【実施例】
【0062】
本発明を実施例に基づいて説明する。
【0063】
本発明で用いられる物性の測定方法及び条件は以下のとおりである。
【0064】
<造粒顆粒の平均粒子径[μm]>
ロータップ式篩振盪機(平工製作所製、シーブシェーカーA型)によりJIS標準篩を用いて試料20gを10分間篩分することにより粒度分布を測定し、篩下積算分布における積算50質量%粒子径を平均粒子径とした。
【0065】
<顆粒Bの回収率[%]>
顆粒の回収量を、用いた原料の総量で除して回収率(%)を算出した。
【0066】
<顆粒Bの凝集率[%]>
顆粒の凝集物を篩で除去し、その重量を篩分した顆粒の全量で除して凝集率(%)を算出した。
【0067】
<薬物の溶出試験>
日本薬局方の一般試験法「溶出試験法」に準じて実施した。装置は「装置2」(パドル法)を使用し、パドル回転数は100rpmとした。フィルムの溶解性がpHに依存しないため、試験液のpHは特に限定しなくてもよいが、日本薬局方「溶出試験第1液」を使用した。
【0068】
カフェイン(分子量212.21)の場合、苦味を感じる閾値の濃度は148.5mg/Lである(出展:光琳全書9「食品の味」、小原正美氏著)。また、後述の全実施例におけるフィルムコーティング顆粒(顆粒B)のカフェイン含量は、1.82%である。したがって、そのフィルムコーティング顆粒1000mgを水20mlで服用すると仮定した場合、カフェイン全量が溶出すると、その濃度は910mg/Lとなる。この910mg/Lのカフェイン濃度に対して、苦味を感じる閾値の溶出率を算出((148.5/910)×100)すると16.3%となる。より厳しい側で判定するため溶出試験において、1分後の溶出率が10%以下であるとき、苦味を抑制していると判定した。また、実施例では錠剤1錠当たりに含まれるフィルムコーティング顆粒の含有量が、各実施例において異なることから、フィルムコーティング顆粒の含有量が1000mg付近になるように、錠剤の数を調整して溶出試験を実施した(例えば、総重量380mgの錠剤中、フィルムコーティング顆粒の含有量が30%の場合、8錠を1つの試験液で溶出試験した)。
【0069】
<錠剤の崩壊試験>
第16改正日本薬局方、一般試験法「崩壊試験法」に従って実施した。試験液は水を用いた。
【0070】
<錠剤の口腔内崩壊試験>
健康な成人男子3人を被験者として、口腔内の唾液で錠剤が完全に崩壊する時間を測定した。各人2回測定し、3人の平均値を算出した。
【0071】
<錠剤の硬度>
一般的に使用される錠剤硬度測定器(Tablet Tester 8M/DR.SCHLEUNIGER製)にて、錠剤の硬度を測定した。1錠ずつ錠剤硬度を測定し、20錠分の錠剤硬度の平均値を算出した。
【0072】
<服用感>
健康な成人男子3人を被験者として、口腔内の錠剤の服用感を官能的に評価した。錠剤の味や食感に問題がない場合を良好とし、粉っぽさを感じる場合は、もさつき感あり、顆粒などのザラツキを感じた場合は、違和感あり、甘さが足りない場合は、甘味不足、少しでも苦味を感じたら苦味あり、として判定した。各人2回測定し、2回とも「良好」である場合のみ、その被験者の服用感の評価を「良好」と判定した。そして、2人以上の被験者の評価が「良好」であるとき、その錠剤の服用感を「良好」と判定した。したがって、例えばもさつき感について、被験者が1回目に何も感じず、2回目にもさつき感を感じた場合は、その被験者の評価は「もさつき感あり」とした。そして、被験者の2人以上の評価が「もさつき感あり」のときは、その錠剤の服用感は「もさつき感あり」と判定した。
【0073】
[実施例1]
結晶セルロースのセオラスKG−1000(旭化成ケミカルズ)300gとエリスリトール(三菱化学フーズ)700gをバーチカルグラニュレーター造粒装置に仕込み、水を摘下させながら撹拌造粒を行い、造粒顆粒を得た。さらに、この造粒顆粒を、流動層乾燥機に移して造粒顆粒の乾燥を行った後、600μmの篩で篩分し、結晶セルロースとエリスリトールを含有する平均粒子径が150〜200μmの顆粒Aを得た。
