(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
体腔内を軸方向に移動しながら、第1の信号の送受信及び第2の信号の送受信をそれぞれ繰り返すことで、該体腔内の軸方向に略直交する面の断面画像である、第1の横方向断面画像及び第2の横方向断面画像を、軸方向にそれぞれ複数生成する画像診断装置であって、
前記第1の横方向断面画像より、前記軸方向に略平行な平面で体腔壁を切断した場合の切断位置に対応する画素を抽出する第1の抽出手段と、
前記第2の横方向断面画像より、前記平面で前記体腔壁を切断した場合の内腔面に対応する画素を抽出する第2の抽出手段と、
前記第2の抽出手段により抽出された画素を前記切断位置に投影させることで得られた画素を、前記第1の抽出手段により抽出された画素に対して重ね合わせることで、前記平面で前記体腔壁を切断した場合の内腔画像である、縦方向内腔画像を生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された縦方向内腔画像を表示する表示手段と
を備えることを特徴とする画像診断装置。
前記生成手段は、前記複数の第1の横方向断面画像及び前記複数の第2の横方向断面画像のうち、前記軸方向の位置が互いに対応する第1の横方向断面画像と第2の横方向断面画像とを用いることで、前記縦方向内腔画像を生成することを特徴とする請求項1に記載の画像診断装置。
前記表示手段は、前記設定手段により設定される角度が変更されたことに応じて、前記生成手段により新たに生成される縦方向内腔画像により、前記表示を更新することを特徴とする請求項3に記載の画像診断装置。
前記生成された縦方向内腔画像のうち、前記ステント位置に対応する画素に色を割り当てる割り当て手段を更に備えることを特徴とする請求項7または8に記載の画像診断装置。
体腔内を軸方向に移動しながら、第1の信号の送受信及び第2の信号の送受信をそれぞれ繰り返すことで、該体腔内の軸方向に略直交する面の断面画像である、第1の横方向断面画像及び第2の横方向断面画像を、軸方向にそれぞれ複数生成する画像診断装置の作動方法であって、
前記第1の横方向断面画像より、前記軸方向に略平行な平面で体腔壁を切断した場合の切断位置に対応する画素を抽出する第1の抽出工程と、
前記第2の横方向断面画像より、前記平面で前記体腔壁を切断した場合の内腔面に対応する画素を抽出する第2の抽出工程と、
前記第2の抽出工程において抽出された画素を前記切断位置に投影させることで得られた画素を、前記第1の抽出工程において抽出された画素に対して重ね合わせることで、前記平面で前記体腔壁を切断した場合の内腔画像である、縦方向内腔画像を生成する生成工程と、
前記生成工程において生成された縦方向内腔画像を表示する表示工程と
を備えることを特徴とする画像診断装置の作動方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、必要に応じて添付図面を参照しながら本発明の各実施形態の詳細を説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0016】
[第1の実施形態]
<1.画像診断装置の外観構成>
図1は本発明の一実施形態にかかる画像診断装置(IVUSの機能と、OCTの機能とを備える画像診断装置)100の外観構成を示す図である。
【0017】
図1に示すように、画像診断装置100は、プローブ部101と、スキャナ及びプルバック部102と、操作制御装置103とを備え、スキャナ及びプルバック部102と操作制御装置103とは、信号線104により各種信号が伝送可能に接続されている。
【0018】
プローブ部101は、直接体腔内に挿入され、パルス信号に基づく超音波を体腔内に送信するとともに、体腔内からの反射波を受信する超音波送受信部と、伝送された光(測定光)を連続的に体腔内に送信するとともに、体腔内からの反射光を連続的に受信する光送受信部と、を備えるイメージングコアが内挿されている。画像診断装置100では、該イメージングコアを用いることで体腔内部の状態を測定する。
【0019】
スキャナ及びプルバック部102は、プローブ部101が着脱可能に取り付けられ、内蔵されたモータを駆動させることでプローブ部101に内挿されたイメージングコアの体腔内の軸方向の動作及び回転方向の動作を規定している。また、超音波送受信部において受信された反射波及び光送受信部において受信された反射光を取得し、操作制御装置103に対して送信する。
【0020】
操作制御装置103は、測定を行うにあたり、各種設定値を入力するための機能や、測定により得られたデータを処理し、体腔内の断面画像(横方向断面画像及び縦方向断面画像)を表示するための機能を備える。
【0021】
操作制御装置103において、111は本体制御部であり、測定により得られた反射波に基づいて超音波データを生成するとともに、該超音波データに基づいて生成されたラインデータを処理することで、超音波断面画像を生成する。更に、測定により得られた反射光と光源からの光を分離することで得られた参照光とを干渉させることで干渉光データを生成するとともに、該干渉光データに基づいて生成されたラインデータを処理することで、光断面画像を生成する。
