(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1の医療装置システムであって、心拍数、心電図波形の特徴、心拍リズム、心電図の波の間隔の特徴から選択した少なくとも一つの心臓指標を求める心臓指標モジュールをさらに備えており、措置モジュールがその少なくとも一つの心臓指標に基づいて前記の更なる措置をとることを特徴とする医療装置システム。
請求項1の医療装置システムであって、措置モジュールが少なくとも一つの心臓指標の変化と運動信号との間の時間的関係に基づいて前記の更なる措置をとることを特徴とする医療装置システム。
請求項1の医療装置システムであって、運動指標、心臓指標、呼吸指標、皮膚指標、血液ガス信号、血液pH、力指標、声の音、眼球運動、EEG信号、ECoG信号、EMG信号、患者の応答性、患者の意識、ストレスマーカーのうち少なくとも1つに基づいててんかん事象を分類する分類モジュールをさらに含むことを特徴とする医療装置システム。
請求項1の医療装置システムであって、措置モジュールが検出を確認しない場合にはてんかん事象の検出を破棄するよう構成されていることを特徴とする医療装置システム。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示の実例となる実施形態は、本明細書に記載される。明確にするために、実際の実施の全ての特徴は、本明細書に記載されない。このような実際の実施形態の開発において、実施によって異なる設計特有の目標を達成するために、多数の実施特有の決定がなされねばならない。このような開発努力は、おそらく複雑であり、かつ時間がかかるが、それにもかかわらず、この開示の利益を有する当業者にとって日常的な取り組みであることが理解されるであろう。
【0023】
この文書は、名称が異なるが、機能は異ならない構成要素を区別することを意図しない。以下の考察及び請求項において、用語「〜を含む(including)」及び「〜を含む(includes)」は、制約のない形式で使用され、それ故に「〜を含むが、それに限定されない」を意味すると解釈されるべきである。同様に、用語「〜を結合する(couple)」又は「〜を結合する(couples)」は、直接又は間接的な電気接続を意味することが意図される。「直接接触」、「直接取り付け」、又は「直接結合」を提供することは、第一要素の表面が第二要素の表面に、その間に実質的な減衰媒体なしに接触することを示す。電気接続を実質的に減衰させない体液のような少量の物質の存在は、直接接触を損なわない。単語「又は」は、別段の具体的用法が明確に述べられない限り、包含的意味(すなわち「及び/又は」)で使用される。
【0024】
本明細書に記載される用語「電極(electrode)」又は「電極(electrodes)」は、1つ以上の刺激電極(すなわちIMDによって発生した治療信号を組織に供給する電極)、検知電極(すなわち患者の身体の状態の生理学的指標を検知する電極)、及び/又は治療信号を供給、及び検知機能を行うことが可能な電極を指すことがある。
【0025】
(生理学的、病理学的を問わず)脳状態の変化の特定は、伝統的に電気脳信号の解析及び行動観察を通して達成された。脳状態の変化の連続的な(例えば24時間の)自動モニタリングは、自動携帯型ビデオに固有の困難、単位時間当たりに生成される大量のデータ、及び頭皮から記録される電気信号の許容できる信号/雑音を維持するために要求される人的及び技術的資源に対する過剰な需要のために、これら伝統的な方法の利用に対してある制限を課す。加えて、頭皮信号は、脳状態検出変化の低い感度及び特異性の両方をもたらす特性である、低い時間空間的分解能を有する。
【0026】
頭皮下であるが、頭蓋骨外板上又は頭蓋内(硬膜外、硬膜下又は深部)の埋め込みセンサ又は電極が、頭皮記録の制限を克服するために使用された。しかしながら、データの質は、限定的であり、これらの装置に関連した危険(例えば感染、出血、脳損傷)があり、そして加えて、現時点で、頭蓋内電極を埋め込むことが可能な神経外科医は、米国内に多くとも約300人おり、米国内のおおよそ900,000人の薬物耐性てんかん患者にこのような埋め込みを行うためには、あまりにも少なすぎる。
【0027】
電気脳信号及び行動観察は、脳状態の分類のための情報を提供し得るが、このタスクは、心臓、筋肉、皮膚、眼、鼓膜温度、及び身体の姿勢/運動によって発生するような他の生体信号のモニタリングを通して更に効率的に、更に正確に、かつ/又は更に費用効率良く達成できる。なぜならば、それらは外科手術を必要としないことがあり、又は外科手術が埋め込みに必要である場合に、手順が脳信号の記録に必要なものよりも遙かに短く、簡易で、かつ安価であり、かつ人的資源の不足がないからである。
【0028】
状態変化の検出、定量化及び分類のためのある種の非常に貴重な神経学的信号(例えば認知)は、非侵襲的に得られ、かつ本開示において使用できる。
【0029】
これらのマルチモーダル(例えば自律神経、神経学的等)信号は、脳を連続的にモニタし、かつ生理学的又は病理学的状態変化の検出、定量化、分類、検証、制御及びロギングのためにリアルタイムでシステム/器官状態の報告書を作り出すために、個別に、又は組み合わせて使用できる。このアプローチは、これらシステム間の固有のかつ細かく調整された動的結合を利用する。例えば、脳の状態/活動の変化は、心臓活動、筋活動、及び皮膚特性の変化をもたらし得る。
【0030】
本明細書において、出願人は、a)脳状態の事前に特定された変化をリアルタイムで検出し、b)その持続時間、強度、及び発生時間を定量化し、c)そのタイプ(例えばてんかん対非てんかん発作、一次性対二次性全身性発作、全身性対部分発作、複雑対単純部分発作)を分類し、d)警告及び制御/治療の根拠として使用し、及び/又はe)状態変化の検出、定量化及び分類の最適化、並びに治療(例えば制御)有効性の評価及び最適化のための将来の検索のために、この情報をメモリに保存することができる、方法、システム、及び装置を記載する。本開示における非てんかん運動は、強直間代性発作中に見られるが、これらの発作によって引き起こされない類似する運動を指す。
【0031】
本明細書において、「マルチモーダル」とは、信号の1つより多くの内因性モード又はタイプに基づくてんかん事象検出を指す。本明細書に開示されるマルチモーダルてんかん事象検出は、EEGのような脳電気信号に排他的に基づくてんかん事象検出システムの総合的な、費用効率の良い、貴重な代替物を提供する。今までマルチモーダルシステムは、開発又は商品化されていなかった。マルチモーダルてんかん事象検出は、表1に示されるような、自律神経、神経学的、内分泌、代謝、胃腸及び/又は皮膚由来の信号又はマーカ、並びに組織/器官ストレスの信号又はマーカを利用できる。
【0032】
状態変化のマルチモーダル検出は、ある種の脳構造が、自律神経、内分泌、胃腸、皮膚及び代謝機能に直接又は間接的に影響を及ぼすこと、及びある種の異常状態(例えば発作)が、身体組織にストレスを加えて、前記異常状態の発生を検出及び確認するために使用され得るある種の化合物又は分子(例えばストレスマーカ)の上昇をもたらすことを利用する。
【0033】
中枢自律神経構造に由来又は広がる、ヒトにおける発作が、心臓血管指数又は特徴の中でもとりわけ心拍数の変化を誘発することが確証された。(心拍数減少よりも遙かに頻繁である)発作が誘発した心拍数増加は、一次的に、増加した運動活動又は代謝変化の結果でなく、それよりもむしろ神経原性現象であることを述べるべきである。マルチモーダル信号に基づき、てんかん発作を検出、定量化、及び/又は分類するために、かつ所望であれば、この情報を使用して、警告、治療及びこれらタスク全部の最適化を提供するために、本開示において、高度に堅牢で、効率的かつ信頼できるシステムが提供される。本開示のシステムは、商用の長期インプラント又は外部装置に適しており、かつ幅広いてんかん患者にてんかん事象の信頼でき、かつ正確な指標を提供する。本開示において使用できる種々のマルチモーダル信号を、次表に示す。
【0034】
[表1]
マルチモーダル信号(表1) 自律神経 心臓:EKG、PKG、心エコー検査、心尖拍動検査(ApKG)、心内圧、心血流、心臓サーモグラフィ、そこから例えば心拍数(HR)、HRの変化、HRの変化速度、心律動、心律動の変化、心拍変動(HRV)、HRVの変化、HRVの変化速度、HRV対HRを導ける。また、心臓形態(例えば大きさ)血圧(動脈及び静脈)、心音、心拍波形態、心拍複雑形態、並びに胸壁のたわみの大きさ及び形状。
血管:動脈圧、動脈及び静脈血波圧形態、動脈及び静脈血流速度及び乱流度、動脈及び静脈血流音、動脈及び静脈温度
呼吸:頻度、1回換気量、分時拍出量、呼吸波形態、呼吸音、終末呼気CO2、肋間EMG、横隔膜EMG、胸壁及び腹壁動作、そこから例えば呼吸速度(RR)、RRの変化、RRの変化速度、呼吸リズム、呼吸形態を導ける。また、酸素飽和を含む動脈ガス濃度、並びに血液pHが、呼吸信号と考えられる。
皮膚:皮膚抵抗、皮膚温度、皮膚血流、汗腺活動
血中のカテコールアミン(及びその代謝物)の濃度、及びアセチルコリン又はアセチルコリンエステラーゼ活性、唾液及び他の体液濃度、及びその変化速度。
神経学的
認識/行動:意識レベル、注意、反応時間、記憶、空間視覚、言語、推論、判断、数学的計算、聴覚及び/又は視覚弁別
動力学的:方向、速度/加速、軌道(1Dから3D)、パターン、及び運動の質、収縮力、身体の姿勢、身体方向/位置、互いに及び虚軸に関連した身体部分方向/位置、筋緊張、主動筋の拮抗筋に対する緊張関係、そこから例えば歩行、姿勢、随伴運動、転倒に関する情報を導ける。
発声:形成、未形成
EEG/ECoG、誘発電位、電場電位、単一ユニット活動
内分泌:プロラクチン、黄体形成ホルモン、卵胞刺激ホルモン、成長ホルモン、ACTH、コルチゾール、バソプレシン、ベータエンドルフィン、ベータ、リポトロピン、コルチコトロピン放出因子(CRF)
ストレスマーカ:CK、トロポニン、イソ及びニューロプロスタンを含むが、それらに限定されない反応性酸素及び窒素種、並びに亜硝酸塩/硝酸塩比、グルタチオン、グルタチオンジスルフィド、及びグルタチオンペルオキシダーゼ活性、シトルリン、タンパク質カルボニル、チオバルビツール酸、熱ショックタンパク質ファミリ、カテコールアミン、乳酸、N−アセチルアスパラギン酸、及び前述のいずれかの代謝物。
代謝:動脈pH及びガス、乳酸塩/ピルビン酸塩比、電解質、ブドウ糖
【0035】
一実施形態において、本開示は、患者の自律神経活動を示す自律神経信号を提供すること、患者の神経学的活動を示す神経学的信号を提供すること、自律神経信号及び神経学的信号に基づきてんかん事象を検出することを含む、患者の自律神経信号(例えば心臓信号)及び神経学的信号(例えば動力学的信号)に基づきてんかん事象を検出するためのシステム及び方法に関係する。
【0036】
「てんかん事象」とは、とりわけ発作、発作の尤度が増加した期間、発作前期間、又は発作後期間を指す。
【0037】
患者の自律神経活動を示すいかなる自律神経信号も、方法において使用できる。一実施形態において、自律神経信号は、心臓信号、呼吸信号、皮膚抵抗性信号、眼信号、血液信号、及びそれらの2つ以上からなる群から選択される。自律神経信号は、とりわけ心電図(EKG)装置、瞳孔計、顔面温度又は体温モニタ、皮膚抵抗モニタ、音声センサ、圧力センサ、血液ガスセンサ、又はそれらの2つ以上によって提供され得る。
【0038】
患者の神経学的活動を示すいかなる神経学的信号も、方法において使用できる。一実施形態において、神経学的信号は、脳信号、動力学的信号、及びそれらの2つ以上からなる群から選択される。神経学的信号は、とりわけ脳波検査(EEG)装置、皮質脳波検査(ECoG)装置、加速度計、傾斜計、アクティグラフ、応答性検査装置若しくはシステム、又はそれらの2つ以上によって提供され得る。
【0039】
てんかん事象は、自律神経信号及び神経学的信号に基づき検出できる。
【0040】
一実施形態において、自律神経信号が心臓信号である時、検出は、いくつかの発作タイプが、短時間又は比較的長時間ウインドウにわたる心拍数の中心傾向の測定範囲のような、基準心拍数値範囲と比較した心拍数の変化(例えば増加)に関連するという観察結果に部分的に基づくことができる。いくつかの他の発作タイプは、基準心拍数値を上回る心拍数の減少に関連する(例えば
図1を参照)。
【0041】
一般的に、用語「基準値」が本明細書において更なる修飾なしに使用される時、発作間期間から導かれる値を指す。自律神経、神経学的、内分泌、代謝又はストレスマーカ特徴のいずれかの基準値又はその範囲は、時間の日(例えば概日)及び状態(例えば安静覚醒状態)依存であり、かつそれ故に非定常である。ある種の状態又は時間におけるある種の特徴の基準値は、同じ状態又は時間における対応する信号にほとんど直接比較可能であるが、他の状態、時間、又は両方からの対応する信号と比較可能であっても良い。
【0042】
図1〜
図4に使用されるように、臨床的発現は、a)患者が最初の発作症状に気が付く時、又はb)専門の観察者(又は患者の発作に精通した人)が発作を示す最初の変化を観察する時のいずれか先行する方を指す。最も明白な変化は、患者が気が付く、又は観察者が見る「最初のもの」であり得るが、この変化に、他の(気が付かれない又は観察されない)変化が先行した場合があり、そして発作発現を定義する「最初の変化」は、実際に起きており発作と関連がある、最初の変化でない場合があることを、強調せねばならない。発作の幾つものしるし又は徴候の1つのみが、臨床的に認識可能なことがあり、かつ臨床的発現時間は、それ故にこの臨床的に認識可能な徴候又は症状によって与えられる、又は判定される。このことは、臨床的に認識可能な徴候又は症状より前に起きた他の臨床的症状を除外しない。このことは、例えば
図3に示されており、
図3において応答性障害の発現は、臨床的発現に数秒、先行し、かつEKG及び呼吸変化もまた、臨床的発現前に起きているとして示される。
【0043】
図1は、4つの発作タイプ、具体的には欠神発作、(一次性、二次性全身性を問わず)全身性強直間代性発作、及び単純又は複雑部分発作に対する複数の身体信号の(破線の垂直線の、臨床的発現に対する)出現時間、及び発作間基準活動からの偏差方向を示す。水平な矢印は、本出願において定義されるような臨床的発現に関連する症状変化の出現時間を示す。水平な矢印のない点は、信号変化の最も重要な面が、臨床的発現で起きることを示す。このことは、この変化が再び現れ得ること、又はその後のある時点で方向を変更し得ることの可能性を排除しない。上向きの垂直な矢印は、信号の値の増加を示し、他方で下向きの矢印は、値の減少を示す。矢印の長さは、変化の規模又は大きさを反映しない。複数の偏差が示される時、より大きく、より太い矢印は、一般的な患者集団にわたって最も普通に見られるものである。当然ながら、熟練したてんかん専門医は、患者によっては