【0074】
撹拌造粒の条件は下記の通りであった。
(1)使用装置 :バーチカルグラニュレーター(商品名)FM−VG−10((株)パウレック)
(2)加水量 :200g
(3)ブレード回転数 :280rpm
(4)チョッパー回転数:3000rpm
(5)造粒時間 :3分間
【0075】
乾燥の条件は下記の通りであった。
(1)使用装置 :マルチプレックス(商品名)MP−01型((株)パウレック)
(2)風量 :50m
3/時間
(3)給気温度 :70〜75℃
(4)排気温度 :45℃停止
【0076】
次に、結晶セルロース製球形核粒子(CP−102旭化成ケミカルズ社製)(平均粒子径146μm、200μm以上の粒子を含有せず)を転動流動層型コーティング装置に仕込み、薬物水分散液(3.0%カフェイン、2.0%ポビドン、2.0%酸化チタン)を噴霧・被覆(レイヤリング)し、カフェインレイヤリング顆粒を得た。この顆粒はカフェインを1.95質量%(核粒子に対して2質量%)含み、その平均粒子径は164μmであった。レイヤリング条件は下記の通りであった。
(1)使用装置 :マルチプレックス(商品名)MP−25型((株)パウレック)
(2)風量 :8m
3/min
(3)給気温度 :70〜75℃
(4)排気温度 :35.0〜39.5℃
(5)ローター回転速度 :250〜300rpm
(6)核粒子量 :10.0kg
(7)薬物水分散液量 :6660.0kg
(8)薬物水分散液噴霧速度 :100〜120g/min
(9)噴霧エア圧 :0.55MPa
(10)噴霧エア量 :700NL/min
【0077】
さらに、ヒプロメロースと水を含むシールコート液(固形分濃度10質量%)を調製した。ヒプロメロースはヒドロキシプロピルメチルセルロースTC−5E(信越化学)を使用した。カフェインレイヤリング顆粒を転動流動層型コーティング装置に仕込み、シールコート液を噴霧・被覆(シールコート)した。得られた顆粒を篩分して300μm以上の粒子を除去し、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)でシールコートを施したシールコート顆粒を得た。シールコート顆粒のシールコート量は5質量%(カフェインレイヤリング顆粒に対して)であり、平均粒子径は184μmであった。シールコートを施した条件は下記の通りであった。
(1)使用装置 :マルチプレックス(商品名)MP−25型((株)パウレック)
(2)風量 :7.5〜8m
3/min
(3)給気温度 :60〜70℃
(4)排気温度 :32〜43℃
(5)ローター回転速度:240〜300rpm
(6)カフェインレイヤリング顆粒:10.0kg
(7)噴霧液量:5.0kg
(8)液噴霧速度:100〜120g/min
(9)噴霧エア圧 :0.6MPa
(10)噴霧エア量 :700NL/min
【0078】
次に、エチルセルロース(A)と、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー(B)と、ポリビニルアルコールコポリマー(C)と、クエン酸トリエチル(D)と、酸化チタン(E)とを含むフィルムコーティング液(固形分濃度17質量%)を調製した。エチルセルロースはアクアコートECD30(FMC)、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマーはオイドラギットNE30D(デグサ)、ポリビニルアルコールコポリマーはPOVACOAT(大同化成工業)、酸化チタンはNA61(東邦チタニウム)を使用した。成分A、B、C、D及びEの質量比は、100:133:33:33:33とした。
【0079】
シールコート顆粒を転動流動層型コーティング装置に仕込み、フィルムコーティング液を噴霧・被覆(フィルムコーティング)した。得られた顆粒を篩分して500μm以上の粒子を除去し、フィルムコーティングを施した顆粒Bを得た。顆粒Bのフィルムコーティング量は20質量%(シールコート顆粒に対して)であり、平均粒子径は212μm(フィルム厚みは約14μm)であった。回収率は96.0%、凝集率は3.8%(500μm以上)であった。フィルムコーティング条件は下記の通りとした。
