(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面を清掃する清掃具であって、前記清掃具は清掃具を持つことのできる柄部と、擬似プラグ部と、前記擬似プラグ部より出ている擬似フェルール部を有した清掃治具と、前記擬似フェルール部端面に粘着剤とを有し、前記清掃治具および前記粘着剤が帯電防止性を有していることを特徴とする光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面清掃具。
請求項1乃至4いずれか一項に記載の清掃具を使用し、前記清掃具の前記粘着剤と光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面を接離させることで、前記光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面を清掃することを特徴とする光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面清掃方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図3(a)は本発明の光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面清掃具10である(以下「清掃具」という場合がある)。清掃具10は、擬似フェルール部10b、および成形時のひけ防止等のための凹部10d有した擬似プラグ部10cおよび柄部10eよりなる清掃治具と、清掃治具を構成する擬似フェルール部10bの先端端面に設けられた表面に当接面を有する粘着部10aとよりなる。
清掃治具における柄部は清掃具を持つことができる形状であれば特に制限はなく、例えば
図3(b)の11eのような形状等用途に応じて適宜調整できる。
図3(a)の擬似プラグ部10cは形状が
図1および
図2の光トランシーバ1におけるレセプタクル8aと嵌合するように成形されており、
図7に示すように清掃具を光トランシーバのレセプタクル8aに挿入させた際、擬似プラグ部10cがレセプタクル8aと嵌合することにより、清掃具の粘着部10aの当接面が、光トランシーバのレセプタクル8a内TOSA側スタブ表面5dもしくはROSA側スタブ表面6d(
図2参照)に適切に当接することができる。
さらに清掃具擬似プラグ部10cが光トランシーバのレセプタクル8aに対して適度なクリアランスを有しているため、光トランシーバのレセプタクル8a内で清掃具擬似プラグ部10cを摺動させ、清掃具の粘着部10aの当接面を当接、離脱させることができる。
ここで清掃具10の形状についても特に制限はなく、光トランシーバのレセプタクル8aの形状等に応じて擬似フェルール部10b、擬似プラグ部10cの形状を変える等適宜調整できる。
【0022】
本発明を構成する光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面清掃具の作製方法は、上記形状を達成するものであれば特に限定されないが、例えば以下に示す方法によって行なわれる。
まず清掃治具の擬似フェルール部および擬似プラグ部、柄部10eを構成する材料を混合し射出機に投入して溶解させ、溶解させた材料を射出機から金型の中に射出、圧入して成形する射出成形方法を利用して清掃治具を成形する。
続いて粘着部に使用する粘着剤を作製して、清掃具に必要とされる箇所、厚さで塗布する。塗布方法は種々の方法が考えられるが、清掃治具を固定させながら上下移動させディッピングするやり方が簡易的である。
【0023】
以下光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面清掃方法について説明する。
【0024】
(第1工程)
第1工程は、光トランシーバのレセプタクル8a内に清掃具擬似プラグ部10cを嵌合して光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面に清掃具粘着部表面の当接面を当接させる工程である(
図7)。清掃具の擬似プラグ部10c形状が、光トランシーバのレセプタクル8a形状に対して適度なクリアランスを有しているため、容易に嵌合させることができる。
(第2工程)
第2工程は、清掃具擬似プラグ部10cを光トランシーバのレセプタクル8a内で摺動させることで、清掃具粘着部表面当接面の当接、離脱を繰り返す工程である。繰り返し頻度は光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面のごみや油分、埃等が取り除かれるまでであり、当接回数はスタブ表面の状況に応じて適宜変更してよいが、粘着部の特性上清掃具のスタブ表面への当接は10回を限度とする。第2工程で清掃具粘着部の当接面への当接が10回未満で終了した場合、清掃具は光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面当接全回数が10回に達するまで、さらに別の光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面の清掃に使用することができる。
【0025】
本発明を構成する清掃治具で使用される材料には、粘着部との親和性が良好な材料が使用される。親和性を良好にするためには、使用材料質量の半分以上に同一または類似の材料を使用すればよい。粘着部質量の半分以上にアクリル系粘着剤を使用する場合、アクリル系粘着剤とアクリル系樹脂材料は類似の材料であるから、清掃治具にアクリル系樹脂材料を使用すればよい。本発明においては、アクリル系樹脂材料を使用したアクリル系樹脂組成物の使用が好ましい。
【0026】
アクリル系樹脂組成物内アクリル系樹脂材料としては、アクリル酸エステル系、メタクリル酸エステル系の単独重合体や、共重合体があげられる。共重合体はランダム共重合体であってもよく、あるいはブロック共重合体でもよい。
【0027】
