(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5956688
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】拡張物理ダウンリンク制御チャネル(EPDCCH)メッセージをマッピングするための方法及び通信ノード
(51)【国際特許分類】
H04W 72/04 20090101AFI20160714BHJP
H04J 11/00 20060101ALI20160714BHJP
【FI】
H04W72/04 136
H04J11/00 Z
H04W72/04 131
【請求項の数】26
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2015-533012(P2015-533012)
(86)(22)【出願日】2013年1月30日
(65)【公表番号】特表2015-536070(P2015-536070A)
(43)【公表日】2015年12月17日
(86)【国際出願番号】SE2013050078
(87)【国際公開番号】WO2014046591
(87)【国際公開日】20140327
【審査請求日】2015年4月16日
(31)【優先権主張番号】61/702,817
(32)【優先日】2012年9月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100095957
【弁理士】
【氏名又は名称】亀谷 美明
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100128587
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 一騎
(72)【発明者】
【氏名】フレンネ、マティアス
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ジュン−フ
(72)【発明者】
【氏名】エリクソン、エリク
(72)【発明者】
【氏名】ラーソン,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】フルスコグ、ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】クーラパティ、ハビッシュ
【審査官】
岡 裕之
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2012/109542(WO,A1)
【文献】
特表2010−529766(JP,A)
【文献】
特表2006−510333(JP,A)
【文献】
特表2010−537509(JP,A)
【文献】
特開2011−023942(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/136469(WO,A1)
【文献】
LG Electronics,Remaining details of ECCE and EREG resource mapping, 3GPP TSG-RAN WG1#70b R1-124320,2012年10月12日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−26
H04W 4/00−99/00
H04J 11/00
IEEE Xplore
CiNii
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−2
CT WG1
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張物理ダウンリンク制御チャネル(EPDCCH)メッセージのシンボルをマッピングするための、通信ノード(110)における方法であって、前記EPDCCHは、1つ以上のアグリゲーションレベルを含み、各アグリゲーションレベルについて、EPDCCHメッセージは、制御チャネルエレメント(eCCE)のセットにより構成され、各eCCEは、複数の拡張リソースエレメントグループ(eREG)のセットへとマッピングされ、各eREGは、物理リソースブロック(PRB)ペア内のリソースエレメント(RE)のグループであり、前記方法は、
前記EPDCCHメッセージの前記シンボルを、前記eCCEのセットに対応する前記複数のeREGを構成する前記REのセットへとマッピングすること(1007)と、
EPDCCHシンボルが前記REのセットへとマッピングされる順序は、前記アグリゲーションレベルに依存することと、
前記マッピング(1007)は、前記EPDCCHシンボルを、複数のPRBペアのEPDCCHセットの割当てられる前記eREGにわたってサブキャリア優先方式でマッピングし、次に時間にわたってマッピングすることにより実行されることと、
マッピングされた前記EPDCCHメッセージをユーザ機器(UE)(120)へ送信すること(1009)と、前記EPDCCHメッセージの前記マッピングによって、EPDCCHペイロードの前記UE(120)による受信時に、使用される前記アグリゲーションレベルを前記UE(120)が検出することが可能とされることと、
を特徴とする、方法。
【請求項2】
前記EPDCCHメッセージの前記シンボルをREのセットへとマッピングすること(1007)は、前記EPDCCHシンボルを、各PRBペアの範囲内の割当てられる前記eREGにわたって、サブキャリア優先方式でマッピングし、次に時間にわたってマッピングし、次に前記EPDCCHセット内の複数のPRBペアにわたってマッピングすることにより、実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記EPDCCHメッセージの前記シンボルをREのセットへとマッピングすること(1007)は、前記EPDCCHシンボルを、EPDCCHセットに属する全てのPRBペア内の割当てられる前記eREGにわたって、サブキャリア優先方式でマッピングし、次に時間にわたってマッピングすることにより、実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
巡回冗長検査(CRC)ビットを付加し(1001)、EPDCCHペイロードビット及びCRCビットを符号化ビットの3つの出力パリティストリームへと符号化すること(1002)と、
複数の出力シーケンスの各々をインターリーブすること(1003)と、
前記EPDCCHへ割当てられる物理チャネルビットの数に適合するように、前記複数の出力シーケンスを読み取ること(1005)と、
ビットの前記出力シーケンスをスクランブリングすること(1006)と、
をさらに含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記EPDCCHメッセージのアグリゲーションレベル固有のスクランブリングを実行すること(1008)、
をさらに含む、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記EPDCCHメッセージのアグリゲーションレベル固有のスクランブリングを実行すること(1008)は、
1つ以上のビットを含む等サイズ又は別サイズのビットチャンクへと符号化ビットをグループ化することと、
前記アグリゲーションレベルに依存する順序で、前記ビットチャンクを並び替えることと、
をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記EPDCCHメッセージのアグリゲーションレベル固有のスクランブリングを実行すること(1008)は、
1つ以上のシンボルを含む等サイズ又は別サイズのシンボルチャンクへと変調EPDCCHシンボルをグループ化することと、
前記アグリゲーションレベルに依存する順序で、前記チャンクを並び替えることと、
をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記EPDCCHメッセージの前記アグリゲーションレベル固有のスクランブリングを実行すること(1008)は、前記EPDCCHの各ダウンリンク制御情報(DCI)メッセージを、その対応するアグリゲーションレベル固有のスクランブリングシーケンスでスクランブリングすること、をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記EPDCCHメッセージの前記アグリゲーションレベル固有のスクランブリングを実行するためのスクランブリングシーケンスの初期化は、前記アグリゲーションレベルに依存する、請求項5〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記EPDCCHメッセージのアグリゲーションレベル固有のスクランブリングを実行すること(1008)は、符号化ビットを巡回シフトすること、をさらに含み、前記符号化ビットの前記巡回シフトは、アグリゲーションレベル依存の巡回シフトである、請求項5〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記巡回シフトは、変調シンボル又はプリコーディングされた変調シンボルについて実行される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
出力シーケンスを循環バッファであるバッファへと収集すること(1004)、
をさらに含む、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記通信ノード(110)は、eNodeB又はリレーノードである、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
