(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1記載の「溶接ヒューム湿式処理装置」は、処理液を揺動泡状とするための装置が必要であり、構造が複雑であるという難点がある。構造が複雑であると、製造やメンテナンスに費用も手間もかかる。また、構造の複雑化によって装置の小型化が困難になり、現場の広さによっては設置できないという難点もある。
【0006】
前記特許文献2記載の「溶接排煙集塵装置」は、吸気室内に取り込んだ排気をそのまま洗浄液に接触させるため、排気と洗浄液との接触面積が小さく、捕捉効率に改善の余地がある。
【0007】
前記特許文献3記載の「粉塵捕集装置」は、前記特許文献1及び2の課題を解決することができるが、フィルター交換や洗浄の最中は装置を使用することができず、作業時間のロスを招くおそれがある。また、前記粉塵捕集装置は、フィルター洗浄機能を備えていないため、粉塵捕集装置とは別にフィルター洗浄装置を用意する必要があり、コスト高を招くことがある。さらに、フィルター洗浄装置を用意しても、当該フィルター洗浄装置を設置する場所がないような現場では、フィルターを洗浄できないこともある。
【0008】
本発明の解決課題は、時間的なロスを最小限に抑えて、連続的に粉塵を捕捉することができる粉塵捕捉装置及び粉塵捕捉方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の粉塵捕捉装置は、ブロワーで排気を吸引して排気中の粉塵を集塵機で捕捉する粉塵捕捉装置であって、排気を吸引するブロワーと、当該ブロワーの吸引方向手前側に設けられ当該ブロワーで吸引された排気中の粉塵を捕捉する二以上の集塵機と、前記ブロワーと集塵機を連結する連結ホース
と、前記集塵機内に設けられたフィルターを洗浄する洗浄装置と、当該洗浄装置と前記集塵機を連結する洗浄液供給ホースと、前記集塵機とブロワーに着脱可能な乾燥用ホースを備え、前記集塵機は入口と出口を備え、前記ブロワーは吸引口と吐出口を備え、前記連結ホースは、前記集塵機の出口と前記ブロワーの吸引口に着脱可能であり、前記連結ホースの一端を前記ブロワーの吸引口に接続し、他端を二以上の集塵機の出口に順次付け替える(例えば、他端を粉塵捕捉済みのフィルター(本願において「粉塵捕捉済みフィルター」という)を備えた集塵機から粉塵捕捉可能なフィルター(本願において「粉塵捕捉可能フィルター」という)を備えた他の集塵機に付け替える)ことによって、二以上の集塵機で粉塵を捕捉することができ
、前記洗浄液供給ホースは、その一端側を前記集塵機の出口に着脱可能であり、前記洗浄装置と二以上の集塵機のうち粉塵捕捉済みフィルターを備えた集塵機を前記洗浄液供給ホースで連結し、前記洗浄装置から洗浄液供給ホースを通じて集塵機内に供給される洗浄液によって当該集塵機内の粉塵捕捉済みフィルターを洗浄することができ、前記乾燥用ホースは、集塵機の出口とブロワーの吐出口に着脱可能であり、二以上の集塵機から選択される任意の集塵機の出口と前記ブロワーの吸引口を連結ホースで連結し、前記連結ホースが接続された集塵機とは異なる集塵機であって洗浄済みのフィルター(本願において「洗浄済みフィルター」という)を備えた集塵機の出口と前記ブロワーの吐出口を前記乾燥用ホースで連結し、前記ブロワーの吸引口に連結された集塵機で粉塵が捕捉され、当該ブロワーの吐出口から吐き出される粉塵捕捉後の排気(本願において、「洗浄空気」という)を、前記乾燥用ホースを通じて前記洗浄済みフィルターを備えた集塵機内に送り込むことによって、洗浄済みフィルターを乾燥させることができるものである。
【0010】