図1に示される典型的なケースからの1つ以上の変動を示すことを知っている。
【0044】
理解を容易にするために、ある種の身体信号、その発現、及び臨床的発現(破線)に関連する時間的発達に関するある種の重要な詳細は、
図1〜
図4から省いた。これらの図は、種々の発作分類で起きる身体信号の変化を例証するだけであるとなされるべきである。
【0045】
例えば、強直間代性発作はしばしば、発作発現の頃から始まる心拍数の増加と相関する(例えば
図2を参照)。
【0046】
もう1つの例として、部分発作はしばしば、電子写真の発作発現前、発現時、又は発現直後に開始する心拍数の増加と相関する。増加は、強直間代性発作に関連するそれよりも小さい(例えば
図3を参照)。
【0047】
もう1つの実施形態において、自律神経信号が呼吸信号である時、検出は、いくつかの発作タイプは、基準呼吸速度値範囲からの呼吸速度の偏差に関連するという観察結果に部分的に基づくことができる(例えば
図1を参照)。
【0048】
例えば、部分発作はしばしば、呼吸速度の増加と相関する(例えば
図3を参照)。
【0049】
一実施形態において、自律神経信号が皮膚抵抗性信号である時、検出は、いくつかの発作タイプは発作間基準皮膚温度又は体温値範囲からの皮膚温度又は体温の偏差に関連するという観察結果に部分的に基づくことができる(例えば
図1を参照)。
【0050】
例えば、ある種の部分発作は、皮膚抵抗性の減少に関連し(例えば
図3を参照)、かつ強直間代性発作は、体温の増加に関連する。
【0051】
さらにもう1つの実施形態において、神経学的信号が眼信号である時、検出は、いくつかの発作タイプは、眼の位置変化(例えば右側への強制的な両眼の偏位)、又は異常な眼運動の発生(例えば水平性眼振)、又は両方に関連するという観察結果に部分的に基づくことができる(例えば
図1を参照)。例えば、欠神発作は、準周期的まばたきに関連する(例えば
図4を参照)。
【0052】
眼瞼のまばたきの速度、振幅及びパターンは、患者の意識レベル(例えば覚醒対睡眠又は無応答)に関する、覚醒状態中の情報を提供できる。これらのパラメータは、正常対異常覚醒状態、例えば複雑部分及び/又は欠神発作中の異常覚醒状態、複雑部分及び/又は欠神発作の終結に続く状態、及び/又は全身性強直間代性発作の終結の区別を可能にし得る。(独特のパターンが識別できる)まばたきの速度、振幅及びまばたき間の間隔のようなパラメータは、非発作の発作間状態との比較を通して発作の検出及び定量化並びに分類目的で使用できる。動力学的活動の一形状であるまばたき活動は、眼窩上又は下領域の上にある皮膚の上又は下に設置された装置(例えば電極)を使用して、又は光学装置によって記録できる。
【0053】
一実施形態において、自律神経信号が血液信号である時、検出は、いくつかの発作タイプは、ストレスマーカの基準レベルに対するストレスマーカ(例えばカテコールアミン、コルチゾール及びそれらの代謝物)の増加に関連するという観察結果に部分的に基づくことができる。
【0054】
ストレスマーカが、(状態変化の検出目的で使用されるものとは異なることがある)事前に特定された基準値に達するならば、患者の総抗酸化能力及び脂質過酸化強度は、全抗酸化能力を増加させるような神経保護対策を行うためにモニタできる。発作において起こるニューロン過剰興奮性は、遊離基の過剰生成、及び最終的にニューロン損傷を引き起こすことがある。
【0055】
あるいは、又は加えて、血液信号は、血液ガス(例えばO
2又はCO
2)レベル又は血液pHレベルであっても良く、かつ検出は、いくつかの発作タイプは、発作間基準値範囲外の血液ガス及び/又はpHレベルに関連するという観察結果に部分的に基づくことができる(例えば
図1を参照)。1つ以上の上記の血液信号は、呼吸信号に関する情報を与えることがあり、かつその逆もある。
【0056】
例えば、強直間代性発作は、動脈O
2濃度の下降、動脈CO
2濃度の増加、及び血液pHの減少に関連する(例えば
図2を参照)。
【0057】
もう1つの例として、ある種の部分発作は、動脈O
2濃度の僅かな増加、動脈CO
2濃度の減少、及び動脈pHの僅かな増加に関連する(例えば
図3を参照)。
【0058】
一実施形態において、神経学的信号が脳信号である時、検出は、いくつかの発作タイプは、皮質波のある種の周波数での振幅の一時的急増、又はその形態の変化(例えば棘徐波複合)に関連するという観察結果に部分的に基づくことができる(例えば
図1を参照)。
【0059】
一実施形態において、神経学的信号が動力学的信号である時、検出は、いくつかの発作タイプは、筋電図検査(EMG)、加速度計、傾斜計、及び/又はアクティグラフ出力によって提供されるような運動の振幅及び速度の増加又は減少、身体又は四肢の運動の特定のパターン又はシーケンスの出現、運動の停止又は姿勢の緊張喪失又は体筋緊張の著しい増加に関連するという観察結果に部分的に基づくことができる(例えば
図1を参照)。抗重力筋のEMGは、転倒に関して加速度計又は傾斜計に同様の情報を提供し、かつある場合においてEMGは、それらに代わることができる。例えば、患者が横臥位にあり、かつ全身性強直間代性発作を有するならば、傾斜計及び加速度計は、転倒を検出しないが、EMGは、抗重力筋における筋活動の欠如を示すことによって(間接的に)検出する。このことは、全身性強直間代性発作の発現時に、寄りかかった/支えられた患者にも適用される。ある種の全身性強直間代性発作中の転倒は、姿勢筋緊張の減少でなく増加によって引き起こされる。また、筋緊張は部分発作中に減少又は増加し得るが、程度(全身性強直間代性発作と比較した関与する筋群の数及びタイプ)が、区別を可能にする。てんかん運動に関係する動力学的信号の特定の例は、
図5〜
図6に示される。
【0060】
Arendsらの米国特許出願公開第2009/0124870号明細書は、少なくとも1つの心拍数センサ及び少なくとも1つの筋緊張センサを使用する患者モニタリングシステムを開示する。この公報は、患者をモニタするための動力学的活動の獲得又は解析を開示しない。本開示の1つ以上の実施形態は、動作データ(例えば加速度計)と併せて使用される心臓データ(例えばEKG)を通して発作を検出することを提供する。
【0061】
図5Aは、てんかん運動の二次元(x、y)離散軌道を示す(計算を最小限に抑えるために、低い抽出率が使用されるが、連続軌跡が描かれても良い)。この図表は、てんかん発作中の身体運動に関する空間的(患者の胸骨のような基準マーカに関連した)及び時間的情報(運動が起こる時、及びその発生する順序)を含む。矢印は、運動のシーケンスを示す。運動の時間的発展を追跡するために、矢印の代わりに色又は形状が使用できる。画一的である時、運動軌道は、例えば整合フィルタリングを使用する検出用のテンプレートとして使用できる。図表は、3Dでも作り出せる。
【0062】
図5Bは、てんかん運動の三次元(x、y、z)離散図表を示す。運動は、各患者に関して異なる形状又は大きさを有することがあるクラスタ(この例では3つあり、一番左及び一番下のクラスタは、発作間運動を示すことが意図され、かつ一番右のクラスタはてんかん運動を示すことが意図される)を形成する。これらのクラスタは、発作の検出、定量化、分類及び/又は検出の確認、並びに任意に発作の時間的発展をロギング、追跡し、かつ/又は検出、定量化、分類及び/又は治療の最適化のために使用できる(例えばクラスタ解析、主成分解析)。この図表は、空間的情報のみを含み、時間的情報は、矢印又は色若しくは形状コードの使用を通して加えることができる。画一的である時、運動軌道は、例えば整合フィルタリングを使用する検出用のテンプレートとして使用できる。
【0063】
図5Cは、てんかん運動の三次元(x、y、z)離散図表を示しており、1つの運動が、2Dのみで起こることに注目されたい(計算を最小限に抑えるために、低い抽出率が使用されるが、連続軌跡が描かれても良い)。この図表は、(患者の胸骨のような基準マーカに関連した)空間的情報のみを含んでおり、時間的情報は、矢印又は色若しくは形状コードの使用を通して加えることができる。画一的である時、運動軌道は、例えば整合フィルタリングを使用する検出用のテンプレートとして使用できる。
【0064】
図6は、全身性(一次性又は二次性)強直間代性発作の間代期中の離散運動の3つの二次元の時間的累積図表を示す。シーケンス内の第一の運動は、x、y軸交点に最も近く置かれ、かつその後のものは、先行する運動の右側に、起こる順に描かれる。視覚化を容易にするために、3つの図表((A)x、y、(B)y、z、(C)x、z)がある。縦軸及び横軸は、振幅に関する情報を提供し、横軸はまた、時間的情報(例えば運動間の間隔)を提供する。この説明図において、運動は、全身性発作の間代期において一般的であるように、等しい時間間隔で起き、かつ周期的である。画一的である時、運動軌道は、例えば整合フィルタリングを使用する検出用のテンプレートとして使用できる。
【0065】
Kramerらの米国特許出願公開第2009/0137921号明細書(Kramer)は、てんかん事象に限定されない、以前記憶された運動データに対して比較するために、加速度計データを使用することを記載する。本開示の1つ以上の実施形態は、動作データ(例えば加速度計)と併せて使用される心臓データ(例えばEKG)を通して発作を検出することを提供する。心臓及び動作データが相互に確認するために使用できるので、本開示の実施形態は、特異性の低い動作データを使用して、発作を検出することを提供できる。
【0066】
本明細書において、運動の方向、速度/加速度、軌道(1Dから3D)、パターン、及び質の1つ以上は、運動の特性と称され得る。運動のこのような特性は、特定の運動に関して判定でき、そして発作、発作後、及び発作間動作活動を識別するために使用できる。
【0067】
例えば欠神発作は、概して身体運動の停止、及び一時的であるが、完全な応答性及び認識の喪失と相関する(例えば
図4参照)。
【0068】
もう1つの例として、強直間代性発作は、応答性及び認識喪失、並びに患者が発現時に立っているならば地面への転倒に関連する。運動の共通の特性には、発作発現時の傾斜計出力における「棘波」(例えば患者が立っていたならば、発作により患者が転倒する)、発作発現後(例えば強直期)の加速度計出力の静かな期間、及び強直期後(例えば間代期)の加速度計の出力における一連の準周期的「棘波」(例えば約3Hz)、それに続く身体運動の停止を含む。強直期は、体軸筋及び体肢筋におけるEMG活動の著しい増加を示す。同様に、発作後の段階中、又はその後の傾斜計出力における「棘波」を見ることができる(例えば患者が、発作発現時の転倒の後に立ち上がる)(例えば
図2参照)。
【0069】
さらにもう1つの例として、ある部分発作はしばしば、発作発現後の加速度計出力の静かな期間と相関し(例えば
図3参照)、他方で他のものは、不随意運動及び発声の増加によって特徴付けられる(例えばいわゆる「超運動(hypermotoric)」発作)。
【0070】
一般的に、運動特性、質及び場所は、強直間代性発作及び特定の患者に関するある部分発作の間で、画一的ではないにせよ類似し、かつこれらの発作タイプを有する患者の間でも類似する。それ故に、パターンはしばしば得られ、かつ検出、定量化及び分類のために使用できる。しかしながら、ある部分発作において、運動は患者間だけでなく、同じ患者の発作間でも異なり得る。
【0071】
本開示の幾つかの実施形態において、運動を検出、定量化及び/又は分類する際に使用される運動センサの数、タイプ及び配置は、(a)発作間の運動類似性の程度、(b)1つ以上の場所(例えば眼、頭、体肢、胴体等のような身体部分)からのデータの信号対雑音比、及び/又は(c)患者の安全性及び装置寿命の考慮に、とりわけ基づくことができる。これらの考慮は、検出、定量化及び/又は分類すること、及び/又はこの1つ以上のタスクを金銭的及び/又は計算的に、費用効率良く実行することの速度及び/又は精度を最大にするために配慮できる。
【0072】
例えば、患者の強直間代性発作が、右側への頭の偏位によって常に先行されるならば、(例えばこの場合に頭上又は運動に関与する頸筋上/内に設置される)単一の動作センサが、動作を検出し、かつ発作を特徴付けるために十分であり得る。患者の発作が、突然の転倒によって特徴付けられるならば、この場合もまた最も大きい加速又は変位幅を有する身体部分に設置される単一の装置が、発作検出、定量化及び分類目的に十分であり得る。患者の発作が、高頻度二次性全身性発作ならば、発作検出及び特徴付けのために十分な感度及び特異性を提供するために、少なくとも1つが身体の左及び右側の各々に位置し、かつ/又は少なくとも1つが身体の上及び下部に位置する、複数の装置が望ましいことがある。
【0073】
センサの数、そのタイプ(例えばセンサが機械的又は電気的信号変化に敏感であるか)、及びその設置の選択は、各発作タイプ及び患者に対して最適化できる。
【0074】
一実施形態において、神経学的信号が脳信号である時、検出は、いくつかの発作タイプは応答性の減少と概して相関するという観察結果に部分的に基づくことができる(例えば
図1を参照)。
【0075】
さらにもう1つの例として、部分発作はしばしば、患者の応答性の変化に基づき単純と複雑とに区別できる。単純部分発作は、発作中に起きた事象の認識及び記憶の保存に関連し、かつ応答性は、保存されても、されなくても良く、他方で複雑部分発作は、患者の環境の無認識である障害、及びある時間にわたる前向性健忘によって常に特徴付けられる(例えば
図3を参照)。応答性は、患者にある動作行動(例えばボタンを押す、腕を上げる)及び/又は認知的タスク(例えば質問に回答する)を行わせることによって検査される。認識は、ある期間中に起きた事象を思い出す患者の能力を測定すること、又は記憶検査を施すことによって検査できる。単語数、画像又は正しく思い出された事象は、(発作間基準値と比較した)認識度の定量化を可能にする。一実施形態において、方法は、患者の応答性及び認識を評価するために応答性検査及び認識検査を提供すること、及び神経心理検査に対する応答の速度及び適切さ又は正確さに基づき、てんかん事象を特徴付けることを更に含む。
