(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1は本実施形態におけるタッチセンサを示す斜視図であり、
図2は本実施形態における配線基板を示す斜視図であり、
図3は本実施形態における第1の導体層を示す平面図であり、
図4は本実施形態における第2の導体層を示す平面図である。また、
図5は
図4のV−V線に沿った断面図であり、
図6は
図4のVI−VI線に沿った断面図であり、
図7は
図4のVII−VII線に沿った断面図であり、
図8は
図2のVIII−VIII線に沿った断面図であり、
図9は
図2のIX−IX線に沿った断面図である。
【0024】
本実施形態におけるタッチセンサ10は、例えば、静電容量方式等のタッチパネルやタッチパッドに用いられるタッチ入力装置であり、
図1に示すように、配線構造体11を備えている。配線構造体11は、配線基板1と、当該配線基板1が備える配線体3に電気的に接続された接続配線基板8と、を備えている。
【0025】
本実施形態における配線基板1は、
図2に示すように、基板2と、当該基板2上に配置された配線体3とを備えている。配線体3は、接着層31と、第1の導体層32と、樹脂層33と、第2の導体層34と、を備えている。
【0026】
基板2は、
図2に示すように、矩形状を有しており、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のフィルムから構成されている。なお、基板2を構成する材料は、特にこれに限定されない。例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド樹脂(PI)、ポリエーテルイミド樹脂(PEI)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、シクロオレフィンポリマー(COP)、シリコーン樹脂(SI)、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、グリーンシート、ガラス等の材料を例示できる。これら基材は易接着層や光学調整層が形成されていても良い。また、例えば、ディスプレイを基板2として用いてもよい。なお、基板2の形状は特に限定されない。
【0027】
接着層31は、基板2と第1の導体層32とを相互に接着して固定するための層であり、
図5又は
図6に示すように、基板2における主面21上の全体に設けられている。接着層31を構成する接着材料としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等のUV硬化性樹脂、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂やセラミクス等を例示することができる。この接着層31は、
図5に示すように、第1の導体線322(後述)を支持する支持部311と、当該支持部311と基板2の主面21との間に設けられ、当該主面21を覆う平状部312と、を有しており、それら支持部311及び平状部312は一体的に形成されている。本実施形態における支持部311が本発明の第1の凸部の一例に相当する。
【0028】
本実施形態における支持部311の断面形状(第1の導体線322(後述)の延在方向に対する断面形状)は、
図5に示すように、基板2から離れる方向(
図5中の上方向)に向かって幅狭となる形状となっている。また、支持部311と第1の導体線322との境界は、当該第1の導体線322の下面326の凹凸形状に対応した凹凸形状となっている。平状部312は、略均一な高さ(厚さ)で基板2の主面21全体に設けられている。支持部311が平状部312上に設けられていることにより、支持部311において接着層31は突出しており、当該支持部311において第1の導体線322の剛性が向上している。
【0029】
なお、接着層31から平状部312を省略し、支持部311のみで接着層31を構成してもよい。この場合には、配線基板1全体の光透過性が向上するため、タッチセンサ10の視認性を向上することができる。本実施形態における接着層31が本発明の第1の樹脂層の一例に相当する。
【0030】
第1の導体層32は、例えば、電極や引き出し線として機能する層であり、銀や銅、ニッケル、スズ、ビスマス、亜鉛、インジウム、パラジウム、グラファイト等を含有する導電性材料と、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等を含有するバインダ樹脂から構成されている。なお、第1の導体層32を構成する材料からバインダ樹脂を省略してもよい。本実施形態における第1の導体層32は、
図3に示すように、
図3中のY軸方向に沿って延在する第1の電極パターン320と、当該第1の電極パターン320に接続された引き出し配線324と、を有している。本実施形態では、
図3中のX軸方向に沿って3つの第1の電極パターン320が略等間隔で配置されている。なお、第1の導体層32に含まれる第1の電極パターン320の数及び配置は、特に上記に限定されない。
【0031】
第1の電極パターン320は、複数の第1の導体線321、322を有している。第1の導体線321は、
図3に示すように、直線状に延在していると共に、第1の導体線322も直線状に延在している。また、複数の第1の導体線321はそれぞれ略間隔で平行に並んで配置されていると共に、複数の第1の導体線322もそれぞれ略等間隔で平行に並んで配置されている。本実施形態では、第1の導体線321と第1の導体線322とは互いに直行しており、これにより第1の電極パターン320は、矩形状の格子形状を有するメッシュ状となっている。
【0032】
本実施形態において第1の導体線321、322は、第1の電極パターン320の延在方向(
図3中のY軸方向)に対してそれぞれ45度傾斜して配置されているが、それらが他の角度(例えば30度)でそれぞれ傾斜して配置されていてもよい。また、第1の導体線321、322の一方が第1の電極パターン320の延在方向(