【0011】
【0012】
前記粉塵捕捉装置において、洗浄液を貯留するタンクを設け、洗浄装置をそのタンク内に設置し、そのタンク内の洗浄液を汲みあげて洗浄液供給ホースが接続された集塵機内に洗浄液を供給できるようにしてもよい。
【0013】
前記粉塵捕捉装置において、タンク内に洗浄用の洗浄液が貯留される洗浄液貯留室を設け、その洗浄液貯留室に洗浄装置を設けるようにしてもよい。
【0014】
前記粉塵捕捉装置において、タンク内に洗浄後の廃液(本願において「洗浄廃液」という)を貯留する廃液貯留室を洗浄液貯留室とは別に設け、集塵機に洗浄廃液を排出する排出パイプを設け、その排出パイプの出口側を廃液貯留室に導入し、廃液貯留室に排出パイプから排出される洗浄廃液を排出できるようにしてもよい。
【0015】
前記粉塵捕捉装置において、洗浄液貯留室と廃液貯留室を連通させ、廃液貯留室に濾過体を設け、その濾過体を排出パイプの出口側の先方に配置し、排出パイプから排出された洗浄廃液中の粉塵を濾過体で濾過して、濾過後の洗浄廃液(本願において「濾過済み液」という)が廃液貯留室から洗浄液貯留室に流入するようにしてもよい。
【0016】
[粉塵捕捉方法]
本発明の粉塵捕捉方法は、粉塵捕捉装置を用いて排気中の粉塵を捕捉する方法であって、粉塵捕捉装置は、排気を吸引するブロワーと、当該ブロワーの吸引方向手前側に設けられ当該ブロワーで吸引された排気中の粉塵を捕捉する二以上の集塵機と、前記ブロワーと集塵機を連結する連結ホース
と、粉塵捕捉装置は集塵機内に設けられたフィルターを洗浄する洗浄装置と、当該洗浄装置と前記集塵機を連結する洗浄液供給ホースと、前記集塵機とブロワーに着脱可能な乾燥用ホースを備えたものであり、集塵機は入口と出口を備えており、ブロワーは吸引口と吐出口を備えており、連結ホースの一端を前記ブロワーの吸引口に接続し、他端を二以上の集塵機の出口に付け替える(例えば、粉塵捕捉済みフィルターを備えた集塵機から粉塵捕捉可能フィルターを備えた他の集塵機の出口に付け替える)ことによって、二以上の集塵機で順次粉塵を捕捉
し、
前記二以上の集塵機のうち粉塵捕捉済みフィルターを備えた集塵機と前記洗浄装置を洗浄液供給ホースで連結し、当該洗浄装置から洗浄液供給ホースを通じて前記集塵機内に洗浄液を供給して、当該洗浄液で集塵機内の粉塵捕捉済みフィルターを洗浄し、前記洗浄液供給ホースが接続された集塵機内の粉塵捕捉済みフィルターを洗浄したのち、前記洗浄液供給ホースが接続された集塵機から当該洗浄液供給ホースを取り外し、前記洗浄液供給ホースが取り外された集塵機の出口に乾燥用ホースの一端を接続し、乾燥用ホースの他端を前記ブロワーの吐出口に接続し、前記ブロワーの吐出口から吐き出される洗浄空気を前記乾燥用ホースが接続された集塵機内に送り込み、当該集塵機内のフィルターを乾燥する方法である。
【0017】
【0018】
前記粉塵捕捉方法において、二以上の集塵機のうちから選択される任意の集塵機とブロワーを連結ホースで連結し、前記集塵機とは異なる集塵機のうち粉塵捕捉済みフィルターを備えた集塵機と洗浄装置を洗浄液供給ホースで連結し、前記連結ホースでブロワーと連結された集塵機での粉塵の捕捉と、洗浄液供給ホースで洗浄装置と連結された集塵機内の粉塵捕捉済みフィルターの洗浄を並行して行うようにしてもよい。
【0019】
【発明の効果】
【0020】
本発明の粉塵捕捉装置には、次のような効果がある。
(1)二以上の集塵機を備えており、一方の集塵機の集塵能力が低下し或いは限界に達したときには、他方の集塵機で粉塵を捕捉することができるため、連結ホースの付け替え(配管)に要する僅かな時間のロスだけで連続的に集塵することができる。