【0076】
例えば、次の表は、患者が発作中に応答する状態に留まっているか(「応答性?」)、及び/又は認識する状態に留まっているか(「認識?」)という判定から一般的に引き出せる結論を示す。
【0078】
自律神経信号及び神経学的信号は、発作を検出する、その重症度を定量化する、発作をそのタイプ(例えば欠神、強直間代性、単純部分、複雑部分)に関して分類する、及び/又は発作に対応する状態の変化の特定又は検出を確認するために使用できる。
【0079】
本開示の検出又は他の行動が基づく、2つ以上の信号の特徴は、同時に又はいずれかの時間関係で起こり得る。一実施形態において、2つの信号間の時間関係は、
図1〜
図4に示す通りであり、かつ上記の通りである。身体信号間の相対的な時間関係は、てんかん事象を特定、確認、分類及び/又は定量化するために使用できる。いずれか2つの身体信号のタイミングに関係する情報、例えば発作を示唆する加速度計データの前、後、又は実質的に同時の心拍数増加は、てんかん事象を特定し、てんかん事象の特定を確認し、てんかん事象の重症度、強度又は持続時間を定量化し、及び/又は発作を分類するために使用できる。
【0080】
上に列挙した種々の実施形態は、てんかん全身性を、動力学的活動がてんかん発作のそれに類似するが、病態生理は類似しない非てんかん全身性発作と区別するためにも使用できる。擬似発作、心因性発作、又はヒステリー発作としても知られる非てんかん全身性発作はしばしば、患者、介護士及び健康管理システムに多大な費用を掛けて、てんかんと誤診される。動力学的、自律神経及び代謝信号に高度に依存するマルチモーダル信号アプローチは、その高い感度及び特異性並びに費用効率が良いこと(本開示の方法は、小型携帯装置に埋め込み可能なので、入院は必要でない)を考えると、発作を非てんかんと診断、特定及び分類するために理想的に適している。
【0081】
以下は、高い差別的値を有する数例の差であり、その1つ以上がてんかん全身性発作と、非てんかん全身性発作とを区別するために使用できる。a)非てんかん運動の強度は、てんかん運動と異なり、事象を通して一進一退する(漸増漸減パターン)。b)非てんかん運動は、てんかん運動と異なり、多方向又は多平面的であり、前記方向変化は、非常に迅速に、かつランダムシーケンスで起こる。例えば垂直運動は、水平運動に移行することがあり、かつこれらは、次には斜め又は回転又は羽ばたき運動に移行することがある。c)非てんかん発作における関節運動は、てんかん発作と異なり、一貫性がないか、又はまとまっておらず、右上肢が垂直平面においてある速度で、かつある振幅及び位相で運動する間、左上肢の運動の方向、速度、位相及び振幅は、同時に異なり得る。d)非てんかん発作において、てんかん発作と異なり、主動及び拮抗筋群の同時活性化は、稀にしか見られず、てんかん全身性強直間代性発作中の腹筋及び傍脊柱筋の同時活性化は、胴体を真っ直ぐに保つが、他方で非てんかん全身性発作において共通する観察事項である、傍脊柱筋の単独活性化は、丸めた背中として現れる。e)ある種の身体部分の(運動の形状での)関与は、非てんかん発作で一般に見出されるが、他方で、てんかん全身性発作においては、見られるとしても稀であり、骨盤推力、骨盤回転運動及び他の骨盤運動は、非てんかん発作にほぼ特徴的である。f)代謝(乳酸)アシドーシスは、てんかん全身性強直間代性発作により起こるが、非てんかん全身性発作で起こらない。
【0082】
検出は、いずれかの適切な技術によって行うことができる。例えば、各信号は、ハードウェア(例えばDC又はAC増幅器)、振幅利得又は増幅、スペクトル特性に適切なフィルタ及び抽出率、及び/又は各信号の時間的尺度及び特性を使用して記録、調整及び処理できる。各信号は、適切なデジタル又はアナログ信号処理技術を使用して全体で、又は分解後に解析できる。分解は、次の技術のいずれかを使用して実行できる。そのスペクトル特性、形態若しくは波形、出現又は生成部位、基線に対するその位置、ゼロ交差、及び概日若しくは超日周期リズムに基づき信号を分解できる、フーリエ変換に基づく方法、ウェーブレット、カスタマイズされたFIR若しくはIIRフィルタ、固有時間的尺度分解、ウェーブレット変換最大値、又は他のいずれかの技術。分解信号が無い場合において、1つ以上の成分が、脳/身体状態の変化検出のためにほぼ価値がないとみなされたならば、破棄できる。これらのデータは、システムから流れ込む時、各信号に関して適切な長さのウインドウ内で解析できる(例えば信号に基づきカスタマイズされたウインドウのアプローチ)。このウインドウは、過去のデータからなる、背景と定量的目的で関係付けられる前景に対応する。背景ウインドウの長さは、研究中の信号の特性、及び検出の対象であるパターン又は事象の時間的尺度によって判定できる。これらの特徴又はパラメータのいずれも、信号に対する概日又はその他の影響を明らかにするために必要に応じて適応させ得る。
【0083】
上記段落は、信号調整及び他のタスクのためのハードウェアを強調しているが当業者は、上で論じた1つ以上の技術のソフトウェア、ファームウェア、又は他の実装が、使用できることを知っている。
【0084】
一実施形態において、本開示は患者の心臓信号及び動力学的活動に基づいて、てんかん事象を検出するための方法に関係し、患者の心拍を示す心臓信号を提供すること、患者の身体運動を示す動力学的信号を提供すること、並びに心臓信号及び動力学的信号に基づきてんかん事象を検出することを含む。
【0085】
心臓信号は、ある種の機材又は器具を使用して検出可能な、電気、音響、熱、又は他のいかなる心臓信号であっても良い。一実施形態において、心臓信号は、心電図(EKG)によって提供される。
【0086】
動力学的信号は、振幅、速度、方向、軌道及び質のような運動に固有の属性のいずれかを記録可能な装置によって提供され得る。一実施形態において、動力学的信号は、加速度計、傾斜計、又はアクティグラフ装置によって提供される。アクティグラフ装置又はアクティグラフは、両方とも加速度計及び傾斜計であると考えられ得る。軌道の典型的な図表は、
図5Aに示す。位置のクラスタの典型的な図表は、
図5Bに示す。
【0087】
一実施形態において、本開示は患者の心臓信号及び動力学的活動に基づいて、てんかん事象を検出するための方法に関係し、患者の身体運動を示す動力学的信号を提供すること、動力学的信号に基づき、前記動力学的信号のてんかん事象との相関を示す動力学的スコアを計算すること、患者の心拍シーケンスに基づきてんかん事象を検出すること、及び動力学的スコアに基づきてんかん事象を示す出力を提供することを含む。
【0088】
もう1つの実施形態において、方法は、患者の心臓活動を示す心臓信号を提供すること、心臓信号に基づき、前記心臓信号のてんかん事象との相関を示す心臓スコアを計算すること、患者の動力学的活動に基づきてんかん事象を検出すること、及び心臓スコアに基づきてんかん事象を示す出力を提供することを含む。
【0089】
これらは、両方とも複数モードのデータ(例えば心臓モード信号及び動力学的モード信号)を使用して、マルチモーダルデータに基づきてんかん事象を検出する例である。
【0090】
患者の身体運動を示す動力学的信号は、上に記載した通りであっても良い。動力学的スコアは計算でき、及び/又は動力学的信号は、患者の動力学的信号の、自律神経(例えばEKG)、神経学的(例えばEEG又は直接若しくは間接的な臨床観察)内分泌、代謝(例えばpH)、ストレスマーカ(例えばコルチゾール)等、又はそれらの組み合わせによって特定される患者の発作との以前の相関により、医師の知識に基づき(例えば医師がある動力学的信号、例えば傾斜計棘波、加速度計活動増加の期間、加速度計活動減少の期間、正常範囲外のアクティグラフ活動の期間、このような信号の時間的相関等を知っている)、てんかん事象の動力学的信号か、非てんかん事象の動力学的信号のいずれかとして分類できる。
【0091】
患者の画像(例えばビデオ、サーモグラフィ等)及び/又は音声記録は、発作を検出し、及び/又は発作検出を確認するために定性的又は定量的に使用できる。検出又は確認は、人間の視覚解析を介して、又は発作中のいずれかの身体部分の運動の位置、速度、方向又は軌道の1つ以上を、非発作運動と比較するアルゴリズムを使用して、オン又はオフラインで行われ得る。連続した運動の間の時間、てんかん運動の全持続時間、及び/又はその質(例えば痙攣性又は円滑な)もまた、発作の検出及び/又は確認のために使用できる。
【0092】
患者の心拍シーケンスに基づきてんかん事象の可能性を検出することは、上で論じた心臓に基づく発作検出アプローチを利用できる。例えば、発作間基準値に対する患者の心拍数の増加に注目することは、例えば発作の尤度増加の期間である、「てんかん事象を検出すること」の一実施形態である。
【0093】
患者の心拍シーケンスに基づき動力学的信号を分類し、そしててんかん事象の可能性を検出した後、動力学的信号が、てんかん事象の動力学的信号と分類されるならば、てんかん事象を示す出力が提供され、そして動力学的信号が、非てんかん事象の動力学的信号と分類されるならば、てんかん事象の非発生を示す出力が提供され得る。この方法は、動力学的信号の使用による心臓に基づく発作検出を確認できる。
【0094】
もう1つの実施形態において、本開示は患者の心臓信号及び動力学的活動に基づいて、てんかん事象を検出する方法に関係し、患者の身体運動を示す動力学的信号を提供すること、動力学的信号をてんかん事象の動力学的信号か、非てんかん事象の動力学的信号として分類すること、患者の心拍シーケンスの変化に基づきてんかん事象を検出すること、前記動力学的信号がてんかん事象の動力学的信号として分類されるならば、検出を確認すること、前記動力学的信号が非てんかん事象の動力学的信号として分類されるならば、検出を無効にすること、及び検出が確認される場合にのみてんかん事象を示す出力を提供することを含む。
【0095】
さらにもう1つの実施形態において、本開示は一次性、二次性全身性を問わず(すなわち発作が実質的に同時に脳の両半球において現れたか(一次性)、又は特定の病巣で現れ、次に広がったか(二次性))、患者の2つ以上の身体信号に基づき、強直間代性てんかん発作を検出する方法に関係し、患者の心拍を示す心臓信号、患者の運動を示す加速度計信号、患者の身体位置を示す傾斜計信号、患者の運動、身体位置又は両方を示すアクティグラフ信号、患者の呼吸を示す呼吸信号、患者の皮膚抵抗性を示す皮膚抵抗性信号、患者の血液酸素含量、二酸化炭素含量又は両方を示す血液ガス信号、患者の血液pHを示す血液pH信号、患者の筋活動を示す等尺性力信号、患者の口述の発話又は発声を示す音声信号、患者の眼の位置及び運動を示す眼球信号、患者の応答性を示す応答性信号、及び患者の少なくとも1つのストレスマーカを示すストレスマーカ信号からなる群から選択される少なくとも2つの身体信号を提供すること、及び1つの特徴が少なくとも2つの身体信号の各々である、2つの特徴の時間的相関に基づき全身性強直間代性てんかん発作を検出することを含む。本明細書において記載された実施形態に関連して使用されるような「応答性」の用語及び概念は、高度に相関又は解離しても良い動作及び認知成分を有し、更に動作成分は、単純応答(例えば疼痛の元から体肢を引っ込めること)又は複雑(例えば指令に応答して三角形を書くこと)の形状であっても良い。従って応答性は、単純刺激(例えば大きな音の形状の音響、又はピンで刺す形状の知覚)又は複雑(例えば複雑反応時間検査;知識、判断、抽象概念、記憶等を調べる質問)を使用して、検査しても良い。本開示において、「応答性」が複雑刺激を使用して検査される時、「認識」が調べられ、それ故にその場合において、これらの用語/概念は、同じように使用される。従って「応答性」の意味は、文脈に依存しており、患者が単純動作応答又は運動を発生させたかを判定することが目的ならば、用語「応答性」が使用でき、複雑応答の存在及び質を検査することが目的ならば、「認識」が応答性に代わり得る。
【0096】
本明細書で使用されるような「スペクトル解析」は、心臓活動又は身体運動の少なくとも1つの既知の方法(例えばフーリエに基づく、ウェーブレットに基づく、多重フラクタルスペクトル等)を使用するスペクトル解析を包含する。スペクトル解析技術は、当業者に知られており、本開示の利益を有する人によって実施され得る。スペクトル解析は、離散又は連続的であっても良い。心臓活動のスペクトル解析は、とりわけ心拍数又は個別の拍動のEKG波形のスペクトル解析を含んでも良い。
【0097】
患者指数又は特徴は、第一心臓活動に関係する信号又は第一身体運動に関係する信号から直接導かれる値であっても良い。例えば、1つ以上の心臓指数又は特徴は、1つ以上の期間にわたる心臓活動信号から導かれても良い。例えば、比較的短時間(例えば5〜30秒)にわたる前景心拍数、及び長時間(例えば30〜600秒)にわたる背景心拍数は、両方とも心臓活動信号から導かれても良い。もう1つの例として、患者の身体に取り付けられた加速度計又は傾斜計は、患者(及び/又はその身体の一部)の運動及び身体位置に関する情報を与えられる。
【0098】
患者特徴は、てんかん事象の判定においても使用できる。例えば、心臓活動及び/又は身体運動は、てんかん事象の発生、てんかん事象の不発生、又はてんかん事象の発生見込みを判定するために、1つ以上の心臓特徴及び/又は動力学的特徴を判定することによって解析できる。
【0099】
一実施形態において、追加検査を誘発することは、心臓活動及び/又は身体運動が、可能なてんかん事象を示すことの発見後に、患者の心臓活動及び患者の身体運動の少なくとも1つに基づくことができる。例えば、心臓活動及び/又は身体運動特徴が、高い信頼性によりてんかん事象を明瞭に示すならば、追加検査の誘発は、実行される必要がないが、但し、心臓活動及び/又は身体運動特徴が、その発作間基準値範囲外であるが低い信頼性のてんかん事象のみを与える値を有するならば、追加検査の誘発は、患者がてんかん事象に苦しんでいるか否か示すために、患者の状態に関する追加の情報を提供するために実行できる。
【0100】