【0022】
111−1はプリンタ及びDVDレコーダであり、本体制御部111における処理結果を印刷したり、データとして記憶したりする。112は操作パネルであり、ユーザは該操作パネル112を介して、各種設定値及び指示の入力を行う。113は表示装置としてのLCDモニタであり、本体制御部111において生成された断面画像を表示する。
【0023】
<2.プローブ部の全体構成及び先端部の断面構成>
次に、プローブ部101の全体構成及び先端部の断面構成について
図2を用いて説明する。
図2に示すように、プローブ部101は、体腔内に挿入される長尺のカテーテルシース201と、ユーザが操作するために体腔内に挿入されることなく、ユーザの手元側に配置されるコネクタ部202とにより構成される。カテーテルシース201の先端には、ガイドワイヤルーメンを構成するガイドワイヤルーメン用チューブ203が設けられている。カテーテルシース201は、ガイドワイヤルーメン用チューブ203との接続部分からコネクタ部202との接続部分にかけて連続する管腔を形成している。
【0024】
カテーテルシース201の管腔内部には、超音波を送受信する超音波送受信部と光を送受信する光送受信部とが配置された送受信部221と、電気信号ケーブル及び光ファイバケーブルを内部に備え、それを回転させるための回転駆動力を伝達するコイル状の駆動シャフト222とを備えるイメージングコア220が、カテーテルシース201のほぼ全長にわたって挿通されている。
【0025】
コネクタ部202は、カテーテルシース201の基端に一体化して構成されたシースコネクタ202aと、駆動シャフト222の基端に駆動シャフト222を回動可能に固定して構成された駆動シャフトコネクタ202bとを備える。
【0026】
シースコネクタ202aとカテーテルシース201との境界部には、耐キンクプロテクタ211が設けられている。これにより所定の剛性が保たれ、急激な物性の変化による折れ曲がり(キンク)を防止することができる。
【0027】
駆動シャフトコネクタ202bの基端は、スキャナ及びプルバック部102に着脱可能に取り付けられる。
【0028】
次に、プローブ部101の先端部の断面構成について説明する。カテーテルシース201の管腔内部には、超音波を送受信する超音波送受信部と光を送受信する光送受信部とが配置された送受信部221が配されたハウジング223と、それを回転させるための回転駆動力を伝送する駆動シャフト222とを備えるイメージングコア220がほぼ全長にわたって挿通されており、プローブ部101を形成している。
【0029】
駆動シャフト222は、カテーテルシース201に対して送受信部221を回転動作及び軸方向動作させることが可能であり、柔軟で、かつ回転をよく伝送できる特性をもつ、例えば、ステンレス等の金属線からなる多重多層密着コイル等により構成されている。そして、その内部には電気信号ケーブル及び光ファイバケーブル(シングルモードの光ファイバケーブル)が配されている。
【0030】
ハウジング223は、短い円筒状の金属パイプの一部に切り欠き部を有した形状をしており、金属塊からの削りだしやMIM(金属粉末射出成形)等により成形される。また、先端側には短いコイル状の弾性部材231が設けられている。
【0031】
弾性部材231はステンレス鋼線材をコイル状に形成したものであり、弾性部材231が先端側に配されることで、イメージングコア220を前後移動させる際にカテーテルシース201内での引っかかりを防止する。
【0032】
232は補強コイルであり、カテーテルシース201の先端部分の急激な折れ曲がりを防止する目的で設けられている。
【0033】
ガイドワイヤルーメン用チューブ203は、ガイドワイヤが挿入可能なガイドワイヤ用ルーメンを有する。ガイドワイヤルーメン用チューブ203は、予め体腔内に挿入されたガイドワイヤを受け入れ、ガイドワイヤによってカテーテルシース201を患部まで導くのに使用される。
【0034】
<3.イメージングコアの断面構成>
次に、イメージングコア220の断面構成、ならびに超音波送受信部及び光送受信部の配置について説明する。
図3は、イメージングコアの断面構成、ならびに超音波送受信部及び光送受信部の配置を示す図である。
【0035】
図3の3aに示すように、ハウジング223内に配された送受信部221は、超音波送受信部310と光送受信部320とを備え、超音波送受信部310及び光送受信部320は、それぞれ、駆動シャフト222の回転中心軸上(3aの一点鎖線上)において軸方向に沿って配置されている。
【0036】
このうち、超音波送受信部310は、プローブ部101の先端側に、また、光送受信部320は、プローブ部101の基端側に配置されている。
【0037】
また、超音波送受信部310及び光送受信部320は、駆動シャフト222の軸方向に対する、超音波送受信部310の超音波送信方向(仰角方向)、及び、光送受信部320の光送信方向(仰角方向)が、それぞれ、略90°となるようにハウジング223内に取り付けられている。なお、各送信方向は、カテーテルシース201の管腔内表面での反射を受信しないように90°よりややずらして取り付けられることが望ましい。