(1)使用装置 :マルチプレックス(商品名)MP−25型((株)パウレック)
(2)風量 :7.5〜8m
3/min
(3)給気温度 :45〜50℃
(4)排気温度 :27〜31℃
(5)ローター回転速度:240〜300rpm
(6)素顆粒量 :10kg
(7)フィルムコーティング液量:11.7kg
(8)フィルムコーティング液噴霧速度:100〜120g/min
(9)噴霧エア圧 :0.6MPa
(10)噴霧エア量 :700NL/min
【0080】
最後に、顆粒Aを56.9質量%、顆粒Bを30.0質量%、無水リン酸水素カルシウム(フジカリン(商品名)富士化学)を5.0質量%、結晶セルロース(セオラスKG−1000(商品名)、旭化成ケミカルズ)を5.0質量%、崩壊剤としてアルファー化デンプン(SWELSTAR PD−1(商品名)、旭化成ケミカルズ)を3.0質量%、ステアリン酸マグネシウム(太平化学工業)を0.1質量%混合し、ロータリー打錠機(リブラ2(商品名)、菊水製作所)で打錠した。打錠用の臼杵は、直径9.5mm、杵の凹曲面半径が13.5mmのものを使用し、ターンテーブル回転数40rpm、圧縮圧力7.0kNで打錠し、錠剤重量が380mgの錠剤を得た。
【0081】
得られた錠剤について前述の試験方法により評価したところ、錠剤の硬度は70N、崩壊時間は28秒、口腔内崩壊時間は30秒であった。錠剤のカフェイン溶出率は、1分後の溶出率が10%以下であり、口腔内でも苦味を全く感じなかった。すなわち、硬度、崩壊性に優れた、苦味マスクフィルムコーティング顆粒含有口腔内崩壊錠を得ることができた。
【0082】
[実施例2]
実施例1と同様にして、顆粒A、顆粒Bを作製し、顆粒Aを83.9質量%、顆粒Bを3.0質量%、無水リン酸水素カルシウム(フジカリン(商品名)富士化学)を5.0質量%、結晶セルロース(セオラスKG−1000(商品名)、旭化成ケミカルズ)を5.0質量%、崩壊剤としてアルファー化デンプン(SWELSTAR PD−1(商品名)、旭化成ケミカルズ)を3.0質量%、ステアリン酸マグネシウム(太平化学工業)を0.1質量%混合し、ロータリー打錠機(リブラ2(商品名)、菊水製作所)で打錠した。打錠用の臼杵は、直径9.5mm、杵の凹曲面半径が13.5mmのものを使用し、ターンテーブル回転数40rpm、圧縮圧力7.0kNで打錠し、錠剤重量が380mgの錠剤を得た。
【0083】
得られた錠剤の硬度は83N、崩壊時間は22秒、口腔内崩壊時間は26秒であった。錠剤のカフェイン溶出率について測定したところ、1分後の溶出率は10%以下であった。また、口腔内でも苦味を全く感じなかった。すなわち、硬度、崩壊性に優れた、苦味マスクフィルムコーティング顆粒含有口腔内崩壊錠を得ることができた。
【0084】
[実施例3]
実施例1と同様にして、結晶セルロースのセオラスKG−1000(旭化成ケミカルズ)700gとエリスリトール(三菱化学フーズ)300gをバーチカルグラニュレーター造粒装置に仕込み、水を摘下させながら撹拌造粒を行い、造粒顆粒を得た。さらに、この造粒顆粒を、流動層乾燥機に移して乾燥を行った後、600μmの篩で篩分し、結晶セルロースとエリスリトールを含有する顆粒Aを得た。
【0085】
さらに、実施例1と同様にして、顆粒Bを作製した。顆粒Aを16.9質量%、顆粒Bを70.0質量%、無水リン酸水素カルシウム(フジカリン(商品名)富士化学)を5.0質量%、結晶セルロース(セオラスKG−1000(商品名)、旭化成ケミカルズ)を5.0質量%、崩壊剤としてクロスカルメロースナトリウム(キッコレートND−2HS(商品名)、旭化成ケミカルズ)を3.0質量%、ステアリン酸マグネシウム(太平化学工業)を0.1質量%混合し、ロータリー打錠機(リブラ2(商品名)、菊水製作所)で打錠した。打錠用の臼杵は、直径9.5mm、杵の凹曲面半径が13.5mmのものを使用し、ターンテーブル回転数40rpm、圧縮圧力7.0kNで打錠し、錠剤重量が380mgの錠剤を得た。
