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特許5956761配信システム、配信方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5956761
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】配信システム、配信方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/6332 20110101AFI20160714BHJP
   H04N 21/239 20110101ALI20160714BHJP
   H04N 5/44 20110101ALI20160714BHJP
   G06F 13/00 20060101ALI20160714BHJP
   H04M 3/493 20060101ALI20160714BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20160714BHJP
【FI】
   H04N21/6332
   H04N21/239
   H04N5/44
   G06F13/00 540A
   H04M3/493
   H04M11/00 302
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-22222(P2012-22222)
(22)【出願日】2012年2月3日
(65)【公開番号】特開2013-162309(P2013-162309A)
(43)【公開日】2013年8月19日
【審査請求日】2014年11月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】598138327
【氏名又は名称】株式会社ドワンゴ
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】川上 量生
(72)【発明者】
【氏名】岩城 進之介
【審査官】 堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−209880(JP,A)
【文献】 特開平10−164421(JP,A)
【文献】 特開2007−166022(JP,A)
【文献】 特開2006−135393(JP,A)
【文献】 特開2008−227940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/6332
G06F 13/00
H04M 3/493
H04M 11/00
H04N 5/44
H04N 21/239
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画像を受信し表示する端末装置に対し、前記端末装置から要求された映像データをネットワークを介して配信する配信システムであって、
複数の映像データの入力を受け付ける映像データ入力部と、
前記複数の映像データのうちユーザによって選択された映像データの配信の要求を表す要求データの受信に応じて、前記選択された映像データを前記ユーザの前記端末装置にネットワークを介して配信する配信部と、
所定の条件が満たされた場合に、所定の映像データの要求データを送信する事を前記端末装置に指示するための切替要求データを前記端末装置に前記ネットワークを介して送信する切替要求部と、を備える配信システム。
【請求項2】
前記所定の条件は、所定の映像データを配信する指示が配信システムの管理者によって入力されることである請求項1に記載の配信システム。
【請求項3】
動画像を受信し表示する端末装置に対し、前記端末装置から要求された映像データをネットワークを介して配信する配信システムが行う配信方法であって、
複数の映像データの入力を受け付ける映像データ入力ステップと、
前記複数の映像データのうちユーザによって選択された映像データの配信の要求を表す要求データの受信に応じて、前記選択された映像データを前記ユーザの前記端末装置にネットワークを介して配信する配信ステップと、
所定の映像データを配信する指示が配信システムの管理者によって入力された場合に、前記所定の映像データの要求データを送信する事を前記端末装置に指示するための切替要求データを前記端末装置に前記ネットワークを介して送信する切替要求ステップと、
を有する配信方法。
【請求項4】
動画像を受信し表示する端末装置に対し、前記端末装置から要求された映像データをネットワークを介して配信する配信システムとしてコンピュータを動作させるためのコンピュータプログラムであって、
複数の映像データの入力を受け付ける映像データ入力ステップと、
前記複数の映像データのうちユーザによって選択された映像データの配信の要求を表す要求データの受信に応じて、前記選択された映像データを前記ユーザの前記端末装置にネットワークを介して配信する配信ステップと、
所定の映像データを配信する指示が前記配信システムの管理者によって入力された場合に、前記所定の映像データの要求データを送信する事を前記端末装置に指示するための切替要求データを前記端末装置に前記ネットワークを介して送信する切替要求ステップと、
をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像のデータを配信する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワークの広帯域化に伴い、ネットワークを介して映像を配信する技術が注目されている。例えば、特許文献1の技術では、複数のカメラを配置し、各カメラで撮影された映像を予め決まったタイミングで切り替えて配信することによって、複数視点で撮影された映像を提供することが可能となる。しかし、特許文献1に記載の技術では、各カメラの映像を見ることができるタイミングが固定であるため、ユーザが自由にカメラを切り替えることはできなかった。そこで、特許文献2に記載の技術では、複数のカメラを配置することによって複数種類の映像配信を準備し、ユーザが所望の映像を選択することを可能としている。この技術では、ユーザは選択した映像の配信を受けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−067850号公報
【特許文献2】特開2011−103522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、配信される映像の選択権がユーザに移ってしまうと、配信者側がユーザに対して閲覧させたい映像を配信することが困難となってしまうという問題があった。例えば、ある時刻から所定の間は所定のカメラで撮影している映像をユーザに配信したいという要望が配信者側にあったとしても、そのような制御を行うことはできなかった。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、ユーザが所望の映像を選択することを可能としつつ、配信者側でユーザに対して配信する映像を制御することを可能とする技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、複数の映像データの入力を受け付ける映像データ入力部と、前記複数の映像データのうちユーザによって選択された映像データの配信の要求を表す要求データの受信に応じて、前記選択された映像データを前記ユーザの端末装置に配信する配信部と、所定の映像データを配信する指示が入力された場合に、前記所定の映像データの要求データを送信する事を前記端末装置に指示するための切替要求データを前記端末装置に送信する切替要求部と、を備える配信システムである。
【0007】
本発明の一態様は、上記の配信システムであって、前記所定の条件は、所定の映像データを配信する指示が入力されることである。
【0008】
本発明の一態様は、複数の映像データの入力を受け付ける映像データ入力ステップと、前記複数の映像データのうちユーザによって選択された映像データの配信の要求を表す要求データの受信に応じて、前記選択された映像データを前記ユーザの端末装置に配信する配信ステップと、所定の映像データを配信する指示が入力された場合に、前記所定の映像データの要求データを送信する事を前記端末装置に指示するための切替要求データを前記端末装置に送信する切替要求ステップと、を有する配信方法である。
【0009】
本発明の一態様は、複数の映像データの入力を受け付ける映像データ入力ステップと、前記複数の映像データのうちユーザによって選択された映像データの配信の要求を表す要求データの受信に応じて、前記選択された映像データを前記ユーザの端末装置に配信する配信ステップと、所定の映像データを配信する指示が入力された場合に、前記所定の映像データの要求データを送信する事を前記端末装置に指示するための切替要求データを前記端末装置に送信する切替要求ステップと、をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、ユーザが所望の映像を選択することを可能としつつ、配信者側でユーザに対して配信する映像を制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の配信システムの第一実施形態のシステム構成を表すシステム構成図である。
図2】ストリーミングサーバの機能構成を表す概略ブロック図である。
図3】端末装置の機能構成を表す概略ブロック図である。
図4】本発明の第一実施形態における配信システムの通常時の動作の流れを示すシーケンス図である。
図5】本発明の第一実施形態における配信システムのメイン切替時の動作の流れを示すシーケンス図である。
図6】本発明の配信システムの第二実施形態のシステム構成を表すシステム構成図である。
図7】コメントサーバの機能構成を表す概略ブロック図である。
図8】本発明の第二実施形態における配信システムのメイン切替時の動作の流れを示すシーケンス図である。
図9】本発明の配信システムの第三実施形態のシステム構成を表すシステム構成図である。
図10】管理端末の機能構成を表す概略ブロック図である。
図11】本発明の第三実施形態における配信システムのメイン切替時の動作の流れを示すシーケンス図である。