(2)二以上の集塵機を交互に使用することができるので、集塵機の交換やフィルター交換に掛る費用を低減することができる。
(3)粉塵捕捉済みフィルターを洗浄する洗浄装置や洗浄済みフィルターの乾燥に用いる乾燥用ホースを設けた場合、一つの装置で粉塵の捕捉、フィルターの洗浄及び乾燥を行うことができるので、別途フィルター用の洗浄装置や乾燥装置を設ける必要がなく、装置を設置可能な範囲が限られているような狭小現場でも利用することができる。また、粉塵捕捉装置とは別に洗浄装置や乾燥装置を設ける必要がないため、設備コストを低減することもできる。
【0021】
本発明の粉塵捕捉方法には、次のような効果がある。
(1)二以上の集塵機を備えた粉塵捕捉装置を用いる方法であるため、一方の集塵機の集塵能力が低下し或いは限界に達したときには、他方の集塵機で粉塵を捕捉することができ、連結ホースの付け替えに要する僅かな時間のロスだけで連続的に捕捉することができる。
(2)二以上の集塵機を交互に使用することができるので、集塵機の交換やフィルター交換に掛る費用を低減することができる。
(3)粉塵の捕捉と粉塵捕捉済みフィルターの洗浄或いは粉塵の捕捉と洗浄済みフィルターの乾燥を並行して行うことができるので、作業効率の向上に資する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(粉塵捕捉装置の実施形態)
本発明の粉塵捕捉装置1の一例を、図面を参照して説明する。本発明の粉塵捕捉装置1は各種用途で用いることができるが、ここでは、アーク溶接作業時に生じる排気Xを吸引し、当該排気Xに含まれる粉塵(溶接ヒューム)を捕捉する場合を一例として説明する。
【0024】
一例として
図1及び
図2に示す粉塵捕捉装置1は、タンク2と、ブロワー3と、二つの集塵機(第一の集塵機4x及び第二の集塵機4y)4と、洗浄装置6(
図4(a)(b))を備えたものであり、後述する連結ホース9を二つの集塵機4に順次付け替えることによって、二以上の集塵機4で連続的に集塵を可能としたものである。この粉塵捕捉装置1は、ブロワー3、集塵機4及び洗浄装置6を、後述する各種ホース(連結ホース9を含む)で接続し、それらホースを入れ替え或いは取り替えることによって、一つの装置で粉塵の捕捉と粉塵捕捉済みフィルターの洗浄、又は粉塵の捕捉と洗浄済みフィルターの乾燥を並行して行うこともできる。
【0025】
具体的には、
図1〜3(a)のように、第一の集塵機4xとブロワー3を連結ホース9で接続し、第二の集塵機4yと洗浄装置6(
図4(a)(b))を洗浄液供給ホース10で接続した場合、第一の集塵機4xで粉塵を捕捉しながら、第二の集塵機4y内のフィルターを洗浄することができる。
図1〜3(a)とは反対に、
図3(b)のように、第二の集塵機4yとブロワー3を連結ホース9で接続し、第一の集塵機4xと洗浄装置6(
図4(a)(b))を洗浄液供給ホース10で接続した場合、第二の集塵機4yで粉塵を捕捉しながら、第一の集塵機4x内の粉塵捕捉済みフィルターを洗浄することができる。また、洗浄済みフィルターを乾燥する場合、例えば、
図3(c)のように、第二の集塵機4yの出口4b側とブロワー3の吸引口3a側を連結ホース9で接続し、第一の集塵機4xの出口4b側とブロワー3の吐出口3b側を乾燥用ホース11に接続することで、第二の集塵機4yで粉塵を捕捉するとともに、ブロワー3の吐出口3bから吐き出される洗浄空気を第一の集塵機4xに送り込み、当該洗浄空気によって第一の集塵機4x内の洗浄済みフィルターを乾燥させることができる。
【0026】
前記タンク2は溶接ヒュームの捕捉に用いる洗浄液W1を収容するとともに、洗浄廃液W2を貯留するものである。一例として