【0086】
得られた錠剤について前述の試験方法により評価したところ、錠剤の硬度は55N、崩壊時間は27秒、口腔内崩壊時間は34秒であった。錠剤のカフェイン溶出率は、1分後が10%以下であり、口腔内でも苦味を全く感じなかった。すなわち、硬度、崩壊性に優れた、苦味マスクフィルムコーティング顆粒含有口腔内崩壊錠を得ることができた。
【0087】
[実施例4]
実施例1と同様にして、顆粒A、顆粒Bを作製し、顆粒Aを60.9質量%、顆粒Bを30.0質量%、無水リン酸水素カルシウム(フジカリン(商品名)富士化学)を1.0質量%、結晶セルロース(セオラスKG−1000(商品名)、旭化成ケミカルズ)を5.0質量%、崩壊剤としてクロスカルメロースナトリウム(キッコレートND−2HS(商品名)、旭化成ケミカルズ)を3.0質量%、ステアリン酸マグネシウム(太平化学工業)を0.1質量%混合し、ロータリー打錠機(リブラ2(商品名)、菊水製作所)で打錠した。打錠用の臼杵は、直径9.5mm、杵の凹曲面半径が13.5mmのものを使用し、ターンテーブル回転数40rpm、圧縮圧力7.0kNで打錠し、錠剤重量が380mgの錠剤を得た。
【0088】
得られた錠剤について前述の試験方法により評価したところ、錠剤の硬度は74N、崩壊時間は30秒、口腔内崩壊時間は37秒であった。錠剤のカフェイン溶出率は、1分後の溶出率が10%以下であり、口腔内でも苦味を全く感じなかった。すなわち、硬度、崩壊性に優れた苦味マスクフィルムコーティング顆粒含有口腔内崩壊錠を得ることができた。
【0089】
[実施例5]
実施例1と同様にして、顆粒A、顆粒Bを作製し、顆粒Aを31.9質量%、顆粒Bを30.0質量%、無水リン酸水素カルシウム(フジカリン(商品名)富士化学)を30.0質量%、結晶セルロース(セオラスKG−1000(商品名)、旭化成ケミカルズ)を5.0質量%、崩壊剤としてクロスカルメロースナトリウム(キッコレートND−2HS(商品名)、旭化成ケミカルズ)を3.0質量%、ステアリン酸マグネシウム(太平化学工業)を0.1質量%混合し、ロータリー打錠機(リブラ2(商品名)、菊水製作所)で打錠した。打錠用の臼杵は、直径9.5mm、杵の凹曲面半径が13.5mmのものを使用し、ターンテーブル回転数40rpm、圧縮圧力7.0kNで打錠し、錠剤重量が380mgの錠剤を得た。
【0090】
得られた錠剤について前述の試験方法により評価したところ、錠剤の硬度は58N、崩壊時間は25秒、口腔内崩壊時間は31秒であった。錠剤のカフェイン溶出率は、1分後の溶出率が10%以下であり、口腔内でも苦味を全く感じなかった。すなわち、硬度、崩壊性に優れた苦味マスクフィルムコーティング顆粒含有の口腔内崩壊錠を得ることができた。
【0091】
[実施例6]
実施例1と同様にして、顆粒A、顆粒Bを作製し、顆粒Aを60.9質量%、顆粒Bを30.0質量%、無水リン酸水素カルシウム(フジカリン(商品名)富士化学)を5.0質量%、結晶セルロース(セオラスKG−1000(商品名)、旭化成ケミカルズ)を1.0質量%、崩壊剤としてクロスカルメロースナトリウム(キッコレートND−200(商品名)、旭化成ケミカルズ)を3.0質量%、ステアリン酸マグネシウム(太平化学工業)を0.1質量%混合し、ロータリー打錠機(リブラ2(商品名)、菊水製作所)で打錠した。打錠用の臼杵は、直径9.5mm、杵の凹曲面半径が13.5mmのものを使用し、ターンテーブル回転数40rpm、圧縮圧力7.0kNで打錠し、錠剤重量が380mgの錠剤を得た。
【0092】
得られた錠剤について前述の試験方法により評価したところ、錠剤の硬度は63N、崩壊時間は30秒、口腔内崩壊時間は36秒であった。錠剤のカフェイン溶出率は、1分後の溶出率が10%以下であり、口腔内でも苦味を全く感じなかった。すなわち、硬度、崩壊性に優れた、苦味マスクフィルムコーティング顆粒含有口腔内崩壊錠を得ることができた。