好適なアクリル酸エステル系モノマーとしては、加熱溶融時における流動性、耐熱分解性および他の添加成分との相溶性を高める観点から、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリルなどのアクリル酸アルキルエステルの他に、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の水酸基含有アクリル酸アルキルエステル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸3−メトキシブチル、アクリル酸トリフルオロメチル、アクリル酸トリフルオロエチル、アクリル酸ペンタフルオロエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸アリル、アクリル酸フェニル、アクリル酸トルイル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸3−ジメチルアミノエチル等があげられる。
【0028】
前記アクリル酸エステル系モノマーの中では、アクリル酸アルキルエステルが好ましく、エステル部分のアルキル基の炭素数が1〜4であるアクリル酸アルキルエステルがより好ましい。
【0029】
好適なメタクリル酸エステル系モノマーとしては、上記と同様に加熱溶融時における流動性、耐熱分解性および他の添加成分との相溶性を高める観点から、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル等のエステル部分におけるアルキル基の炭素数が1〜18であるメタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル等があげられる。
【0030】
前記メタクリル酸エステルのなかでは、入手が容易なことから、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸トリデシルおよびメタクリル酸ステアリルが好ましい。また、エステル部分におけるアルキル基の炭素数が1〜4であるメタクリル酸アルキルエステルがより好ましく、メタクリル酸メチルがさらに好ましい。
【0031】
なお、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル系重合体には、本発明の目的を阻害しない範囲内で、他の重合体が含まれていてもよい。
【0032】
上記他の共重合体モノマーとして、メタクリル酸、アクリル酸などの不飽和モノカルボン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレンなどの芳香族ビニル化合物、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、フマル酸ジエステルなどの不飽和ジカルボン酸化合物またはその誘導体、マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド化合物、ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン系化合物、塩化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、クロロプレンなどのハロゲン含有不飽和化合物、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのケイ素含有不飽和化合物等があげられるが、これらモノマーは、それぞれ単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。
【0033】
前記モノマーの重合方法は特に限定されないが、その方法の例として、懸濁重合法、塊状重合法、溶液重合法があげられる。
【0034】
また清掃治具には帯電防止性が要求されるため、帯電防止剤が必要である。要求される帯電防止性能としては、ASTM D257 Standard Test Methods for Dc Resistance or Conductance of Insulating Materials(印加電圧500V、温度23℃、湿度50%)に基づく清掃治具表面抵抗率の値が、1×10
11Ω/sq未満の性能であれば問題なしとし、1×10
11Ω/sq以上であれば帯電防止性能なしとした。
上記測定において、問題なしである帯電防止剤は、ノナフルオロブタンスルホン酸カリウム、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸カリウム、ペンタフルオロエタンスルホン酸カリウム、トリフルオロメタンスルホン酸カリウム、ビス(フルオロスルホニル)イミドカリウム塩等のフッ素系導電性材料の他にアニリンおよび/またはその誘導体、ピロールおよび/またはその誘導体、イソチアナフテンおよび/またはその誘導体、アセチレンおよび/またはその誘導体、アルキルアミン誘導体、アルキルアミド誘導体、モノグリセリド誘導体、チオフェンおよび/またはその誘導体の繰り返し単位を有するπ電子共役系導電性高分子、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アルミニウム、チタン、錫、金、銀、銅等の金属微粒子、カーボン、ITO(酸化インジウム/酸化錫)、ATO(酸化アンチモン/酸化錫)等の超微粒子、イミドリチウム塩、トリフレートリチウム塩等のリチウム塩の他にも、エチレンオキシド付加物、アミン塩型、第4級アンモニウム塩型等のカチオン系添加剤、ポリエチレンオキシド系およびポリエーテル系ブロックポリマー等があげられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。また微粒子については、表面処理されていてもよい。
【0035】
上記帯電防止剤配合量はアクリル系樹脂材料100質量部に対し0.1質量部以上であり、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは1〜5質量部である。
【0036】