図1及び
図2に示すタンク2は上面に開口部を備えた直方体状であり、開口部の周縁の鍔12に、タンク2の開口部よりも大きな長方形状の蓋13を載せられるようにしてある。
図4(a)に示すように、タンク2の内部は平板状の仕切り体14で二つの小室に仕切られ、一方の小室(本願において、「洗浄液貯留室」という)2aに洗浄液W1が貯留され、他方の小室(本願において、「廃液貯留室」という)2bに洗浄廃液W2が貯留されている。
【0027】
タンク2の内部は、
図4(b)のように当該タンク2の床に届かない仕切り体14で仕切って、洗浄液貯留室2aと廃液貯留室2bを連通させることもできる。この場合、廃液貯留室2bに濾過体7を配設し、当該濾過体7で洗浄廃液W2中の粉塵を濾過したうえで、濾過済み液W3を洗浄液として洗浄液貯留室2aに流入させるようにするのが望ましい。濾過体7は後述する排出パイプ21の出口側の先方に配置し、排出パイプ21から排出される廃液中の粉塵を濾過できるようにしておくのが好ましい。
【0028】
図示は省略するが、濾過体7には、例えば、二枚の板材間に布材が配設されたもの等を用いることができる。板材には、エキスパンドメタルやプラスチック板、木板等を、板材の間に配設する布材には、不織布や化成材等を用いることができる。濾過体7の外周と洗浄液貯留室2aの内壁の間隙にはコーキング処理が施してあり、洗浄液貯留室2aの内壁と濾過体7の外周との隙間から粉塵を含む洗浄廃液W2が通過しないようにしてある。コーキング材には、例えば、コニシ株式会社製の「ボンドウレタンコーク」を用いることができる。濾過体7は、洗浄液貯留室2aの深さ方向(上下方向)に間隔をあけて二以上設けることもできる。この場合、夫々の濾過体7で、異なる粒径の粉塵を捕集できるように目の粗さが異なるものを用意するのが好ましい。
図4(b)に示す例では、濾過体7を水平に設けているが、濾過体7は勾配をつけて(斜めにして)設けることもできる。濾過体7を複数枚設ける場合、全てを水平にすることも、全て同じ勾配・向きとなるように設けることも、異なる勾配・向きとなるように設けることもできる。
【0029】
図1及び
図2に示すように、洗浄液貯留室2aと廃液貯留室2bのそれぞれの周壁にはドレイン15a、15bが設けられ、洗浄液貯留室2a内の洗浄液W1及び廃液貯留室2b内の洗浄廃液W2をタンク2外に排出できるようにしてある。それぞれのドレイン15a、15bは開閉レバー16a、16b(
図1及び
図2)を操作することによって開閉できるようにしてある。ドレイン15a、15b用のパイプには縦向きのパイプが立設され、簡易な水位計17a、17bとして、洗浄液貯留室2a内の洗浄液W1又は廃液貯留室2bの洗浄廃液W2の量を確認できるようにしてある。
図4(b)のように、洗浄液貯留室2aと廃液貯留室2bを連通させ、廃液貯留室2bに濾過体7を設ける場合、ドレイン15bを濾過体7よりも上側に設置し、濾過体7の上に蓄積する粉塵を洗浄廃液W2とともにタンク2外に排出できるようにするのが望ましい。この実施形態では、タンク2に移動用のキャスター18を設けてあるが、キャスター18は必要に応じて設ければよく、不要な場合には設けなくてもよい。
【0030】