【0093】
[実施例7]
実施例1と同様にして、顆粒A、顆粒Bを作製し、顆粒Aを41.9質量%、顆粒Bを30.0質量%、無水リン酸水素カルシウム(フジカリン(商品名)富士化学)を5.0質量%、結晶セルロース(セオラスKG−1000(商品名)、旭化成ケミカルズ)を20.0質量%、崩壊剤としてクロスカルメロースナトリウム(キッコレートND−200(商品名)、旭化成ケミカルズ)を3.0質量%、ステアリン酸マグネシウム(太平化学工業)0.1質量%を混合し、ロータリー打錠機(リブラ2(商品名)、菊水製作所)で打錠した。打錠用の臼杵は、直径9.5mm、杵の凹曲面半径が13.5mmのものを使用し、ターンテーブル回転数40rpm、圧縮圧力7.0kNで打錠し、錠剤重量が380mgの錠剤を得た。
【0094】
得られた錠剤について前述の試験方法により評価したところ、錠剤の硬度は88N、崩壊時間は26秒、口腔内崩壊時間は33秒であった。錠剤のカフェイン溶出率は、1分後の溶出率が10%以下であり、口腔内でも苦味を全く感じなかった。すなわち、硬度、崩壊性に優れた、苦味マスクフィルムコーティング顆粒含有口腔内崩壊錠を得ることができた。
【0095】
[実施例8]
実施例1と同様にして、顆粒A、顆粒Bを作製し、顆粒Aを59.4質量%、顆粒Bを30.0質量%、無水リン酸水素カルシウム(フジカリン(商品名)富士化学)を5.0質量%、結晶セルロース(セオラスKG−1000(商品名)、旭化成ケミカルズ)を5.0質量%、崩壊剤としてアルファー化デンプン(SWELSTAR PD−1(商品名)、旭化成ケミカルズ)を0.5質量%、ステアリン酸マグネシウム(太平化学工業)を0.1質量%混合し、ロータリー打錠機(リブラ2(商品名)、菊水製作所)で打錠した。打錠用の臼杵は、直径9.5mm、杵の凹曲面半径が13.5mmのものを使用し、ターンテーブル回転数40rpm、圧縮圧力7.0kNで打錠し、錠剤重量が380mgの錠剤を得た。
【0096】
得られた錠剤について前述の試験方法により評価したところ、錠剤の硬度は72N、崩壊時間は30秒、口腔内崩壊時間は34秒であった。錠剤のカフェイン溶出率は、1分後の溶出率が10%以下であり、口腔内でも苦味を全く感じなかった。すなわち、硬度、崩壊性に優れた苦味マスクフィルムコーティング顆粒含有口腔内崩壊錠を得ることができた。
【0097】
[実施例9]
実施例1と同様にして、顆粒A、顆粒Bを作製し、顆粒Aを29.9質量%、顆粒Bを50.0質量%、無水リン酸水素カルシウム(フジカリン(商品名)富士化学)を5.0質量%、結晶セルロース(セオラスKG−1000(商品名)、旭化成ケミカルズ)を5.0質量%、崩壊剤としてアルファー化デンプン(SWELSTAR PD−1(商品名)、旭化成ケミカルズ)を10.0質量%、ステアリン酸マグネシウム(太平化学工業)を0.1質量%混合し、ロータリー打錠機(リブラ2(商品名)、菊水製作所)で打錠した。打錠用の臼杵は、直径9.5mm、杵の凹曲面半径が13.5mmのものを使用し、ターンテーブル回転数40rpm、圧縮圧力7.0kNで打錠し、錠剤重量が380mgの錠剤を得た。
【0098】
得られた錠剤の硬度は62N、崩壊時間は26秒、口腔内崩壊時間は32秒であった。錠剤のカフェイン溶出率は、1分後の溶出率が10%以下であり、口腔内でも苦味を全く感じなかった。すなわち、硬度、崩壊性に優れた、苦味マスクフィルムコーティング顆粒含有口腔内崩壊錠を得ることができた。
【0099】
[実施例10]
実施例1と同様にして、顆粒A、顆粒Bを作製し、顆粒Aを54.0質量%、顆粒Bを30.0質量%、無水リン酸水素カルシウム(フジカリン(商品名)富士化学)を5.0質量%、結晶セルロース(セオラスKG−1000(商品名)、旭化成ケミカルズ)を5.0質量%、崩壊剤としてアルファー化デンプン(SWELSTAR PD−1(商品名)、旭化成ケミカルズ)を3.0質量%、ステアリン酸マグネシウム(太平化学工業)を3.0質量%混合し、ロータリー打錠機(リブラ2(商品名)、菊水製作所)で打錠した。打錠用の臼杵は、直径9.5mm、杵の凹曲面半径が13.5mmのものを使用し、ターンテーブル回転数40rpm、圧縮圧力7.0kNで打錠し、錠剤重量が380mgの錠剤を得た。