拡張物理ダウンリンク制御チャネル(EPDCCH)メッセージのシンボルをマッピングするための通信ノード(110)であって、前記EPDCCHは、1つ以上のアグリゲーションレベルを含み、各アグリゲーションレベルについて、EPDCCHメッセージは、制御チャネルエレメント(eCCE)のセットにより構成され、各eCCEは、複数の拡張リソースエレメントグループ(eREG)のセットへとマッピングされ、各eREGは、物理リソースブロック(PRB)ペア内のリソースエレメント(RE)のグループであり、前記通信ノードは、
前記EPDCCHメッセージの前記シンボルを、前記eCCEのセットに対応する前記複数のeREGを構成する前記REのセットへとマッピングするように構成されるチャネル符号化回路(250)、及び、
マッピングされた前記EPDCCHメッセージをユーザ機器(UE)(120)へ送信するように構成される通信用インタフェース(308)、
を含むことと、
EPDCCHシンボルが前記REのセットへとマッピングされる順序は、前記アグリゲーションレベルに依存することと、
前記チャネル符号化回路(250)は、前記EPDCCHシンボルを、複数のPRBペアのEPDCCHセットの割当てられる前記eREGにわたって、サブキャリア優先方式でマッピングし、次に時間にわたってマッピングする、ようにさらに構成され、前記EPDCCHメッセージの前記マッピングによって、EPDCCHペイロードの前記UE(120)による受信時に、使用される前記アグリゲーションレベルを前記UE(120)が検出することが可能とされることと、
を特徴とする、通信ノード(110)。
【請求項15】
前記チャネル符号化回路(250)は、前記EPDCCHシンボルを、各PRBペアの範囲内の割当てられる前記eREGにわたって、サブキャリア優先方式でマッピングし、次に時間にわたってマッピングし、次に前記EPDCCHセット内の複数のPRBペアにわたってマッピングすることにより、前記EPDCCHメッセージの前記シンボルをREのセットへとマッピングする、ようにさらに構成される、請求項14に記載の通信ノード(110)。
【請求項16】
前記チャネル符号化回路(250)は、前記EPDCCHシンボルを、EPDCCHセットに属する全てのPRBペア内の割当てられる前記eREGにわたって、サブキャリア優先方式でマッピングし、次に時間にわたってマッピングすることにより、前記EPDCCHメッセージの前記シンボルをREのセットへとマッピングする、ようにさらに構成される、請求項14に記載の通信ノード(110)。
【請求項17】
巡回冗長検査(CRC)ビットを付加し、EPDCCHペイロードビット及びCRCビットを符号化ビットの3つの出力パリティストリームへと符号化する、ように構成されるエンコーダ(252)と、
複数の出力シーケンスの各々をインターリーブするように構成されるインターリーブ回路(254)と、
前記EPDCCHへ割当てられる物理チャネルビットの数に適合するように、前記複数の出力シーケンスを読み取るように構成されるレートマッチング回路であって、当該レートマッチング回路のビットの前記出力シーケンスをスクランブリングするように構成される当該レートマッチング回路(262)と、
をさらに含む、請求項14〜16のいずれかに記載の通信ノード(110)。
【請求項18】
前記チャネル符号化回路(250)は、前記EPDCCHメッセージのアグリゲーションレベル固有のスクランブリングを実行する、ようにさらに構成される、請求項14〜17のいずれかに記載の通信ノード(110)。
【請求項19】
前記チャネル符号化回路(250)は、1つ以上のビットを含む等サイズ又は別サイズのビットチャンクへと符号化ビットをグループ化し、前記アグリゲーションレベルに依存する順序で、前記ビットチャンクを並び替えることにより、前記EPDCCHメッセージの前記アグリゲーションレベル固有のスクランブリングを実行する、ようにさらに構成される、請求項18に記載の通信ノード(110)。
【請求項20】
前記チャネル符号化回路(250)は、1つ以上のシンボルを含む等サイズ又は別サイズのシンボルチャンクへと変調EPDCCHシンボルをグループ化し、前記アグリゲーションレベルに依存する順序で、前記チャンクを並び替えることにより、前記EPDCCHメッセージの前記アグリゲーションレベル固有のスクランブリングを実行する、ようにさらに構成される、請求項18に記載の通信ノード(110)。
【請求項21】
前記チャネル符号化回路(250)は、前記EPDCCHの各ダウンリンク制御情報(DCI)メッセージを、その対応するアグリゲーションレベル固有のスクランブリングシーケンスでスクランブリングすることにより、前記EPDCCHメッセージの前記アグリゲーションレベル固有のスクランブリングを実行する、ようにさらに構成される、請求項18に記載の通信ノード(110)。
【請求項22】
前記EPDCCHメッセージの前記アグリゲーションレベル固有のスクランブリングを実行するためのスクランブリングシーケンスの初期化は、前記アグリゲーションレベルに依存する、請求項18〜21のいずれかに記載の通信ノード(110)。
【請求項23】
前記チャネル符号化回路(250)は、符号化ビットを巡回シフトすることにより、前記EPDCCHメッセージの前記アグリゲーションレベル固有のスクランブリングを実行する、ようにさらに構成され、前記符号化ビットの前記巡回シフトは、アグリゲーションレベル依存の巡回シフトである、請求項18〜22のいずれかに記載の通信ノード(110)。
【請求項24】
前記巡回シフトは、変調シンボル又はプリコーディングされた変調シンボルについて実行される、請求項23に記載の通信ノード(110)。
【請求項25】
出力シーケンスをバッファへと収集するように構成されるビット収集回路(258)、をさらに含み、
前記バッファは、前記通信ノード(110)の循環バッファである、
請求項14〜24のいずれかに記載の通信ノード(110)。
【請求項26】
前記通信ノード(110)は、eNodeB又はリレーノードである、請求項14〜25のいずれかに記載の通信ノード(110)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここでの実施形態は、通信ノード及びそこでの方法に関する。具体的には、その技術分野は、拡張物理ダウンリンク制御チャネル(EPDCCH)メッセージのシンボルをマッピングすることに関する。
【背景技術】
【0002】
3GPP(3
rd Generation Partnership Project) LTE(Long Term Evolution)技術は、拡張eNodeB(eNB)ともいう基地局からユーザ機器(UE)ともいう移動局への送信信号が直交周波数分割多重(OFDM)を用いて送信されるモバイルブロードバンド無線通信技術である。OFDMは、周波数において複数の並列的なサブキャリアへと信号をスプリットする。LTEにおける基本的な送信の単位はリソースブロック(RB)であり、RBは、その最も一般的な構成において、12個のサブキャリアと、7個のOFDMシンボル、1スロットとを含む。物理リソースにおけるRBを示すものとして一般的な用語は、物理リソースブロック(PRB)でもある。同じ12個のサブキャリアを使用する同じサブフレーム内の2つのPRBは、PRBペアと表記される。これがLTEにおいてスケジューリング可能な最小のリソース単位である。
【0003】
1つのサブキャリア及び1つのOFDMシンボルという単位をリソースエレメント(RE)4といい、
図1においてダウンリンク物理リソース2の表現において示されている通りである。よって、1つのPRBは84個のREを含む。
図1には、サイクリックプレフィクスを含むOFDMシンボル6もまた示されている。サイクリックプレフィクスは、OFDM信号について、チャネルの時間分散(time dispersion)からの影響を受けにくくする。サイクリックプレフィクスの挿入は、OFDMシンボルの最後の部分を単純にコピーしてOFDMシンボルの冒頭へそれを挿入することにより達成される。LTE無線サブフレームは、
図2のダウンリンクサブフレーム8により示されているように、周波数において複数のリソースブロックからなり、そのPRBの数はシステムの帯域幅を左右し、及び時間において2つのスロットからなる。追加的に、時間領域において、LTEダウリンク送信は、10msの無線フレームへと編成され、各無線フレームは、長さT
subframe=1msの等サイズの10個のサブフレームを含む。
【0004】
UEへの無線リンク上で送信されるメッセージは、大まかに、制御メッセージ及びデータメッセージに分類され得る。制御メッセージは、システムの適切な動作及びシステム内の各UEの適切な動作を促進するために使用される。制御メッセージは、UEからの送信電力、及びUEによりデータが受信され又はUEからデータが送信されるべきRBのシグナリングといった機能を制御するためのコマンドを含み得る。
【0005】
特に3GPP TS36.211、TS36.212、TS36.213への参照を伴う3GPP LTE仕様のリリース8において、構成に依存してサブフレーム内の1番目のOFDMシンボルから4番目のOFDMシンボルまでが、例えば
図2の制御領域10により示されているような制御情報を含むものとして予約されている。さらに、3GPP LTE仕様のリリース11において、拡張物理ダウンリンク制御チャネル(EPDCCH)という拡張された制御チャネルが導入され、3GPP LTE仕様のリリース11より以前のリリースのUEへの制御情報を含み得る最初の1〜4個のシンボルはPRBペアから除外されるものの、EPDCCHではPRBペアはEPDCCH送信を排他的に含むように予約される。
図3においてこの様子が示されている。