前記ブロワー3は、溶接作業時に生じる排気Xを吸引して集塵機4内に取り込むための装置である。ブロワー3には既存の又は新規のものを用いることができ、例えば、株式会社日立産機システム製の「VORTEX BLOWER VB-015-G2」を用いることができる。ブロワー3にはこれ以外のものを用いることもできる。ブロワー3は側面視コ字状の二つの鋼材19a、19bを背中合わせにして構成された支持台19上に載置してある。図示は省略しているが、この支持台19には、ブロワー3用のスイッチが収容された電源ボックスが設けられている。ブロワー3には排気Xを吸引するための吸引口3aと洗浄空気を吐き出すための吐出口3bが設けられ、吸引口3a側に吸引口端子20aが、吐出口3b側に吐出口端子20bが設けられている。吸引口端子20a及び吐出口端子20bには、前記連結ホース9や乾燥用ホース11といった各種ホースを接続できるようにしてある。
【0031】
前記集塵機4は、吸引される排気X中の粉塵を捕捉するものであり、筐体の内部に捕捉用のフィルター(図示しない)が設けられている。一例として
図1及び
図2に示す集塵機4の筐体は縦長の箱形であり、長手方向一方の側面に排気Xを集塵機4内に取り込むための入口4aが、他方側の側面に洗浄空気を集塵機4外に排出するための出口4bが設けられている。集塵機4の入口4a及び出口4bには接続端子(本願において、入口側の接続端子を「入口端子5a」と、出口側の接続端子を「出口端子5b」という)5が設けられ、吸引ホース8や排出ホース24、連結ホース9、洗浄液供給ホース10、乾燥用ホース11といった各種ホースを接続できるようにしてある。接続端子5には、いわゆるタケノコ型端子などを用いることができる。集塵機4は、
図1及び
図2のように横並びに設置することも、上下に積み重ねて設置することもできる。
【0032】
集塵機4の入口4a側の側面には、洗浄廃液W2を集塵機4外に排出するための排出パイプ21が引き出されている。一例として
図1に示す排出パイプ21はL字状の管材であり、その先端側がタンク2の蓋13のパイプ孔13aを貫通してタンク2内の廃液貯留室2bに導入され、集塵機4から排出された洗浄廃液W2が当該廃液貯留室2bに貯留されるようにしてある。排出パイプ21は、タンク2の外に導出し、洗浄廃液W2をタンク2外に排出できるようにしてもよい。排出パイプ21の先端は、廃液貯留室2b内に貯留される洗浄廃液W2中に到達するようにしておくのが望ましい。排出パイプ21の先端を洗浄廃液W2中に到達するようにしておくことで、排出パイプ21から排出される洗浄廃液W2が飛び散らず、当該洗浄廃液W2中の粉塵の飛散を防止することができる。
【0033】
前記洗浄装置6は、集塵機4内に設けられたフィルター(具体的には、集塵捕捉済みフィルター)を洗浄するためのものであり、タンク2の洗浄液貯留室2a内に設けられている。洗浄装置6は洗浄液貯留室2a内に貯留された洗浄液W1を汲みあげ、洗浄液供給ホース10を通じて、当該洗浄液W1を集塵機4に供給することができる。洗浄装置6には、新規の又は既存のポンプを用いることができる。
【0034】
前記吸引ホース8は粉塵発生個所から集塵機4内に粉塵を含む排気Xを導入するためのホースである。吸引ホース8の先端には、
図4(a)(b)に示すようなフード22が設けられ、溶接作業時に生じる排気Xを吸引しやすくしてある。
図4(a)(b)の例では、湾曲した皿状のフード22を用いているが、フード22の形状は任意に設計することができる。不要な場合、フード22は設けなくてもよい。吸引ホース8は、集塵機4の入口端子5aに着脱できるようにしてある。吸引ホース8はブロワー3の吸引力によって排気Xを集塵機4内に吸引するものであるため、二つの集塵機4のうち連結ホース9でブロワー3に接続された方の集塵機4に接続する。具体的には、
図1〜
図3(a)に示す例では、ブロワー3の吸引側に接続された第一の集塵機4xの入口端子5aに吸引ホース8を接続し、