【0038】
駆動シャフト222の内部には、超音波送受信部310と接続された電気信号ケーブル311と、光送受信部320に接続された光ファイバケーブル321とが配されており、電気信号ケーブル311は、光ファイバケーブル321に対して螺旋状に巻き回されている。
【0039】
図3の3bは、超音波送受信位置において、回転中心軸に略直交する面で切断した場合の断面図である。
図3の3bに示すように、紙面下方向を0度とした場合、超音波送受信部310の超音波送信方向(回転角方向(方位角方向ともいう))は、θ度となっている。
【0040】
図3の3cは、光送受信位置において、回転中心軸に略直交する面で切断した場合の断面図である。
図3の3cに示すように、紙面下方向を0度とした場合、光送受信部320の光送信方向(回転角方向)は、0度となっている。つまり、超音波送受信部310と光送受信部320は、超音波送受信部310の超音波送信方向(回転角方向)と、光送受信部320の光送信方向(回転角方向)とが、互いにθ度ずれるように配置されている。
【0041】
<4.画像診断装置の機能構成>
次に、画像診断装置100の機能構成について説明する。
図4は、IVUSの機能とOCT(ここでは、一例として波長掃引型OCT)の機能とを組み合わせた画像診断装置100の機能構成を示す図である。なお、IVUSの機能と他のOCTの機能とを組み合わせた画像診断装置についても、同様の機能構成を有するため、ここでは説明を省略する。
【0042】
(1)IVUSの機能
イメージングコア220は、先端内部に超音波送受信部310を備えており、超音波送受信部310は、超音波信号送受信器452より送信されたパルス波に基づいて、超音波を体腔内の生体組織に向けて、回転動作及び軸方向動作しながら送信するとともに、その反射波(エコー)を受信し、アダプタ402及びスリップリング451を介して超音波信号として超音波信号送受信器452に送信する。
【0043】
スキャナ及びプルバック部102において、スリップリング451の回転駆動部側は回転駆動装置404のラジアル走査モータ405により回転駆動されている。更に、ラジアル走査モータ405の回転角度は、エンコーダ部406により検出される。また、スキャナ及びプルバック部102には、直線駆動装置407が配され、信号処理部428からの信号に基づいて、イメージングコア220の軸方向動作を規定している。
【0044】
超音波信号送受信器452は、送信波回路と受信波回路とを備える(不図示)。送信波回路は、信号処理部428から送信された制御信号に基づいて、イメージングコア220内の超音波送受信部310に対してパルス波を送信する。
【0045】
また、受信波回路は、イメージングコア220内の超音波送受信部310より超音波信号を受信する。受信された超音波信号はアンプ453により増幅された後、検波器454に入力され検波される。
【0046】
更に、A/D変換器455では、検波器454より出力された超音波信号を30.6MHzで200ポイント分サンプリングして、1ラインのデジタルデータ(超音波データ)を生成する。なお、ここでは、30.6MHzとしているが、これは音速を1530m/secとしたときに、深度5mmに対して200ポイントサンプリングすることを前提として算出されたものである。したがって、サンプリング周波数は特にこれに限定されるものではない。
【0047】
A/D変換器455にて生成されたライン単位の超音波データは信号処理部428に入力される。信号処理部428では、超音波データをグレースケールに変換することにより、体腔内の軸方向の各位置でのIVUS横方向断面画像を生成し、所定のフレームレートでLCDモニタ113に出力する。
【0048】
なお、信号処理部428はモータ制御回路429と接続され、モータ制御回路429のビデオ同期信号を受信する。信号処理部428では、受信したビデオ同期信号に同期してIVUS横方向断面画像の生成を行う。
【0049】
また、このモータ制御回路429のビデオ同期信号は、回転駆動装置404にも送られ、回転駆動装置404はビデオ同期信号に同期した駆動信号を出力する。
【0050】
なお、信号処理部428における上記処理、ならびに、
図5乃至
図13等を用いて後述する画像診断装置100におけるユーザインタフェースに関する画像処理は、信号処理部428において所定のプログラムがコンピュータによって実行されることで実現されるものとする。
【0051】
(2)波長掃引型OCTの機能
次に、同図を用いて波長掃引型OCTの機能構成について説明する。408は波長掃引光源(Swept Laser)であり、SOA415(semiconductor optical amplifier)とリング状に結合された光ファイバ416とポリゴンスキャニングフィルタ(408b)よりなる、Extended−cavity Laserの一種である。
【0052】
