【実施例】
【0060】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
以下の記載において、M単位、M
vi単位、D単位、D
H単位およびQ単位は、それぞれ以下の式で表されるシロキサン単位を表し、OE単位は、以下の式で表される有機単位を表す。
M単位…………(CH
3)
3SiO
1/2
M
vi単位…………(CH
3)
2(CH
2=CH)SiO
1/2
D単位…………(CH
3)
2SiO
2/2
D
H単位…………(CH
3)HSiO
2/2
Q単位…………SiO
4/2
OE単位…………CH
3CH
2O
1/2【0061】
粘度は、特に断らない限り25℃における測定値である。また、質量平均分子量(Mw)は、トルエンを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)装置(株式会社島津製作所製、装置名;Prominence GPCシステム、カラム;Shim−pack GPC−80M)を用いて測定し、ポリスチレン換算した値である。さらに、不揮発分(質量%)は、150℃×1時間の加熱条件で測定した値である。
【0062】
合成例1(レジン状ビニル基含有メチルポリシロキサンB1の合成)
テトラエトキシシラン970g(4.66mol)、クロロジメチルビニルシラン42g(0.35mol)、クロロトリメチルシラン357g(3.29mol)およびキシレン400gをフラスコにいれて撹拌し、その中に、水600gとアセトン300gとの混合液900gを滴下した。70〜80℃で1時間撹拌して加水分解を行った後、分液し、キシレン溶液を得た。次いで、得られたキシレン溶液に水500gを加えて水洗と分液を行い、キシレン溶液中のアセトンを水中に抽出した。そして、洗浄に用いた水が中性を示すまで、水洗と分液の操作を繰り返した。
【0063】
次いで、得られたキシレン溶液に、キシレン200gと水酸化カリウム0.18gを加え、加熱しながら撹拌を行った。140℃まで加熱して脱水を行った後、140℃で3時間還流を行った。冷却後、リン酸を用いて中和を行い、不揮発分が50質量%になるように調整し、ビニル基含有メチルポリシロキサンB1を得た。
【0064】
こうして得られたビニル基含有メチルポリシロキサンB1について、エトキシ基中のCH
2基由来の水素原子数と、ケイ素原子に結合したCH
3基由来の水素原子数との比(CH
2基由来の水素原子数/Si−CH
3基由来の水素原子数)を
1H−NMRにより求めたところ、0.0089であった。このことから、B1における、ケイ素原子に結合したメチル基(Si−CH
3基)に対するアルコキシ基(エトキシ基)のモル比(以下、OR/SiMeという。)は、0.013であることがわかった。
【0065】
また、得られたビニル基含有メチルポリシロキサンB1は、出発物質の仕込み量と
1H−NMRの結果から、M
Vi単位とM単位とQ単位とOE単位を有し、各単位のモル比が、M
Vi単位:M単位:Q単位:OE単位=0.042:0.396:0.562:0.017であることがわかる。GPCにより求めたB1のMwは3400であった。また、前記モル比およびMwから求められたB1の平均単位式は、M
Vi2.0M
19.1Q
27.2(OE)
0.82であり、1分子中のケイ素原子に結合したアルケニル基数は平均2.0個であった。
【0066】
合成例2(レジン状ビニル基含有メチルポリシロキサンB2の合成)
テトラエトキシシラン970g(4.66mol)、クロロジメチルビニルシラン70g(0.58mol)、クロロトリメチルシラン335g(3.09mol)およびキシレン400gをフラスコにいれて撹拌し、その中に水600gを滴下した。70〜80℃で1時間撹拌し、加水分解を行った後、分液し、キシレン溶液を得た。次いで、得られたキシレン溶液を130℃まで加熱し、脱水および脱塩酸を行った。キシレン溶液が中性を示すまで前記操作を続けた。
【0067】