清掃治具形成材料であるアクリル系樹脂組成物に耐衝撃性を付与するためにゴム成分を用いてもよい。ゴム成分の具体例としては、例えば、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−ブタジエン−アクリロニトリル−スチレン系共重合体、アクリル系ゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、イソブチレン重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴムなどがあげられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのゴム成分は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0037】
ゴム成分は、架橋剤を用いて架橋されていてもよい。架橋剤としては、例えば、硫黄、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキシジイソプロピルベンゼンなどの有機過酸化物、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドなどの有機硫黄化合物、p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシムなどのオキシム化合物、ヘキサメチレンジアミンカーバメートなどのポリアミンなどがあげられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。また、架橋剤を用いる場合には、必要により、例えば、ジフェニルグアジニン、亜鉛ジメチルジチオカーバメート、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルスルフィドなどの加硫促進剤を用いてもよい。
【0038】
ゴム成分の量は、アクリル系樹脂材料100質量部あたり、透明性および耐衝撃性を向上させる観点から、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、さらに好ましくは25質量部以上であり、耐熱性を高める観点から、好ましくは100質量部以下、より好ましくは70質量部以下、さらに好ましくは50質量部以下である。
【0039】
また、清掃治具形成材料であるアクリル系樹脂組成物耐熱性をあげるため、改質剤を用いることもできる。
【0040】
改質剤は、芳香族ジカルボン酸エステル、脂肪族ジカルボン酸エステルおよびリン酸エステルからなる群等より選ぶことができる。
【0041】
芳香族ジカルボン酸エステルとしては、例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジn−ブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジシクロヘキシル、テトラヒドロフタル酸ジエステルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの芳香族ジカルボン酸エステルは、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0042】
これらの芳香族ジカルボン酸エステルの中では、高温状態における本発明のアクリル系樹脂組成物の透明性を高める観点から、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジn−ブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシルおよびフタル酸ジトリデシルが好ましく、フタル酸ジ2−エチルヘキシルがより好ましい。
【0043】
脂肪族ジカルボン酸エステルとしては、例えば、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジn−ブチル、アジピン酸ジヘプチル、アジピン酸ジ2−エチルヘキシル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシルなどのアジピン酸ジエステル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ2−エチルヘキシルなどのセバシン酸ジエステル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジ2−エチルヘキシルなどのマレイン酸ジエステル、フマル酸ジブチルなどのフマル酸ジエステルなどがあげられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの脂肪族ジカルボン酸エステルは、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0044】
これらの脂肪族ジカルボン酸エステルの中では、高温状態における本発明のアクリル系樹脂組成物の透明性を高める観点から、アジピン酸ジエステルが好ましく、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジn−ブチル、アジピン酸ジヘプチル、アジピン酸ジ2−エチルヘキシル、アジピン酸ジイソノニルおよびアジピン酸ジイソデシルがより好ましく、アジピン酸ジ2−エチルヘキシルがさらに好ましい。
【0045】
リン酸エステルとしては、例えば、リン酸トリクレシル、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、リン酸トリス(2−エチルヘキシル)、リン酸トリス(2−クロロエチル)、リン酸トリス(ジクロロプロピル)、リン酸トリブトキシエチル、リン酸トリス(β−クロロプロピル)、リン酸トリフェニル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリス(イソプロピルフェニル)、リン酸クレジルジフェニルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのリン酸エステルは、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0046】