図12】本発明の第三実施形態の変形例における配信システムのメイン切替時の動作の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第一実施形態]
図1は、本発明の配信システムの第一実施形態(配信システム1)のシステム構成を表すシステム構成図である。配信システム1は、複数台のカメラ100、複数台のエンコーダ200、ストリーミングサーバ300、複数台の端末装置400、ネットワーク500を備える。ストリーミングサーバ300と端末装置400とは、ネットワーク500を介して通信可能である。
【0013】
カメラ100は、映像(動画像)を撮影し、映像信号をエンコーダ200に出力する。カメラ100は、それぞれ異なる映像を撮影するように配置されることが望ましい。例えば、配置位置(視点位置)、撮影方向(視線方向)、画角、レンズ前に設置されるフィルタ等のいずれか一つ又は複数が異なることによって、異なる映像が撮影される。第一実施形態では、一つの演奏会場に対して複数台のカメラ100が設置され、それぞれ異なる方向から演奏者を撮影する。このようなカメラ100の配置は一例にすぎず、他の配置がなされても良い。また、カメラ100が設置される場所は一つの場所(会場)に限定される必要は無く、複数の場所にわたって設置されても良い。
【0014】
エンコーダ200は、カメラ100から出力された映像信号をエンコードし、映像データを生成する。エンコーダ200は、生成した映像データをストリーミングサーバ300に出力する。エンコーダ200が行うエンコード手法は、ストリーミングサーバ300がストリーミング配信することができる手法であれば、既存のどのような手法であっても良い。
【0015】
ストリーミングサーバ300は、複数台のエンコーダ200から映像データを入力する。すなわち、ストリーミングサーバ300は、複数の映像データを入力する。ストリーミングサーバ300は、端末装置400から映像データの要求を受けると、要求された映像データを端末装置400に対して配信する。映像データの要求及び映像データの配信は、ネットワーク500を介して行われる。
【0016】
端末装置400は、ユーザによって操作される装置であり、ストリーミングサーバ300から映像データの配信を受ける。端末装置400は、例えば携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータ、ノート型パーソナルコンピュータ、据え置き型パーソナルコンピュータ、カーナビゲーション装置、テレビ受像機、固定電話機等の通信可能な情報処理装置である。端末装置400は、ユーザから映像の選択指示を受けると、映像を要求するデータ(要求データ)を生成する。そして、端末装置400は、ネットワーク500を介して要求データをストリーミングサーバ300に送信する。端末装置400は、ネットワーク500を介してストリーミングサーバ300から映像データの配信を受ける。端末装置400は、配信された映像データを表示し、ユーザに提供する。
【0017】
図2は、ストリーミングサーバ300の機能構成を表す概略ブロック図である。ストリーミングサーバ300は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備える。ストリーミングサーバ300は、配信プログラムを実行することによって、映像データ入力部301、通信部302、配信部303、入力部304、切替要求部305を備える装置として機能する。なお、ストリーミングサーバ300の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されても良い。配信プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。配信プログラムは、電気通信回線を介して送信されても良い。
【0018】
映像データ入力部301は、エンコーダ200から映像データを受け、ストリーミングサーバ300に映像データを入力する。映像データ入力部301は、複数の映像データを入力する。
通信部302は、ネットワーク500を介して端末装置400と通信する。
【0019】
配信部303は、端末装置400から送信された要求データを受ける。配信部303は、要求データにおいて要求されている映像データを、映像データ入力部301によって入力された複数の映像データの中から選択する。配信部303は、選択した映像データを、要求データの送信元の端末装置400(要求元)に対して配信する。
配信部303は、配信先テーブルを記憶している。配信先テーブルは、配信先となっている端末装置400の識別情報と、配信している映像データの識別情報とを対応付けたレコードを複数記録したテーブルである。配信部303は、映像データの配信を開始すると、新たに開始された配信の配信先となった端末装置400の識別情報と、新たに開始された配信の映像データの識別情報とを対応付けて配信先テーブルに登録する。
【0020】