次いで、キシレン溶液に、キシレン200gと水酸化カリウム0.18gを加え、加熱しながら撹拌を行った。140℃まで加熱を行った後、140℃で3時間還流を行った。冷却後、リン酸を用いて中和を行い、不揮発分が50質量%になるように調整し、樹脂状のビニル基含有メチルポリシロキサンB2を得た。
【0068】
こうして得られたビニル基含有メチルポリシロキサンB2において、
1H−NMRにより求められたCH
2基由来の水素原子数/Si−CH
3基由来の水素原子数は、0.0201であった。このことから、B2におけるOR/SiMeは、0.030であることがわかった。
【0069】
また、ビニル基含有メチルポリシロキサンB2は、出発物質の仕込み量と
1H−NMRの結果から、M
Vi単位とM単位とQ単位とOE単位を有し、各単位のモル比が、M
Vi単位:M単位:Q単位:OE単位=0.070:0.371:0.559:0.038であることがわかる。GPCにより求めたB2のMwは1850であった。また、前記モル比およびMwから求められたB2の平均単位式は、M
Vi1.8M
9.6Q
14.5(OE)
0.98であり、1分子中のケイ素原子に結合したアルケニル基数は平均1.8個であった。
【0070】
合成例3(レジン状ビニル基含有メチルポリシロキサンB3の合成)
分液後のキシレン溶液に、キシレンと水酸化カリウムを加えて140℃まで加熱し脱水した後、140℃で5時間還流を行った。それ以外は、合成例1と同様にして、ビニル基含有メチルポリシロキサンB3を得た。
【0071】
得られたビニル基含有メチルポリシロキサンB3について、
1H−NMRにより求められたCH
2基由来の水素原子数/Si−CH
3基由来の水素原子数は、0.0089であった。このことから、B3におけるOR/SiMeは、0.013であることがわかった。
【0072】
また、ビニル基含有メチルポリシロキサンB3は、出発物質の仕込み量と
1H−NMRの結果から、M
Vi単位とM単位とQ単位とOE単位を有し、各単位のモル比が、M
Vi単位:M単位:Q単位=0.042:0.396:0.562:0.017であることがわかる。GPCにより求めたB3のMwは3740であった。また、前記モル比およびMwから求められたB3の平均単位式はM
Vi2.2M
21.1Q
29.9(OE)
0.90であり、1分子中のケイ素原子に結合したアルケニル基数は平均2.2個であった。
【0073】
合成例4(レジン状ビニル基含有メチルポリシロキサンB4の合成)
テトラエトキシシラン970g(4.66mol)、クロロジメチルビニルシラン70g(0.58mol)、クロロトリメチルシラン335g(3.09mol)およびキシレン400gをフラスコにいれて撹拌し、その中に水600gとアセトン300gとの混合液900gを滴下した。70〜80℃で1時間撹拌し、加水分解を行った後、分液し、キシレン溶液を得た。
【0074】
次に、得られたキシレン溶液に水500gを加えて水洗と分液を行い、キシレン溶液中のアセトンを水中に抽出した。そして、洗浄に用いた水が中性を示すまで、水洗と分液の操作を繰り返した。
【0075】
次いで、キシレン溶液に、キシレン200gと水酸化カリウム0.18gを加え、加熱しながら撹拌を行った。140℃まで加熱を行い、その後140℃で3時間還流を行った。冷却後、リン酸を用いて中和を行い、不揮発分が50質量%になるように調整し、樹脂状のビニル基含有メチルポリシロキサンB4を得た。
【0076】
こうして得られたビニル基含有メチルポリシロキサンB4について、
1H−NMRにより求められたCH
2基由来の水素原子数/Si−CH
3基由来の水素原子数は、0.0140であった。このことから、B4におけるOR/SiMeは、0.021であることがわかった。
【0077】
また、得られたビニル基含有メチルポリシロキサンB4は、出発物質の仕込み量と
1H−NMRの結果から、M
Vi単位とM単位とQ単位とOE単位を有し、各単位のモル比が、M
Vi単位:M単位:Q単位:OE単位=0.070:0.371:0.559:0.026であることがわかる。GPCにより求めたB4のMwは2340であった。また、前記モル比およびMwから求められたB4の平均単位式はM