図3では、ダウンリンクサブフレーム12は、10個のRBペアと、各々サイズ1のPRBペアであって、横線、縦線及び斜線のストライプで塗りつぶされて示されている3つのEPDCCH領域の構成とを示している。残りのPRBペアは、物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)送信のために使用され得る。
【0006】
よって、EPDCCHは、PDSCH送信と時間多重されるPDCCHとは反対に、PDSCH送信と周波数多重される。PDSCH送信のためのリソース割当て(RA)は、ダウンリンク制御情報(DCI)フォーマットに依存して、複数のRAタイプで存在する。いくつかのRAタイプは、リソースブロックグループ(RBG)という最小のスケジューリング粒度を有し得る。RBGは、周波数において隣接するリソースブロックのセットであり、UEをスケジューリングする際、UEは個別のRBではなくRBGを基準にリソースを割当てられる。
【0007】
ダウンリンク(DL)においてUEがスケジューリングされ、ダウンリンク制御情報(DCI)メッセージがEPDCCHにより搬送される場合、UEは、DL割当てを搬送するPRBペアがリソース割当てから除外されることを前提とするものとされており、即ちレートマッチングが適用される。ここで、レートマッチングは、エンコーダからの出力ビット数が利用可能な物理チャネルビット数に適合することが保証されることを意味する。そのため、この文脈において、DL割当てを搬送するPRBペアは、PDSCH送信のために利用可能な物理チャネルビットを何ら有しない。レートマッチングは、出力ビットから符号化ビットをシステマティックに除去することにより遂行される。どのビットが除去されるかは、送信側及び受信側の双方において既知である。これは、符号チェーンレートマッチングとしても知られている。例えば、サイズが隣接するPRBペア3つであるRBG内のPDSCHにUEがスケジューリングされ、それらPRBペアのうちの1つがDL割当てを含む場合、UEは、このRBG内の残り2つのPRB内でのみPDSCHが送信されることを前提とするものとされる。PDSCHの多重化及びPRBペア内のEPDCCH送信は3GPP LTE仕様のリリース11においてサポートされていないことにも留意されたい。
【0008】
PDCCH及びEPDCCHは、複数のユーザUEの間で共有される無線リソース上で送信される。各PDCCHは、PDCCHが利用しようとするCCEの数を制御することによりリンク適応を可能とするための、制御チャネルエレメント(CCE)として知られるより小さい部分を含む。PDCCH内のCCEの数は、CCEアグリゲーションレベルと呼ばれ、1、2、4又は8個の連続するCCEの論理シーケンスであり得る。制御領域内の利用可能なCCEの合計数は、物理制御フォーマットインジケータチャネル(PCFICH)構成、システム帯域幅及び構成されるPHICHリソースの数により左右される(
図2参照)。各PDCCHは、厳密に1つのDCIを含む。
【0009】
リソース利用率を改善し、チャネル品質にDCIメッセージの符号レートを適応させるための手段を提供するためには、複数のアグリゲーションレベルが複数のDCIフォーマットをサポートすることを要する。DCIサイズは、フォーマット及びチャネル帯域幅に依存して大きく変化する。様々なアグリゲーションレベルを伴うPDCCHは、“1サイズで全てにフィット(one size fits all)”という解決策の代わりに、リソース利用率の粒度を増加させ得る。ブロードキャスト制御メッセージのリソース割当てについては、より多くの保護を提供するために、より高いアグリゲーションレベルが使用され得る。制御メッセージのためのアグリゲーションレベルは4又は8であり得る一方、UE固有のPDSCH又はPUSCH送信をスケジューリングするDCIメッセージのためのアグリゲーションレベルは1、2、4又は8であり得る。よって、UEは、UE固有のサーチスペースについてCCEの4通りのアグリゲーションレベル、具体的には1、2、4及び8を、共通サーチスペースについてCCEの2通りのアグリゲーションレベル、具体的には4及び8をモニタリングしなければならない。サーチスペースは、UEが自身のPDCCH候補を発見するかもしれない(即ち、サーチ対象である)サブフレーム内の全CCEの合計セットの範囲内のCCEの集合である。
【0010】
2008年からの3GPP技術仕様36.213“Physical Layer Procedures, Release 8”は、セクション9.1.1において、アグリゲーションレベルL∈{1,2,4,8}でのサーチスペースS
k(L)を説明しており、これは次式により与えられるCCEの連続的なセットにより定義される:
【0011】
【数1】
【0012】
ここで、N
CCE,kはサブフレームkの制御領域内のCCEの合計数であり、Z
k(L)はサーチスペースの開始を定義し、i=0,1,…,M
(L)・L−1であり、M
(L)は所与のサーチスペース内でモニタリングすべきPDCCHの数である。各CCEは、36個のQPSK変調シンボルを含む。M
(L)の値は、3GPP技術仕様36.213“Physical Layer Procedures (Release 8)”内のテーブル9.1.1−1により仕様化されており、以下に転載される。
【0013】
【表1】
【0014】
この定義では、システム帯域幅に関わらず、異なるアグリゲーションレベルについてのサーチスペースが互いに重複し得る。より具体的には、UE固有のサーチスペースと共通サーチスペースとが重複するかもしれず、及び、異なる複数のアグリゲーションレベルについてのサーチスペースが重複するかもしれない。以下の、合計でCCEは9つであり、PDCCH候補の間の非常に頻繁な重複が存在する1つの例を参照されたい。
【0015】
【表2】
【0016】
PDCCHと同様に、EPDCCHは複数のUEにより共有される無線リソース上で送信され、拡張CCE(eCCE)がPDCCHのためのCCEに等価なものとして導入される。eCCEは、固定数のREをも有し、但しEPDCCHマッピングのために利用可能なREの数は概してこの固定数よりも少なく、なぜなら多くのREがセル固有リファレンス信号(CRS)及びチャネル状態情報リファレンス信号(CSI−RS)といった他の信号により占められるからである。符号チェーンのレートマッチングは、あるeCCEに属するREが他の衝突する信号を含む度ごとに適用され、他の衝突する信号とは、CRS、CSI−RS、レガシー制御領域、又は時間分割複信(TDD)のケースではガードピリオド(GP)及びアップリンクパイロット時間スロット(UpPTS)などである。よって、衝突する信号により占められるREは、EPDCCHにとって利用可能な物理チャネルビットに属しない。
【0017】
図4における例を考慮されたい。そこでは、CCEが常にT
avail=36個の利用可能なREを含むようにCRSを回避しているPDCCHマッピングを、アイテム14が例示している。アイテム16では、どのようにeCCEが名目上で36個のREを含むかが示されているが、衝突する信号が存在する場合には利用可能なREの数はより少なく、よってEPDCCHについてT
avail≦36REである。衝突する信号はサブフレーム依存であることから、T
availの値もまたサブフレーム依存になり、衝突がeCCEに不均等に影響する場合には異なるeCCEについてT
availの値が異なることさえあり得る。なお、PRBペアごとのeCCEの数が2つである場合(いつこれが生じるかについては以下のテーブル3参照)、eCCEごとのREの名目上の数は36個ではなく、その代わりに、通常及び拡張サイクリックプレフィクス(CP)についてそれぞれ72個又は64個である。
【0018】
3GPP LTE仕様のリリース11において、EPDCCHは、UE固有のサーチスペースのみをサポートする一方で、共通サーチスペースは依然として同じサブフレーム内のPDCCHにおいてモニタリングされることになる。将来のリリースでは、EPDCCH送信についても共通サーチスペースが導入され得る。以下のテーブル2に示した制限を伴って、UEはeCCEのアグリゲーションレベル1、2、4、8、16及び32をモニタリングするように仕様化されており、ここでn
EPDCCHは、PRBペアにおけるEPDCCH送信にとって利用可能なREの数である。様々なアグリゲーションレベルはEPDCCHフォーマット0、1、2、3及び4として付番されている。テーブル2において、分配され(distributed)及び局所化される(localized)送信信号とは、リソースエレメントへのEPDCCHのマッピングをいう。
【0019】
【表3】
【0020】
分配される送信において、EPDCCHは、D=2、4又は8としてD個のPRBペアまでのリソースエレメントへとマッピングされてよく、D=16という値もまた考慮され得る。この手法で、EPDCCHメッセージについて周波数ダイバーシティが達成され得る。
図5は、ダウンリンクサブフレーム18がEPDCCHに属する4つの部分を示す概略的な例であり、それはPRBペアとして知られる多様な拡張制御領域へとマッピングされ、分散的な送信と周波数ダイバーシティ又はサブバンドプリコーディングとが達成される。
【0021】
局所化される送信において、EPDCCHは、スペースが許すならば1つのPRBペアのみへとマッピングされる(これは、アグリゲーションレベル1及び2については常に可能であり、レベル4についても通常サブフレームかつ通常CP長なら可能である)。EPDCCHのアグリゲーションレベルが大き過ぎるケースでは、EPDCCHに属する全てのCCEがマッピング済みとなるまで、より多くのPRBペアを用いて、第2のPRBペアもまた使用されるなどする。1つのPRBペアにフィットするeCCE数は、以下のテーブル3により与えられる。