これらのリン酸エステルの中では、高温状態における本発明のアクリル系樹脂組成物の透明性を高める観点から、リン酸トリクレシル、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、リン酸トリス(2−エチルヘキシル)、リン酸トリス(2−クロロエチル)、リン酸トリス(ジクロロプロピル)およびリン酸トリブトキシエチル、リン酸トリス(β−クロロプロピル)が好ましく、リン酸トリクレシルがより好ましい。
【0047】
改質剤の量は、アクリル系樹脂材料100質量部あたり、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上であり、本発明のアクリル系樹脂組成物の耐熱性および機械的強度を高める観点から、好ましくは40質量部以下、より好ましくは35質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下、より一層好ましくは25 質量部以下である。
【0048】
一般に、樹脂成形体には、所望の色彩を付与するために着色剤が配合されている。清掃治具を形成する材料であるアクリル系樹脂組成物においても、所望の色彩を付与するために顔料などの着色剤をさらに含有させることができる。
【0049】
着色剤としては、顔料および染料が挙げられる。着色剤は、清掃治具に要求される色彩に応じて適宜選択して用いることができる。着色剤のなかでは、耐光性の観点から、顔料が好ましい。顔料は、例えば、カーボンブラックなどの無機顔料および有機顔料のいずれであってもよい。
【0050】
着色剤の量は、清掃具の用途、清掃治具を形成する材料であるアクリル系樹脂組成物中に使用される着色剤の種類などによって異なるので一概には決定することができない。通常、着色剤の量は、清掃治具のアクリル系樹脂組成物が硬くならないようにする観点から、アクリル樹脂材料100質量部あたり、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。なお、着色剤の量の下限値は、清掃治具の色彩を着色透明とする場合もあるため、その用途に応じて適宜決定することが好ましい。
【0051】
清掃治具を形成するアクリル系樹脂組成物には、必要により、例えば、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、滑剤、充填剤などの添加剤を本発明の目的が阻害されない範囲内で添加してもよい。
【0052】
清掃治具を形成するアクリル系樹脂組成物は、材料をバッチミキサー、タンブラー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ロール、単軸押出機、二軸押出機などの手段により、加熱溶融混練することによって容易に調製することができる。
【0053】
清掃治具を形成するアクリル系樹脂組成物材料を加熱溶融混練するときの温度は、各成分を均一に分散させる観点から、好ましくは100℃以上、より好ましくは150℃ 以上であり、各成分の劣化を防止する観点から、好ましくは280℃ 以下、より好ましくは250℃ 以下である。
【0054】
以上のようにして、本発明の光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面清掃具粘着部を除く箇所のアクリル系樹脂組成物材料を加熱溶融混練し、各成分を均一に分散させることにより、清掃治具を形成するアクリル系樹脂組成物が得られる。
【0055】
清掃治具を形成するアクリル系樹脂組成物は、射出成形により、所望の形状を有する成形体に加工することができる。
【0056】
粘着部で使用される粘着剤としては、再剥離性があり、剥離時に糊残りがないこと(JIS−Z0237 粘着テープ・粘着シート試験方法の90°引きはがし粘着力に従う)、光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面清掃具の擬似フェルール部との親和性が良好で、高温、高湿下での強制老化試験(本発明では粘着剤をソーダガラスに貼り合わせて、80℃1000時間と60℃95%1000時間で実施。)、ヒートショック試験(本発明では粘着剤をソーダガラスに貼り合わせて、−40℃10min〜80℃10minを100サイクル、1℃/minで実施。)等で剥がれや泡の発生がないことが望まれる。このような特性を有する粘着剤成分としては、アクリル系、ゴム系、ポリビニールエーテル系、シリコーン系等から適宜選択使用できる。最も好ましいのはアクリル系粘着剤である。
【0057】
アクリル系粘着剤は、アルキル(メタ)アクリル酸エステルと重合性不飽和カルボン酸または水酸基含有エチレン性不飽和モノマー、またさらには共重合性ビニル系モノマーとを有機溶剤中又は水媒体中で共重合させて得られる。重合は、ラジカル重合による重合方法が好ましく採用される。好ましくは、溶液重合法、けん濁重合法、乳化重合法等である。上記共重合体の好ましい分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーによる数平均分子量(JISK 0124−83に準じて行ない、分離カラムにTSK GELG4000+G3000+G2500+G2000(東洋曹達(株)製)を用い40℃で流速1.0ml/分、溶離液にGPC用テトラヒドロフランを用い、R1屈折計で得られたクロマトグラムとポリスチレンの検量線から計算により求めた。)が10,000〜1,000、000、好ましくは50,000〜500,00 0、さらに好ましくは100,000〜400,000である。数平均分子量が10,000未満であると樹脂組成物層の均一形成が困難となり、又1,000,000を超えると弾性が高くなり、塗工量の調整が困難となる等の問題を生じる。
【0058】