Vi2.3M
12.2Q
18.4(OE)
0.86であり、1分子中のケイ素原子に結合したアルケニル基数は平均2.3個であった。
【0078】
合成例5(ポリメチルハイドロジェンシロキサンC1の合成)
平均で式:MD
H50Mで表されるポリメチルハイドロジェンシロキサン1390g(0.44mol)と、オクタメチルシクロテトラシロキサン1406g(4.75mol)、およびヘキサメチルジシロキサン83g(0.51mol)を、活性白土25gとともにフラスコに入れて撹拌し、50〜70℃で6時間平衡化反応を行った。なお、以下の記載では、「平均で式:XXで表される」を、「平均式:XXで表される」と示す。
【0079】
次いで、反応液をろ過して活性白土を取り除いた後、5mmHg以下の減圧下で140℃まで昇温し、その後減圧下140〜150℃で加熱撹拌を6時間行った。
こうして得られたポリメチルハイドロジェンシロキサンC1は、出発物質の仕込み量から、平均式:MD
H23D
20Mで表されるものであることがわかる。この式から求められる、C1におけるSi−Hの含有割合は7.6mmol/gであった。
【0080】
得られたポリメチルハイドロジェンシロキサンC1のTGAによる重量減少率は、140℃で0.16重量%、180℃で0.26重量%であった。なお、TGA測定は、TG/DTA6200(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を使用し、室温から毎分5℃の昇温速度で温度を上昇させる条件で行った。C2〜C6のTGA測定も同様である。
【0081】
合成例6(ポリメチルハイドロジェンシロキサンC2の合成)
平均式:MD
H80Mで表されるポリメチルハイドロジェンシロキサン1985g(0.40mol)と、オクタメチルシクロテトラシロキサン1421g(4.80mol)を、活性白土30gとともにフラスコに入れて撹拌し、50〜70℃で6時間平衡化反応を行った。
【0082】
次いで、反応液をろ過して活性白土を取り除いた後、5mmHg以下の減圧下で130℃まで昇温し、その後減圧下130〜140℃で加熱撹拌を6時間行った。次いで、さらに薄膜蒸留を行った。すなわち、薄膜蒸留装置(株式会社神鋼環境ソリューション製、装置名:TYPE 2−03 WIPRENE)を用いて、前記加熱撹拌後の反応液500gを、減圧下130℃で約10時間かけて蒸留し、低沸点を有する低分子量物質の除去を行った。
【0083】
こうして得られたポリメチルハイドロジェンシロキサンC2は、出発物質の仕込み量から、平均式:MD
H80D
48M(ケイ素原子数130)で表されるものであることがわかる。この式から求められる、C2におけるSi−Hの含有割合は9.4mmol/gであった。また、得られたポリメチルハイドロジェンシロキサンC2のTGAによる重量減少率は、140℃で0.1重量%未満、180℃で0.20重量%であった。
【0084】
合成例7(ポリメチルハイドロジェンシロキサンC3の合成)
平均式:MD
H80Mで表されるポリメチルハイドロジェンシロキサン1092g(0.22mol)と、オクタメチルシクロテトラシロキサン1302g(4.40mol)を、活性白土22gとともにフラスコに入れて撹拌し、50〜70℃で6時間平衡化反応を行った。
【0085】
次いで、反応液をろ過して活性白土を取り除いた後、5mmHg以下の減圧下で130℃まで昇温し、その後減圧下130〜140℃で加熱撹拌を6時間行った。次いで、さらに前記した薄膜蒸留装置を用いて低沸点を有する低分子量物質の除去を行い、ポリメチルハイドロジェンシロキサンC3を得た。
【0086】
得られたポリメチルハイドロジェンシロキサンC3は、出発物質の仕込み量から、平均式:MD
H80D
80M(ケイ素原子数162)で表されるものであることがわかる。この式から求められる、C3におけるSi−Hの含有割合は7.4mmol/gであった。また、得られたポリメチルハイドロジェンシロキサンC3のTGAによる重量減少率は、140℃で0.20質量%、180℃で0.23重量%であった。