【0022】
【表4】
【0023】
図6は、局所化される送信の様子を示している。
図6において、ダウンリンクサブフレーム20は、4つのeCCEがEPDCCHに属しており局所化された送信を達成するために拡張制御領域の1つへとマッピングされていることを示している。
【0024】
一例として、通常サブフレームにおいて、通常CP長であってn
EPDCCH≧104である場合、局所化される送信は、アグリゲーションレベル{1,2,4,8}を使用しており、それぞれ{1,1,1,2}個のPRBペアへマッピングされる。
【0025】
eCCEの物理リソースへのマッピングを容易化するために、各PRBペアは16個の拡張リソースエレメントグループ(eREG)へ分割され、各eCCEは通常及び拡張サイクリックプレフィクスについてそれぞれ4又は8個のeREGへとスプリットされる。EPDCCHは、結果として、アグリゲーションレベルに依存して、4又は8の倍数個のeREGへとマッピングされる。ePDCCHに属するこれらeREGは、局所化される送信にとって典型的であるように単一のPRBペアに所在するか、又は分配される送信にとって典型的であるように複数のPRBペアに所在するか、のいずれかである。PRBペアのeREGへの厳密な分割は、様々な手法で実行されてよい。PRBペアのeREGへの分割の1つの例が
図7に示されている。
【0026】
図7は、通常サブフレームにおける通常サイクリックプレフィクス構成のPRBペアを示している。各タイルはリソースエレメントであり、数字はリソースエレメントをグループ化するeREGに対応する。右傾した対角線の縞模様のタイルは0というインデックスが与えられる第1のeREGに対応する。左傾した対角線の縞模様のタイルは、復調リファレンス信号(DMRS)を含む。
【0027】
3GPP標準に関しては、4又は8個のeREGをそれぞれいかにeCCEへとグループ化するかについて3GPP内で未だ合意はなされていない。EPDCCHメッセージの符号化され変調されたシンボルをその関連付けられるeREGにより予約されるリソース内のREへといかにマッピングするかについても問題は未解決である。追加的に、EPDCCHについてのアグリゲーションレベルごとのブラインド復号の回数は3GPP標準化作業において未決定である。同様に、PDCCHでそうであったようにEPDCCHについても異なるアグリゲーションレベルのEPDCCH候補の間の重複が生じることになるが、局所化されるマッピング及び分配されるマッピングについてサーチスペースのランダム化をいかに生成するかは未決定である。
【0028】
PDCCH及びEPDCCH送信は、レート1/3テールバイティング畳み込み符号のための、循環バッファに基づくレートマッチングを採用する。符号化ビットの反復及び異なるアグリゲーションレベルの間のサーチスペースの重複に起因して、複数のアグリゲーションレベルが巡回冗長検査(CRC)を通過するかもしれず、これがPDCCHのケースについてここで説明されるであろう。当該ケースでは、CCEごとの利用可能なREの数は常にT
avail=36個である。
【0029】
循環バッファに基づくレートマッチングに起因して、所与のPDCCHアグリゲーションサイズ(2、4又は8)について、符号化ビットは、第1のCCEの後に自己反復を開始する。
図8には、具体的なペイロードサイズ(48ビット)についての一例が与えられている。
図8において、アグリゲーションサイズ8では4回の反復が存在し、各反復は循環バッファ内の同じ位置で開始することを見ることができる。
【0030】
概して、レベルの混同を有することになる必要条件は、等式(2)において以下に示したように表現され得る。
3×N×k=2×T
avail×m (2)
ここで、Nは曖昧性のあるペイロードサイズであり、m及びkは共に整数である。PDCCHについて、CCE別の変調シンボル数は、上で議論したように、T
avail=36個であり得る。よって、PDCCHについて、等式(2)を以下の等式(2´)に示したように簡略化し得る。
N×k=24×m (2´)
【0031】
なお、UEは0.8よりも大きい符号レートでPDCCHを復号することを要請されないために、Nは、58×(8−m)以下であるべきである。例えば、N=48である場合、m=2kであり、kは値1、2又は4をとり得る。{1,2,4,8}の任意の組合せが2つ以上のアグリゲーションレベルの混同を生じさせ得る。LTE PDCCHペイロードは、情報ビットと対応する16ビットの巡回冗長検査(CRC)とを含み、ペイロードサイズは12ビット以上である。CRCビットは、ペイロードビットの関数であり、検出されるペイロードが正しいかを高確率で検証する可能性を受信機に提供する。そこで、LTEシステムでのPDCCH送信に当てはまる全ての問題となるペイロードサイズの網羅的なリストが以下のセット(3)に示される。
{12,14,16,20,24,26,32,40,44,56} (3)
【0032】
PDCCHにおける符号化ビットの反復と、異なるアグリゲーションサイズの間のサーチスペースの重複とに起因して、複数のアグリゲーションサイズがCRCのチェックを通過し得る。PDCCHの最初のCCEはダイナミックスケジューリングのためのアップリンクACK/NACKリソースにリンク付けされることから、UEは、eNBに知られていない異なるリソースでそのACK/NACKを送信するかもしれず、複数のACK/NACKリソースがあり得る。このようにして、異なるアグリゲーションレベルからの2つ以上のPDCCH復号候補が異なる最小CCEインデックスを有する場合に、対応するPDCCHグラントの、最初のCCEからマッピングされるアップリンク(UL)ACK/NAKリソースの位置における混同が存在し得る。潜在的に間違っているUL ACK/NAKリソース位置は、不必要なUL干渉を生じさせるだけでなく、特に高ジオメトリUEについて、ダウンリンクのスループットにも影響を与えかねない。高ジオメトリUEとは、高い信号対干渉比を伴うなどのように、良好なチャネル品質を伴うUEである。PDCCHについてのこの問題を回避するために、(本明細書での実施形態に関しない)1つの提案済みの解決策は、DCIフォーマットペイロードがセット(3)にリスト化されたペイロードのうちの1つに属さなくなるまで、ペイロードへ1つ以上のゼロビットを付加(append)することを含む。
【0033】
【数2】
【0034】
【数3】
【0035】
問題のあるペイロードサイズに伴う課題は、EPDCCH送信についても存在する。しかしながら、eCCEごとの利用可能なREの数であるT
availは固定数でもなければ異なるサブフレームにわたって一定でもないことから、3GPP技術仕様36.212“Multiplexing and channel coding”のテーブル5.3.3.1.2−1の、問題のあるペイロードサイズを識別するという解決策は扱いにくくなる。なぜなら、T
availのあり得る値の各々について、問題のあるペイロードサイズの1つのセットが必要とされるからである。さらに、異なるeCCEは異なる数の利用可能なREを有するかもしれず、これはなお一層、問題のあるペイロードサイズでの解決策への興味を低下させる。
【0036】
これは、PDCCHについて解決策が見出される前に3GPP LTE仕様のリリース8について存在していたものと同じUL ACK/NACKの混乱の問題を招く。なぜなら、EPDCCH送信についても、関連するUL ACK/NACKリソースは、関連するDL割当ての最初のeCCEのインデックスの関数だからである。加えて、これは、実際に送信されたEPDCCHメッセージのアグリゲーションレベルよりも正確に検出されたEPDCCHのアグリゲーションレベルが小さい場合に、PDSCHリソース割当ての曖昧性の問題を招き、それにより、DL割当てについて実際に使用されたものよりも少ないPRBペアがUEにより想定されることになる。
【0037】
UEは、DL割当てのEPDCCH送信のために使用されないスケジューリングされたPRBペアは対応するPDSCH送信を含むであろうと想定する。UEがより小さいアグリゲーションレベルでEPDCCHを検出した場合、いくつかのケースでは、実際に使用されたものよりも少ないPRBペアしかEPDCCHについて使用されないとUEが想定することが起こり得る。これらのケースでは、UEは、PDSCH送信が含まれることを想定することになるが、そのPDSCHの受信は失敗するであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0038】
従って、ここでの実施形態の目的は、上述した課題を最小化し及び/又は回避する、LTEシステムでの通信を改善する手法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0039】
ここでの実施形態の第1の観点によれば、上記目的は、拡張物理ダウンリンク制御チャネル(EPDCCH)メッセージのシンボルをマッピングするための、通信ノードにおける方法により達成される。上記EPDCCHは、1つ以上のアグリゲーションレベルを含む。各アグリゲーションレベルについて、EPDCCHメッセージは、制御チャネルエレメント(eCCE)のセットにより構成される。各eCCEは、複数の拡張リソースエレメントグループ(eREG)のセットへとマッピングされ、各eREGは、物理リソースブロック(PRB)ペア内のリソースエレメント(RE)のグループである。上記通信ノードは、EPDCCHメッセージの上記シンボルを、上記eCCEのセットに対応する上記複数のeREGを構成する上記REのセットへとマッピングする。上記EPDCCHシンボルが上記REのセットへとマッピングされる順序は、上記アグリゲーションレベルに依存する。