図3中のY軸方向)に対して90度傾斜して配置されていてもよい。
【0033】
なお、第1の導体線321、322が曲線状に延在していてもよく、直線状の部分と曲線状の部分とが混在していてもよい。また、本実施形態において、第1の導体線321、322は互いに略等しい線幅を有しているが、第1の導体線321、322が相互に異なる線幅を有していてもよい。
【0034】
本実施形態では、第1の電極パターン320において引き出し配線324と接続された辺部320aは、第1の導体線321、322よりも幅広となっている。特に図示しないが、第1の導体線321、322により形成されるメッシュ形状の少なくとも一部を囲む枠部を、第1の電極パターン320が有していてもよい。本実施形態における第1の導体線321、322、辺部320a及び引き出し配線324は、一体的に形成されている。
【0035】
図5に示すように、第1の導体線322の側部323と接着層31における支持部311の側部とは、滑らかに連続することにより1つの平面を形成している。第1の導体線322は、第2の導体層34側に向かって幅狭となるテーパー形状を有しており、これにより第1の導体線322の断面形状(第1の導体線322の延在方向に対する断面形状)は略台形形状となっている。なお、第1の導体線322の断面形状は、特にこれに限定されない。例えば、第1の導体線322の断面形状が正方形状、長方形状、三角形状等であってもよい。なお、本実施形態では、第1の導体線321も第1の導体線322と同様の断面形状となっている。
【0036】
本実施形態における第1の導体線322における
図5中の下面326の面粗さは、第1の導体線322と接着層31との接触面積を増加し、第1の導体線322と接着層31とを強固に固定する観点から、当該第1の導体線322における
図5中の上面325の面粗さよりも粗いことが好ましい。具体的には、第1の導体線322の下面326の面粗さがRaが0.1〜3μm程度であるのに対し、上面325の面粗さRaは0.001〜1.0μm程度となっていることが好ましく、上面325の面粗さはRaが0.001〜0.3μmであることがさらにより好ましい。なお、このような面粗さは、JIS法(JIS B0601(2013年3月21日改正))により測定することができる。
【0037】
引き出し配線324、及び、当該引き出し配線324に対応する部分における接着層31の断面形状は、
図7に示すように、第1の導体線322及び当該第1の導体線322に接着する接着層31と同様の断面形状をそれぞれ有している。
【0038】
すなわち、接着層31が、支持部311及び平状部312を有しており、引き出し配線324は当該支持部311上に設けられている。引き出し配線324の側部327と接着層31における支持部311の側部とは、滑らかに連続することにより1つの平面を形成している。引き出し配線324は、第2の導体層34側(
図8における+Z方向側)に向かって幅狭となるテーパー形状を有しており、これにより引き出し配線324の断面形状(引き出し配線324の延在方向に対する断面形状)は略台形形状となっている。なお、引き出し配線324の断面形状は、特にこれに限定されない。例えば、引き出し配線324の断面形状が正方形状、長方形状、三角形状等であってもよい。
【0039】
本実施形態における引き出し配線324は、第1の電極パターン320を構成する材料と実質的に同一の材料から構成されていると共に、第1の電極パターン320及び引き出し配線324は、一体的に形成されている。また、当該引き出し配線324の先端部は、接続配線基板8の第1の接続端子82と接続される第1の端子部324T(
図12参照)となっている。
【0040】
本実施形態における引き出し配線324における
図8中の下面327の面粗さは、引き出し配線324を接着層31に強固に固定する観点から、当該引き出し配線324における
図8中の上面329の面粗さよりも粗いことが好ましい。具体的には、引き出し配線324の下面328の面粗さRaが0.1〜3μm程度であるのに対し、上面329の面粗さRaは0.001〜1.0μm程度となっていることが好ましく、上面329の面粗さはRaが0.001〜0.3μmであることがさらにより好ましい。なお、このような面粗さは、JIS法(JIS B0601(2013年3月21日改正))により測定することができる。
【0041】
本実施形態における樹脂層33は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等のUV硬化性樹脂、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂やセラミクス等から構成されている。本実施形態における樹脂層33が本発明の第2の樹脂層の一例に相当する。
【0042】
樹脂層33は、
図5〜
図7に示すように、略平坦状の上面を有し基板2の主面21に設けられた主部331と、当該主部331上に設けられた凸部332と、を有している。主部331は、
図5又は
図6に示すように、第1の導体層32と、第1の電極パターン320との接着面を除いた接着層31と、を覆っている。また、
図2に示すように、接続配線基板8(
図1参照)を接続するための端子領域333において、第1の端子部324T及び第2の端子部344T(後述)は配線基板1の外部に露出している。凸部332は、第2の導体層34側(+Z方向側)に向かって突出しており、第2の導体層34の第2の電極パターン340に対応して形成されている。本実施形態における樹脂層33の主部331及び凸部332は一体的に構成されている。本実施形態における凸部332が本発明の第2の凸部の一例に相当する。
【0043】
本実施形態における凸部332の断面形状(第2の導体線342(後述)の延在方向に対する断面形状)は、
図7に示すように、基板2から離れる方向(
図7中の上方向)に向かって幅狭となる形状となっている。また、凸部332と第2の導体線342との境界は、当該第2の導体線342の下面346の凹凸形状に対応した凹凸形状となっている。凸部332が主部331上に設けられていることにより、当該凸部332において第2の導体線342の剛性が向上している。