【0087】
合成例8(ポリメチルハイドロジェンシロキサンC4の合成)
トルエン500g、テトラエトキシシラン830g(4.0モル)およびジメチルクロロシラン760g(8.0モル)を仕込み、均一に溶解させた。これを、撹拌機、滴下装置、加熱・冷却装置および減圧装置を備えた反応容器に入れた過剰の水に、撹拌しながら滴下し、副生した塩酸の溶解熱を冷却により除去しつつ、室温で共加水分解と縮合を行った。得られた有機相を、洗浄水が中性を示すまで水で洗浄し、脱水した後、トルエンと副生したテトラメチルジシロキサンを、100℃/667Pa(5mmHg)で留去して、液状のポリメチルハイドロジェンシロキサンC4を得た。
【0088】
得られたポリメチルハイドロジェンシロキサンC4は、
29Si−NMRの測定により求められた各単位比(M
H:Q=2:1)と、GPCにより求められたMw775から、式:M
H8Q
4(ケイ素原子数12)で表されるレジン構造のポリメチルハイドロジェンシロキサンであることがわかった。このポリメチルハイドロジェンシロキサンC4におけるSi−Hの含有割合は10.3mmol/gであった。
また、ポリメチルハイドロジェンシロキサンC4のTGAによる重量減少率は、140℃で3.56重量%、180℃で15.7重量%であった。
【0089】
合成例9(ポリメチルハイドロジェンシロキサンC5の調製)
合成例5で得られたポリメチルハイドロジェンシロキサンC1に対して薄膜蒸留を行った。すなわち、薄膜蒸留装置(株式会社神鋼環境ソリューション製、装置名:TYPE 2−03 WIPRENE)を用いて、500gのC1を減圧下130℃で約10時間かけて蒸留し、低沸点を有する低分子量物質の除去を行った。
【0090】
こうして得られたポリメチルハイドロジェンシロキサンC5のTGAによる重量減少率は、140℃で0.1重量%未満、180℃でも0.1重量%未満であった。
【0091】
合成例10(ポリメチルハイドロジェンシロキサンC6の調製)
合成例8で得られたポリメチルハイドロジェンシロキサンC4に対して薄膜蒸留を行った。すなわち、薄膜蒸留装置(株式会社神鋼環境ソリューション製、装置名:TYPE 2−03 WIPRENE)を用いて、500gのC4を減圧下130℃で約10時間かけて蒸留し、低沸点を有する低分子量物質の除去を行った。
【0092】
こうして得られたポリメチルハイドロジェンシロキサンC6のTGAによる重量減少率は、140℃で0.21重量%、180℃でも4.27重量%であった。
【0093】
実施例1
分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された直鎖状のジメチルポリシロキサンA1(粘度70,000mPa・s)400質量部(以下、単に部と示す。)と、合成例1で得られたレジン状メチルポリシロキサンB1(Mw3400、1分子中のビニル基数平均2.0個、OR/SiMe=0.013)のキシレン溶液(50質量%)1200部とを混合し(混合の質量比は、不揮発分で(A1):(B1)=4:6)、減圧条件下150℃に加熱してキシレンを除去した。
【0094】
次いで、得られたビニル基含有ポリマー混合物(1)100部と、合成例5で得られた平均式:MD
H23D
20Mで表されるメチルハイドロジェンポリシロキサンC1を9.0部(ビニル基含有ポリマー混合物(1)中のビニル基に対する(C1)成分中のSi−Hのモル比(H/Vi)=1.8)と、(D)テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサンを配位子として有する白金錯体溶液をPt分として組成物全体の2ppmとなる量をそれぞれ混合し、ポリオルガノシロキサン組成物を調製した。
【0095】
実施例2〜5