SOA415から出力された光は、光ファイバ416を進み、ポリゴンスキャニングフィルタ408bに入り、ここで波長選択された光は、SOA415で増幅され、最終的にcoupler414から出力される。
【0053】
ポリゴンスキャニングフィルタ408bでは、光を分光する回折格子412とポリゴンミラー409との組み合わせで波長を選択する。具体的には、回折格子412により分光された光を2枚のレンズ(410、411)によりポリゴンミラー409の表面に集光させる。これによりポリゴンミラー409と直交する波長の光のみが同一の光路を戻り、ポリゴンスキャニングフィルタ408bから出力されることとなる。つまり、ポリゴンミラー409を回転させることで、波長の時間掃引を行うことができる。
【0054】
ポリゴンミラー409は、例えば、48面体のミラーが使用され、回転数が50000rpm程度である。ポリゴンミラー409と回折格子412とを組み合わせた波長掃引方式により、高速、高出力の波長掃引が可能である。
【0055】
Coupler414から出力された波長掃引光源408の光は、第1のシングルモードファイバ440の一端に入射され、先端側に伝送される。第1のシングルモードファイバ440は、途中の光カップラ部441において第2のシングルモードファイバ445及び第3のシングルモードファイバ444と光学的に結合されている。
【0056】
第1のシングルモードファイバ440の光カップラ部441より先端側には、固定部と回転駆動部との間を結合し、光を伝送する光ロータリジョイント403が回転駆動装置404内に設けられている。
【0057】
更に、光ロータリジョイント403内の第4のシングルモードファイバ442の先端側には、プローブ部101の第5のシングルモードファイバ443がアダプタ402を介して着脱自在に接続されている。これによりイメージングコア220内に挿通され回転駆動可能な第5のシングルモードファイバ443に、波長掃引光源408からの光が伝送される。
【0058】
伝送された光は、イメージングコア220の光送受信部320から体腔内の生体組織に対して回転動作及び軸方向動作しながら照射される。そして、生体組織の表面あるいは内部で散乱した反射光の一部がイメージングコア220の光送受信部320により取り込まれ、逆の光路を経て第1のシングルモードファイバ440側に戻る。さらに、光カップラ部441によりその一部が第2のシングルモードファイバ445側に移り、第2のシングルモードファイバ445の一端から出射された後、光検出器(例えばフォトダイオード424)にて受光される。
【0059】
なお、光ロータリジョイント403の回転駆動部側は回転駆動装置404のラジアル走査モータ405により回転駆動される。
【0060】
一方、第3のシングルモードファイバ444の光カップラ部441と反対側の先端には、参照光の光路長を微調整する光路長の可変機構432が設けられている。
【0061】
この光路長の可変機構432はプローブ部101を交換して使用した場合の個々のプローブ部101の長さのばらつきを吸収できるよう、その長さのばらつきに相当する光路長を変化させる光路長変化手段を備えている。
【0062】
第3のシングルモードファイバ444およびコリメートレンズ418は、その光軸方向に矢印423で示すように移動自在な1軸ステージ422上に設けられており、光路長変化手段を形成している。
【0063】
具体的には、1軸ステージ422はプローブ部101を交換した場合に、プローブ部101の光路長のばらつきを吸収できるだけの光路長の可変範囲を有する光路長変化手段として機能する。さらに、1軸ステージ422はオフセットを調整する調整手段としての機能も備えている。例えば、プローブ部101の先端が生体組織の表面に密着していない場合でも、1軸ステージにより光路長を微小変化させることにより、生体組織の表面位置からの反射光と干渉させる状態に設定することが可能である。
【0064】
1軸ステージ422で光路長が微調整され、グレーティング419、レンズ420を介してミラー421にて反射された光は第3のシングルモードファイバ444の途中に設けられた光カップラ部441で第1のシングルモードファイバ440側から得られた光と混合されて、フォトダイオード424にて受光される。
【0065】
このようにしてフォトダイオード424にて受光された干渉光は光電変換され、アンプ425により増幅された後、復調器426に入力される。この復調器426では干渉した光の信号部分のみを抽出する復調処理を行い、その出力は干渉光信号としてA/D変換器427に入力される。
【0066】
A/D変換器427では、干渉光信号を例えば90MHzで2048ポイント分サンプリングして、1ラインのデジタルデータ(干渉光データ)を生成する。なお、サンプリング周波数を90MHzとしたのは、波長掃引の繰り返し周波数を40kHzにした場合に、波長掃引の周期(25.0μsec)の90%程度を2048点のデジタルデータとして抽出することを前提としたものであり、特にこれに限定されるものではない。
【0067】