【0040】
ここでの実施形態の第2の観点によれば、上記目的は、拡張物理ダウンリンク制御チャネル(EPDCCH)メッセージのシンボルをマッピングするための通信ノードにより達成される。上記EPDCCHは、1つ以上のアグリゲーションレベルを含む。各アグリゲーションレベルについて、EPDCCHメッセージは、制御チャネルエレメント(eCCE)のセットにより構成される。各eCCEは、複数の拡張リソースエレメントグループ(eREG)のセットへとマッピングされ、各eREGは、物理リソースブロック(PRB)ペア内のリソースエレメント(RE)のグループである。上記通信ノードは、EPDCCHメッセージの上記シンボルを、上記eCCEのセットに対応する上記複数のeREGを構成する上記REのセットへとマッピングするように構成されるチャネル符号化回路を含む。上記EPDCCHシンボルが上記REのセットへとマッピングされる順序は、上記アグリゲーションレベルに依存する。
【0041】
EPDCCHメッセージにおいてアグリゲーションレベルが示されることから、不必要なUL干渉を生み出し及びダウンリンクスループットに悪影響を与える、UEによるアグリゲーションレベルの誤解釈を原因とする潜在的なUL ACK/NAKリソース位置の間違いを回避することができる。これは、LTEシステムにおける改善された通信に帰結する。
【発明の効果】
【0042】
本明細書における実施形態の利点は、大きいアグリゲーションレベルでEPDCCHからスケジューリングされる場合のPDSCHの受信失敗の問題が除去されることである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
添付図面は、本発明の例示的な実施形態を次の通り示す:
【0044】
【
図1】LTE(Long Term Evolution)ダウンリンク物理リソースを描いている。
【
図3】10個のRBペアを伴うダウンリンクサブフレームを示している。
【
図4】CCEとeCCEとの間の差異を示している。
【
図5】他のダウンリンクサブフレームを描いている。
【
図6】他のダウンリンクサブフレームを示している。
【
図7】通常のサブフレームにおける通常サイクリックプレフィクス構成のPRBペアを示している。
【
図10】通信ノードにおける方法の実施形態を描いたフローチャートである。
【
図11】例示的な実施形態に係るチャネル符号化回路の主要な機能エレメントを示している。
【
図12】例示的な実施形態に係る複数のeCCEを示している。
【
図13】例示的な実施形態に従ってeCCEがいかにeREGへとマッピングされ得るかを示している。
【
図14】例示的な実施形態に係る通信ノードを示している。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明の以下の詳細な説明は、添付図面を参照する。異なる図面中の同じ参照番号は、同じ又は同様のエレメントを識別する。また、以下の詳細な説明は、本発明を限定しない。
【0046】
LTE(Long Term Evolution)では、リリース11において、拡張物理ダウンリンク制御チャネル(EPDCCH)として知られる拡張制御チャネルが導入された。EPDCCHは、Nを変数としてN個の拡張制御チャネルエレメント(eCCE)の集合体を含む。EPDCCHエンコーダの構造に起因して、UEは、ある状況下で、実際に使用されるN個のeCCEよりも少ないeCCEを用いてしか正確にEPDCCHを検出しないかもしれない。これは、潜在的な2つの問題を招き得る:(1)HARQ−ACKリソースがユーザ機器(UE)により間違って選択され、どのリソースが使用されるかについてeNBとUEとの間で誤解が存在することになる;(2)EPDCCH送信のために使用されるべきPRBペアが、代わりに物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)送信のために使用されるというように、UEが誤った前提をおくことになり、PDSCHの受信エラーがもたらされる。
【0047】
ここでの例示的な実施形態によれば、これら問題は、UEが受信されるEPDCCH送信信号の使用されるアグリゲーションレベルを検出するための手段を取り入れることにより解決され得る。UEは、アグリゲーションレベルの検出を意図的に試行しなくてもよいが、UEがEPDCCHを検出した場合には、そのアグリゲーションレベルもまた何らの曖昧性なく知得されるという結果となる。この手法で、UEは、送信についてどのアグリゲーションレベルが使用されたかにおける曖昧性無く、EPDCCHを検出し得る。これは、アップリンク(UL)のACK/NACKリソースを正確に得るために、最初のeCCEインデックスが正確に取得されることを保証し得る。さらに、ここでの例示的な実施形態は、EPDCCH送信を含むPRBペアがPDSCH送信を含んでいることについて混乱が無いことを保証する。
【0048】
これを達成するための手法は、eCCEのセットに対応する複数のeREGを構成するREのセットへEPDCCHメッセージのシンボルをマッピングする、EPDCCH固有の手法及びアグリゲーションレベル固有の手法を取り入れることであり、その中で、EPDCCHシンボルをREのセットへマッピングする順序はアグリゲーションレベルに依存する。eCCEは、物理レイヤにおけるREのOFDM時間周波数グリッドにおいて定義される、4又は8のeREGのグループとして定義される。例えば、eCCE#0は、eREG0、4、8及び12を含み得る。そして、各eREGは、PRBペアの範囲内のREの特定のグループからなる。ePDCCHは、1つ又は複数のeCCEを含んでよく、よってEPDCCHを構成するeCCEのセットは、物理レイヤにおいて複数のeREGに対応する。
【0049】
これを達成するための他の手法は、EPDCCH固有及びアグリゲーションレベル固有のEPDCCHのスクランブリングを取り入れることである。UEが正確なスクランブリングシーケンス、即ち正確なアグリゲーションレベルを想定しない場合には、EPDCCHの検出は失敗することになる。
【0050】
例示的な実施形態によれば、LTE通信システムにおけるEPDCCHの検出エラーを除去するためのシステム及び方法が存在する。情報ビットを含むEPDCCHペイロード及び付加されるCRCビットは、送信用の符号化ビットシーケンスを生成するために符号化され得る。符号化ビットは、循環バッファへと入力され得る。
【0051】
図9は、ここでの実施形態が実装され得る無線通信システム100を描いている。無線通信システム100は、LTEシステムなどの無線通信ネットワークである。
【0052】
無線通信システム100は、1つ以上のセルを含む。
図9において、通信ノード110は、セル115へサービスを提供している。通信ノード110は、eNodeB、略してeNBであってもよく、又は例えばLTEシステムに関連付けられるリレーノードといった他の送信ノードであってもよい。
【0053】
ユーザ機器(UE)120は、セル115内に位置する。UE120は、例えば、携帯電話、例えばラップトップ、PDA(Personal Digital Assistant)若しくはサーフプレートと呼ばれることもあるタブレットコンピュータといった無線ケイパビリティを伴うコンピュータ、又は、無線通信システム100において通信ノード110との間で無線リンク上で通信可能な何らかの他の無線ネットワークユニットであってよい。また、UE120は、リレーノードであってもよい。
【0054】
次に、拡張物理ダウンリンク制御チャネル(EPDCCH)メッセージのシンボルをマッピングするための、通信ノード110における方法の例示的な実施形態について、
図10に描いたフローチャートを参照しながら説明する。通信ノード110は、eNodeB、略してeNB、又はリレーノードであってよい。EPDCCHは、1つ以上のアグリゲーションレベルを含み、各アグリゲーションレベルについて、EPDCCHメッセージは、eCCEのセットにより構成される。各eCCEは、複数のeREGのセットへとマッピングされ、各eREGは、1つのPRBペア内のREのグループである。本方法は、以下のアクション群を含み、それらアクションは、任意の適した順序で行われてよい。ここで説明される方法のアクションは、一般的な形で記述されており、後により詳細に説明されるであろう。アクション1001〜1006及び1008〜1009は、例示的な実施形態に係るオプションとしてのアクションである。オプションとしてのアクションは、
図10において破線のボックスで示されている。
【0055】
[アクション1001]例示的なシナリオにおいて、通信ノード110は、UE120へ送信されるべきEPDCCHペイロードビットを受け取っている。通信ノード110は、符号化の前にCRCビットを付加し得る。CRCビットは、ペイロードビットの関数である。いくつかの実施形態によれば、全体的なPDCCHペイロードがCRCパリティビット”を計算するために使用される。PDCCHペイロードのビット群はa
0,a
1,a
2,a
3,…a
A−1により表記され、パリティビットはp
0,p
1,p
2,p
3,…p
L−1により表記される。AはPDCCHペイロードサイズであり、Lはパリティビット数である。
【0056】
セクション5.1.1に従い、Lを16ビットに設定してパリティビットが計算され及び付加され、B=A+Lとして、シーケンスb
0,b
1,b
2,b
3,…b
B−1が導出される。
【0057】
[アクション1002]通信ノード110は、EPDCCHペイロードビット及び付加されたCRCビットを、符号化ビットへと、符号化ビットの3つの出力パリティストリームへと符号化する。これは、符号化ビットシーケンスを生成するためである。
【0058】