両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された直鎖状ジメチルポリシロキサンA1(粘度70,000mPa・s)と、(B)成分として、合成例1,3,4で得られたレジン状メチルポリシロキサンB1、B3、B4のいずれか一つと、(C)成分として、合成例6〜7および合成例9〜10で得られたメチルハイドロジェンポリシロキサンC2〜C3およびC5〜C6のいずれか一つ、および(D)テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサンを配位子として有する白金錯体溶液を、それぞれ表1に示す割合で配合し、実施例1と同様に混合してポリオルガノシロキサン組成物を調製した。
【0096】
なお、実施例4においては、直鎖状のジメチルポリシロキサンA1の460部と、合成例3で得られたレジン状メチルポリシロキサンB3(Mw3740、1分子中のビニル基数平均2.2個、OR/SiMe=0.013)のキシレン溶液(50質量%)1080部とを混合し(混合の質量比は、不揮発分で(A1):(B3)=46:54)、減圧条件下150℃に加熱してキシレンを除去して得られたビニル基含有ポリマー混合物を用いた。
また、実施例5においては、直鎖状のジメチルポリシロキサンA1の580部と、合成例4で得られたレジン状メチルポリシロキサンB4(Mw2340、1分子中のビニル基数平均2.3個、OR/SiMe=0.021)のキシレン溶液(50質量%)840部とを混合し(混合の質量比は、不揮発分で(A1):(B4)=58:42)、減圧条件下150℃に加熱してキシレンを除去して得られたビニル基含有ポリマー混合物を用いた。
【0097】
比較例1
分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された直鎖状のジメチルポリシロキサンA1(粘度70,000mPa・s)400部と、合成例2で得られたレジン状メチルポリシロキサンB2(Mw1850、1分子中のビニル基数平均1.8個、OR/SiMe=0.030)のキシレン溶液(50質量%)1200部とを混合し(混合の質量比は、不揮発分で(A1):(B2)=4:6)、減圧条件下150℃に加熱してキシレンを除去した。
【0098】
次いで、得られたビニル基含有ポリマー混合物(2)100部と、合成例5で得られた平均式:MD
H23D
20Mで表されるメチルハイドロジェンポリシロキサンC1を14.3部(ビニル基含有ポリマー混合物(2)中のビニル基に対する(C1)成分中のSi−Hのモル比(H/Vi)=1.8)と、(D)テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサンを配位子として有する白金錯体溶液をPt分として組成物全体の2ppmとなる量をそれぞれ混合し、ポリオルガノシロキサン組成物を調製した。
【0099】
比較例2
分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された直鎖状のジメチルポリシロキサンA1(粘度70,000mPa・s)600部と、合成例2で得られたレジン状メチルポリシロキサンB2(Mw1850、1分子中のビニル基数平均1.8個、OR/SiMe=0.030)のキシレン溶液(50質量%)800部とを混合し(混合の質量比は、不揮発分で(A1):(B2)=6:4)、減圧条件下150℃に加熱してキシレンを除去した。
【0100】
次いで、得られたビニル基含有ポリマー混合物(3)100部と、合成例8で得られた式:M
H8Q
4で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサンC4を6.7部(ビニル基含有ポリマー混合物(3)中のビニル基に対する(C4)成分中のSi−Hのモル比(H/Vi)=1.7)と、(D)テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサンを配位子として有する白金錯体溶液をPt分として組成物全体の2ppmとなる量をそれぞれ混合し、ポリオルガノシロキサン組成物を調製した。
【0101】