アルキル(メタ)アクリル酸エステルとしては、炭素原子数1〜12のアルキル基を有する、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル等があげられる。さらに具体的に述べると、メタクリレート系成分としては、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、n-プロピルメタアクリレート、イソプロピルメタアクリレート、n-ヘキシルメタアクリレート、シクロヘキシルメタアクリレート、2−エチルヘキシルメタアクリレート、n-オクチルメタアクリレート、イソオクチルメタアクリレート、ラウリルメタアクリレート等が挙げられ、アクリレート成分としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、ラウリルアクリレート等があげられる。こられは単独又は2種以上混合して用いることもできる。
【0059】
官能基としてカルボキシル基および/または水酸基を有する(メタ)アクリレート系モノマーの併用は、カーボンの分散性が向上する。最適には、酸性カーボンを用いた場合の分散性はさらに向上したものとなる点で好ましい。このような官能基を有するモノマーとしては、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸等、ヒドロキシル基を有するアクリル酸−2−ヒドロキシエチルエステル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピルエステル、2−ヒドロキシビニルエーテルがあげられる。これらは、前記したアクリレート系成分および/またはメタアクリレート系成分と単独または2種以上混合して使用することができる。
【0060】
粘着剤には架橋剤を配合することもできる。配合量は通常粘着剤100質量部に対し0.01〜10質量部である。架橋剤としては、イソシアネート系化合物、アルミキレート、アジリジニル系化合物、エポキシ系化合物等があげられる。
【0061】
また粘着部で使用される粘着剤成分には清掃治具と同様に帯電防止性が要求されるため、帯電防止剤が必要である。帯電防止剤は、清掃治具に使用した帯電防止剤と同様に、帯電防止性能がASTM D257 Standard Test Methods for Dc Resistance or Conductance of Insulating Materials(印加電圧500V、温度23℃、湿度50%)に基づく清掃治具表面抵抗率の値で、1×10
11Ω/sq未満の性能であれば問題なしとし、1×10
11Ω/sq以上であれば帯電防止性能なしとした。
上記測定において、問題なしである帯電防止剤は、ノナフルオロブタンスルホン酸カリウム、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸カリウム、ペンタフルオロエタンスルホン酸カリウム、トリフルオロメタンスルホン酸カリウム、ビス(フルオロスルホニル)イミドカリウム塩等のフッ素系導電性材料の他にアニリンおよび/またはその誘導体、ピロールおよび/またはその誘導体、イソチアナフテンおよび/またはその誘導体、アセチレンおよび/またはその誘導体、アルキルアミン誘導体、アルキルアミド誘導体、モノグリセリド誘導体、チオフェンおよび/またはその誘導体の繰り返し単位を有するπ電子共役系導電性高分子、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アルミニウム、チタン、錫、金、銀、銅等の金属微粒子、カーボン、ITO(酸化インジウム/酸化錫)、ATO(酸化アンチモン/酸化錫)等の超微粒子、イミドリチウム塩、トリフレートリチウム塩等のリチウム塩の他にも、エチレンオキシド付加物、アミン塩型、第4級アンモニウム塩型等のカチオン系添加剤、ポリエチレンオキシド系およびポリエーテル系ブロックポリマー等があげられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。また微粒子については、表面処理されていてもよい。
【0062】
この中でも清掃具粘着部の再剥離性、粘着部の剥離時に光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面に糊残りがないこと、清掃具の擬似フェルール部との親和性が良好で、高温、高湿下での強制老化試験(本発明では清掃具を80℃1000時間と60℃95%1000時間の環境下に投入して実施。)、ヒートサイクル試験(本発明では清掃具を−40℃10min〜80℃10minを100サイクル、1℃/min環境下に投入して実施)等で剥がれや泡の発生がないことに適した材料としては、フッ素系導電性材料とイミドリチウム塩が好ましい。配合量は粘着剤100質量部に対し0.1質量部以上であり、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは1〜5質量部である。
【0063】
さらに必要に応じ、上記以外に着色剤、紫外線防止剤、老化防止剤等の添加剤を添加することができる。
【0064】
着色剤の例としては、アゾ系、フタロシアニン系、アヂ系、酸性または塩基染料系レーキ等の有機顔料がある。
【0065】
紫外線吸収剤には、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルフォベンゾフェノン等のベンゾフェノン系、2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系、フェニルサルシレート、p−t−ブチルフェニルサルシレート等のヒンダートアミン系がある。老化防止剤としては、アミン系、フェノール系、ビスフェニル系、ヒンダートアミン系があり、例えばジ−t−ブチル−p−クレゾール、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペラジル)セバケート等がある。
【0066】
上記添加剤配合量は粘着剤100質量部に対し、0.01〜20質量部である。
【実施例】
【0067】
以下、本発明を実施例を用いて説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。
なお、メルトフローレートは、ASTM D1238 Standard Test Methods for Melt Flow Rates of Thermoplastics by Extrusion Plastomer(230℃、3.8kg荷重)に従い測定した。