【0044】
また、本実施形態では
図9に示すように、樹脂層33の厚さ(最大厚さ)W
1は、第1の導体層32の厚さ(最大厚さ)W
2よりも大きくなっている。これにより、第1の導体層32と第2の導体層34との間の絶縁を確保することが可能となっている。また、本実施形態では、樹脂層33の厚さ(最大厚さ)W
1は、接着層31の厚さ(最大厚さ)W
3よりも大きくなっている。
【0045】
なお、上記における厚さ(最大厚さ)とは、平均最大厚さである。ここで、平均最大厚さとは、それぞれの導体線の幅方向に沿った断面を、当該導体線の延在方向全体に亘って複数採取し、それぞれの断面ごとに求められる厚さの最大値を平均したものである。なお、上記の導体線には、第1の導体層32を構成する第1の導体線321,322及び引き出し配線324(第1の端子部324T)、並びに、第2の導体層34を構成する第2の導体線341,342及び引き出し配線344(第2の端子部344T)が含まれる。求めるパラメータに応じて、上記導体線は、適宜選択される。
【0046】
樹脂層33の厚さ(最大厚さ)W
1を求める場合において、当該樹脂層33の厚さの最大値とは、第2の端子部344Tに対応する樹脂層33における当該第2の端子部344Tの下面348との接触部分(接着面)と、樹脂層33の下面との間のZ方向に沿った距離である。本実施形態では、樹脂層33の下面は、樹脂層31の上面との接触部分であるが、樹脂層31がない場合は、基材2の主面21との接触面である。
【0047】
また、第1の導体層32の厚さ(最大厚さ)W
2を求める場合において、当該第1の導体層32の厚さの最大値とは、第1の端子部324T(引き出し配線324)における下面328と上面329との間のZ方向に沿った距離である。
【0048】
また、樹脂層31の厚さ(最大厚さ)W
3を求める場合において、当該樹脂層31の厚さの最大値とは、第1の端子部324Tに対応する樹脂層31における当該第1の端子部324Tの下面328との接触部分(接触面)と、樹脂層31の下面(基材2の主面21との接触部分)との間のZ方向に沿った距離である。
【0049】
第2の導体層34は、例えば、電極や引き出し線として機能する層であり、第1の導体層32と同様の材料から構成されている。本実施形態における第2の導体層34は、
図4に示すように、
図4中のX軸方向に沿って延在する第2の電極パターン340と、当該第2の電極パターン340に接続された引き出し配線344と、を有している。本実施形態では、
図4中のY軸方向に沿って4つの第2の電極パターン340が略等間隔で配置されている。本実施形態では、
図4中の+Y方向側に配置された2つの第2の電極パターン340は、
図4中の−X方向側で引き出し配線344と接続されており、
図4中の−Y方向側に配置された2つの第2の電極パターン340は、
図4中の+X方向側で引き出し配線344と接続されている。なお、第2の導体層34に含まれる第2の電極パターンの数及び配置は、特に上記に限定されない。
【0050】
第2の電極パターン340は、複数の第2の導体線341、342を有している。第2の導体線341は、
図4に示すように、直線状に延在していると共に、第2の導体線342も直線状に延在している。また、複数の第2の導体線341はそれぞれ略間隔で平行に並んで配置されていると共に、複数の第2の導体線342もそれぞれ略等間隔で平行に並んで配置されている。本実施形態では、第2の導体線341と第2の導体線342とは互いに直行しており、これにより第2の電極パターン340は、矩形状の格子形状を有するメッシュ状となっている。なお、本実施形態では、第1の電極パターン320のメッシュ形状を構成する単位格子と、第2の電極パターン340のメッシュ形状を構成する単位格子と、は互いに略等しい形状となっているが、特にこれに限定されない。
【0051】
本実施形態において第2の導体線341、342は、第2の電極パターン340の延在方向(
図4中のX軸方向)に対してそれぞれ45度傾斜して配置されているが、それらが他の角度(例えば30度)でそれぞれ傾斜して配置されていてもよい。また、第2の導体線341、342の一方が第2の電極パターン340の延在方向(
図4中のX軸方向)に対して90度傾斜して配置されていてもよい。
【0052】
なお、第2の導体線341、342が曲線状に延在していてもよく、直線状の部分と曲線状の部分とが混在していてもよい。また、第2の導体線341と第2の導体線342とが交わる角度は直角に特に限定されない。本実施形態において、第2の導体線341、342は互いに略等しい線幅を有しているが、第2の導体線341、342が相互に異なる線幅を有していてもよい。
【0053】
本実施形態では、第2の電極パターン340において引き出し配線344と接続された辺部340aは、第2の導体線341、342よりも幅広となっている。特に図示しないが、第2の導体線341、342により形成されるメッシュ形状の少なくとも一部を囲む枠部を、第2の電極パターン340が有していてもよい。本実施形態における第2の導体線341、342、辺部340a及び引き出し配線344は、一体的に形成されている。
【0054】
図7に示すように、第2の導体線342の側部343と樹脂層33における凸部332の側部とは、滑らかに連続することにより1つの平面を形成している。第2の導体線342は、第1の導体層32から離れる側(
図7中の上方向側)に向かって幅狭となるテーパー形状を有しており、これにより第2の導体線342の断面形状(第2の導体線342の延在方向に対する断面形状)は略台形形状となっている。なお、第2の導体線342の断面形状は、特にこれに限定されない。例えば、第2の導体線342の断面形状が正方形状、長方形状、三角形状等であってもよい。なお、本実施形態では、第2の導体線341も第2の導体線342と同様の断面形状となっている。