A/D変換器427にて生成されたライン単位の干渉光データは、信号処理部428に入力される。信号処理部428では干渉光データをFFT(高速フーリエ変換)により周波数分解して深さ方向のデータ(ラインデータ)を生成し、これを座標変換することにより、体腔内の軸方向の各位置でのOCT横方向断面画像を構築し、所定のフレームレートでLCDモニタ113に出力する。
【0068】
信号処理部428は、更に光路長調整手段制御装置430と接続されている。信号処理部428は光路長調整手段制御装置430を介して1軸ステージ422の位置の制御を行う。
【0069】
なお、信号処理部428における波長掃引型OCTの機能に関するこれらの処理も、所定のプログラムがコンピュータによって実行されることで実現されるものとする。
【0070】
<5.ユーザインタフェースの説明>
次に、LCDモニタ113に表示されるユーザインタフェースについて説明する。
図5はLCDモニタ113に表示されるユーザインタフェースの一例を示す図である。なお、ユーザインタフェースに表示される断面画像としては、横方向断面画像と縦方向断面画像とがあるが、以下では、主に、縦方向断面画像の表示(縦方向断面画像表示画面500)について説明する。
【0071】
図5に示すように、ユーザインタフェースの縦方向断面画像表示画面500には、信号処理部428において体腔内の軸方向に複数生成されたOCT横方向断面画像に基づいて生成されたOCT縦方向断面画像を表示するOCT縦方向断面画像表示領域510と、体腔内の軸方向に複数生成されたIVUS横方向断面画像に基づいて生成されたIVUS縦方向断面画像を表示するIVUS縦方向断面画像表示領域520と、OCT縦方向断面画像及びIVUS縦方向断面画像を操作するための縦方向断面画像操作領域540と、が含まれる。
【0072】
縦方向断面画像操作領域540において“指示子表示”ボタン541が押下されると、OCT縦方向断面画像表示領域510とIVUS縦方向断面画像表示領域520には、それぞれ指示子511、521が表示される。ユーザは、操作パネル112上のマウスやトラックボール等の操作デバイスを用いて、当該表示された指示子511、521を縦方向断面画像表示画面500の右方向または左方向に移動させることで、体腔内の軸方向の各位置(距離)を認識することができる。
【0073】
また、縦方向断面画像操作領域540において、“長さ測定”ボタン542が押下されると、OCT縦方向断面画像表示領域510とIVUS縦方向断面画像表示領域520とに、それぞれ、任意の長さを測定するための長さ測定器512、522が表示される。ユーザは、操作パネル112上のマウスやトラックボール等の操作デバイスを用いて、長さ測定器512、522の端点を、測定対象に合わせることで、測定対象の長さを測定することができる。
【0074】
更に、ユーザインタフェースの縦方向断面画像表示画面500には、体腔内の軸方向に複数生成されたOCT横方向断面画像とIVUS横方向断面画像とに基づいて生成される縦方向内腔画像(詳細は後述)を表示する縦方向内腔画像表示領域530と、当該縦方向内腔画像を操作するための縦方向内腔画像操作領域550が表示される。
【0075】
なお、縦方向内腔画像操作領域550における、“指示子表示”ボタン551、“長さ測定”ボタン552は、縦方向断面画像操作領域540の“指示子表示”ボタン541、“長さ測定”ボタン542と同様であるため、ここでは説明は省略する。
【0076】
縦方向内腔画像操作領域550において、“観察方向指定”ボタン553が押下されると、ユーザは、縦方向内腔画像表示領域530に表示されている縦方向内腔画像の観察方向を変更することができる。
【0077】
554は縦方向内腔画像の観察方向を示す図であり、555は体腔の横方向断面画像を模式的に表わしてものである。また、556は観察位置を模式的に表したものである。
図5の例では、点線矢印の方向から見た場合の、縦方向内腔画像が縦方向内腔画像表示領域530に表示されている。なお、観察位置556は、太矢印に沿って(つまり、横方向断面画像555に沿って、円周方向に)変更可能であり、観察位置556を円周方向に移動させることで、縦方向内腔画像表示領域530に表示される縦方向内腔画像が再構成される。
【0078】
このように、縦方向断面画像表示画面500には、様々な種類の縦方向断面画像が表示されるため、ユーザは、それぞれの縦方向断面画像を利用して、種々の解析を行うことができる。例えば、画像診断装置100を血管内の診断に用いる場合にあっては、IVUS縦方向断面画像上に、血管外壁(体腔壁)が鮮明に描画されるため、軸方向の血管外壁の形状変化を把握することができる。また、OCT縦方向断面画像上には、ステントの上断面及び下断面が鮮明に描画されるため、ステントが軸方向において、血管外壁に沿って配置されているか、あるいは、軸方向の適切な位置に配置されているか、といったことを把握することができる。
【0079】
更に、縦方向内腔画像の場合、ステントの網目と、血管の分岐部分とが鮮明に描画されるため、ステントの網目の隙間の位置と血管の分岐部分の位置との関係を把握することができる。