また、曲げ強度は、ASTM D790 Standard Test Methods for Flexural Properties of Unreinforced and Reinforced Plastics and Electrical Insulating Materialsに従い測定した。
また、帯電防止性能としての表面抵抗率測定は、ASTM D257 Standard Test Methods for Dc Resistance or Conductance of Insulating Materials(印加電圧500V、温度23℃、湿度50%)に従い測定した。
また、粘着力はJIS−Z0237 粘着テープ・粘着シート試験方法の90°引きはがし粘着力に従い、測定した。
【0068】
(実施例1)
まず、光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面清掃具において、清掃治具を射出成形により作製した。
【0069】
アクリル系樹脂材料として、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル共重合体ペレット(メルトフローレート12.8g/10min、曲げ強度80MPa)100質量部に対して帯電防止剤としてアルキルジエタノールアミン5質量部を添加しバッチミキサーにより混合しアクリル系樹脂組成物とした。
得られたアクリル系樹脂組成物を光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面清掃具の粘着部を除く箇所が形成された金型を使用し、樹脂温度250℃にて射出成型を行い、光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面清掃具の粘着部を除く箇所(
図8(a)および(b)の12においてaが4.5mm、bが4.59mm、cが10mm、dが85mm、擬似フェルール部直径0.8mm、柄部直径3mm)が形成された清掃治具1A(表面抵抗率5×10
10Ω/sq)を作製した。
【0070】
続いて光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面清掃具粘着部用のアクリル系粘着剤を作製した。
【0071】
アクリル系粘着材料として、アクリル酸エステル共重合体とメタクリル酸エステル共重合体よりなるアクリル系粘着材料100質量部に対して、エポキシ系硬化剤1質量部、帯電防止剤としてリチウムビストリフルオロメタンスルホンイミド1.6質量部を添加し、攪拌器にて混合し、アクリル系粘着剤1B(表面抵抗率1×10
9Ω/sq、粘着力2.23N/25mm)を作製した。
【0072】
続いて清掃治具1Aにアクリル系粘着剤1Bをディッピングした。
【0073】
アクリル系粘着剤1B中に清掃治具1Aの擬似フェルール部先端が1mm入るまで挿入させてから1秒間保持し、そのアクリル系粘着剤1Bより清掃具を引き抜いた。その後、80℃程度のオーブンで10min程度加熱を施して清掃具粘着部アクリル系粘着剤1B中の溶媒を揮発させ、粘着部アクリル系粘着剤1Bを固化し、光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面清掃具A(
図3(a)において10)を作製した(粘着部外径0.9mm、擬似フェルール部端面からの粘着部厚み0.1mm)。
【0074】
(実施例2)
清掃治具に関して、アクリル系樹脂材料として、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル共重合体ペレット(メルトフローレート12.8g/10min、曲げ強度80MPa)100質量部に対して帯電防止剤としてアルキルジエタノールアミン5質量部、アクリルゴム30質量部を加えた他は、実施例1と同様にして、光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面清掃具の粘着部を除く箇所(
図8(a)および(b)の12においてaが4.5mm、bが4.59mm、cが10mm、dが85mm、擬似フェルール部直径0.8mm、柄部直径3mm)が形成された清掃治具2A(表面抵抗率5×10
10Ω/sq)を作製した。
【0075】
続いて清掃具粘着部用のアクリル系粘着剤作製に関し、アクリル系粘着材料としてアクリル酸エステル共重合体およびメタクリル酸エステル共重合体よりなるアクリル系粘着材料100質量部に対して、エポキシ系硬化剤1質量部、帯電防止剤としてリチウムビストリフルオロメタンスルホンイミド1.6質量部、着色剤としてイーエクスカラーIR−10A(日本触媒株式会社製)5質量部を加えた他は、実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤2B(表面抵抗率5×10
9Ω/sq、粘着力2.09N/25mm)を作製した。
【0076】
続いて清掃治具2Aへアクリル系粘着剤2Bの塗布に関しても、実施例1と同様にして、光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面清掃具B(
図3(a)において10)を作製した(粘着部外径0.9mm、擬似フェルール部端面からの粘着部厚み0.1mm)。
【0077】
(実施例3)
清掃治具に関して、アクリル系樹脂材料として、実施例2と同様にして、光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面清掃具の粘着部を除く箇所(
図8(a)および(b)の12においてaが4.5mm、bが4.59mm、cが10mm、dが85mm、擬似フェルール部直径0.8mm、柄部直径3mm)が形成された清掃治具2A(表面抵抗率5×10
10Ω/sq)を作製した。
【0078】
続いて清掃具粘着部用のアクリル系粘着剤作製に関して、アクリル系粘着材料として実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤1B(表面抵抗率1×10