【0055】
本実施形態における第2の導体線342における
図7中の下面346の面粗さは、第2の導体線342と樹脂層33との接触面積を増加し、第2の導体線342と樹脂層33とを強固に固定する観点から、当該第2の導体線342における
図7中の上面345の面粗さよりも粗いことが好ましい。具体的には、第2の導体線342の下面346の面粗さRaが0.1〜3μm程度であるのに対し、上面345の面粗さRaは0.001〜1.0μm程度となっていることが好ましく、上面345の面粗さRaが0.001〜0.3μmであることがさらにより好ましい。なお、このような面粗さは、JIS法(JIS B0601(2013年3月21日改正))により測定することができる。
【0056】
引き出し配線344、及び、当該引き出し配線344に対応する部分における樹脂層33の断面形状は、
図8に示すように、第2の導体線342及び当該第2の導体線342に接着する樹脂層33と同様の断面形状を有している。
【0057】
すなわち、樹脂層33が、主部331及び凸部332を有しており、引き出し配線344は当該凸部332上に設けられている。引き出し配線344の側部347と樹脂層33における凸部332の側部とは、滑らかに連続することにより1つの平面を形成している。引き出し配線344は、樹脂層33から離れる側(
図8における+Z方向側)に向かって幅狭となるテーパー形状を有しており、これにより引き出し配線344の断面形状(引き出し配線344の延在方向に対する断面形状)は略台形形状となっている。なお、引き出し配線344の断面形状は、特にこれに限定されない。例えば、引き出し配線344の断面形状が正方形状、長方形状、三角形状等であってもよい。
【0058】
本実施形態における引き出し配線344は、第2の電極パターン340を構成する材料と実質的に同一の材料から構成されていると共に、第2の電極パターン340及び引き出し配線344は、一体的に形成されている。
【0059】
本実施形態における引き出し配線344における
図8中の下面(第2の接着面)348の面粗さは、引き出し配線344を樹脂層33に強固に固定する観点から、当該引き出し配線344における
図8中の上面349の面粗さよりも粗いことが好ましい。具体的には、引き出し配線344の下面348の面粗さRaが0.1〜3μm程度であるのに対し、上面349の面粗さRaは0.001〜1.0μm程度となっていることが好ましく、上面349の面粗さRaが0.001〜0.3μmであることがさらにより好ましい。なお、このような面粗さは、JIS法(JIS B0601(2013年3月21日改正))により測定することができる。
【0060】
また、上述したように、端子領域333においては、
図9に示すように、第1の端子部324T及び第2の端子部344Tは配線基板1の外部に露出している。また、端子領域333においては、引き出し配線344に対応した部分のみに樹脂層33が設けられている。このため、第1の端子部324T及び第2の端子部344Tは、接着層31の厚さ方向(
図9中のZ軸方向)に沿って相互に距離Rずれている。すなわち、第1の端子部324Tにおいて接着層31の厚さ方向(
図9中のZ軸方向)に沿った平均位置と、第2の端子部344Tにおいて接着層31の厚さ方向(
図9中のZ軸方向)に沿った平均位置と、の間の距離はRとなっている。なお、なお、本実施形態では、隣り合う第2の端子部344T同士の間は樹脂層33で覆われているが、隣り合う第2の端子部344T同士の間に樹脂層33の非形成部が設けられていてもよい。
【0061】
なお、端子領域333において、引き出し配線344に対応した部分のみに設けられた樹脂層33の第1の端子部324T側の側面は、略垂直面となっているが、特にこれに限定されない。
図10は本発明の実施形態における第2の樹脂層の第1変形例を示す断面図であり、
図11は、本発明の実施形態における第2の導体層の第2変形例を示す断面図(
図4のP−P線に相当する断面図)である。
【0062】
例えば、例えば、
図10に示すように、樹脂層33の第1の端子部324T側の側面が第1の端子部324T側に向かって徐々に肉薄となる肉薄部334が形成されていてもよい。この場合には、第1及び第2の端子部324T、344Tを接続配線基板8と接続する際、当該接続配線基板8と第1及び第2の端子部324T、344Tとの間に気泡が混入することを抑制することができる。また、肉薄部334の存在により、第1の端子部324Tと第2の端子部344Tとの間の段差が軽減されるため、接続配線基板8との接続が容易になると共に、当該接続部分の耐久性を向上することができる。
【0063】
また、本実施形態では、端子領域333において、引き出し配線344に対応した部分のみに設けられた樹脂層33は略一定の厚さを有しているが、特にこれに限定されない。例えば、
図11に示すように、引き出し配線344に対応した部分のみに設けられた樹脂層33の厚さが、当該引き出し配線344の延在方向(
図11中の−Y方向)における先端部(端子部344T)において相対的に小さくなっていてもよい。
【0064】
本実施形態における基板2及び接着層31には、
図2及び
図9に示すように、スリット30が設けられている。このスリット30は、樹脂層33が形成されていない接着層31上の領域(樹脂層非形成部335)において、第1の端子部324Tと第2の端子部344Tとの間を分断するように設けられており、端子領域333の端部近傍まで形成されている。本実施形態におけるスリット30は、
図2中のY軸方向に沿って直線状に形成されているが、特にこれに限定されず、曲線状に形成されていてもよい。
【0065】
本実施形態における配線構造体11では、
図1及び
図12に示すように、端子領域333に接続配線基板8が取り付けられている。
図12は、
図1のXII−XII線に沿った断面図である。
【0066】
接続配線基板8は、駆動回路C(
図1参照)と配線基板1とを接続する機能を有しており、接続基板81と、当該接続基板81上にそれぞれ設けられた第1の接続端子82及び第2の接続端子83と、を備えている。