入力部304は、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、タブレット等)、ボタン、タッチパネル等の既存の入力装置を用いて構成される。入力部304は、配信システム1の管理者(以下、単に「管理者」という。)の指示をストリーミングサーバ300に入力する際に管理者によって操作される。入力部304は、入力装置をストリーミングサーバ300に接続するためのインタフェースであっても良い。この場合、入力部304は、入力装置において管理者の入力に応じ生成された入力信号をストリーミングサーバ300に入力する。
【0021】
切替要求部305は、所定の条件が満たされた場合に、切替要求データを生成する。所定の条件とは、例えば入力部304によってメイン映像配信指示が入力されることであっても良い。または、映像の配信開始から所定の時間が経過することであっても良い。または、ユーザによる自由な映像選択の対象となっている映像が終了することであっても良いし、他の条件であっても良い。以下の説明では、所定の条件が入力部304によってメイン映像配信指示が入力されることである場合の構成について説明する。
【0022】
メイン映像配信指示とは、複数の端末装置400に対して、各端末装置400のユーザが選択している映像データを配信するのではなく、所定のメイン映像を強制的に配信することを示す指示である。切替要求部305は、生成した切替要求データを、ストリーミングサーバ300から映像データの配信を受けている端末装置400に対して送信する。切替要求データは、メインの映像データ(以下、「メイン映像データ」という。)への切替を端末装置400に対して要求するデータである。ストリーミングサーバ300から映像データの配信を受けている端末装置400は、配信先テーブルを参照することによって把握することができる。切替要求部305が切替要求データを送信する端末装置400は、例えば、ストリーミングサーバ300から映像データの配信を受けている全ての端末装置400であっても良い。
【0023】
メイン映像データは、ストリーミングサーバ300に入力される複数の映像データの中の一つの映像データである。メイン映像データは、どのように定義されても良い。例えば、固定的に所定のエンコーダ200から入力される映像データがメイン映像データであると定義されても良い。例えば、時刻に応じてメイン映像データが変化する場合には、予めメイン映像データのタイムテーブルがストリーミングサーバ300に記憶されていても良い。例えば、管理者が入力部304を操作することによって、複数の映像データの中から一つの映像データを任意に選択しても良い。例えば、配信部303が、エンコーダ200から入力される複数の映像データを繰り返し解析し、解析結果に応じて一つの映像データをメイン映像データとして選択しても良い。
【0024】
図3は、端末装置400の機能構成を表す概略ブロック図である。端末装置400は、バスで接続されたCPUやメモリや補助記憶装置などを備える。端末装置400は、映像再生プログラムを実行することによって、通信部401、入力部402、出力部403、映像制御部404を備える装置として機能する。なお、端末装置400の各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されても良い。映像再生プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。映像再生プログラムは、電気通信回線を介して送信されても良い。
【0025】
通信部401は、ネットワーク500を介してストリーミングサーバ300と通信する。
入力部402は、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、タブレット等)、ボタン、タッチパネル等の既存の入力装置を用いて構成される。入力部402は、端末装置400の使用者(以下、「ユーザ」という。)の指示を端末装置400に入力する際にユーザによって操作される。入力部402は、入力装置を端末装置400に接続するためのインタフェースであっても良い。この場合、入力部402は、入力装置においてユーザの入力に応じ生成された入力信号を端末装置400に入力する。
【0026】
出力部403は、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示装置である。出力部403は、映像データを表示する。出力部403は、表示装置を端末装置400に接続するためのインタフェースであっても良い。この場合、出力部403は、映像データを表示するための映像信号を生成し、自身に接続されている表示装置に映像信号を出力する。
【0027】
映像制御部404は、ストリーミングサーバ300に入力されている複数の映像のうち一つの映像データを示す要求データを生成し、ストリーミングサーバ300に送信する。映像制御部404は、切替要求データが受信されていない場合(通常時)には、入力部304を介してユーザによって選択された映像データを要求する要求データを生成する。映像制御部404は、切替要求データが受信された場合(メイン切替時)には、メイン映像データを要求する要求データを生成する。映像制御部404は、要求データに応じた映像データの配信をストリーミングサーバ300から受けると、配信された映像データを表示するように出力部403を制御する。