もう1つの例として、第1回目の患者の心臓活動は、てんかん事象を示すことがあり、第2回目の、身体の特定領域における患者の身体運動は、てんかん事象を示すことがあるが、2回が異なるか、又は身体運動が身体の異なる領域にあるか、又はその特性(例えば速度、形態、パターン等)の変化がてんかん事象の宣言と不一致であるならば、心臓活動及び身体運動の配慮は、低い信頼性のてんかん事象の指標を引き起こすことがあり、それに応答して追加検査の誘発及び/又は追加身体信号の配慮が、望ましいことがある。換言すると、信頼性の高いてんかん事象の判定を妨げるであろう、患者の心臓活動及び患者の身体運動の間に低い絶対相関値(例えば、約−0.4〜0.4の相関)があり得る。誘発された追加検査は、信頼性の高いてんかん事象(又はてんかん事象の不発生)の判定を行うために、十分な追加情報を提供できる。
【0101】
一般的に、相関係数が約0.7よりも大きいならば、2つのパラメータは、高度に相関するとみなすことができ、かつ相関係数が約0.4よりも小さいならば、低程度に相関するとみなすことができる。相関係数が約−0.7よりも小さいならば、2つのパラメータは、高度に反相関するとみなすことができ、かつ相関係数が約−0.4よりも大きいならば、低程度に反相関するとみなすことができる。反相関するとみなされ得るパラメータ/状況の一例には、身体運動の消失を伴う頻脈の出現を含む。反相関するとみなされ得る他の例は、実質的に不変の心拍数又は減少した心拍数を伴う強い身体運動である。実質的に不変の心拍数を伴う例は、低い反相関とみなすことができ、かつ減少した心拍数を伴う例は、高い反相関とみなすことができる。
【0102】
考慮すべきもう1対の例は、てんかん事象対体操中の身体運動及び心拍数の第一導関数の間の相関である。一般的に、心拍数の第一導関数は、体操中よりもてんかん事象中で高い、すなわち身体運動及び心拍数の第一導関数は、体操中よりもてんかん事象中で、高度に相関するとみなされ得る。
【0103】
てんかん事象の発生を判定し、かつ行動を誘発するか、又はてんかん事象が起きていないか若しくは起きなかったと判定するために、高い又は低い相関(又は反相関)のいずれかの存在が、この開示において使用できる。第一及び第二の心臓活動は、同じでも良く(換言すると、誘発は、第一反復の結果として第一心臓活動を報告した検査の第二反復であっても良く、心臓活動の更に新しい値を与える)又は異なっても良い。一実施形態において、第一心臓活動は、心拍数又は心拍数変動であり、かつ第二心臓活動は、心拍形態である。
【0104】
同様に第一及び第二身体運動は、同じでも、又は異なっても良い。
【0105】
「検査」は、本明細書において患者の心臓活動、身体運動、応答性、認識のいずれかの試験(assay)又はそのスペクトル解析を指すために使用される。検査の生成物は、信号とみなすことができ、かつ信号は、検査に由来するとみなすことができる。第二心臓活動の検査は、第一心臓活動に関係する信号を受信する際に使用されるものと実質的に同じデータソース、データ処理及び/又は関連技術を使用できる。もう1つの実施形態において、技術は、異なっても良い。例えば、第一心臓活動は、心電図記録法(EKG)によって判定される心拍形態であっても良く、かつ第二心臓活動は、心音図法(PKG)によって判定される心拍形態であっても良い。
【0106】
同様に、第二身体運動の検査は、第一身体運動に関係する信号を受信する際に使用されるものと実質的に同じデータソース、データ処理及び/又は関連技術を使用できるが、使用しなくても良い。
【0107】
第一及び第二心臓活動又は第一及び第二身体運動の概念は、応答性及び認識にも適用できる。例えば応答性活動は、疼痛刺激の元から引っ込めることのような反射運動であっても良く、かつ第二応答性活動は、三角形を書くことを要求されるような、複雑運動であっても良い。種々のレベルの複雑さの様々な検査は、本開示に定義されるような検査応答性に施され得る。
【0108】
特定の誘発検査は、第一心臓活動、第一身体運動又は両方に少なくとも部分的に基づき、選択できる。
【0109】
一実施形態において、判定は、患者の認識が基準応答性レベルと異なるという発見、患者の認識が基準認識レベルと異なるという発見、患者の第二心臓活動が、てんかん事象を示唆する特性を含むという発見、患者の第二心臓活動のスペクトル解析がてんかん事象を示唆する特性を含むという発見、及び患者の第二身体運動のスペクトル解析が、てんかん事象を示唆する特性を含むという発見の、少なくとも1つに基づく。
【0110】
図7は、本開示による方法の一実施形態を描くフローチャートを示す。患者の心臓活動を示す心臓活動信号は、ブロック1010で受信され、及び/又は患者の身体運動を示す身体運動信号は、ブロック1020で受信される。
【0111】
その後、心臓活動及び身体運動がてんかん事象と関連するかの判定が、ブロック1030で行われる。いいえであれば、フローは、受信ブロック1010−1020に戻る。はいであれば、てんかん事象が、ブロック1040で宣言される。しかしながら、判定が行えないならば、フローは、ブロック1050に移り、そこで応答性検査、認識検査、第二心臓活動検査、第二身体運動検査、第二心臓活動のスペクトル解析検査、又は第二身体運動のスペクトル解析検査の、1つ以上が誘発される。
【0112】
その後、患者の応答性、認識、第二心臓活動、第二身体運動、及び/又は第二心臓活動若しくは第二身体運動のスペクトル解析がてんかん事象を示すかの判定が、ブロック1060で行われる。いいえであれば、フローは、受信ブロック1010−1020に戻る。はいであれば、てんかん事象が、ブロック1040で宣言される。
【0113】
あるいは、又はてんかん事象を宣言することに加えて、更なる行動が実行できる。一実施形態において、方法は、第一心臓活動、第一身体運動、応答性、認識、第二心臓活動、第二身体運動、第二心臓活動のスペクトル特性、第二身体運動のスペクトル特性の少なくとも1つ、又はそれらの2つ以上に基づき、てんかん事象を分類することを更に含む。
【0114】
てんかん事象の分類は、一般的に
図1〜
図4及び本明細書の説明に示される情報に基づくことができる。分類は、特定の患者の画一的な発作の観察に部分的に基づくこともできる。臨床医が特定タイプであると認識するであろう全ての発作が、全て本明細書において論じた特性を示さないことがあり、それ故に全てが、本明細書に記載された方法による分類に従い得るとは限らないが、実質的な大多数が、本明細書に記載された方法による分類に従うと期待される。
【0115】
一実施形態において、てんかん事象は、以下のことが第一の非横臥位の患者において起こる時、全身性強直間代性発作として分類される。第一身体運動が、第一の非横臥位からの転倒を含み、(i)転倒が、応答性喪失、認識喪失、又は両方と関連し、かつ(ii)転倒の次に全身性身体運動が続く。
【0116】
一次性又は二次性全身性強直間代性、全身性強直性、全身性間代強直間代性発作、又は全身性無緊張発作に関連した地面への転倒は、保護/防御行動(例えば腕で転倒を中断する)の欠如によるつまずき又は滑りによって引き起こされるもの、及びいずれの身体部分が地面と先に接触するかのような他の特徴と区別できる。
【0117】
一次性全身性発作は通常、頭及び眼を正中線上に維持して、等しい振幅の同期両側性運動をもたらす。二次性全身性発作は通常、体肢、頭、眼又は胴体の片側性運動により発現時に現れる。
【0118】
一実施形態において、全身性身体運動は、律動性身体運動を含む。あるいは、又は加えて、全身性身体運動は、関節の屈曲及び伸長を含んでも良く、かつ/又はてんかん事象中のある時点で約3Hzの周波数を有しても良い。もう1つの実施形態において、律動性運動は、てんかん様排出に時間的に関連する。
【0119】
身体運動は、一次性全身性又は二次性全身性に関して、てんかん事象の分類を可能にし得る。具体的には、身体運動が同期であり、かつ身体の両側で等しい振幅であるならば、てんかん事象は、一次性全身性として分類でき、かつそうでない場合二次性全身性として分類できる。
【0120】
更なる実施形態において、重要識別子(例えば姿勢緊張の喪失又は筋緊張の広範性増加又は律動性身体運動)の少なくとも1つが起きたという条件で、認識の回復が、応答性の回復に続く時、てんかん事象は、全身性強直間代性発作として分類される。
【0121】
一実施形態において、てんかん事象は、以下のことが第一の非横臥位の患者において起こる時、無緊張発作として分類される。
i)身体運動が、第一の非横臥位からの転倒を含み、転倒が、応答性喪失、認識喪失、又は両方に関連する、及び、
(ii)患者が、転倒後に基準値を下回る身体運動の有意な低下、転倒後に基準値を下回る筋緊張の有意な低下、又は両方を示す。
【0122】
概して、無緊張発作において一般に見られる身体運動及び/又は筋緊張の有意な低下は、心臓又は呼吸活動の変化によって引き起こされない。
【0123】
一実施形態において、てんかん事象は、以下のことが第一の非横臥位の患者に起こる時、強直性として分類される。基準値を上回る筋緊張の増加、応答性喪失、及び全身性運動の欠如。
【0124】
更なる実施形態において、応答性又は認識喪失と関連したという条件で、認識の回復が、応答性の回復に続く時、てんかん事象は、強直性として分類される。
【0125】
一実施形態において、てんかん事象は、患者の心臓活動が認識障害に関連し、転倒又はある時点で全身性律動性身体運動に関連しないするという発見に基づき、複雑部分発作として分類され、てんかん事象は、患者の心臓活動が認識障害に関連せず、かつ全身性律動性身体運動に関連しないという発見に基づき単純部分発作として分類される。
【0126】
一実施形態において、事象は、以下のことの少なくとも1つが起きる時、失神として分類される。身体運動が、非横臥位からの転倒を含み、かつ転倒が、応答性喪失又は認識喪失に関連し、かつ応答性の回復又は認識の回復が、転倒の直後に起きる、或は身体運動が、横臥位から転倒を含む時、心拍数の著しい減少又は心拍の短い一時的停止がある(心停止)。
【0127】
てんかん事象は、患者の身体位置を考慮して判定又は分類できる。例えば、患者が側臥位にある(横になっている)時のてんかん事象は、抗重力筋(例えば傍脊柱筋、大腿四頭筋)における筋緊張の一時的喪失、及びそれに続く主動筋及び拮抗筋群(例えば傍脊柱筋及び腹直筋、大腿四頭筋及びハムストリング筋)における筋緊張の一時的増加、及びそれに続く全身性律動性筋収縮(概して事象中のある時点で3Hz及び/又は10〜12Hzの周波数による)の観察から判定できる。
【0128】
もう1つの例として、患者が座位にある時のてんかん事象は、筋電図検査(EMG)信号及び加速度計信号の両方を使用して、判定できる。
【0129】
第一心臓活動、第二心臓活動、第一身体運動、第二身体運動、応答性、及び認識の1つ以上は、いかなる既知の技術によっても提供できる。一実施形態において、第一心臓活動及び第二心臓活動の少なくとも1つは、心電図(EKG)、心音図(PKG)、心尖拍動検査、血圧モニタ、及び心エコー検査の少なくとも1つによって検知される。身体運動は、いかなる既知の技術によっても検知できる。一実施形態において、第一身体運動及び第二身体運動の少なくとも1つは、加速度計、傾斜計、アクティグラフ、撮像システム、動力計、ジャイロスコープ、筋電図検査(EMG)、又はそれらの2つ以上によって検知される。
【0130】
ある状況において、方法は、てんかん事象の偽陽性判定を行い得る、すなわち(てんかん発生帯で/その付近での電気活動の直接/侵襲性記録、熟練した医師による観察、又は当業者に知られている他の技術を使用して判定できるような)てんかん事象が起きない時に、上記信号及び検査に基づきてんかん事象を判定できる。一実施形態において、方法は、判定されたてんかん事象が実際のてんかん事象でなかったという指標を受信することを更に含む。このような指標は、第一身体運動が転倒であるが、転倒が、てんかん転倒の特徴を示さない、全身性身体運動は、律動性かつ両側性同期でない、全身性身体運動は、3Hzと実質的に異なる周波数又は可変周波数を有する、全身性身体運動は、方向、主動筋−拮抗筋対を変更する、かつ/又は異なる方向の運動が、同時に2つ以上の関節において起こる、心臓活動、心臓活動形態、心臓スペクトル解析、心尖拍動検査、心エコー検査の変化がてんかん発作の特徴を示さないことを含み得るが、それらに限定されない。
【0131】
同様に、一実施形態において、方法は、偽陰性の指標、すなわちてんかん事象が起きたが、その判定が行われなかったという指標を受信することを更に含む。
【0132】
指標は、患者、介護士若しくは医療専門家からの入力、及び/又は1つ以上の身体信号の定量化又は特徴付けに少なくとも部分的に基づき得る。指標は、偽判定時又はその後に提供され得る。
【0133】
(陽性、陰性を問わず)偽判定は、将来の判定を行う際に使用される身体信号又は解析を修正することを適切にし得る。一実施形態において、方法は、指標に応じて、第一心臓活動、第一身体運動、応答性、認識、第二心臓活動、第二身体運動、第二心臓活動のスペクトル解析、又は第二身体運動のスペクトル解析の1つ以上に少なくとも部分的に基づき、偽陽性てんかん事象の将来の判定の尤度を低下させることを更に含む。もう1つの実施形態において、方法は、指標に応じて、第一心臓活動、第一身体運動、応答性、認識、第二心臓活動、第二身体運動、第二心臓活動のスペクトル解析、又は第二身体運動のスペクトル解析の1つ以上に少なくとも部分的に基づき、偽陰性てんかん事象の将来の判定の尤度を低下させることを更に含む。
【0134】
てんかん事象が判定される時、方法は、発作の発生及び/又は発生の時間をロギングすること、患者、介護士、又は医療介護提供者に警告、アラーム又はアラートを提供すること、発作を防止、中断、及び/又は重症度を低下させるために治療を提供すること、発作中の認識又は応答性のような1つ以上の患者パラメータを評価すること、発作の重症度を評価すること、発作の終了を特定すること、及び患者の発作後障害又は発作からの回復を評価することの1つ以上を含む。「回復」は、本明細書において、患者のパラメータが基線に戻っている時の、発作発現及び/又は発作終了の後の時間を包含するように使用される。他の例には、てんかん事象の発現時間、てんかん事象の終結時間、てんかん事象の重症度、てんかん事象の影響、てんかん事象と最近の先行するてんかん事象との間の間隔、ある時間ウインドウに亘るてんかん事象頻度、ある時間ウインドウに亘るてんかん事象の負担、ある時間ウインドウに亘るてんかん事象に費やされた時間、又はてんかん事象のタイプの1つ以上をロギングすることを含むが、それに限定されない。
【0135】
偽陽性検出率を低下させるため、又は他の理由により、一実施形態において、方法は、
