なり合って、バリアパネル102を画定している。概して言えば、前記層は、接着剤、超音波結合、熱機械的結合などによって互いに結合することができる。前記層は、少なくとも2つの縁部またはその近傍において、所定の折り線に沿って互いに結合されることが望ましい。例えば、前記層は、第1の縁部120及び第3の縁部124に沿って互いに結合され得る。前記結合は、完全なシームであり得るか、または一方の縁部が他方の縁部の一部またはいくつかの部分だけに沿って部分的に結合され得る。その代わりに及び/またはそれに加えて、前記結合は、各縁部の全てまたは一部に沿って断続的または不連続的であり得る。当然ながら、他の縁部も結合され得るか、または前記層がそれらの全面積の全てまたは一部に渡って互いに結合され得る。第1の材料層304及び第2の材料層306が重なり合っていない領域により、折り畳み保護パネル108が形成されている。概して言えば、第1の材料層304及び第2の材料層306は、互いに同一の材料または互いに異なる材料であり得る。例えば、第1の材料層304は、スパンボンド不織材料、軽量不織積層材料、またはバリアパネルにとって望ましいレベルのバリア性(または他の性質)を欠いている材料の単一層または複数層であり得る。第2の材料層306は、第1の材料層304よりも高いレベルのバリア性を有することが望ましい。例えば、第2の材料層306は、SMS材料などの不織繊維の積層体であり得る。第3の材料層308は、バリアパネルボルスタ400である。2つの別個のバリアパネルボルスタが図12に示されている。一方のバリアパネルボルスタは、材料306の第2の層の全長に渡って延在しており、該ボルスタは、バリアパネルの物品被覆領域及び物品配置領域の両方に及ぶバリアパネルボルスタに相当する。他方のバリアパネルボルスタは、材料306の第2の層の全長の一部にのみ延在しており、該ボルスタは、バリアパネルの物品被覆領域にのみ延在するバリアパネルボルスタに相当する。
【0102】
図12に概略的に示すように、使い捨て式のフレキシブルなマルチパネル滅菌アセンブリ100の第1の面110は、第3の材料層308、第2の材料層306及び第1の材料層304から形成され、第1の面110の反対側の面である第2の面112は、第1の材料層304から形成され得る。また、使い捨て式のフレキシブルなマルチパネル滅菌アセンブリ100の第1の面110を第1の材料層304から形成し、第1の面110の反対側の第2の面112を第1の材料層304、第2の材料層306及び第3の材料層308から形成することも考えられる。また、複数の層の他の組み合わせを用いることも考えられ、例えば、第1の材料層304の寸法に概ね対応する2つの材料層で第2の材料層306及び/または第3の材料層308の寸法に対応する中間材料層を挟むかまたは取り囲んで第1の面110及び第2の面112が概ね同じ寸法になるようにし、一方の表面において他の別個の材料層が露出しないようにする(すなわち、第1の材料層304、第2の材料層306及び第3の材料層308が全て露出しないようにする)ことも考えられる。あるいは、第3の材料層308を第1の材料層304と第2の材料層306との間に挟むようにしてもよい。
【0103】
ここで図13を参照すると、例示的な使い捨て式のフレキシブルなマルチパネル滅菌アセンブリ100の分解断面図が示されており、第1の材料層304、第2の材料層306及び第3の材料層308が示されている。この構造では、第1の材料層304と第2の材料層306とが互いに重なり合うことにより、バリアパネル102が画定されている。そして、第1の材料層304と第2の材料層306とが互いに重ね合っていない領域により、折り畳み保護パネル108が形成されている。そして、第3の材料層308と、第1の材料層304及び第2の材料層306とが互いに重なり合うことにより、バリアパネルボルスタが形成されている。この断面図は、第3の材料層308上に直接的に配置され得る補強要素302も図示している。補強要素302は、第1の表面110上に配置され、望ましいことに、パネル結合手段106間にバリアパネル102の物品配置領域130を画定する。その代わりに及び/またはそれに加えて、別の補強要素302を、第1の表面110の反対側の第2の表面112上に配置してもよい。
【0104】