[アクション1003]いくつかの実施形態において、通信ノード110は、複数の出力シーケンスの各々をインターリーブする。これは、チャネル符号の性能を改善するためである。
【0059】
[アクション1004]いくつかの実施形態において、通信ノード110は、出力シーケンスをバッファへと収集する。バッファは、循環バッファであってよい。これは、次のステップでの効果的なレートマッチングを提供するためであり、物理チャネルビット数が符号化ビット数よりも多い場合に加えてより少ないケースをカバーする。
【0060】
[アクション1005]通信ノード110は、EPDCCHへ割当てられる物理チャネルビットの数に適合するように、複数の出力シーケンスを読み取り得る。これは、符号化ビットと物理チャネルビットとの間の1対1のマッピングが存在することを保証するための、符号チェーンレートマッチングである。
【0061】
[アクション1006]通信ノード110は、ビットの出力シーケンスをスクランブリングし得る。これは、隣接セルからのPDCCHをUE120等のUEが検出してしまう確率を引き下げるためであり、異なるセル又は通信ノード110等のeNBに、異なるスクランブリングシーケンスを割当てることにより達成される。
【0062】
[アクション1007]
ここでの実施形態によれば、通信ノード110は、EPDCCHメッセージのシンボルを、eCCEのセットに対応する複数のeREGを構成するREのセットへとマッピングする。EPDCCHシンボルがREのセットへとマッピングされる順序は、アグリゲーションレベルに依存する。これは、アグリゲーションレベルの暗黙的な標識となるEPDCCHメッセージに帰結する。UE120がその標識を伴うEPDCCHメッセージを受信する場合、アグリゲーションレベルのいかなる誤解釈も回避される。
【0063】
マッピングは、EPDCCHシンボルを、複数のPRBペアのEPDCCHセットの割当てられるeREGにわたって、例えば割当てられる全てのeREGにわたってサブキャリア優先方式(subcarrier-first fashion)でマッピングし、次に時間にわたってマッピングすることにより、実行されてもよい。
【0064】
時間(この文脈ではOFDMシンボル)が一方の次元であり、周波数(この文脈ではサブキャリア)が他方の次元である2次元のリソースグリッドにおいて、サブキャリア優先方式でのマッピングが意味するのは、メッセージが、まずは、第1のOFDMシンボル内の複数のサブキャリアにわたって時間上の当該第1のOFDMシンボルへマッピングされ、続いて、第2のOFDMシンボル内の複数のサブキャリアにわたって当該第2のOFDMシンボル内でマッピングされる、などといったことである。
【0065】
いくつかの実施形態において、通信ノード110は、EPDCCHシンボルを、各PRBペアの範囲内の割当てられるeREGにわたって、サブキャリア優先方式でマッピングし、次に時間にわたってマッピングし、次にEPDCCHセット内の複数のPRBペアにわたってマッピングする、ことによりEPDCCHメッセージのシンボルをREのセットへとマッピングする。
【0066】
いくつかの代替的な実施形態において、通信ノード110は、EPDCCHシンボルを、EPDCCHセットに属する全てのPRBペアにわたって、即ちEPDCCHセットに属する全てのPRBペア内の割当てられるeREGにわたって、サブキャリア優先方式でマッピングし、次に時間にわたってマッピングする、ことによりEPDCCHメッセージのシンボルをREのセットへとマッピングする。
【0067】
異なるマッピング手法が後により詳細に説明されるであろう。
【0068】
[アクション1008]
これはオプションとしてのアクションである。通信ノード110は、EPDCCHメッセージのアグリゲーションレベル固有のスクランブリングを実行し得る。
【0069】
いくつかの実施形態において、通信ノード110は、1つ以上のビットを含む等サイズ又は別サイズのビットチャンク(chunks of bits)へと符号化ビットをグループ化し、アグリゲーションレベルに依存する順序でビットチャンクを並び替えることにより、EPDCCHメッセージのアグリゲーションレベル固有のスクランブリングを実行する。
【0070】
いくつかの実施形態において、通信ノード110は、1つ以上のシンボルを含む等サイズ又は別サイズのシンボルチャンク(chunks of symbols)へと変調EPDCCHシンボルをグループ化し、アグリゲーションレベルに依存する順序でチャンクを並び替えることにより、EPDCCHメッセージのアグリゲーションレベル固有のスクランブリングを実行する。
【0071】
いくつかの実施形態において、通信ノード110は、EPDCCHの各DCIメッセージを、その対応するアグリゲーションレベル固有のスクランブリングシーケンスでスクランブリングすることにより、EPDCCHメッセージのアグリゲーションレベル固有のスクランブリングを実行する。
【0072】
いくつかの実施形態において、EPDCCHメッセージのアグリゲーションレベル固有のスクランブリングを実行するためのスクランブリングシーケンスの初期化がアグリゲーションレベルに依存する。
【0073】
いくつかの実施形態において、通信ノード110は、符号化ビットを巡回シフトする(cyclically shift)ことにより、EPDCCHメッセージのアグリゲーションレベル固有のスクランブリングを実行し、符号化ビットの当該巡回シフトは、アグリゲーションレベル依存の巡回シフトである。
【0074】
上記巡回シフトは、変調シンボル又はプリコーディングされた変調シンボルについて実行されてよい。
【0075】
EPDCCHメッセージのアグリゲーションレベル固有のスクランブリングを実行する様々な手法は、後により詳細に説明されるであろう。
【0076】
このアクションは、アクション1007におけるマッピングとの組合せで実行されてもよいが、アクション1007におけるマッピングと組合せられることなく単独で実行されてもよい。
【0077】
[アクション1009]
これはオプションとしてのアクションである。いくつかの実施形態において、通信ノード110は、マッピングされたEPDCCHメッセージをUE120へ送信し、EPDCCHメッセージの当該マッピングは、EPDCCHペイロードの、UE120による受信時の使用されるアグリゲーションレベルを、UE120が検出することを可能とする。
【0078】
次に、上述した方法に関するいくつかの実施形態がより詳細に説明されるであろう。
【0079】
例示的な実施形態に従って、
図11は、EPDCCHをチャネル符号化するための、eNB又は通信ノード110といった他の送信ノード内の、チャネル符号化回路250の主要な機能エレメント群を示している。
図11に見られるように、eNBといった通信ノード110は、エンコーダ252、インターリーブ回路254、ビット収集回路258、及びレートマッチング回路260を含む。
図11に示したコンポーネントは、1つ以上のプロセッサ、ハードウェア、ファームウェア又はそれらの組合せにより実装され得る。エンコーダ252へは、情報ビットを含むEPDCCHペイロード及び付加されるCRCビットが入力され得る。エンコーダ252は、EPDCCHペイロード及び付加されるCRCビットを符号化して、符号化ビットシーケンスを生成する。これは、上のアクション1001及び1002への言及である。エンコーダ252は、例えば、レート1/3畳み込みエンコーダを含んでよい。よって、テールバイティング畳み込みエンコーダの入力においてペイロードサイズがNビットである場合、エンコーダ252の出力において3×Nビットが存在する。代替的に、ブロック符号及びターボ符号といった他の前方誤り訂正(FEC)符号もまた使用されてよい。
【0080】
図11に示したように、エンコーダ252から出力される符号化ビットは、インターリーブ回路254へ入力される。インターリーブ回路254の機能は、符号化ビットを並び替えてバーストエラーに対するロバスト性を増加させることである。これは、上のアクション1003への言及である。1つの例示的な実施形態において、インターリーブ回路254は、複数のサブブロックインターリーバ256を含む。エンコーダ252により出力される符号化ビットストリームは、複数のサブストリームへと分割され、それらサブストリームは、それぞれのサブブロックインターリーバ256へと入力される。サブブロックインターリーバ256へと供給されたサブストリームは、それぞれd
k(0)、d
k(1)及びd
k(2)と表記され得る。サブブロックインターリーバ256は、それぞれのビットストリームd
k(0)、d
k(1)及びd
k(2)をインターリーブして、出力シーケンスv
k(0)、v
k(1)及びv
k(2)を生成する。
【0081】
ビット収集回路258は、出力シーケンスv
k(0)、v
k(1)及びv
k(2)を循環バッファ260へと収集する。これは、上のアクション1004への言及である。出力シーケンスは、循環バッファ260へとシーケンシャルに読み取られ得る。レートマッチング回路262は、循環バッファ260から符号化ビットを読み取って、EPDCCHへ割当てられた制御チャネルエレメントを満たしていく。これは、上のアクション1005への言及である。送信されるビット数が循環バッファ260のサイズを上回る場合には、レートマッチング回路262は、循環バッファ260の冒頭へ周回し(wraps)、ビットの読み取りを続ける。これは、循環バッファを必要とされる回数だけ周回して読み取ることにより、符号化されるメッセージが任意の数の物理チャネルビットへレートマッチングされ得ることから、循環バッファの構造の特徴である。
【0082】