【0100】
得られた錠剤の硬度は53N、崩壊時間は39秒、口腔内崩壊時間は47秒であった。錠剤のカフェイン溶出率は、1分後の溶出率が10%以下であり、口腔内でも苦味を全く感じなかった。すなわち、硬度、崩壊性に優れた、苦味マスクフィルムコーティング顆粒含有の口腔内崩壊錠を得ることができた。
【0101】
実施例の実験結果について、以下の表1にまとめる。
【0102】
【表1】
【0103】
[比較例1]
エリスリトールをトレハロースに変更した以外、実施例1の顆粒Aの製造方法と同様にして造粒顆粒を調製し、比較顆粒A−1とした。実施例1と同様の方法で顆粒Bを作製し、比較顆粒A−1を56.9質量%、顆粒Bを30.0質量%、無水リン酸水素カルシウム(フジカリン(商品名)富士化学)を5.0質量%、結晶セルロース(セオラスKG−1000(商品名)、旭化成ケミカルズ)を5.0質量%、崩壊剤としてアルファー化デンプン(SWELSTAR PD−1(商品名)、旭化成ケミカルズ)を3.0質量%、ステアリン酸マグネシウム(太平化学工業)を0.1質量%、を混合し、ロータリー打錠機(リブラ2(商品名)、菊水製作所)で打錠した。打錠用の臼杵は、直径9.5mm、杵の凹曲面半径が13.5mmのものを使用し、ターンテーブル回転数40rpm、圧縮圧力7.0kNで打錠し、錠剤重量が380mgの錠剤を得た。
【0104】
得られた錠剤について前述の試験方法により評価したところ、錠剤の硬度は68N、崩壊時間は83秒、口腔内崩壊試験は95秒であった。錠剤のカフェイン溶出率は、1分後の溶出率が10%以下であり、口腔内でも苦味を全く感じなかった。したがって、顆粒Aとして糖質をトレハロースに変更した顆粒を使用すると、崩壊試験、口腔内崩壊試験において、崩壊時間が60秒を超え、口腔内崩壊錠として満足のいく崩壊性(口腔内崩壊性)が得られなかった。
【0105】
[比較例2]
実施例1と同様にして、顆粒A、顆粒Bを作製し、顆粒Aを56.9質量%、顆粒Bを30.0質量%、無水リン酸水素カルシウム(フジカリン(商品名)富士化学)と結晶セルロース(セオラスKG−1000(商品名)、旭化成ケミカルズ)の代わりに口腔内崩壊錠用賦形剤であるマンニトール、酢酸ビニル樹脂及びクロスポビドンの複合体を10.0質量%、崩壊剤としてアルファー化デンプン(SWELSTAR PD−1(商品名)、旭化成ケミカルズ)を3.0質量%、ステアリン酸マグネシウム(太平化学工業)を0.1質量%、を混合し、ロータリー打錠機(リブラ2(商品名)、菊水製作所)で打錠した。打錠用の臼杵は、直径9.5mm、杵の凹曲面半径が13.5mmのものを使用し、ターンテーブル回転数40rpm、圧縮圧力7.0kNで打錠し、錠剤重量が380mgの錠剤を得た。
【0106】
得られた錠剤について前述の試験方法により評価したところ、錠剤の硬度は64N、崩壊時間は68秒、口腔内崩壊試験は70秒であった。錠剤のカフェイン溶出率は、1分後の溶出率が10%以下であり、口腔内でも苦味を全く感じなかった。したがって、打錠用混合末中の無水リン酸カルシウムと結晶セルロースを他の口腔内崩壊錠用の賦形剤に変更すると、崩壊試験、口腔内崩壊試験において、崩壊時間が60秒を超え、口腔内崩壊錠として満足のいく崩壊性(口腔内崩壊性)が得られなかった。
【0107】
[比較例3]