図3(b)(c)に示す例では、ブロワー3の吸引側に接続された第二の集塵機4yの入口端子5aに吸引ホース8を接続する。
【0035】
前記連結ホース9は集塵機4とブロワー3を接続して、ブロワー3の吸引力で排気Xを集塵機4内に取り込むためのホースである。連結ホース9は、二つの集塵機4のうち入口端子5aに吸引ホース8が接続された方の集塵機4に接続する。具体的には、
図1〜
図3(a)に示す例では、入口端子5aに吸引ホース8が接続された第一の集塵機4xの出口端子5bに接続し、
図3(b)(c)に示す例では、入口端子5aに吸引ホース8が接続された第二の集塵機4yの出口端子5bに接続する。
【0036】
前記洗浄液供給ホース10は、洗浄装置6で汲みあげられる洗浄液W1を、集塵機4に供給するためのホースである。洗浄液供給ホース10は、二つの集塵機4のうち吸引ホース8及び連結ホース9が接続されていない方の集塵機4に接続する。具体的には、
図1〜
図3(a)に示す例では、吸引ホース8も連結ホース9も接続されていない第二の集塵機4yの出口端子5bに接続し、
図3(b)(c)に示す例では、吸引ホース8も連結ホース9も接続されていない第一の集塵機4xの出口端子5bに接続する。集塵機4の出口端子5bに洗浄液供給ホース10を接続する場合、集塵機4の入口端子5aからも洗浄廃液W2が排出されるため、当該集塵機4の入口端子5aには、
図1に示すような排出ホース24を接続して洗浄廃液W2をタンク2の廃液貯留室2bに排出するか、入口端子5aをキャップ(図示しない)で閉塞し、洗浄廃液W2が入口端子5aから外部に排出されないようにする。入口端子5aに排出ホース24を接続する場合、洗浄廃液W2を廃液貯留室2bに排出できるよう、その出口側を蓋13のホース孔13bを貫通して廃液貯留室2b内に導入し、その先端を廃液貯留室2b内の廃液に到達するようにしておくのが好ましい。なお、ホース孔13bは、排出ホース24を用いるとき以外はキャップ(図示しない)で閉塞できるようにしてある。
【0037】
洗浄液供給ホース10は、
図4(a)(b)のように、洗浄装置6に接続した方とは反対側の端部を、蓋13の開口部から直接引き出して集塵機4の出口端子5bに接続することもできるが、
図1及び
図2に示すように、洗浄液供給ホース10を二本のホースで構成し、そのうちの一本のホースを洗浄装置6と蓋13の開口部に設けられたコネクタ23に、他のホースをコネクタ23と集塵機4の出口端子5bに接続することもできる。
【0038】
前記乾燥用ホース11は、洗浄済みフィルター及び当該洗浄済みフィルターを備えた集塵機4の乾燥に用いるものであり、ブロワー3の吐出口端子20b側と集塵機4の出口端子5bに接続して、ブロワー3の吐出口3bから吐き出される洗浄空気を集塵機4に送るためのものである。乾燥用ホース11は、二つの集塵機4のうち吸引ホース8及び連結ホース9が接続されていない方の集塵機4に接続する。具体的には、
図3(c)に示す例では、吸引ホース8も連結ホース9も接続されていない第一の集塵機4xの出口端子5bに接続する。これとは反対に、第一の集塵機4xに吸引ホース8及び連結ホース9が接続されている場合には、乾燥用ホース11は第二の集塵機4yの出口端子5bに接続する。なお、図示は省略しているが、集塵機4を三つ設けるような場合(説明の便宜上、三つ目の集塵機を「第三の集塵機」という)には、乾燥用ホース11を第一の集塵機4xの出口端子5bとブロワー3の吐出口端子20b側に、洗浄液供給ホース10を第二の集塵機4yの出口端子5bと洗浄装置6に、連結ホース9を第三の集塵機の出口端子5bとブロワー3の吸引口端子20aに接続し、第三の集塵機での粉塵の捕捉、第一の集塵機4xの乾燥、第二の集塵機4yの洗浄を並行して行うことができる。