滅菌ラップには、裂け、切断、破断、孔形成または他の破損などを含む様々な種類の損傷が起こり得る。どの損傷も深刻な結果を生じ得る。従来、より一般的な種類の損傷には、従来の滅菌ラップ布で包装されるかまたは別の方法で包み込まれる滅菌トレイまたは他の物品から始まる裂け、孔形成または切断が含まれると考えられてきた。言い換えれば、裂け、切断または孔形成は、滅菌トレイまたは他の物品と滅菌ラップ布との界面を起点とし、滅菌ラップ布の内面を伝搬して、該材料の外面に向かって貫通し、最終的には損傷を形成すると考えられていた。したがって、滅菌トレイまたは他の物品と滅菌ラップとの間に配置される角部保護材(コーナーガード)及び他の種類の保護材を開発することに多くの努力が費やされてきた。
【0105】
本発明の一態様では、孔または切断部に隣接する滅菌ラップ布同士が互いに溶融または「溶接」したように見える種類の圧力孔形成及び圧力切断は、通常、従来の滅菌ラップ布で包装されているかまたは他の方法で包み込まれている滅菌トレイまたは他の物品から伝搬されるのではなく、パッケージ(すなわち、滅菌ラップ布で包み込まれている物品)の外面から伝搬されることが見出されている。したがって、本出願人は、バリアパネル102の第2の面112は使い捨て式のフレキシブルなマルチパネル滅菌アセンブリ100における物品(例えば滅菌トレイ)と接触しない部分であり、通常は被覆されたパッケージの外側を形成するので、補強要素302(またはバリアパネルボルスタ400。バリアパネルボルスタが、バリアパネルの展開時に該バリアパネルの展開された縁部が折り畳み方向に折れ戻るのを防止する役割に加えて、補強要素としての役割を果たすことが望まれる場合)をバリアパネルの第2の面112に配置することにより予期せぬ利点を提供することができることを見出した。圧力孔形成及び圧力切断は包装されたパッケージの外側から伝搬される傾向があることが本願発明者により見出されたので、第2の面112に配置された補強要素302は、圧力穿孔及び圧力切断に対するより効率的な保護を提供する。本願発明者は特定の作用理論に拘束されることを望まないが、滅菌ラップで包装された物品が凹凸面に十分な力で1回以上の接触したときに、前記凹凸面によって力が集中して破壊を引き起こすエネルギーが生成され、圧力切断及び圧力孔形成がより頻繁に引き起こされることが見出された。
【0106】
前記接触は、個々の包装された滅菌トレイまたは包装された滅菌トレイのスタック(特に過重量の場合)をカートまたは他の同様の用具によって搬送しているときに、前記カート等が(例えば衝突により)突然停止したときや、揺さぶりまたは突然の衝撃を受けたときに頻繁に生じる。他の接触は、包装されたトレイを落としたとき(特にカートの縁部に)、包装されたトレイが滑らかな面を横断して引きずられたり押されたりしたときに、包装されたトレイが硬い面と接触したとき、及び/または、包装されたトレイに過剰な圧力が加えられたときに生じる。例えば、約9キログラム(20ポンド)のトレイの前側端部を持ち上げて前記トレイの全重量が後側縁部にかかるようにした状態で保管棚を横断して引っ張ると、圧力切断が生じ得る。別の例では、病院の別な場所への移動中に、包装されたトレイをカートまたは貯蔵棚の縁部の上に落とすと、(落下が短い距離であっても)圧力孔形成が生じ得る。
【0107】
一般的に言えば、補強要素を利用することにより、試験される各バリア材料についての圧力孔の形成を減少させる。定量的に、圧力孔形成は、試験されるバリア材料の種類並びにバリア材料及び補強要素(コーナーガード)の坪量に応じて30〜46%減少する。
【0108】
補強要素を比較的低い坪量(例えば、約1osy)のバリア材料とともに用いる場合、低い坪量の補強要素(例えば、約0.1〜1osy)は、バリア材料における圧力孔形成を大幅に減少させる。補強要素の坪量をさらに増加させると(例えば、約1osyから約2osyへ増加させると)、バリア材料における圧力孔形成は減少するが、減少はわずかである。補強要素の坪量をさらに増加させても(例えば、約2osyを超える値に増加させても)、バリア材料における圧力孔形成はほとんど減少しない(たとえあったとしても、わずかである)。
【0109】
本願発明者は特定の作用理論に拘束されることを意図しないが、バリア材料の外側(すなわち、バリア材料の最外面)に設けられた補強要素によって保護されない比較的「弱い」バリア材料(例えば、比較的低い坪量)は、最終的には、バリア材料の内面(すなわち、被滅菌物品と接触する内面)に使用される補強要素の「強さ」(例えば、比較的高い坪量)の程度に関わらず同じ割合で損傷が生じる。