9Ω/sq、粘着力2.23N/25mm)を作製した。
【0079】
続いて清掃治具2Aへアクリル系粘着剤1Bの塗布に関しても、実施例1と同様にして、光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面清掃具C(
図3(a)において10)を作製した(粘着部外径0.9mm、擬似フェルール部端面からの粘着部厚み0.1mm)。
【0080】
(実施例4)
清掃治具に関して、アクリル系樹脂材料として、実施例1と同様にして、光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面清掃具の粘着部を除く箇所(
図8(a)および(b)の12においてaが4.5mm、bが4.59mm、cが10mm、dが85mm、擬似フェルール部直径0.8mm、柄部直径3mm)が形成された清掃治具1A(表面抵抗率5×10
10Ω/sq)を作製した。
【0081】
続いて清掃具粘着部用のアクリル系粘着剤作製に関して、アクリル系粘着材料として実施例2と同様にして、アクリル系粘着剤2B(表面抵抗率1×10
9Ω/sq、粘着力2.23N/25mm)を作製した。
【0082】
続いて清掃治具1Aへアクリル系粘着剤2Bの塗布に関しても、実施例1と同様にして、光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面清掃具D(
図3(a)において10)を作製した(粘着部外径0.9mm、擬似フェルール部端面からの粘着部厚み0.1mm)。
【0083】
(比較例1)
清掃治具において、擬似プラグ部を有せずに擬似フェルール部と柄部のみで形成された金型を使用して光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面清掃具の粘着部を除く箇所(
図9の13においてaaが14.5mm、bbが85mm、擬似フェルール部直径0.8mm、柄部直径3mm)が形成された清掃治具3A(表面抵抗率5×10
10Ω/sq)を作製した。他は実施例1と同様に作製することで、光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面清掃具E(
図10において14)を作製した(粘着部外径0.9mm、擬似フェルール部端面からの粘着部厚み0.1mm)。
【0084】
(比較例2)
清掃治具に関して、アクリル系樹脂材料として、帯電防止剤を用いない以外は、実施例1と同様にして、光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面清掃具の粘着部を除く箇所(
図8(a)および(b)の12においてaが4.5mm、bが4.59mm、cが10mm、dが85mm、擬似フェルール部直径0.8mm、柄部直径3mm)が形成された清掃治具4A(表面抵抗率1×10
17Ω/sq)を作製した。
【0085】
続いて清掃具粘着部用のアクリル系粘着剤作製に関して、アクリル系粘着材料として帯電防止剤を用いない以外は実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤3B(表面抵抗率3×10
14Ω/sq、粘着力2.50N/25mm)を作製した。
【0086】
続いて清掃治具4Aへアクリル系粘着剤3Bの塗布に関しても、実施例1と同様にして、光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面清掃具F(
図3(a)において10)を作製した(粘着部外径0.9mm、擬似フェルール部端面からの粘着部厚み0.1mm)。
【0087】
(比較例3)
清掃治具に関して、アクリル系樹脂材料の代わりとして、ポリプロピレン樹脂ペレット(メルトフローレート30.0g/10min、曲げ強度45MPa)を加えた他は、実施例1と同様にして、光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面清掃具の粘着部を除く箇所(
図8(a)および(b)の12においてaが4.5mm、bが4.59mm、cが10mm、dが85mm、擬似フェルール部直径0.8mm、柄部直径3mm)が形成された清掃治具5A(表面抵抗率5×10
16Ω/sq)を作製した。
【0088】
以降も実施例1と同様にして、光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面清掃具G(
図3において10)を作製した(粘着部外径0.9mm、擬似フェルール部端面からの粘着部厚み0.1mm)。
【0089】
(比較例4)
清掃治具において、比較例1と同様に実施し、光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面清掃具の粘着部を除く箇所(
図8(a)および(b)の12においてaが14.5mm、bが85mm、擬似フェルール部直径0.8mm、柄部直径3mm)が形成された清掃治具3A(表面抵抗率5×10
10Ω/sq)を作製した。
【0090】
続いて清掃具粘着部用のアクリル系粘着剤を作製する代わりに、帯電防止不織布タイベック1443R(デュポン株式会社製、厚み140μm、表面抵抗率1×10
9Ω/sq)を幅10mm四方にカットし、清掃治具3Aの擬似フェルール部先端より包むように覆った後、帯電防止不織布の端部をScotchメンディングテープ(住友スリーエム株式会社製)により擬似フェルール部に固定させ、光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面清掃具Hを作製した(
図11の15において、aaaが14.5mm、bbbが85mm、不織布部外径1.1mm、柄部直径3mm)。
【0091】
以下実施例および比較例の使用材料系列および配合量、擬似プラグ部の有無、表面抵抗率に関して、清掃治具と清掃具粘着部別にまとめ、表1および表2に示した。
【0092】
【表1】
【0093】
【表2】
【0094】