【0039】
本願における吸引ホース8や連結ホース9、洗浄液供給ホース10、乾燥用ホース11は、気体や液体を通過させることのできる管状部材であり、可撓性を有するものでも有しないものでもよい。前記吸引ホース8や連結ホース9、洗浄液供給ホース10、乾燥用ホース11には、例えば、金属製やステンレス製、樹脂製といった各種材質製のものを用いることができる。吸引ホース8、連結ホース9及び乾燥用ホース11に関しては、耐熱性材料を用いるのが好ましい。
【0040】
(粉塵捕捉方法の実施形態1)
本発明の粉塵捕捉方法の一例について、
図5(a)〜(f)を参照して説明する。この使用例は、粉塵の捕捉と粉塵捕捉済みフィルターの洗浄を並行して行う場合の例である。
(1)第一の集塵機4xの入口端子5aに吸引ホース8を接続するとともに、その第一の集塵機4xの出口端子5bとブロワー3の吸引口端子20aに連結ホース9を接続する(
図5(a))。
(2)吸引ホース8と連結ホース9を接続したのち、当該ブロワー3で排気Xを吸引し、第一の集塵機4xで当該排気X中の粉塵を捕捉する(
図5(b))。
(3)第一の集塵機4xでの粉塵の捕捉後、当該第一の集塵機4xに接続されている吸引ホース8及び連結ホース9を取り外し、その吸引ホース8を第二の集塵機4yの入口端子5aに、連結ホース9を第二の集塵機4yの出口端子5bに付け替える(
図5(c))。
(4)第一の集塵機4xから吸引ホース8及び連結ホース9を取り外したのち、第一の集塵機4xの出口端子5bに一端が洗浄装置6に接続された洗浄液供給ホース10の他端を接続する(
図5(c))。このとき、第一の集塵機4xの入口端子5aには、必要に応じて排出ホース24やキャップを取り付ける。
(5)ブロワー3で排気Xを吸引し、第二の集塵機4y内で当該排気X中の粉塵を捕捉する。また、他方では、洗浄装置6を動作させ、当該洗浄装置6から洗浄液供給ホース10を通じて供給される洗浄液W1で第一の集塵機4x内の粉塵捕捉済みフィルターを洗浄する(
図5(d))。第二の集塵機4yでの粉塵の捕捉は、第一の集塵機4xを洗浄液供給ホース10に接続する前(前記(4)の前)に開始することもできる。
(6)第二の集塵機4yでの粉塵の捕捉後、当該第二の集塵機4yに接続されている吸引ホース8及び連結ホース9を取り外すとともに、第一の集塵機4xに接続されている洗浄液供給ホース10を取り外し、第一の集塵機4xの入口端子5aに吸引ホース8を、出口端5bに連結ホース9を、第二の集塵機4yの出口端子5bに洗浄液供給ホース10を接続する(
図5(e))。このとき、第二の集塵機4yの入口端子5aには、必要に応じて排出ホース24やキャップを取り付ける。
(7)ブロワー3で排気Xを吸引し、第一の集塵機4xで当該排気X中の粉塵を捕捉する。また、他方では、洗浄装置6を動作させ、当該洗浄装置6から供給される洗浄液W1で第二の集塵機4y内の粉塵捕捉済みフィルターを洗浄する(
図5(f))。第一の集塵機4xでの粉塵の捕捉は、第二の集塵機4yを洗浄液供給ホース10に接続する前(前記(4)の前)に開始することもできる。
(8)以後、前記(1)〜(7)の要領で、吸引ホース8、連結ホース9、洗浄液供給ホース10を二つの集塵機4x、4yに付け替え、粉塵の捕捉及び粉塵捕捉済みフィルターの洗浄を繰り返し行う。
【0041】
(粉塵捕捉方法の実施形態2)
本発明の粉塵捕捉方法の一例について、
図6(a)〜(f)を参照して説明する。この使用例は、
図5(a)〜(d)を経て洗浄された洗浄済みフィルターの乾燥と、粉塵の捕捉を並行して行う場合の例である。
(1)