【0067】
接続基板81は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)や、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド樹脂(PI)、ポリエーテルイミド樹脂(PEI)等からなるフィルムから構成される。
図12に示すように、第1の接続端子82は、第1の端子部324Tに対向するように配置されていると共に、第2の接続端子83は、第2の端子部344Tに対向するように配置されている。
【0068】
接続配線基板8は、異方導電性接着剤84を介して配線基板1に対向していると共に、当該接続配線基板8と配線基板1とは相互に固定されている。このような異方導電性接着剤84としては、デクセリアルズ社製のACF(Anisotropic Conductive Film)等を例示することができる。これにより、第1の端子部324Tと第1の接続端子82との間で電気的接続が図られると共に、第2の端子部344Tと第2の接続端子83との間で電気的接続が図られる。なお、第1の端子部324Tと第1の接続端子82とを接続する方法、及び、第2の接続部344Tと第2の接続端子83とを接続する方法は、特に上記に限定されず、半田等を用いてそれらの接続を行ってもよい。
【0069】
本実施形態では、
図12に示すように、配線基板1において第1の端子部324Tが設けられている部分2Aが、第2の端子部344Tが設けられている部分2Bに対して相対的に接続配線基板8側(
図12中の+Z方向側)にずれている。すなわち、第1及び第2の端子部324T、344Tは、接着層31の厚さ方向に沿って相互にずれている。これにより、第1の端子部324Tに対応する接着層31は、第2の端子部344Tに対応する接着層31に比べ、接続基板81側に接近している。なお、第1の端子部324Tと第1の接続端子82との間の距離H
1と、第2の端子部344Tと第2の接続端子83との間の距離H
2とは、相互に略等しいことが好ましい(H
1≒H
2)。
【0070】
本実施形態におけるタッチセンサ10では、上述の配線基板1が接続配線基板8を介して駆動回路Cに接続される。この駆動回路Cは、例えば、第1の電極パターン320と、第2の電極パターン340との間に所定電圧を周期的に印加し、第1及び第2の電極パターン320、340の交点毎の静電容量の変化に基づいてタッチセンサ10における操作者の指の接触位置を判別する。
【0071】
次に、本実施形態における配線構造体11の製造方法について説明する。
図13(A)〜
図13(L)は、本実施形態における配線構造体11の製造方法を説明するための断面図である。なお、
図13(A)〜
図13(L)の例においては、2つの第1の端子部324T及び当該第1の端子部324Tの外側に第2の端子部344Tを1つずつ設けた場合について図示している。
【0072】
まず、
図13(A)に示すように、第1の導体層32における第1の電極パターン320及び引き出し配線324の形状に対応する形状の凹部41が形成された第1の凹版4を準備する。第1の凹版4を構成する材料としては、ニッケル、シリコン、二酸化珪素などガラス類、有機シリカ類、グラッシーカーボン、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂等を例示することができる。凹部41の幅は、50nm〜1000μmであることが好ましく、500nm〜150μmであることがより好ましい。また、凹部41の深さとしては、50nm〜3000μmであることが好ましく500nm〜450μmであることがより好ましい。本実施形態において凹部41の断面形状は、底部に向かうにつれて幅狭となるテーパー形状が形成されている。
【0073】
凹部41の表面には、離型性を向上するために、黒鉛系材料、シリコーン系材料、フッ素系材料、セラミック系材料、アルミニウム系材料等からなる離型層411を形成することが好ましい。
【0074】
上記の第1の凹版4の凹部41に対し、導電性材料5を充填する。このような導電性材料5としては、導電性粉末若しくは金属塩、バインダ樹脂、水若しくは溶剤及び各種の添加剤を混合して構成される導電性ペーストや導電性インクを例示することができる。上記の導電性粉末としては、銀や銅、ニッケル、スズ、ビスマス、亜鉛、インジウム、パラジウム等の金属やグラファイト等を例示することができる。金属塩としては、上記金属の塩を挙げることができる。導電性材料5に含まれる導電性粒子としては、形成する導体パターンの幅に応じて、例えば、0.5μm以上2μm以下の直径φ(0.5≦φ≦2)を有する導電性粒子を用いることができる。なお、形成する導体パターンの幅の半分以下の平均直径φを有する導電性粒子を用いることが好ましい。
【0075】
導電性材料5に含まれるバインダ樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等を挙げることができる。
【0076】
導電性材料5に含まれる溶剤としては、α-テルピネオール、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール、1−デカノール、ブチルセルソルブ、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラデカン等を例示することができる。
【0077】
導電性材料5を第1の凹版4の凹部41に充填する方法としては、例えばディスペンス法、インクジェット法、スクリーン印刷法を挙げることができる。もしくはスリットコート法、バーコート法、ブレードコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法での塗工の後に凹部以外に塗工された導電性材料をふき取るもしくは掻き取る、吸い取る、貼り取る、洗い流す、吹き飛ばす方法を挙げることができる。導電性材料の組成等、凹版の形状等に応じて適宜使い分けることができる。