実施例1〜4、比較例1〜4で作製した光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面清掃具について、それぞれごみ除去性について評価した。
【0095】
(ごみ除去性試験)
評価に使用する光トランシーバは、LCコネクタ用XFPトランシーバTRF5001EN(日本オプネクスト株式会社製、レセプタクルサイズ4.61mm×4.61mm)を用いた。
最初に綿棒等を用いて光トランシーバスタブ表面にごみ、埃等をあらかじめ付着させておき、その個数をカウントした。ごみ、埃等の状態観察には、光コネクタ端面検査装置FPD−SD01(NTTアドバンストテクノロジ株式会社製)を使用し、ごみ、埃等の個数カウントには端面検査装置付属自動判定ソフトウエアFiberChek2を使用した。
試験方法は、光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面清掃具の擬似フェルール部における粘着部もしくは不織布の当接面が光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面に当接するように清掃具擬似プラグ部を光トランシーバのレセプタクルに嵌合させ、そして摺動させることで光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面より当接面を離脱させる工程を10回繰りかえした状態を光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面清掃具1本あたりの清掃工程数とした。清掃工程終了後、光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面のごみ、埃等の個数カウントを行い、初期に付着させたごみ、埃等からの減少率(パーセント)をもってごみ除去性能とした。なお減少率については、90%以上で実用上問題がないものとした。
【0096】
引き続き、実施例1〜4、比較例1〜4で作製した光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面清掃具について、それぞれ異物付着性について評価した。なお、評価に使用した光トランシーバとごみ、埃等の状態観察に使用した機器、それからごみ、埃等の個数カウントに使用した機器は、ごみ除去性試験時に使用したものをそのまま使用した。
【0097】
(異物付着性試験)
ごみ、埃等がないことを確認した光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面に実施例1〜4、比較例1〜4で作製した光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面清掃具を用いて、ごみ除去性能試験時に実施した工程と同じ清掃工程をおこない、ゴミ・埃を含む異物付着の有無を確認した。異物の付着が見られない場合は実用上問題がないものとし、異物の付着が見られた場合には実用上問題有りとした。
【0098】
引き続き、実施例1〜4、比較例1〜4で作製した光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面清掃具について、それぞれ表面抵抗率を測定することにより、帯電防止性について評価した。
【0099】
(帯電防止性試験)
評価に使用する表面抵抗率測定装置は、超絶縁計SM−8220と平板試料用電極SME−8310(日置電機株式会社製)を用いた。また表面抵抗率測定方法は、ASTM D257 Standard Test Methods for Dc Resistance or Conductance of Insulating Materials(印加電圧500V、温度23℃、湿度50%)に従い測定した。
光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面清掃具において、粘着部および粘着部を除く清掃具箇所の表面抵抗率が1×10
11Ω/sq未満であれば帯電防止性があり実用上問題ないものとし、1×10
11Ω/sq以上であれば帯電防止性がなく、実用上問題有りとした。
【0100】
以下、ごみ除去性、異物付着性および帯電防止性試験に関しての評価結果を表3に示す。なお、異物付着性試験および帯電防止性試験に関しては実用上問題ないものを○、実用上問題有りのものを×で表現した。
【0101】
【表3】
【0102】
(評価結果)
実施例1〜4においてはゴミ除去性、異物付着性、帯電防止性に関して、優れた結果となった。
これに対し、比較例1ではゴミ除去性、帯電防止性における問題はないものの、異物付着性に問題が確認された。これは、清掃具粘着部当接面の当接、離脱を繰り返す際に、清掃具が擬似プラグ部を有していないため構造状安定して清掃具粘着部当接面に当接できず、清掃具にひねり等が加わりやすくなることで、清掃具粘着部粘着剤が損傷を受けてしまったものと考えられる。
比較例2ではゴミ除去性、異物付着性への問題はないものの、清掃具に帯電防止剤が添加されていないため、帯電防止性に問題が見られた。
比較例3では帯電防止性には問題はないものの、清掃具粘着部当接面の光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面への当接、離脱の際に清掃具の擬似フェルール部の樹脂がポリプロピレン樹脂で成形されているため、清掃具粘着部のアクリル系粘着剤との親和性が良好でなく、初期の清掃工程の段階から清掃具粘着部粘着剤が全て光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面に転写してしまい、結果としてゴミ除去性、異物付着性において、問題となってしまった。
比較例4では清掃具粘着部の代わりに帯電防止不織布を用いたため、帯電防止性においては問題がなかったものの、ゴミ除去性、異物付着性に対しては、不織布より生じる糸くず等が発生したため、問題と有りとなってしまった。
以上の結果より、本発明の光トランシーバのレセプタクル内スタブ表面清掃具について、ゴミ除去性、異物付着性、帯電防止性に関して、優れた性能を有することが確認できた。