てんかん事象に関連しない記録データを生じさせるために、患者がてんかん事象に苦しんでいない時に、1回以上、1つ以上の発作間活動中に、患者の基準身体運動、基準心臓活動、基準応答性レベル、基準認識レベル、基準心臓活動、心臓活動の基準スペクトル解析、又は身体運動の基準スペクトル解析の1つ以上を記録すること;記録データから1つ以上の発作間活動基準特性を定義すること;及び患者の第一身体運動、第一心臓活動、応答性レベル、認識レベル、第二心臓活動、第二身体運動、第二心臓活動のスペクトル解析、及び第二身体運動のスペクトル解析が、1つ以上の発作間事象基準特性に一致するという発見に少なくとも部分的に基づき、てんかん事象の判定を却下することを更に含む。
【0136】
患者がてんかん事象に苦しんでいない時の1回以上での発作間活動には、異なる活動(例えば歩行対ランニング対水泳等)を含むことができ、あるいは、又は加えて、異なる時刻、週、月、又は年で、又は異なる外部状況(例えば海抜ゼロ地点での歩行対高地での歩行等)下での同じ活動を含むことができる。
【0137】
てんかん事象の判定の却下は、ゼロ及び1の間のいずれかの尤度によって行われ得る。却下は、永久又は半永久的な規則に従って、又はケースバイケースで行われ得る。参考資料は、患者毎、発作タイプ毎、又は集団毎に、ライブラリに保存できる。
【0138】
一実施形態において、却下は、1つ以上の追加検査を誘発することを伴い得る。このような更なる誘発は、てんかん事象の更に正確な判定を可能にし得る。
【0139】
てんかん事象中に、患者の基準身体運動、基準心臓活動、基準応答性レベル、基準認識レベル、基準心臓活動、心臓活動の基準スペクトル解析、又は身体運動の基準スペクトル解析の1つ以上を記録することは、偽陰性又は偽陽性判定の却下を可能にし得る。
【0140】
1つ以上の発作間活動中の身体運動は、身体の一部(例えば眼又は眼瞼)の運動、体肢(例えば腕)の運動、体肢の一部(例えば手首)の運動、運動の方向、運動の速度、運動の力、運動の加速度、運動の質、運動の照準精度、又は運動の目的若しくは目的欠如の、少なくとも1つを含むことができる。
【0141】
てんかん事象に苦しむ患者の尤度は、異なる時間及び/又は異なる条件で変わり得る。一実施形態において、記録の時刻、記録の週、記録の月、記録の年、活動のタイプ、患者の体重若しくは肥満度指数の変化、患者の薬物の変化、患者の身体の健康若しくは五体満足であることの変化、身体及び精神的健康状態、情緒レベル、又は患者の可動性の変化の、1つ以上に基づき互いに異なる、複数の発作間事象基準特性が、定義される。あるいは、又は加えて、女性患者における複数の発作間事象基準特性は、月経周期、及び/又は妊娠に関連して定義できる。あるいは、又は加えて患者の環境の変化が、てんかん事象に苦しむ患者の尤度を変えることがある。
【0142】
更なる実施形態において、却下は、複数の発作間事象基準特性の1つ以上に少なくとも部分的に基づく。
【0143】
1つ以上の発作間事象のいかなる特性も、考慮され得る。一実施形態において、1つ以上の特性は、パターン又はテンプレートである。
【0144】
ある実施形態において、過去の検出の特異性が特異性測定を上回った又は下回った、過去の検出の感度が感度測定を上回った又は下回った、発作発現を示す第一身体信号変化の発生と検出発行との間の経過時間として定義される検出速度、治療費用が費用測定を下回った又は上回った、患者の治療耐性が許容可能な耐性を下回った、副作用が許容可能なレベルを上回った、或は患者の病状が第一病状閾値を下回った又は上回った、という1つ以上の判定に基づき、身体運動、心臓活動、応答性レベル、認識レベル、第二心臓活動、第二身体運動、及び心臓活動又は身体運動のスペクトル解析の1つ以上に対する基準値の少なくとも1つを適応させることが望ましい場合がある。陽性適中率又は陰性適中率が、特異性又は感度に加えて、又はその代わりに使用できる。
【0145】
明白にすべきように、特定のパラメータの特定の値を上回るか、又は下回っても良い、単一の「閾値」は、多数の方法で数学的に定義できる。例えば、心拍数上昇は、拍動/単位時間の単位における閾値を上回る心拍数、又は時間単位における閾値を下回る拍動間間隔として等しい有効性によって定義できる。1つを超える「閾値」が、検出の特異性、感度又は速度を最適化するために使用できる。
【0146】
例えば、方法は、過去の検出の特異性、過去の検出の感度、過去の検出の速度、てんかん事象に関する治療費用、てんかん事象に関する患者の治療耐性、及び患者の病状の、1つ以上を判定すること、及び過去の検出の特異性が第一特異性閾値を上回った、過去の検出の感度が第一感度閾値を下回った、検出速度が第一検出速度閾値を下回った、治療費用が第一費用閾値を下回った、患者の治療耐性が第一耐性閾値を下回った(すなわち、患者は検出に応じて実行される更なる検出又は行動に耐えられる)、かつ患者の病状が第一病状閾値を下回った、という1つ以上の判定に基づき、身体運動、心臓活動、応答性検査、認識検査、第二心臓活動検査、第二身体運動検査、及び第二心臓活動又は第二身体運動のスペクトル解析の、1つ以上に対する少なくとも1つの制約を緩めること、又は過去の検出の特異性が第二特異性閾値を下回った、過去の検出の感度が第二感度閾値を上回った、検出速度が治療の有効性及び患者の安全性のために許容可能な閾値を上回った、治療費用が第二費用閾値を上回った、患者の治療耐性が第二耐性閾値を上回った(すなわち、患者は検出に応じて実行される更なる検出又は行動に耐えられない)、及び患者の病状が第二病状閾値を上回った、という1つ以上の判定に基づき、少なくとも1つの制約を厳格にすることを更に含むことができる。
【0147】
もう1つの実施形態において、本開示は全身性強直間代性発作の検出のために使用できる。「全身性強直間代性発作」は、本明細書において少なくとも1つの強直、間代、又は強直間代期の両方を特徴付ける一次性又は二次性全身性発作を指すために使用される。ミオクローヌス発作は、この定義に含まれる。発現時、又は全身性強直間代性発作中のある点において、体筋又は関節の少なくとも大部分が関与する。「体筋」は、本明細書において関節、並びに眼、顔、耳鼻咽喉(orolaryngeal)、咽頭、腹部、及び呼吸器系の筋を動かすことが可能なものを指すために使用される。
【0148】
一実施形態において、本開示は、
第一身体運動に関係する信号、第一心臓活動に関係する信号、応答性信号、認識信号、第二心臓活動に関係する信号、第二身体運動に関係する信号、第二心臓活動に関係するスペクトル解析信号、及び第二身体運動に関係するスペクトル解析信号からなる群から選択される少なくとも2つの身体信号を受信すること、
全身性強直間代性てんかん発作の発生を判定することであって、判定は少なくとも2つの特徴の相関に基づいており、少なくとも1つの特徴は少なくとも2つの身体信号の各々であり、
第一心臓活動信号の特徴が、発作間基準値を上回る患者の心拍数の増加であり、
第一身体運動信号の特徴が、(i)患者の発作間又は体操値(exercisevalue)を実質的に上回る体軸筋又は肢筋緊張の増加、(ii)第一の非横臥位に関連した値を下回る非横臥患者における体軸筋緊張の減少、(iii)転倒及びそれに続く体筋緊張の増加、又は(iv)転倒及びそれに続く全身性身体運動の少なくとも1つであり、
応答性信号の特徴が、発作間基準値を下回る患者の応答性の減少であり、
認識信号の特徴が、発作間基準値を下回る患者の認識の減少であり、
第二心臓活動信号の特徴が、発作心臓活動基準信号との相関であり、
第二身体運動信号の特徴が、発作身体運動基準信号との相関であり、
第二心臓活動のスペクトル解析信号の特徴が、発作心臓活動スペクトル解析基準信号との相関であり、又は、
第二身体運動のスペクトル解析信号の特徴が、発作身体運動スペクトル解析基準信号との相関であること、及び
てんかん事象の発生の判定に応じて更なる行動を行うこと
を含む方法に関係する。
【0149】
図8は、この方法の一実施形態を描く。
図8は、受信ステップ1110、判定ステップ1120及び実行ステップ1130を描く。
【0150】
一実施形態において、相関は高い絶対値を有し、かつ正又は負である。例えば、相関は、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、又は0.95よりも大きな値を有するように正であるか、又は−0.7、−0.75、−0.8、−0.85、−0.9、又は−0.95よりも小さい値を有するように負である。
【0151】
更なる行動は、発作の発生及び/又は発生の時間をロギングすること、患者、介護士、又は医療介護提供者に警告、アラーム又はアラートを提供すること、発作を防止、中断、及び/又は重症度を低下させるために治療を提供すること、発作中の認識又は応答性のような1つ以上の患者パラメータを評価すること、発作の重症度を評価すること、発作の終了を特定すること、及び患者の発作後障害又は発作からの回復を評価することの、1つ以上を含むことができる。
【0152】
種々の信号が、いずれかの適切な技術によって提供でき、かつ上述で参照されたその特徴が、同様に測定できる。例えば、一実施形態において、第二心臓活動信号の、発作心臓活動基準信号との相関は、発作心臓活動テンプレートに対する一致を含み、
第二身体運動信号の、発作身体運動基準信号との相関は、発作身体運動テンプレートに対する一致を含み、
第二心臓活動のスペクトル解析信号の、発作心臓活動スペクトル解析基準信号との相関は、発作心臓活動スペクトル解析パターン又はテンプレートに対する一致を含み、又は
第二身体運動のスペクトル解析信号の、発作身体運動スペクトル解析基準信号との相関は、発作身体運動スペクトル解析パターン又はテンプレートに対する一致を含む。信号及びその特徴の側面は、とりわけ強直又は間代性活動の指標に先行する転倒の指標を更に含む身体運動信号を含むことができる。
【0153】
一実施形態において、第一身体運動信号が、強直又は間代性活動の指標に先行して、等しい振幅又は速度を有する全ての体筋の同期運動を含まないならば、強直間代性発作は、二次性全身性として更に特徴付けることができる。
【0154】
一実施形態において、全身性強直間代性てんかん発作の終了は、身体信号の少なくとも1つが身体信号の発作間基準値、範囲又はパターンに傾く時に示され得る。
【0155】
一実施形態において、方法は、少なくとも1つの身体信号の少なくとも1つの発作後特徴の出現に基づき、発作後期間の開始を示すことを更に含み、
第一心臓信号又は第二心臓信号の発作後特徴は、発作基準値を下回る患者の心拍数の減少であり、
第一身体運動信号又は第二身体運動信号の発作後特徴は、発作基準値を下回る患者の筋緊張又は運動の減少であり、
応答性信号の発作後特徴は、発作値を上回り、かつ発作間基準値を下回る患者の応答性の増加であり、又は、
認識信号の発作後特徴は、発作値を上回り、かつ発作間基準値を下回る患者の認識の増加である。
【0156】
用語「発作後」は、一次性又は二次性全身性強直間代性てんかん発作の終了直後の期間に必ずしも限定されず、かつこのタイプの発作に限定されないが、部分発作も包含する(例えば全ての複雑及びある単純部分及び欠神発作)。むしろ、少なくとも1つの信号は、1つ以上の患者の身体システムが、正常に機能していない(例えば発作又は発作中に苦しんだ損傷の結果として)が、発作を示す特徴を示さない、ということを示す、発作及び発作間基準値と異なる、1つ以上の特徴を有する期間を指す。
【0157】
一実施形態において、発作後期間の終了は、発作後特徴の各々が、発作及び発作後状態に関連した値の範囲外である時に示されることができる。もう1つの実施形態において、発作後期間の終了は、発作後特徴の少なくとも1つが、発作及び発作後状態に関連した値の範囲外である時に示すことができる。この実施形態において、発作後期間の発現及び終結は、全ての特徴が、発作間基準値に戻らなかった時に部分的であるか、又は全ての特徴が戻った時に完全であり得る。この区別(部分的対完全)は、重要な治療的(患者は、全ての身体信号が完全に発作間値に回復するまで、治療を要求できる)、安全(患者の死亡率及び罹患危険率は、全ての身体信号が完全に発作間値に回復するまで、増加したままであり得る)及び予測的な意味合い(次の発作の発生確率及びそれまでの時間(発作間間隔)は、もう1つの身体信号の発作間値への回復によって決まり得る)を有する。
【0158】
様々な特徴が、異なる時間にその発作間基準値に戻ることが期待されることも念頭に置かねばならない。例えば、動力学的かつ脳の電気的観点から、発作は、異常な運動及び異常なEEGが停止する時に、終了したと定義できる。これらの事象は、概して患者の心拍数が基線に戻る前に起こる。更に、異常な運動及び異常なEEG終了後に、認知及び応答性が基線に戻るために数分かかることがあり、認識が基線に戻るためには、約30分まで、そして血中乳酸濃度が基線に戻るために約30〜45分かかる。
【0159】
更なる実施形態において、この方法は、発作後特徴の少なくとも1つの値が、基準身体信号値、又は発作間期間とのみ関連する挙動の範囲内にあるように変化する時、発作後期間の終了及び発作間期間の開始を示すことを更に含み、
心臓信号が、前記患者に関する発作間状態を示す範囲内の心拍数に戻り、
患者の運動速度、振幅又は単位時間当たりの運動数の加速度計信号が、前記患者に関する発作間状態を示す値に戻り、
加速度計信号が、その患者の発作間期間を示す運動間の間隔又は軌道を含む運動パターンであり、
呼吸信号(例えば速度、1回換気量、分時拍出量及びパターン)が、その患者に関する発作間状態を示す範囲に戻り、応答性信号が、その患者に関する発作間値の範囲に戻り、そして、
患者の認識が、患者に関する発作間範囲に戻る。
【0160】
てんかんサイクルを作り上げる遷移(例えば発作間から発作、発作から発作後及び発作後から発作間)中の信号特徴(例えば、応答性、認識、心臓活動、呼吸活動等)の変化は、同時又は同期で起こっても、起こらなくても良く、幾つかの信号特徴値は、他より先又は後に変化する。従って、これらの信号特徴を使用して、遷移は、定性的に(a)部分的又は完全、(b)観察された信号特徴の総数(分母)に亘って状態に又は状態外に遷移した信号特徴(分子)の分数として定量に分類できる。
【0161】
例えば、発作から発作後、又は発作後から発作間の遷移を示す2/4の信号特徴値のみが、新しい状態の範囲内の値に達した時、部分的と分類され、0.5のスコアが割り当てられ、かつ全て(例えばこの例において4/4)の信号特徴値が新しい状態を示す範囲内にある時にのみ、完全と宣言され、その時点で遷移は完了したとみなされる。