【0078】
次に、
図13(B)に示すように、第1の凹版4の凹部41に充填された導電性材料5を加熱することにより第1の導体層32を構成する導体パターンを形成する。導電性材料5の加熱条件は、導電性材料の組成等に応じて適宜設定することができる。この加熱処理により、導電性材料5が体積収縮する。この際、導電性材料5の上面を除く外面は、凹部41に沿った形状に形成される。一方、導体パターンの上面には凹凸形状51が形成される(
図13(B)の引き出し図参照)。なお、導電性材料5の処理方法は加熱に限定されない。赤外線、紫外線、レーザー光等のエネルギー線を照射しても良いし、乾燥のみでもよい。また、これらの2種以上の処理方法を組合せても良い。凹凸形状51の存在により、第1の導体層32と接着層31との接触面積が増大し、第1の導体層32をより強固に接着層31に固定することができる。
【0079】
続いて、
図13(C)に示すように、接着層31を形成するための接着材料6が基板2上に略均一に塗布されたものを用意する。このような接着材料6としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等のUV硬化性樹脂、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂やセラミクス等を例示することができる。接着材料6を基板2上に塗布する方法としては、スクリーン印刷法、スプレーコート法、バーコート法、ディップ法、インクジェット法等を例示することができる。
【0080】
次いで、
図13(D)に示すように、当該接着材料6が第1の凹版4の凹部41に入り込むよう基板2及び接着材料6を第1の凹版4上に配置して基板2を第1の凹版4に押し付け、接着材料6を硬化させる。接着材料6を硬化させる方法としては、紫外線、赤外線レーザー光等のエネルギー線照射、加熱、加熱冷却、乾燥等を例示することができる。これにより、接着層31が形成されると共に、当該接着層31を介して基板2と第1の導体層32とが相互に接着され固定される。
【0081】
続いて、
図13(E)に示すように、基板2、接着層31及び第1の導体層32を第1の凹版4から離型させ、中間体7を得る。
【0082】
続いて、
図13(F)に示すように、第2の導体層34における第2の電極パターン340及び引き出し配線344の形状に対応する形状の凹部46が形成された第2の凹版45を準備する。第2の凹版45を構成する材料としては、上述の第1の凹版4と同様の材料を挙げることができる。凹部46の幅も、上述の凹部41と同様に50nm〜1000μmであることが好ましく、500nm〜150μmであることがより好ましい。また、凹部46の深さとしては、50nm〜3000μmであることが好ましく500nm〜450μmであることがより好ましい。本実施形態において凹部46の断面形状は、底部に向かうにつれて幅狭となるテーパー形状が形成されている。なお、凹部46の表面にも、凹部41の離型層411と同様の離型層461を形成することが好ましい。
【0083】
上記の第2の凹版45の凹部46に対し、導電性材料を充填する。凹部46に充填する導電性材料としては、上述の導電性材料5と同様の材料を挙げることができる。
【0084】
導電性材料を第2の凹版45の凹部46に充填する方法としては、例えばディスペンス法、インクジェット法、スクリーン印刷法を挙げることができる。もしくはスリットコート法、バーコート法、ブレードコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法での塗工の後に凹部以外に塗工された導電性材料をふき取るもしくは掻き取る、吸い取る、貼り取る、洗い流す、吹き飛ばす方法を挙げることができる。導電性材料の組成等、凹版の形状等に応じて適宜使い分けることができる。
【0085】
次いで、第2の凹版45の凹部46に充填された導電性材料を加熱することにより第2の導体層34を構成する導体パターンを形成する。導電性材料の加熱条件は、導電性材料の組成等に応じて適宜設定することができる。この加熱処理により、凹部46に充填された導電性材料が体積収縮し、導電性材料の上面を除く外面は、凹部46に沿った形状に形成される。一方、導体パターンの上面には凹凸形状51と同様の凹凸形状が形成される。なお、導電性材料の処理方法は加熱に限定されない。赤外線、紫外線、レーザー光等のエネルギー線を照射しても良いし、乾燥のみでもよい。また、これらの2種以上の処理方法を組合せても良い。凹凸形状51と同様の凹凸形状が導体パターンに形成されることにより、第2の導体層34と樹脂層33との接触面積が増大し、第2の導体層34をより強固に樹脂層33に固定することができる。
【0086】
続いて、
図13(F)に示すように、樹脂層33を構成する樹脂材料71を、第2の凹版45上に塗布する。この際、第1の端子部324Tが設けられる領域336には当該樹脂材料71を塗布しないこととする。樹脂材料71としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等のUV硬化性樹脂、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂やセラミクス等を例示することができる。なお、樹脂層33を構成する材料の粘度は、塗布時の十分な流動性を確保する観点から、1mPa・s〜10,000mPa・sであることが好ましい。また、硬化後の樹脂の貯蔵弾性率は、第1の導体層32や第2の導体層34の耐久性の観点から、10
6Pa以上、10
9Pa以下であることが好ましい。樹脂材料71を第2の凹版45上に塗布する方法としては、スクリーン印刷法、スプレーコート法、バーコート法、ディップ法、インクジェット法等を例示することができる。
【0087】
次いで、樹脂材料71が第2の凹版45の凹部46に入り込むよう中間体7及び樹脂材料71を第2の凹版45上に配置して中間体7を第2の凹版45に押し付け、樹脂材料71を硬化させる(
図13(G)及び