【0080】
つまり、画像診断装置100によれば、それぞれの用途に適した表示態様により、縦方向断面画像を生成・表示することができる。
【0081】
<6.縦方向断面画像の説明>
次に、縦方向断面画像表示画面500に表示されるOCT縦方向断面画像、IVUS縦方向断面画像、及び縦方向内腔画像の生成方法について説明する。なお、以下では、画像診断装置100を血管内の診断に用いる場合について説明する。
【0082】
6.1 OCT縦方向断面画像及びIVUS縦方向断面画像の生成方法
はじめに、OCT縦方向断面画像及びIVUS縦方向断面画像の生成方法について説明する。なお、OCT縦方向断面画像の生成方法及びIVUS縦方向断面画像の生成方法は、基本的に同じであるため、ここでは、OCT縦方向断面画像の生成方法について説明する。
【0083】
図6は、OCT縦方向断面画像の生成方法を説明するための図である。
図6において601は、信号処理部428において、体腔内の軸方向に複数生成されたOCT横方向断面画像群を示している。602は、OCT縦方向断面画像を生成するための切断位置を示している。切断位置602は、血管外壁を軸方向に略平行な平面で切断した場合の切断面を示す位置であって、OCT横方向断面画像の画像中心を通る直線により規定される。なお、
図6の例では、OCT横方向断面画像の鉛直方向に対して、軸周りに所定の角度だけ回転した位置に規定されている。
【0084】
610はOCT縦方向断面画像であり、軸方向の各位置において上下方向に配列された各画素は、対応する位置におけるOCT横方向断面画像の切断位置602上において上下方向に配列された各画素に対応している。
【0085】
このように、OCT縦方向断面画像は、軸方向の所定の範囲に属するOCT横方向断面画像群601を読み出し、各OCT横方向断面画像より、切断位置602上の各画素を抽出し、軸方向の対応する位置に配置することで生成される。
【0086】
6.2 縦方向内腔画像の説明
次に、縦方向内腔画像の生成方法について説明する。
図7は、縦方向内腔画像の生成方法を説明するための図である。
図7において、紙面左側は信号処理部428において生成されたIVUS横方向断面画像を、紙面右側は信号処理部428において生成されたOCT横方向断面画像をそれぞれ示している。
【0087】
なお、IVUS横方向断面画像701とOCT横方向断面画像711とは、互いに軸方向の位置が同じであり、はじめに両画像の位置合わせが行われるものとする。
【0088】
続いて、IVUS横方向断面画像701に対しては、血管外壁を抽出するための抽出処理が施される。702は、IVUS横方向断面画像701より抽出された血管外壁を示している。
【0089】
次に、血管外壁が抽出されたIVUS横方向断面画像701に対しては、切断位置703を重ね合わせ、切断位置703と血管外壁702との交点704を求める。なお、切断位置703は、血管外壁を軸方向に略平行な平面で切断した場合の切断面を示す位置であって、縦方向内腔画像操作領域550において観察位置556により指定された軸周りの角度に略直交する角度を有し、IVUS横方向断面画像701の画像中心を通る直線である。なお、交点704はOCT横方向断面画像711を処理する際に用いられる。
【0090】
次に、切断位置703が特定されたIVUS横方向断面画像701より、切断位置703を含む所定幅の領域705に含まれる各画素を抽出する。更に、抽出した各画素を、切断位置703に投影し、投影した切断位置703上の各画素706を抽出する。
【0091】
一方、OCT横方向断面画像711に対しては、はじめにステント位置を抽出するための抽出処理が施される。712は、OCT横方向断面画像711より抽出されたステント位置を示している。
【0092】
次に、ステント位置712が抽出されたOCT横方向断面画像711に対して、切断位置703及び交点704を重ね合わせる。そして、交点704間の距離を直径とし、交点704を端点とする、ステント位置を含む所定幅の半円領域713を生成し、該半円領域713に含まれる各画素を抽出する。更に、抽出した各画素を、切断位置703に投影し、投影した切断位置703上の各画素714を抽出する。
【0093】
最後に、IVUS横方向断面画像701より抽出された各画素706に、OCT横方向断面画像711より抽出された各画素714を重ね合わせることで、縦方向内腔画像を生成するための画素721を生成する。
【0094】
図8は、IVUS横方向断面画像701とOCT横方向断面画像711とに基づいて、縦方向内腔画像を生成する方法を説明するための図である。
図8において、801は、切断位置上に各画素706が投影されたIVUS横方向断面画像701群を示している。また、811は、切断位置上に各画素714が投影されたOCT横方向断面画像711群を示している。
【0095】
820は縦方向内腔画像であり、軸方向の各位置において上下方向に配列された各画素は、対応する位置におけるIVUS横方向断面画像701の切断位置703上において上下方向に配列された各画素706に、対応する位置におけるOCT横方向断面画像711の切断位置703上において上下方向に配列された各画素714を重ね合わせることで生成される(つまり、画素721を軸方向の対応する位置に配置することで生成される)。