【0028】
メイン映像データを要求する要求データは、メインの映像データの識別情報を含むように構成されても良い。この場合、切替要求データにはメインの映像データの識別情報が含まれていることが望ましい。また、メイン映像データを要求する要求データは、映像データの識別情報を含まず、単にメイン映像データを示す特殊な値を含むように構成されても良い。この場合、ストリーミングサーバ300の配信部303は、メインの映像データがどの映像データであるかを認識していることが望ましい。以下の説明では、要求データにメインの映像データの識別情報が含まれる構成が採用された場合について説明する。
【0029】
図4は、本発明の第一実施形態における配信システムの通常時の動作の流れを示すシーケンス図である。まず、各カメラ100が撮影をし(ステップS101)、映像信号を出力する。各エンコーダ200は、映像信号をエンコードし映像データを生成する(ステップS102)。各エンコーダは、生成した映像データをストリーミングサーバ300に出力する。各カメラ100は撮影を継続し、各エンコーダ200もエンコードを継続するため、ステップS101及びステップS102の処理は、各カメラ100及び各エンコーダ200において継続して実行される。
【0030】
端末装置400のユーザは、入力部402を操作して、閲覧したい映像データを選択する。映像制御部404は、ユーザによって選択された映像データの配信を要求するためのデータ(要求データ)を生成する(ステップS111)。要求データは、ユーザによって選択された映像データを示す識別情報を含む。映像制御部404は、通信部401を介して要求データをストリーミングサーバ300に送信する(ステップS112)。
【0031】
ストリーミングサーバ300の配信部303は、端末装置400から要求データを受信すると、入力されている複数の映像データの中から、要求データに含まれている識別情報が示す映像データを選択する(ステップS121)。そして、配信部303は、要求データの送信元の端末装置400に対し、選択した映像データの配信を開始する(ステップS122)。
端末装置400の映像制御部404は、配信された映像データを、出力部403を制御することによって出力する(ステップS113)。
【0032】
図5は、本発明の第一実施形態における配信システムのメイン切替時の動作の流れを示すシーケンス図である。図5において、図4と同じ動作については同じ符号を付して説明を省略する。ストリーミングサーバ300において、管理者が入力部304を操作してメイン映像配信指示を入力すると(ステップS221)、切替要求部305は切替要求データを生成する。そして、切替要求部305は、生成した切替要求データを、配信部303の映像データの配信先となっている複数の端末装置400に対して送信する(ステップS222)。
【0033】
端末装置400の映像制御部404は、ネットワーク500を介して切替要求データを受信すると、切替要求データに応じて、メイン映像データを要求する要求データを生成する(ステップS211)。そして、映像制御部404は、生成した要求データをストリーミングサーバ300に送信する(ステップS112)。
【0034】
ストリーミングサーバ300の配信部303は、端末装置400から要求データを受信すると、入力されている複数の映像データの中から、要求データに含まれている識別情報が示す映像データ(メイン映像データ)を選択する(ステップS121)。そして、配信部303は、要求データの送信元の端末装置400に対し、選択した映像データ(メイン映像データ)の配信を開始する(ステップS122)。
端末装置400の映像制御部404は、配信された映像データ(メイン映像データ)を、出力部403を制御することによって出力する(ステップS113)。
【0035】
このように構成された本発明の第一実施形態における配信システムでは、各端末装置400のユーザは、複数の映像データの中から所望の映像データを選択し、配信を受けることが可能である。また、ストリーミングサーバ300の管理者によってメイン映像配信指示が入力されると、その時点で各端末装置400のユーザがどのような映像データを選択していようとも、強制的に各端末装置400に対してメイン映像の配信が開始される。そのため、ユーザが所望の映像を選択することを可能としつつ、配信者側(管理者側)でユーザに対して配信する映像を制御することが可能となる。例えば、演出上の都合や広告に関する都合などにより、所定の時間帯に所定の映像データ(メイン映像データ)を配信したいという配信者側の要望がある場合に、上記の配信システムを用いることで要望を実現することが可能となる。
【0036】
<変形例>
図1の例では、配信システム1は、1台のカメラ100に対して1台のエンコーダ200を備える。この構成は必須ではなく、複数台のカメラ100が1台のエンコーダ200に接続されても良い。
図1の例では、配信システム1は、1台のストリーミングサーバ300を備える。この構成は必須ではなく、配信システム1は複数台のストリーミングサーバ300を備えても良い。