こうして実施例1〜5および比較例1〜2で得られたポリオルガノシロキサン組成物の特性を、以下に示すようにして測定し評価した。結果を表1に示す。
【0102】
[硬化後の物性]
実施例1〜5および比較例1〜2で得られたポリオルガノシロキサン組成物を、成形後130℃で15分間加熱して硬化させ、厚さ2mmのシートを作製した。得られたシートからJIS K6249に準拠したサイズの試験片を切り出し、23℃における硬度(TYPE A)、引張強さ[MPa]および伸び[%]を、JIS K6249に拠り測定した。
【0103】
[透過率]
実施例1〜5および比較例1〜2で得られたポリオルガノシロキサン組成物を、金型内で、130℃で15分間加熱して硬化させ、厚さ2mmのシートを作製した。得られたシートから作製された試験片(縦30mm×横30mm)に波長400nmの光を照射し、透過率を測定した。透過率の測定は、分光測色計(コニカミノルタ社製、装置名;CM−3500d)を使用して行った。
【0104】
[離型性]
実施例1〜5および比較例1〜2で得られたポリオルガノシロキサン組成物を、縦220×横20mm、深さ3mmの金型内に注入し、160℃で5分間加熱して硬化させた。室温に冷却後、硬化物を金型から剥がすために要する剥離力を測定した。剥離力の測定は、金型を固定し、金型内の硬化物の端部をオートグラフで挟み、毎秒10mmの速さで垂直に引き上げて金型から剥がす方法で行った。
【0105】
[成形性]
実施例1〜5および比較例1〜2で得られたポリオルガノシロキサン組成物について、金型汚染性の評価を行った。東芝製EC100N射出成形機を使用して、金型(20mm×170mm、深さ2mm)内に射出し硬化させる成形を、成形温度140℃および180℃でそれぞれ1000ショット繰り返した。なお、いずれの成形温度でも、硬化時間は30秒間とした。その後、金型の成形面の汚れを目視で観察し、以下の基準で評価した。
評価基準
◎:金型に付着物、くもりなし
○:金型に多少のくもりあり
×:金型に付着物あり
【0106】
さらに、成形温度140℃で射出成形を行って得られた成形品のヘイズを測定した。そして、以下の式によりヘイズの変化率を求めた。なお、ヘイズの測定には、BYK Gardner社のmicro−TRI−glossを使用した。
ヘイズの変化率(%)=
{(1000ショット目の成形品のヘイズ)−1ショット目の成形品のヘイズ)/(1ショット目の成形品のヘイズ)}×100
【0107】
【表1】
【0108】
表1から、以下のことがわかる。すなわち、(A)〜(D)の各成分が本発明に規定する所定の組成で配合された実施例1〜5のポリオルガノシロキサン組成物は、硬化物の金型に対する離型性に優れており、剥離に要する力が小さいうえに、繰り返し射出成形を行っても金型を汚染することがない。また、成形品のヘイズの変化が少なく、初期の透明性を維持している。また、硬化物の光透過率が90%以上と高く、透明性に優れている。さらに、硬化物の硬さ、引張強さ、伸び等の物性も良好である。
【0109】
これに対して、比較例1のポリオルガノシロキサン組成物では、(B)成分であるレジン状ポリオルガノシロキサンが、実施例1〜5で配合されたレジン状ポリオルガノシロキサンとはと異なる方法により調製されており、1分子中のアルケニル基数の平均が2個未満となっている。そのため、得られる硬化物が、実施例1〜5の硬化物に比べて金型離型性および汚染性の点で劣っている。
また、比較例2のポリオルガノシロキサン組成物では、(B)成分として、1分子中のアルケニル基数の平均が2個未満のレジン状ポリオルガノシロキサンが使用され、さらに(C)成分として、重量減少率(140℃まで)が2.0重量%超のメチルハイドロジェンポリシロキサンが使用されているため、比較例1と同様に金型に対する汚染性が悪く、離型性は比較例1よりさらに悪くなっている。
【0110】
さらに、比較例1および2のポリオルガノシロキサン組成物を使用して繰り返し射出成形を行った成形品は、ヘイズの変化が大きく、初期の透明性が大幅に低下している。