【0096】
<7.縦方向内腔画像生成処理の流れ>
次に、縦方向内腔画像生成処理の流れについて
図9乃至
図11Bを用いて説明する。
【0097】
7.1 縦方向内腔画像生成処理の全体の流れ
図9は、縦方向内腔画像生成処理の全体の流れを示す図であり、信号処理部428において実行される。
【0098】
ステップS901では、体腔内の軸方向の所定の範囲に属する複数の横方向断面画像のうち、軸方向が同一位置のIVUS横方向断面画像とOCT横方向断面画像とを取得する。
【0099】
ステップS902では、IVUS横方向断面画像及びOCT横方向断面画像に対して変換処理を施すことで、両者のスケール、位置、角度を合わせる。
【0100】
ステップS903では、IVUS横方向断面画像より縦方向内腔画像を生成するための画素706を抽出する。ステップS904では、OCT横方向断面画像より縦方向内腔画像を生成するための画素714を抽出する。なお、ステップS903、S904の処理の詳細は後述する。
【0101】
ステップS905では、ステップS903で抽出された画素706に、ステップS904で抽出された画素714を重ね合わせることで画素721を生成する合成処理を実行する。ステップS906では、ステップS905で生成された画素721に色を割り当てる。なお、色の割り当ては、縦方向内腔画像の用途に応じて、強調すべき領域に対して行う。例えば、ステントの網目の位置を把握したい場合には、当該位置に所定の色(例えば、赤色)を割り当てることで、当該位置を強調する。あるいは、血管の分岐部分の位置を把握したい場合には、当該位置に所定の色(例えば、黒色)を割り当てることで、当該位置を強調する。
【0102】
ステップS907では、体腔内の軸方向の所定の範囲に属する全ての横方向断面画像について、上記処理を実行したか否かを判定し、実行していないと判定した場合には、ステップS901に戻り、処理を継続する。
【0103】
一方、ステップS907において全ての横方向断面画像について上記処理を実行したと判定した場合には、ステップS908に進む。ステップS908では、縦方向断面画像表示画面500において観察角度の変更指示が入力されたか否かを判定する。
【0104】
ステップS908において、観察角度の変更指示が入力されていないと判定された場合には、ステップS909に進み、ステップS901〜S907の処理により生成され、色の割り当てが行われた縦方向内腔画像を表示した後に、縦方向内腔画像生成処理を終了する。
【0105】
一方、ステップS908において、観察角度の変更指示が入力されたと判定された場合には、変更後の観察角度に直交する切断位置を算出し、当該算出した切断位置を用いて、ステップS901〜ステップS907の処理を実行する。そして、ステップS901〜ステップS907の処理により生成され、色の割り当てが行われた縦方向内腔画像により縦方向内腔画像表示領域530を更新した後、縦方向内腔画像生成処理を終了する。
【0106】
7.2 縦方向内腔画像を生成するための画素を抽出する処理の詳細
図10Aは、IVUS横方向断面画像701より、縦方向内腔画像を生成するための画素706を抽出するための処理の流れを示すフローチャートである。ステップS1001では、IVUS横方向断面画像701より、血管外壁を抽出する。
【0107】
ステップS1002では、縦方向内腔画像操作領域550において設定された観察角度を読み込む。ステップS1003では、ステップS1002において読み込んだ観察角度に基づいて、切断位置703を算出する。更に、ステップS1001において抽出された血管外壁との交点704の座標を算出する。
【0108】
ステップS1004では、切断位置703を含む所定幅の領域705を抽出し、ステップS1005では、抽出した所定幅の領域に含まれる画素を抽出し、切断位置703に投影することで、切断位置703上の画素706を抽出する。
【0109】
一方、
図10Bは、OCT横方向断面画像711より、縦方向内腔画像を生成するための画素714を抽出するための処理の流れを示すフローチャートである。ステップS1011では、OCT横方向断面画像711より、ステント位置を抽出する。
【0110】
ステップS1012では、縦方向内腔画像操作領域550において設定された観察角度を読み込む。ステップS1013では、ステップS1003において算出された交点704の座標を取得する。
【0111】
ステップS1014では、ステップS1013において取得した交点704の座標を端点とし、ステント位置を含む半円領域713を算出する。ステップS1015では、算出した半円領域713に含まれる画素を抽出し、切断位置703に投影することで、切断位置703上の画素714を抽出する。
【0112】
<8.実施例>
次に、縦方向内腔画像生成処理(
図9)の実施例について説明する。
図11Aは、縦方向内腔画像生成処理(