ストリーミングサーバ300に入力される映像データは、必ずしもカメラ100によって撮影された映像である必要は無い。例えば、既に撮影されて録画されている映像のデータや、コンピュータグラフィック等を用いて生成された映像のデータや、静止画像のデータが映像データとしてストリーミングサーバ300に入力されても良い。
【0037】
切替要求部305は、メイン映像配信指示が入力されると、一定の時間の間は繰り返し切替要求データを各端末装置400に送信しても良い。
メイン映像配信指示には、メイン映像データを配信し続ける時間を表す情報が含まれても良い。この場合、配信システムは以下のように構成されても良い。切替要求部305は、メイン映像配信指示によって指定されている時間を表す情報を切替要求データに含める。端末装置400の映像制御部404は、切替要求データに含まれている時間の間は、ユーザによる映像データの選択を受け付けない。
【0038】
[第二実施形態]
図6は、本発明の配信システムの第二実施形態(配信システム1a)のシステム構成を表すシステム構成図である。第二実施形態における配信システム1aは、コメントサーバ600をさらに備える点で、第一実施形態における配信システム1と異なる。
第二実施形態における端末装置400の映像制御部404は、出力中の映像データに関するコメントの入力を受け付ける。映像制御部404は、コメントの入力を受けると、入力されたコメント及び出力中の映像データの識別情報をコメントサーバ600に送信する。このような処理によって、映像データに対するコメントの投稿が行われる。また、端末装置400の映像制御部404は、コメントサーバ600からコメントを受信すると、出力部403を制御してコメントを表示させる。
【0039】
図7は、コメントサーバ600の機能構成を表す概略ブロック図である。コメントサーバ600は、バスで接続されたCPUやメモリや補助記憶装置などを備える。コメントサーバ600は、コメント制御プログラムを実行することによって、通信部601、コメント制御部602、コメント記憶部603、入力部604、切替要求部605を備える装置として機能する。なお、コメントサーバ600の各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されても良い。コメント制御プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。コメント制御プログラムは、電気通信回線を介して送信されても良い。
【0040】
通信部601は、ネットワーク500を介して端末装置400及びストリーミングサーバ300と通信する。
コメント制御部602は、端末装置400からコメント及び映像データの識別情報を受信すると、受信したコメントと識別情報とを対応付けてコメント記憶部603に登録する。
【0041】
また、コメント制御部602は、配信データテーブルを記憶する。配信データテーブルは、映像データの配信先となっている端末装置400の識別情報と、配信されている映像データの識別情報と、を対応付けたテーブルである。コメント制御部602は、各端末装置400から、配信を受けている映像データの識別情報の通知を受けることによって、配信データテーブルを更新する。コメント制御部602は、配信データテーブルを参照し、映像データの配信を受けている各端末装置400を選択する。そして、コメント制御部602は、配信されている映像データに対応するコメントをコメント記憶部603から読み出し、各端末装置400に対して送信する。
【0042】
コメント記憶部603は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。コメント記憶部603は、コメントテーブルを記憶する。コメントテーブルは、映像データの識別情報と、各映像データに対して投稿されたコメントとを対応付けたテーブルである。
【0043】
入力部604は、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、タブレット等)、ボタン、タッチパネル等の既存の入力装置を用いて構成される。入力部604は、管理者の指示をコメントサーバ600に入力する際に管理者によって操作される。入力部604は、入力装置をコメントサーバ600に接続するためのインタフェースであっても良い。この場合、入力部604は、入力装置において管理者の入力に応じ生成された入力信号をコメントサーバ600に入力する。
【0044】
切替要求部605は、入力部604によってメイン映像配信指示が入力された場合に、切替要求データを生成する。切替要求部605は、生成した切替要求データを、ストリーミングサーバ300から映像データの配信を受けている端末装置400に対して送信する。切替要求部605は、コメント制御部602が作成する配信データテーブルを参照することによって、映像データの配信先となっている端末装置400を判定する。
【0045】
図8は、本発明の第二実施形態における配信システムのメイン切替時の動作の流れを示すシーケンス図である。図8において、図4と同じ動作については同じ符号を付して説明を省略する。なお、本発明の第二実施形態において、通常時の動作の流れは第一実施形態における動作の流れと同じであるため説明を省略する。