実施例1と同様にして、顆粒A、顆粒Bを作製し、顆粒Aを56.9質量%、顆粒Bを30.0質量%、無水リン酸水素カルシウム(フジカリン(商品名)富士化学)と結晶セルロース(セオラスPH−101(商品名)、旭化成ケミカルズ)の代わりに、口腔内崩壊錠用賦形剤である結晶セルロース複合体を10.0質量%、崩壊剤としてクロスカルメロースナトリウム(キッコレートND−2HS(商品名)、旭化成ケミカルズ)を3.0質量%、ステアリン酸マグネシウム(太平化学工業)を0.1質量%、を混合し、ロータリー打錠機(リブラ2(商品名)、菊水製作所)で打錠した。打錠用の臼杵は、直径9.5mm、杵の凹曲面半径が13.5mmのものを使用し、ターンテーブル回転数40rpm、圧縮圧力7.0kNで打錠し、錠剤重量が380mgの錠剤を得た。
【0108】
得られた錠剤について前述の試験方法により評価したところ、錠剤の硬度は62N、崩壊時間は72秒、口腔内崩壊試験は76秒であった。錠剤のカフェイン溶出率は、1分後の溶出率が10%以下であり、口腔内でも苦味を全く感じなかった。したがって、打錠用混合末中の無水リン酸カルシウムと結晶セルロースを他の口腔内崩壊錠用の賦形剤に変更すると、崩壊試験、口腔内崩壊試験において、崩壊時間が60秒を超え、口腔内崩壊錠として満足のいく崩壊性(口腔内崩壊性)が得られなかった。
【0109】
[比較例4]
エリスリトール(三菱化学フーズ)のみ1000gをバーチカルグラニュレーター造粒装置に仕込み、水を摘下させながら実施例1と同様の条件で撹拌造粒を行い、造粒顆粒を得た。さらに、この造粒顆粒を、流動層乾燥機に移して造粒顆粒の乾燥を行った後、600μmの篩で篩分し、平均粒子径が150〜200μmの比較顆粒A−2を得た。
【0110】
さらに、実施例1と同様にして、顆粒Bを作製し、比較顆粒A−2を56.9質量%、顆粒Bを30.0質量%、無水リン酸水素カルシウム(フジカリン(商品名)富士化学)を5.0質量%、結晶セルロース(セオラスKG−1000(商品名)、旭化成ケミカルズ)を5.0質量%、崩壊剤としてアルファー化デンプン(SWELSTAR PD−1(商品名)、旭化成ケミカルズ)を3.0質量%、ステアリン酸マグネシウム(太平化学工業)を0.1質量%、を混合し、ロータリー打錠機(リブラ2(商品名)、菊水製作所)で打錠した。打錠用の臼杵は、直径9.5mm、杵の凹曲面半径が13.5mmのものを使用し、ターンテーブル回転数40rpm、圧縮圧力7.0kNで打錠し、錠剤重量が380mgの錠剤を得た。
【0111】
得られた錠剤について前述の試験方法により評価したところ、錠剤の硬度は38N、崩壊時間は51秒、口腔内崩壊時間は55秒であった。錠剤のカフェイン溶出率は、1分後の溶出率が10%以下であり、口腔内でも苦味を全く感じなかった。したがって、顆粒Aとしてエリスリトールのみから調製した顆粒を使用すると、錠剤硬度が50N未満となり、十分な錠剤硬度が得られなかった。
【0112】
[比較例5]
結晶セルロースのセオラスKG−1000(旭化成ケミカルズ)のみ1000gをバーチカルグラニュレーター造粒装置に仕込み、水を摘下させながら実施例1と同様の条件で撹拌造粒を行い、造粒顆粒を得た。さらに、この造粒顆粒を流動層乾燥機に移して造粒顆粒の乾燥を行った後、600μmの篩で篩分し、平均粒子径が150〜200μmの比較顆粒A−3を得た。
【0113】
さらに、実施例1と同様にして、顆粒Bを作製し、比較顆粒A−3を56.9質量%、顆粒Bを30.0質量%、無水リン酸水素カルシウム(フジカリン(商品名)富士化学)を5.0質量%、結晶セルロース(セオラスKG−1000(商品名)、旭化成ケミカルズ)を5.0質量%、崩壊剤としてクロスカルメロースナトリウム(キッコレートND−2HS(商品名)、旭化成ケミカルズ)を3.0質量%、ステアリン酸マグネシウム(太平化学工業)を0.1質量%、を混合し、ロータリー打錠機(リブラ2(商品名)、菊水製作所)で打錠した。打錠用の臼杵は、直径9.5mm、杵の凹曲面半径が13.5mmのものを使用し、ターンテーブル回転数40rpm、圧縮圧力7.0kNで打錠し、錠剤重量が380mgの錠剤を得た。
【0114】