図9)において、ステップS903が実行されることで抽出された画素706に基づいて、縦方向断面画像を生成した様子を示している。
【0113】
また、
図11Bは、ステップS904が実行されることで抽出された画素714を重ね合わせ、色の割り当て処理を実行することで生成された縦方向内腔画像を示す図である。
図11Bの例では、ステントの部分に白色を割り当て、血管の分岐部分に黒色を割り当てた様子を示している。
【0114】
図11Bに示すように、本実施形態に係る画像診断装置100によれば、所定の切断面における縦方向断面画像に対して、血管外壁より内側は、血管内腔面が表示されるため、例えば、ステントの網目の隙間の位置と、血管の分岐部分の位置との関係を把握することができる。
【0115】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る画像診断装置100では、IVUS横方向断面画像及びOCT横方向断面画像に基づいて、IVUS縦方向断面画像、OCT縦方向断面画像、及び、縦方向内腔画像を生成・表示する構成とした。これにより、ユーザは、それぞれの用途に応じて縦方向断面画像を使い分けることが可能となった。
【0116】
また、縦方向内腔画像においては、観察位置を変更できるように構成した。これにより、様々な観察角度から内腔面を観察することが可能となった。この結果、縦方向断面画像の有用性を拡大させることが可能となった。
【0117】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、体腔内の軸方向の所定の範囲に属する全ての横方向断面画像について同じ処理を実行することとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、OCT横方向断面画像については、ステントが抽出された範囲について縦方向内腔画像を生成するための画素を抽出する処理(
図10B)を実行するように構成してもよい。
【0118】
この場合、縦方向内腔画像のうち、軸方向においてステントが抽出されなかった範囲については、IVUS横方向断面画像より抽出された縦方向内腔画像を生成するための各画素706が利用されることとなる(
図12参照)。
【0119】
また、上記第1の実施形態は、IVUS横方向断面画像より抽出された、縦方向内腔画像を生成するための画素に対して、OCT横方向断面画像より抽出された、縦方向内腔画像を生成するための画素を、重ね合わせる構成としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、IVUS横方向断面画像より縦方向内腔画像を生成するための画素を抽出するにあたり、交点704間の画素を除いて抽出するように構成してもよい(
図13、
図14参照)。この場合、IVUS横方向断面画像より抽出された画素と、OCT横方向断面画像より抽出された画素とが交点位置において接続されることで、縦方向内腔画像が生成されることとなる。
【0120】
また、上記第1の実施形態では、ステント部分と血管の分岐部分とに色を割り当てる構成としたが、本発明はこれに限定されず、他の部分を対象として色を割り当てるようにしてもよい。
【0121】
また、上記第1の実施形態では、縦方向内腔画像として、体腔内の軸方向において、ステント部分以外の部分も含めて表示する構成としたが、本発明はこれに限定されず、ステント部分のみを抽出して表示するように構成してもよい。
【0122】
また、上記第1の実施形態では、IVUSの機能とOCTの機能とを備える画像診断装置のもと、IVUS横方向断面画像とOCT横方向断面画像とを用いて縦方向内腔画像を生成する構成としたが、本発明はこれに限定されない。
【0123】
例えば、2つのOCT機能を備える画像診断装置のもと、2つのOCT横方向断面画像を用いて縦方向内腔画像を生成するように構成してもよい。あるいは、2つのIVUS機能を備える画像診断装置のもと、2つのIVUS横方向断面画像を用いて縦方向内腔画像を生成するように構成してもよい。
【0124】
また、上記第1の実施形態では、縦方向内腔画像操作領域550にのみ“観察方向指定”ボタン553を配する構成としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、縦方向断面画像操作領域540にも同様のボタンを配するようにしてもよい。あるいは、縦方向内腔画像操作領域550に配された“観察方向指定”ボタン553を押下することで設定された観察角度に連動して、OCT縦方向断面画像及びIVUS縦方向断面画像を更新するように構成してもよい。
【0125】
また、横方向断面画像上に観察断面を表示し、それをマウスやトラックボール等の指示部で選択、回転させることで観察断面を任意に変更できるように構成してもよい。
【0126】
また、上記第1の実施形態では、ステントを含んだ縦方向内腔画像を生成したが、ステントを含まない、縦方向内腔画像を生成するようにしてもよい。
【0127】
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。