【0162】
遷移は、a)その発作間値と比較した、例えば発作エネルギー増加として測定された特徴信号値の変化の大きさ(Osorioら、Epilepsia 1998、2001を参照)、又は発作間状態における応答と比較した複雑反応時間検査への不正確な応答の割合、又はその患者に関して発作間状態において記録されたものと比較した応答の正確さにかかわらない、応答時間の長期化(例えば参照により本明細書に組み込まれる、2010年4月7日に出願された米国特許出願公開第12/756,065号明細書参照)、b)発作間期間において得られるものと比較した、例えば遷移の発現時間から測定されたピーク値変化までの時間、又は複雑反応時間における最初の間違いまでの時間として測定される、信号特徴の変化速度、c)状態間の遷移の発現から、現状(例えば発作)から別の状態(例えば発作後)への遷移の開始までの状態変化の持続時間(例えば秒)を使用して、同様に定量化できる。これらの数的指標は、例えば病状(例えば発作状態の持続時間及び大きさが経時的に増加する)及び同様に治療的介入の有効性を評価するために使用できる。発作間範囲から発作値への信号特徴値の変化の大きさ(例えば不応答性の程度)、又は発作後及び発作間期間の間の遷移時間を短縮することは、発作間範囲から発作値の特徴信号の変化の規模又は持続時間を増加しながら、治療が有益であるという証拠を提供し、又は発作後から発作間状態への遷移の長期化は、有害な治療効果の証拠である。種々の状態及びその遷移の定性的かつ定量的カテゴリー化は、全ての発作及びてんかんタイプに適用でき、かつ他の状態及び状態間遷移にも適用できる。もう1つの実施形態において、本開示は、部分発作の検出に関する。一実施形態において、本開示は、
第一身体運動に関係する信号、第一心臓活動に関係する信号、応答性信号、認識信号、第二心臓活動に関係する信号、第二身体運動に関係する信号、第二心臓活動に関係するスペクトル解析信号、及び第二身体運動に関係するスペクトル解析信号からなる群から選択される少なくとも2つの身体信号を受信すること、及び、
2つの特徴の相関に基づき部分てんかん発作の発生を判定することであって、少なくとも1つの特徴が、少なくとも2つの身体信号の各々であり、
第一心臓信号の特徴が、発作間基準値範囲外の値であり、
第一身体運動信号の特徴が、部分発作と関連した身体運動であり、
第二心臓活動信号の特徴が、発作心臓活動基準信号との相関であり、
第二身体運動信号の特徴が、発作身体運動基準信号との相関であり、
第二心臓活動のスペクトル解析信号の特徴が、発作心臓活動スペクトル解析基準信号との相関であり、又は、
第二身体運動のスペクトル解析信号の特徴が、発作身体運動スペクトル解析基準信号との相関であること、及び、
てんかん事象の発生の判定に応じて更なる行動を行うこと
を含む方法に関係する。
【0163】
図9は、この方法の一実施形態を描く。
図9は、受信ステップ1210、判定ステップ1220、及び実行ステップ1230を描く。
【0164】
種々の信号が、いずれかの適切な技術によって提供でき、かつ上述のその特徴は、同様に測定できる。例えば、一実施形態において、第二心臓活動信号の、発作心臓活動基準信号との相関は、発作心臓活動テンプレートに対する一致を含み、
第二身体運動信号の、発作身体運動基準信号との相関は、発作身体運動テンプレートに対する一致を含み、
第二心臓活動のスペクトル解析信号の、発作心臓活動スペクトル解析基準信号との相関は、発作心臓活動スペクトル解析パターン又はテンプレートに対する一致を含み、又は、
第二身体運動のスペクトル解析信号の、発作身体運動スペクトル解析基準信号との相関は、発作身体運動スペクトル解析パターン又はテンプレートに対する一致を含む。
【0165】
パターン及びテンプレートに対する一致は、2010年9月16日に出願された米国特許出願第12/884,051号明細書に記載されている。「一致」は、パターン又はテンプレートに対する完全又は完璧な適合を要求すると解釈されるべきでない。
【0166】
一実施形態において、更なる行動には、発作の発生及び/又は発生の時間をロギングすること、患者、介護士、又は医療介護提供者に警告、アラーム又はアラートを提供すること、発作を防止、中断、及び/又は重症度を低下させるために治療を提供すること、発作中の認識又は応答性のような1つ以上の患者パラメータを評価すること、発作の重症度を評価すること、発作の終了を特定すること、及び患者の発作後障害又は発作からの回復を評価することの、1つ以上を含む。
【0167】
部分発作は、一般的に転倒を含まない身体運動をもたらす。
【0168】
部分発作は、次のように分類される。
(i)認識信号の特徴の少なくとも1つが、基準値を下回る患者の認識減少であるならば、複雑、又は、
(ii)基準値を下回る患者の認識減少がなければ、又は患者の応答性減少があるが、認識が発作間値に留まっているならば、単純。
【0169】
一実施形態において、部分てんかん発作の終了は、それぞれの身体信号の特徴の少なくとも1つが、その身体信号の発作状態に関連する値の範囲外にある時に示すことができる。もう1つの実施形態において、部分てんかん発作の終了は、それぞれの身体信号の特徴の各々が、身体信号の発作間基準値、範囲又はパターンに傾く時に示すことができる。
【0170】
一実施形態において、方法は、身体信号の少なくとも1つがその身体信号の発作及び発作間状態に関連する値の範囲外である時、発作後期間の開始を示すことを更に含み、
心臓信号の発作後特徴は、発作状態に関連した値の範囲外の心拍数であり、
身体運動信号の発作後特徴は、発作値範囲外の患者の運動の変化であり、
応答性信号の発作後特徴は、発作基準値を上回る患者の応答性の増加であるが、発作間基準値を下回るままであり、かつ、
認識信号の発作後特徴は、発作基準値を上回る患者の認識の増加であるが、発作間基準値を下回るままである。
【0171】
部分発作は、全身性発作から区別できる。二次性全身性発作に発展する部分発作は、同様に一次性全身性発作から区別できる。同様に部分発作の分類内で、単純部分発作は、複雑部分発作から区別できる。
【0172】
更なる実施形態において、方法は、少なくとも1つの身体信号と時間的に相関した認識信号の特徴が、発作間基準値を下回る患者の認識又は他の認知機能の減少であるならば、部分てんかん発作を複雑部分発作として分類し、かつ患者の認識又は他の認知機能が、少なくとも2つの身体信号と時間的に相関する認識信号の発作間基準特徴に、又はそれを上回って留まるならば、単純部分発作として分類することを更に含む。
【0173】
あるいは、又は加えて、一実施形態において、方法は、それぞれの身体信号の信号特徴の少なくとも1つがその患者に関する発作及び発作間期間の値の範囲外であり、かつ発作後値の範囲内である時、部分てんかん発作の終了を示すことを更に含む。
【0174】
あるいは、又は加えて、一実施形態において、方法は、少なくとも1つの前記身体信号の少なくとも1つの発作後特徴の出現に基づき、発作後期間の開始を示すことを更に含み、
心臓信号は、前記患者に関する発作基準値範囲外、かつ発作後状態を示す範囲内の心拍数であり、
加速度計信号は、前記患者に関する発作基準値範囲外、かつ発作後状態を示す範囲内の運動速度、振幅又は単位時間当たりの運動数であり、
加速度計信号は、前記患者に関する発作基準値範囲外、かつ発作後状態を示す範囲内の運動パターン、軌道、又は運動間の間隔であり、
呼吸信号は、その患者に関する発作値範囲外、かつ前記患者に関する発作後範囲内の呼吸速度であり、
応答性信号は、発作範囲及び発作間範囲の両方の外の値への患者の無認識又は認知機能障害の変化であり、そして、
認識信号は、発作範囲及び発作間範囲の両方の外の値への、患者の認識の変化である。
【0175】
更なる実施形態において、方法は、それぞれの身体信号からの特徴の各々が、発作間期間に関連した値の範囲に戻る時に、発作後期間の終了を示すことを更に含む。
【0176】
あるいは、又は加えて、一実施形態において、方法は、少なくとも2つの前記身体信号の少なくとも1つの発作間特徴の出現に基づき、発作間期間の開始を示すことを更に含み、
心臓信号の発作間特徴は、患者に関する発作間基準値への、かつ発作後及び発作状態を示す範囲外への、前記患者の心拍数値の戻りであり、
加速度計信号の発作間特徴は、患者に関する発作間基準値への、かつ発作後及び発作状態を示す値又はパターン外への、患者の運動速度、振幅又は単位時間当たりの運動数の戻りであり、
加速度計信号の発作間特徴は、その患者に関して発作間期間に存在し、かつ発作後及び発作状態中に存在するものとは異なるものへの、運動パターン又は軌道の戻りであり;
呼吸信号の発作間特徴は、その患者に関する発作間値への、かつ発作後及び発作状態を示す値外への、呼吸頻度の戻りであり、
応答性信号の発作間特徴は、その患者に関して発作間状態において見られる値範囲への、かつ発作後及び/又は発作状態を示す値範囲外への患者の応答性の戻りであり、
認識信号の発作間特徴は、その患者に関して発作間状態において見られる値範囲への、かつ発作後及び/又は発作状態を示す値範囲外への患者の認識の戻りである。
【0177】
てんかん事象がいかにして検出されるかに関わらず、幾つかの実施形態において、警告、てんかん事象の時間のロギング、1つ以上の発作重症度指数の計算及び保存、又は発作若しくは発作後状態を防止、中断、又は重症度を低下させるための治療送達から選択される、応答性行動が行われ得る。発作又は発作後状態の重症度が、例えば患者に関して第90百分位数の値を超えるならば、警告、ロギング及び治療のような更なる応答性行動が行われ得る。
【0178】
警告は、例えば医療装置又は装置によって実装される、警告トーン又は光として与えられ、この装置は、医療装置と通信する医療装置又はユニットから、患者の携帯電話、PDA、コンピュータ、テレビ、911、又は救急医療/EMTサービスのための他の緊急連絡先等に送信される、自動電子メール、テキストメッセージ、電話の呼び出し又はビデオメッセージのような、発作の指標を受信するためのものである。このような警告は、患者又はその介護士が、患者の幸福及びその他の人の幸福を保護する措置を行うこと、例えば患者が運転中である時、交通から抜け出し、かつ車を止めること、機械の使用を停止すること、患者が児童保育を提供する場合、他の大人に連絡すること、患者を水泳プール又はバスタブから移動させること、患者が立っている場合、横たわる又は座ること等を可能にし得る。
【0179】
時間は、現在時間の指標を受信すること、及び現在時間の指標を、てんかん事象の指標と関連付けることによってロギングできる。
【0180】
とりわけ警告、ロギング及び治療のような種々の応答性行動は、2010年10月1日に出願された米国特許出願第12/896,525号明細書に一般的に記載される。警告は等級付けができ、例えば黄色い光が軽度の発作、赤い光が重度の発作とする。治療は、支援治療(例えば流体、酸素)を提供することを含み得る。発作重症度指数は、適切な技術及び装置によって計算及び保存できる。発作重症度指数に関する更なる情報は、2011年3月4日に出願された米国特許出願第13/040,996号明細書で入手できる。
【0181】
発作は、後述ような適切な技術によって治療できる。治療は、当該技術分野で既知の1つ以上の治療であり得る。一実施形態において、治療は、電気信号を患者の神経構造に適用すること、患者に薬物を送達すること、又は患者の神経構造を冷却することの、少なくとも1つを含む。治療が、電気信号を患者の神経構造の一部に適用することを含む時、神経構造は、患者の脳構造の一部、患者の脳神経の一部、患者の脊髄の一部、患者の交感神経構造の一部、患者の副交感神経構造の一部、及び/又は患者の末梢神経の一部の少なくとも1つの場合がある。
【0182】
理論によって拘束されることが意図されないが、ある状況において、てんかん事象は、事象発現が、脳波検査、医師又は精通した非専門家による観察、又は両方によって判定される前の時点で特定できる。発現前の時点は、数秒から数分に及び得る。このようにして、方法のある実施形態は、てんかん事象の予測をもたらすと考えられ得る。予測は、時折偽陽性であり得ることに注目すべきである。しかしながら、医師の判断、使用中の装置の理解、及び患者の状態に応じて、一定量の偽陽性は、耐えられる。
【0183】
予測が行われないとしても、すなわち本開示の種々の実施形態の方法は、電気写真での発現時点で、又は発現時点後にてんかん事象を特定することが可能であり、このような情報は、EEGモニタリング、埋め込みセンサ、又は臨床的観察を必要とせずに、かつ頭皮電極を使用するEEGモニタリングよりも高い信号対雑音比により、てんかん事象を特定するために有用であり得る。頭皮記録は、発作検出のために最も一般的な様式であっても、この様式は、低い感度(例えば多数のてんかん発作は、頭皮での電気的変化を伴わない)、低い特異性(例えば筋肉及び運動アーチファクトは、頭皮での電気的発作活動に類似することがある)を有し、ある脳領域におけるてんかん活動の発生と、あるならば、頭皮での電気的活動の出現との間に長い待ち時間を有することもある。
【0184】
一実施形態において、本開示は、
患者からの第一心臓活動に関係する信号、患者からの第一身体運動に関係する信号、患者からの応答性信号、患者からの認識信号、患者の第二心臓活動に関係する信号、及び患者の第二身体運動に関係する信号の少なくとも1つを受信するように設定された、少なくとも1つのセンサと、
少なくとも1つのセンサからの少なくとも1つの信号を受信し、てんかん事象の発生を判定するように設定された検出ユニットと、
検出ユニットからてんかん事象の発生の指標を受信し、てんかん事象の発生及び/又は発生の時間をロギングすること、患者、介護士、又は医療介護提供者に警告、アラーム又はアラートを提供すること、てんかん事象を防止、中断、及び/又は重症度を低下させるために治療を提供すること、てんかん事象中の認識又は応答性のような1つ以上の患者パラメータを評価すること、てんかん事象の重症度を評価すること、てんかん事象の終了を特定すること、及び患者の発作後障害又はてんかん事象からの回復を評価することの、少なくとも1つを実行するように設定された行動ユニットと
を含むシステムに関係する。
【0185】