図5(a)〜(d)の手順に従い、第一の集塵機4xでの粉塵の捕捉と、粉塵捕捉済みフィルターの洗浄を行う。
(2)第一の集塵機4xの粉塵捕捉済みフィルターを洗浄したのち、第一の集塵機4xの出口端子5bから洗浄液供給ホース10を取り外し、乾燥用ホース11の一端を第一の集塵機4xの出口端子5bに、他端をブロワー3の吐出口端子20bに接続する(
図6(a))。
(3)第一の集塵機4xの出口端子5bとブロワー3の吐出口端子20bを乾燥用ホース11で接続したのち、ブロワー3で排気Xを吸引し、第二の集塵機4yで当該排気X中の粉塵を捕捉するとともに、当該第二の集塵機4yで粉塵が捕捉されてブロワー3を通過した洗浄空気を第一の集塵機4xに送り込み、当該洗浄空気で第一の集塵機4x及びそのフィルターを乾燥させる(
図6(b))。このとき、第一の集塵機4xの入口端子5aには、キャップを取り付けることもできる。
(4)第二の集塵機4yでの粉塵の捕捉及び第一の集塵機4xの乾燥が終わったのち、第一の集塵機4xに接続されている乾燥用ホース11を取り外す(
図6(c))。
(5)第一の集塵機4xから乾燥用ホース11を取り外したのち、当該第二の集塵機4yに接続されている吸引ホース8及び連結ホース9を取り外し、当該吸引ホース8を第一の集塵機4xの入口端子5aに、連結ホース9を第一の集塵機4xの出口端子5bに接続する(
図6(d))。
(6)第二の集塵機4xから吸引ホース8及び連結ホース9を取り外したのち、当該第二の集塵機4yの出口端子5bに洗浄液供給ホース10を接続し、第二の集塵機4y内の粉塵捕捉済みフィルターを洗浄液W1で洗浄する(
図6(e))。このとき、第二の集塵機4yの入口端子5aには、必要に応じて排出ホース24やキャップを取り付ける。
(7)第二の集塵機4y内の粉塵捕捉済みフィルターを洗浄したのち、第二の集塵機4yから洗浄液供給ホース10を取り外すとともに、第二の集塵機4yの出口端子5bに乾燥用ホース11の一端を接続し、当該乾燥用ホース11の他端をブロワー3の吐出口3bに接続する(
図6(f))。このようにすることで、第一の集塵機4xで粉塵を捕捉するとともに、ブロワー3を通過した洗浄空気で第二の集塵機4y内の洗浄済みフィルターを乾燥させることができる。このとき、第二の集塵機4yの入口端子5aには、キャップを取り付けることもできる。
(8)以後、前記(1)〜(7)の要領で、吸引ホース8、連結ホース9、洗浄液供給ホース10、乾燥用ホース11を二つの集塵機4x、4yに付け替えて、粉塵の集塵、フィルターの洗浄及び乾燥を繰り返し行う。
【0042】
(粉塵捕捉方法のその他の実施形態)
前記実施形態では、粉塵捕捉済みフィルターを洗浄する場合や洗浄済みフィルターを乾燥する場合を含めて説明しているが、フィルターの洗浄や乾燥が不要な場合(例えば、二つの集塵機4を順番に一回ずつ使用すれば集塵が完了するような場合)には、第一の集塵機4xで集塵したのち、連結ホース9を第二の集塵機4yに付け替え、第二の集塵機4yで集塵を行えば足り、フィルターの洗浄や乾燥は省略することができる。
【解決手段】 本発明の粉塵捕捉装置は、ブロワーと二以上の集塵機と連結ホースを備え、その連結ホースの一端をブロワーに接続し、他端を二以上の集塵機に順次付け替えることによって、二以上の集塵機で粉塵を捕捉する装置である。本発明の粉塵捕捉方法は、粉塵捕捉装置を用いて排気中の粉塵を捕捉する方法であって、粉塵捕捉装置として、ブロワーと二以上の集塵機と連結ホースを備えたものを利用し、連結ホースの一端をブロワーの吸引口に接続し、他端を二以上の集塵機に順次付け替えることによって、二以上の集塵機で粉塵を捕捉する方法である。