【0110】
補強要素を、中程度の坪量(例えば、約1.8osyの坪量)のバリア材料とともに用いる場合、バリアパネルの内面(すなわち、被滅菌物品と接触する内面)に低い坪量(例えば、約0.1〜1osyの坪量)の補強要素を使用すると、バリア材料における圧力孔形成を大幅に減少させることができる。バリア材料の内面に設けられる補強要素の坪量をさらに増加させてもバリア材料に対するさらなる利益が得られないという同様の「プラトー(plateau)」が存在すると考えられている。
【0111】
比較的軽量の補強要素(〜1osy)の使用は、全ての坪量のバリア材料(1〜2osyの範囲のバリア材料)における圧力孔の形成を減少させる。バリア材料の坪量を増加させるにつれて、バリア材料自体の坪量が、補強すなわち圧力孔形成を減少させるための最も重要な要素となる。しかし、その場合でも、軽量の補強要素を用いると、補強要素を用いない場合と比較して、試験されるバリア材料の中で最も重いバリア材料(〜2osy)における圧力孔形成を減少させることができる。既知の事柄から推定すると、3osy以上のバリア材料は、1osyの補強要素から利益を受けないことが示唆されている。
【0112】
一般的に言えば、この試験の結果は、バリア材料の坪量が増加するにつれて損傷パーセントが減少することを示している。しかしながら、補強要素を滅菌トレイとバリア材料との間に配置した場合、バリア材料に対して組み合される部品の坪量を増加させると(すなわち、バリア材料の坪量が一定で補強要素の坪量を増加させると)、損傷パーセントは減少するが、対応する坪量を有するバリア材料と比べると、より高い割合で横ばい状態になる。
【0113】
驚くべきことに、補強要素をバリア材料の外側に配置し、(少なくとも滅菌トレイの角部において)補強要素がバリア材料と棚の表面との間に位置するようにした場合、バリア材料に対して組み合される部品の坪量を増加させると(すなわち、バリア材料の坪量は一定で、補強要素の坪量を増加させると)、好ましいことに、同様の坪量を有するバリア材料よりも損傷率が低下する。
【0114】
このことは、従来は滅菌ラップ材料全体の坪量を大きくすることによってのみ提供された圧力切断または圧力孔形成に対する耐性プロフィールを作り出しながら、バリアパネルの坪量を減少させるかまたは少なくとも低いレベルに維持した滅菌アセンブリを提供すると解釈される。
【0115】
【0116】
以下の例で、本発明の使い捨て式のフレキシブルなマルチパネル滅菌アセンブリの性能を評価した。
【0117】
例1
【0118】
サンプルS及びTは本発明を実証する例であり、滅菌アセンブリの側縁部から該アセンブリの中央に向かって延在するバリアパネルボルスタを示す図である図15及び図17に示されている。サンプルP及びQは比較例である。サンプルS及びQの各バリアパネルは、同一種類の不織布を使用しており、かつ同一の坪量を有している。サンプルP及びQは図14及び図16に示されており、滅菌アセンブリの側部またはその近傍まで延在していない補強要素を示している。
【0119】
サンプルSのバリアパネルボルスタとサンプルQの補強要素は、同一種類の不織布から作製されており、かつ同一の坪量を有している。同様に、サンプルT及びPの各バリアパネルは、同一種類の不織布を使用しており、かつ同一の坪量を有している。ただし、サンプルT及びPの各バリアパネルの坪量は、サンプルS及びQの各バリアパネルの坪量よりも大きい。サンプルTのバリアパネルボルスタとサンプルPの補強要素は、同一種類の不織布から作製されており、かつ同一の坪量(しかし、サンプルS及びQの坪量よりも大きい)を有している。サンプルS、T、PまたはQは、蒸気滅菌または熱滅菌処理が施されていないことに留意されたい。前記サンプルに用いられる特定の材料を下記に示す。特性及び平均値は、10個の試料に基づいたものである。
【0120】
【表1A】
【0121】
【表1B】
【0122】
【表1C】
【0123】
【表1D】
【0124】
サンプルSに関しては、バリアパネルボルスタのバリアパネルへの結合は次のようにして達成される。
・バリアパネルの側縁部での別個の超音波結合点;これらの結合領域は、試料a(図15ではa1及びa2と示されている)に含まれる。