システムは、他のユニットを更に含んでも良い。例えば、システムは、第二心臓活動に関係する信号、及び/又は第二身体運動に関係する信号からの少なくとも1つのスペクトル解析信号を発生させるように設定されたスペクトル解析ユニットを含むことができる。この実施形態において、検出ユニットが、スペクトル解析ユニットから少なくとも1つのスペクトル解析信号を受信するように更に設定されることが望ましい場合がある。
【0186】
以下のことに限定されないが、本開示の実施形態を実装することが可能な典型的なシステムは、概して以下で論じられる。
【0187】
図10Aは、患者のてんかん事象に関係する情報を受信、保存、通信及び/又は計算することが可能な外部ユニット145aを含む定型化したシステムを描く。
図10Aに示すシステムは、少なくとも1つのセンサ212も含む。センサ212は、患者の身体から、心臓活動データ、身体運動データ、応答性データ、認識データ又は他のデータを受信するように設定されても良い。センサ212及び外部ユニット145aの間の通信を可能にするリード線211が、示される。
【0188】
図10Bは、本開示の1つ以上の実施形態を実装するための定型化した埋め込み型医療システム(IMD)100を描く。絶縁した導電性リードアセンブリ122に接続するためのヘッダ116を有するケース又はシェルを含む、本体112を有する電気信号発生器110が提供される。発生器110は、ペースメーカパルス発生器に関する埋め込み手順のように、患者の胸部に、(点線145によって示される)皮膚のすぐ下に移植医によって形成されるポケット又はキャビティ内に埋め込まれる。
【0189】
好ましくは少なくとも1つの電極対を有する、複数の電極を含む神経電極アセンブリ125は、好ましくは複数のリードワイヤ(例えば各電極に1本のワイヤ)を含むリードアセンブリ122の遠位端に伝導的に接続される。電極アセンブリ125内の各電極は、独立して、又は二者択一的に動作でき、他の電極と併せて動作できる。一実施形態において、電極アセンブリ125は、少なくとも陰極と、陽極とを含む。もう1つの実施形態において、電極アセンブリは、1つ以上の単極電極を含む。
【0190】
リードアセンブリ122は、近位端で、発生器110のヘッダ116上のコネクタに取り付けられる。電極アセンブリ125は、患者の頚部内、又は他の部位、例えば患者の横隔膜付近又は食道/胃の接合部で、迷走神経127に手術で結合できる。三叉神経及び/又は舌咽神経のような他の(又は追加の)脳神経も、特定の代替的な実施形態において電気信号を送達するために使用できる。一実施形態において、電極アセンブリ125は、双極刺激電極対126、128(すなわち、陰極及び陽極)を含む。米国テキサス州ヒューストンのサイバロニクス社(Cyberonics,Inc.)から、Model 302電極アセンブリとして適切な電極アセンブリが入手可能である。しかしながら、当業者は、多くの電極設計が本開示において使用できることを認識するであろう。一実施形態において、2つの電極が、迷走神経の周りに巻き付けられ、かつ電極アセンブリ125は、に開示されたような、らせん形固定化綱130によって迷走神経127に固定できる。
【0191】
ここで
図11を参照すると、本開示の1つの実例となる実施形態による医療装置200のブロック図の描写が、提供される。いくつかの実施形態においては、医療装置200は、(
図10の埋め込み型電気信号発生器110のような)埋め込み型であり、他方で他の実施形態において、医療装置200は、患者の身体の完全に外部にある。
【0192】
医療装置200は、医療装置200の動作の種々の側面を制御することが可能なコントローラ210を含む場合がある。コントローラ210は、内部データ又は外部データを受信することが可能であり、一実施形態において、刺激ユニット(図示せず)に、病状を治療するために患者の身体の1つ以上の標的組織に、電気信号、薬物、冷却又はそれらの2つ以上を発生及び送達させることが可能である。例えば、コントローラ210は、操作者からの手動の命令を外部から受信場合があり、又は電気信号を、内部計算及びプログラミングに基づき発生及び送達させる場合がある。他の実施形態において、医療装置200は、刺激ユニットを含まない。いずれの実施形態においても、コントローラ210は、医療装置200の実質的に全ての機能に影響を及ぼすことが可能である。
【0193】
コントローラ210は、プロセッサ215、メモリ217等のような種々の構成部品を含むことができる。プロセッサ215は、ソフトウェア構成部品の種々の実行を行うことが可能な1つ以上のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ等を含んでも良い。メモリ217は、多数のタイプのデータ(例えば内部データ、外部データ命令、ソフトウェアコード、状態データ、診断データ等)が保存され得る、種々のメモリ部分を含むことができる。メモリ217は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、電気的に消去可能なプログラマブルROM(EEPROM)、フラッシュメモリ等の1つ以上を含んでも良い。
【0194】
医療装置200は、電力供給装置230も含んでも良い。電力供給装置230は、治療的電気信号を送達することを含む、医療装置200の動作用の電力を提供するためにバッテリ、電圧調整器、コンデンサ等を含んでも良い。電力供給装置230は、いくつかの実施形態において、再充電可能な電源を含む。他の実施形態において、再充電不可能な電源が、使用できる。電力供給装置230は、電子動作及び電気信号発生及び送達機能を含む医療装置200の動作用の電力を提供する。電力供給装置230は、医療装置200が埋め込み型であるならば、リチウム/塩化チオニル電池又はリチウム/モノフッ化炭素(LiCFx)電池を含むか、又は外部(すなわち非埋め込み型)実施形態に関して従来の腕時計又は9Vバッテリを含んでも良い。医療装置の分野で知られている他のバッテリタイプも使用できる。
【0195】
医療装置200は、医療装置200及び種々の装置の間の通信を容易にできる通信ユニット260も含むことができる。特に、通信ユニット260は、医療装置200と無線で、又はケーブルによって通信できる手持ち式コンピュータ又はPDAのようなモニタリングユニット270へ、又はモニタリングユニット270から、電子信号の伝送及び受信を提供することが可能である。通信ユニット260は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はこれらのいずれかの組み合わせを含んでも良い。
【0196】
医療装置200は、センサリード線211を介して医療装置200に結合された1つ以上のセンサ212も含むことができる。センサ212は、患者の心拍数、血圧及び/又は体温のような生理学的パラメータに関係する信号を受信すること、及び信号を医療装置200に送達することが可能である。センサ212はまた、患者の運動に関連した動力学的信号を検出することも可能である。センサ212は、一実施形態において、加速度計であっても良い。センサ212は、もう1つの実施形態において、傾斜計であっても良い。もう1つの実施形態において、センサ212は、アクティグラフであっても良い。一実施形態において、センサ212は、埋め込み電極126、128(
図10)と同じであっても良い。別の実施形態において、センサ212は、患者の心臓の上、又は患者の胴体の別の場所のような患者の皮膚上に設置できる外部構造である。センサ212は、一実施形態において、患者の運動と関連した動力学的信号を含む、種々の自律神経及び神経学的信号を検出することが可能なマルチモーダル信号センサである。
【0197】
一実施形態において、医療装置200は、自律神経データ、例えば複数の心拍の各々の基準時間マーカを含む心臓データを収集可能な、自律神経信号モジュール265を含んでも良い。自律神経信号モジュール265は、自律神経データを同様に処理又は調整できる。自律神経データは、センサ212によって提供され得る。自律神経信号モジュール265は、下流処理用の信号を調製するために、いかなる必要な、又は適切な増幅、フィルタリングも実行し、かつアナログ・デジタル(A/D)変換も実行することが可能であり得る。自律神経データモジュール265は、一実施形態において、種々のインタフェース機能、フィルタリング機能等を実行可能であるソフトウェアモジュールを含んでも良い。もう1つの実施形態において、自律神経信号モジュール265は、これらの機能を実行可能であるハードウェア回路を含んでも良い。さらにもう1つの実施形態において、自律神経信号モジュール265は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア及び/又はこれらのいずれかの組み合わせを含んでも良い。自律神経信号モジュール265の更に詳細な例証は、
図12A及び以下の添付の記載において提供される。
【0198】
自律神経信号モジュール265は、自律神経データを収集すること、及び収集された自律神経データを検出モジュール285に提供することが可能である。
【0199】
一実施形態において、医療装置200は、神経学的データ、例えば患者の運動を示す動力学的信号を収集可能である神経学的信号モジュール275を含んでも良い。神経学的信号モジュール275はまた、神経学的データを処理又は調整できる。神経学的データは、センサ212によって提供され得る。神経学的信号モジュール275は、下流処理用の信号を調製するために、いかなる必要な、又は適切な増幅、フィルタリングも実行し、かつアナログ・デジタル(A/D)変換も実行することが可能であり得る。神経学的信号モジュール275は、一実施形態において、種々のインタフェース機能、フィルタリング機能等を実行可能であるソフトウェアモジュールを含んでも良い。もう1つの実施形態において、神経学的信号モジュール275は、これらの機能を実行可能であるハードウェア回路を含んでも良い。さらにもう1つの実施形態において、神経学的信号モジュール275は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア及び/又はこれらのいずれかの組み合わせを含んでも良い。神経学的信号モジュール275の更なる記載は、
図12B及び以下の添付の記載において提供される。
【0200】
神経学的信号モジュール275は、自律神経データを収集すること、及び収集された自律神経データを検出モジュール285に提供することが可能である。
【0201】
検出モジュール285は、自律神経信号モジュール265及び神経学的信号モジュール275によって提供される自律神経信号に基づき、てんかん事象を検出可能である。検出モジュール285は、自律神経データ及び神経学的データをいかなる特定順序、重み付け等で使用する1つ以上のアルゴリズムを実装できる。検出モジュール285は、種々のインタフェース機能、フィルタリング機能等を実行可能であるソフトウェアモジュールを含んでも良い。もう1つの実施形態において、検出モジュール285は、これらの機能を実行可能であるハードウェア回路を含んでも良い。さらにもう1つの実施形態において、検出モジュール285は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア及び/又はこれらのいずれかの組み合わせを含んでも良い。検出モジュール285の更なる記載は、
図12C及び以下の添付の記載において提供される。
【0202】
上記医療装置200の構成部品に加えて、医療装置システムは、発作又は発作の危険性増加の少なくとも1つの指標を記憶するために記憶ユニットを含んでも良い。記憶ユニットは、医療装置200のメモリ217、医療装置200のもう1つの記憶ユニット、又はローカルデータベースユニット255若しくは遠隔データベースユニット250のような外部データベースであっても良い。医療装置200は、通信ユニット260を介して指標を通信できる。あるいは、又は外部データベースに加えて、医療装置200は、患者、介護士、又は医療介護提供者の少なくとも1人に指標を通信するように構成され得る。
【0203】
種々の実施形態において、上述のユニット又はモジュールの1つ以上は、モニタリングユニット270又は遠隔装置292内に位置しても良く、そのユニット又はモジュール、及び医療装置200内に位置するユニット又はモジュールの間の通信は、通信ユニット260を介して行われる。例えば、一実施形態において、自律神経信号モジュール265、神経学的信号モジュール275又は検出モジュール285の1つ以上は、医療装置200の外部、例えばモニタリングユニット270内にあっても良い。自律神経信号モジュール265、神経学的信号モジュール275又は検出モジュール285の1つ以上を医療装置200外部に置くことは、医療装置200内のエネルギー消費及び発熱を低下させるか、又は計算を迅速に処理するために、計算が、コンピュータ計算上集約的である場合に好適なことがある。
【0204】
モニタリングユニット270は、データを医療装置200へ、かつ医療装置200から伝送及び受信可能な装置であっても良い。一実施形態において、モニタリングユニット270は、データ獲得プログラムを実行可能なコンピュータシステムである。モニタリングユニット270は、医師のような医療介護提供者によって、基地局、例えば医院で制御され得る。代替的な実施形態において、モニタリングユニット270は、医療介護提供者によって制御されるもう1つのモニタリングユニット270よりも少ない、医療装置200との双方向通信を提供するシステムにおいて患者によって制御され得る。患者によって制御されるか、医療介護提供者によって制御されるかを問わず、モニタリングユニット270は、コンピュータ、好ましくは手持ち式コンピュータ又はPDAであっても良いが、代替として電子通信及びプログラミングが可能な他のいずれかの装置、例えば手持ち式コンピュータシステム、PCコンピュータシステム、ラップトップコンピュータシステム、サーバ、携帯情報端末(PDA)、Appleに基づくコンピュータシステム、携帯電話等をあるいは含むことができる。モニタリングユニット270は、医療装置の動作をプログラミングするために、種々のパラメータ及びプログラムソフトウェアを医療装置200にダウンロードしても良く、また種々の状態の条件及び他のデータを医療装置200から受信及びアップロードしても良い。医療装置200内のモニタリングユニット270及び通信ユニット260間の通信は、
図11で線277によって一般的に表される無線又は他のタイプの通信を介して起こり得る。RFエネルギーにより埋め込み型信号発生器110と通信するために、このことは、例えばワンド155(