循環バッファ260内の符号化ビット数がEPDCCHへ割当てられたeCCEのサブセット内のビット数に等しい場合、即ち、EPDCCHメッセージの符号化において使用される実際のeCCEよりも少ない場合には、問題が生じ得る。そうしたケースでは、符号化ビットシーケンスは、2回以上繰り返され、各反復は、循環バッファ260内の同じ位置で始まる。このケースでは、CRCは、2つ以上の異なるアグリゲーションレベルについて通過(pass)し、曖昧性をもたらし得る。例えば、アグリゲーションレベル4の送信メッセージが有し得るその符号化ビットの前半部は、アグリゲーションレベル2の対応する符号化メッセージに完全に適合する。よって、UE120は、想定されるアグリゲーションレベル2でEPDCCHメッセージを正確に符号化するかもしれず、CECチェックはメッセージが正常であることを示すであろう。よって、メッセージは正確に受信されるが、復号時に使用されるアグリゲーションレベルは送信時とは同じでない。
【0083】
また別のより詳細な例において、16ビットの情報フィールドがあるとして、それは16ビットのCRC追加後には32ビットのペイロードサイズとなり、アグリゲーションレベル4で送信され、eCCEごとに利用可能なREの数は64ビットであるものとする。合計ではよって256個の符号化ビットが存在し、及びレートマッチングバッファは96ビットを保持し、これは
図12に見られるように2と2/3回循環的に読み取られることになる。実際に送信される符号語が4つのeCCEへとマッピングされるとしても、DCIメッセージを最初のeCCE又は最後のeCCEのみを用いて復号することが可能である。
図12に示した例では、第1及び第4のeCCEは、送信されたEPDCCHがAL=4を使用する場合であっても、アグリゲーションレベル(AL)=1のEPDCCHとして正確に検出されるはずである。
【0084】
従って、eCCEごとに64個の利用可能なビットがあれば、32ビットのペイロードはAL=1とAL=4との間の曖昧性を生じさせ、最初のeCCEのインデックスに関する曖昧性をも生じさせる。さらなる分析を行うと、この例について、ペイロード{16,32,64,128}は同様の曖昧性を生じさせることが示される。但し、代わりにeCCEごとに62ビットが存在する場合、問題となるペイロードは代わりに{31,62,124}である。よって、このペイロードのセットはeCCEごとに利用可能なREの数に大きく依存し、その数は可変的であり、問題のあるペイロードのセットをリスト化して1つ以上のゼロビットを付加するPDCCHの方法はEPDCCHについては現実的な解決策ではないことが明白である。
【0085】
曖昧性が生じるのは、符号化ビットの1番目のパートが1番目のeCCEへ、2番目のパートが2番目のeCCEへなどといったようにマッピングされるという意味で、eCCEがEPDCCH内で連続的な順序でREへとマッピングされる場合である。これを克服するために、ここでのいくつかの実施形態では、符号化されるEPDCCHビットのマッピングは、代わりに、マッピングがeCCEにより予約されるリソースにわたって構造化された手法で分散されるように実行される。これら実施形態によれば、EPDCCHは、アグリゲーションレベルに依存するようにREへマッピングされる。これは、上のアクション1007への言及である。
【0086】
次に、複数のリソースにわたる構造化された手法を実行するための例示的な方法が説明される。各アグリゲーションレベルについて、EPDCCHメッセージはeCCEのセットにより構成され、各eCCEは、複数のeREGのセットへとマッピングされる。各eREGは、PRBペア内のREの一意なグループであり、EPDCCHメッセージは、eCCEが対応する複数のeREGを構成するREのセットへとマッピングされる。EPDCCHメッセージに属する割当てられたeREGにより予約されるREのセットを見ると、EPDCCHシンボルがそこにマッピングされる順序は、様々な手法で選択され得る。これら例示的な実施形態での順序は、アグリゲーションレベルに依存し、但し他のオプションもまた可能である。
【0087】
例えば、各PRBペアの範囲内で、全ての割当てられたeCCEに属する割当てられたeREGにわたって、好適には全ての割当てられたeREGにわたってサブキャリア優先方式でEPDCCHシンボルをマッピングすることにより、
図13に示したようなeREGのインターリーブが獲得され、eCCEのインターリーブもまた獲得され得る。eREGの数はアグリゲーションレベル依存であることから、マッピング順序もまたアグリゲーションレベル依存になる。UE120は、間違ったアグリゲーションレベルを想定した場合、EPDCCHメッセージの復号に失敗することになり、それによって曖昧性が解決される。
図13は、例示的な実施形態に従っていかにeCCEがeREGへとマッピングされ得るかを示している。
【0088】
図13に示した例において、1つのeCCEが太線で囲まれたボックスにより示したeREG0、4、8及び12へとマッピングされており、別のeCCEが破線で囲まれたボックスにより示したeREG1、5、9及び13へとマッピングされている。EPDCCHがPRBペアの範囲内で全てのeREGにわたって周波数優先的にマッピングされる場合、第1のeCCEのみを使用するメッセージは、1番目のOFDMシンボル内の0、4及び8で示したREへ、続いて2番目のOFDMシンボル内のRE12、0、4などへとマッピングされるはずである。アグリゲーションレベル2を使用するEPDCCHメッセージについて、EPDCCHは、サブキャリア優先方式で、1番目のOFDMシンボル内の0、1、4、5、8及び9としてマークされたREへ、同様に2番目のOFDMシンボル内のREへマッピングされるはずである。間違ったアグリゲーションレベルの前提の下でEPDCCHの復号を試行するUEは、異なるeCCEに属するREのこのインターリーブに起因して、EPDCCHを成功裏に復号することができないであろう。
【0089】
よって、1よりも大きいアグリゲーションレベルについて、この例は、eCCEがインターリーブされることを示しており、それは実質的にアグリゲーションレベル依存のREマッピングに帰結する。
【0090】
他の例において、EPDCCHのマッピングは、EPDCCHに属するPRBペア内の全てのeREGにわたってサブキャリア優先方式で行われ、次に時間にわたって行われるこれもまた、マッピングに起因するeCCEのインターリーブを達成し、マッピングは使用されるアグリゲーションレベルに依存するようになる。UE120が間違ったアグリゲーションレベルを想定する場合、UE120はEPDCCHメッセージの復号に失敗することになり、よって曖昧性が解決される。
【0091】
いくつかの例示的な実施形態によれば、EPDCCHの復号時に正確なアグリゲーションレベルが使用されたかを検出する目的で、各DCIメッセージは、アグリゲーションレベル固有のスクランブリングシーケンスでスクランブリングされてもよい。これは、上のアクション1008への言及である。
【0094】
さらなる例において、シフト関数は、以下のテーブル4により与えられる。さらに、同じ数値を共有するアグリゲーションレベルが存在しない限りで任意の数値に各アグリゲーションレベルが関連付けられる他の例を予見することが可能である。
【0099】
例示的な実施形態によれば、3つの変数Y、X及びZのうちの1つ又は複数が初期化関数から省略され又はゼロへ設定されてもよい。現行の実施形態において、通信ノード110は、UE120への送信前にEPDCCHメッセージのスクランブリングを実行する。UE120は、受信機の処理において、EPDCCHメッセージを復号する自身の処理の一部として、逆スクランブリングを実行するであろう。
【0102】
アグリゲーションレベルに基づく巡回シフト関数の一例は、テーブル4において与えられている。上の例では巡回シフトは変調シンボルを対象として実行されるが、巡回シフトはプリコーディングされた変調シンボルを対象として実行されてもよい。
【0105】
例示的な実施形態は、EPDCCHメッセージの間違ったアグリゲーションレベルの検出に起因する曖昧性の除去を可能とし、A/Nリソースは最初のeCCEのインデックスにより与えられることから、これは、間違ったUL ACK/NACK(A/N)リソースの選択の問題の除去につながる。アグリゲーションレベル及びそれに応じてeCCEの開始インデックスが正確に検出される場合、A/Nリソース選択の問題はもはや存在しない。
【0106】
図10に関連して上述したEPDCCHメッセージのシンボルをマッピングするための方法アクションを実行するために、通信ノード110は、
図11及び
図14に描いた以下の構成を含む。上で言及した通り。
【0107】
通信ノード110は、プロセッサ302又は複数のプロセッサコアと、メモリ304と、1つ以上の二次ストレージデバイス306と、通信ノード110と例えばUE120又は他のUEといった他のノード/デバイスとの間の通信を遂行するための通信用インタフェース308といったインタフェースユニットと、チャネル符号化回路250と、を含み得る。チャネル符号化回路250は、
図11に描かれており、上で説明済みである。
図14に描いたように、それは通信ノード110内に含められる。代替的に、通信ノード110は、上で説明した例示的な実施形態において説明したメッセージを受信し及び復号することの可能なUEとなるように構成されてもよい。インタフェースユニット308は、例えば、適切な標準に従ってエアインタフェース上で無線信号を送受信するように構成される送受信機を含み得る。上述したように、EPDCCHは、1つ以上のアグリゲーションレベルを含む。各アグリゲーションレベルについて、EPDCCHメッセージは、eCCEのセットにより構成される。各eCCEは、複数のeREGのセットへとマッピングされ、各eREGは、PRBペア内のREのグループである。通信ノード110は、例えば、eNodeB又はリレーノードであってもよい。