得られた錠剤について前述の試験方法により評価したところ、錠剤の硬度は92N、崩壊時間は75秒、口腔内崩壊時間は88秒であった。錠剤のカフェイン溶出率は、1分後の溶出率が10%以下であり、口腔内でも苦味を全く感じなかったが、口腔内でもさつきを感じた。したがって、顆粒Aとして結晶セルロースのみから調製した顆粒を使用すると崩壊試験、口腔内崩壊試験において、崩壊時間が60秒を超え、口腔内崩壊錠として満足のいく崩壊時間は得られず、服用感も良くなかった。
【0115】
[比較例6]
顆粒Aの調製を省き、実施例1と同様にして、顆粒Bを作製し、顆粒Bを50.0質量%、無水リン酸水素カルシウム(フジカリン(商品名)富士化学)を30.0質量%、結晶セルロース(セオラスPH−101(商品名)、旭化成ケミカルズ)を16.9質量%、崩壊剤としてクロスカルメロースナトリウム(キッコレートND−200(商品名)、旭化成ケミカルズ)を3.0質量%、ステアリン酸マグネシウム(太平化学工業)を0.1質量%、を混合し、ロータリー打錠機(リブラ2(商品名)、菊水製作所)で打錠した。打錠用の臼杵は、直径9.5mm、杵の凹曲面半径が13.5mmのものを使用し、ターンテーブル回転数40rpm、圧縮圧力7.0kNで打錠し、380mgの錠剤を得た。
【0116】
得られた錠剤について前述の試験方法により評価したところ、錠剤の硬度は75N、崩壊時間は135秒、口腔内崩壊試験は180秒であった。錠剤のカフェイン溶出率は、1分後の溶出率が10%以下であり、口腔内でも苦味を全く感じなかった。したがって、エリスリトール及び結晶セルロースを含む顆粒Aを添加しないと、崩壊試験、口腔内崩壊試験において、崩壊時間が60秒を超え、口腔内崩壊錠として満足のいく崩壊性(口腔内崩壊性)が得られなかった。
【0117】
[比較例7]
無水リン酸水素カルシウム(フジカリン(商品名)富士化学)を省き、実施例1と同様にして、顆粒A、顆粒Bを作製し、顆粒Aを56.9質量%、顆粒Bを30.0質量%、結晶セルロース(セオラスKG−1000(商品名)、旭化成ケミカルズ)を10.0質量%、崩壊剤としてクロスカルメロースナトリウム(キッコレートND−200(商品名)、旭化成ケミカルズ)を3.0質量%、ステアリン酸マグネシウム(太平化学工業)を0.1質量%、を混合し、ロータリー打錠機(リブラ2(商品名)、菊水製作所)で打錠した。打錠用の臼杵は、直径9.5mm、杵の凹曲面半径が13.5mmのものを使用し、ターンテーブル回転数40rpm、圧縮圧力7.0kNで打錠し、錠剤重量が380mgの錠剤を得た。
【0118】
得られた錠剤について前述の試験方法により評価したところ、錠剤の硬度は81N、崩壊時間は65秒、口腔内崩壊試験は70秒であった。錠剤のカフェイン溶出率は、1分後の溶出率が10%以下であり、口腔内でも苦味を全く感じなかった。したがって、無水リン酸水素カルシウムを添加しないと、崩壊試験、口腔内崩壊試験において、崩壊時間が60秒を超え、口腔内崩壊錠として満足のいく崩壊性(口腔内崩壊性)が得られなかった。
【0119】
[比較例8]
実施例1と同様にして、顆粒A、顆粒Bを作製し、顆粒Aを55.9質量%、顆粒Bを30.0質量%、無水リン酸水素カルシウム(フジカリン(商品名)富士化学)を10.0質量%、崩壊剤としてアルファー化デンプン(SWELSTAR PD−1(商品名)、旭化成ケミカルズ)を3.0質量%、ステアリン酸マグネシウム(太平化学工業)を2.0質量%、を混合し、ロータリー打錠機(リブラ2(商品名)、菊水製作所)で打錠した。打錠用の臼杵は、直径9.5mm、杵の凹曲面半径が13.5mmのものを使用し、ターンテーブル回転数40rpm、圧縮圧力7.0kNで打錠し、錠剤重量が380mgの錠剤を得た。
【0120】
得られた錠剤について前述の試験方法により評価したところ、錠剤の硬度は48N、崩壊時間は24秒、口腔内崩壊試験は26秒であった。錠剤のカフェイン溶出率は、1分後の溶出率が10%以下であり、口腔内でも苦味を全く感じなかった。したがって、後末に結晶セルロースを添加しないと、錠剤硬度が50N未満となり、十分な錠剤硬度が得られなかった。
【0121】
比較例の実験結果について、以下の表2にまとめる。
【0122】
【表2】