・バリアパネルの側縁部から約2インチ離間した位置に従来のホットメルト接着剤を約0.5インチの幅で塗布して形成した第1のストライプ及び、前記側縁部から約6.5インチ離間した位置に従来のホットメルト接着剤を約0.5インチの幅で塗布して形成した第2のストライプ。試料b(図15ではb1及びb2と示されている)は、第1のストライプの一部を含む。前記第1及び第2のストライプ間にホットメルト接着剤が存在しないことにより、繊維層を通じた滅菌ガスの通過が促進される。
【0125】
サンプルSのバリアパネルボルスタは、前記第1及び第2のホットメルト接着剤ストライプ間では結合されていない;試料c(図15のc1及びc2)が、前記第1及び第2のストライプ間に位置している。試料a、b及びcは、図15に示すように前記アセンブリから切り取った。これらの試料は、下記の表における「マシン」試験方向に対応する。図17に示すように、前記アセンブリから一連の試料を切り取った。これらの試料d(d1及びd2)は、下記の表における「クロスマシン」試験方向に対応する。
【0126】
サンプルSについての重量及びドレープ剛性の測定平均値を表2に示す。ドレープ剛性の測定は、ASTM D1388-08のOption A(set-up arrangement)に従って行った。
【0127】
【表2】
【0128】
サンプルQに関しては、補強要素のバリアパネルへの結合は、バリアパネルと隣接する界面の実質的に全体に渡って適用される従来のホットメルト接着剤を用いることにより達成される。試料b(b1及びb2)及び試料c(c1及びc2)は、ホットメルト接着部分を含む(ホットメルト接着部分の重量が、サンプルSの試料cの平均重量に対する相違点である)。前記パネルは、サンプルSと同一の超音波結合点を用いて、前記側縁部に取り付けられる。サンプルQについての試料a(a1及びa2)は、バリアパネルのみを含む。サンプルQについての試料セットa、b及びcは、図14に概略的に示すようにして切り取った。これらの試料の前記側縁部に対する位置はサンプルSと同様である。これらの試料は、「マシン」試験方向値を得るために切り取られる。試料d(d1及びd2)は、「クロスマシン」試験方向値を得るために、図16に示すようにして切り取られる。
【0129】
サンプルQについての重量及びドレープ剛性の測定平均値を表3に示す。ドレープ剛性の測定は、ASTM D1388-08のOption A(set-up arrangement)に従って行った。
【0130】
【表3】
【0131】
サンプルTに関しては、バリアパネルボルスタの結合及び試料の詳細は、サンプルSと実質的に同じであるが、繊維坪量及び全体寸法が異なる(例えば、サンプルTは、サンプルSよりも大きなバリアパネル及びバリアパネルボルスタを有する)。各試料のパネル側縁部からの位置は同じである。サンプルTの重量及びドレープ剛性の測定平均値を表4に示す。ドレープ剛性の測定は、ASTM D1388-08のOption A(set-up arrangement)に従って行った。
【0132】
【表4】
【0133】
サンプルPに関しては、補強要素の結合及び試料の詳細(例えば、前記側縁部に対する位置、構造、一体化)は、サンプルQと実質的に同じであるが、繊維坪量及び全体寸法が異なる(例えば、サンプルPは、サンプルQよりも大きなバリアパネルを有する)。サンプルPの重量及びドレープ剛性の測定平均値を表5に示す。ドレープ剛性の測定は、ASTM D1388-08のOption A(set-up arrangement)に従って行った。
【0134】
【表5】
【0135】
このように、本発明の例示的な実施形態が本明細書に示されているが、本発明は、当業者には明らかなように、様々な代替形態で具体化することができる。本発明の理解を促進するため及び、請求項の記載内容の根拠を提供するために、様々な図面が説明に含まれている。図面は、縮尺通りに描かれておらず、本発明の新規な特徴を強調するために関連要素が省略されている場合がある。図面に示されている構造及び機能の詳細は、本発明の実施を当業者に教示する目的で与えられるものであり、限定と見なすべきものではない。例えば、左、右、前、後などの方向を表す用語は、本発明の理解を助けるために与えられており、限定と見なすべきものではない。
【0136】
本明細書では本発明の特定の実施形態について説明してきたが、添付された特許請求の範囲を逸脱しない範囲において、本明細書で説明した実施形態に変更及び修正を加えることができることは当業者には明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17