【0108】
通信ノード110は、EPDCCHメッセージのシンボルを、eCCEのセットに対応する複数のeREGを構成するREのセットへとマッピングするチャネル符号化回路250を含む。上記EPDCCHシンボルが上記REのセットへとマッピングされる順序は、アグリゲーションレベルに依存する。
【0109】
チャネル符号化回路250は、EPDCCHシンボルを、複数のPRBペアのEPDCCHセットの割当てられるeREGにわたって、サブキャリア優先方式でマッピングし、次に時間にわたってマッピングする、ようにさらに構成され得る。
【0110】
いくつかの実施形態において、チャネル符号化回路250は、EPDCCHシンボルを、各PRBペアの範囲内の割当てられるeREGにわたって、サブキャリア優先方式でマッピングし、次に時間にわたってマッピングし、次にEPDCCHセット内の複数のPRBペアにわたってマッピングすることにより、EPDCCHメッセージのシンボルをREのセットへとマッピングする、ようにさらに構成される。
【0111】
いくつかの実施形態において、チャネル符号化回路250は、EPDCCHシンボルを、EPDCCHセットに属する全てのPRBペア内の割当てられるeREGにわたって、サブキャリア優先方式でマッピングし、次に時間にわたってマッピングすることにより、EPDCCHメッセージのシンボルをREのセットへとマッピングする、ようにさらに構成される。
【0112】
チャネル符号化回路250は、EPDCCHメッセージのアグリゲーションレベル固有のスクランブリングを実行するようにさらに構成されてもよい。
【0113】
いくつかの実施形態において、チャネル符号化回路250は、1つ以上のビットを含む等サイズ又は別サイズのビットチャンクへと符号化ビットをグループ化し、アグリゲーションレベルに依存する順序で、ビットチャンクを並び替えることにより、EPDCCHメッセージのアグリゲーションレベル固有のスクランブリングを実行する、ようにさらに構成される。
【0114】
いくつかの実施形態において、チャネル符号化回路250は、1つ以上のシンボルを含む等サイズ又は別サイズのシンボルチャンクへと変調EPDCCHシンボルをグループ化し、アグリゲーションレベルに依存する順序で、チャンクを並び替えることにより、EPDCCHメッセージのアグリゲーションレベル固有のスクランブリングを実行する、ようにさらに構成される。
【0115】
チャネル符号化回路250は、EPDCCHの各DCIメッセージを、その対応するアグリゲーションレベル固有のスクランブリングシーケンスでスクランブリングすることにより、EPDCCHメッセージのアグリゲーションレベル固有のスクランブリングを実行する、ようにさらに構成されてもよい。
【0116】
EPDCCHメッセージのアグリゲーションレベル固有のスクランブリングを実行するためのスクランブリングシーケンスの初期化は、アグリゲーションレベルに依存し得る。
【0117】
チャネル符号化回路250は、符号化ビットを巡回シフトすることにより、EPDCCHメッセージのアグリゲーションレベル固有のスクランブリングを実行する、ようにさらに構成されてもよく、符号化ビットの当該巡回シフトは、アグリゲーションレベル依存の巡回シフトである。
【0118】
当該巡回シフトは、変調シンボル又はプリコーディングされた変調シンボルについて実行されてよい。
【0119】
通信ノード110は、EPDCCHペイロードビットを符号化ビットへと符号化し、及びCRCビットを付加するように構成されるエンコーダ252、をさらに含んでもよい。エンコーダ252は、
図11に示されている。
【0120】
通信ノード110は、複数の出力シーケンスの各々をインターリーブするように構成されるインターリーブ回路254、をさらに含んでもよい。インターリーブ回路254は、
図11に示されている。
【0121】
通信ノード110は、EPDCCHへ割当てられる物理チャネルビットの数に適合するように、複数の出力シーケンスを読み取るように構成されるレートマッチング回路262であって、当該レートマッチング回路のビットの出力シーケンスをスクランブリングするように構成されるレートマッチング回路262、をさらに含んでもよい。レートマッチング回路262もまた、
図11に示されている。
【0122】
インタフェース308は、マッピングされたEPDCCHメッセージをUE120へ送信するように構成されてよく、EPDCCHメッセージの当該マッピングは、EPDCCHペイロードのUE120による受信時の使用されるアグリゲーションレベルを、UE120が検出することを可能とする。
【0123】
通信ノード110は、出力シーケンスをバッファへと収集するように構成されるビット収集回路258、をさらに含んでもよく、当該バッファは、通信ノード110の循環バッファであってよい。ビット収集回路258は、
図11に示されている。
【0124】
開示された例示的な実施形態は、EPDCCHメッセージの間違ったアグリゲーションレベルの検出に起因する曖昧性の除去を提供する。理解されるべきこととして、本説明は、本発明を限定することを意図されていない。反対に、例示的な実施形態は、変形例、修正例及び均等物をカバーするように意図されており、それらは請求項の範囲内に含まれる。さらに、例示的な実施形態の詳細な説明において、ここでの実施形態の包括的な理解を提供する目的で多数の特定の詳細が説明されている。しかしながら、当業者は、多様な実施形態がそうした特定の詳細無しで実践され得ることを理解するはずである。
【0125】
本例示的な実施形態の特徴及びエレメントが特定の組合せで実施形態において説明されているが、各特徴又はエレメントは、実施形態の他の特徴及びエレメントの無いまま単独で使用されてもよく、又は、ここで開示された他の特徴及びエレメントを伴うとしても伴わないとしても多様な組合せで使用されてよい。本出願において提供されている方法又はフローチャートは、固有にプログラムされたコンピュータ又はプロセッサによる実行用のコンピュータ読取可能なストレージにおいて有形的に具現化されたコンピュータプログラム、ソフトウェア又はファームウェアで実装されてもよい。
【0126】
例示的な実施形態によれば、LTE(Long Term Evolution)システムにおいて拡張物理ダウンリンク制御チャネル(EPDCCH)の検出エラーを除去するための方法があり、当該方法は:情報ビットを含むEPDCCHペイロード及び付加される巡回冗長検査(CRC)ビットを符号化ビットへと符号化することと;上記符号化ビットを複数の出力シーケンスへと並び替えることと;上記出力シーケンスをバッファへと収集することと;レートマッチング回路により、上記出力シーケンスを、上記EPDCCHにより割当てられる制御チャネルエレメントを満たしていくように読み取ることと;上記EPDCCHのアグリゲーションレベル固有のスクランブリングを実行することと、を含む。
【0127】
例示的な実施形態によれば、上記EPDCCHのアグリゲーションレベル固有のスクランブリングを実行する上記ステップは、アグリゲーションレベル固有のスクランブリングシーケンスで各DCIメッセージをスクランブリングすること、をさらに含む。例示的な実施形態によれば、上記スクランブリングシーケンスの初期化が上記アグリゲーションレベルに依存する。他の例示的な実施形態によれば、上記バッファは、循環バッファであってよい。
【0128】
例示的な実施形態によれば、上記EPDCCHのアグリゲーションレベル固有のスクランブリングを実行する上記ステップは、上記符号化ビットを巡回シフトすること、をさらに含む。例示的な実施形態によれば、上記符号化ビットの上記巡回シフトは、アグリゲーションレベル依存の巡回シフトであってよい。
【0129】
例示的な実施形態によれば、上記EPDCCHのアグリゲーションレベル固有のスクランブリングを実行する上記ステップは、アグリゲーションレベルに依存する、EPDCCHからリソースエレメント(RE)へのマッピングを有すること、をさらに含む。
【0130】
例示的な実施形態によれば、上述した方法のいずれか、全て又はいくつかのサブセットは、上記LTEシステムに関連付けられるeNodeB又は例えばリレーノードといった他の送信ノードにより実装され得る。eNodeBは、プロセッサ、メモリ、通信用インタフェース、及びチャネル符号化回路を含んでよく、そのうちの1つ以上は、ここまでの段落において説明したステップ群を実行するように構成される。例示的な実施形態によれば、上記チャネル符号化回路は、エンコーダ、インターリーブ回路、ビット収集回路及びレートマッチング回路を含み得る。
【0131】
例示的な実施形態によれば、EPDCCHメッセージをハンドリングするための通信ノード110における方法が提供される。当該方法は:
情報ビットを含むEPDCCHペイロード及び付加される巡回冗長検査(CRC)ビットを、符号化ビットへと符号化することと;
上記符号化ビットを複数の出力シーケンスへと並び替えることと;
上記出力シーケンスをバッファへと収集することと;
レートマッチング回路により、上記出力シーケンスを、上記EPDCCHにより割当てられる制御チャネルエレメントを満たしていくように読み取ることと;
上記EPDCCHのアグリゲーションレベル固有のスクランブリングを実行することと、
を含む。
【0132】
そして、アグリゲーションレベル固有のスクランブリング後の上記EPDCCHメッセージは、UE120へと送信され得る。
【0133】
上記EPDCCHの上記アグリゲーションレベル固有のスクランブリングは、上記EPDCCHメッセージの、UE120による受信時の使用される上記アグリゲーションレベルを、UE120が検出することを可能とする。