【0046】
コメントサーバ600において、管理者が入力部604を操作してメイン映像配信指示を入力すると(ステップS331)、コメントサーバ600の切替要求部605は切替要求データを生成する。そして、コメントサーバ600の切替要求部605は、生成した切替要求データを、ストリーミングサーバ300の映像データの配信先となっている複数の端末装置400に対して送信する(ステップS332)。
【0047】
端末装置400の映像制御部404は、ネットワーク500を介して切替要求データを受信すると、切替要求データに応じて、メイン映像データを要求する要求データを生成する(ステップS211)。そして、映像制御部404は、生成した要求データをストリーミングサーバ300に送信する(ステップS112)。
【0048】
ストリーミングサーバ300の配信部303は、端末装置400から要求データを受信すると、入力されている複数の映像データの中から、要求データに含まれている識別情報が示す映像データ(メイン映像データ)を選択する(ステップS121)。そして、配信部303は、要求データの送信元の端末装置400に対し、選択した映像データ(メイン映像データ)の配信を開始する(ステップS122)。
端末装置400の映像制御部404は、配信された映像データ(メイン映像データ)を、出力部403を制御することによって出力する(ステップS113)。
このように構成された本発明の第二実施形態における配信システムでは、第一実施形態における配信システムと同様の効果を得ることが可能である。
【0049】
<変形例>
第二実施形態におけるストリーミングサーバ300は、切替要求部305を備えなくとも良い。
第二実施形態における配信システム1aは、第一実施形態の変形例と同様に変形して構成されても良い。
【0050】
[第三実施形態]
図9は、本発明の配信システムの第三実施形態(配信システム1b)のシステム構成を表すシステム構成図である。第三実施形態における配信システム1bは、管理端末700をさらに備える点で、第一実施形態における配信システム1と異なる。管理端末700は、第一実施形態におけるストリーミングサーバ300が備える入力部304及び切替要求部305の機能を備える。以下、第三実施形態の詳細について説明する。
【0051】
図10は、管理端末700の機能構成を表す概略ブロック図である。管理端末700は、バスで接続されたCPUやメモリや補助記憶装置などを備える。管理端末700は、管理プログラムを実行することによって、通信部701、入力部702、切替要求部703を備える装置として機能する。なお、管理端末700の各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されても良い。管理プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。管理プログラムは、電気通信回線を介して送信されても良い。
【0052】
通信部701は、ネットワーク500を介してストリーミングサーバ300及び端末装置400と通信する。
入力部702は、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、タブレット等)、ボタン、タッチパネル等の既存の入力装置を用いて構成される。入力部702は、管理者の指示を管理端末700に入力する際に管理者によって操作される。入力部702は、入力装置を管理端末700に接続するためのインタフェースであっても良い。この場合、入力部702は、入力装置において管理者の入力に応じ生成された入力信号を管理端末700に入力する。
【0053】
切替要求部703は、入力部702によってメイン映像配信指示が入力された場合に、切替要求データを生成する。切替要求部703は、生成した切替要求データを、ストリーミングサーバ300から映像データの配信を受けている端末装置400に対して送信する。切替要求部703は、例えば定期的にストリーミングサーバ300から配信先テーブルを受信することによって、ストリーミングサーバ300から映像データの配信を受けている端末装置400を把握しても良い。
【0054】
図11は、本発明の第三実施形態における配信システムのメイン切替時の動作の流れを示すシーケンス図である。図11において、図4と同じ動作については同じ符号を付して説明を省略する。なお、本発明の第三実施形態において、通常時の動作の流れは第一実施形態における動作の流れと同じであるため説明を省略する。
【0055】
管理端末700において、管理者が入力部702を操作してメイン映像配信指示を入力すると(ステップS441)、切替要求部703は切替要求データを生成する。そして、切替要求部703は、生成した切替要求データを、ストリーミングサーバ300の映像データの配信先となっている複数の端末装置400に対して送信する(ステップS442)。
【0056】