図13(H)参照)。樹脂材料71を硬化させる方法としては、紫外線、赤外線レーザー光等のエネルギー線照射、加熱、加熱冷却、乾燥等を例示することができる。中間体7を第2の凹版45に押し付ける際の加圧力は、0.001MPa〜100MPaであることが好ましく、0.01MPa〜10MPaであることがより好ましい。なお、当該加圧は加圧ローラー等を用いて行うことができる。これにより、樹脂層33が形成されると共に、当該樹脂層33を介して中間体7と第2の導体層34とが相互に接着され固定される。
【0088】
そして、当該中間体7、樹脂層33及び第2の導体層34を第2の凹版45から離型し、本実施形態における配線体3を備えた配線基板1を得る(
図13(I)参照)。
【0089】
次いで、
図13(J)に示すように、第1の端子部324Tと第2の端子部344Tとを分断するスリット30をレーザーカッター等により設ける。続いて、接続基板81に第1及び第2の接続端子82、83が設けられた接続配線基板8を用意し、異方導電性接着剤84を介して配線基板1に対向するように熱圧着装置にセットする(
図13(K)参照)。この際、第1の端子部324Tは第1の接続端子82に対向し、第2の端子部344Tは第2の接続端子83に対向するようにする。
【0090】
次いで、熱圧着装置を用いて、異方導電性接着剤84に熱を付与しながら配線基板1と接続配線基板8とに圧力を印加し、熱圧着を行う。この際、
図13(L)に示すように、配線基板1において第1の端子部324Tが設けられている部分2Aに対して、第2の端子部344Tが設けられている部分2Bよりも強い圧力を印加し、第1の端子部324Tに対応する接着層31を、第2の端子部344Tに対応する接着層31に比べて接続基板81側に接近させる。この熱圧着により、配線基板1と接続配線基板8とは相互に固定されると共に、第1及び第2の端子部324T、344Tは第1及び第2の接続端子82、83にそれぞれ電気的に接続され、配線構造体11を得る。
【0091】
次に、本実施形態における配線構造体11及びタッチセンサ10の作用について説明する。
【0092】
本実施形態における配線体3は、第1の導体層32が接着層31上に形成されていると共に、第2の導体層34が樹脂層33上に形成されている。そして、当該第1の導体層32が有する第1の端子部324T及び第2の導体層34が有する第2の端子部344Tは、接着層31の厚さ方向に沿って相互にずれている。また、接着層31及び基板21は、第1の端子部324Tと第2の端子部344Tとの間を分断するスリット30を有している。
【0093】
これにより、配線基板1と接続配線基板8とを接続する際、第1の端子部324Tと第2の端子部344Tとの高さを互いに近づけることができるため(
図12参照)、配線の取り出し性を向上することができる。また、第1の端子部324Tと第1の接続端子82との間の距離と、第2の端子部344Tと第2の接続端子83との間の距離と、を近い高さにすることにより、配線体3と接続配線基板8との間の接続特性の向上を図ることもできる。なお、第1の端子部324Tと第1の接続端子82との間の距離と、第2の端子部344Tと第2の接続端子83との間の距離と、を相互に略等しい場合には、配線体3と接続配線基板8との間の接続特性の向上をより一層図ることができる。
【0094】
また、本実施形態における配線体3では、
図9に示すように、樹脂層33の厚さ(最大厚さ)W
1は、第1の導体層32の厚さ(最大厚さ)W
2よりも大きくなっている。これにより、第1の導体層32と第2の導体層34との間の絶縁を確保することが可能となる。このため、第1の電極パターン320及び第2の電極パターン340の両方を、基板2の一方主面に設けることができるため、配線体3、配線構造体11及びそれらを備えたタッチセンサ10の薄型化を図ることができる。
【0095】
また、本実施形態では、第1の電極パターン320と引き出し配線324とは一体的に形成されていると共に、第2の電極パターン340と引き出し配線344とは一体的に形成されている。このため、第1の電極パターン320と引き出し配線324との接続信頼性、及び、第2の電極パターン340と引き出し配線344との接続信頼性を向上することができる。
【0096】
また、この際、
図11を参照して説明したように、引き出し配線344に対応した部分のみに設けられた樹脂層33の厚さが、当該引き出し配線344の延在方向(
図11中の−Y方向)における先端部において相対的に小さくなっている場合には、第1の端子部324Tと第2の端子部344Tとの高さを互いに近付けることができるため、第1及び第2の端子部324T、344Tに接続される接続配線基板8との接続信頼性の向上を一層図ることができる。
【0097】
また、本実施形態の引き出し配線324は、第2の導体層34側に向かって幅狭となるテーパー形状を有している。これにより、引き出し配線324に当該テーパー形状が無い場合や、逆向きのテーパー形状が形成されている場合に比べ、第2の凹版45への中間体7の押し付け時における押し付け力に対する引き出し配線324の機械的強度を向上させることができる。このため、製造時等における引き出し配線324の断線を抑制し、配線基板1の耐久性を向上することができる。本実施形態では引き出し配線344においても、同様のテーパー形状(第1の導体層32から離れる側に向かって幅狭となるテーパー形状)を有している。これにより、第2の導体線342の機械的強度も向上して断線を抑制できるため、より一層、配線体3、配線基板1及びそれらを備えたタッチセンサ10の耐久性を向上することができる。
【0098】
本実施形態における引き出し配線324における
図8中の下面(第1の接着面)328の面粗さは、当該引き出し配線324における
図8中の上面329の面粗さよりも粗くなっている。これにより、引き出し配線324と接着層31との接触面積が増加するため、引き出し配線324を接着層31に強固に固定することができる。このため、配線体3、配線構造体11及びそれらを備えたタッチセンサ10の耐久性を一層向上することができる。本実施形態では、引き出し配線344における