図10)を使用して起こり得る。あるいは、ワンドは、いくつかのシステムにおいて、例えばMD200が非埋め込み型であるシステム、又はモニタリングユニット270及びMD200がMICS帯域幅で動作する埋め込み型システムにおいて省略され得る。
【0205】
一実施形態において、モニタリングユニット270は、ローカルデータベースユニット255を含んでも良い。任意に又は代替的に、モニタリングユニット270はまた、データベースユニット250に結合されても良く、データベースユニット250は、モニタリングユニット270から分離され得る(例えば手持ち式モニタリングユニット270に無線で連結される集中データベース)。データベースユニット250及び/又はローカルデータベースユニット255は、種々の患者データを記憶可能である。これらのデータには、患者の身体から獲得された患者パラメータデータ、治療パラメータデータ、発作重症度データ及び/又は治療有効性データを含んでも良い。データベースユニット250及び/又はローカルデータベースユニット255は、複数の患者のデータを含んでも良く、かつ日付表示書式、疾病重症度表示書式等のような種々の様式において体系化及び記憶できる。データベースユニット250及び/又はローカルデータベースユニット255は、一実施形態において関係データベースであっても良い。医師は、医療装置200からのデータ並びに/又は、データベースユニット250及び/若しくはローカルデータベースユニット255からのデータを得ること及び/又は解析すること含み得る、モニタリングユニット270を使用して、種々の患者管理機能(例えば応答性治療用のパラメータのプログラミング及び/又は1つ以上の検出パラメータ用の基準設定)を実行できる。データベースユニット250及び/又はローカルデータベースユニット255は、種々の患者データを記憶できる。
【0206】
図11における医療装置200のブロック図に示される1つ以上のブロックは、ハードウェアユニット、ソフトウェアユニット、ファームウェアユニット、又はそれらのいずれかの組み合わせを含んでも良い。加えて、
図11に示される1つ以上のブロックは、回路ハードウェアユニット、ソフトウェアアルゴリズム等を表し得る他のブロックと組み合わせられ得る。加えて、
図11に示される種々のブロックに関連した、いかなる数の回路又はソフトウェアユニットも、フィールドプログラマブルゲートアレイ、ASIC装置等のようなプログラム可能な装置に組み合わせられ得る。
【0207】
図12Aを参照すると、自律神経信号モジュール265が、更に詳細に示される。自律神経信号モジュール265は、少なくとも1つの心臓血管信号を提供可能な心臓血管信号ユニット312を含んでも良い。あるいは、又は加えて、自律神経信号モジュール265は、少なくとも1つの呼吸信号を提供可能な呼吸信号ユニット314を含んでも良い。あるいは、又は加えて、自律神経信号モジュール265は、少なくとも1つの血液パラメータ信号(例えば血糖、血液pH、血液ガス等)を提供可能な血液パラメータ信号ユニット323を含んでも良い。あるいは、又は加えて、自律神経信号モジュール265は、少なくとも1つの温度信号を提供可能な温度信号ユニット316を含んでも良い。あるいは、又は加えて、自律神経信号モジュール265は、少なくとも1つの視覚信号を提供可能な視覚信号ユニット318を含んでも良い。あるいは、又は加えて、自律神経信号モジュール265は、少なくとも1つの身体化学信号を提供可能な化学信号ユニット320を含んでも良い。あるいは、又は加えて、自律神経信号モジュール265は、少なくとも1つのホルモン信号を提供可能なホルモン信号ユニット322を含んでも良い。あるいは、又は加えて、自律神経信号モジュール265は、皮膚抵抗信号ユニットのような1つ以上の他の自律神経信号ユニット324を含んでも良い。
【0208】
自律神経信号モジュール265はまた、自律神経信号処理ユニット330も含んでも良い。自律神経信号処理ユニット330は、自律神経信号の計算前に、当業者が望む、信号ユニット312−324によって受信されるデータのいかなるフィルタリング、雑音低減、増幅、又は他の適切な処理も実行できる。
【0209】
自律神経信号モジュール265はまた、自律神経信号計算ユニット340も含んでも良い。自律神経信号計算ユニット340は、自律神経信号処理ユニット330によって送られたデータから自律神経信号を計算できる。計算された自律神経信号とは、本明細書において、自律神経信号処理ユニット330によって処理された、又は処理されない、提供された信号から導かれるいかなる信号も指す。
【0210】
例えば、自律神経信号計算ユニット340は、心拍数、心拍数の変化、心拍数の変化速度、血圧、心音、心律動、心拍形態を種々の尺度で(例えば参照により本明細書に組み込まれる2010年9月16日に出願された米国特許出願第12/884,051号明細書、及び2010年9月20日に出願された米国特許出願第12/886,419号明細書を参照)、又はとりわけ心尖部が胸壁に打ちつける時の胸壁のたわみ形状を心臓血管信号ユニット312によって受信される心臓血管データから計算できる。
【0211】
もう1つの例として、自律神経信号計算ユニット340は、呼吸(呼気)速度、呼吸パターン、気流速度、呼吸振幅(1回換気量、分時拍出量)、とりわけ終末呼気二酸化炭素のような動脈ガス濃度を、呼吸信号ユニット314によって受信される呼吸データから計算できる。
【0212】
さらにもう1つの例として、自律神経信号計算ユニット340は、患者の顔の一部の皮膚温度若しくは皮膚電気抵抗の変化、又は患者の中核体温の変化を温度信号ユニット316によって受信された温度データから計算できる。
【0213】
図12Bを参照すると、神経学的信号モジュール275の典型的な実施形態が、示される。神経学的信号モジュール275は、少なくとも1つの神経電気信号を提供可能な神経電気信号ユニット3012、少なくとも1つの神経化学信号を提供可能な神経化学信号ユニット3014、少なくとも1つの神経電気化学信号を提供可能な神経電気化学信号ユニット3016、少なくとも1つの動力学的信号を提供可能な動力学的信号ユニット3018、又は少なくとも1つの認知信号を提供可能な認知信号ユニット3020の、少なくとも1つを含んでも良い。認知信号ユニット3020は、遠隔装置の構成部品であっても良い。
【0214】
一実施形態において、認知信号ユニットは、少なくとも1つの認知適性指標を処理可能な認知適性判定ユニット3020a、少なくとも1つの注意適性指標を処理可能な注意適性判定ユニット3020b、少なくとも1つの記憶指標を処理可能な記憶適性判定ユニット3020c、少なくとも1つの言語指標を処理可能な言語適性判定ユニット3020d、少なくとも1つの視覚/空間指標を処理可能な視覚/空間適性判定ユニット3020e、1つ以上の他の神経学的因子判定ユニット3020g、応答性判定ユニット3020h、又は認識判定ユニット3020jの少なくとも1つを含む。
【0215】
神経学的信号モジュール275はまた、神経学的信号処理ユニット3030も含んでも良い。神経学的信号処理ユニット3030は、神経学的信号の計算前に、当業者が望む、信号ユニット3012−3020によって受信されるデータのいかなるフィルタリング、雑音低減、増幅、又は他の適切な処理も実行できる。
【0216】
神経学的信号モジュール275はまた、神経学的信号計算ユニット3040も含んでも良い。神経学的信号計算ユニット3040は、神経学的信号処理ユニット3030によって送られたデータから神経学的信号を計算できる。計算された神経学的信号とは、本明細書において、提供された信号から導かれるいかなる信号も指す。
【0217】
例えば、神経学的信号計算ユニット3040は、神経電気信号ユニット3012、神経化学信号ユニット3014、及び/又は神経電気化学信号ユニット3016によって受信され、かつ任意に神経学的データ処理ユニット3030によって更に処理される、EEG、ECoG又は深部電極(すなわち深部脳電極)によってもたらされる信号から判定可能であるような脳活動を計算できる。
【0218】
脳活動に関する計算された信号は、他の神経学的信号を使用しても計算できる。例えば、自律神経制御又は調節能力を有する中心構造及び経路を含む脳及び脊髄、脳神経(例えば迷走神経)、自律神経節又は神経、及び末梢神経内の、ニューロン又は軸索におけるスパイクは検知でき、信号が提供される。例えば、機能的磁気共鳴撮像(fMRI)、脳磁図(MEG)、陽電子放出断層撮像(PET)、事象関連光信号(EROS)及び広範性光学撮像(DOI)を含む、神経撮像又は脳撮像信号が、提供できる。電位感受性色素、超音波、赤外線、近赤外線及び他の形状のサーモグラフィのような他の撮像技術も、脳活動が計算できる信号を提供できる。
【0219】
もう1つの例として、神経学的信号計算ユニット3040は、身体(又は頭、腕若しくは脚のような身体の一部)の加速度、方向、位置、運動の平滑さ、振幅、力及び単位時間当たりの運動数、並びに安静状態又は運動中に外部からの又は異常な身体振動があるか、といった身体動力学的信号を計算できる。信号は、動力学的能力判定ユニット3018によって受信されるような、筋電図検査、運動記録図、加速度計、アクティグラフ、及び/又は傾斜計によって提供でき、かつ任意に神経学的データ処理ユニット3030によって更に処理され得る。
【0220】
動力学的信号は、神経系の機能状態の洞察を提供し、故に神経学的信号として分類される。運動を行う能力であってa)いずれかの方向においても、b)例えば標的(例えば鍵を鍵穴に入れること)が、最初の試みで達成できる、又は筆跡が判読可能であるように、平滑に、かつ正確に行うこと、c)標的への経路の間に置かれた物体との衝突を避けるために方向を変え、かつ当初の標的に達するために、軌道を再調整すること、及びd)1セント銅貨を平坦な表面から拾い上げ、また重い物体を持ち上げられるように適応力及び区別を有すること。加速度及び速度、方向及び平滑さは、とりわけ3D加速度計のような器具を使用して、定量化できる。
【0221】
図12Cを参照すると、検出モジュール285のブロック図が描かれる。検出モジュール285は、自律神経信号モジュール265及び神経学的信号モジュール275又はこのようなモジュールの先行する出力を記憶するメモリ217の1つ以上からの計算信号を示すデータを受信可能な計算信号受信モジュール3110と、受信データからてんかん事象、例えば発作の発生を判定可能なてんかん事象判定モジュール3120とを含む。てんかん事象判定モジュール3120は、自律神経信号及び神経学的信号、例えば上述のもののような心臓データ及び動力学的データからてんかん事象を判定するためのいかなる適切なアルゴリズムも実装できる。
【0222】
図12Cに示した実施形態において、検出モジュール285は、受信データからてんかん事象、例えば発作の1つ以上の定量化可能な特性を定量化できる、てんかん事象定量化モジュール3130を更に含む。典型的な定量化可能な特性には、とりわけ事象持続時間、事象の段階(例えば発作前、発作、及び/又は発作後の段階)の持続時間、1つ以上の身体信号の値及び/又は範囲(例えばピーク心拍数、心拍数の時系列等)を含むが、それらに限定されない。
【0223】
図12Cに示した実施形態において、検出モジュール285は、てんかん事象、例えば発作を、例えば部分発作、全身性発作、又は欠神発作として、単純部分又は複雑部分発作として、一次性全身性発作又は二次性全身性発作等として、分類可能な、てんかん事象分類モジュール3140も含む。このモジュールは、事象をてんかん又は非てんかん(例えば偽発作、心因性発作等)として分類するためにも使用できる。
図12Cは、てんかん事象定量化モジュール3130及びてんかん事象分類モジュール3140の両方を示すが、他の実施形態において、モジュール3130−3140のいずれか又は両方は、省略できる。
【0224】
検出モジュール285は、てんかん事象判定モジュール3120の出力を医療装置200の1つ以上の他のモジュール、及び/又は1つ以上の外部ユニットに送信できる。1つ以上の他のモジュールは、次に出力を記憶し、出力を患者、医師及び/又は介護士に報告し、患者又は介護士にてんかん事象等の警告をし得る。
【0225】
本開示の一実施形態の医療装置システムは、患者データ/パラメータ(例えば生理学的データ、副作用データ、心拍数データ、呼吸速度データ、脳活動パラメータ、疾病進行又は退縮データ、生活の質データ等)及び治療パラメータデータのような種々の形状のデータを獲得、記憶及び処理可能なソフトウェアモジュールを提供する。治療パラメータには、発作の検出に応じて医療装置によって送達される治療的電気信号、薬物タイプ、服用量又は他のパラメータを定義する、電気信号パラメータ(例えば周波数、パルス幅、波形、極性、電場の形状、オンタイム、オフタイム等)、及び/又は他のいずれかの治療的処置パラメータを含むが、それらに限定されない。
【0226】
一実施形態において、医療装置200又は外部ユニット270は、患者からの手動入力を検出することも可能であり得る。手動入力には、医療装置200等への磁気信号入力、タップ入力、ボタン、ダイヤル又はスイッチ入力、タッチスクリーン入力、無線データ入力を含んでも良い。手動入力は、てんかん事象の患者の主観評価の捕捉を可能にするために使用できる。例えば、医療装置200は、患者又は介護士が、てんかん事象を有していること、又はてんかん事象を有していないことを示し得る、患者の指又は介護士の指が届く1つ以上の物理的又は仮想(例えばタッチスクリーンを実装した)ボタンを含んでも良い。あるいは、又は加えて、手動入力は患者の応答性を計測するために使用できる。
【0227】
上記方法は、コンピュータによって実行される時に本明細書に記載された方法を行う命令をコードされたコンピュータ可読プログラム記憶装置によって実行できる。
【0228】
本明細書に記載及び特許請求された全ての方法及び装置は、本開示を踏まえて、必要以上の実験なしになされ、かつ実行できる。本開示の方法及び装置は、特殊な実施形態の観点で記載されたが、応用例が、方法及び装置に、かつ本明細書に記載された方法のステップ、又はステップのシーケンスにおいて、添付の請求項から逸脱せずに適用できることは、当業者にとって明白であろう。本開示の原理が、てんかん、うつ病又は他の病状を有する患者を治療する際に特定の結果を達成するために、迷走神経以外の、又は迷走神経に加えて、選択された脳神経に適用できることは、特に明白なはずである。