端末装置400の映像制御部404は、ネットワーク500を介して切替要求データを受信すると、切替要求データに応じて、メイン映像データを要求する要求データを生成する(ステップS211)。そして、映像制御部404は、生成した要求データをストリーミングサーバ300に送信する(ステップS112)。
【0057】
ストリーミングサーバ300の配信部303は、端末装置400から要求データを受信すると、入力されている複数の映像データの中から、要求データに含まれている識別情報が示す映像データ(メイン映像データ)を選択する(ステップS121)。そして、配信部303は、要求データの送信元の端末装置400に対し、選択した映像データ(メイン映像データ)の配信を開始する(ステップS122)。
端末装置400の映像制御部404は、配信された映像データ(メイン映像データ)を、出力部403を制御することによって出力する(ステップS113)。
このように構成された本発明の第三実施形態における配信システムでは、第一実施形態における配信システムと同様の効果を得ることが可能である。
【0058】
<変形例>
第三実施形態におけるストリーミングサーバ300は、切替要求部305を備えなくとも良い。
第三実施形態における配信システム1bは、第一実施形態の変形例と同様に変形して構成されても良い。
【0059】
管理端末700の切替要求部703は、端末装置400に対して切替要求データを送信するのではなく、以下のように動作しても良い。
切替要求部703は、入力部702によってメイン映像配信指示が入力された場合に、切替指示データを生成する。切替指示データは、メイン映像配信指示が入力されたことをストリーミングサーバ300に対して通知するためのデータである。切替要求部703は、生成した切替指示データをストリーミングサーバ300に対して送信する。ストリーミングサーバ300の切替要求部305は、管理端末700から切替指示データを受信すると、切替要求データを生成する。切替要求部305は、生成した切替要求データを、ストリーミングサーバ300から映像データの配信を受けている端末装置400に対して送信する。
【0060】
図12は、本発明の第三実施形態の変形例における配信システムのメイン切替時の動作の流れを示すシーケンス図である。図12において、図11と同じ動作については同じ符号を付して説明を省略する。なお、変形例においても、通常時の動作の流れは第一実施形態における動作の流れと同じであるため説明を省略する。
【0061】
管理端末700において、管理者が入力部702を操作してメイン映像配信指示を入力すると(ステップS441)、切替要求部703は切替指示データを生成する。そして、切替要求部703は、生成した切替指示データを、ストリーミングサーバ300に対して送信する(ステップS541)。
【0062】
ストリーミングサーバ300の切替要求部305は、切替指示データを受信すると、切替要求データを生成する。そして、切替要求部305は、生成した切替要求データを、ストリーミングサーバ300の映像データの配信先となっている複数の端末装置400に対して送信する(ステップS222)。
【0063】
端末装置400の映像制御部404は、ネットワーク500を介して切替要求データを受信すると、切替要求データに応じて、メイン映像データを要求する要求データを生成する(ステップS211)。そして、映像制御部404は、生成した要求データをストリーミングサーバ300に送信する(ステップS112)。
【0064】
ストリーミングサーバ300の配信部303は、端末装置400から要求データを受信すると、入力されている複数の映像データの中から、要求データに含まれている識別情報が示す映像データ(メイン映像データ)を選択する(ステップS121)。そして、配信部303は、要求データの送信元の端末装置400に対し、選択した映像データ(メイン映像データ)の配信を開始する(ステップS122)。
端末装置400の映像制御部404は、配信された映像データ(メイン映像データ)を、出力部403を制御することによって出力する(ステップS113)。
【0065】
このように構成された本発明の第三実施形態の変形例における配信システムでは、第一実施形態における配信システムと同様の効果を得ることが可能である。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0066】
1…配信システム, 100…カメラ, 200…エンコーダ, 300…ストリーミングサーバ, 400…端末装置, 500…ネットワーク, 600…コメントサーバ, 700…管理端末, 301…映像データ入力部, 302…通信部, 303…配信部, 304…入力部, 305…切替要求部, 401…通信部, 402…入力部, 403…出力部, 404…映像制御部, 601…通信部, 602…コメント制御部, 603…コメント記憶部, 604…入力部, 605…切替要求部, 701…通信部, 702…入力部, 703…切替要求部
図1
図2
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図5
図6
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図10
図11
図12