図8中の下面348の面粗さも同様に、当該引き出し配線344における
図8中の上面349の面粗さよりも粗くなっているため、配線体3、配線構造体11及びそれらを備えたタッチセンサ10の耐久性をより一層向上することができる。
【0099】
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0100】
例えば、上述した実施形態における配線基板1から基板2を省略してもよい。この場合において、例えば、接着層31の下面に剥離シートを設け、実装時に当該剥離シートを剥がして実装対象(フィルム、表面ガラス、偏光板、ディスプレイ等)に接着して実装する形態として配線体又は配線基板を構成してもよい。この例では、接着層31及び剥離シートにスリット30を設けることとなる。
【0101】
また、例えば、
図14(A)〜
図14(L)に示すようして配線構造体11Bを製造してもよい。
図14(A)〜
図14(L)は、配線構造体の製造方法の変形例を説明するための断面図である。なお、
図14(A)〜
図14(L)及び後述の
図15(A)及び
図15(B)は、2つの第1の端子部324T及び当該第1の端子部324Tの外側に第2の端子部344Tを1つずつ設けた場合について図示している。
【0102】
本例では、まず、第1の凹版4に導電性材料5を充填して(
図14(A))加熱した後(
図14(B))、樹脂材料を第1の凹版4上に塗布し(
図14(C))、当該樹脂材料を固める(
図14(D))。そして、固めた当該樹脂材料を基材として用いることにより、配線基板1Bを構成してもよい(
図14(E)〜
図14(I))。この場合には、接着層31のみにスリット30を設けることとなる。その後は、上述の実施形態と同様に、異方導電性接着剤84を介して配線基板1Bと接続配線基板8とを相互に固定し、配線構造体11Bを得る。これらの場合においても、上述した実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0103】
また、上述した実施形態では、平面視において、所定間隔を空けて引き出し配線324の両隣に引き出し配線344が配置されているが、特にこれに限定されない。例えば、特に図示しないが、平面視において、所定間隔を空けて引き出し配線344の両隣に引き出し配線324が配置されていてもよい。
【0104】
また、例えば、上述の実施形態では、配線基板1側にスリットを設けたが、特にこれに限定されない。例えば、
図15(A)及び
図15(B)に示すように、配線基板1からスリット30を省略すると共に、接続配線基板8にスリット301を設けてもよい。このスリット301は、第1の接続端子82と第2の接続端子83とを分断するように設けられている。配線構造体を製造する際は、
図15(A)に示すように、スリット301を設けた接続配線基板8と配線基板1とを異方導電性接着剤84を介して対向するようにセットした後、熱圧着により接続配線基板8と配線基板1とを相互に固定する。
【0105】
この際、接続配線基板8において第1の接続端子82が受けられている部分8Aを、第2の接続端子83が設けられている部分8Bに対して相対的に強く圧着し、第1の接続端子82を、第2の接続端子83に比べて接着層31側に接近させる。この場合においても、上述した実施形態と同様の効果を奏することができる。なお、第1の端子部324Tと第1の接続端子82との間の距離H
1と、第2の端子部344Tと第2の接続端子83との間の距離H
2と、が相互に略等しいことが好ましく(H
1≒H
2)、この場合において、配線体3と接続配線基板8との間の接続特性の向上をより一層図ることができる。
【0106】
また、例えば、第1の導体層32における第1の電極パターン及び第2の導体層34における第2の電極パターンを、
図16に示すような形態としてもよい。
【0107】
図16の例では、第1の電極パターン320Bは、複数の矩形部81と、当該矩形部81同士の間を繋ぐ連結部82と、から構成されている。矩形部81は、対角線が
図16中のY軸方向に沿って略等間隔で当該Y軸方向に並んで配置されており、連結部82は、隣り合う矩形部81の角部同士を接続している。矩形部81及び連結部82は、複数の導体線から構成されたメッシュ形状を有している。
【0108】
第2の電極パターン340Bも、複数の矩形部83と、当該矩形部83同士の間を繋ぐ連結部84と、から構成されている。矩形部83は、対角線が
図16中のX軸方向に沿って略等間隔で当該X軸方向に並んで配置されており、連結部84は、隣り合う矩形部83の角部同士を接続している。矩形部83及び連結部84も、複数の導体線から構成されたメッシュ形状を有している。第1の電極パターン320B同士は、
図16中のX軸方向に沿って略等間隔で配置されていると共に、第2の電極パターン340Bは、
図16中のY軸方向に沿って略等間隔で配置されている。そして、第1の電極パターン320Bと第2の電極パターン340Bとは、連結部82、84において互いに交差している。本例においても、上述の実施形態で説明した効果と同様の効果を奏することができる。
【0109】
なお、上述の実施形態においては、配線構造体がタッチセンサに用いられることとして説明したが、配線構造体の用途は特にこれに限定されない。例えば、電磁波シールド、ヒータ、アンテナ等に配線構造体を用いてもよい。
【解決手段】配線構造体11は、少なくとも配線体3を備えており、配線体3は、接着層31と、第1の端子部324Tを有し、接着層31上に設けられた第1の導体層32と、少なくとも第1の端子部324Tを除いて第1の導体層32を覆う樹脂層33と、第2の端子部344Tを有し、樹脂層33上に設けられた第2の導体層34と、を備え、第1の端子部324T及び第2の端子部344Tは、接着層31の厚さ方向に沿って相互にずれており、接着層は、第1の端子部324Tと第2の端子部344Tとの間を分断するスリット30を有する。